JP7176135B2 - リチウム-硫黄電池用分離膜及びこれを含むリチウム-硫黄電池 - Google Patents

リチウム-硫黄電池用分離膜及びこれを含むリチウム-硫黄電池 Download PDF

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Description

本出願は、2019年5月3日付け韓国特許出願第10-2019-0052470号及び2020年4月20日付け韓国特許出願第10-2020-0047143号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含む。
本発明は、リチウム-硫黄電池用分離膜及びこれを含むリチウム-硫黄電池に関する。
リチウム二次電池の活用範囲が携帯用電子機器及び通信機器だけでなく、電気自動車(electric vehicle;EV)、電力貯蔵装置(electric storage system;ESS)にまで拡大されながら、これらの電源として用いられるリチウム二次電池の高容量化に対する要求が高まっている。
種々のリチウム二次電池の中で、リチウム-硫黄電池は、硫黄-硫黄結合(sulfur-sulfur bond)を含む硫黄系物質を正極活物質として用い、リチウム金属、リチウムイオンの挿入/脱挿入が起こる炭素系物質又はリチウムと合金を形成するシリコンやスズなどを負極活物質として用いる二次電池である。
リチウム-硫黄電池において正極活物質の主材料である硫黄は低い原子当たりの重量を有し、資源が豊富で需給が容易であり、コストが低廉であり、毒性がなく、環境に優しい物質という利点がある。
また、リチウム-硫黄電池は、正極においてリチウムイオンと硫黄の変換(conversion)反応(S+16Li+16e→8LiS)から出る理論放電容量が1,675mAh/gに至り、負極としてリチウム金属(理論容量:3,860mAh/g)を用いる場合、2,600Wh/kgの理論エネルギー密度を示す。これは、現在研究されている他の電池システム(Ni-MH電池:450Wh/kg、Li-FeS電池:480Wh/kg、Li-MnO電池:1,000Wh/kg、Na-S電池:800Wh/kg)及び商用リチウム二次電池(LiCoO/graphite)の理論エネルギー密度に比べて非常に高い数値を有するので、現在まで開発されている二次電池の中で高容量、親環境及び低コストのリチウム二次電池として注目を集めており、次世代電池システムとして多様な研究が行われている。
リチウム-硫黄電池は、放電時に正極(positive electrode)では硫黄の電子を受け入れて還元反応が、負極(negative electrode )ではリチウムがイオン化される酸化反応がそれぞれ行われる。このようなリチウム-硫黄電池の放電途中に正極ではリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=2~8)が生成され、これは電解質に溶解されて正極から溶出されることによって、正極の可逆容量が大きく減少するだけでなく、溶解されたリチウムポリスルフィドは負極に拡散し、様々な副反応(side reaction)を起こすことになる。また、充電過程中に前記リチウムポリスルフィドはシャトル反応(shuttle reaction)を起こして充放電効率を大きく低下させる。
このようなリチウムポリスルフィドの溶出は電池の容量及び寿命特性に悪影響を及ぼすところ、リチウムポリスルフィドの問題を解決するための様々な技術が提案された。
一例として、大韓民国公開特許第2018-0020096号は、遷移金属化合物を含む触媒層が形成された分離膜を含むことにより、リチウムポリスルフィド溶出によるシャトル反応を抑制し、電池の容量及びサイクル特性を改善させることができることを開示している。
また、大韓民国公開特許第2016-0046775号は、硫黄-炭素複合体を含む正極活性部の一部表面に両親媒性高分子からなる正極コーティング層を具備して、リチウムポリスルフィドの溶出抑制とともにリチウムイオンの移動を容易にして電池のサイクル特性を向上させることができることを開示している。
また、大韓民国公開特許第2016-0037084号は、硫黄を含む炭素ナノチューブ凝集体にグラフェンをコーティングすることにより、リチウムポリスルフィドが溶け出すことを遮断し、硫黄-炭素ナノチューブ複合体の導電性及び硫黄のローディング量を増加させることができることを開示している。
これらの特許は、リチウムポリスルフィドの吸着能力がある物質を正極又は分離膜に導入することにより、硫黄の損失を防止してリチウム-硫黄電池の性能又は寿命低下の問題をある程度改善したが、その効果は十分ではない。また、新たに導入された物質により劣化問題が発生することができ、これらの特許において提示する方法は多少複雑であるだけでなく、正極の組成を変更するときに、正極活物質である硫黄を入れることができる量(すなわち、ローティング量)が制限されるという問題がある。したがって、リチウムポリスルフィドの溶出問題を解決し、優れた性能を有するリチウム-硫黄電池の開発がさらに必要である実情である。
大韓民国公開特許第2018-0020096号(2018年2月27日)、触媒層がコーティングされたリチウム硫黄電池用多層構造分離膜及びこれを用いたリチウム硫黄電池 大韓民国公開特許第2016-0046775号(2016年4月29日)、リチウム-硫黄電池用正極及びこの製造方法 大韓民国公開特許第2016-0037084号(2016年4月5日)、硫黄-炭素ナノチューブ複合体、この製造方法、これを含むリチウム-硫黄電池用カソード活物質及びこれを含むリチウム-硫黄電池
そこで、本発明者らは、前記問題を解決しようと多角的に研究を行った結果、分離膜の基材上にモンモリロナイトの1価または2価の陽イオンが、特定のイオンで置換された改質モンモリロナイトを含む無機コーティング層を導入することにより、リチウム-硫黄電池のリチウムポリスルフィド溶出の問題を解決し、リチウム-硫黄電池の性能及び寿命を向上させることができることを確認し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、リチウムポリスルフィドの溶出による問題を解決し、リチウム-硫黄電池の容量及び寿命特性を改善させるリチウム-硫黄電池用分離膜を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記分離膜を含むリチウム-硫黄電池を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、多孔性基材;及び前記多孔性基材の少なくとも一面に形成された無機コーティング層を含み、
前記無機コーティング層は、モンモリロナイトの陽イオンが水素イオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、及びニッケルイオンの中から選択される1種以上のイオンで置換された改質モンモリロナイトを含むリチウム-硫黄電池用分離膜を提供する。
前記モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
前記改質モンモリロナイトは、剥離された層状構造であってもよい。
前記改質モンモリロナイトは、ナノシート形態であってもよい。
前記改質モンモリロナイトは、X線回折(XRD)測定時、回折角度(2θ)が7.0±1.0°、9.0±1.0°、20.0±1.0°、26.5±1.0°及び28.0±0.5°である範囲でそれぞれ示される回折ピークを含むものであってもよい。
前記無機コーティング層は、厚さが0.1~10μmであってもよい。
また、本発明は、前記リチウム-硫黄電池用分離膜を含むリチウム-硫黄電池を提供する。
本発明に係る分離膜は、特定のイオンで置換された改質モンモリロナイトを含む無機コーティング層を含み、このとき、前記改質モンモリロナイトは、層間構造が剥離されて形成されたナノシート形態を示して多孔性基材上に均一にコーティングされることによって、優れたリチウムポリスルフィドの吸着効果を示し、これを含むリチウム-硫黄電池の容量及び寿命特性を向上させる。
したがって、前記改質モンモリロナイトを含む無機コーティング層が形成された分離膜の備えられたリチウム-硫黄電池は、硫黄の容量低下が発生しないので、高容量電池の具現が可能であり、硫黄を高ローティングで安定して適用可能である。なお、このようなリチウム-硫黄電池は電池の充放電効率が高く、寿命特性が改善される利点を有する。
本発明の製造例1~4によるモンモリロナイトの走査電子顕微鏡(SEM)イメージである(a):製造例1、b)製造例2、c)製造例3、d)製造例4)。 本発明の実験例2による製造例1~4のX線回折分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例による分離膜の走査電子顕微鏡(SEM)イメージである(a):比較例6、b)比較例7、c)実施例3、d)実施例4)。 本発明の実験例4による実施例3、実施例4及び比較例5~7の電池の寿命特性評価結果を示すグラフである。 本発明の実験例4による実施例3、実施例4、比較例5及び比較例8の電池の寿命特性評価結果を示すグラフである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語は通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の方法で意味ない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることで、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
本発明において使用されている用語「気孔度(porosity)」は、ある構造で全体体積に対して気孔が占める体積の割合を意味し、その単位として%を使用し、空隙率、多孔度などの用語と相互交換して使用することができる。本発明において、前記気孔度の測定は特に限定されず、例えば、BET(Brunauer-Emmett-Teller)測定法または水銀浸透法(Hg porosimeter)により大きさ(micro)及びメソ細孔体積(meso pore volume)を測定することができる。
リチウム-硫黄電池は、種々の二次電池の中で高い理論放電容量及び理論エネルギー密度を有し、正極活物質として用いられる硫黄は埋蔵量が豊富で低価であり、環境に親しいという利点により、次世代二次電池として脚光を浴びている。
リチウム-硫黄電池において正極活物質として用いられる硫黄は、環状のSで還元反応によって線形構造のリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=8、6、4、2)に変換するようになり、このようなリチウムポリスルフィドが完全に還元されると、最終的に、リチウムスルフィド(lithium sulfide、LiS)が生成される。このような硫黄の還元反応の中間生成物であるリチウムポリスルフィドの中で、硫黄の酸化数が高いリチウムポリスルフィド(Li、通常x>4)は、極性の強い物質で親水性有機溶媒を含む電解質に容易に溶けて正極の反応領域外に溶出し、それ以上電気化学反応に関与しないようになる硫黄の損失が発生する。
このような硫黄の流出によって電気化学反応に参与する硫黄の量が急激に減ってリチウム-硫黄電池は前述した利点にもかかわらず、実際の駆動においては理論容量及びエネルギー密度全部を具現できない。これに加えて、負極として用いるリチウム金属とリチウムポリスルフィドの副反応により、一定のサイクル後には、初期容量及びサイクル特性の低下が加速化する問題がある。
このため、従来技術では、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制することができる物質を、添加剤またはこれを含む高分子コーティング層の形態で、正極や分離膜に導入する方法、電解質の組成を変更する方法、または負極の表面に保護層若しくは固体電解質界面(solid-electrolyte interphase;SEI)層を形成する方法などの方法が提案されたが、リチウムポリスルフィドの溶出改善効果を確保することができないだけでなく、硫黄のローティング量に制限があり、電池の安定性に深刻な問題を引き起こしたり、工程の面で非効率的であるという短所がある。
そこで、本発明では、リチウムポリスルフィドの吸着物質が均等に分布して均一な吸着性能を示すことができるように剥離された層状構造を有する改質モンモリロナイト(modified montmorillonite)で無機コーティング層を形成することにより、リチウムポリスルフィドの溶出抑制効果に優れるリチウム-硫黄電池用分離膜を提供する。
具体的に、本発明に係るリチウム-硫黄電池用分離膜は、多孔性基材;及び前記多孔性基材の少なくとも一面に形成された無機コーティング層を含み、前記無機コーティング層は、モンモリロナイトの陽イオンが特定のイオンで置換された改質モンモリロナイト(modified montmorillonite)を含む。
本発明のリチウム-硫黄電池用分離膜を構成する多孔性基材は、負極と正極を互いに分離または絶縁させながら、前記正極と負極との間にリチウムイオンの輸送を可能にする。したがって、本発明の分離膜は多孔性であり、非伝導性または絶縁性物質からなってもよい。また、前記分離膜はフィルムのような独立的部材であってもよい。
具体的に、前記多孔性基材は多孔性高分子フィルムを単独で、またはこれらを積層して用いることができ、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布またはポリオレフィン系多孔性膜を用いることができるが、これに限定されるものではない。
前記多孔性基材の材質としては、本発明において特に限定せず、通常、電気化学素子に用いられる多孔性基材であればいずれも使用が可能である。例えば、前記多孔性基材は、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)などのポリオレフィン(polyolefin)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)などのポリエステル(polyester)、ポリアミド(polyamide)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalate)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、セルロース(cellulose)、ナイロン(nylon)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(poly(p-phenylene benzobisoxazole)及びポリアリレート(polyarylate)からなる群より選択された1種以上の材質を含むことができる。
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1~100μm、好ましくは5~50μmであってもよい。前記多孔性基材の厚さの範囲が前述した範囲に限定されることではないが、厚さが前述した下限より薄すぎた場合は、機械的物性が低下して電池の使用中に分離膜が容易に損傷されるおそれがある。
前記多孔性基材に存在する気孔の平均直径及び気孔度も特に制限されないが、それぞれ0.001~50μm及び10~95%であってもよい。
本発明において、前記無機コーティング層は前述した多孔性基材の少なくとも一面に形成され、改質モンモリロナイト(modified montmorillonite)を含む。
本発明の改質モンモリロナイトは特定のイオンで置換されたもので、具体的に純粋(bare)モンモリロナイト(montmorillonite;MMT)の層間に存在する1価または3価の陽イオンを、当該陽イオンとイオン交換反応を行うことができる化合物で処理した改質モンモリロナイト(modified montmorillonite)である。
前記純粋モンモリロナイトは粘土鉱物であるスメクタイト(smectite)の一種であり、(Na,Ca)0.33(Al,Mg)(Si10)(OH)・nHOで表される化学式を持っている。前記純粋モンモリロナイトはシリカ四面体(silica tetrahedral)シートとアルミナ八面体(alumina octahedral)シートとの組み合わせからなっており、2つのシリカ四面体シートと1つのアルミナ八面体シートが水酸化基縮合反応を経て層状構造(layered structure)を成すようになる。前記純粋モンモリロナイトは、アルミナ八面体シートでアルミニウムイオン(Al3+)の代わりにマグネシウムイオン(Mg2+)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)が、シリケート四面体シートにシリカイオン(Si4+)の代わりにアルミニウムイオン(Al3+)が置換された構造であって、全体的に負の電荷量を帯びるようになる。これにより、全体的な電荷の平衡を合わせるために層の間に交換可能な陽イオンと水分子を含有している。
前述したように、前記純粋モンモリロナイトの表面には、水酸基(OH radical)または酸素基(O radical)が主に分布しており、これにより、リチウムポリスルフィドを吸着することができるので、従来技術でも用いられている。しかし、従来技術で用いられるモンモリロナイトは、改質処理されていない純粋モンモリロナイトまたはアンモニウムイオン(NH )に改質された形態で依然として層状構造を有し、極性が強く、層間に存在する水を吸って体積が膨張する膨潤性(swelling)により緻密でない組織が作られ、このように粗い組織は、電池駆動時に反復的な収縮及び膨張過程によって形態変形を誘発し、結果としては、電池の性能と安定性を大きく低下させる問題がある。
そこで、本発明では、純粋モンモリロナイトの層構造の間に含まれた1価または2価の陽イオンをイオン交換反応を通じて、特定の陽イオンで置換する改質処理をする場合、層の間隔を拡張し、最終的に層状を層別に分離して剥離(exfoliation)させることができることに着目し、純粋モンモリロナイトの層間に存在するナトリウムイオン(Na)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)などの陽イオンを改質剤により水素イオン(H)、リチウムイオン(Li)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、鉄イオン(Fe2+)、マンガンイオン(Mn2+)及びニッケルイオン(Ni2+)の中から選択される1種以上のイオンで置換した改質モンモリロナイト(modified montmorillonite)で無機コーティング層を形成する。
すなわち、本発明に係る改質モンモリロナイトは多層(multi-layer)の層状構造が剥離されてナノシートの形態で形成されることによって、より適切な微細構造を有して厚さが減少されることで前記多孔性基材上に均一で緻密にコーティングされることができる。これにより、リチウムポリスルフィド吸着物質であるモンモリロナイトが無機コーティング層内に均等に分布してリチウムポリスルフィドを効果的に吸着することにより、従来のリチウム-硫黄電池においてリチウムポリスルフィドの溶出により発生する硫黄の損失及びこれによる容量減少(capacity loss)の問題を解決し、リチウム-硫黄電池の容量及び寿命を向上させることができ、硫黄の高ローディング時にも安定して駆動が可能である。
また、本発明の改質モンモリロナイトは、リチウムポリスルフィドを分離膜の無機コーティング層に拘束することにより、リチウムポリスルフィドのシャトル効果(shuttle effect)によって発生する負極表面での副反応、一例として、負極に用いられるリチウム金属と反応して界面にLiSの高抵抗層を形成したり、負極界面にリチウムが析出されるリチウムデンドライト成長の問題を解消し、電池のクーロン効率(coulomb efficiency)と寿命を改善させることができる。
前記モンモリロナイトは層間に存在する陽イオンの種類に応じて区分され、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群より選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、ナトリウムモンモリロナイトを含むことができる。
前記改質モンモリロナイトは層間に存在する陽イオンが水素イオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、及びニッケルイオンの中から選択される1種以上のイオンで置換されたものであり、リチウムイオン伝導性などを考慮するとき、好ましくは、水素イオン及びリチウムイオンの中から選択される1種以上のイオンで置換されたものであってもよい。より好ましくは、リチウムイオンで置換されたものであってもよい。
本発明の一具現例において、前記モンモリロナイトがナトリウムモンモリロナイトである場合、本発明の無機コーティング層に含まれる改質モンモリロナイトのうちナトリウムイオンの含有量(NaOに換算した値)は、0.4%以下、好ましくは0.01~0.05%であってもよい。
本発明の他の一具現例において、前記モンモリロナイトがカルシウムモンモリロナイトである場合、本発明の無機コーティング層に含まれる改質モンモリロナイトのうちカルシウムイオンの含有量(CaOに換算した値)は、0.2%以下、好ましくは0.01~0.05%であってもよい。
本発明の改質モンモリロナイトは剥離された(exfoliated)層状構造であってもよい。これは、多数の層が積層された層状構造の純粋モンモリロナイトが前述した陽イオンを置換する改質処理により多数の層の間に分離が起こることにより剥離され、ナノシートの形態で形成されたことを意味する。このとき、前記ナノシートは、厚さは3~100nm、好ましくは10~20nmであってもよい。また、前記ナノシートの最も長い辺の長さは1~15μm、好ましくは1~5μmであってもよい。
前記モンモリロナイトの平均粒径(D50)は、1μm~15μmであってもよい。前記モンモリロナイトの平均粒径(D50)が前記範囲に含まれる場合に、適切な剥離された層状構造を得ることができ、このため、前記モンモリロナイトを用いることによる効果をより効果的に得ることができる。本発明において別の定義がない限り、平均粒径(D50)は粒度分布において累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
本発明の改質モンモリロナイトの改質可否は、X線回折(XRD)測定により確認することができる。X線回折(XRD)分析において有効(significant or effective)ピークとは、XRDデータで分析条件や分析遂行者に大きく影響を受けず、実質的に同一のパターンで繰り返し検出されるピークを意味し、これを別の表現をすれば、バックグラウンド水準(backgound level)に比べて1.5倍以上であってもよく、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上の高さ、硬さ、強さなどを有するピークを意味する。
本発明の改質モンモリロナイトは、Cu-Kα X線波長を用いたX線回折(XRD)分析結果、回折角度(2θ)7.0±1.0°、9.0±1.0°、20.0±1.0°、26.5±1.0°及び28.0±0.5°である範囲でそれぞれ示される有効ピークを含み、このとき、回折角度7.0±1.0°で示される有効ピークの有無により改質可否を確認することができる。
前記改質モンモリロナイトの陽イオン交換容量(cation exhange capacity;CEC)は、90~150mmol/100g、好ましくは100~145mmol/100gであってもよい。本発明において、陽イオン交換容量は、交換可能な塩ラジカルと交換可能な水素を含む陽イオンをモンモリロナイトが吸着し、交換することができる程度(単位;mmol/100kg)と定義される。本発明において別途の定義がない限り、陽イオン交換容量は、コバルチヘキサミンクロリドイオン交換法、すなわち、交換可能な陽イオンとして[Co(NH3+を用いてモンモリロナイトの陽イオン交換容量を判定する方法によって決定される。
本発明に係るリチウム-硫黄電池用分離膜において、前記無機コーティング層の厚さは特に限定せず、前述した効果を確保しながらも電池の内部抵抗を上げない範囲を有する。一例として、前記無機コーティング層の厚さは0.1~10μm、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.1~1μmであってもよい。前記無機コーティング層の厚さが前記範囲未満である場合、無機コーティング層としての機能を行うことができず、これと逆に前記範囲を超えると、界面抵抗が高くなって電池駆動時に内部抵抗の増加をもたらすことがある。
本発明において提示するリチウム-硫黄電池用分離膜の製造方法は特に限定せず、通常の技術者により公知の方法またはこれを変形する様々な方法が使用可能である。
一例として、前記リチウム-硫黄電池用分離膜の製造方法は、
(a)特定の陽イオンで置換された改質モンモリロナイトを製造する段階
(b)前記(a)段階の改質モンモリロナイトを含むコーティング用組成物を製造する段階、及び
(c)前記コーティング用組成物を多孔性基材の少なくとも一面に塗布する段階を含む。
まず、前記段階(a)の特定の陽イオンで置換されたモンモリロナイト、すなわち、改質モンモリロナイトの製造は純粋モンモリロナイトと改質剤の反応によって行われることができる。
一例として、前記改質モンモリロナイトが水素イオンで置換された改質モンモリロナイトである場合、これは純粋モンモリロナイトを水素改質剤で酸処理することで製造することができる。このとき、酸処理は通常の方法を用いることができる。
前記純粋モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群より選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、ナトリウムモンモリロナイトであってもよい。
前記水素改質剤は、無機酸及び有機酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。例えば、前記無機酸としては、塩酸、硝酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、及びスルホン酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。前記有機酸としては、酢酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、ギ酸、プロパン酸、酪酸、プロパンジオ酸、ブタンジオ酸、ピルビン酸、グルタミン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、イタコン酸、アスコルビン酸、フマル酸、及びα-ケトグルタル酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。好ましく、前記水素改質剤は硫酸を用いることができる。
前記水素改質剤の濃度は0.1~10M、好ましくは0.5~8M、より好ましくは0.8~5Mであってもよい。
前記純粋モンモリロナイトと水素改質剤を脱イオン水(deionized water)などの水系溶媒に投入し、12~24時間撹拌して反応させて酸処理する。
このとき、前記純粋モンモリロナイトと水素改質剤の質量比は1.0:1.0~1.0:8.0、好ましくは1.0:2.0~1.0:5.0であってもよい。前記純粋モンモリロナイトと酸の質量比が前記範囲未満である場合、不完全な陽イオン交換反応の問題があり、これと逆に前記範囲を超える場合、モンモリロナイト結晶構造が崩壊される問題が発生することができる。
前記酸処理は複数回行うことができ、好ましくは1~10回、より好ましくは2~8回行うことができる。
前記酸処理後に、前記水素改質剤は遠心分離または濾過により除去することができる。
また、前記酸処理後に、水とエタノールを用いて数回洗浄する過程を経ることができる。
次に、前記酸処理の最終生成物を60~90℃で乾燥して改質モンモリロナイト、具体的には、水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を得た。前記乾燥は12~24時間真空条件で行うことが好ましい。
他の一例として、前記改質モンモリロナイトがリチウムイオンで置換された改質モンモリロナイトである場合、その製造方法は、純粋モンモリロナイトを水素改質剤で酸処理する段階、及び前記酸処理によって得られた水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を含む溶液にリチウム改質剤を添加する段階を含むことができる。
純粋モンモリロナイトを水素改質剤で酸処理する段階は、前述したことに従う。
前記リチウム改質剤は、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム及び硫酸リチウムなどその種類が多様であるが、反応条件を考慮するとき、好ましくは水酸化リチウムを用いることができる。
前記リチウム改質剤の濃度は0.1~10M、好ましくは0.5~8M、より好ましくは0.8~5Mであってもよい。
前記水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を含む溶液にリチウム改質剤を投入し、12~24時間撹拌して反応させる。
前記リチウム改質剤を添加する段階で前記水素改質モンモリロナイト(H-MMT)とリチウム改質剤の質量比は1.0:1.0~1.0:8.0、好ましくは1.0:2.0~1.0:5.0であってもよい。前記酸処理されたモンモリロナイトとリチウム改質剤の質量比が前記範囲未満である場合、陽イオン交換反応が不完全になる問題があり、これと逆に前記範囲を超える場合、モンモリロナイト結晶構造が崩壊される問題が発生することができる。
前記リチウム改質剤との反応後、前記リチウム改質剤は遠心分離または濾過により除去することができる。
また、前記リチウム改質剤との反応後、水とエタノールを用いて数回洗浄する過程を経ることができる。
次に、前記リチウム改質剤との反応から得られた最終生成物を、60~90℃で乾燥して改質モンモリロナイト、具体的にはリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を得た。前記乾燥は12~24時間、真空条件で行うことが好ましい。
次いで、前述した製造方法によって製造された特定の陽イオンで置換された改質モンモリロナイトを含むコーティング用組成物を製造する段階(b)を行う。
前記コーティング用組成物は、前述した特定の陽イオンで置換された改質モンモリロナイト以外に溶媒をさらに含むことができ、前記溶媒は、前記改質モンモリロナイトを溶解させることができるものであれば特に限定しない。一例として、前記溶媒は水とアルコールの混合溶媒、または1つあるいはそれ以上の有機溶媒混合物であってもよく、この場合、前記アルコールは炭素数1~6の低級アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどであってもよい。有機溶媒としては、酢酸、ジメチルホルムアミド(demethyl formanide;DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone;NMP)、ジメチルスルホキシド(demethyl sulfoxide;DMSO)などの極性溶媒、アセトニトリル、エチルアセテート、メチルアセテート、フルオロアルカン、ペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジイソブチレン、1-ペンテン、1-クロロブタン、1-クロロペンタン、O-キシレン、ジイソプロピルエーテル、2-クロロプロパン、トルエン、1-クロロプロパン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジエチルスルフィド、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アニリン、ジエチルアミン、エーテル、四塩化炭素、メチレンクロリド(methylene chloride)及びテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)などの非極性溶媒を用いることもできる。好ましくはジメチルホルムアミド、メチレンクロリド及びN-メチル-2-ピロリドンからなる群より選択される1種以上であってもよい。
前記溶媒の含有量は、コーティングを容易にすることができる程度の濃度を有する水準に含有されることができ、具体的な含有量はコーティング方法及び装置によって変わる。一例として、前記改質モンモリロナイトを溶媒に分散させた後、これを混合してコーティング用組成物を製造することができ、このとき、最終コーティング用組成物の濃度が0.1~10重量%(固形分の含有量)の範囲となるように調節した後、コーティングを行う。
さらに、前記コーティング用組成物は、コーティング過程で多孔性基材に対する改質モンモリロナイトの結合力を高めるためにバインダーをさらに含むことができる。例えば、前記バインダーはポリビニリデンフルオリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであってもよい。
次いで、前述したコーティング用組成物を多孔性基材の少なくとも一面に塗布する段階(c)を行う。
前記段階(c)での塗布は、本発明において特に限定せず、公知の湿式コーティング方式であればいずれも可能である。一例として、ドクターブレード(Doctor blade)などを用いて均一に分散させる方法、ダイキャスティング(Die casting)、コンマコーティング(Comma coating)、スクリーンプリンティング(Screen printing)、減圧濾過コーティング(vacuum filtration coating)などの方法などが挙げられる。
さらに、前記段階(c)後、溶媒を取り除くための乾燥工程をさらに行うことができる。前記乾燥工程は、溶媒を十分に取り除くことができる水準の温度及び時間で行い、その条件は溶媒の種類によって変わることがあるので、本発明において特に言及しない。一例として、乾燥は30~200℃の真空オーブンで行うことができ、乾燥方法としては、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥などの乾燥法を用いることができる。乾燥時間については特に限定されないが、通常30秒~24時間の範囲で行われる。
本発明に係るコーティング用組成物の濃度またはコーティング回数などを調節して、最終的に形成される無機コーティング層の厚さを調節することができる。
また、本発明は、前記分離膜を含むリチウム-硫黄電池を提供する。
前記リチウム-硫黄電池は正極;負極;これらの間に介在される分離膜及び電解質を含み、前記分離膜として本発明に係る分離膜を含む。
前記正極は、正極集電体と前記正極集電体の一面または両面に塗布された正極活物質を含むことができる。
前記正極集電体は正極活物質を支持し、当該電池に化学的変化を誘発することなく、かつ高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを用いることができる。
前記正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質との結合力を強化させることができ、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態を用いることができる。
前記正極活物質は、正極活物質と選択的に導電材及びバインダーを含むことができる。
前記正極活物質として硫黄系化合物を含む。前記硫黄系化合物は無機硫黄(S)、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5~50、n≧2)からなる群より選択される1種以上であってもよい。好ましくは無機硫黄(S)を用いることができる。
前記硫黄系化合物は単独では電気伝導性がないので、導電材と複合化して用いられる。好ましくは、前記正極活物質は硫黄-炭素複合体であってもよい。
前記硫黄-炭素複合体における炭素は、多孔性炭素材で正極活物質である硫黄が均一で安定して固定することができる骨格を提供し、硫黄の電気伝導度を補完して、電気化学反応が円滑に進行できるようにする。
前記多孔性炭素材は、通常、様々な炭素材質の前駆体を炭化させることによって製造することができる。前記多孔性炭素材は内部に一定ではない気孔を含み、前記気孔の平均直径は1~200nm範囲であり、気孔度または空隙率は多孔性全体体積の10~90%の範囲であってもよい。もし前記気孔の平均直径が前記範囲未満である場合、気孔サイズが分子水準に過ぎないため、硫黄の含浸が不可能であり、これと逆に、前記範囲を超える場合、多孔性炭素の機械的強度が弱化され、電極の製造工程に適用するのに好ましくない。
前記多孔性炭素材の形態は球状、棒状、針状、板状、チューブ状またはバルク状でリチウム-硫黄電池に通常用いられるものであれば制限なく用いることができる。
前記多孔性炭素材は、多孔性構造または比表面積が高いもので当業界において通常用いられるものであればいずれも構わない。例えば、前記多孔性炭素材としては、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、多重壁炭素ナノチューブ(MWCNT)などの炭素ナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性炭ファイバー(ACF)などの炭素繊維;天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛及び活性炭からなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されない。好ましく、前記多孔性炭素材は炭素ナノチューブであってもよい。
本発明において、前記硫黄-炭素複合体は、硫黄-炭素複合体100重量部を基準として硫黄を60~90重量部、好ましくは65~85重量部、より好ましくは70~80重量部で含むことができる。前記硫黄の含有量が前述した範囲未満である場合、硫黄-炭素複合体内の多孔性炭素材の含有量が相対的に多くなることによって、比表面積が増加し、スラリーの製造時にバインダーの含有量が増加する。このようなバインダーの使用量の増加は、結局正極の面抵抗を増加させ、電子移動(electron pass)を防ぐ絶縁体の役割をするようになって電池の性能を低下させることがある。これと逆に、前記硫黄の含有量が前述した範囲を超える場合、多孔性炭素材と結合できない硫黄または硫黄化合物が、それら同士が固まるようになるか、または多孔性炭素材の表面に再溶出されることによって、電子を受けにくくなるので、電気化学的反応に参与できなくなり、電池の容量損失が発生することができる。
前記正極活物質は前述した組成以外に、遷移金属元素、IIIA族元素、IVA族元素、これらの元素の硫黄化合物、及びこれらの元素と硫黄の合金の中から選択される1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
前記遷移金属元素としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、AuまたはHgなどが含まれ、前記IIIA族元素としては、Al、Ga、In、Tlなどが含まれ、前記IVA族元素としては、Ge、Sn、Pbなどが含まれることができる。
前記正極活物質は、正極スラリー組成物100重量部を基準として50~95重量部、好ましくは70~90重量部で含むことができる。前記正極活物質の含有量が前記範囲未満である場合、正極の電気化学的反応を十分に発揮しにくく、これと逆に前記範囲を超える場合、後述する導電材とバインダーの含有量が相対的に不足して正極の抵抗が上昇し、正極の物理的性質が低下する問題がある。
また、前記正極は導電材をさらに含むことができ、前記導電材は電解質と正極活物質を電気的に連結させ、集電体(current collector)から電子が正極活物質まで移動する経路の役割をする物質であって、多孔性及び導電性を有するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、前記導電材としては、多孔性を有する炭素系物質を用いることができ、このような炭素系物質としては、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、炭素繊維などがあり、金属メッシュなどの金属性繊維;銅、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属性粉末;またはポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料がある。前記導電性材料は、単独または混合して用いることができる。
前記導電材は、正極スラリー組成物100重量部を基準として1~10重量部、好ましくは5重量部内外で含むことができる。前記導電材の含有量が前記範囲未満であると、正極内の硫黄のうち反応できない部分が増加することになり、結局は容量の減少を引き起こす。これと逆に、前記範囲を超えると、高効率放電特性と充・放電サイクル寿命に悪影響を及ぼすので、上述した範囲内で適正含有量を決定することが好ましい。
また、前記正極はバインダーをさらに含むことができ、前記バインダーは、正極を構成する成分間及びこれらと集電体間の結着力をより高めるもので、当該業界において公知のすべてのバインダーを用いることができる。
例えば、前記バインダーは、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVdF)、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxylmethyl cellulose、CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;及びシラン系バインダー;からなる群より選択された1種、2種以上の混合物または共重合体を用いることができる。
前記バインダーは、正極スラリー組成物100重量部を基準として1~10重量部、好ましくは5重量部内外で含むことができる。前記バインダーの含有量が前記範囲未満であると、正極の物理的性質が低下して正極活物質と導電材が脱落することができ、前記範囲を超えると、正極で活物質と導電材の割合が相対的に減少して電池容量が減少することができるので、上述た範囲内で適正含有量を決定することが好ましい。
前記正極は、当分野において知られている通常の方法で製造することができる。例えば、正極活物質に溶媒、必要に応じてバインダー、導電材、分散剤を混合及び撹拌してスラリーを製造した後、これを金属材料の集電体に塗布(コーティング)し、圧縮した後、乾燥して正極を製造することができる。
前記溶媒としては、正極活物質、バインダー及び導電材を均一に分散させることができるものを用いる。このような溶媒としては、水系溶媒で水が最も好ましく、このとき、水は蒸留水(distilled water)、脱イオン水(deionzied water)であってもよい。ただし、必ずしもこれに限定するものではなく、必要な場合、水と容易に混合が可能な低級アルコールが用いられることができる。前記低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールなどがあり、好ましくは、これらは水とともに混合して用いられることができる。
前述した組成及び製造方法で製造された前記正極、具体的に正極活物質層の気孔度は60~75%、好ましくは60~70%であってもよい。前記正極の気孔度が60%に達しない場合は、正極活物質、導電材及びバインダーを含む正極スラリー組成物の充填度が高すぎになって正極活物質の間にイオン伝導及び/又は電気伝導を示すことができる十分な電解液が維持できなくなって、電池の出力特性やサイクル特性が低下することができ、電池の過電圧及び放電容量の減少が大きくなる問題がある。これと逆に、前記正極の気孔度が75%を超えて高すぎる気孔度を有する場合、集電体と物理的及び電気的連結が低くなって接着力が低下し、反応が難しくなる問題があり、高くなった気孔度を電解液が充填されて電池のエネルギー密度が低くなる問題があるので、前記範囲で適切に調節する。
前記負極は、負極活物質としてリチウム(Li)を可逆的に挿入(intercalation)または脱挿入(deintercalation)することができる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属またはリチウム合金を含むことができる。
前記リチウムイオン(Li)を可逆的に挿入または脱挿入することができる物質は、例えば結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの混合物であってもよい。前記リチウムイオン(Li)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ、チタンナイトレートまたはシリコンであってもよい。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群より選択される金属の合金であってもよい。
好ましく、前記負極活物質はリチウム金属であってもよく、具体的に、リチウム金属薄膜またはリチウム金属粉末の形態であってもよい。
前記負極集電体は、正極集電体において説明した通りである。
また、前記負極はバインダー、導電材及び増粘剤などの添加剤をさらに含むことができ、負極の製造時に用いられる通常のものであれば特に制限されない。前記バインダー及び導電材は正極において説明した通りである。
前記分離膜は前述したことに従う。
前記電解質はリチウムイオンを含み、これを媒介として正極と負極で電気化学的な酸化または還元反応を起こすためのものである。
前記電解質は、リチウム金属と反応しない非水電解液または固体電解質が可能であるが、好ましくは非水電解質であり、電解質塩及び有機溶媒を含む。
前記非水電解液に含まれる電解質塩はリチウム塩である。前記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常用いられるものであれば制限なく用いることができる。例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、LiN(SOF)、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4-フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドなどを用いることができる。
前記リチウム塩の濃度は、電解質溶媒混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解した塩の伝導性、電池の充電及び全条件、作業温度及びリチウム電池の分野において公知の他の要因のような種々の要因により、0.2~2M、具体的に0.4~2M、より具体的に0.4~1.7Mであってもよい。前記リチウム塩の濃度を0.2M未満で用いると、電解質の伝導度が低くなって電解質の性能が低下することができ、2Mを超えて用いると、電解質の粘度が増加してリチウムイオンの移動性が減少することができる。
前記非水電解液に含まれる有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常用いられるものを制限なく用いることができ、例えば、エーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。その中で代表的には、エーテル系化合物を含むことができる。
前記エーテル系化合物は、非環状エーテル及び環状エーテルを含むことができる。
例えば、前記非環状エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテルからなる群より選択される1種以上を用いることができるが、これに限定されるものではない。
一例として、前記環状エーテルは、1,3-ジオキソラン、4,5-ジメチル-ジオキソラン、4,5-ジエチル-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、4-エチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン、2-エトキシテトラヒドロフラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-ビニル-1,3-ジオキソラン、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、2-メトキシ-1,3-ジオキソラン、2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン、イソソルビドジメチルエーテル(isosorbide dimethyl ether)からなる群より選択される1種以上を用いることができるが、これに限定されるものではない。
前記有機溶媒中のエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、σ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を用いることができるが、これに限定されるものではない。
前記線状カーボネート化合物の具体的な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などを代表的に用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、前記環状カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらのハロゲン化物からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物がある。これらのハロゲン化物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)などがあり、これに限定されるものではない。
前記非水電解液の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電気化学素子の製造工程の中で適切な段階で行われることができる。すなわち、電気化学素子の組立前または電気化学素子の組立最終段階などで適用することができる。
本発明に係るリチウム二次電池は、一般的な工程である巻取り(winding)以外にも、セパレータと電極の積層(lamination、stack)と折り畳み(folding)工程が可能である。
前記リチウム二次電池の形状は特に制限されず、円筒型、積層型、コイン型など様々な形状とすることができる。
また、本発明は、前記リチウム-硫黄電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
前記電池モジュールは、高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源として用いられることができる。
前記中大型デバイスの例としては、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然である。
製造例
[製造例1]
ナトリウムモンモリロナイト(K10、シグマアルドリッチ(sigma aldrich)社製)50gを1.0Mの硫酸溶液1Lに投入し、常温(25℃)で24時間撹拌した。
前記撹拌して得られた溶液を遠心分離により溶媒を除去し、80℃のオーブンで12時間乾燥し、水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を製造した。
[製造例2]
前記製造例1から得られた水素改質モンモリロナイト(H-MMT)50gを1.0Mの水酸化リチウム溶液1Lに投入し、常温(25℃)で24時間撹拌した。
前記撹拌して得られた溶液を遠心分離により溶媒を除去し、80℃のオーブンで12時間乾燥し、リチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を製造した。
[製造例3]
ナトリウムモンモリロナイト(K10、シグマアルドリッチ(sigma aldrich)社製)50gを155℃のオーブンで1時間乾燥し、改質処理されない純粋モンモリロナイトを得た。
[製造例4]
前記製造例1から得られた水素改質モンモリロナイト(H-MMT)50gを1.0Mの水酸化アンモニウム溶液1Lに投入し、常温(25℃)で24時間撹拌した。
前記撹拌して得られた溶液を遠心分離により溶媒を除去し、80℃のオーブンで12時間乾燥し、アンモニウム改質モンモリロナイト(NH4-MMT)を製造した。
実施例及び比較例
[実施例1]
多孔性基材として20μmのポリエチレン(気孔度68%)フィルムを準備した。
エタノールに製造例1で得られた水素改質モンモリロナイト(H-MMT)を1重量%で含むコーティング用組成物を前記多孔性基材上に塗布して無機コーティング層を形成した後、60℃で12時間乾燥し、1μm厚さの無機コーティング層が形成されたリチウム-硫黄電池用分離膜を製造した。
[実施例2]
コーティング用組成物として製造例1の水素改質モンモリロナイト(H-MMT)の代わりに同一含有量の製造例2で得られたリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に行ってリチウム-硫黄電池用分離膜を製造した。
[実施例3]
正極活物質として硫黄-炭素複合体(S/C 7:3重量部)を90重量部、導電材としてデンカブラックを5重量部、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR/CMC 7:3)5重量部を投入し、混合して正極スラリー組成物を製造した。
次いで、前記製造された正極スラリー組成物をアルミニウム集電体上に塗布し、50℃で12時間乾燥し、ロールプレス(roll press)機器で圧着して正極を製造した。得られた正極のローティング量は5.4mAh/cmであり、気孔度は68%であった。
前記正極とともに、負極として35μm厚さのリチウム金属薄膜を用い、電解質として1,3-ジオキソランとジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液を用いた。
具体的に、前記製造された正極と負極を対面するように位置させ、その間に実施例1で得られた分離膜を介在した後、前記製造された電解質0.1mlを注入し、リチウム-硫黄電池を製造した。
[実施例4]
実施例2で得られた分離膜を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に行ってリチウム-硫黄電池を製造した。
[比較例1]
無機コーティング層を形成しないことを除いては、前記実施例1の多孔性基材をリチウム-硫黄電池用分離膜として準備した。
[比較例2]
コーティング用組成物として製造例1の水素改質モンモリロナイト(H-MMT)の代わりに同一含有量の製造例3で得られた純粋モンモリロナイトを用いたことを除いては、前記実施例1と同様に行ってリチウム-硫黄電池用分離膜を製造した。
[比較例3]
コーティング用組成物として製造例1の水素改質モンモリロナイト(H-MMT)の代わりに同一含有量の製造例4で得られたアンモニウム改質モンモリロナイト(NH-MMT)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に行ってリチウム-硫黄電池用分離膜を製造した。
[比較例4]
N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)に製造例2で得られたリチウム改質モンモリロナイト(Li-MMT)90重量%、ポリビニリデンフルオリド(重量平均分子量(Mw):534,000、シグマアルドリッチ(sigma aldrich)社製)10重量%を含むコーティング用組成物を20μmのポリエチレン(気孔度68%)フィルムを含む多孔性基材上に塗布してコーティング層を形成した後、80℃で12時間乾燥し、10μm厚さのコーティング層が形成されたリチウム-硫黄電池用分離膜を製造した。
[比較例5]
比較例1で得られた分離膜を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に行ってリチウム-硫黄電池を製造した。
[比較例6]
比較例2で得られた分離膜を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に行ってリチウム-硫黄電池を製造した。
[比較例7]
比較例3で得られた分離膜を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に行ってリチウム-硫黄電池を製造した。
[比較例8]
比較例4で得られた分離膜を用いたことを除いては、前記実施例3と同様に行ってリチウム-硫黄電池を製造した。
実験例1.走査電子顕微鏡の分析
製造例1~4によるモンモリロナイトについて走査電子顕微鏡(scanning electron microscope;SEM)で観察した。走査電子顕微鏡としては日立(hitachi)社のS-4800を用いた。このとき、得られた結果を図1に示した。
図1を参照すると、製造例1及び2によって製造された改質モンモリロナイトの場合(図1のa)及びb)参照)、層間構造が剥離されて薄いナノシート(sheet)形態を有することを確認することができる。これに比べて、製造例3による未改質されたモンモリロナイトの場合(図1のc)参照)、まったく剥離されず、製造例4によるアンモニウム改質モンモリロナイトの場合(図1のd)参照)、剥離の程度が製造例1及び2に比べて著しく低いことを確認することができる。
実験例2.X線回折の分析
製造例1~4によるモンモリロナイトについてX線回折(X-ray diffraction、XRD)分析を行った。分析に用いられたXRD装置は、固体状の検出器で1.5418ÅCu-KαX線波長を用いるRigaku MiniFlex 600X線回折分析装置であった。このとき、得られた結果を図2に示した。
図2を参照すると、製造例1及び2の場合、回折角度(2θ)7.0±1.0°で有効ピークが観察され、本発明に係る改質モンモリロナイトが製造されたことを確認することができる。
実験例3.走査電子顕微鏡の分析
実施例3及び4と比較例6及び7で製造した分離膜について走査電子顕微鏡(scanning electron microscope;SEM)で観察した。走査電子顕微鏡としては日立(hitachi)社、S-4800を用いた。このとき、得られた結果を図3に示した。
図3により、実施例3及び4の場合(図3のc)及びd)を参照)、無機コーティング層に剥離が十分に行われた改質モンモリロナイトを含むことにより、多孔性基材の表面があらわれず、均一に形成された無機コーティング層が形成されることを確認することができる。これに比べて、比較例6及び7の場合(図3のa)及びb)参照)、実施例1及び2と単位面積当たりのコーティング量が同一であるにもかかわらず、分離膜の表面、すなわち多孔性基材の表面が露出することを確認することができ、これは、無機コーティング層に剥離が不十分なモンモリロナイトを含むことによることで、剥離の程度によってコーティングの均一度が異なることを確認することができる。
実験例4.電池の寿命特性の評価
前記実施例3及び4と比較例5~8で製造された電池を0.1Cの電流密度で放電と充電を3回繰り返した後、0.2Cの電流密度で放電と充電を3回行った後、0.5C放電と0.3C充電を行いながら放電容量及びクーロン効率を測定し、電池の寿命特性を評価した。このとき、得られた結果を図4及び5に示した。
図4及び5に示すように、実施例による電池の放電容量の数値が比較例に比べて高いだけでなく、クーロン効率も優れて寿命特性がより向上することが分かる。
図5のように、バインダーの役割をする高分子をともに含むコーティング層が形成された比較例4の分離膜を含む比較例7の場合は、初期放電容量特性は優れているが、30サイクル付近で放電容量が急激に減少するので、寿命特性が劣化することを確認することができる。
このような結果から、本発明に係る無機コーティング層を含む分離膜を用いる場合、無機コーティング層に均一に分布した改質モンモリロナイトが正極から溶出したリチウムポリスルフィドが無機コーティング層に吸着されることによって、リチウム-硫黄電池の容量特性に優れるとともに寿命特性も改善されることを確認することができる。

Claims (10)

  1. 多孔性基材;及び
    前記多孔性基材の少なくとも一面に形成された無機コーティング層を含み、
    前記無機コーティング層は、モンモリロナイトの陽イオンが水素イオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、及びニッケルイオンの中から選択される1種以上のイオンで置換された改質モンモリロナイトを含むリチウム-硫黄電池用分離膜。
  2. 前記モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、及びマグネシウムモンモリロナイトからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  3. 前記モンモリロナイトは、ナトリウムモンモリロナイトを含む、請求項1又は2に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  4. 前記改質モンモリロナイトは、水素イオン及びリチウムイオンの中から選択される1種以上のイオンで置換されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  5. 前記改質モンモリロナイトは、剥離された層状構造である、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  6. 前記改質モンモリロナイトは、ナノシート形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  7. 前記改質モンモリロナイトは、厚さが3~100nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  8. 前記改質モンモリロナイトは、X線回折(XRD)測定時、回折角度(2θ)が7.0±1.0°、9.0±1.0°、20.0±1.0°、26.5±1.0°及び28.0±0.5°である範囲でそれぞれ示される回折ピークを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  9. 前記無機コーティング層は、厚さが0.1~10μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄電池用分離膜。
  10. 正極;負極;これらの間に介在される分離膜及び電解質を含むリチウム-硫黄電池において、
    前記分離膜は、請求項1~9のいずれか一項に記載の分離膜を含むリチウム-硫黄電池。
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