JP7187925B2 - エピハロヒドリン系ゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents
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本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物において、前記非反応性基で表面処理されたシリカが、アルキル基で表面処理されたシリカであることが好ましい。
本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物において、前記架橋剤が、キノキサリン系架橋剤であることが好ましい。
本発明で用いるエピハロヒドリン系ゴムは、少なくともエピハロヒドリン単量体単位を必須構成単量体単位として含有するゴム重合体であり、具体的には、1種のエピハロヒドリン単量体の単独重合体、もしくは2種以上のエピハロヒドリン単量体の共重合体、またはエピハロヒドリン単量体およびこれと共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられるが、エピハロヒドリン単量体と共重合可能な単量体との共重合体が好ましい。また、エピハロヒドリン系ゴムとしては、単量体組成の異なる2種以上の重合体を組み合わせて用いてもよい。
本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物は、非反応性基で表面処理されたシリカを含有する。本発明においては、シリカとして、非反応性基で表面処理されたものを用いることにより、得られるゴム架橋物を、耐圧縮永久歪み性と破断伸びとのバランスに優れたものとしながら、動摩擦係数が低く抑えられたものとすることができるものである。
見かけ比重[g/L]=X/Y×1000
本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物は、上述したエピハロヒドリン系ゴムおよび非反応性基処理シリカに加えて、ハロゲン原子に対して反応性を示す架橋剤を含有する。
本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物は、上記各成分に加えて、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のエピハロヒドリン系ゴム組成物を架橋することにより得られる。
各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に従って、100℃で測定した。
エピハロヒドリン系ゴム組成物のムーニースコーチ時間(t5、t35)を、JIS K6300に従って、125℃で測定した。なお、ムーニースコーチ時間(t5)は、ムーニー粘度が最小値(Vm)から5ポイント増加するまでの時間であり、ムーニースコーチ時間(t35)は、ムーニー粘度が最小値(Vm)から35ポイント増加するまでの時間である。ムーニースコーチ時間(t5、t35)の値が大きいほど、スコーチ安定性に優れる。
エピハロヒドリン系ゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら160℃で30分間プレス成形してシート状の一次架橋物を得た。次いで、得られた一次架橋物をギヤー式オーブンに移して150℃で4時間二次架橋することで、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を、3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製し、得られたこの試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の引張強さ、破断伸びおよび100%引張応力を、また、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いてゴム架橋物の硬さを、それぞれ測定した。
上記常態物性の測定と同様にして、シート状のゴム架橋物を得て、これを縦15mm、横15mmに切り取り、試験片とした。そして、得られたシート状のゴム架橋物からなる試験片の中心の厚み(h0)を測定した後、厚み方向に50%圧縮させた際の、試験片の中心の厚み(h1)を計算した。
次いで、試験片を2枚の金属板に挟み、圧縮装置によって試験片の厚み方向に50%の歪みを与え、135℃としたギヤー式オーブン中において、圧縮したままの状態にて、22時間加熱した。次いで、ギヤー式オーブンから、圧縮したままの状態で、試験片を取り出し、23℃の条件で3時間放置した。その後、圧縮を開放し、5秒以内に、試験片の厚み(h2)を測定した。そして、得られた測定結果から、下記式にしたがって、圧縮永久歪みを算出した。この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
圧縮永久歪み(%)={(h0-h2)/(h0-h1)}×100
上記常態物性の測定と同様にして、シート状のゴム架橋物を得て、これを試験片とした。そして、得られたシート状のゴム架橋物からなる試験片について、ヘイドン式表面性測定機(製品名「HEIDON トライポギアTYPE:38」、新東科学株式会社製)を用いて、動摩擦係数の測定を行った。なお、測定は、測定治具として、SUSボール圧子を用いて行い、200gの荷重をかけた状態にて、移動速度100mm/minで15mm移動させる操作を行うことで、動摩擦係数を測定した。本測定においては、測定位置を変えて上記測定を5回行い、5回の測定により得られた結果を平均し、得られた平均値を動摩擦係数とした。
密閉した耐圧ガラス容器を窒素置換して、トルエン200部およびトリイソブチルアルミニウム60部を供給した。このガラス容器を氷水に浸漬して冷却後、ジエチルエーテル230部を添加し、攪拌した。次に、氷水で冷却しながら、リン酸13.6部を添加し、さらに攪拌した。この時、トリイソブチルアルミニウムとリン酸との反応により、容器内圧が上昇するので適時脱圧を実施した。次いで、得られた反応混合物を60℃の温水浴内で1時間熟成反応させて触媒溶液を得た。
次いで、オートクレーブにエピクロロヒドリン250部、エチレンオキサイド16部、トルエン279部を入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら内溶液を60℃に昇温し、上記で得た触媒溶液10部を添加して反応を開始した。次に、反応開始からエチレンオキサイド103部をトルエン150部に溶解した溶液を5時間かけて等速度で連続添加した。また、反応開始後30分毎に触媒溶液7部ずつを5時間にわたり添加した。次いで、水15部を添加して攪拌し、反応を終了させた。ここにさらに、老化防止剤として4,4’-チオビス-(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)の5重量%トルエン溶液45部を添加し、攪拌した。スチームストリッピングを実施してトルエンを除去し、上澄み水を除去後、60℃にて真空乾燥し、製造例1のエピクロロヒドリンゴム369部を得た。製造例1のエピクロロヒドリンゴムの単量体組成比は、1H-NMRにより測定した結果、エピクロロヒドリン単量体単位50モル%、エチレンオキサイド単量体単位50モル%であった。また、得られた製造例1のエピクロロヒドリンゴムのムーニー粘度は69であった。
40℃のオープンロールに、製造例1で得られたエピクロロヒドリンゴム100部、ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製、乾式シリカのジメチルジクロロシラン処理品、BET比表面積:110m2/g、pH:3.5~5.5、見かけ比重:約90g/L)20部、HAFカーボンブラック(製品名「シースト3」、東海カーボン社製)20部、ポリエーテルエステル系可塑剤(製品名「アデカサイザー RS735」、ADEKA社製)5部、エステル系ワックス(製品名「スプレンダー R300」、花王社製、加工助剤)3部、ハイドロタルサイト(製品名「DHT-4A」、協和化学工業社製、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2Oで表される化合物、受酸剤)10部、ポリエチレングリコール400(活性剤)1部、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(製品名「KBM-803」、信越シリコーン社製、シランカップリング剤)1部、2-メルカプトベンズイミダゾール(製品名「ノクラックMB」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)0.5部、4,4’-ジ-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(製品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1部、ジメチルジチオカルバミン酸銅(製品名「ノクセラーTTCU」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1部、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(製品名「RETARDER CTP」、大内新興化学工業社製、架橋遅延剤)1部、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のフェノール塩(製品名「U-CAT SA831」、サンアプロ社製、DBU42重量%、架橋促進剤)1部、および6-メチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート(キノキサリン系架橋剤)1.8部を投入し、10分間混練し混合することにより、エピハロヒドリン系ゴム組成物を調製した。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R974」、エボニックインダストリーズ社製、乾式シリカのジメチルジクロロシラン処理品、BET比表面積:170m2/g、pH:3.7~4.7、見かけ比重:約50g/L)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、メチル化シリコーンオイル処理シリカ(製品名「ニプシル SS-30P」、東ソー・シリカ社製、湿式シリカのメチル化シリコーンオイル処理品、BET比表面積:110m2/g、pH:7.0)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
HAFカーボンブラックの配合量を20部から40部に変更するとともに、ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)、ポリエチレングリコール400、および3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、未処理シリカ(製品名「アエロジル 130」、エボニックインダストリーズ社製、未処理の乾式シリカ、BET比表面積:110m2/g、pH:3.6~5.5)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、未処理シリカ(製品名「ニプシル VN3」、東ソー・シリカ社製、未処理の湿式シリカ、BET比表面積:180~230m2/g、pH:5.5~6.5)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、未処理シリカ(製品名「ニプシル ER」、東ソー・シリカ社製、未処理の湿式シリカ、BET比表面積:70~120m2/g、pH:7.5~9.0)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、未処理シリカ(製品名「カープレックス#1120」、エボニックインダストリーズ社製、未処理の湿式シリカ、pH:10.4~10.9)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、アミノアルキル処理シリカ(製品名「アエロジル RA200HS」、エボニックインダストリーズ社製、乾式シリカのアミノアルキルシリル処理品、BET比表面積:150m2/g、pH:8.5~11.0)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ジメチルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R972V」、エボニックインダストリーズ社製)20部に代えて、メタクリルシリル処理シリカ(製品名「アエロジル R711」、エボニックインダストリーズ社製、乾式シリカのメタクリルシリル処理品、BET比表面積:150m2/g、pH:4.0~6.0)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして、エピハロヒドリン系ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1~3は、圧縮永久歪みがいずれも50%以下と良好な水準であるが、これらの中でも、非反応性基で表面処理されたシリカとして、BET法で測定される窒素吸着比表面積が、好ましくは80~200m2/g、特に80~140m2/gの範囲内にあるものを使用した実施例1,3は、圧縮永久歪みがより低減されたものであった。
Claims (4)
- エピハロヒドリン系ゴムと、非反応性基で表面処理されたシリカと、カーボンブラックと、ハロゲン原子に対して反応性を示す架橋剤とを含有し、
前記シリカの含有量が、前記エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対し15~60重量部であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対し20~50重量部であるエピハロヒドリン系ゴム組成物。 - 前記非反応性基で表面処理されたシリカが、アルキル基で表面処理されたシリカである請求項1に記載のエピハロヒドリン系ゴム組成物。
- 前記架橋剤が、キノキサリン系架橋剤である請求項1または2に記載のエピハロヒドリン系ゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれかに記載のエピハロヒドリン系ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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