JP2019039111A - ショートカット繊維の製造方法、およびそのショートカット繊維を用いてなる抄紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】
抄紙欠点が生じにくく、熱収縮率が改善されたショートカット繊維の製造方法、抄紙を提供することにある。
【解決手段】
合成樹脂からなる未延伸糸をネック延伸後、90〜100℃の温水中、または150℃以下の飽和水蒸気中で5〜30%のオーバーフィード条件で熱処理し、続いて油剤付与し、トウを弛ませることなくカットすることを特徴とするショートカット繊維の製造方法である。
【選択図】 なし
抄紙欠点が生じにくく、熱収縮率が改善されたショートカット繊維の製造方法、抄紙を提供することにある。
【解決手段】
合成樹脂からなる未延伸糸をネック延伸後、90〜100℃の温水中、または150℃以下の飽和水蒸気中で5〜30%のオーバーフィード条件で熱処理し、続いて油剤付与し、トウを弛ませることなくカットすることを特徴とするショートカット繊維の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ショートカット繊維の製造方法、およびそれからなる抄紙に関する。さらに詳しくは、抄紙製造時の抄紙欠点が発生しにくく、かつ乾燥、熱処理後の寸法安定性に優れたショートカット繊維の製造方法、およびそのショートカット繊維を用いてなる抄紙に関する。
繊維長が一般的に2〜25mmのショートカット繊維は、湿式不織布用(抄紙用)に使用されることが多く、その製造方法は、従来の紡績用や乾式不織布用と同じ30mm以上の一般的短繊維と同様に、未延伸糸を得る紡糸工程と、延伸・熱処理・カット・梱包工程が2つ以上に分かれた製造方法で生産されている。延伸ショートカット繊維の場合、湿式不織布(抄紙)工程で受ける乾燥および熱固定のための熱処理において、熱収縮を抑える必要があり、延伸後に熱ローラー等を用いて樹脂の結晶化温度以上での緊張熱処理を行うか(例えば、特許文献1の実施例1)、熱オーブン中で樹脂のガラス転移温度以上でテンションフリーの状態で弛緩熱処理を行う必要がある(例えば、特許文献2の実施例)。
ところが、前者は結晶化の進行中に繊維単糸間で膠着し、塊状の抄紙欠点に繋がるリスクが高く、後者は温度分布が生じてオーブン中での熱収縮差が生じ、単糸間に弛みや捌けが生じるために過長繊維が生じ、それが繊維の絡みに繋がり、抄紙欠点となる。
本発明は、上記背景のもとになされたものであり、抄紙欠点が生じにくく、熱収縮率が改善されたショートカット繊維の製造方法、それから得られた抄紙を提供することにある。
本発明は、合成樹脂からなる未延伸糸をネック延伸後、90〜100℃の温水中、または150℃以下の飽和水蒸気中で5〜30%のオーバーフィード条件で熱処理し、続いて油剤付与し、トウを弛ませることなくカットすることを特徴とするショートカット繊維の製造方法である。
本発明により、抄紙欠点が少なく、熱収縮率が低いショートカット繊維の製造方法、およびそれを用いた抄紙を提供することができるに至った。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のショートカット繊維を構成するポリマーとしては、紡糸口金から吐出して繊維が成形される合成樹脂であれば足りるが、より具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル系、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系、ポリアミド6やポリアミド66等の脂肪族ポリアミド系、ポリパラフェニレンテレフタラミドやポリメタフェニレンイソフタラミドなどの芳香族ポリアミド系、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系やビニロン、ポリフェニレンスルフィド、等、使用目的に応じて任意に選択することが可能であるが、本発明は、特に、エチレンテレフタレートを主たる成分である、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルについて検討された。従って、同様の考え方をあらゆるポリマーに適用が可能である。ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルについては、目的に応じて、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、α、β―(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4、4−ジカルボキシフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらのエステル類、ジオール成分としてジエチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、等を1成分以上共重合させてもよく、さらにペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸等の3個以上のカルボン酸成分または水酸基をもつ成分を共重合して分岐をもたせてもよい。また、上記に例示されるような組成の異なるポリマーの混合物も含まれうる。さらにこれらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。また、ポリエステルの固有粘度としては、0.30〜1.30dl/g、好ましくは、0.40〜1.20dl/gの範囲とすることが望ましい。
本発明のショートカット繊維は、従来の短繊維のプロセスとして公知の紡糸工程と延伸・熱処理・カット・梱包工程が分離された2ステップ以上の通常の紡績用や乾式不織布用、詰綿用の捲縮付短繊維(繊維長が30mm以上)の製造工程をベースとするが、延伸後の熱セットローラー(緊張熱処理)や油剤付与・捲縮後の熱オーブン(弛緩熱処理)を省略し、延伸後に温水バス、または飽和水蒸気バスを設け、延伸ローラー速度を、バス出口トウ速度がバス入口トウ速度より小さくできるオーバーフィードができること、かつ、その後、抄紙工程での水中分散性を良化させる親水性油剤を付与して、トウを弛ませることなく、公知のロータリーカッターでショートカットし、梱包することが肝要である。
オーバーフィードとは、上流側のローラーの速度を下流側のローラーの速度より速く設定することで行う。すなわち、上流側(紡糸側)のローラー対の周速度V1 m/分、下流側のローラー対の周速度をV2 m/分とすると、V1をV2より大きく設定することである。
本願に記載するオーバーフィード率は、[(V1−V2)/V1]×100(%)と定義する。
本願に記載するオーバーフィード率は、[(V1−V2)/V1]×100(%)と定義する。
オーバーフィードは、分子配向を緩和させ、繊維の熱収縮率を抑制するとともに、繊維の初期弾性率を低減することができる。
延伸後、生じた非晶部の歪みの緩和と結晶化を進めるために、オーバーフィードの熱処理を進めながら熱収縮率を下げる。
通常は、高温の乾熱ローラーを用いているが、本願発明は、温水中、または飽和水蒸気中で行うため、単糸間の膠着や熱収縮斑を防ぎながら、単糸間を弛ませることなく、ショートカットまでもっていくことができる。
延伸後、生じた非晶部の歪みの緩和と結晶化を進めるために、オーバーフィードの熱処理を進めながら熱収縮率を下げる。
通常は、高温の乾熱ローラーを用いているが、本願発明は、温水中、または飽和水蒸気中で行うため、単糸間の膠着や熱収縮斑を防ぎながら、単糸間を弛ませることなく、ショートカットまでもっていくことができる。
なお、当然のことながら、オーバーフィード率や熱処理温度は、単糸が弛むような条件はとれず、トウ弛みおよび単糸サバケの状態を見ながら最適化されるが、オーバーフィード率は、できるだけ大きく、また熱処理温度ができるだけ高いことが低熱収縮率の達成に好ましい。
オーバーフィード率としては、5〜30%(延伸倍率換算では0.70〜0.95)の範囲であり、好ましくは7〜20%である。
オーバーフィード率が5%未満では熱収縮率が大きく品質上好ましくなく、30%を超えると、トウのショートカット前でトウが弛み、生産に支障をきたす可能性が高くなる。
オーバーフィードは、従来の短繊維用延伸プロセスと同様、速度の違うローラー間で行うが、その間に、温水バス、あるいは飽和水蒸気バスが設置される。
オーバーフィード率としては、5〜30%(延伸倍率換算では0.70〜0.95)の範囲であり、好ましくは7〜20%である。
オーバーフィード率が5%未満では熱収縮率が大きく品質上好ましくなく、30%を超えると、トウのショートカット前でトウが弛み、生産に支障をきたす可能性が高くなる。
オーバーフィードは、従来の短繊維用延伸プロセスと同様、速度の違うローラー間で行うが、その間に、温水バス、あるいは飽和水蒸気バスが設置される。
温水バスの温度は、目標とする物性によって調整されればよいが、90〜99.5℃の範囲、好ましくは92〜99℃が好ましい。100℃は温水が沸騰を起こすので、トウが乱れやすくなり、好ましくない。
蒸気バスは、過熱蒸気では熱ローラーの緊張熱処理と同様に単糸間の膠着を起こしやすいので、飽和水蒸気を用いることが好ましい。飽和水蒸気温度は、150℃以下、好ましくは140℃以下である。
温水バスと蒸気バスは、目標の物性を得るために使い分け、あるいは併用してもよい。
温水バスと蒸気バスは、目標の物性を得るために使い分け、あるいは併用してもよい。
熱処理後、トウを弛ませることなく、抄紙工程でショートカット繊維を水中分散するために、親水性油剤を付与する。本発明で用いられる抄紙用の親水性油剤としては、ポリエーテル・ポリエステル共重合体が好ましい。より具体的には、テレフタル酸、および/またはイソフタル酸、低級アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、および/またはそのモノエーテルからなるものであることが好ましい。
ここで好ましく用いられる低級アルキレングリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどが挙げられる。一方、好ましく用いられるポリアルキレングリコールとしては、平均分子量が600〜6000のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールが例示できる。さらに、ポリアルキレングリコールのモノエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテル等があげられる。
なお、好ましく用いられるポリエーテル・ポリエステル共重合体は、テレフタレート単位とイソフタレート単位のモル比が95:5〜40:60の範囲内が水中分散性の点から好ましいが、アルカリ金属塩スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を少量共重合していてもよい。
このような成分からなるポリアルキレングリコール誘導体の平均分子量は、使用するポリアルキレングリコールの分子量にもよるが、通常1,000〜20,000、好ましくは3,000〜15,000である。平均分子量が1,000より少なすぎると水中分散性の向上効果が十分でなく、一方、20,000より大きすぎると該重合体の乳化分散が難しくなる。
また、このようなポリアルキレングリコール誘導体は、通常、水分散液として繊維表面に付着させるが、このようなポリアルキレングリコール誘導体は、比較的容易に水中へ分散させることができる。なお、得られる水性分散液の安定性をより向上させるため、界面活性剤や有機溶媒を少量添加してもよく、また油剤等の各種処理剤を混合使用しても何ら差しつかえない。
このようなポリアルキレングリコール誘導体を延伸トウに付着させる方法は特に限定されないが、トウにスプレー、ローラータッチ(キスロール)、ディップバスで付与した後、油剤付着量の安定化、かつ付着の均一のために、ローラーニップを行うことが好ましい。
親水性油剤付与後に、トウを弛ませることなく、公知のロータリーカッター等、オンラインで2〜20mmの繊維長にカットすることで、不織布欠点の一因である過長繊維を防ぐことができる。カッター前にトウのテンションをかけることが好ましいので、そのために、油剤付与の説明で述べたニップローラーを設ける方がよい。カッター前ニップローラーよりカッター速度が速くなるようにドラフトを設けるか、あるいは、カッター前にダンサーローラーやロードセル等のトウテンションコントロールユニットを設けることも重要である。
なお、ショートカットに使用されるカッターは、オンラインで使用できるものが好ましいが、通常の短繊維工程で用いられるロータリーカッターが好ましい。ロータリーカッターは、例えば実用新案登録3103190号公報に記載されているようなものである。
カット後は、親水性油剤の水分を含んだ状態で梱包される。水中に分散させて使う用途であるので、通常の紡績用などの捲縮短繊維のような乾燥の工程は特に必要とせず、前述のニップローラーで適切な水分率に調整をすればよい。
本願発明のショートカット繊維は、熱収縮率が低く、抄紙欠点の少ないため、抄紙用として好適に用いることができる。
ショートカット繊維の180℃の乾熱収縮率は、10%以下であり、好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下である。乾熱収縮率が10%を超えると高性能の抄紙を得ることができない。
本願発明のショートカット繊維を抄紙にした場合の抄紙欠点は、2個/m2以下。好ましくは1個/m2以下、さらに好ましくは0.8個/m2以下である。
抄紙欠点が2個/m2を超えると、最終製品の品位(均一性、ブツ等)が損なわれることとなる。
ショートカット繊維の180℃の乾熱収縮率は、10%以下であり、好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下である。乾熱収縮率が10%を超えると高性能の抄紙を得ることができない。
本願発明のショートカット繊維を抄紙にした場合の抄紙欠点は、2個/m2以下。好ましくは1個/m2以下、さらに好ましくは0.8個/m2以下である。
抄紙欠点が2個/m2を超えると、最終製品の品位(均一性、ブツ等)が損なわれることとなる。
以下に本発明の構成及び効果を具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明は、これら実施例になんら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度([η])
ポリマーを一定量計量し、35℃のo−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解してから、常法に従って求めた。
ポリマーを一定量計量し、35℃のo−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解してから、常法に従って求めた。
(2)融点(Tm)、ガラス転移点(Tg)
TAインスツルメント・ジャパン(株)社製のサーマル・アナリスト2200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
TAインスツルメント・ジャパン(株)社製のサーマル・アナリスト2200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)繊度
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(4)強度・伸度
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.7.1法に記載の方法により測定した。
カッター前のトウから単糸を取り出し、JIS L 1015:2005 8.7.1法に記載の方法により測定した。
(5)乾熱収縮率
カッター前のトウを1mサンプリングし、1,500〜2,500dtexに小分けして、100gの重りをつるした段階で試長を500mm(=L1)とする。180℃で20分間処理後、再び100gの荷重をかけて糸長間距離(=L2)を測定し、次式で乾熱収縮率を算出する。
(L1−L2)/L1×100(単位:%)
カッター前のトウを1mサンプリングし、1,500〜2,500dtexに小分けして、100gの重りをつるした段階で試長を500mm(=L1)とする。180℃で20分間処理後、再び100gの荷重をかけて糸長間距離(=L2)を測定し、次式で乾熱収縮率を算出する。
(L1−L2)/L1×100(単位:%)
(6)抄紙欠点
繊維長5mmのショートカット繊維において、有効幅300mmの円編抄紙機でショートカット繊維スラリーを連続的に抄き上げ、110℃で乾燥後の抄き上げ紙の欠点(融着塊、繊維絡まり等)を長さ50mにわたって数えた。(15m2)
1m2あたりの抄紙欠点は、実測値/15で計算し、小数点第2位を四捨五入とした。
繊維長5mmのショートカット繊維において、有効幅300mmの円編抄紙機でショートカット繊維スラリーを連続的に抄き上げ、110℃で乾燥後の抄き上げ紙の欠点(融着塊、繊維絡まり等)を長さ50mにわたって数えた。(15m2)
1m2あたりの抄紙欠点は、実測値/15で計算し、小数点第2位を四捨五入とした。
[実施例1]
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートチップを170℃の減湿空気で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを3,000孔有する公知の紡糸口金から、溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は520g/分であった。さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1,320m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。
続いて、72℃の温水中で2.22倍でネック延伸し、更に92℃の温水中で1.15倍の2段目延伸を行い、97℃温水バス中でのオーバーフィードを検討した。
その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、トウを弛ませることなく、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。
オーバーフィード条件を検討の結果、オーバーフィード率10%(延伸倍率換算0.90)が最適値であった。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.68dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は65%、乾熱収縮率は6.8%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの7個(0.5個/m2)であった。
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートチップを170℃の減湿空気で5時間乾燥後、溶融押出機で溶融し、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを3,000孔有する公知の紡糸口金から、溶融吐出させた。この際、口金温度は290℃、吐出量は520g/分であった。さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1,320m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。
続いて、72℃の温水中で2.22倍でネック延伸し、更に92℃の温水中で1.15倍の2段目延伸を行い、97℃温水バス中でのオーバーフィードを検討した。
その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、トウを弛ませることなく、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。
オーバーフィード条件を検討の結果、オーバーフィード率10%(延伸倍率換算0.90)が最適値であった。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.68dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は65%、乾熱収縮率は6.8%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの7個(0.5個/m2)であった。
[比較例1]
実施例1の2段目延伸以降、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、延伸速度60m/minで熱オーブンのネットコンベア状に自由落下させた。135℃で35分間弛緩熱処理し、ニップローラーで引取り後、1%のドラフトをかけて、ロータリーカッターに供給し、5mmに切断した。このときの単糸繊度は0.61dtex、強度は4.5cN/dtex、伸度は50%、乾熱収縮率は6.5%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの75個(5.0個/m2)であった。
実施例1の2段目延伸以降、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、延伸速度60m/minで熱オーブンのネットコンベア状に自由落下させた。135℃で35分間弛緩熱処理し、ニップローラーで引取り後、1%のドラフトをかけて、ロータリーカッターに供給し、5mmに切断した。このときの単糸繊度は0.61dtex、強度は4.5cN/dtex、伸度は50%、乾熱収縮率は6.5%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの75個(5.0個/m2)であった。
[比較例2]
実施例1の2段目延伸以降、135℃の熱ローラーを通してオーバーフィード率2%(延伸倍率換算0.98)の熱処理を行い、その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、トウを弛ませることなく、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.56dtex、強度は5.3cN/dtex、伸度は34%、乾熱収縮率は12.9%であった。抄紙欠点は、単糸溶着由来の47個(3.1個/m2)であった。
実施例1の2段目延伸以降、135℃の熱ローラーを通してオーバーフィード率2%(延伸倍率換算0.98)の熱処理を行い、その後、ポリエーテル・ポリエステル系親水油剤を付与し、無捲縮の状態でニップローラーを通し、トウを弛ませることなく、ロータリーカッターで5mmにカットし、ショートカット綿を得た。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.56dtex、強度は5.3cN/dtex、伸度は34%、乾熱収縮率は12.9%であった。抄紙欠点は、単糸溶着由来の47個(3.1個/m2)であった。
[実施例2]
実施例1で、2段目延伸以降の温水バスの代わりに、飽和水蒸気バスを設置し、135℃でオーバーフィード率を検討した以外は実施例1と同様にした。オーバーフィード率検討結果、オーバーフィード率13%(延伸倍率換算0.87)が最適値であった。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.62dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は55%、乾熱収縮率は5.9%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの11個(0.7個/m2)であった。
実施例1で、2段目延伸以降の温水バスの代わりに、飽和水蒸気バスを設置し、135℃でオーバーフィード率を検討した以外は実施例1と同様にした。オーバーフィード率検討結果、オーバーフィード率13%(延伸倍率換算0.87)が最適値であった。延伸速度は60m/minに設定した。この時の単糸繊度は0.62dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は55%、乾熱収縮率は5.9%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの11個(0.7個/m2)であった。
[実施例3]
オーバーフィード率を6%に変更した以外は、実施例1と同様とした。
この時の単糸繊度は0.68dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は67%、乾熱収縮率は7.2%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの7個(0.5個/m2)であった。
オーバーフィード率を6%に変更した以外は、実施例1と同様とした。
この時の単糸繊度は0.68dtex、強度は4.1cN/dtex、伸度は67%、乾熱収縮率は7.2%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの7個(0.5個/m2)であった。
[実施例4]
オーバーフィード率を27%に変更した以外は、実施例2と同様とした。
この時の単糸繊度は0.73dtex、強度は3.6cN/dtex、伸度は72%、乾熱収縮率は5.3%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの13個(0.9個/m2)であった。
オーバーフィード率を27%に変更した以外は、実施例2と同様とした。
この時の単糸繊度は0.73dtex、強度は3.6cN/dtex、伸度は72%、乾熱収縮率は5.3%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの13個(0.9個/m2)であった。
[比較例3]
オーバーフィード率を2%に変更した以外は、実施例1と同様とした。
この時の単糸繊度は0.56dtex、強度は5.5cN/dtex、伸度は32%、乾熱収縮率は11.3%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの8個(0.5個/m2)であった。
オーバーフィード率を2%に変更した以外は、実施例1と同様とした。
この時の単糸繊度は0.56dtex、強度は5.5cN/dtex、伸度は32%、乾熱収縮率は11.3%であった。抄紙欠点は、繊維絡みの8個(0.5個/m2)であった。
[比較例4]
オーバーフィード率を35%に変更した以外は、実施例2と同様とした。
この時の単糸繊度は0.76dtex、強度は3.2cN/dtex、伸度は72%、乾熱収縮率は4.5%であった。オーバーフィード率が高すぎたため、カッター前でトウが弛み、安定したカット品が得られず、抄紙欠点を測定できなかった。
オーバーフィード率を35%に変更した以外は、実施例2と同様とした。
この時の単糸繊度は0.76dtex、強度は3.2cN/dtex、伸度は72%、乾熱収縮率は4.5%であった。オーバーフィード率が高すぎたため、カッター前でトウが弛み、安定したカット品が得られず、抄紙欠点を測定できなかった。
Claims (5)
- 合成樹脂からなる未延伸糸をネック延伸後、90〜100℃の温水中、または150℃以下の飽和水蒸気中で5〜30%のオーバーフィード条件で熱処理し、続いて油剤付与し、トウを弛ませることなくカットすることを特徴とするショートカット繊維の製造方法。
- ショートカット繊維の180℃乾熱収縮率が10%以下である請求項1記載のショートカット繊維の製造方法。
- ショートカット繊維の主な成分が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1または2記載のショートカット繊維の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のショートカット繊維の製造方法により得たショートカット繊維を用いてなる、抄紙欠点が2個/m2以下である抄紙。
- ショートカット繊維の180℃乾熱収縮率が10%以下である、請求項4記載の抄紙。
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2017
- 2017-08-28 JP JP2017163144A patent/JP2019039111A/ja active Pending
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