JP7174769B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
[1-1.吸水性樹脂]
本明細書において「吸水性樹脂」とは、ERT441.2-02により規定される水膨潤性(CRC)が5g/g以上であり、およびERT470.2-02により規定される水可溶成分(Ext)が70重量%以下である高分子ゲル化剤をいう。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
〔2.吸水性樹脂の製造方法〕
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、間隙を隔てて互いに対向する対向面を有する一対の壁が相対的に移動することによってせん断場を形成する流路に、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液(以下、単に単量体溶液とも称する)、有機溶媒を別々に連続的に供給し、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液を含む液滴を作製し、当該水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することを有する、吸水性樹脂の製造方法である。
本工程は任意の工程であり、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液および重合開始剤を混合して単量体組成物を得る工程である。
水溶性エチレン性不飽和単量体溶液は、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む溶液を指す。
重合開始剤としては、熱分解型重合開始剤が好ましく用いられる。該熱分解型重合開始剤は、熱によって分解しラジカルを発生する化合物を指すが、熱分解型重合開始剤の貯蔵安定性や吸水性樹脂の生産効率の観点から、10時間半減期温度(以下、「T10」と称する)が好ましくは0℃~120℃、より好ましくは30℃~100℃、さらに好ましくは50℃~80℃である水溶性の化合物が重合開始剤として好ましく用いられる。
本発明において、単量体組成物中の水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度は、選択された水溶性エチレン性不飽和単量体および有機溶媒の種類等に応じて選択されるが、生産効率上、下限は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、さらにより好ましくは30重量%以上であり、また、上限は、好ましくは100重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下であり、さらに好ましくは80重量%以下であり、さらにより好ましくは70重量%以下である。吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体組成物中の水溶性エチレン性不飽和単量体濃度は、好ましくは10重量%~90重量%、より好ましくは20重量%~80重量%、さらに好ましくは30重量%~70重量%である。
水溶性エチレン性不飽和単量体溶液(または単量体組成物)、有機溶媒を、流路に別々に連続的に供給し、有機溶媒中に分散する水溶性エチレン性不飽和単量体を含む液滴を作製する工程である。ここで、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液(または単量体組成物)、有機溶媒を、流路に「別々に」供給するとは、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液(または単量体組成物)および有機溶媒の混合物を「別々に」流路に供給する意ではなく、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液(または単量体組成物)と、有機溶媒と、を独立して「別々に」供給する意である。
図2は、一例に係る分散装置12Aを示す断面図である。分散装置12Aは、ロータリーミキサー型の高速回転せん断型撹拌機である。分散装置12Aは、間隙を隔てて互いに対向する対向面51A、53Aを有する一対の壁50A、52Aによって形成される流路54Aと、一対の壁50A、52Aを相対的に移動する駆動部60Aと、を有している。駆動部60Aによって一対の壁50A、52Aを相対的に移動することによって、せん断場を形成する流路54Aが形成される。分散装置12Aはさらに、単量体組成物を流路54Aに連続的に供給する第1供給系55Aと、有機溶媒を流路54Aに連続的に供給する第2供給系56Aと、を有している。
図3は、他の例に係る分散装置12Bを示す断面図である。分散装置12Bは、ターボミキサー型の高速回転せん断型撹拌機である。
図4は、さらに他の例に係る分散装置12Cを示す断面図である。分散装置12Cは、ディスク型の高速回転せん断型撹拌機である。
図5は、さらに他の例に係る分散装置12Dを示す断面図である。分散装置12Dは、ディスク型の高速回転せん断型撹拌機である。
図6は、さらに他の例に係る分散装置12Eを示す断面図である。分散装置12Eは、ディスク型の高速回転せん断型撹拌機である。
図7は、さらに他の例に係る分散装置12Fを示す断面図である。分散装置12Fは、二重円筒型の高速回転せん断型撹拌機である。
図8は、さらに他の例に係る分散装置12Gを示す断面図である。分散装置12Gは、分散装置12Fと同様に、二重円筒型の高速回転せん断型撹拌機である。
分散装置の流路におけるせん断速度は、1,000[1/s]以上であることが好ましい。せん断速度が1,000[1/s]以上であることで、流路内の単量体が有機溶媒内に分散するのに十分なせん断速度となるため、分散が良好となり、一次粒子径が小さくなる。一次粒子径が小さくなることで、吸水性樹脂の比表面積が大きくなり、吸水速度の向上につながる。また、せん断速度が1,000[1/s]以上であることで、液滴を生成する時間を短くすることが可能となる。さらには、せん断速度が1,000[1/s]以上であることで、分散時に界面活性剤の使用量を削減することができる。上記観点からは、分散装置の流路におけるせん断速度は、1,000[1/s]以上であることが好ましく、2,000[1/s]以上であることがより好ましく、3,000[1/s]以上であることがさらに好ましく、3,500[1/s]以上であることが特に好ましい。一方、分散装置を安定的に稼働させるためには、せん断速度は40,000[1/s]以下であることが好ましく、20,000[1/s]以下であることがより好ましく、10,000[1/s]以下であることがさら好ましく、6,000[1/s]以下であることが特に好ましい。分散装置の流路におけるせん断速度は、1,000~40,000[1/s]であることが好ましく、2,000~20,000[1/s]であることがより好ましく、3,000~10,000[1/s]であることがさらにより好ましく、3,500~6,000[1/s]であることが特に好ましい。また、分散装置が二重円筒型である場合、分散装置の流路におけるせん断速度は、1,000~40,000[1/s]であることが好ましく、2,000~20,000[1/s]であることがより好ましく、3,000~10,000[1/s]であることがさらにより好ましく、3,500~6,000[1/s]であることが特に好ましい。
形状が複雑で、移動速度の定義が難しい場合は、移動速度は、一方が固定壁の場合、接液部での最大移動速度とする。また、双方が移動壁の場合は、移動速度は、移動速度の差が最大になる点での移動速度とする。なお、一対の壁の双方が回転する場合には、移動速度の差となる。また、間隙(クリアランス)が複数ある場合は、最狭の距離を用いる。装置の位置によってせん断速度が異なる場合は、最大のせん断速度を本明細書のせん断速度とする。
分散装置においては、有機溶媒および単量体溶液(または単量体組成物)は、速やかに混合され、反応装置に排出される。このため、分散装置内において、単量体溶液(または単量体組成物)の滞留時間は少なくなる。これによって、分散装置内で単量体組成物が重合してゲル状になることが抑制され、該ゲル状物による分散機内での詰まりを抑制することができる。
例えば、二重円筒型分散装置(例えば、図7や図8で示される分散装置)の場合、分散部容積=(外筒有効容積-回転部有効容積)となる。ここで、分散部とは、二つの流体(有機溶媒および単量体溶液(または単量体組成物))が交わった状態でせん断力が付与される領域である。例えば、図7においては、単量体組成物が供給される第一供給系55Fの高さ方向の中点から壁52Fの円柱形状の終点までの領域(図7におけるH)、および、壁52Fの先細りの形状領域(図7におけるL)が、分散部であり、当該分散部の容積を分散部容積とする。同様に、図8においては、単量体組成物が供給される第一供給系55Fの高さ方向の中点から壁52Fの底部までの領域(図8におけるH)が、分散部であり、当該分散部の容積を分散部容積とする。
本発明において、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む液滴の好ましい体積平均粒子径は、分散や懸濁状態の安定性や有機溶媒の熱移動効率の観点から、2000μm以下であり、より好ましくは1000μm以下であり、さらに好ましくは800μm以下である。また、生産効率の観点から、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上である。
本発明において、分散装置に流入する有機溶媒流量[ml/分]に対する分散装置に流入する単量体組成物流量[ml/分]の比(単量体組成物流量[ml/分]/有機溶媒流量[ml/分])は、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましく、0.04を超えることがさらにより好ましく、0.08以上であることが特に好ましい。本形態では、せん断場によってせん断力が付与されることで単量体の分散が行われることから、多量の有機溶媒を要しない。ゆえに上記範囲内であっても、分散が良好に行われる。単量体組成物流量[ml/分]/有機溶媒流量[ml/分]の上限は特に限定されないが、1.00以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。
好ましい有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環状炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒が挙げられる。具体例には、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂環状炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロルベンゼン、ブロムベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示される。これらの中でも、入手容易性及び品質安定性の観点から、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好ましい。2種以上を混合した混合溶媒として用いることも可能である。
本工程は、上記分散工程において反応装置に供給された水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して、含水ゲルを得る工程である。
重合反応が行われる反応装置の形状は特に限定されないが、連続式製造方法の場合、好ましくは、この反応装置内に形成された連続相である有機溶媒中を、上記単量体(組成物)が液滴状の分散相として移動しながら重合反応しうる形状である。このような反応装置として、例えば、管状の反応管を、縦型、横型又は螺旋型に配置した反応装置が挙げられる。本発明の好適な一実施形態は、管状の反応管において水溶性エチレン性不飽和単量体を重合する。反応管が縦型の場合、該反応管の内径D(mm)と長さL(mm)との比(L/D)は、好ましくは2~100,000、より好ましくは3~50,000、さらに好ましくは4~20,000である。
本発明に係る製造方法では、反応装置内の連続相をなす有機溶媒の温度(以下、「Td」と称する)を重合温度とする。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、「重合時間」とは、連続式製造方法の場合、単量体組成物の反応装置への投入時を起点とし、重合反応で得られたゲル状重合体を反応装置から排出する時を終点として規定される時間である。例えば、単量体組成物が反応装置に液滴状で連続的に供給され、形成されたゲル状重合体が反応装置から連続的に排出される場合、一の単量体組成物の液滴が起点から終点に到達するまでに要する時間を意味する。換言すれば、単量体組成物の反応装置への供給開始から、最初のゲル状重合体の反応装置からの排出までの時間が、重合時間である。該重合時間が液滴の反応装置内の滞留時間に相当する。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、重合反応が行われる反応装置(以下、重合装置とも称する)における空間速度(LHSV)(単位:hr-1)とは、重合装置における単量体溶液または単量体組成物(含水ゲル)、および有機溶媒の通過速度を表す指標であり、重合時間を制御する際の目安となる指標である。
本工程は、上記重合工程において反応装置から排出されたゲル状重合体と有機溶媒とを分離してゲル状重合体(含水ゲル)を得る工程である。
本発明において、得られるゲル状重合体の形状は球形である。上記ゲル状重合体の粒子径(以下「ゲル粒子径」と称する)は、得られる吸水性樹脂の用途等に応じて適宜調整される。
後述する乾燥工程に供されるゲル状重合体の固形分率は、特に限定されないが、乾燥コストの観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上である。該ゲル状重合体の固形分率の上限は、特に限定されないが、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。上記範囲の固形分率であるゲル状重合体を後述の乾燥工程に供することにより、本発明の効果が顕著となる。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上述した各工程以外に、必要に応じて、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、整粒工程、微粉除去工程、造粒工程及び微粉再利用工程を含むことができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等をさらに含んでもよい。本発明の好適な形態は、さらに、前記重合により得られる含水ゲル状重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得ることと、前記吸水性樹脂粉末を表面架橋剤により表面架橋を施すことと、を有する。かような操作により、得られる吸水性樹脂の物性を向上させることができる。
本工程は、上記分離工程で分離されたゲル状重合体を、所望する固形分率まで乾燥して、粒子状の乾燥重合体を得る工程である。該ゲル状重合体を解砕又は造粒することで所望する粒子径又は粒度分布に調整した後に乾燥工程に供してもよい。
上記乾燥工程で得られた粒子状の乾燥重合体は、必要に応じて、粉砕工程及び分級工程を経ることによって、粒子径又は粒度分布が制御された吸水性樹脂とされる。
上記乾燥工程を経て得られる粒子状の乾燥重合体、即ち、吸水性樹脂粉末は、必要に応じて表面架橋工程に供される。この表面架橋工程は、吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に架橋密度の高い部分を設ける工程である。なお、本発明においては、公知の表面架橋技術が適宜適用される。
「整粒工程」とは、上記表面架橋工程を経て緩く凝集した吸水性樹脂粉末を解して粒子径を整える工程を意味する。なお、この整粒工程は、表面架橋工程以降の微粉除去工程、ゲルの解砕工程及び分級工程を含むものとする。
「微粉再利用工程」とは、上記各工程で発生した微粉をそのまま、又は微粉を造粒した後に何れかの工程に供給する工程を意味する。
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは止水防止材、塗料、接着剤、アンチブロッキング剤、光拡散剤、艶消し剤、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、トナー用添加剤等の樹脂用添加剤が挙げられる。また、吸水性樹脂としての用途は、特に限定されないが、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツの吸収体として使用することができる。さらに、この吸水性樹脂は、吸水時間に優れ、かつ粒度分布が制御されているので、上記吸収体の上層部に使用する場合に、顕著な効果が期待できる。
「吸水性樹脂の粒子形状」
本発明においては、いわゆる逆相懸濁重合により重合が行われる。これにより得られる吸水性樹脂は、通常球状重合体粒子となる。ここで、「球状」には、真球状以外の形状も含む。詳細には、「球状」とは、粒子の平均長径と平均短径との比(真球度とも称する)が、好ましくは1.0~3.0の粒子を意味する。粒子の平均長径及び平均短径は、顕微鏡で観察された画像に基づいて、測定される。本発明において、「球状重合体粒子」は単独粒子で存在することに限定されず、球状重合体粒子の凝集体を形成していてもよい。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下での吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。CRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2-02)に準拠して測定した。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で3分間、水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
「DRC」は、Dunk Retention Capacity(浸漬保持容量)の略称であり、「DRC5min」は、浸漬保持容量5分値(5分での無加圧下での吸水倍率)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを、下記AAPの測定と同様に、底面にメッシュを有する円筒形のセルに均一に散布し、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に5分間接触させて自由膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
残存モノマー量は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)の量を意味する。以下、吸水性樹脂中に残存する単量体を「残存モノマー」と称する。残存モノマー量は、EDANA法(ERT440.2-02)に準拠して測定した。具体的には、吸水性樹脂1.0gを、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後、水溶液に溶解したモノマー量(単位;ppm)のことをいう。残存モノマー量の測定には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が用いられる。
「含水ゲルの平均一次粒子径」
含水ゲルを光学顕微鏡(KH-3000、株式会社ハイロックス製)で撮影し、得られた画像から、一次粒子の長径を測定した。一次粒子50粒について測定し、その平均値を当該含水ゲルの平均一次粒子径とした。
「含水ゲルの重合率」
イオン交換水1000gに含水ゲル1.00gを投入し、300rpmで2時間攪拌した後に、ろ過することにより、不溶分を除去した。上記操作で得られたろ液中に抽出された単量体の量を、液体クロマトグラフを用いて測定した。該単量体の量を残存モノマー量m(g)としたときに、下記(式2)にしたがって、重合率C(重量%)を求めた。
ただし、(式2)中、Mは含水ゲルの重量(g)、αは含水ゲルの固形分率(重量%)を意味する。なお、固形分率は以下の手法によって求められる。
底面の直径が50mmのアルミカップに含水ゲル2.00gを投入した後、試料(含水ゲル及びアルミカップ)の総重量W1(g)を正確に秤量した。次に、上記試料を、雰囲気温度180℃に設定されたオーブン内に静置した。24時間経過後、該試料を上記オーブンから取り出し、総重量W2(g)を正確に秤量した。本測定に供された含水ゲルの重量をM(g)としたときに、下記(式3)にしたがって、含水ゲルの固形分率α(重量%)を求めた。
「CRC」
EDANA法(ERT441.2-02)に準拠して、吸水性樹脂のCRCを測定した。
EDANA法(ERT410.2-02)に準拠して吸水性樹脂の残存モノマー量を測定した。
国際公開第2017/170605号に記載された方法により、吸水性樹脂(1)のDRC5min(浸漬保持容量5分値)を測定した。
図1に示した製造プロセスに従って含水ゲル(1)を作製した後、得られた含水ゲル(1)を乾燥し、さらに表面架橋することで、球状の吸水性樹脂(1)を製造した。
アクリル酸、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液部及びイオン交換水を混合し、さらに、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体水溶液(1)を作製した。また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、6重量%の過硫酸ナトリウム水溶液(1)を作製した。
分散装置としては図8に示した二重円筒型の高速回転せん断型攪拌機の分散装置12Gを使用した。ケーシング内径(外筒50Gの内径)25mm、ローター外径(内筒52Gの外径)22mm、有効ローター長(単量体水溶液投入口55Gから排出口)65mmである。反応装置としてPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を鉛直に配置したものをそれぞれ使用した。
2.で得られた分散液は反応装置14に排出した。
反応装置14から排出された含水ゲル(1)と有機溶媒とは、そのまま分離装置16に連続的に供給された。該分離装置において、該含水ゲル(1)と有機溶媒とを分離した。なお、該分離装置で分離された有機溶媒は、設定温度が90℃となるように熱交換器20で調温した後、再度、反応装置14に供給した。
得られた上記含水ゲル(1)を、180℃で50分間攪拌乾燥させた後、得られた乾燥重合体(1)を目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、この篩を通過した球状の吸水性樹脂粉末(1)を採取した。
5.で得られた吸水性樹脂粉末(1)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.01重量部、プロピレングリコール1.0重量部、及びイオン交換水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液をスプレーノズルで噴霧して、連続高速混合機を用いて均一に混合した。
上記吸水性樹脂粒子(1)を目開き850μmのJIS標準篩に通過させることで整粒し、製品としての吸水性樹脂(1)を得た。吸水性樹脂(1)の形状は球の房状凝集体であった。
実施例1において、ローター回転数を3600rpm(せん断速度2765[1/s])へ変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い含水ゲル(2)を得た。上記操作で得られた含水ゲル(2)について、運転開始から100分後から運転終了(5時間)まで20分毎にサンプリングし、平均一次粒子径を測定したところ、80~90μmであった。
実施例1において、ローター回転数を7200rpm(せん断速度5529[1/s])へ、n-ヘプタンに添加する分散助剤を無水マレイン酸変性ポリエチレン(酸価:60mgKOH/g)0.005重量%添加に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い含水ゲル(3)を得た。上記操作で得られた含水ゲル(3)について、運転開始から100分後から運転終了(5時間)まで20分毎にサンプリングし、平均一次粒子径を測定したところ、50~60μmであった。
実施例1において、分散媒量を500ml/分へ、ローター長さを短く(分散装置12Gの内筒52Gの軸方向長さが下から2.5cm短い)変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い含水ゲル(4)を得た。上記操作で得られた含水ゲル(4)について、運転開始から100分後から運転終了(5時間)まで20分毎にサンプリングし、平均一次粒子径を測定したところ、60~80μmであった。
実施例1において、分散装置を図8から図7の分散装置12Fの形状(間隙(クリアランス)3.0mm、ケーシング内径(外筒50Fの内径)76mm、ローター外径(内筒52Fの外径)70mm、有効ローター長(単量体水溶液投入口55Fから排出口)35mmである。)へ、分散媒量を500ml/分へ、ローター回転数を4500rpm(せん断速度5498[1/s])に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い含水ゲル(5)を得た。上記操作で得られた含水ゲル(5)について、運転開始から100分後から運転終了(5時間)まで20分毎にサンプリングし、平均一次粒子径を測定したところ、60~80μmであった。
実施例1において、分散装置を図8から図6の分散装置12Eの形状へ変更し、円形プレート52Eを3600rpm(せん断速度9425[1/s]、間隙(クリアランス)1.0mm)で回転した以外は、実施例1と同様の操作を行い含水ゲル(6)を得た。上記操作で得られた含水ゲル(6)について、運転開始から100分後から運転終了(5時間)まで20分毎にサンプリングし、平均一次粒子径を測定したところ、70~100μmであった。
実施例1において、高速回転せん断型攪拌機の代わりに、図9に示す2流体スプレーノズル(分散装置200)を用いて分散工程を実施したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用含水ゲル(1)および、比較用吸水性樹脂(1)を得た。
図11に示した製造プロセスに従って含水ゲル(7)を作製した後、得られた含水ゲル(7)を乾燥し、さらに表面架橋することで、球状の吸水性樹脂(7)を製造した。
アクリル酸、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液部及びイオン交換水を混合し、さらに、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体水溶液(7)を作製した。また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、6重量%の過硫酸ナトリウム水溶液(7)を作製した。
分散装置としては図8に示した二重円筒型の高速回転せん断型攪拌機の分散装置12Gを使用した。ケーシング内径(外筒50Gの内径)25mm、ローター外径(内筒52Gの外径)22mm、有効ローター長(単量体水溶液投入口55Gから排出口)65mmである。反応装置としてPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を鉛直に配置したものをそれぞれ使用した。
2.で得られた分散液は反応装置14に排出した。
反応装置14から排出された含水ゲル(7)と有機溶媒とは、そのまま分離装置16に連続的に供給された。該分離装置において、該含水ゲル(7)と有機溶媒とを分離した。なお、該分離装置で分離された有機溶媒は、設定温度が70℃となるように熱交換器20で調温した後、再度、反応装置14に供給した。
得られた上記含水ゲル(7)は、実施例1と同様の乾燥および表面処理、整粒工程処理を行い、球状の吸水性樹脂(7)を得た。
図1に示した製造プロセスに従って下記工程2~5の一連の工程を運転し、含水ゲル(8)を調製した後、得られた含水ゲル(8)を乾燥し、吸水性樹脂(8)を製造した。なお、具体的な運転時間は、下記工程2において分散装置への単量体組成物の送液を開始してから10時間とした。
アクリル酸、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を混合し、さらに、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体水溶液(8)を作製した。また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、6重量%の過硫酸ナトリウム水溶液(8)を作製した。
分散装置としては図8に示した二重円筒型の高速回転せん断型攪拌機(分散装置12G)を使用した。ケーシング内径(外筒50Gの内径)25mm、ローター外径(内筒52Gの外径)22mm、有効ローター長(単量体水溶液投入口55Gから排出口)65mmである。重合装置としてPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を鉛直に配置したものをそれぞれ使用した。
2.で得られた分散液を重合装置14に供給した。
重合装置14から排出された含水ゲル(8)と有機溶媒とは、そのまま分離装置16に連続的に供給された。該分離装置において、該含水ゲル(8)と有機溶媒とを分離した。なお、該分離装置で分離された有機溶媒は、配管32、送液ポンプ18、配管33を介して熱交換器20に供給し、設定温度(有機溶媒温度)が90℃となるように熱交換器20で調温した後、配管35を介して、70℃以上に維持しながら、分散装置12および重合装置14に供給した。その際、補充用の分散助剤として上記分散助剤溶液(8)を、配管43を介して、流量5ml/分で、配管33を流れる有機溶媒を含む連続相に、分散装置への単量体組成物の送液を開始して10分後から連続的に投入を開始した。すなわち、分散助剤流量[ml/分]/連続相流量[ml/分]は0.017であった。なお、分散助剤(無水マレイン酸変性ポリエチレン)の添加量は、上記単量体組成物(8)に対して0.005重量%である。
分離装置16から排出された含水ゲル(8)は、そのまま間接加熱式撹拌乾燥装置に連続的に供給すると共に、予め準備したラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(濃度3.1重量%)を投入した。含水ゲル(8)に対するラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液の量は0.5重量%であった。続いて、乾燥装置の熱媒温度を180℃に調整して、上記含水ゲル(8)を、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインと混合しながら、連続乾燥を行って、粒子状の乾燥重合体(8)を得た。得られた乾燥重合体(8)を目開き850μm及び150μmの金属篩網(JIS標準篩)を有する篩い分け装置に連続的に供給して分級し、吸水性樹脂粉末(8)を得た。
吸水性樹脂粉末(8)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.015重量部、プロピレングリコール1.0重量部、及びイオン交換水3.0重量部からなる表面架橋剤溶液をスプレーノズルで噴霧して、連続高速混合機を用いて均一に混合した。その後、表面架橋剤を含む吸水性樹脂(8)を、雰囲気温度を195℃±2℃に調温した熱処理機に導入して、30分間加熱処理した後、粉温が60℃となるまで強制的に冷却し、吸水性樹脂(8)を得た。
次いで、目開き850μmの金属篩(JIS標準篩)を有する篩い分け装置で分級した。尚、目開き850μmの金属篩上の残留物については再度粉砕を行った後、目開き850μmの金属篩通過物と混合した。以上の操作によって、全量の粒子径が850μm未満である整粒された吸水性樹脂(8)を得た。得られた吸水性樹脂(8)の諸物性を表1に示す。
12、12A~12G 分散装置、
14 反応装置、
16 分離装置、
18 送液ポンプ、
20 熱交換器、
22 乾燥装置、
23 紫外線照射装置、
50A、52A 一対の壁、
50B、52B 一対の壁、
50C、52C 一対の壁、
50D、52D 一対の壁、
50E、52E 一対の壁、
50F、52F 一対の壁、
50G、52G 一対の壁、
51A、53A 対向面、
51B、53B 対向面、
51C、53C 対向面、
51D、53D 対向面、
51E、53E 対向面、
51F、53F 対向面、
51G、53G 対向面、
54A~54G 流路、
60A~60G 駆動部、
55A~55G 第1供給系、
56A~55G 第2供給系。
Claims (6)
- 間隙を隔てて互いに対向する対向面を有する一対の壁が相対的に移動することによってせん断場を形成する流路に、水溶性エチレン性不飽和単量体溶液、有機溶媒を別々に連続的に供給し、
前記水溶性エチレン性不飽和単量体溶液を含む液滴を作製し、
当該水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することを有し、
前記流路におけるせん断速度が、1,000[1/s]以上である、吸水性樹脂の製造方法。 - 前記流路における水溶性エチレン性不飽和単量体溶液の平均滞留時間が、0.1~5秒である、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 管状の反応管において前記水溶性エチレン性不飽和単量体を重合する、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 重合反応が行われる反応装置における空間速度(LHSV)が2~10hr-1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- さらに、前記重合により得られる含水ゲル状重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得ることと、
前記吸水性樹脂粉末を表面架橋剤により表面架橋を施すことと、を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる吸水性樹脂であって、
DRC5minが46g/g以上であり、かつ、残存モノマーが400ppm以下である吸水性樹脂。
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