JP2019081977A - 熱伸長性ショートカット繊維、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】地合いが良好で、嵩高性や柔軟性を具備する湿式不織布の製造が可能な熱伸長性ショートカット繊維、およびその製造方法を提供する。【解決手段】(1)熱可塑性合成樹脂からなり、10%伸度時の強度が1cN/dtex以下、破断伸度が80〜200%、180℃で20分間処理後の熱伸長率が1〜20%である、熱伸長性ショートカット繊維、および(2)前記(1)記載の熱伸長性ショートカット繊維を製造する方法であって、溶融紡糸された未延伸繊維を、65℃以下で自然延伸倍率の1.03〜1.10倍で延伸後、オーバーフィード率が10〜50%で90℃以上の温度で熱処理を施す工程を通過させることを特徴とする熱伸長性ショートカット繊維の製造方法、である。【選択図】 図1
Description
本発明は、ショートカット繊維、およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、熱伸長性を付与したショートカット繊維、およびその製造方法に関するものであり、該ショートカット繊維を用いて不織布を製造すれば、嵩高、かつ柔らかい風合いをもちつつ、ウェブ地合い悪化が防止された湿式不織布が得られる。
繊維長が2〜25mmのショートカット繊維は、湿式不織布(抄紙ともいう)用として多く使用されている。
一般的に、ショートカット繊維は、抄紙工程(湿式不織布製造工程)の水中分散性や不織布の地合いを考慮して、無捲縮のものが多く、かつ、抄き上げ後の乾燥やカレンダー工程で熱収縮を起こすため、得られる湿式不織布はペーパーライクで硬い風合いのものが多かった。(非特許文献1の34ページc)
また、嵩高性も、捲縮を付与した短繊維を用いる乾式不織布に比べると劣る傾向にある。(非特許文献1の29ページの乾式不織布や乾式パルプ不織布との特徴比較。)
また、嵩高性も、捲縮を付与した短繊維を用いる乾式不織布に比べると劣る傾向にある。(非特許文献1の29ページの乾式不織布や乾式パルプ不織布との特徴比較。)
このような課題を解決するために、サイドバイサイド型複合繊維や、偏心芯鞘型複合繊維のショートカット繊維を用いて、熱処理の段階でらせん状、またはΩ型の立体捲縮を発現させ、嵩高性、柔軟性を不織布に付与することが提案されている。(特許文献1、2)
しかしながら、このような繊維は、抄紙工程の抄き上げ紙の乾燥(直接加熱体に接触するヤンキー式もしくは多筒式の接触乾燥型)やサーモカレンダー等の加熱工程において、立体捲縮により、不織布としては収縮によるウェブ地合い悪化(密度斑)する問題がある。
不織布の基礎知識 第9版(日本不織布協会 発行、1997年5月1日初版発行、2012年6月1日第9版発行)
本発明は、前記背景のもとになされたものであり、地合いが良好で、嵩高性や柔軟性を具備する湿式不織布の製造が可能な熱伸長性ショートカット繊維、およびその製造方法を提供する。
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者は、ウェブ地合いの悪化、即ち不織布の密度斑と、不織布を構成するショートカット繊維の熱伸長性には密接な関係があることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は、
(1)熱可塑性合成樹脂からなり、10%伸度時の強度が1cN/dtex以下、破断伸度が80〜200%、180℃で20分間処理後の熱伸長率が1〜20%である、熱伸長性ショートカット繊維、および
(2)前記(1)記載の熱伸長性ショートカット繊維を製造する方法であって、溶融紡糸された未延伸繊維を、65℃以下で自然延伸倍率の1.03〜1.10倍で延伸後、オーバーフィード率が10〜50%で90℃以上の温度で熱処理を施す工程を通過させることを特徴とする熱伸長性ショートカット繊維の製造方法、である。
(1)熱可塑性合成樹脂からなり、10%伸度時の強度が1cN/dtex以下、破断伸度が80〜200%、180℃で20分間処理後の熱伸長率が1〜20%である、熱伸長性ショートカット繊維、および
(2)前記(1)記載の熱伸長性ショートカット繊維を製造する方法であって、溶融紡糸された未延伸繊維を、65℃以下で自然延伸倍率の1.03〜1.10倍で延伸後、オーバーフィード率が10〜50%で90℃以上の温度で熱処理を施す工程を通過させることを特徴とする熱伸長性ショートカット繊維の製造方法、である。
本発明により、熱伸長性ショートカット繊維、およびその製造方法を提供することができ、地合いが良好で、嵩高性、かつ風合いの柔らかい湿式不織布が期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のショートカット繊維を構成するポリマーとしては、紡糸口金から吐出して繊維が成形される合成樹脂であれば足りるが、具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル系、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系、ポリアミド6やポリアミド66等の脂肪族ポリアミド系、ポリパラフェニレンテレフタラミドやポリメタフェニレンイソフタラミドなどの芳香族ポリアミド系、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系やビニロン、ポリフェニレンスルフィド等、使用目的に応じて任意に選択することが可能である。
一般に、紡糸速度が3,000m/min以上の高速紡糸繊維(部分配向繊維;POYともよばれる)からなる繊維は、熱伸長性(ここでは自己伸長性と呼ぶこともある)を示し、高速紡糸が設備的に可能であるフィラメント紡糸機で得たフィラメントを引き揃えて、水中分散が良好な親水油剤を付与し、オフラインのカッターでショートカット繊維にする方法も可能である。
ここで述べる熱伸長性とは、熱を加えることにより伸びる性質をもつことである。
ショートカット繊維の生産性を考慮すると、短繊維の装置(紡糸速度2,000m/min以下)が好ましいが、このプロセスでも熱伸長性繊維の製造が可能となる。
繊維用原料のポリマーとしては、エチレンテレフタレートが主たる成分であるポリエチレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルについては、目的に応じて、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、α、β―(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4、4−ジカルボキシフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらのエステル類、ジオール成分としてジエチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール等を1成分以上共重合させてもよく、さらにペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸等の3個以上のカルボン酸成分、または水酸基をもつ成分を共重合して分岐をもたせてもよい。
また、上記に例示されるような組成の異なるポリマーの混合物も含まれる。さらに、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
また、ポリエステルの固有粘度としては、0.30〜1.30dl/g、好ましくは、0.40〜1.20dl/gの範囲とすることが望ましい。
固有粘度が前述範囲より高くても低くても、安定した生産性、品質が得られない可能性がある。
本発明の熱伸長性ショートカット繊維は、従来の短繊維のプロセスとして公知の紡糸工程と延伸・熱処理・カット・梱包工程が分離された2ステップ以上の通常の紡績用や乾式不織布用、詰綿用の捲縮付短繊維(繊維長が30mm以上)の製造工程をベースとするが、熱伸長繊維を製造するポイントとしては、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル(以下PETと称す)を、紡糸速度2,000m/min以下、好ましくは1,300m/min以下の引き取りで未延伸糸を得る。
その後、横型延伸機に移行し、PETのガラス転移温度(約70℃)未満である65℃以下の温水中で未延伸糸の自然延伸倍率(以下、NDRと称すことがある)の1.03〜1.10、好ましくは1.03〜1.08倍の低延伸倍率で、分子配向歪みを残しながら延伸後、90℃以上の温度で弛緩熱処理、あるいはオーバーフィード率10〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは30〜50%で熱処理することを特徴とする。
弛緩熱処理は、空気中、温水中のいずれでもよい。
ここでいう弛緩熱処理とは、トウが大きく弛まない程度で、トウにかかるテンションが実質ゼロとなるように熱処理機内を搬送して熱処理することをいう。
オーバーフィードとは、上流側のローラーの速度を下流側のローラーの速度より速く設定することで行う。すなわち、上流側(紡糸側)のローラー対の周速度V1m/分、下流側のローラー対の周速度をV2m/分とすると、V1をV2より大きく設定することである。
本願に記載するオーバーフィード率は、[(V1−V2)/V1]×100(%)と定義する。
その後は、抄紙工程のスラリーに均一に分散するように親水性油剤を付与し、公知のロータリーカッターで2〜20mmのショートカット繊維とし、梱包する。
紡糸速度は、その後の延伸工程で熱伸長性を付与、制御するため、高速紡糸による未延伸糸の配向結晶化が進まない範囲で小さく設定する。
その未延伸糸をより低温・低倍率で延伸する理由は、高速紡糸で形成されている結晶の配向とサイズを合わせるためであって、延伸後の弛緩熱処理、またはオーバーフィード条件での熱処理工程での熱収縮を大きくして、結晶の配向低下と結晶化の促進を進めるためである。
1段目の延伸温度が65℃を超える、更にはPETのガラス転移温度である70℃を超えると配向結晶化が進み、2段目の弛緩収縮やオーバーフィード率が低下し、十分な熱伸長率が得られない。
また、未延伸糸のNDRの1.03〜1.10倍より高くても低くても2段目の弛緩収縮やオーバーフィード率が低下し、十分な熱伸長率が得られない。
なお、NDRが何を示すかは、図1に示す。
1段目の低温低倍率延伸を経た延伸糸は、2段目の弛緩熱処理、またはオーバーフィードに入るが、温度は90℃以上であることが必要である。温度が90℃未満であると、結晶化率、結晶サイズともに不十分で、熱伸長性が小さくなる。好ましくは91℃以上、更に好ましくは95℃以上、最も好ましいのは100℃以上である。
その後、抄紙工程での水中分散性を向上するために親水性油剤を付与するが、ポリエーテル・ポリエステル共重合体を主たる成分とする油剤を付与することが好ましい。
本発明で用いられる抄紙用の親水性油剤としては、ポリエーテル・ポリエステル共重合体が好ましい。具体的には、テレフタル酸および/またはイソフタル酸、低級アルキレングリコール、並びにポリアルキレングリコールおよび/またはそのモノエーテルからなるものであることが好ましい。
ここで好ましく用いられる低級アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどが挙げられる。一方、好ましく用いられるポリアルキレングリコールとしては、平均分子量が600〜6,000のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールが例示できる。さらにポリアルキレングリコールのモノエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテル等があげられる。
なお、好ましく用いられるポリエーテル・ポリエステル共重合体は、テレフタレート単位とイソフタレート単位のモル比が95:5〜40:60の範囲内が水中分散性の点から好ましいが、アルカリ金属塩スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を少量共重合していてもよい。
このような成分からなるポリアルキレングリコール誘導体の平均分子量は、使用するポリアルキレングリコールの分子量にもよるが、通常1,000〜20,000、好ましくは3,000〜15,000である。
平均分子量が少なすぎると水中分散性の向上効果が十分でなく、一方大きすぎると該重合体の乳化分散が難しくなる。
また、このようなポリアルキレングリコール誘導体は、通常水分散液として繊維表面に付着させるが、このようなポリアルキレングリコール誘導体は、通常、比較的容易に水中へ分散させることができる。なお、得られる水性分散液の安定性をより向上させるため、界面活性剤や有機溶媒を少量添加してもよく、また油剤等の各種処理剤を混合使用しても何ら差しつかえない。
このようなポリアルキレングリコール誘導体を延伸トウに付着させる方法は特に限定されないが、トウにスプレー、ローラータッチ(キスロール)、ディップバスで付与した後、油剤付着量の安定化、かつ付着の均一のために、ローラーニップを行うことが好ましい。
ショートカットに使用されるカッターは、通常の短繊維工程で用いられるロータリーカッターが好ましい。ロータリーカッターは、例えば実用新案登録3103190号公報に記載されているようなものであり、欠点の原因となる繊維長バラツキを低減させる点からも好ましい。
得られた熱伸長性ショートカット繊維は、180℃で20分間の処理条件で1〜20%、好ましくは3〜18%の熱伸長率である。(乾熱収縮率としては、−20〜−1%、好ましくは−18〜−3%である。)
熱伸長により、抄き上げ時は捲縮を発現しないが、抄紙後のドライヤーの温度を上げることによって、繊維自体が熱伸長を発現し、湿式不織布の厚みが増す。
熱伸長により、抄き上げ時は捲縮を発現しないが、抄紙後のドライヤーの温度を上げることによって、繊維自体が熱伸長を発現し、湿式不織布の厚みが増す。
更に、この繊維は、10%強度が1.0cN/dtex以下、好ましくは0.8cN/dtex以下であり、破断伸度は、80〜200%、好ましくは100〜180%と柔らかい繊維であり、熱伸長した後は、これより更に柔らかくなるので(低モデュラス、高伸度)、前記の特許文献で挙げた繊維より不織布の風合いが柔軟で、更には立体捲縮を発現しない分、不織布の地合いもよい。
以下に本発明の構成、及び効果を具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明は、これら実施例になんら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度([η])
ポリマーを一定量計量し、35℃のo−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解してから、常法に従って求めた。
ポリマーを一定量計量し、35℃のo−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解してから、常法に従って求めた。
(2)融点(Tm)、ガラス転移点(Tg)
TAインスツルメント・ジャパン(株)社製のサーマル・アナリスト2200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
TAインスツルメント・ジャパン(株)社製のサーマル・アナリスト2200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)単糸繊度
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(4)強度・伸度・10%強度
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.7.1法に記載の方法により測定した。なお、強度は最大強度、伸度は破断伸度を示す。10%強度は、引張強伸度試験において、伸度が10%のときに対応する強度を示す。
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.7.1法に記載の方法により測定した。なお、強度は最大強度、伸度は破断伸度を示す。10%強度は、引張強伸度試験において、伸度が10%のときに対応する強度を示す。
(5)熱伸長率(負の乾熱収縮率)
カッター前のトウを1mサンプリングし、1,500〜2,500dtexに小分けして、100gの重りをつるした段階で試長を500mm(=L1)とする。180℃で20分間処理後、再び100gの荷重をかけて糸長間距離(=L2)を測定し、次式で熱伸長率(負の乾熱収縮率)を算出する。
−(L1−L2)/L1×100(単位:%)
カッター前のトウを1mサンプリングし、1,500〜2,500dtexに小分けして、100gの重りをつるした段階で試長を500mm(=L1)とする。180℃で20分間処理後、再び100gの荷重をかけて糸長間距離(=L2)を測定し、次式で熱伸長率(負の乾熱収縮率)を算出する。
−(L1−L2)/L1×100(単位:%)
(6)抄紙評価(不織布評価)
繊維長5mmのショートカット繊維を約1質量%の水スラリーとし、熊谷理機工業株式会社製の角型シートマシンを使って、大きさが約25cm×約25cmで、目付けが約50g/m2の手抄きウェブを作成する。
繊維長5mmのショートカット繊維を約1質量%の水スラリーとし、熊谷理機工業株式会社製の角型シートマシンを使って、大きさが約25cm×約25cmで、目付けが約50g/m2の手抄きウェブを作成する。
次に該ウェブをヤンキー式ドライヤーにより110℃で60秒乾燥・熱処理を行って抄き上げ紙を得て、その後、170℃の熱風オーブン中で5分のフリー熱収縮を行って評価用湿式不織布サンプルを得た。
不織布厚みはJIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて測定した。
地合いは目視による官能評価、風合い(柔軟さ)は45度カンチレバー法(JIS L1096 6.19.1A法)による剛軟度で判断した。
(剛軟度が小さい程、柔らかいということを示す。)
(剛軟度が小さい程、柔らかいということを示す。)
[実施例1]
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートチップを170℃で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを3,000孔有する公知の紡糸口金から溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は500g/分であった。
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートチップを170℃で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを3,000孔有する公知の紡糸口金から溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は500g/分であった。
さらに、吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1,230m/minで巻き取り、未延伸糸を得た。このときの、NDRは100%(2.00倍)であった。続いて、65℃の温水中で2.1倍でネック延伸し(NDRの1.05倍)、更に92℃の温水中でオーバーフィード率43%(延伸倍率換算で0.57倍)のオーバーフィードを行い、その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。延伸速度は70m/minに設定した。
この時の単糸繊度は1.2dtex、強度は2.4cN/dtex、伸度は160%、10%強度は0.7cN/dtex、熱伸長率は15%であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.32mm、地合いは穴あきや斑もなく均一であり良好、剛軟度0.8cmであり、柔らかい風合いであった。結果を表1に記す。
[比較例1]
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートチップを170℃で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを1,540孔有する公知の紡糸口金から溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は500g/分であった。
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートチップを170℃で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを1,540孔有する公知の紡糸口金から溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は500g/分であった。
さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1,230m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。このときのNDRは100%(2.00倍)であった。
続いて、72℃の温水中で2.3倍でネック延伸し(NDRの1.15倍)、更に92℃の温水中で1.1倍の2段目延伸を行い、その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、120℃で連続熱風循環式オーブンで弛緩熱処理した後、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。延伸速度は70m/minに設定した。この時の単糸繊度は1.2dtex、強度は4.5cN/dtex、伸度は50%、10%強度は1.7cN/dtex、熱伸長率は−6.0%(乾熱収縮率は6.0%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.20mm、地合いは穴あきや斑もなく均一であり良好、剛軟度2.0cmであり、ペーパーライクで硬い不織布であった。結果を表1に記す。
[比較例2]
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート及び固有粘度0.47dl/gのポリエチレンテレフタレートの2種のチップを、共に170℃で5時間乾燥後、通常の複合溶融紡糸装置を使用して溶融し、2種の成分が偏心芯鞘に複合(質量比50:50)するようにして(孔直径0.30mm、口金孔数1,032)、口金温度290℃、総吐出量 440g/分でストランド状に吐出させた。
固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート及び固有粘度0.47dl/gのポリエチレンテレフタレートの2種のチップを、共に170℃で5時間乾燥後、通常の複合溶融紡糸装置を使用して溶融し、2種の成分が偏心芯鞘に複合(質量比50:50)するようにして(孔直径0.30mm、口金孔数1,032)、口金温度290℃、総吐出量 440g/分でストランド状に吐出させた。
さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1,350m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。このときの、NDRは110%(2.10倍)であった。
続いて、72℃の温水中で2.5倍でネック延伸し(NDRの1.19倍)、更に92℃の温水中で1.0倍の2段目延伸を行い、その後、140℃の熱ローラーで1.0倍で熱処理後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。延伸速度は70m/minに設定した。この時の単糸繊度は1.2dtex、強度は2.8cN/dtex、伸度は70%、10%強度は0.8cN/dtex、熱伸長率は−18.2%(乾熱収縮率は18.2%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.38mmで嵩が出たが、立体捲縮を発現するため、地合いは穴あきや斑が酷いものであった。剛軟度は1.1cmであり、柔らかい風合いであった。結果を表1に記す。
[実施例2、3]
熱伸長率が、それぞれ3%、18%になるように延伸およびオーバーフィード率の条件を変更した以外は、実施例1と同様の条件にて実施した。ただし、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。地合いは穴あきや斑もなく均一であり良好、剛軟度はそれぞれ1.2cm、0.7cmであり、柔らかい風合いであった。結果を表1に記す。
熱伸長率が、それぞれ3%、18%になるように延伸およびオーバーフィード率の条件を変更した以外は、実施例1と同様の条件にて実施した。ただし、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。地合いは穴あきや斑もなく均一であり良好、剛軟度はそれぞれ1.2cm、0.7cmであり、柔らかい風合いであった。結果を表1に記す。
[比較例3]
連続熱風循環式オーブンの工程を省略した以外は、比較例1と同様の条件にて実施した。但し、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。
強度は5.2cN/dtex、伸度は32%、10%強度は2.9cN/dtex、熱伸長率は−10%(乾熱収縮率は10%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.17mm、地合いは斑があり、剛軟度は2.4cmであり、ペーパーライクで硬い風合いであった。結果を表1に記す。
連続熱風循環式オーブンの工程を省略した以外は、比較例1と同様の条件にて実施した。但し、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。
強度は5.2cN/dtex、伸度は32%、10%強度は2.9cN/dtex、熱伸長率は−10%(乾熱収縮率は10%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.17mm、地合いは斑があり、剛軟度は2.4cmであり、ペーパーライクで硬い風合いであった。結果を表1に記す。
[比較例4]
熱伸長率が25%になるようにネック延伸温度を55℃とし、およびオーバーフィード率を50%(延伸倍率換算で0.5倍)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にて実施した。ただし、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。
強度は1.7cN/dtex、伸度は210%、10%強度は0.5cN/dtex、熱伸長率は25%(乾熱収縮率は−25%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.37mmでかさ高となり、剛軟度は1.0cmで柔らかい風合いであったが、地合いは斑が目立つものであった。結果を表1に記す。
熱伸長率が25%になるようにネック延伸温度を55℃とし、およびオーバーフィード率を50%(延伸倍率換算で0.5倍)に変更した以外は、実施例1と同様の条件にて実施した。ただし、吐出量は繊度を1.2dtexに合わせるように調整した。
強度は1.7cN/dtex、伸度は210%、10%強度は0.5cN/dtex、熱伸長率は25%(乾熱収縮率は−25%)であった。
これから得た湿式不織布の不織布厚みは0.37mmでかさ高となり、剛軟度は1.0cmで柔らかい風合いであったが、地合いは斑が目立つものであった。結果を表1に記す。
Claims (4)
- 熱可塑性合成樹脂からなり、10%伸度時の強度が1cN/dtex以下、破断伸度が80〜200%、180℃で20分間処理後の熱伸長率が1〜20%である、熱伸長性ショートカット繊維。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる、請求項1記載の熱伸長性ショートカット繊維。
- 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.30〜1.30dl/gである、請求項2に記載の熱伸長性ショートカット繊維。
- 請求項1〜3記載の熱伸長性ショートカット繊維を製造する方法であって、溶融紡糸された未延伸繊維を、65℃以下で自然延伸倍率の1.03〜1.10倍で延伸後、オーバーフィード率が10〜50%で90℃以上の温度で熱処理を施す工程を通過させることを特徴とする熱伸長性ショートカット繊維の製造方法。
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