JP7172300B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Description
テレフタル酸又はこれを主体とするジカルボン酸成分とエチレングリコール又はこれを主体とするジオール成分とからなり、金属化合物としてカルシウム化合物およびリン化合物に起因する内部粒子を含有するポリエステルであって、かつ該ポリエステル中のカルシウム原子含有量が150~250ppmであり、内部粒子の平均粒子径が0.5~3.0μm、平均粒子径が5μm以上の粗大粒子がなく、粒度分布が一山ピークを持ち、ピーク幅の半値幅が1.0μm未満、280℃での溶融比抵抗が1~10×108Ω・cmであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、
である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジオール成分から構成単位される。好ましくは、優れた機械的特性、耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物が用いられ、構成成分としては、ジメチルテレフタレートを主体とした酸成分、エチレングリコールを主体としたグリコール成分が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、内部粒子生成のため酢酸カルシウムと亜リン酸を含むことが必要である。例えば生成される内部粒子の組成としてはカルボン酸カルシウム塩が約9割、カルシウムとリン系内部粒子が約1割である。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、溶融比抵抗低減および溶液ヘイズ低減の観点から、カルシウム原子を150~250ppm含有することが必要であり、さらに170~230ppmとすることが好ましい。カルシウム原子含有量が250ppmを超えると、溶融比抵抗上昇、溶液ヘイズの上昇で透明性が損なわれる。また、150ppm未満であると、溶液ヘイズの低下や内部粒子の減少により製膜時の易滑性悪化に繋がる。
フィルム欠点増加に繋がる。また溶液ヘイズ15%未満であるとフィルムの易滑性悪化に繋がることがある。
特に1重量%前後が好ましい。粒状ポリエステルの添加量が10.00重量%を超えると、収率面、コスト面から工業上のメリットが小さいばかりでなく、添加設備も大型化するため工業的には不適当となることがある。また粒状ポリエステルの添加量が0.10重量%未満では、溶融時の気泡発生量が少なく、内部粒子の撹拌分散効果が少ないことがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応槽に仕込み触媒として、三酸化アンチモン、酢酸カルシウムを添加し、エステル交換反応でメタノールを規定量留出させビスーβ―ヒドロキシエチルテレフタレート(以下、BHTという)を得る。次いで亜リン酸を添加し、重縮合前に重合槽に粒状ポリエステルを規定量入れ、その後、反応生成物であるBHTを重合槽に移した後、高真空になるまで減圧するとともに290℃程度まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、目標とする固有粘度に到達するまで、重縮合反応する。その後、得られたポリエステル樹脂組成物は重合槽の吐出口金よりストランド状に吐出し、水で冷却したのちカッターによりペレット化することでポリエステル樹脂組成物を製造できる。
[実施例]
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は以下の方法で行った。
ポリエステルの試料ペレットを溶融プレス機で円柱状に成型し、理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて、蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
ポリエステル0.5gを、フェノール/四塩化エタン(6/4重量比)の混合溶媒20mlに100℃で60分攪拌して溶解させ、室温まで冷却後、その溶液を20mmのガラスセルに入れ、スガ試験機製へイズコンピューター(HGM-2DP)で測定した。
ポリエステル樹脂組成物の表面を走査型電子顕微鏡にて1000倍程度の倍率で粒子を観察した。その粒子の画像をイメージアナライザーで20視野を測定した。粒子の画像をイメージアナライザーで二値化し対象物の最大フェレ径に等しい直径を算出した。算出した粒子の直径から体積平均粒子径を算出した。
ポリエステル樹脂組成物の表面を走査型電子顕微鏡にて1000倍程度の倍率で粒子を観察した。その粒子の画像をイメージアナライザーで20視野を測定し、5.0μm以上の粒子径の粒子をカウントした。
銅板2枚を電極として、間にテフロン(登録商標)のスペーサーを挟んで銅板22cm2、銅板間隔9mmの電極を作成する。この電極を280℃で溶融したポリマー中に沈め、電極間に5,000Vの電圧を加えたときの電流量から抵抗値を算出した。
直交ニコル偏光下に製膜した100cm2のフィルムをおき、全体像の中で周りの色の異なるキラキラした部分のうち、長軸が10μm以上の大きさのものをカウントした。単位は個/100cm2。評価は5未満は○、5~10は△、10以上は×とした。
含有するカルシウム原子量が表1となるように添加する酢酸カルシウムの量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。いずれも良好な結果であった。
エステル交換反応終了後リン添加までの時間が表1となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。いずれも良好な結果であった。
リン添加後重合槽移行までの時間が表1となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。いずれも良好な結果であった。
粒状ポリエステル添加量が表1となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。いずれも良好な結果であった。
粒状ポリエステル中の金属塩含有量が表1となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。いずれも良好な結果であった。
含有するカルシウム原子量が表1となるように添加する酢酸カルシウムの量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。溶融比抵抗が目標値を外れ、溶液ヘイズも目標値から外れた。
添加するリン化合物をホスホン酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。内部粒子の平均粒径、粒度分布ピークの半値幅、粗大粒子、溶液ヘイズが悪化した。
エステル交換反応終了後リン添加までの時間が表1となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得た。内部粒子の平均粒径、粒度分布ピークの半値幅、粗大粒子が悪化した。
Claims (3)
- ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとからなるポリエステルに、金属化合物として酢酸カルシウムおよび亜リン酸に起因する内部粒子を含有するポリエステル樹脂組成物であって、かつ該ポリエステル樹脂組成物中のカルシウム原子含有量が150~250ppmであり、内部粒子の平均粒子径が0.5~3.0μm、平均粒子径が5.0μm以上の粗大粒子がなく、粒度分布が一山ピークを持ち、ピーク幅の半値幅が1.0μm未満、280℃での溶融比抵抗が1~10×108Ω・cmであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 溶液ヘイズが15~25%であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
- ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させるに際し、エステル交換反応率が94%時点から固有粘度[η]が0.4に達するまでの間に粒状ポリエステルを添加し、金属塩の添加量がポリエステルの酸成分に対して0.02~1.00重量%、粒状ポリエステルの添加量が生成ポリエステルに対して0.10~10.00重量%であり、かつ該エステル交換反応終了後から30分以内に亜リン酸を添加し、亜リン酸添加から1時間以内に重合開始することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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