JP7171188B2 - 短繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
熱処理は、延伸と同様に、一対のローラーに2~10ターン巻き付けることで行う。
繊維トウが通過する部位は、平面部からなり、前記平面部に開孔部(液体吐出孔)を有する液体付与装置を用い、前記開孔領域に、前記繊維トウを、接触しないように走行させながら、前記開孔部から液体を吐出させ、前記繊維トウに付与する。
上向き(図2-f)、下向き(図2-g)のどちらか一方の液体付与装置を設置してもよいし、上向きと下向きの液体付与装置を併用し、繊維トウを平面部で上下から挟むように設置してもよい。(図2)
前記液体付与装置を、上下で挟むように設置した方が、繊維トウの両面から液体を吐出することで、より均一に液体を付与することができる。
開孔領域が繊維トウの幅よりも狭いと繊維トウの幅方向に液体の付着斑が発生しやすくなり好ましくない。
短繊維水分率は、短繊維重量を基準に3~40%とすることが好ましく、5~35%がより好ましい。
油剤付着率は、繊維重量を基準に0.05~1.0%とすることが好ましく、0.1~0.8%がより好ましい。
この範囲とすることで、油剤等の機能性の液体を繊維トウ内部まで浸透させることができる。
また、抄紙する際の水の繊維間への浸透を促進し、水中分散性が向上する。
延伸をした場合(図3参照)は物性面において好ましく、主体繊維として有用であり、
延伸をしない場合は、未延伸バインダー繊維として有用である。
ポリマーを一定量計量し、35℃のo-クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解してから、常法に従って求めた。
50mmにカットしたサンプルを用い、TEXTECHNO社製のFAVIMAT+機を用いて測定した。
水分、又は、油剤エマルジョンを付与された約100gのカット綿を120℃の熱風循環式の乾燥機中で絶乾になるまで乾燥し、乾燥前の試料の重量W0と乾燥後の試料の重量W1から、次式によって求めた。
短繊維水分率(%)=[(W0-W1)/W1]×100
短繊維水分率が高い方が好ましい。前記水分率が高いほど、より安定した水中分散性が期待できる。
油剤水系エマルジョン濃度に前記(3)の水分率を乗じた計算値として質量%として示した。
短繊維水分率と同様に、油剤付着率が高いほうが好ましい。油剤付着率が高いほどより安定した水中分散性が期待できる。
総繊度は、以下の計算式から算出した。
総繊度(dtex)={1錘当たり吐出量(g/分)×紡糸錘数(錘)×10000}/{紡糸速度(m/分)×総延伸倍率(倍)}
1000mLのメスシリンダーに500mLの水道水を入れ、この中に正味0.1gの短繊維を投入する。繊維がメスシリンダーの底に達したならば、メスシリンダーの開口部に蓋をし、上下を両手で持ち、メスシリンダーを1回反転させて繊維を分散させ、次の基準で水中分散性の良否を判定する。
○: 未分散の繊維束がなく、単繊維1本1本が水中にきれいに広がっている状態
△: 未分散の繊維束は殆どない。単繊維同士の絡みが若干認められるが許容範囲
×: 未分散の繊維束が数本以上あり、単繊維同士の絡みも多い状態。
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレート(PET)チップを、170℃、4時間乾燥した後、287℃で溶融し、孔径0.28mm、孔数が1701の紡糸口金を通して、700g/分で吐出し、ネルソン型ローラー対1で634m/分の速度で引取り、未延伸マルチフィラメント(サブトウ)を得た。このサブトウ4錘分を収束させて44,164dtexとし、収缶することなく連続して、このサブトウを50℃、周速641m/分のネルソン型ローラー対2に6ターン巻き付けて予熱した後、表面温度88℃、周速1,923m/分のネルソン型ローラー対3に6ターンさせて第1段目の延伸をした。次に、表面温度120℃、周速2,500m/分のネルソン型ローラー対4に6ターンさせて第2段目の延伸をした後、表面温度220℃、周速2,500m/分のネルソン型ローラー対5に6ターンさせて熱処理を行って、次いで、表面温度80℃、周速度2,500m/分のネルソン型ローラー対6に6ターンさせ、総繊度11,200dtexの延伸繊維トウを得た。(総延伸倍率3.94倍)
得られた繊維トウを連続して、図1に示す、開孔領域(図1-a)において、繊維トウの走行方向に対して長さ200mm(図1-b)(通過時間0.05秒)、幅100mm(図1-c)(液体吐出面積200cm2)、開孔率0.5%の複数の開孔を有する開孔領域(図1-a)(三角孔パンチング)からなる液体付与装置を用い、図2に示すように、走行する繊維トウを上下で挟むように配置した。繊維トウと開孔部の距離は20mmとした。開孔部からテレフタル酸80モル%とイソフタル酸20モル%からなる酸成分と、平均分子量3,000のポリエチレングリコール70重量%とエチレングリコール30重量%からなるジオール成分の構成で得た、平均分子量約12,000のポリエーテル・ポリエステル共重合体の水性分散液(エマルジョン濃度2重量%)であるエマルジョン油剤を、吐出量16.0kg/分(液体吐出流速1.3m/秒)で吐出させ、繊維トウに油剤を付与した後、高速カッター(Oerlikon Neumag製 NMC-H290)で、カット長5mmでカットした。この時の繊維トウのカット速度は、2,500m/分、液体付与装置の通過時間は0.005秒であった。ここで使用した高速カッターは、カッター刃の切断側が上方に向くように、そして各カッター刃は放射状に配列したものであった。そして、カッター刃の切断側のさらに上方に配置される回転するローターに、延伸マルチフィラメントから構成されるトウを巻きつけ、さらに上方に設置した傾斜リングにより、徐々に押し切りし、トウを切断して短繊維化するものであった。またカッター刃の切断面から背面(カット繊維排出側)まで刃間距離は一定であり、カット中でも、繊維の排出抵抗の上昇はなく、刃折れも発生しなかった。高速カット速度にもかかわらず、水中分散性は良好であった。条件及び得られた短繊維の評価結果を表1に示した。
液体吐出量を4.0kg/分(液体吐出流速0.3m/秒)とした以外は、実施例1と同等とし、短繊維を得た。液体吐出流速が低い領域ではあるが、水中分散性は許容の範囲であった。条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
走行方向開孔領域長さを50mmとし(液体吐出面積50cm2、通過時間が0.001秒)、液体吐出量を1.8kg/分(液体吐出流速0.6m/秒)とした以外は、実施例1と同等とし、短繊維を得た。水中分散性は良好であった。条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
走行方向開孔領域長さを10mmとし(液体吐出面積10cm2、通過時間が0.0002秒)、液体吐出量を0.8kg/分(液体吐出流速1.3m/秒)とした以外は、実施例1と同等とし、短繊維を得た。短繊維水分率、油剤付着率ともに低めであり、水中分散性は不良であった。条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
液体吐出量を0.8kg/分(液体吐出流速0.1m/秒)とした以外は、実施例1と同等とし、短繊維を得た。短繊維水分率、油剤付着率ともに低めであり、水中分散性は不良であった。条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレート(PET)チップを、170℃、4時間乾燥した後、287℃で溶融し、孔径0.28mm、孔数が1701の紡糸口金を通して、700g/分で吐出し、ネルソン型ローラー対1で1350m/分の速度で未延伸糸を引き取る以降、このサブトウ4錘分を収束させ、収缶することなく連続して、このサブトウを50℃、周速1362m/分のネルソン型ローラー対2に6ターン巻き付けて予熱した後、表面温度88℃、周速3,037m/分のネルソン型ローラー対3に6ターンさせて第1段目の延伸をした。次に、表面温度120℃、周速3,500m/分のネルソン型ローラー対4に6ターンさせて第2段目の延伸をした後、表面温度220℃、周速3,500m/分のネルソン型ローラー対5に6ターンさせて巻き付けて熱処理を行って、次いで、表面温度80℃、周速度3,500m/分のネルソン型ローラー対6に6ターンさせ、総延伸倍率2.57倍で延伸、及び、熱処理を実施し、総繊度40,400dtexの延伸繊維トウを得た。
得られた繊維トウを連続して、実施例1で使用した液体付与装置(長さ200mm(通過時間0.003秒、)幅100mm(液体吐出面積200cm2)、開口率0.5%。繊維トウ~開口部距離20mm)を用い、走行トウ速度3,500m/分とした以外は、請求項1と同等とし、短繊維を得た。高速カット速度にもかかわらず、水中分散性は良好であった。条件及び得られた短繊維の評価結果を表1に示した。
ネルソン型ローラー対1~対6を、ローラー表面温度が常温(15~40℃)の状態で各ローラー間をそれぞれ1.01倍として、総延伸倍率を1.05倍とし、カッター前速度を660m/分に変更した以外は、実施例1と同様の条件とした。開孔部の通過秒数は0.018秒、水中分散性は良好であった。工程条件及び得られた短繊維の評価結果を表1に示した。
図1に示す液体付与装置において、図2におけるf部を除いてg部のみの片面から液体を付与し、液体吐出量を8.0kg/分(液体吐出流速0.7m/秒)とした以外は、実施例1と同等とし、短繊維を得た。水中分散性は良好であった。条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
実施例1と同じ繊維トウ、エマルジョン油剤を用い、直径145mmのゴムローラーからなるオイリングローラーを用いて、オイリングを行った。繊維トウのオイリングローラーへの接触角度を水平面から30°とし、抱き角は100°とした。ローラーの回転方向は、繊維トウの走行方向と同じ(順方向)とし、ローラー回転数を39回転/分に設定した。カット速度が高速のため、液体付与率が低く、水中分散性が不充分であった。工程条件及び得られた無捲縮短繊維の評価結果を表1に示した。
b.繊維トウ走行方向の開孔領域長さ
c.開孔領域幅
d.繊維トウ
e.繊維トウ幅
f.図1と同じ向きの平面部(開孔部が上向き、重力と反対方向)
g.図1を垂直に180°反転させた向きの平面部(開孔部が下向き、重力方向)
h.平面部と繊維トウの距離
A.紡糸工程
B.収束
C.延伸、オーバーフィード等の工程
D.液体塗布工程
E.カット工程
Claims (8)
- 短繊維の製造方法であって、前記短繊維の表面に液体を付与するプロセスを有し、前記プロセスが繊維トウに液体を付与するプロセスを含み、前記繊維トウが通過する部位が平面部からなり、前記平面部の一部に開孔領域を設け、前記開孔領域は繊維トウの走行方向に対して長さ(図1-b)と開孔領域幅(図1-c)を有し、前記開孔領域に開孔部(液体吐出孔)を有する液体付与装置を用い、開孔部の形状・形成方法が、プレス打ち抜きによるパンチングプレート形状、穴の開いたワイヤーを巻回した線材巻きによるもの、
ワイヤーの織り編みによって形成されたメッシュ状のもの、または不織布状のもののいずれかで構成され、開孔部の総面積を、開孔領域の面積で除して100を乗じた値と定義する開孔率が10%以下であり、繊維トウを、前記開孔領域の上側、および/または下側を、前記開孔部に接触させることのないように走行させながら前記開孔部から液体を0.2m/秒以上の流速で吐出させて、前記繊維トウが液体付与装置の開孔領域(図1-a)を走行する通過時間が0.001~0.05秒であることを特徴とする、短繊維の製造方法。 - 前記繊維トウのカット速度が200~4,000m/分である、請求項1に記載の短繊
維の製造方法。 - 請求項1に記載の液体が、水、および/またはアルキレングリコール誘導体を含む油剤
を付与する請求項1、または2に記載の短繊維の製造方法。 - 請求項1に記載の液体が、水および/またはポリエーテル・ポリエステル系共重合体か
らなる油剤エマルジョンである、請求項1~3のいずれか1項記載の短繊維の製造方法。 - 前記液体を付与した後、繊維トウをニップローラーで把持する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の短繊維の製造方法。
- 短繊維がポリエステル系樹脂からなる請求項1~5のいずれか1項記載の短繊維の製造
方法。 - 紡糸後の未延伸マルチフィラメントの1本、または複数本を収束させた繊維トウを、収
缶することなく連続して延伸を施す工程を含み、上記記載の開孔部から液体を吐出させ、
前記繊維トウに付与した工程を経た後、さらに連続してカッターもしくは高速カッターで
カットする工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の短繊維の製造方法。 - 前記カットが、複数のカッター刃を有し、各カッター刃の間隔がカッター刃の切断面か
ら背面まで同一である短繊維用カッターによってカットする方法である請求項1~7のい
ずれか1項に記載の短繊維の製造方法。
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