JP2022132183A - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥または乾燥・粉砕する工程を含む吸水性樹脂の製造方法において、吸水性能等の物性を維持しつつ乾燥物に含まれる粗大粒子の量を低減するとともに、得られる吸水性樹脂に含まれる微粉の量を低減させうる手段を提供する。【解決手段】逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を、乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒する。【選択図】図1
Description
本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。
近年、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、体液吸収の観点から、その構成材としての吸水性樹脂が、吸水剤として幅広く利用されている。このような吸水性樹脂としては、例えば、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリル酸部分中和物重合体の架橋物等が知られているが、吸水性能の観点から、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されている。
吸水性樹脂の製造方法としては、水溶液重合法と、逆相懸濁重合法とに大別される。逆相懸濁重合法は、疎水性有機溶媒中に単量体水溶液を懸濁させ、重合を行う方式であり、パール状(球状)又はそれらの凝集体形状の吸水性樹脂が得られる。
粉末状または粒子状の吸水性樹脂において、吸水性樹脂の粒子径や粒度分布は性能に大きな影響を与えるため、その制御方法についてこれまでに種々の検討がなされている。逆相懸濁重合法においては、粒子径や粒度分布を制御するために、単量体水溶液の分散時の分散剤の添加タイミング、添加温度などの検討がなされているが、操作が煩雑である点で改善の余地があった。また、逆相懸濁重合により得られる球状粒子は粒子径が比較的小さいため、作業性や吸水性能の面で課題があり、球状粒子の凝集体を得る検討もなされており、逆相懸濁重合を2段以上の多段で行ったり、得られた球状粒子をバインダー等と混合し造粒する検討がなされている。
例えば特許文献1では、疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散または懸濁した状態で重合反応を開始して含水ゲル重合体(以下、単に「含水ゲル」とも称する)を得た後、当該含水ゲルをガラス転移温度以上、ガラス転移温度を70℃以上超えない温度条件下、混錬機で機械的圧縮力を印加することによって処理して粒子を造粒する方法が開示されている。
一方、特許文献2では、含水ゲルを乾燥する乾燥工程において、少なくとも一部において攪拌型乾燥機を用いる技術が開示されている。特許文献2に開示されたこの技術によれば、粒度制御された粉末状または粒子状の吸水性樹脂を効率よく製造することができるとされている。なお、特許文献2には、分離工程において分離された含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いた乾燥工程に供する前に整粒することについては、何ら具体的に開示されていない。
本発明者らの検討によれば、特許文献1に開示された技術においては、含水ゲルに混錬機で機械的圧力をかけることにより造粒を行うため、吸水性能の面で改善の余地があった。また造粒により得られた粒子を所望の粒径にするため、造粒後の粒子を再度粉砕する必要があり、造粒後の粉砕により微粉が発生するという課題があった。また、特許文献2の実施例等に具体的に開示されている技術、すなわち、重合工程で得られた含水ゲル重合体を疎水性有機溶媒と分離した後、撹拌型乾燥機を用いた乾燥工程に供した場合には、乾燥工程を経て得られた乾燥物に含まれる粗大粒子の量が増加し、さらには当該粗大粒子を粉砕する過程において発生する微粉の量も増加するという問題や輸送工程などで与えられるダメージによって発生する微粉の量も増加するという問題があることが判明した。吸水性樹脂や吸水剤において、微粉の発生量が増加すると、最終的には取扱い性という問題が生じたり、吸水性能の面で問題が生じる虞がある。
そこで本発明は、逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥する工程を含む吸水性樹脂の製造方法において、乾燥重合体に含まれる粗大粒子の量を低減するとともに、得られる吸水性樹脂粉末に含まれる微粉量を低減させ、また製品を得られたあとも輸送や保管時の負荷によって生じうる微粉発生割合を低減でき、なおかつ吸水性能が向上した吸水性樹脂を得る手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を、攪拌型乾燥機を用いた乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態に係る吸水性樹脂の製造方法は、疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散または懸濁した状態で前記単量体を重合して含水ゲル重合体を得ることと、前記含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥して、粒子状の乾燥重合体を得ることとを含むものである。そして、当該製造方法は、前記含水ゲル重合体を、前記撹拌型乾燥機を用いた乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒することをさらに含む点に特徴がある。
本発明によれば、逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥する工程を含む吸水性樹脂の製造方法において、乾燥重合体に含まれる粗大粒子及び微粉の量を低減するとともに、吸水性樹脂の吸水性能を向上させ、また得られた吸水性樹脂のダメージ付与後の微粉発生割合を低減させることが可能となる。
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
〔1.用語の定義〕
[1-1.吸水性樹脂]
本明細書において「吸水性樹脂」とは、NWSP 241.0.R2(15)により規定される水膨潤性(CRC)が5g/g以上であり、且つNWSP 270.0.R2(15)により規定される水可溶成分(Ext)が70質量%以下である高分子ゲル化剤をいう。なお、「NWSP」は「Non-Woven Standard Procedures-Edition 2015」を表し、EDANA(European Disposables And Nonwovens Association、欧州不織布工業会)とINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry、北米不織布工業会)が、不織布及びその製品の評価法を米国および欧州で統一して共同で発行したものであり、吸水性樹脂の標準的な測定法を示すものである。
[1-1.吸水性樹脂]
本明細書において「吸水性樹脂」とは、NWSP 241.0.R2(15)により規定される水膨潤性(CRC)が5g/g以上であり、且つNWSP 270.0.R2(15)により規定される水可溶成分(Ext)が70質量%以下である高分子ゲル化剤をいう。なお、「NWSP」は「Non-Woven Standard Procedures-Edition 2015」を表し、EDANA(European Disposables And Nonwovens Association、欧州不織布工業会)とINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry、北米不織布工業会)が、不織布及びその製品の評価法を米国および欧州で統一して共同で発行したものであり、吸水性樹脂の標準的な測定法を示すものである。
本明細書において「吸水性樹脂」とは、全量(100質量%)が当該吸水性樹脂のみである態様に限定されず、上述のCRCおよびExtを満足するならば、添加剤などを含んでいる吸水性樹脂組成物であってもよい。また、本明細書において「吸水性樹脂」とは、吸水性樹脂の製造工程における中間体をも包含する概念である。例えば、重合後の含水ゲル重合体、乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末なども、「吸水性樹脂」と表記する場合がある。
このように、本明細書においては、吸水性樹脂そのものに加えて、吸水性樹脂組成物および中間体をも総称して「吸水性樹脂」と表記する場合がある。
[1-2.その他]
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
本明細書において、特記しない限り、「ppm」は、「質量ppm」を意味する。
本明細書において、「~酸(塩)」は「~酸および/またはその塩」を意味する。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
本明細書においては、体積の単位「リットル」を「l」または「L」と表記する場合がある。
本明細書においては、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」、「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。
〔2.吸水性樹脂の製造方法〕
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散または懸濁した状態で前記単量体を重合して含水ゲル重合体を得る重合工程と、前記含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥して、粒子状の乾燥重合体を得る乾燥工程と、を含み、前記含水ゲル重合体を、前記乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒するゲル整粒工程をさらに含む、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散または懸濁した状態で前記単量体を重合して含水ゲル重合体を得る重合工程と、前記含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥して、粒子状の乾燥重合体を得る乾燥工程と、を含み、前記含水ゲル重合体を、前記乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒するゲル整粒工程をさらに含む、吸水性樹脂の製造方法である。
上記のような構成を有する本発明に係る吸水性樹脂の製造方法によれば、逆相懸濁重合法によって得られた含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥する工程、ならびに押し出し作用部及び多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒する工程を含むことにより、吸水性樹脂の物性(特にDRC5min)を向上させ、微粉の発生量を低減させることが可能となる。
上述したような本発明の構成とすることによって、吸水性能(例えば、DRC5min)を向上させ、微粉の発生量を低減させることができるメカニズムは完全に明らかとはなっていないが、以下のようなメカニズムが推定されている。すなわち、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いたゲル整粒により、含水ゲル重合体の二次粒子(一次粒子の集合体)の凝集サイズを適切に制御できるために、粗大粒子の発生が抑制され、乾燥工程で得られた乾燥物に含まれる粗大粒子及び微粉の量が低減される。
さらに押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いたゲル整粒により、含水ゲル重合体に過度に機械的負荷をかけることを抑制しつつ、含水ゲル重合体の一次粒子が程よく凝集された二次粒子が形成され、一次粒子同士が必要以上に接着するのが抑制される。このため、乾燥工程を経て得られる粒子状の乾燥重合体では、一次粒子同士に間隙のある吸水性樹脂が得られる。ゆえに、吸水性能が向上し、DRC5minに優れた吸水性樹脂を得ることができる。また吸水性樹脂の機械的強度を向上させることができる。このため、乾燥工程で得られた乾燥物に含まれる粗大粒子から発生する微粉の量も低減され、また輸送工程などのダメージで生じる微粉発生割合量も低減する。なお、このメカニズムはあくまでも推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすことはない。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、重合方法としては、疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散又は懸濁した状態で前記単量体を重合して得る、逆相懸濁重合により含水ゲル重合体を得られれば良く、その重合方法としては、バッチ式でも連続式でも良い。バッチ式製造方法においては、反応装置中で疎水性有機溶媒中に単量体水溶液を添加又は滴下して混合することにより、単量体水溶液を分散又は懸濁させたのち、重合を行い、含水ゲル重合体を得る製造方法である。一方、連続式製造方法とは、単量体水溶液を連続的に反応装置中の疎水性有機溶媒に送液し、分散又は懸濁させたのち重合させ、重合反応により形成される含水ゲルと疎水性有機溶媒とを連続的に反応装置から排出する方法である。本発明の好ましい実施形態は、連続式の逆相懸濁重合であり、さらに好ましくは、単量体水溶液を連続的に疎水性有機溶媒中に分散させ重合を行う液相液滴連続重合である。このような連続式の製造プロセスの場合、各工程および工程間におけるそれぞれの操作を連続的に実施でき、長時間の運転により大量生産が可能となる点で好ましい。また、吸水性樹脂の物性の点からも連続式の逆相懸濁重合は好ましい形態である。本発明に係る吸水性樹脂の製造方法においては、重合工程で得られた含水ゲル重合体と疎水性有機溶媒とを分離する分離工程を設けてもよい。連続式の製造プロセスにおいては、分離工程において含水ゲル重合体から分離された疎水性有機溶媒を回収し、重合工程の疎水性有機溶媒として再利用することが好ましい。このような循環型の製造プロセスとすることにより、有機溶媒の使用量を削減できるため、製造コストや廃液処理の点で好ましい。なお、連続重合は、分散装置において連続的に単量体水溶液が疎水性有機溶媒中に液滴として懸濁又は分散し、当該分散/懸濁液が反応装置へと連続的に供給される形態であるため、分散と重合とが一の装置で行われる形態(回分操作、バッチ式)とは明確に区別される。また、連続的に操作を行う場合、その運転時間としては、1時間以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、さらに好ましくは8時間以上、さらには24時間以上が好ましい。また、通常1年以下である。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法としては、任意の単量体水溶液調製工程;任意の分散工程;重合工程;任意の分離工程;ゲル整粒工程;乾燥工程を含む。また、乾燥工程の後に、任意に、冷却工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、再湿潤工程、整粒工程、微粉除去工程、造粒工程および微粉再利用工程などを含むことができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等をさらに含んでもよい。
以下、各工程について説明する。
[2-1:単量体水溶液調製工程]
本工程は任意の工程であり、単量体と必要に応じて重合開始剤とを混合して単量体水溶液を得る工程である。
本工程は任意の工程であり、単量体と必要に応じて重合開始剤とを混合して単量体水溶液を得る工程である。
以下、本工程で用いられる材料について説明する。
「単量体水溶液」
単量体水溶液は、吸水性樹脂の原料となる単量体を含む水溶液であり、逆相懸濁重合を行うため、疎水性有機溶媒に分散又は懸濁させる溶液である。
単量体水溶液は、吸水性樹脂の原料となる単量体を含む水溶液であり、逆相懸濁重合を行うため、疎水性有機溶媒に分散又は懸濁させる溶液である。
単量体水溶液の溶媒としては水または水および水溶性有機溶媒(例えば、アルコール等)の混合物が好適に用いられ、水であることがさらにより好ましい。水と水溶性有機溶媒の混合物である場合、水溶性有機溶剤(例えば、アルコール等)は30質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
単量体としては、水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましく用いられる。水溶性エチレン性不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等の酸基含有不飽和単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエステル系不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン、N-ビニルアセトアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和単量体;メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;N-ビニルピロリドン等のラクタム基含有不飽和単量体等が挙げられる。
なお、上記水溶性エチレン性不飽和単量体の安定性を考慮して、必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。
上記水溶性エチレン性不飽和単量体の中で、カルボキシル基等の酸基を有する酸基含有不飽和単量体を用いて吸水性樹脂を製造する場合には、当該酸基が中和された中和塩を用いることができる。この場合、酸基含有不飽和単量体の塩としては一価のカチオンとの塩であることが好ましく、アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、アルカリ金属塩であることがさらに好ましく、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩から選ばれる少なくとも1種であることがよりさらに好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
これらの中でも、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、水溶性エチレン性不飽和単量体は、好ましくは酸基含有不飽和単量体および/またはその塩であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、(無水)マレイン酸(塩)、イタコン酸(塩)、ケイ皮酸(塩)、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)であり、特に好ましくはアクリル酸(塩)である。
単量体として酸基含有不飽和単量体を用いる場合、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、その酸基含有不飽和単量体の中和塩と併用することが好ましい。吸水性能の観点から、酸基含有不飽和単量体とその中和塩の合計モル数に対する中和塩のモル数(以下、「中和率」と称する)は、好ましくは40モル%以上、より好ましくは40モル%~95モル%、さらに好ましくは50モル%~90モル%、さらにより好ましくは55モル%~85モル%、特に好ましくは60モル%~80モル%である。
本発明に係る製造方法では、上記単量体水溶液の調製において、上記例示した単量体のいずれかを単独で使用してもよく、任意の2種以上の単量体を適宜混合して使用してもよい。また、本発明の目的が達成される限り、さらに他の単量体を混合することもできる。
上記単量体水溶液の調製において、2種以上の単量体を併用する場合、主成分として、(メタ)アクリル酸(塩)を含むことが好ましい。この場合、重合に用いられる単量体全体に対する(メタ)アクリル酸(塩)の割合は、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、通常は50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)である。
上記単量体水溶液の調製においては、必要に応じて、内部架橋剤を用いることができる。内部架橋剤としては、1分子内に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する従来公知の内部架橋剤が挙げられる。内部架橋剤としては、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの内部架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上使用してもよい。
中でも、得られる吸水性樹脂の吸水特性等から、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として用いることが好ましい。所望する吸水性樹脂の物性により適宜決定されればよいが、通常、内部架橋剤の使用量は、単量体に対して0.0001~5モル%、より好ましくは0.001~3モル%、さらにより好ましくは0.005~1.5モル%である。
また、キレート剤等を単量体水溶液に添加してもよい。また、以下に例示する物質(以下、「その他の物質」と称する)を単量体水溶液に添加することもできる。
その他の物質の具体例として、チオール類、チオール酸類、2級アルコール類、アミン類、次亜リン酸塩類等の連鎖移動剤;炭酸塩、重炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤;エチレンジアミン4酢酸の金属塩、ジエチレントリアミン5酢酸の金属塩等のキレート剤;ポリアクリル酸(塩)及びこれらの架橋体、澱粉、セルロース、澱粉-セルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の増粘剤等が挙げられる。その他の物質は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
その他の物質の使用量は、特に限定されないが、その他の物質の全濃度としては、好ましくは単量体に対して10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらにより好ましくは0.1質量%以下である。
また、単量体水溶液中の溶存酸素を、昇温または不活性ガスとの置換により低減させてもよい。
「重合開始剤」
上記単量体水溶液の調製において、重合開始剤を用いてもよい。単量体水溶液に重合開始剤を含むことにより、簡便に逆相懸濁重合を行うことができる。なお、単量体水溶液の調製に重合開始剤を使用する場合は、単量体水溶液のゲル化や粘度増大が起こる恐れがあるため、重合開始剤の添加は単量体水溶液を疎水性有機溶媒に分散/懸濁させる直前に行う、単量体水溶液を冷却し常温より低温(20℃以下、好ましくは0℃付近)で重合開始剤と混合する、単量体水溶液と重合開始剤をラインミキシングしながら分散工程に供する、等を行うことが好ましい。重合開始剤としては、熱分解型重合開始剤が好ましく用いられる。該熱分解型重合開始剤は、熱によって分解しラジカルを発生する化合物を指すが、熱分解型重合開始剤の貯蔵安定性や吸水性樹脂の生産効率の観点から、10時間半減期温度が好ましくは0℃~120℃、より好ましくは30℃~100℃、さらに好ましくは50℃~80℃である水溶性の化合物が重合開始剤として好ましく用いられる。
上記単量体水溶液の調製において、重合開始剤を用いてもよい。単量体水溶液に重合開始剤を含むことにより、簡便に逆相懸濁重合を行うことができる。なお、単量体水溶液の調製に重合開始剤を使用する場合は、単量体水溶液のゲル化や粘度増大が起こる恐れがあるため、重合開始剤の添加は単量体水溶液を疎水性有機溶媒に分散/懸濁させる直前に行う、単量体水溶液を冷却し常温より低温(20℃以下、好ましくは0℃付近)で重合開始剤と混合する、単量体水溶液と重合開始剤をラインミキシングしながら分散工程に供する、等を行うことが好ましい。重合開始剤としては、熱分解型重合開始剤が好ましく用いられる。該熱分解型重合開始剤は、熱によって分解しラジカルを発生する化合物を指すが、熱分解型重合開始剤の貯蔵安定性や吸水性樹脂の生産効率の観点から、10時間半減期温度が好ましくは0℃~120℃、より好ましくは30℃~100℃、さらに好ましくは50℃~80℃である水溶性の化合物が重合開始剤として好ましく用いられる。
熱分解型重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、重合開始剤としては、好ましくは過硫酸塩、より好ましくは過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、さらに好ましくは過硫酸ナトリウムが使用される。
上記熱分解型重合開始剤の使用量は、単量体および重合開始剤の種類等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、生産効率の観点から、単量体に対して、好ましくは0.001g/モル以上、より好ましくは0.005g/モル以上、さらに好ましくは0.01g/モル以上である。また、吸水性樹脂の吸水性能向上の観点から、好ましくは2g/モル以下、より好ましくは1g/モル以下である。
また、必要に応じて、光分解型重合開始剤等、他の重合開始剤と併用することもできる。該光分解型重合開始剤として、具体的には、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体等が挙げられる。
また、上記熱分解型重合開始剤と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤とすることもできる。上記レドックス系重合開始剤では、熱分解型重合開始剤が酸化剤として機能する。用いられる還元剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸塩;第一鉄塩等の還元性金属塩;L-アスコルビン酸(塩)、アミン類等が挙げられる。
「単量体水溶液における単量体の濃度」
本発明において、単量体水溶液中の単量体の濃度は、選択された単量体および疎水性有機溶媒の種類等に応じて選択されるが、生産効率上、下限は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらにより好ましくは30質量%以上であり、また、上限は、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下であり、さらにより好ましくは70質量%以下である。
本発明において、単量体水溶液中の単量体の濃度は、選択された単量体および疎水性有機溶媒の種類等に応じて選択されるが、生産効率上、下限は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらにより好ましくは30質量%以上であり、また、上限は、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下であり、さらにより好ましくは70質量%以下である。
本発明の目的が阻害されない限り、単量体水溶液に、界面活性剤、密度調整剤、増粘剤等の添加物を配合することも可能である。なお、添加物の種類および添加量は、用いられる単量体および疎水性有機溶媒の組合せにより、適宜選択されうる。
[2-2.分散工程]
分散工程は、疎水性有機溶媒に単量体を含む液滴を分散または懸濁する工程である。なお、以下、単に「分散」と記載した場合には、懸濁も含む概念とする。より具体的には、上記単量体水溶液を、疎水性有機溶媒に添加して混合、攪拌することにより分散させる。例えば、攪拌翼(プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼等)を備えた攪拌装置を用いてもよい。このような攪拌翼を有する攪拌装置を用いる場合、分散液滴径は、攪拌翼の種類、翼径、回転数等により調節することができ、バッチ式逆相懸濁重合を行う場合に特に好適に使用できる。また国際公開第2009/025235号、第2013/018571号等に記載された方法で分散液を得ることができる。連続式逆相懸濁重合を行う場合には、分散工程は、単量体水溶液および疎水性有機溶媒を、分散装置に別々に連続的に供給し、疎水性有機溶媒中に分散する単量体を含む液滴を作製することが好ましい。ここで、単量体水溶液および疎水性有機溶媒を、分散装置に「別々に」供給するとは、単量体水溶液および疎水性有機溶媒の混合物を「別々に」分散装置に供給する意ではなく、単量体水溶液と、疎水性有機溶媒と、を独立して「別々に」分散装置に供給する意である。
分散工程は、疎水性有機溶媒に単量体を含む液滴を分散または懸濁する工程である。なお、以下、単に「分散」と記載した場合には、懸濁も含む概念とする。より具体的には、上記単量体水溶液を、疎水性有機溶媒に添加して混合、攪拌することにより分散させる。例えば、攪拌翼(プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼等)を備えた攪拌装置を用いてもよい。このような攪拌翼を有する攪拌装置を用いる場合、分散液滴径は、攪拌翼の種類、翼径、回転数等により調節することができ、バッチ式逆相懸濁重合を行う場合に特に好適に使用できる。また国際公開第2009/025235号、第2013/018571号等に記載された方法で分散液を得ることができる。連続式逆相懸濁重合を行う場合には、分散工程は、単量体水溶液および疎水性有機溶媒を、分散装置に別々に連続的に供給し、疎水性有機溶媒中に分散する単量体を含む液滴を作製することが好ましい。ここで、単量体水溶液および疎水性有機溶媒を、分散装置に「別々に」供給するとは、単量体水溶液および疎水性有機溶媒の混合物を「別々に」分散装置に供給する意ではなく、単量体水溶液と、疎水性有機溶媒と、を独立して「別々に」分散装置に供給する意である。
連続式逆相懸濁重合を行う場合に、分散工程において用いられる分散装置としては、スプレーノズルや高速回転せん断型撹拌機(ロータリーミキサー型、ターボミキサー型、ディスク型、二重円筒型等)、ニードル等の円筒ノズル、プレートに多数の孔を直接設けたオリフィスプレート、スプレーノズル、回転ホイール等の遠心アトマイザーなどが挙げられるが特に制限はない。
(スプレーノズル)
スプレーノズルとしては、単量体水溶液と、有機溶媒とを別々に導入し、これらを相互に接触することなくその内部を通過させ、スプレーノズルから排出する直前または直後に接触して排出する機能を有するものが好ましい。
スプレーノズルとしては、単量体水溶液と、有機溶媒とを別々に導入し、これらを相互に接触することなくその内部を通過させ、スプレーノズルから排出する直前または直後に接触して排出する機能を有するものが好ましい。
スプレーノズルの例としては、2流体スプレーノズル、3流体スプレーノズル、4流体スプレーノズル等の多流体スプレーノズル;2重管、3重管、4重管等の多重管;エジェクター等が挙げられる。また、2流体スプレーノズルとしては、プレフィルミング型、プレーンジェット型、クロスフロー型、外部混合型、内部混合型及びYジェット型のスプレーノズルが例示される。
多流体スプレーノズルとしては、市販品を使用してもよく、例えば、株式会社共立合金製作所製ミニアトマイズMMA、株式会社いけうち製SETOJet、スプレーイングシステムスジャパン株式会社製エアーアトマイジングノズルSU-HTE91、新倉工業株式会社製ミクロマイザー、藤崎電機株式会社製4流体ノズル、大川原化工機株式会社製ツインジェットノズル等が挙げられる。
スプレーノズルの具体的形態は、例えば、国際公開第2016/182082号に記載されている。国際公開第2016/182082号の開示内容は参照され、全体として本明細書に組み入れられる。
(高速回転せん断型撹拌機)
高速回転せん断型撹拌機の一実施形態によれば、間隙を隔てて互いに対向する対向面を有する一対の壁が相対的に移動することによってせん断場を形成する流路が形成される。そして、このせん断場を形成する流路を循環する疎水性有機溶媒中に単量体水溶液を連続的に供給することで、より好適な分散状態を効率的に達成することができる。
高速回転せん断型撹拌機の一実施形態によれば、間隙を隔てて互いに対向する対向面を有する一対の壁が相対的に移動することによってせん断場を形成する流路が形成される。そして、このせん断場を形成する流路を循環する疎水性有機溶媒中に単量体水溶液を連続的に供給することで、より好適な分散状態を効率的に達成することができる。
高速回転せん断型撹拌機における「流路」は、一対の壁における互いに対向する対向面の間の間隙によって流体(有機溶媒中に単量体水溶液が供給された流体)を流すことができる形態であれば、形状は特に限定されない。
「壁」の具体的な形状は、流路の形状に応じて、平面形状、羽根形状、ディスク形状、中空円筒形状、あるいは中実円筒形状など種々の形状を有することができる。
「一対の壁が相対的に移動する」形態は、せん断場を形成する流路を形成することができる形態であれば、特に限定されない。例えば、一方の壁を固定壁とし、他方の壁を可動壁として構成することができる。また、移動速度に差が生じるように一対の壁をともに可動壁として構成することができる。
本発明において、疎水性有機溶媒中に分散される単量体水溶液を含む微細液滴をより微細化する観点からは、単量体水溶液が、比較的狭い流路内に供給されるほうが好ましい。このような観点からは、間隙の寸法は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが好ましい。また、生産性を考慮すると、間隙の寸法は、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。
高速回転せん断型撹拌機については、例えば、国際公開第2020/067310号図2~図8に開示された装置が挙げられ、国際公開第2020/067310号の開示内容は参照され、全体として本明細書に組み入れられる。
以下、本工程で用いられる材料について説明する。
「疎水性有機溶媒」
好ましい疎水性有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒が挙げられる。具体例には、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロルベンゼン、ブロムベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示される。これらの中でも、入手容易性および品質安定性の観点から、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好ましい。2種以上を混合した混合溶媒として用いることも可能である。
好ましい疎水性有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒が挙げられる。具体例には、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロルベンゼン、ブロムベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示される。これらの中でも、入手容易性および品質安定性の観点から、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好ましい。2種以上を混合した混合溶媒として用いることも可能である。
本発明においては、本発明の目的が阻害されない限り、必要に応じて、疎水性有機溶媒に、界面活性剤や高分子添加剤等の分散助剤を添加してもよい。分散助剤の種類は、用いられる疎水性有機溶媒および単量体の組合せにより、適宜選択されるが、使用できる分散助剤としては、以下の界面活性剤や高分子添加剤が例示される。
上記界面活性剤として、具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N-アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。これらのうち、2種以上を併用してもよい。また、重合性を有する重合性界面活性剤を使用することもできる。重合性界面活性剤として、具体的には下記の構造を有する化合物が挙げられる。
なお、式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素、メチル基又はエチル基であり、nは、3~20の整数を意味する。上記の界面活性剤の中では、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類が好ましく、中でもショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
上記高分子添加剤として、具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。中でも、単量体水溶液の分散安定性の観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、及び酸化型エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。これらのうち、2種以上を併用してもよい。また、これらの高分子添加剤と上記界面活性剤とを併用してもよい。中でも、高分子添加剤を用いることが好ましく、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体を用いることがより好ましい。また、他の好適な実施形態では、界面活性剤を用いずに高分子添加剤単独で用いる。
上記分散助剤の使用量は、重合形態、単量体水溶液および疎水性有機溶媒の種類等に応じて適宜設定される。具体的には、疎水性有機溶媒中の分散助剤の濃度として、好ましくは0.0001~2質量%であり、より好ましくは0.0005~1質量%である。
[2-3.重合工程]
重合工程は、上記分散工程において得られた単量体を含む液滴を重合して、含水ゲル重合体(含水ゲル)を得る工程である。
重合工程は、上記分散工程において得られた単量体を含む液滴を重合して、含水ゲル重合体(含水ゲル)を得る工程である。
(反応装置)
重合工程で用いられる反応装置は、上記分散工程で用いられた分散装置をそのまま用いてもよいし、別の装置であってもよい。バッチ式逆相懸濁重合の場合、分散工程で用いた装置をそのまま反応装置として用いることができ、作業性の面で好適である。反応装置が分散装置と別の装置である場合、分散工程で得られた単量体の分散液が反応装置に供給される。
重合工程で用いられる反応装置は、上記分散工程で用いられた分散装置をそのまま用いてもよいし、別の装置であってもよい。バッチ式逆相懸濁重合の場合、分散工程で用いた装置をそのまま反応装置として用いることができ、作業性の面で好適である。反応装置が分散装置と別の装置である場合、分散工程で得られた単量体の分散液が反応装置に供給される。
また、重合反応が行われる反応装置の形状は特に限定されず、公知の反応装置を用いることができる。上述したように、分散工程で好適に使用できる攪拌装置が重合反応においても好適に使用できる。連続式製造方法の場合、好ましくは、この反応装置内に形成された連続相である疎水性有機溶媒中を、上記単量体(水溶液)が液滴状の分散相として移動しながら重合反応しうる形状である。このような反応装置として、例えば、管状の反応管を、縦型、横型または螺旋型に配置した反応装置が挙げられる。この態様では、単量体(水溶液)が、反応部内を移動する疎水性有機溶媒中に供給されるため、単量体水溶液からなる液滴が滞留することなく、疎水性有機溶媒と共に移動する。これにより、重合率の異なる単量体反応物同士の接触が抑制される。
また、上記反応装置には、必要に応じて、外部から反応装置内部の連続相を加熱または冷却できるように、温度調整手段が備えられていてもよい。
「重合温度」
重合工程における反応温度である重合温度としては、使用する重合開始剤の種類や量によって適宜設定すればよいが、好ましくは20℃~100℃、より好ましくは40℃~90℃である。重合温度が100℃より高い場合は急激な重合反応が起こるため好ましくない。なお重合温度とは、分散媒である疎水性有機溶媒の温度(以下、「Td」と称する)を重合温度とする。
重合工程における反応温度である重合温度としては、使用する重合開始剤の種類や量によって適宜設定すればよいが、好ましくは20℃~100℃、より好ましくは40℃~90℃である。重合温度が100℃より高い場合は急激な重合反応が起こるため好ましくない。なお重合温度とは、分散媒である疎水性有機溶媒の温度(以下、「Td」と称する)を重合温度とする。
重合工程においては、上記単量体(水溶液)が液滴状で疎水性有機溶媒に分散していることから、単量体水溶液の温度は、疎水性有機溶媒からの熱移動によって速やかに上昇する。液滴に含まれる重合開始剤が熱分解型重合開始剤である場合には、上記昇温に伴って熱分解型重合開始剤が分解してラジカルが発生する。そして、発生したラジカルによって重合反応が開始し、重合反応の進行に伴って含水ゲルが形成される。
連続式製造方法の場合、形成された含水ゲルは、移動する連続相によって反応装置の内部を移動し、連続相をなす疎水性有機溶媒とともに反応装置から排出される。
上記単量体水溶液が熱分解型重合開始剤を含む場合、上記Tdは、重合率の観点から、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。Tdの上限は特に限定されないが、安全性の観点から、連続相をなす疎水性有機溶媒の沸点を超えない範囲内で、適宜選択される。
「多段逆相懸濁重合」
本発明の製造方法において、適度な凝集粒径を得る観点から、多段重合を行ってもよい。具体的には、一段目の重合工程の終了後に、さらに反応液を攪拌しながら上記単量体水溶液を添加し重合反応を行う等により行うことができる。
本発明の製造方法において、適度な凝集粒径を得る観点から、多段重合を行ってもよい。具体的には、一段目の重合工程の終了後に、さらに反応液を攪拌しながら上記単量体水溶液を添加し重合反応を行う等により行うことができる。
「無機微粒子」
本発明の製造方法において、重合中、重合終了後の含水ゲル重合体に対して、適度な凝集粒径を得る観点から無機微粒子を添加してもよい。
本発明の製造方法において、重合中、重合終了後の含水ゲル重合体に対して、適度な凝集粒径を得る観点から無機微粒子を添加してもよい。
本発明で使用できる無機微粒子としては、例えば二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、珪藻土、ベントナイト、ゼオライト、その他の金属酸化物などがあげられる。特に二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化チタンが好ましい。
無機微粒子の添加量は、含水ゲル重合体に対して一般に0.001~1重量部、好ましくは0.001~0.5重量部の割合で使用すると好結果が得られる。この範囲にあることで、無機微粒子の添加効果が効率的に発言し、また吸水性能に与える影響も少ないので好ましい。
[2-4.分離工程]
分離工程は、上記重合工程において得られた含水ゲル重合体と疎水性有機溶媒とを分離する工程である。分離工程で用いる装置の種類および構造については特に限定されないが、例えば、ろ過、沈降、遠心分離、圧搾等の公知の装置を利用することができる。また、重合工程で用いた攪拌羽を有する攪拌装置を用いて常圧又は減圧下で加熱し、共沸脱水することにより疎水性有機溶媒と分離してもよい。バッチ式逆相懸濁重合においては常圧又は減圧下での共沸脱水が好適に行われる。
分離工程は、上記重合工程において得られた含水ゲル重合体と疎水性有機溶媒とを分離する工程である。分離工程で用いる装置の種類および構造については特に限定されないが、例えば、ろ過、沈降、遠心分離、圧搾等の公知の装置を利用することができる。また、重合工程で用いた攪拌羽を有する攪拌装置を用いて常圧又は減圧下で加熱し、共沸脱水することにより疎水性有機溶媒と分離してもよい。バッチ式逆相懸濁重合においては常圧又は減圧下での共沸脱水が好適に行われる。
連続式製造方法の場合は、重合工程において形成された含水ゲルが、連続相をなす疎水性有機溶媒とともに反応装置から連続的に排出される。上述した通り、疎水性有機溶媒と含水ゲルは、例えば、ろ過、沈降、遠心分離、圧搾等の公知の方法により分離できる。また、好ましい形態としては、本工程で分離した疎水性有機溶媒を回収し、配管を通じて分散装置に循環させる循環型のプロセスが好ましい。
[2-5.ゲル整粒工程]
ゲル整粒工程では、上記分離工程で疎水性有機溶媒から分離された含水ゲル重合体を、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いて含水ゲルを整粒する。これにより、整粒された含水ゲル重合体(以後、ゲル整粒後の含水ゲルを整粒ゲルと表す)が得られる。
ゲル整粒工程では、上記分離工程で疎水性有機溶媒から分離された含水ゲル重合体を、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いて含水ゲルを整粒する。これにより、整粒された含水ゲル重合体(以後、ゲル整粒後の含水ゲルを整粒ゲルと表す)が得られる。
本ゲル整粒工程に供される含水ゲル重合体は、球形ゲルの単粒子形状または球形ゲルの集合体形状である。当該含水ゲル重合体の平均粒径の下限は特に制限されないが、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上、一層好ましくは0.1mm以上、より一層好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは1mm以上である。上限に関しても特に制限されないが、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。また、単粒子形状である場合はその粒子径を、集合体形状である場合は当該集合体を構成する各球形ゲルの粒子径を、一次粒子径と称する。本発明において、平均一次粒子径は特に制限されないが、乾燥工程における微粉の発生を抑制できるという観点から、好ましくは1~2000μmであり、より好ましくは5~1000μmであり、さらに好ましくは5~800μmであり、一層好ましくは8~500μm、さらに一層好ましくは10~300μmであり、特に好ましくは10~200μmである。含水ゲル重合体(含水ゲル)の平均一次粒子径および当該含水ゲルの平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
分離工程において得られた含水ゲルは、次工程であるゲル整粒工程へと導入される。この際、必要に応じて、分離工程において得られた含水ゲルに対して解砕処理を施した後に、解砕された含水ゲルを次工程(ゲル整粒工程)に供してもよい。
「含水ゲルの疎水性有機溶媒の溶媒含有率」
ゲル整粒工程が実施される装置であるゲル整粒装置に投入される直前の含水ゲルにおける疎水性有機溶媒の溶媒含有率は特に制限されない。ただし、乾燥時の負荷や有機溶媒のコストという観点から、疎水性有機溶媒の溶媒含有率(以下、単に溶媒含有率とも称する)は、当該溶媒も含めた含水ゲル100質量%に対して、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.01~9質量%であり、さらに好ましくは0.01~5質量%である。なお、溶媒含有率の値は、実施例に記載の手法により測定できる。
ゲル整粒工程が実施される装置であるゲル整粒装置に投入される直前の含水ゲルにおける疎水性有機溶媒の溶媒含有率は特に制限されない。ただし、乾燥時の負荷や有機溶媒のコストという観点から、疎水性有機溶媒の溶媒含有率(以下、単に溶媒含有率とも称する)は、当該溶媒も含めた含水ゲル100質量%に対して、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.01~9質量%であり、さらに好ましくは0.01~5質量%である。なお、溶媒含有率の値は、実施例に記載の手法により測定できる。
「含水ゲル重合体の固形分率」
ゲル整粒装置に投入される直前の含水ゲル重合体の固形分率は特に制限されない。ただし、次工程である乾燥工程での乾燥コストの観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。また、含水ゲル重合体の固形分率の上限は、吸水性能及び機械的負荷という観点から、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。
ゲル整粒装置に投入される直前の含水ゲル重合体の固形分率は特に制限されない。ただし、次工程である乾燥工程での乾燥コストの観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。また、含水ゲル重合体の固形分率の上限は、吸水性能及び機械的負荷という観点から、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。
「ゲル重合率」
ゲル重合率は、得られる含水ゲルの乾燥時の凝集抑制や、得られる吸水性樹脂中の残存モノマー低減の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。重合率の上限値は、100質量%が理想的である。該重合率が70質量%以上であることで、乾燥中に含水ゲル同士が強く凝集し、塊状化することを抑制することができる。ゲル重合率は実施例に記載の方法で測定することができる。
ゲル重合率は、得られる含水ゲルの乾燥時の凝集抑制や、得られる吸水性樹脂中の残存モノマー低減の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。重合率の上限値は、100質量%が理想的である。該重合率が70質量%以上であることで、乾燥中に含水ゲル同士が強く凝集し、塊状化することを抑制することができる。ゲル重合率は実施例に記載の方法で測定することができる。
「ゲル整粒装置」
本明細書において、「ゲル整粒」とは、粉体の湿塊を多孔板の小孔から円柱状に押し出すことにより、湿粉状の原料からほぼ均一な形状およびサイズを有する粒を作製する操作である。つまり、多孔板を用いることにより、前工程の溶媒分離工程で過度に凝集した粗大凝集物の形状になっている含水ゲルは解砕され、小粒径の単粒子状の含水ゲルは適度に凝集される。したがって、本工程によって、比較的粒子径の均一な造粒形状の含水ゲル(整粒ゲル)を得ることができる。なお、整粒ゲルは単粒子状の含水ゲルを含んでいてもよい。
本明細書において、「ゲル整粒」とは、粉体の湿塊を多孔板の小孔から円柱状に押し出すことにより、湿粉状の原料からほぼ均一な形状およびサイズを有する粒を作製する操作である。つまり、多孔板を用いることにより、前工程の溶媒分離工程で過度に凝集した粗大凝集物の形状になっている含水ゲルは解砕され、小粒径の単粒子状の含水ゲルは適度に凝集される。したがって、本工程によって、比較的粒子径の均一な造粒形状の含水ゲル(整粒ゲル)を得ることができる。なお、整粒ゲルは単粒子状の含水ゲルを含んでいてもよい。
ゲル整粒工程において使用される「押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置」としては、押出作用部と、多孔板(ダイまたはスクリーン)とを有し、押出作用部が通常は多孔板に向かって内容物を押出し供給する押出し部材を有し、多孔板から材料を押し出すことにより一定サイズの粒を作製可能な装置であれば特に限定されない。
図1は、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置の分類を模式的に示す図である。押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置は、押出作用部の構造から、スクリュー形式、回転多孔ダイス形式、および回転ブレード形式に大別される。
スクリュー形式のゲル整粒装置310は、回転駆動されるスクリュー311(押出作用部に相当する)と、小孔312が形成されたダイス313(多孔板に相当する)とを有する。投入された材料(矢印314を参照)は、回転駆動されたスクリュー311によってダイス313に向かって押出し供給され、ダイス313の小孔312から押し出される(矢印315を参照)。スクリュー形式のゲル整粒装置310は、材料が押し出される方向から、横押出し方式と、前押出し方式とがある。横押出し方式の場合、図示例のように、ダイス313は、スクリュー311の回転軸が伸びている方向と平行な方向に配置され、材料は、スクリュー311の回転軸と交差する方向に押し出される。前押出し方式の場合、ダイス313は、スクリュー311の回転軸と直交する方向に配置され、材料は、スクリュー311の回転軸が伸びている方向に押し出される。
スクリュー形式のゲル整粒装置としては、スクリュー型前押出し式整粒機、スクリュー型横押出し式整粒機、スクリュー型前処理兼用押出し式整粒機などが用いられうる。スクリュー型横押出し式整粒機としては、アキラ機工株式会社製のニーダー付一軸押出し造粒機が挙げられる。スクリュー型前押出し式整粒機としては、株式会社ダルトン製のツインドームグランシリーズが挙げられる。スクリュー型前処理兼用押出し式整粒機としては、株式会社ダルトン製のマルチグランが挙げられる。
回転多孔ダイス形式のゲル整粒装置320は、ロール321(押出作用部に相当する)と、小孔322が形成され回転駆動される回転ダイス323(多孔板に相当する)とを有する。ロール321は、回転ダイス323の内側に配置される。回転ダイス323とロール321との間に投入された材料(矢印324を参照)は、ロール321によって回転ダイス323の小孔322から押し出される(矢印325を参照)。
回転多孔ダイス形式のゲル整粒装置としては、ロール型リングダイ式押出し整粒機が用いられうる。ロール型リングダイ式押出し整粒機としては、株式会社ダルトン製のディスクペレッターが挙げられる。
回転ブレード形式のゲル整粒装置330は、回転駆動されるパドル331(押出作用部に相当する)と、小孔332が形成された円筒状ダイス333(多孔板に相当する)とを有する。パドル331は、円筒状ダイス333の内側に配置される。パドル331の上方には、回転駆動される押込み羽根336が配置される。投入された材料(矢印334を参照)は、回転駆動された押込み羽根336およびパドル331によって円筒状ダイス333に向かって押出し供給され、円筒状ダイス333の小孔332から押し出される(矢印335を参照)。
回転ブレード形式のゲル整粒装置としては、ブレード型バスケット式押出し整粒機、ブレード型オシレーティング式押出し整粒機などが用いられうる。ブレード型オシレーティング式押出し整粒機としては、フロイント・ターボ株式会社製の円筒造粒機が挙げられる。
ゲル整粒工程において使用される「押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置」は、好ましくは、スクリュー型前押出し式整粒機またはスクリュー型横押出し式整粒機であり、より好ましくはスクリュー型前押出し式整粒機である。
ここで、「多孔板」とは、粒子を一定のサイズにするための、多数の孔を有する部材であり、ダイまたはスクリーンに対応するものである。多孔板の形状は特に制限されず、平面状、曲面状、球面状(ドーム形状)などが採用されうる。例えばスクリュー型前押出し式押出し整粒機であれば、スクリューの先端部分にドーム形状のダイが配置されている。また、スクリュー型横押出し式押出し整粒機であれば、スクリューの外周部分に曲面状のスクリーンが配置されている。このときの押出し羽根も、球面状(すなわち、そのエッジの輪郭が球面の一部を形成するような形状)とされていることが好ましい。このように、ダイまたはスクリーンを球面状にし、押出し羽根の先端も球状にすることにより、孔径の小さなダイでも押出し整粒を容易に行うことができ生産性がより向上し、さらに強度の強い整粒粒子が任意の粒子径で得られる。なお、この「球面」には、真円や楕円などの円の回転してできる軌跡面、さらには複数の円を組み合わせて回転させて得られる軌跡面、半球面、曲面、双曲面、放物面など平面以外の面が広く含まれる。
さらに、この多孔板(ダイまたはスクリーン)の孔の形は特に限定されず、真円状、楕円状、六角形等の多角形、三角形状等、使用に適した形状に任意に選択することが可能であるが、整粒強度の観点から真円状、楕円状が好ましい。孔径についても特に制限されないが、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらにより好ましい。かような上限以下であることで、得られる整粒ゲルのサイズが必要以上に増大することが防止され、下流工程における撹拌型乾燥機を用いた乾燥の際に発生する微粉量を低減させることができる。孔径は、好ましくは0.3~1.5mmであり、より好ましくは0.3~0.8mmである。多孔板の孔径が0.3mm以上であれば、押出し操作を実施する際に効率よく押出すことができる。なお、上記孔径については以下のように定義する。まず、孔が真円でない場合は孔の短径と長径の相乗平均値を孔径として採用する。また、多孔板の孔の各孔径が異なる場合は、全ての孔の孔径を算出し、その相加平均値を多孔板の孔の孔径として採用する。さらに多孔板の押出し作用部側からその反対側までの間で多孔板の孔径が変化する(多孔板の厚み方向において孔径が変化する)場合は、その中で孔径が最少となる値を採用する。
多孔板(ダイまたはスクリーン)の厚みについても特に限定されないが、ゲル整粒装置の特性上、孔径が小さい場合には多孔板の厚みが厚すぎると押出し整粒が困難となる場合がある。したがって、多孔板(ダイまたはスクリーン)の厚みは、好ましくは多孔板の孔径の0.1~5倍程度であり、より好ましくは孔径の0.2倍~3倍であり、さらに好ましくは孔径の0.5~2倍である。多孔板(ダイまたはスクリーン)の厚みが孔径の5倍以下であれば、孔部分での抵抗の増大が防止され、押出し整粒をスムーズに実施することができる。一方、多孔板の厚みが孔径の0.1倍以上であれば、整粒強度の低下が防止されうる。
図2は、ゲル整粒装置における押出し部分を模式的に示す図である。図中符号「CL」は、ゲル整粒装置340における多孔板343(ダイまたはスクリーン)と押出作用部341との間の隙間を示している。図示例では、押出作用部341はスクリューから構成されている。押出作用部341が押出し羽根を有する場合には、隙間CLは、押出し羽根のエッジからゲル整粒装置340の多孔板343裏面までの距離である。また、図中符号「d」は、多孔板343の小孔342の孔径を示している。なお、図中の白抜き矢印344は、ゲルの押出し方向を示している。
ゲル整粒装置340における多孔板343(ダイまたはスクリーン)と押出作用部341との間の隙間CL(押出作用部341が押出し羽根を有する場合には、押出し羽根エッジからゲル整粒装置340の多孔板343裏面までの距離)は、好ましくは0.1~10.0mmであり、より好ましくは、多孔板343の孔径dが0.3~1.5mmのとき、ゲル整粒装置340における多孔板343(ダイまたはスクリーン)と押出作用部341との間の隙間CL(押出作用部341が押出し羽根を有する場合には、押出し羽根エッジからゲル整粒装置340の多孔板343裏面までの距離)は、好ましくは0.1mm~10.0mmである。上記隙間が0.1mm以上であれば、多孔板343とスクリュー341とが接近し過ぎることによって多孔板343が損傷し、当該多孔板343の寿命が短くなるのを防止することができる。一方、上記隙間が10.0mm以下であれば、押出し操作を実施する際の圧力が増大することによって、含水ゲルの一次粒子が潰れ、DRC(Dunk Retention Capacity(浸漬保持容量))が低下するのを防止することができる。ここで、例えばスクリュー型前押出し式整粒機の場合には、押出作用部としてストレートスクリューがあり、このストレートスクリューとダイとの間が均圧部と称されるが、この均圧部の厚みが「多孔板(ダイまたはスクリーン)と押出作用部との間の隙間(クリアランス)」に相当する。また、横押出出し式整粒機の場合には、ダイがストレートスクリューの周囲に配置されているが、このダイとストレートスクリューとの間の距離がクリアランスに相当する。なお、上記隙間の長さ(距離)は、多孔板と押出作用部との間の隙間の最も短い長さ(距離)である。
なお、回転ブレード形式(ブレード型バスケット式押出し整粒機およびブレード型オシレーティング式押出し整粒機)の場合は、回転ブレードのエッジから多孔板の裏面までの距離が多孔板と押し出し作用部の間の隙間CLとなり、押し出し整粒機と同様の数値範囲であることが好ましい。回転多孔ダイス形式(ロール型リングダイ式押出し整粒機)の場合は、当該隙間は実質0となるため、この限りではない。
図3は、上述したような球面状(ドーム状)のダイを有するスクリュー型前押出し式整粒機の構成を模式的に示す模式図である。このスクリュー型前押出し式整粒機200においては、押出作用部としての送りスクリュー220が、ギヤーボックス210内の歯車機構を介して駆動部(図示せず)に接続され、スクリューケース230の内部に収納されている。また、上記スクリューケース230の頂部には、原料を投入するための投入ホッパー240が設けられ、スクリューケース230の前部には球面状ダイ250が取り付けられている。そして、送りスクリュー220の先端部は球面状とされ、この球面状先端部220aには1枚または複数枚の球面状押出し羽根260が設けられている。この球面状押出し羽根260のエッジ260aの輪郭が上記球面状ダイ250の球面状裏面250aに沿った形状とされるとともに、上記球面状先端部220aの表面上に螺旋状に形成されている。このため、球面状押出し羽根260のエッジ260aの回転軌跡と上記球面状裏面250aとの間には等間隔の間隔(クリアランス)が全面にわたって形成されることになる。
「含水ゲル温度」
整粒装置に入る含水ゲルの温度の下限は特に制限はないが、整粒効率及び含水ゲルへのダメージの抑制の観点から好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃、さらに好ましくは80℃以上である。整粒装置投入時の含水ゲル温度の上限は特に制限はないが、一般的に100℃以下である。
整粒装置に入る含水ゲルの温度の下限は特に制限はないが、整粒効率及び含水ゲルへのダメージの抑制の観点から好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃、さらに好ましくは80℃以上である。整粒装置投入時の含水ゲル温度の上限は特に制限はないが、一般的に100℃以下である。
「乾燥助剤」
本整粒工程において、後述する乾燥助剤等を添加することもできる。
本整粒工程において、後述する乾燥助剤等を添加することもできる。
乾燥助剤は、上記の通りゲル整粒工程で添加することができるが、それ以外の添加方法として、分離工程で疎水性有機溶媒から分離した含水ゲルに添加する、乾燥工程前の整粒ゲルに添加する、単量体水溶液調製工程で単量体水溶液に添加することが挙げられる。また、分散工程で分散助剤として用いる界面活性剤、高分子添加剤と重複してもよい。
乾燥助剤として挙げられる界面活性剤及び高分子滑剤の合計添加量は、ゲル整粒機に投入するゲルの固形分に対して好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。
「圧縮度」
「整粒工程において得られる整粒ゲルの凝集度合い」を調整する手法として下記式のとおり「圧縮度」を規定する。ダメージ付与後の微粉発生割合を低減させるという観点から圧縮度は好ましくは0.01×10-2以上であり、より好ましくは0.1×10-2以上であり、更に好ましくは0.2×10-2以上であり、特に好ましくは0.3×10-2以上である。圧縮度の上限についても特に制限されないが、過度の圧縮によるゲルへのダメージを低減し、DRC5min低下を抑制する観点から好ましくは10.0×10-2以下であり、より好ましくは2.0×10-2以下であり、更に好ましくは1.5×10-2以下である。物性(特にDRC5min)を維持したまま、ダメージ付与後の微粉発生割合を低減させるという観点からは、好ましくは、圧縮度は、0.01×10-2以上10.0×10-2以下であり、より好ましくは0.1×10-2以上2.0×10-2以下であり、更に好ましくは0.2×10-2以上1.5×10-2以下である。
「整粒工程において得られる整粒ゲルの凝集度合い」を調整する手法として下記式のとおり「圧縮度」を規定する。ダメージ付与後の微粉発生割合を低減させるという観点から圧縮度は好ましくは0.01×10-2以上であり、より好ましくは0.1×10-2以上であり、更に好ましくは0.2×10-2以上であり、特に好ましくは0.3×10-2以上である。圧縮度の上限についても特に制限されないが、過度の圧縮によるゲルへのダメージを低減し、DRC5min低下を抑制する観点から好ましくは10.0×10-2以下であり、より好ましくは2.0×10-2以下であり、更に好ましくは1.5×10-2以下である。物性(特にDRC5min)を維持したまま、ダメージ付与後の微粉発生割合を低減させるという観点からは、好ましくは、圧縮度は、0.01×10-2以上10.0×10-2以下であり、より好ましくは0.1×10-2以上2.0×10-2以下であり、更に好ましくは0.2×10-2以上1.5×10-2以下である。
圧縮度=(ゲル整粒工程に供する)含水ゲル一次粒子の断面積(μm2)/多孔板の孔の断面積(μm2)含水ゲル一次粒子の断面積=((含水ゲル平均一次粒子径(μm))/2)2×π
なお、多孔板の孔の断面積は幾何学計算によって算出される。例えば、孔径rの真円の場合、多孔板の孔の断面積(真円)=π*(r/2)2となる。また、多孔板の孔の断面積値が各孔で異なる場合は、多孔板の全ての孔の断面積を算出し、その相加平均値を多孔板の孔の断面積として採用する。さらに多孔板の押出し作用部側からその反対側までの間で多孔板の孔の断面積が変化する(多孔板の厚み方向において孔径が変化する)場合は、その中で断面積が最少となる値を採用する。
なお、多孔板の孔の断面積は幾何学計算によって算出される。例えば、孔径rの真円の場合、多孔板の孔の断面積(真円)=π*(r/2)2となる。また、多孔板の孔の断面積値が各孔で異なる場合は、多孔板の全ての孔の断面積を算出し、その相加平均値を多孔板の孔の断面積として採用する。さらに多孔板の押出し作用部側からその反対側までの間で多孔板の孔の断面積が変化する(多孔板の厚み方向において孔径が変化する)場合は、その中で断面積が最少となる値を採用する。
整粒ゲルのゲル整粒工程における圧縮度は、含水ゲルの一次粒子径に対応して多孔板の孔径を選択することにより制御することができる。多孔板の孔径が小さいほど圧縮度は大きくなり、含水ゲルの一次粒子径は大きくなるほど、圧縮度は大きくなる。また、整粒ゲルのゲル整粒工程における圧縮度は、含水ゲルの一次粒子径の断面積も影響し、含水ゲルの一次粒子径が小さいほど、圧縮度は小さくなる傾向にある。
「整粒ゲルの平均粒径」
得られた整粒ゲルの平均粒径は、好ましくは0.1~5mmであり、より好ましくは0.1~2mmである。なお、整粒ゲルの平均粒径の測定方法は、(ゲル整粒工程に供される)含水ゲルの平均粒径の測定方法と同様である。
得られた整粒ゲルの平均粒径は、好ましくは0.1~5mmであり、より好ましくは0.1~2mmである。なお、整粒ゲルの平均粒径の測定方法は、(ゲル整粒工程に供される)含水ゲルの平均粒径の測定方法と同様である。
[2-6.乾燥工程]
乾燥工程は、上記整粒工程で得られた整粒ゲルを乾燥する工程である。これにより、整粒ゲルに含まれる水分と、分離装置16において分離しきれなかった疎水性有機溶媒とが除去され、所望の固形分率を有する粒子状の乾燥重合体が得られる。
乾燥工程は、上記整粒工程で得られた整粒ゲルを乾燥する工程である。これにより、整粒ゲルに含まれる水分と、分離装置16において分離しきれなかった疎水性有機溶媒とが除去され、所望の固形分率を有する粒子状の乾燥重合体が得られる。
本発明において、乾燥工程における乾燥の手法としては、撹拌型乾燥機を用いた撹拌乾燥が採用される。この撹拌乾燥は、伝導伝熱による乾燥操作の1種であり、間接加熱方式を用いて、好ましくは連続的に、被乾燥物に対して乾燥処理を施すことができる。このため、乾燥効率が高く、得られる吸水性樹脂の物性低下が抑制できるという利点がある。
本乾燥工程で得られる乾燥重合体を、そのまま吸水性樹脂として各用途に供することもできる。また、この製造方法において吸水性樹脂を製造する場合には、乾燥工程で得られる乾燥重合体を後述する表面架橋工程に供することも可能である。この場合、後述する表面架橋工程に供される乾燥重合体を、便宜上「吸水性樹脂粉末」とも称する。
本工程において使用される撹拌型乾燥機としては、連続式の撹拌型乾燥機がより好ましい。撹拌型乾燥機を用いることで、上記含水ゲルの乾燥効率が高くなり、得られる吸水性樹脂の物性低下が抑制でき、好ましい。
本発明において、上記撹拌型乾燥機の撹拌方式及び形態は特に限定されず、乾燥機内の内容物が、アーム、羽根、パドル等の撹拌翼や回転円筒等の撹拌手段により撹拌される形態であればよい。つまり、上記撹拌型乾燥機として、内容物を収容する容器自体が回転、振動、揺動する容器回転型乾燥機;アーム、羽根、パドル等の撹拌翼を具備した回転軸で内容物を撹拌する機械撹拌型乾燥機;空気等の気体で内容物を浮遊させる浮遊撹拌型乾燥機;重力および分岐板等で流路を分割する流路分割型乾燥機;高速せん断型乾燥機;衝撃型乾燥機等が挙げられる。これらの中でも、撹拌能力の高い乾燥機が好ましく選択される。また、これらの乾燥機は、連続式であってもバッチ式であってもよい。従って、本発明の乾燥工程では、被乾燥物を撹拌しながら乾燥する材料撹拌型乾燥を行う。前記材料撹拌型乾燥においては、撹拌しながら隣接する被乾燥物(含水ゲル重合体)が順次入れ替わるので、ある粒子は次々に新しい粒子に接触する。これにより、含水ゲル重合体は直接伝熱及び/又は間接伝熱によって加熱され、効率的に加熱され、かつ含水ゲル重合体同士の過度の凝集や塊状化が抑制される。
そのような攪拌型乾燥機として、例えば、一軸または二軸のディスク型乾燥機、一軸または二軸のパドル型乾燥機、ロータリードライヤー、ロータリーキルン、チューブドライヤー等が挙げられる。具体的には、ナウターミキサー、ソリッドエアーコンティニュエーター、トーラスディスク、ミクロンサーモプロセッサ(ホソカワミクロン株式会社製);コンダクションフロー、スーパーロータリードライヤー、フラッシュリアクター(株式会社大川原製作所製);カットデスクドライヤー(株式会社栗本鐵工所製);パドルドライヤ(株式会社奈良機械製作所製);レーディゲミキサー(株式会社マツボー製);スチームチューブドライヤー(宇部興産機械株式会社製);プローシエアミキサー(太平洋機工株式会社製);等を使用することができる。
上記撹拌型乾燥機の撹拌手段としては特に限定されず、回転軸に備えられたアーム、羽根、パドル等による機械的撹拌手段、空気など気体の流動による撹拌手段、乾燥対象物を収容する容器自体の回転、振動、揺動による撹拌手段及びこれらの2以上の組み合わせなどが挙げられる。本発明の撹拌型乾燥機においては、含水ゲル重合体にかかる機械的負荷の観点から、回転軸に備えられたアーム、パドル、撹拌羽、カットディスク(CD)などの機械的撹拌手段を撹拌手段として使用しない乾燥機が好ましい。中でも、回転円筒等の回転による撹拌手段により含水ゲル重合体を撹拌する撹拌型乾燥機が好ましく、回転円筒内に回転軸に備えられたアーム、パドル、撹拌羽、カットディスク(CD)などの機械的撹拌手段を備えていない撹拌型乾燥機が好ましい。回転円筒型の乾燥機には、容器内に容器の回転に伴って回転し、容器の内容物を撹拌する掻き揚げ板等が備えられていてもよい。
また、上述した撹拌型乾燥機は、加熱手段を備えていることが好ましい。この加熱手段は、上記含水ゲルを所望する固形分率の乾燥重合体とするのに必要な熱量を加えることができる形態であればよく特に限定されないが、例えば、高圧蒸気や熱媒油、熱風等の熱媒を通すことができるジャケットや、スチームトレス、電熱線、マイクロ波、電磁誘導等の各種加熱手段から適宜選択すればよい。なお、これらの加熱手段は通常、乾燥機の外側に設置されるが、乾燥機の内側にも設置することができる。
本発明において、上記攪拌型乾燥機の材質は特に限定されないが、ステンレス鋼を使用することが好ましい。また内容物と接触する部分については、鏡面仕上げとされていることが好ましい。該鏡面仕上げは、電解研磨、サンドブラスト等の表面処理によって行うことができる。該鏡面仕上げによって撹拌型乾燥機の内面を下記の表面粗さに調節することで、内容物が装置に付着する度合いが減少し、得られる吸水性樹脂の物性への悪影響が減少する。なお、上記ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316、SUS316L等が挙げられる。また、ステンレス鋼以外にも、銅、チタン合金、PTEE、PFA、FEP等のフッ素樹脂等を使用することができる。
本発明において、乾燥工程に使用される上記攪拌型乾燥機の内面は、JIS B 0601-2013で規定される表面粗さ(Rz)が、好ましくは2μm以下、以下順に1μm以下、900nm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下がより好ましく、最も好ましくは170nm以下に制御される。また、該表面粗さ(Rz)の下限として好ましくは0nmであるが、10nm又は20nm程度でもよい。なお、該表面粗さ(Rz)は、表面の凹凸の最大高さ(単位;nm)を意味する。
また、上記の表面粗さ(Rz)の他に、表面粗さ(Ra)もJIS B 0601-2013で規定されるが、その好ましい値も表面粗さ(Rz)と同じとされる。これらの表面粗さは、触針式表面粗さ測定器を用いて測定することができる。
本発明において、乾燥工程に使用される上記撹拌型乾燥装置の数は、1基のみでもよく、2基以上の複数でもよい。仕様の異なる複数の撹拌型乾燥機を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、上記撹拌型乾燥機での乾燥時間は、得られる乾燥重合体または吸水性樹脂の固形分率を指標として適宜調整されるため、特に限定されないが、好ましくは1分間~120分間、より好ましくは3分間~90分間、さらに好ましくは10分間~90分間、特に好ましくは20分間~80分間、最も好ましくは30分間~60分間である。なお、乾燥重合体又は吸水性樹脂の固形分率は、吸水性能の観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%~98質量%である。なお、乾燥重合体又は吸水性樹脂の固形分率は、試料(吸水性樹脂)を180℃で3時間乾燥させた際の乾燥減量に基づいて算出される値である。
また、上記撹拌型乾燥機での乾燥温度は、乾燥速度の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは160℃以上である。乾燥温度の上限は、乾燥重合体の劣化や着色、得られる吸水性樹脂の性能の観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
「乾燥助剤」
乾燥助剤は、攪拌乾燥時に流動性を保つことを目的として添加されるものであり、乾燥助剤としては界面活性剤や高分子滑材が挙げられる。乾燥助剤として、高分子滑剤と界面活性剤とを併用してもよい。
乾燥助剤は、攪拌乾燥時に流動性を保つことを目的として添加されるものであり、乾燥助剤としては界面活性剤や高分子滑材が挙げられる。乾燥助剤として、高分子滑剤と界面活性剤とを併用してもよい。
乾燥助剤に用いられる界面活性剤として、具体的には、(1)ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N-アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステルなどのノニオン性界面活性剤、(2)カプリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジアルキルアミノ酢酸ベタイン;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、(3)ラウリルアミノジ酢酸モノナトリウム、ラウリルアミノジ酢酸カリウム、ミリスチルアミノジ酢酸ナトリウム等のアルキルアミノジ酢酸モノアルカリ金属などのアニオン性界面活性剤、(4)長鎖アルキルジメチルアミノエチル4級塩などのカチオン性界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、2種以上を併用してもよい。
高分子滑剤として、具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。これらの分子量(重量平均分子量)は、好ましくは200~200万、より好ましくは400~100万の範囲で適宜選択される。これらのうち、2種以上を併用してもよい。
「乾燥重合体の粒度分布」
上記乾燥工程で得られた乾燥重合体の粒度分布としては、粒子径850μm以上の割合(目開き粒子径850μmの篩を通過しなかった粒子の割合)は好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。本実施形態の方法によれば、撹拌型乾燥機を用いた乾燥と組み合わせることにより、粗大粒子の形成が有意に抑制されるために、上記好ましい範囲とすることが可能となる。また、乾燥重合体の粒子径1400μm以上の割合(目開き粒子径1400μmの篩を通過しなかった粒子の割合)は好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
上記乾燥工程で得られた乾燥重合体の粒度分布としては、粒子径850μm以上の割合(目開き粒子径850μmの篩を通過しなかった粒子の割合)は好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。本実施形態の方法によれば、撹拌型乾燥機を用いた乾燥と組み合わせることにより、粗大粒子の形成が有意に抑制されるために、上記好ましい範囲とすることが可能となる。また、乾燥重合体の粒子径1400μm以上の割合(目開き粒子径1400μmの篩を通過しなかった粒子の割合)は好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[2-7.表面架橋工程]
上記乾燥工程(およびその後の任意の工程)を経て得られる吸水性樹脂粉末は、表面架橋剤によって表面架橋されることが好ましい。この表面架橋は、吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に架橋密度の高い部分を設ける処理である。表面架橋処理を行うことで各種吸水特性を向上させることができる。なお、本発明においては、公知の表面架橋技術が適宜適用される。なお、本工程で用いられる表面架橋剤は、単量体水溶液調製工程で使用される内部架橋剤と区別するため、公知技術では「後架橋剤」としても示されるものである。
上記乾燥工程(およびその後の任意の工程)を経て得られる吸水性樹脂粉末は、表面架橋剤によって表面架橋されることが好ましい。この表面架橋は、吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に架橋密度の高い部分を設ける処理である。表面架橋処理を行うことで各種吸水特性を向上させることができる。なお、本発明においては、公知の表面架橋技術が適宜適用される。なお、本工程で用いられる表面架橋剤は、単量体水溶液調製工程で使用される内部架橋剤と区別するため、公知技術では「後架橋剤」としても示されるものである。
本発明において表面架橋工程は、上記の乾燥工程後であってもよいし、乾燥工程中に行ってもよい。公知の表面架橋工程では、一般的に、含水ゲル架橋重合体又はその乾燥物の架橋重合体に表面架橋剤を混合し、その混合物を加熱して架橋反応を行うが、本発明においては、これらの工程を上記の乾燥工程後に別途設けてもよいし、乾燥工程において表面架橋剤を添加し表面架橋反応と乾燥を同時に行ってもよい。特に、バッチ式の逆相懸濁重合法で吸水性樹脂の製造を行う場合は、重合反応後の分離工程においては共沸脱水を行うことにより溶媒と含水ゲル重合体を分離することができるが、当該分離工程においても表面架橋剤を添加することにより表面架橋した吸水性樹脂粒子を得ることができる。
[2-8.その他の工程]
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上述した各工程以外に、必要に応じて、冷却工程、粉砕工程、含水工程、分級工程、整粒工程、及び微粉再利用工程を含むことができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等をさらに含んでもよい。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上述した各工程以外に、必要に応じて、冷却工程、粉砕工程、含水工程、分級工程、整粒工程、及び微粉再利用工程を含むことができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等をさらに含んでもよい。
(冷却工程)
任意に実施される冷却工程では、乾燥工程において得られた粒子状の乾燥重合体を、公知の冷却手段を用いて冷却することにより、所望の温度まで冷却された粒子状の乾燥重合体を得ることができる。
任意に実施される冷却工程では、乾燥工程において得られた粒子状の乾燥重合体を、公知の冷却手段を用いて冷却することにより、所望の温度まで冷却された粒子状の乾燥重合体を得ることができる。
(粉砕工程)
上記乾燥工程(およびその後の任意の冷却工程)で得られた粒子状の乾燥重合体を粉砕する粉砕工程を経ることが好ましい。粉砕工程を経ることによって、粒子径または粒度分布が制御された吸水性樹脂粉末とされる。
上記乾燥工程(およびその後の任意の冷却工程)で得られた粒子状の乾燥重合体を粉砕する粉砕工程を経ることが好ましい。粉砕工程を経ることによって、粒子径または粒度分布が制御された吸水性樹脂粉末とされる。
上記粉砕工程では、粉砕手段として、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が適宜選択されて用いられる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、粉砕工程とともに分級工程を含むことができる。上記分級工程では、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が適宜選択されて用いられる。
(再湿潤工程)
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、多価金属塩、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、多価金属塩、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α-ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
上記の添加剤は、水溶液または分散液(スラリー)で吸水性樹脂粒子に添加することが好ましい。なお、当該添加剤は上述した表面架橋剤溶液と同時に添加・混合してもよい。
具体的には、国際特許公開第2015/053372号「(2-7)再湿潤工程」記載の方法が本発明にも適用される。
(整粒工程)
「整粒工程」とは、上記表面架橋工程を経て緩く凝集した吸水性樹脂粉末をほぐして粒子径を整える工程を意味する。なお、この整粒工程は、表面架橋工程以降の微粉除去工程および分級工程を含むものとする。
「整粒工程」とは、上記表面架橋工程を経て緩く凝集した吸水性樹脂粉末をほぐして粒子径を整える工程を意味する。なお、この整粒工程は、表面架橋工程以降の微粉除去工程および分級工程を含むものとする。
(微粉再利用工程)
「微粉再利用工程」とは、上記各工程で篩分級等により発生した微粉をそのまま、または微粉を造粒した後にいずれかの工程に供給する工程を意味する。
「微粉再利用工程」とは、上記各工程で篩分級等により発生した微粉をそのまま、または微粉を造粒した後にいずれかの工程に供給する工程を意味する。
〔3.吸水性樹脂の用途〕
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは紙オムツ(幼児用、成人用)、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツの吸収体として使用することができる。さらに、この吸水性樹脂は、微粉の発生量が低減されていて粒度分布が制御されているので、上記吸収体の上層部に使用する場合に好適である。その他の吸収性物品の一例としては、例えば、土壌保水剤、育苗用シート、種子コーティング材、結露防止シート、ドリップ吸収材、鮮度保持材、使い捨てカイロ、冷却用バンダナ、保冷剤、医療用廃液固化剤、残土固化材、水損防止廃液ゲル化剤、吸水土のう、災害用簡易トイレ、湿布材、化粧品用増粘剤、電気・電子材料通信ケーブル用止水材、ガスケットパッキング、肥料用徐放剤、各種徐放剤(空間除菌剤、芳香剤等)、ペットシート、ネコ砂、創傷保護用ドレッシング材、結露防止用建築資材、油中水分除去剤等が挙げられる。また本発明の吸水性樹脂は、塗料、接着剤、アンチブロッキング剤、光拡散剤、艶消し剤、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、トナー用添加剤等の樹脂用添加剤などとして、吸水・膨潤させ樹脂や基材に混合する用途でも使用することができる。
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは紙オムツ(幼児用、成人用)、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツの吸収体として使用することができる。さらに、この吸水性樹脂は、微粉の発生量が低減されていて粒度分布が制御されているので、上記吸収体の上層部に使用する場合に好適である。その他の吸収性物品の一例としては、例えば、土壌保水剤、育苗用シート、種子コーティング材、結露防止シート、ドリップ吸収材、鮮度保持材、使い捨てカイロ、冷却用バンダナ、保冷剤、医療用廃液固化剤、残土固化材、水損防止廃液ゲル化剤、吸水土のう、災害用簡易トイレ、湿布材、化粧品用増粘剤、電気・電子材料通信ケーブル用止水材、ガスケットパッキング、肥料用徐放剤、各種徐放剤(空間除菌剤、芳香剤等)、ペットシート、ネコ砂、創傷保護用ドレッシング材、結露防止用建築資材、油中水分除去剤等が挙げられる。また本発明の吸水性樹脂は、塗料、接着剤、アンチブロッキング剤、光拡散剤、艶消し剤、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、トナー用添加剤等の樹脂用添加剤などとして、吸水・膨潤させ樹脂や基材に混合する用途でも使用することができる。
また、上記吸収体の原料として、上記吸水性樹脂とともにパルプ繊維等の吸収性材料を使用することもできる。この場合、吸収体中の吸水性樹脂の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30質量%~100質量%、より好ましくは40質量%~100質量%、さらに好ましくは50質量%~100質量%、さらにより好ましくは60質量%~100質量%、特に好ましくは70質量%~100質量%、最も好ましくは75質量%~95質量%である。
上記コア濃度を上記範囲とすることで、吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合に、この吸収性物品を清浄感のある白色状態に保つことができる。さらに、吸収体は尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配がなされることにより、吸収量の向上が見込める。
〔4.吸水性樹脂粉末及び吸水性樹脂の物性〕
「質量平均粒子径(D50)」
吸水性樹脂の質量平均粒子径(D50)は、好ましくは200μm~700μm、より好ましくは250μm~600μm、更に好ましくは250μm~500μm、特に好ましくは300μm~450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
「質量平均粒子径(D50)」
吸水性樹脂の質量平均粒子径(D50)は、好ましくは200μm~700μm、より好ましくは250μm~600μm、更に好ましくは250μm~500μm、特に好ましくは300μm~450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
「粒子形状」
本発明においては、いわゆる逆相懸濁重合により重合が行われる。これにより得られる吸水性樹脂は、通常球状重合体粒子となる。ここで、「球状」には、真球状以外の形状も含む。詳細には、「球状」とは、粒子の平均長径と平均短径との比(真球度とも称する)が、好ましくは1.0~3.0の粒子を意味する。粒子の平均長径および平均短径は、顕微鏡で観察された画像に基づいて100個の粒子の長径および短径を測定し、その平均を算出することで求められる。本発明において、「球状重合体粒子」は単独粒子で存在することに限定されず、球状重合体粒子の凝集体を形成していてもよい。
本発明においては、いわゆる逆相懸濁重合により重合が行われる。これにより得られる吸水性樹脂は、通常球状重合体粒子となる。ここで、「球状」には、真球状以外の形状も含む。詳細には、「球状」とは、粒子の平均長径と平均短径との比(真球度とも称する)が、好ましくは1.0~3.0の粒子を意味する。粒子の平均長径および平均短径は、顕微鏡で観察された画像に基づいて100個の粒子の長径および短径を測定し、その平均を算出することで求められる。本発明において、「球状重合体粒子」は単独粒子で存在することに限定されず、球状重合体粒子の凝集体を形成していてもよい。
本発明における球状重合体粒子は、その用途・目的に応じて、重合性モノマーを選択することにより設計される。例えば、球状重合体粒子として粉末状または粒子状の吸水性樹脂を製造する場合、代表的に用いられる重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸および/またはその塩である。
粒子形状が球状であること、特に球状の凝集体であることで、吸水性樹脂の吸水速度が不定形状よりも速くなる傾向にある。
「ダメージ付与後の微粉発生割合」
本発明に係る製造方法において、ダメージ付与後の微粉発生割合は、得られる吸水性樹脂を輸送する際のダメージによる微粉量低減の観点から、好ましくは10質量%以下であり、9質量%未満であることがより好ましい。
本発明に係る製造方法において、ダメージ付与後の微粉発生割合は、得られる吸水性樹脂を輸送する際のダメージによる微粉量低減の観点から、好ましくは10質量%以下であり、9質量%未満であることがより好ましい。
「CRC」
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下での吸水倍率を意味する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下での吸水倍率を意味する。
上記吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、好ましくは15g/g以上であり、より好ましくは25g/g以上、さらに好ましくは30g/g以上である。上限については特に限定されず、より高いCRCが好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下であり、より好ましくは50g/g以下であり、さらに好ましくは40g/g以下である。
上記CRCが5g/g以上であれば、吸収量が十分であり、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として好適である。また、上記CRCが70g/g以下であれば、尿や血液等の体液等を吸収する速度の低下が防止され、高吸水速度タイプの紙オムツ等への使用に適する。なお、CRCの値は、内部架橋剤や表面架橋剤等の種類や量を変更することで制御することができる。
「DRC5min」
「DRC」は、Dunk Retention Capacity(浸漬保持容量)の略称であり、「DRC5min」は、浸漬保持容量5分値(5分での無加圧下での吸水倍率)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを、下記AAPの測定と同様に、底面にメッシュを有する円筒形のセルに均一に散布し、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に5分間接触させて自由膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
「DRC」は、Dunk Retention Capacity(浸漬保持容量)の略称であり、「DRC5min」は、浸漬保持容量5分値(5分での無加圧下での吸水倍率)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを、下記AAPの測定と同様に、底面にメッシュを有する円筒形のセルに均一に散布し、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に5分間接触させて自由膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
衛生材料に用いた際の液戻り量の観点から、上記吸水性樹脂のDRC5minの下限は、好ましくは48g/g以上、より好ましくは50g/g以上、さらにより好ましくは51g/g以上、特に好ましくは52g/g以上である。DRC5minが上記下限値以上であることで液戻り量が低減される。また、上記吸水性樹脂のDRC5minの上限は、特に制限されないが、通常70g/g以下である。
本発明の好適な一実施形態は、上記製造方法によって得られ、DRC5minが48g/g以上であり、かつダメージ付与後の微粉発生割合が10質量%以下である吸水性樹脂である。本発明の他の好適な一実施形態は、上記製造方法によって得られ、DRC5minが50g/g以上であり、かつダメージ付与後の微粉発生割合が10質量%以下である吸水性樹脂である。
「AAP」
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下における吸水倍率を意味する。AAP(加圧下吸収倍率)は、NWSP 242.0.R2(15)に準拠して測定する。具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水性樹脂0.9gを1時間、4.83kPaの加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)(単位:g/g)を測定する。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下における吸水倍率を意味する。AAP(加圧下吸収倍率)は、NWSP 242.0.R2(15)に準拠して測定する。具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水性樹脂0.9gを1時間、4.83kPaの加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)(単位:g/g)を測定する。
衛生材料に用いた際の吸水特性の観点から、上記吸水性樹脂のAAPの下限は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは23g/g以上である。また、上記吸水性樹脂のAAPの上限は、特に制限されないが、通常40g/g以下である。
「含水率」
吸水性樹脂の含水率は特に制限されないが、好ましくは0質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%、更に好ましくは2質量%~13質量%、特に好ましくは2質量%~10質量%である。
吸水性樹脂の含水率は特に制限されないが、好ましくは0質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%、更に好ましくは2質量%~13質量%、特に好ましくは2質量%~10質量%である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
「含水ゲル重合体の平均粒径」
分離工程で得られた含水ゲルを光学顕微鏡(KH-3000、株式会社ハイロックス製)で撮影し、得られた画像から、集合体又は単粒子の長径を50個測定しその平均値を平均粒径とした。
分離工程で得られた含水ゲルを光学顕微鏡(KH-3000、株式会社ハイロックス製)で撮影し、得られた画像から、集合体又は単粒子の長径を50個測定しその平均値を平均粒径とした。
「平均一次粒子径」
含水ゲルを光学顕微鏡(KH-3000、株式会社ハイロックス製)で撮影し、得られた画像から、一次粒子の長径を測定する。一次粒子50粒についてこの測定を行い、その算術平均値を当該含水ゲルの平均一次粒子径とした。
含水ゲルを光学顕微鏡(KH-3000、株式会社ハイロックス製)で撮影し、得られた画像から、一次粒子の長径を測定する。一次粒子50粒についてこの測定を行い、その算術平均値を当該含水ゲルの平均一次粒子径とした。
「疎水性有機溶媒の溶媒含有率」
有機溶媒と分離された含水ゲルについて、含水ゲルの粒子間に存在する疎水性有機溶媒量を表す指標であり、吸水性樹脂の重合時に使用され、排出された含水ゲルのゲル粒子間に存在する有機溶媒の量に基づいて、以下の要領で算出した。
有機溶媒と分離された含水ゲルについて、含水ゲルの粒子間に存在する疎水性有機溶媒量を表す指標であり、吸水性樹脂の重合時に使用され、排出された含水ゲルのゲル粒子間に存在する有機溶媒の量に基づいて、以下の要領で算出した。
具体的には、有機溶媒と分離された含水ゲルを酢酸エチルに浸漬させることで、ゲル粒子間に存在する有機溶媒を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル中の有機溶媒濃度を、ガスクロマトグラフを用いて測定した。該酢酸エチル中の有機溶媒濃度をs(g/L)としたときに、下記(式1)にしたがって、溶媒含有率R(質量%)を求めた。
R=100×s×A/M・・・(式1)ただし、(式1)中、Mは含水ゲルの質量(g)、Aは抽出に用いた酢酸エチルの容量(L)を意味する。
「含水率」
含水率をNWSP 230.0.R2(15)に準拠して測定した。なお、測定に際し、試料の質量を4.4gに、乾燥温度を180℃に、乾燥時間を3時間にそれぞれ変更した。具体的には、底面の直径が50mmのアルミカップに含水ゲル4.4gを投入した後、試料(含水ゲルまたは吸水性樹脂及びアルミカップ)の総質量W1(g)を正確に秤量した。次に、前記試料を、雰囲気温度180℃に設定されたオーブン内に静置した。3時間経過後、該試料を前記オーブンから取り出し、総質量W2(g)を正確に秤量した。本測定に供された試料の質量をM(4.4g)としたときに、下記(式1)にしたがって、試料の含水率α(質量%)を求めた。
含水率をNWSP 230.0.R2(15)に準拠して測定した。なお、測定に際し、試料の質量を4.4gに、乾燥温度を180℃に、乾燥時間を3時間にそれぞれ変更した。具体的には、底面の直径が50mmのアルミカップに含水ゲル4.4gを投入した後、試料(含水ゲルまたは吸水性樹脂及びアルミカップ)の総質量W1(g)を正確に秤量した。次に、前記試料を、雰囲気温度180℃に設定されたオーブン内に静置した。3時間経過後、該試料を前記オーブンから取り出し、総質量W2(g)を正確に秤量した。本測定に供された試料の質量をM(4.4g)としたときに、下記(式1)にしたがって、試料の含水率α(質量%)を求めた。
含水率α(質量%)={(W1-W2)/M}×100 式(1)
「固形分率」
固形分率の測定は上記含水率の測定法と同様にして行い、下記(式2)にしたがって試料の固形分率β(質量%)を求めた。
「固形分率」
固形分率の測定は上記含水率の測定法と同様にして行い、下記(式2)にしたがって試料の固形分率β(質量%)を求めた。
固形分率β(質量%)= 100-(含水率α)
「重合率」
イオン交換水1000gに含水ゲル1.00gを投入し、300rpmで2時間攪拌した後に、ろ過することにより、不溶分を除去した。上記操作で得られたところ液中に抽出された単量体の量を、液体クロマトグラフを用いて測定した。該単量体の量を残存モノマー量m(g)としたときに、下記(式3)にしたがって、重合率C(質量%)を求めた。C=100×{1-m/(α×M/100)}・・・(式3)
ただし、(式3)中、Cは含水ゲルの重合率(質量%)、Mは含水ゲルの質量(g)、αは含水ゲルの固形分率(質量%)を意味する。
「重合率」
イオン交換水1000gに含水ゲル1.00gを投入し、300rpmで2時間攪拌した後に、ろ過することにより、不溶分を除去した。上記操作で得られたところ液中に抽出された単量体の量を、液体クロマトグラフを用いて測定した。該単量体の量を残存モノマー量m(g)としたときに、下記(式3)にしたがって、重合率C(質量%)を求めた。C=100×{1-m/(α×M/100)}・・・(式3)
ただし、(式3)中、Cは含水ゲルの重合率(質量%)、Mは含水ゲルの質量(g)、αは含水ゲルの固形分率(質量%)を意味する。
「質量平均粒子径(D50)」 質量平均粒子径(D50)は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3)Mass-Average Particle Diameter(D50) and Logarithmic Standard Deviation(σζ) of Particle Diameter Distribution」に記載の方法に従って測定した。
「吸水性樹脂のダメージ付与後の微粉発生割合」
ダメージテストは、以下の手順で行った:
直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、吸水性樹脂30gと直径6mmのガラスビーズ10gとを入れ、分散機(No.488試験用分散機/株式会社東洋精機製作所製)に設置した。次いで、800(cycle/min)(CPM)で分散機を振とうさせ、40分間経過後、停止させた。その後、目開き2mmのJIS標準篩を用いて、吸水性樹脂とガラスビーズを分離した。
ダメージテストは、以下の手順で行った:
直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、吸水性樹脂30gと直径6mmのガラスビーズ10gとを入れ、分散機(No.488試験用分散機/株式会社東洋精機製作所製)に設置した。次いで、800(cycle/min)(CPM)で分散機を振とうさせ、40分間経過後、停止させた。その後、目開き2mmのJIS標準篩を用いて、吸水性樹脂とガラスビーズを分離した。
ダメージテスト前の吸水性樹脂及びダメージテスト後の吸水性樹脂を目開き150μmのJIS標準篩でそれぞれ分級し、粒子径150μm以下の粒子の質量%を算出した。さらに、次式に従って、ダメージテスト前後での150μm以下の粒子径の吸水性樹脂(微粉)の発生量(増加量)を、吸水性樹脂組成物の全体質量に対する割合として算出した。下記式中「DT後」はダメージテスト後、「DT前」はダメージテスト前を意味する。
ダメージ付与後の微粉発生割合[質量%]=(DT後の粒子径150μm以下の粒子質量の全体質量に対する質量百分率[質量%])-(DT前の粒子径150μm以下の粒子質量の全体質量に対する質量百分率[質量%])
「CRC」
CRC(遠心分離機保持容量)は、NWSP 241.0.R2(15)に準拠して測定した。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で3分間、水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)を求めた。
「CRC」
CRC(遠心分離機保持容量)は、NWSP 241.0.R2(15)に準拠して測定した。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で3分間、水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)を求めた。
「DRC5min」
国際公開第2017/170605号に記載された方法により、吸水性樹脂(1)のDRC5min(浸漬保持容量5分値)を測定した。
国際公開第2017/170605号に記載された方法により、吸水性樹脂(1)のDRC5min(浸漬保持容量5分値)を測定した。
具体的には、図4に示す装置を用い、内径60mmのプラスチックの支持円筒207の底に、ステンレス製400メッシュの金網201(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20~25℃)、湿度50%RHの条件下で、金網201上に吸水性樹脂(1)202 1.000±0.005gを均一に散布し、この測定装置一式の重量Wa(g)を測定した。
底面積が400cm2の円形もしくは正方形のペトリ皿203の内側に直径120mmのガラスフィルター204(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100~120μm)を置き、0.90重量%食塩水206(23±0.5℃)をガラスフィルターの上面と同じレベル(ガラスフィルターの外周上に液が表面張力でわずかに浮き上がっている状態、もしくはガラスフィルターの表面の50%程度が液に覆われている状態)になるように加えた。その上に、直径110mmの濾紙205(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、濾紙の全面が濡れるようにした。
上記測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を吸収させた(測定中も液温度は厳密に23±0.5℃に管理される)。厳密に5分(300秒)後、測定装置一式を持ち上げ、その重量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従ってDRC5min(g/g)を算出した。
[実施例1]
特開平11-071425号の実施例4を参考に以下実験を行った。
特開平11-071425号の実施例4を参考に以下実験を行った。
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および滴下ろうとを付した2000mlの四つ口セパラブルフラスコにシクロヘキサン800gを取り、分散剤としてショ糖脂肪酸エステル(HLB = 6)3.0gを加え溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。
別に、フラスコ中で、アクリル酸ナトリウム141g、アクリル酸36g、およびポリエチレングリコールジアクリレート(n=9)0.522g、イオン交換水413gよりなる単量体溶液(1)を調製し、窒素ガスを吹き込んで水溶液内に溶存する溶存酸素を追い出した。次いで、このフラスコ内の単量体溶液に過硫酸ナトリウムの10%水溶液1.0gを加えた後全量を上記セパラブルフラスコに加えて、230rpmで攪拌することにより分散させた。その後、浴温を60℃に昇温して重合反応を開始させ、2時間この浴温60℃を保持した後、重合を止め、吸引濾過により濾別し、残渣を一晩風乾させることで含水ゲル重合体(1)を得た。含水ゲル重合体(1)の平均一次粒子径は58μmであり、固形分率は36.3重量%、重合率は95.5%であった。
ゲル整粒装置(ドームグラン DG-L1(株式会社ダルトン製)、ドームダイの孔径:0.8mm、押出作用部との隙間:1.2mm、株式会社ダルトン製)に含水ゲル重合体(1)(ゲル温度:90℃)を投入し、ゲル整粒装置から排出されたゲルに対して乾燥助剤として3.5質量%のポリエチレングリコール20000(商品名:PEG-20000、三洋化成工業社製、Mn=20000)水溶液(含水ゲル重合体(1)の固形分率に対して0.20質量%)を添加混合することで整粒ゲル(1)を得た。なお、整粒ゲル(1)の平均粒径は0.7mmであった。
続いて、上記で得られた整粒ゲル(1)を撹拌型乾燥機へ供給し、撹拌型乾燥機中、ジャケット温度200℃にて50分間乾燥して乾燥重合体(1)を得た。乾燥重合体(1)を目開き粒子径850μmの篩を用いて分級したところ、篩を通過しなかった粒子の割合(850μm on量、質量%)は36質量%であった。その後、当該目開き粒子径850μmの篩の非通過物を粉砕し、篩を通過した粒子と粉砕前に目開き粒子径850μmの篩を通過した粒子を混ぜ合わせたものを目開き粒子径150μmの篩を用いて分級した。このようにして目開き粒子径850μmの篩を通過し、150μmの篩を通過しない区画を回収し、吸水性樹脂粉末(1)を得た。なお、目開き粒子径150μmの篩を通過した粒子の割合(150μmPass量、質量%)は4質量%であった。また、吸水性樹脂粉末(1)の質量平均粒子径(D50)の値は、561μmであった。
最後に吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.015質量部、プロピレングリコール1.0質量部及びイオン交換水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液をスプレーで噴霧して、高速連続混合機を用いて均一に混合した。
得られた混合物を雰囲気温度195℃±2℃に調温した熱処理機に導入して、30分間加熱処理を行った後、粉温を60℃まで強制的に冷却することで表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。以下、表面架橋された吸水性樹脂粉末を、「吸水性樹脂粒子」と称する。
上記吸水性樹脂粒子(1)100重量部に対して、ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム0.1重量部及びイオン交換水10重量部からなる混合液を滴下し、均一に混合した。その後、60℃の熱風乾燥機中に静置させ、目開き1000μmのJIS標準篩に通過させることで整粒し、製品として含水率10%の吸水性樹脂(1)を得た。得られた吸水性樹脂(1)の諸物性(CRC、DRC5min、ダメージ付与後の微粉発生割合)を表1に示した。
[実施例2]
浴温を60℃に昇温して重合反応を開始させ、2時間この浴温60℃を保持し重合させた後、アルミナ(高純度アルミナ AKP-3000、住友工業株式会社製)を2.69g加え、さらに同温度を保持して30分間攪拌したこと以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。30分間の攪拌時に系内の含水ゲル重合体同士がくっついていく様子が観察された。その後、吸引濾過により濾別し、残渣を一晩風乾させることで含水ゲル重合体(2)を得た。含水ゲル重合体の平均一次粒子径は59μmであり、固形分率は38.9重量%、重合率は95.8%であった。
浴温を60℃に昇温して重合反応を開始させ、2時間この浴温60℃を保持し重合させた後、アルミナ(高純度アルミナ AKP-3000、住友工業株式会社製)を2.69g加え、さらに同温度を保持して30分間攪拌したこと以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。30分間の攪拌時に系内の含水ゲル重合体同士がくっついていく様子が観察された。その後、吸引濾過により濾別し、残渣を一晩風乾させることで含水ゲル重合体(2)を得た。含水ゲル重合体の平均一次粒子径は59μmであり、固形分率は38.9重量%、重合率は95.8%であった。
実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(2)に対して行い、整粒ゲル(2)、乾燥重合体(2)、吸水性樹脂粉末(2)及び吸水性樹脂(2)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(2)のD50は611μmであった。
[実施例3]
国際公開第2020/067310号図1に示す製造プロセスに従って、分離装置16から排出された含水重合体(3)を得た。ここで、分散装置12としては国際公開第2020/067310号図8に示し、実施例1で用いた二重円筒型の高速回転せん断型攪拌機(分散装置12G)を使用した。
国際公開第2020/067310号図1に示す製造プロセスに従って、分離装置16から排出された含水重合体(3)を得た。ここで、分散装置12としては国際公開第2020/067310号図8に示し、実施例1で用いた二重円筒型の高速回転せん断型攪拌機(分散装置12G)を使用した。
重合反応の準備段階として、疎水性有機溶媒であるn-ヘプタンを、上記分散装置12、反応装置14、上記分離装置16およびこれらを接続する配管(接合部を含む)内に投入した。
続いて、送液ポンプ18を稼働させて、流量300mL/分で疎水性有機溶媒の循環を開始した。また、熱交換器20を稼働させて、設定温度(反応装置において単量体水溶液(3)が投入される領域に存在する疎水性有機溶媒の温度)が90℃となるように、上記循環する疎水性有機溶媒を加熱した。さらに、分散助剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(商品名:ハイワックス(登録商標)1105A/三井化学株式会社)を、上記疎水性有機溶媒100質量%に対して0.005質量%の量で添加した。
続いて、アクリル酸、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を混合し、さらに、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)およびジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体溶液(3)を作製した。また、別途、重合開始剤である過硫酸ナトリウムおよびイオン交換水を混合することで、6質量%の過硫酸ナトリウム水溶液(3)を作製した。
続いて、上記操作で得られた単量体溶液(3)と過硫酸ナトリウム水溶液(3)とを混合装置10に供給して混合することで、単量体水溶液(3)を作製した。該単量体水溶液(3)のモノマー濃度は43質量%であり、中和率は75モル%であった。また、ポリエチレングリコールジアクリレートの量は単量体(アクリル酸)100モル%に対して0.020モル%、ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムの量は単量体(アクリル酸)に対して200ppm、過硫酸ナトリウムの量は単量体(アクリル酸)に対して0.1g/モルであった。
上記分散装置12G(二重円筒型の高速回転せん断型撹拌機)のローターを、回転数が7200rpmとなるように回転させた。次に、単量体水溶液(3)を、流量40mL/分(47.2g/分)で、分散装置の配管に送液した。供給された上記単量体水溶液(3)は、分散装置によって上記疎水性有機溶媒中で液滴状に分散した。
次いで、上記のようにして得られた分散液を、反応装置14に供給した。上記単量体水溶液(3)からなる液滴は、上記連続相である疎水性有機溶媒が満たされた反応装置内を疎水性有機溶媒の循環方向に移動しながら重合し、反応装置の排出口付近において、微小な球形の含水ゲル重合体(3)を確認した。上記一連の操作で得られた含水ゲル重合体(3)は、上記疎水性有機溶媒とともに連続的に反応装置から接合部を介して分離装置16に供給され、該分離装置において、該含水ゲル重合体(3)と有機溶媒とが分離された。分離装置16において含水ゲル重合体(3)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は8mmであり、平均一次粒子径は60μm、含水ゲル重合体(3)における溶媒含有率は1.5質量%、固形分率44.5質量%、重合率98.5%であった。
ゲル整粒装置(ドームグラン DG-L1、ドームダイの孔径:0.5mm、押出作用部との隙間:1.2mm、株式会社ダルトン製)に、予め乾燥助剤として3.5質量%のラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(含水ゲル重合体(3)の固形分率に対して0.20質量%)を添加混合した含水ゲル重合体(3)(ゲル温度:90℃)を投入し、ゲル整粒装置から排出させることで整粒ゲル(3)を得た。なお、整粒ゲル(3)の平均粒径は0.4mmであった。その後、実施例1と同様の条件で乾燥工程以降の処理を整粒ゲル(3)に対して行い、乾燥重合体(3)、吸水性樹脂粉末(3)及び吸水性樹脂(3)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(3)のD50は393μmであった。
[実施例4]
ゲル整粒装置のドームダイの孔径を0.8mmに変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(4)、乾燥重合体(4)、吸水性樹脂粉末(4)及び吸水性樹脂(4)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
ゲル整粒装置のドームダイの孔径を0.8mmに変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(4)、乾燥重合体(4)、吸水性樹脂粉末(4)及び吸水性樹脂(4)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、整粒ゲル(4)の平均粒径は0.7mmであり、吸水性樹脂粉末(4)のD50は504μmであった。
[実施例5]
ゲル整粒装置のドームダイの孔径を1.5mmに変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(5)、乾燥重合体(5)、吸水性樹脂粉末(5)及び吸水性樹脂(5)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
ゲル整粒装置のドームダイの孔径を1.5mmに変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(5)、乾燥重合体(5)、吸水性樹脂粉末(5)及び吸水性樹脂(5)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、整粒ゲル(5)の平均粒径は1.4mmであり、吸水性樹脂粉末(5)のD50は550μmであった。
[実施例6]
内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)の量を単量体(アクリル酸)100モル%に対して0.010モル%へ変更したこと以外は実施例3と同様の条件で重合を行い、含水ゲル重合体(4)を得た。分離装置16において含水ゲル重合体(4)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は8mmであり、平均一次粒子径は60μm、含水ゲル重合体(4)における溶媒含有率は1.5質量%、固形分率は44.5質量%、重合率は98.5%であった。
内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度:9)の量を単量体(アクリル酸)100モル%に対して0.010モル%へ変更したこと以外は実施例3と同様の条件で重合を行い、含水ゲル重合体(4)を得た。分離装置16において含水ゲル重合体(4)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は8mmであり、平均一次粒子径は60μm、含水ゲル重合体(4)における溶媒含有率は1.5質量%、固形分率は44.5質量%、重合率は98.5%であった。
乾燥助剤を3.5質量%のラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(含水ゲル重合体(4)の固形分率に対して0.20質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(4)に対して行い、整粒ゲル(6)、乾燥重合体(6)、吸水性樹脂粉末(6)及び吸水性樹脂(6)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(6)のD50は504μmであった。
[実施例7]
n-ヘプタンに添加する分散助剤を無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸価:18mgKOH/g)0.005重量%添加へ変更したこと以外は実施例3と同様の条件で重合を行い、含水ゲル重合体(5)を得た。溶媒から分離して得た含水ゲル重合体(5)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は2mmであり、平均一次粒子径は40μm、含水ゲル重合体(5)における溶剤含有率は2.0質量%、固形分率44.5質量%、重合率99.0%であった。実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(5)に対して行い、整粒ゲル(7)、乾燥重合体(7)、吸水性樹脂粉末(7)及び吸水性樹脂(7)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
n-ヘプタンに添加する分散助剤を無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸価:18mgKOH/g)0.005重量%添加へ変更したこと以外は実施例3と同様の条件で重合を行い、含水ゲル重合体(5)を得た。溶媒から分離して得た含水ゲル重合体(5)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は2mmであり、平均一次粒子径は40μm、含水ゲル重合体(5)における溶剤含有率は2.0質量%、固形分率44.5質量%、重合率99.0%であった。実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(5)に対して行い、整粒ゲル(7)、乾燥重合体(7)、吸水性樹脂粉末(7)及び吸水性樹脂(7)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(7)のD50は531μmであった。
[実施例8]
国際公開第2020/067310号図1に示した製造プロセスに従って含水ゲル重合体(6)を作製した。
国際公開第2020/067310号図1に示した製造プロセスに従って含水ゲル重合体(6)を作製した。
分散装置12として国際公開第2020/067310号の図9に示される2流体スプレーノズル(外部混合型、スプレーノズル内径:1.0mm、形式:SETO07507S303+TS303、株式会社いけうち製)、反応装置14としてPFA製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を縦に配置したものを、それぞれ使用した。
重合反応の準備段階として、疎水性有機溶媒としてn-ヘプタン(密度:0.68g/ml)にショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステルF-50/第一工業製薬株式会社)を0.005質量%添加した溶液を、上記2流体スプレーノズルの補助流体用流路(第2供給管202)、上記反応装置14、上記分離装置16及びこれらを接続する配管内に投入した。上記2流体スプレーノズルの位置を、2流体スプレーノズルの先端が、反応装置14に収容された疎水性有機溶媒からなる連続相に浸るように調整した。
続いて、送液ポンプ18を稼働させて、流量1000ml/分で、有機溶媒の循環を開始した。この製造方法では、循環させた有機溶媒の経路を、2流体スプレーノズルを介して反応装置に投入する経路と、直接反応装置に投入する経路とに分岐させた。2流体スプレーノズルを介して反応装置に投入される有機溶媒の流量を800ml/分とし、直接反応装置に投入される有機溶媒の流量を200ml/分とした。また、該2流体スプレーノズルの先端部での上記有機溶媒の流速は、7.86m/秒であった。また、熱交換器を稼働させて、設定温度が85℃となるように、上記循環する有機溶媒を加熱した。
次に、アクリル酸、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を混合し、更に、N,N-メチレンビスアクリルアミド及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体溶液(6)を作製した。また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液(6)を作製した。
続いて、上記操作で得られた単量体溶液(6)と過硫酸ナトリウム水溶液(6)とを、それぞれ別個に混合装置10に供給して混合することで、単量体水溶液(6)を調製した。該単量体水溶液(6)のモノマー濃度は43質量%、中和率は70モル%であった。また、内部架橋剤であるN,N-メチレンビスアクリルアミドは単量体に対して0.02モル%、キレート剤であるジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムは単量体に対して100ppm、重合開始剤である過硫酸ナトリウムは単量体に対して0.1g/モルであった。
次に、上記混合装置10で調製した単量体水溶液(6)を、速やかに上記2流体スプレーノズルの単量体水溶液用流路(第一供給管201)に送液した。その後、上記2流体スプレーノズルを用いて、上記有機溶媒とともに、流量40ml/分(23.6g/分)で、単量体水溶液(6)を反応装置14に供給した。該単量体水溶液(6)は、連続相をなす有機溶媒の循環方向と同じ方向(並流)となるように供給した。なお、該2流体スプレーノズルの先端部での上記単量体水溶液(6)の流速は、0.85m/秒であった。また、該2流体スプレーノズルに供給する前の単量体水溶液(6)の液温を25℃に保持した。
上記2流体スプレーノズルによって供給された上記単量体水溶液(6)は、上記連続相中で液滴状に分散した。上記単量体水溶液(6)と上記連続相をなす有機溶媒との比(W/O比)は、3.3容積%であった。
次いで、上記のようにして得られた分散液を、反応装置14に供給した。上記単量体水溶液(6)からなる液滴は、上記連続相である疎水性有機溶媒が満たされた反応装置内を疎水性有機溶媒の循環方向に移動しながら重合し、反応装置14の排出口付近において、微小な球形の含水ゲル重合体(6)を確認した。
上記一連の操作で得られた含水ゲル重合体(6)は、上記疎水性有機溶媒とともに連続的に反応装置14から接合部を介して分離装置16に供給し、該分離装置において、該含水ゲル重合体(6)と有機溶媒とを分離した。分離装置16において含水ゲル重合体(6)は微小な球形が凝集したものであり、その平均粒径は2mmであり、平均一次粒子径は100μm、含水ゲル重合体(6)における溶媒含有率は2.0質量%、固形分率は44.7質量%、重合率は98.4%であった。
乾燥助剤の添加量を3.5質量%のポリエチレングリコール20000(商品名:PEG-20000、三洋化成工業社製、Mn=20000)水溶液(含水ゲル重合体(6)の固形分率に対して0.20質量%)に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(6)に対して行い、整粒ゲル(8)、乾燥重合体(8)、吸水性樹脂粉末(8)及び吸水性樹脂(8)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(8)のD50は454μmであった。
[実施例9]
特開2006-176570号の実施例1を参考に以下実験を行った。
特開2006-176570号の実施例1を参考に以下実験を行った。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000mL容の五つ口円筒型丸底フラスコにn-ヘプタン340g、HLBが3.0のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学株式会社の商品名:S-370)0.92gを加え、分散、昇温して溶解後、55℃まで冷却した。
これとは別に、500mL容の三角フラスコに、80質量%アクリル酸水溶液92g(1.02モル)を仕込み、これを外部から冷却しつつ、30質量%水酸化ナトリウム水溶液102.2g(0.77モル)を滴下して、アクリル酸の75モル%を中和した。さらに、水36.9g、水溶性アゾ系重合開始剤の2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.11g(0.00041モル)および内部架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテル8.3mg(0.000048モル)を添加し、1段目重合用の単量体水溶液(7A)を調製した。
この1段目重合用の単量体水溶液を、前記の五つ口円筒型丸底フラスコに、撹拌下で全量加えて分散させ、系内を窒素で十分に置換した後に昇温し、浴温を70℃に保持して、重合反応を1時間行った後、重合スラリー液を室温まで冷却した。
別の500mL容の三角フラスコに、80質量%アクリル酸水溶液119.1g(1.32モル)を仕込み、これを冷却しつつ30質量%水酸化ナトリウム水溶液132.2g(0.99モル)を滴下して、アクリル酸の75モル%を中和し、さらに水5.8g、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.14g(0.00052モル)およびエチレングリコールジグリシジルエーテル10.7mg(0.000061モル)を添加し、2段目重合用の単量体水溶液(7B)を調製し、氷水浴を用いて冷却した。
この2段目重合用の単量体水溶液を、前記重合スラリー液に全量添加した後、再び系内を窒素で十分に置換した後に浴温を70℃にして昇温して重合反応を開始させ、重合系内温度が最高温度(ピーク温度)を経た直後に重合を止め、吸引濾過により濾別し、残渣を一晩風乾させることで含水ゲル重合体(7)を得た。含水ゲル重合体(7)の一次粒子径は60μmであり、固形分率は44.2重量%、ゲル重合率は98.0%であった。
実施例8と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(7)に対して行い、整粒ゲル(9)、乾燥重合体(9)、吸水性樹脂粉末(9)及び吸水性樹脂(9)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(9)のD50は412μmであった。
[比較例1]
実施例1において、ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(1)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(1)に対して行い、乾燥重合体(C1)、吸水性樹脂粉末(C1)及び吸水性樹脂(C1)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
実施例1において、ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(1)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例1と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(1)に対して行い、乾燥重合体(C1)、吸水性樹脂粉末(C1)及び吸水性樹脂(C1)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(C1)のD50は522μmであった。
[比較例2]
実施例2において、ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(2)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例2と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(2)に対して行い、乾燥重合体(C2)、吸水性樹脂粉末(C2)及び吸水性樹脂(C2)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
実施例2において、ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(2)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例2と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(2)に対して行い、乾燥重合体(C2)、吸水性樹脂粉末(C2)及び吸水性樹脂(C2)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(C2)のD50は419μmであった。
[比較例3]
ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(3)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、乾燥重合体(C3)、吸水性樹脂粉末(C3)及び吸水性樹脂(C3)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(3)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、乾燥重合体(C3)、吸水性樹脂粉末(C3)及び吸水性樹脂(C3)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(C3)のD50は446μmであった。
[比較例4]
使用するゲル整粒装置をKPミニケット(KP-62(ポケットタイプφ1.16)、古河産機システムズ株式会社製)に変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(C4)、乾燥重合体(C4)、吸水性樹脂粉末(C4)及び吸水性樹脂(C4)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
使用するゲル整粒装置をKPミニケット(KP-62(ポケットタイプφ1.16)、古河産機システムズ株式会社製)に変更したこと以外は実施例3と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(3)に対して行い、整粒ゲル(C4)、乾燥重合体(C4)、吸水性樹脂粉末(C4)及び吸水性樹脂(C4)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、整粒ゲル(C4)の平均粒径は1mmであり、吸水性樹脂粉末(C4)のD50は505μmであった。
なお、用いたゲル整粒装置は、ブリケッテング・ロール方式(粉体を回転ロール表面のモールド(ポケット)に食い込ませて圧縮する)ものであり、押出作用部及び多孔板を有していない。
[比較例5]
ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(7)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例9と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(7)に対して行い、乾燥重合体(C5)、吸水性樹脂粉末(C5)及び吸水性樹脂(C5)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
ゲル整粒装置を使用しなかった(すなわち、含水ゲル重合体(7)をゲル整粒装置を介さずに撹拌型乾燥機へ供給した)こと以外は実施例9と同様の条件でゲル整粒工程以降の処理を含水ゲル重合体(7)に対して行い、乾燥重合体(C5)、吸水性樹脂粉末(C5)及び吸水性樹脂(C5)を得た。これらの物性を下記の表1に示す。
なお、吸水性樹脂粉末(C5)のD50は353μmであった。
表1に示す結果から、実施例1~9の製造方法によれば、撹拌型乾燥機を用いて含水ゲル重合体を乾燥した場合であっても、比較例1~5の製造方法と比較して、高いDRC5minを維持したまままたは向上させつつ、撹拌型乾燥機を用いた乾燥により得られた乾燥物に含まれる粗大粒子の量と、当該粗大粒子を粉砕するための粉砕工程において発生する微粉の量と、得られる吸水性樹脂のダメージ付与後の微粉発生割合と、を低減させることができることがわかる。なお、比較例4のゲル整粒装置は、高圧で圧縮するので、整粒力も大きく、過度に含水ゲルが圧密化されたために、DRC5minが顕著に低下したものと考えられる。
200 スクリュー型前押出し式整粒機、
201 金網、
202 吸水性樹脂、
203 ペトリ皿、
204 ガラスフィルター、
205 濾紙、
206 食塩水、
207 支持円筒、
220 送りスクリュー、
220a 球面状先端部、
210 ギヤーボックス、
230 スクリューケース、
240 投入ホッパー、
250 球面状ダイ、
250a 球面状裏面、
260 球面状押出し羽根、
260a 球面状押出し羽根のエッジ、
310、320、330、340 ゲル整粒装置、
311 スクリュー、
312、322、332、342 小孔、
313 ダイス、
321 ロール、
323 回転ダイス、
331 パドル、
333 円筒状ダイス、
336 押込み羽根、
341 押出作用部、
343 多孔板。
201 金網、
202 吸水性樹脂、
203 ペトリ皿、
204 ガラスフィルター、
205 濾紙、
206 食塩水、
207 支持円筒、
220 送りスクリュー、
220a 球面状先端部、
210 ギヤーボックス、
230 スクリューケース、
240 投入ホッパー、
250 球面状ダイ、
250a 球面状裏面、
260 球面状押出し羽根、
260a 球面状押出し羽根のエッジ、
310、320、330、340 ゲル整粒装置、
311 スクリュー、
312、322、332、342 小孔、
313 ダイス、
321 ロール、
323 回転ダイス、
331 パドル、
333 円筒状ダイス、
336 押込み羽根、
341 押出作用部、
343 多孔板。
Claims (6)
- 疎水性有機溶媒からなる液相に単量体を含む液滴が分散または懸濁した状態で前記単量体を重合して含水ゲル重合体を得る重合工程と、
前記含水ゲル重合体を撹拌型乾燥機を用いて乾燥して、粒子状の乾燥重合体を得る乾燥工程と、を含み、
前記含水ゲル重合体を、前記乾燥工程に供する前に、押出作用部および多孔板を有するゲル整粒装置を用いてゲル整粒するゲル整粒工程をさらに含む、吸水性樹脂の製造方法。 - 前記多孔板の孔径が1.5mm以下である、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記ゲル整粒工程において、圧縮度を0.01×10-2~10.0×10-2で行う、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記ゲル整粒装置における前記多孔板と前記押出作用部との間の隙間は、0.1~10.0mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- さらに、表面架橋剤によって表面架橋する表面架橋工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られ、DRC5minが48g/g以上であり、かつダメージ付与後の微粉発生割合が10質量%以下である、吸水性樹脂。
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JP2021030511 | 2021-02-26 | ||
JP2021030511 | 2021-02-26 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022027997A Pending JP2022132183A (ja) | 2021-02-26 | 2022-02-25 | 吸水性樹脂の製造方法 |
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2022
- 2022-02-25 JP JP2022027997A patent/JP2022132183A/ja active Pending
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