JP2012211423A - 複合延伸仮撚加工糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸を提供する。
【解決手段】ポリアミドマルチフィラメント2、ポリエステルマルチフィラメント1両方の単繊維繊度と総繊度を特定の範囲とし、ポリアミドマルチフィラメント2を中心に、ポリエステルマルチフィラメント1が、これにラセン状に巻き付いた構造とすることにより、ポリアミドマルチフィラメント2のヌメリ感を抑制してドライ感を付与しながらも、ポリアミドマルチフィラメント2の特徴である柔軟性を損なうことなく、吸水性にも優れ、かつ編織工程での加工操業性が良好な複合延伸仮撚加工糸。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸に関するものである。
風合、触感および意匠性などの改良を目的に、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸が種々検討されている。
例えば、ポリアミドマルチフィラメントのヌメリ感の抑制と張腰の強化を目的として、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、それに腰の強いポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付いた複合延伸仮撚加工糸が提案されており、この複合延伸仮撚加工糸は力学特性に優れると共に、それを用いて染色加工後に霜降り調の布帛を製造することができる(特許文献1参照。)。
また、ポリエステルマルチフィラメント単独では不十分な吸湿性をポリアミドマルチフィラメントが付与するとともに、風合い改良のために採用されるアルカリ減量処理を施した場合においても、ポリアミドマルチフィラメントが複合されていることにより強度低下を抑制することができるという複合延伸仮撚加工糸が提案されている(特許文献2参照。)。
特公昭61−19735号公報 特公平03−50012号公報
前記の従来技術は、ポリアミドマルチフィラメントのヌメリ感および腰の弱さをポリエステルマルチフィラメントとの複合により改良するものであったため、ポリエステルマルチフィラメントとしては、単繊維繊度が大きく腰の強いものを採用している。本発明者らは、ポリアミドマルチフィラメントのヌメリ感だけを抑制し、腰の弱さ、すなわち柔軟性についてはポリアミドマルチフィラメントの特徴を活かすことを課題とし、ポリエステルマルチフィラメント本来の特徴である腰の強さを抑制すると共に、ポリアミドマルチフィラメントの柔軟性をさらに高めることにより、複合延伸仮撚加工糸としての柔軟性を向上させつつ、ポリエステルマルチフィラメントの特徴であるドライ感を付与することを課題とした。
本発明は、上記課題を解決するため、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸について、その単繊維繊度、総繊度および糸条形態を鋭意検討した結果実現できたものであり、本発明の複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度を0.36dtex〜0.65dtex、総繊度を35dtex〜70dtexとし、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度を0.40dtex〜0.90dtex、総繊度を40dtex〜90dtexとし、ポリアミドマルチフィラメントを中心に、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造とすることで課題解決に至ったものである。
本発明の複合延伸仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記のポリエステルマルチフィラメントは、カチオン染料で染色可能な改質ポリエステルからなることである。
本発明の複合延伸仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は10%〜25%で、かつ前記のポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は35%〜65%であり、さらに前記のポリエステルマルチフィラメントと前記のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度差は10%〜40%である。
本発明によれば、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメント両方の単繊維繊度と総繊度を特定の範囲とし、ポリアミドマルチフィラメントを中心に、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造とすることにより、ポリアミドマルチフィラメントの特徴である柔軟性を損なうことなく、ポリアミドマルチフィラメントのヌメリ感を抑制してポリエステルマルチフィラメントによるドライ感を付与すると共に、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントの両方の単繊維繊度が小さく、フィラメント数が多いことにより吸水性にも優れ、編織工程での加工操業性が良好な複合延伸仮撚加工糸が得られる。
図1は、本発明の複合延伸仮撚加工糸を例示説明するための模式側面図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸であって、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.36dtex〜0.65dtex、総繊度が35dtex〜70dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.40dtex〜0.90dtex、総繊度が40dtex〜90dtexであり、前記ポリアミドマルチフィラメントを中心に、前記ポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付いた構造の複合延伸仮撚加工糸である。
本発明で用いられるポリアミドマルチフィラメントは、多数の単繊維からなる長繊維糸条である。ポリアミドマルチフィラメントを構成するポリアミドは、ホモポリマーまたはコポリマーからなり、ラクタム、アミノカルボン酸あるいはジアミンとジカルボン酸との塩から形成されるアミド結合を有する溶融形成可能な重合体である。
ポリアミドとしては、種々のポリアミドを使用することができるが、繊維形成能および力学特性の点で、ポリカプラミド(ナイロン6)とポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく用いられる。これらナイロン6やナイロン66などのポリアミドのコポリマーとしては、20モル%以下の割合で他のアミノカプロン酸やラクタムなどが共重合したものを使用することができる。また、本発明で使用するポリアミドは、ラクタムやアミノカルボン酸との塩から形成されるアミド結合を混合成分として含むものについても使用可能である。
本発明で用いられるポリエステルマルチフィラメントは、多数の単繊維からなる長繊維糸条である。ポリエステルマルチフィラメントを構成するポリエステルは、ホモポリマーまたはコポリマーからなり、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから形成されるエステル結合を有する溶融形成可能な重合体である。
ポリエステルとしては、種々のポリエステルを使用することができるが、エチレンテレフタレート単位を少なくとも80モル%以上含み、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が全カルボン酸に対し0.7〜2.4モル%共重合しており、そして重量平均分子量90〜6000のポリアルキレングリコール成分がポリエステルに対し0.2〜10質量%共重合したカチオン染料で染色可能な改質ポリエステルについても使用可能である。
金属スルホネート基を含有するイソフタル酸としては、例えば、ジメチル(5−ナトリウムスルホ)イソフタレートやビス−2−ヒドロキシエチル(5−ナトリウムスルホ)イソフタレートなどが挙げられる。また、併用するポリアルキレングリコール成分の代表例としては、次の一般式
HO−(CH−CH−O)−R−O−(CH−CH−O)
(式中、Rは炭素原子数2〜20の直鎖、環状または側鎖を有する2価の脂肪族炭化水素基を表し、mとnは同一または異なる整数で1≦m+n≦100である。)で示されるグリコールやビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリアミドとポリエステルには、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種の添加剤などの第2成分や第3成分を共重合または混合してもよい。添加剤としては、例えば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤および螢光増白剤などが挙げられる。
本発明における複合延伸仮撚加工糸の単繊維繊度は、ポリアミドマルチフィラメントが0.36dtex〜0.65dtexであり、ポリエステルマルチフィラメントが0.40dtex〜0.90dtexである。さらに好ましくは、ポリアミドマルチフィラメントが0.36dtex〜0.60dtexであり、ポリエステルマルチフィラメントが0.40dtex〜0.70dtexである。
ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.65dtexを超えると、吸水性および柔軟性が低下する。また、ポリエステルマルチフィラメントについても単繊維繊度が0.90dtexを超えると、肌触りがざらつき、吸水性および柔軟性が大きく低下する。
両マルチフィラメントの単繊維繊度が上記範囲を満たすことにより柔軟性が得られ、かつ両マルチフィラメントの単繊維が細く、多いことによる毛細管現象により吸水性が向上する。
本発明における複合延伸仮撚加工糸の総繊度は、ポリアミドマルチフィラメントが35dtex〜70dtexであり、ポリエステルマルチフィラメントが40dtex〜90dtexである。さらに好ましくは、ポリアミドマルチフィラメントが35dtex〜65dtexであり、ポリエステルマルチフィラメントは40dtex〜70dtexである。
ポリアミドマルチフィラメントの総繊度が70dtexを超えると、ヌメリ感が発生し、ドライ感が低下することにより冷感度が大きくなる。また、ポリエステルマルチフィラメントの総繊度が90dtexを超えると、剛直になり、柔軟性が低下する。ポリアミドマルチフィラメントの総繊度が70dtexを超え、さらにポリエステルマルチフィラメントの総繊度が90dtexを超える場合、織編物等の布帛にした場合、厚手となり速乾性が失われる。また、ポリアミドマルチフィラメントの総繊度が35dtexを下回ると吸湿性が低くなり、ポリエステルマルチフィラメントの総繊度が40dtexを下回るとドライ感が欠落する。
両マルチフィラメントの総繊度が上記範囲を満たすことにより柔軟性を損なうことなく、同時にヌメリ感を抑制してドライ感のある複合延伸仮撚加工糸となる。
本発明における複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心に、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造である。
両マルチフィラメントの単繊維繊度と総繊度が上記範囲を満たし、かつポリアミドマルチフィラメントを中心に、ポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付いた構造とすることにより、ポリエステルマルチフィラメントが繊維表面に周期的または非周期的に存在することになり、肌との接触時にドライ感のある複合延伸仮撚加工糸となる。
本発明における複合延伸仮撚加工糸により作製された布帛は、柔軟性に優れ、ヌメリ感を抑制してドライ感があり、さらに吸水性が向上した優れた織編物となる。また、ポリアミドマルチフィラメント、ポリエステルマルチフィラメント両方の単繊維が細いことと単繊維数が多いことにより、編織時のガイドなどによる糸条のしごかれや、引っ掛かりによる糸切れがなく、安定した操業が可能となる。
本発明における複合延伸仮撚加工糸を製造する方法としては、まず第一に、前記したポリアミドおよびポリエステルのポリマーを用いて溶融紡糸を行うことにより、各々の部分配向未延伸糸(マルチフィラメント)を得る。次いで、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントの部分配向未延伸糸を引き揃えて延伸仮撚加工を実施することにより、本発明の複合延伸仮撚加工糸を得ることができる。
ここで部分配向未延伸糸の製造方法について説明する。部分配向未延伸糸は、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを製造するに際し、原料ポリマーを溶融し、任意の吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条を形成させ、冷却風を吹き付けることによって糸条を冷却して、収束した後、油剤と交絡を付与し、巻き取ったパッケージのことである。
ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを溶融紡出後、冷却するにあたり、吐出孔が環状に配列された紡糸口金および環状冷却装置を適用することにより、本発明の特徴である単繊維繊度が小さいマルチフィラメントにおいても糸条長手方向の繊度斑を低減させ、品質に優れたマルチフィラメントを得ることができる。環状冷却装置とは冷却風の吹きつけ方向を環状とし、糸条に対し外周および/または内周から円環状に冷却風を吹き付け、かつ紡糸口金下の糸条冷却開始距離を短くした冷却装置であり、マルチフィラメントの単繊維間の均一冷却を可能とするものである。さらに冷却風を加熱させることにより高分子の配向を抑制した部分配向未延伸糸が得られ、延伸仮撚加工時に高加工倍率での延伸が可能となり、糸条の強度および伸度を向上させることができる。そのため、強度不足が生じやすい単繊維繊度の小さいマルチフィラメントや共重合ポリマーを用いたマルチフィラメントを紡糸する場合には、特に好ましく適用することができる。
部分配向未延伸糸は、一般的に巻き取り速度が速くなると糸条配向が進み、巻き取り速度が遅くなると糸条配向が進まないため、得られた繊維を伸長した場合に部分配向未延伸糸の伸度が異なる。巻き取り速度が高い場合は低伸度の部分配向未延伸糸が得られ、逆に巻き取り速度が低い場合は高伸度の部分配向未延伸糸が得られ、巻き取り速度に依存した伸度となる。例として、ポリエステルを巻き取り速度2000〜3500m/分の範囲で溶融紡糸し、また、ポリアミドを巻き取り速度4000〜5000m/分の範囲で溶融紡糸することにより、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸の伸度と比べて高い伸度のポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸が得られる。
部分配向未延伸糸の伸度は、後の複合延伸仮撚加工を実施する際、ポリアミドマルチフィラメントを中心に、ポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付いた形態とするため、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸の伸度よりポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸の伸度を高くする。
部分配向未延伸糸は、ポリマー分子鎖の配向が進んでいる部分とそうでない部分が混在した状態ではなく、糸条長手方向で均一な分子鎖の配向状態である。
ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを構成する単繊維の断面形状は、丸断面の他に3葉以上の異形断面や中空断面が挙げられるが、本発明ではこれらの断面形状に限らず、また異種の断面の単繊維が混在していてもよい。
次に、複合延伸仮撚加工方法について説明する。溶融紡糸により得られた伸度差を有するポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントの部分配向未延伸糸を引き揃えて延伸仮撚加工を実施する。延伸仮撚加工時の張力が低伸度であるポリアミドマルチフィラメントにかかり、高伸度であるポリエステルマルチフィラメントは完全に延伸されず、ポリアミドマルチフィラメントを中心として、これにポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付く形態の複合延伸仮撚加工糸が得られる。両者の伸度差が大きいほど、単位長さ当たりのポリエステルマルチフィラメントの巻き付きが多くなる。また、ポリアミドマルチフィラメントおよびポリエステルマルチフィラメントの部分配向未延伸糸を加工前に延伸し、伸度を低下させた後、引き揃えて延伸仮撚加工を実施してもよく、これによりラセン状の巻き付き具合を調整することも可能である。
延伸仮撚加工された糸条は圧縮エアーにより交絡が付与され、巻き取られる。このときの交絡度は、好ましくは20〜250、より好ましくは50〜200である。
その他、加工倍率(延伸倍率)は部分配向未延伸糸の総繊度や巻き取り速度により異なるが、好ましくは1.0〜1.5倍、より好ましくは1.2〜1.4倍とするとよい。
本発明における複合延伸仮撚加工糸の残留伸度は、ポリアミドマルチフィラメントの残留伸度が10%〜25%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度が35%〜65%であり、残留伸度差が10%〜40%である。さらに好ましくは、ポリアミドマルチフィラメントの残留伸度が13%〜22%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度が38%〜62%であり、残留伸度差が15%〜30%である。
ポリアミドマルチフィラメントの残留伸度が25%を超えると、布帛にした際にヒケのトラブルが発生し、寸法安定性が低下する傾向がある。一方で残留伸度が10%を下回ると、延伸加工時に糸切れや毛羽だちすることがある。また、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度が65%を超えるとラセン状のポリエステルマルチフィラメントにタルミが発生し、加工時の糸切れを誘発することがある。一方で35%を下回ると、ポリアミド同様に延伸加工時に糸切れや毛羽だちすることがある。
また、ポリエステルマルチフィラメントとポリアミドマルチフィラメントの残留伸度差が10%未満の場合、ポリエステルマルチフィラメントのポリアミドマルチフィラメントへの巻き付きが低下したラセン構造となり、単位長さ当たりのポリエステルマルチフィラメントが少なくなり、ドライ感が得られにくい。一方、残留伸度差が40%を超えると、糸長差が大きくなるためポリエステルマルチフィラメントにタルミが発生し、加工時に糸切れを誘発することがある。
両マルチフィラメントが上記範囲の残留伸度および残留伸度差にすることにより、毛羽だちや延伸加工時の糸切れ、布帛にした際のヒケなどのトラブルがなく、ドライ感のある複合延伸仮撚加工糸が得られる。
本発明における複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントの糸長差は、好ましくは1〜10%(ポリエステルマルチフィラメント>ポリアミドマルチフィラメント)であり、さらに好ましくは3%〜9%である。糸長差が1%未満の糸条ではラセン構造が形成されにくく、ドライ感が低下する傾向がある。一方、糸長差が10%を超える場合、ラセン状巻き糸が交絡されていない箇所で部分的に分離し、高次加工時の製品表面およびガイドによる引掛かかりなどのトラブルとなり糸切れが発生することがある。
図1は、本発明の複合延伸仮撚加工糸を例示説明するための模式側面図である。図1で示された複合延伸仮撚加工糸においては、ポリエステルマルチフィラメント1が、ポリアミドマルチフィラメント2を中心とし、これにラセン状に巻き付いた構造であり、全体構造として複数の単繊維が緩く束ねられている開繊部3と複数の単繊維が結束されている交絡部4が加工糸の長手方向に交互に連続している。ポリエステルマルチフィラメント1がポリアミドマルチフィラメント2の周りを、好ましくは160〜240回/m、より好ましくは180回〜220回/m巻き付いていることにより、ドライ感が付与される。
本発明の複合延伸仮撚加工糸は、織編物用として、インナー、婦人用ドレスおよびブラウスなどを中心に好適に使用される。
次に、実施例により本発明の複合延伸仮撚加工糸を詳細に説明する。実施例中に使用した各値は次の測定法により求めた。また、全ての測定値は測定を3回行い、その平均値とした。
<総繊度および単繊維繊度>
複合延伸仮撚加工糸を製造する際、交絡を付与しないこと以外は同一条件のサンプル糸を巻き取り、その後、ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを分離し、解舒張力1/11.1g/dtexで枠周1.0mの検尺機で10回巻き、天秤を用いて重量を測定し、1000倍することによりポリアミドマルチフィラメントおよびポリエステルマルチフィラメントの総繊度(10000mの重量)とした。また、得られた総繊度を、糸条を構成する単繊維の単繊維数で割り返した値を単繊維繊度とした。
<残留伸度>
ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを分離し、ORIENTEC社製のTENSILON RTC−1210Aを用いて、気温20℃で湿度65%の条件下、初荷重1/11.1g/dtex、引張速度200mm/分の条件で測定した応力−歪み曲線の応力が最大となる位置の伸び率から求めた。ポリアミドマルチフィラメントの試長は500mmとし、ポリエステルマルチフィラメントの試長は200mmとした。得られた複合延伸仮撚加工糸で作製した編み地について、次の(1)〜(3)で評価し、○を合格とし、×〜△が1つでもあれば不合格とした。
(1)吸水性
試験糸から目付86g/mで筒編物を作製し、27±2℃の温度の蒸留水中に垂直に吊した2.5×20cmの大きさの試験片の下端を漬け、10分間放置したときの水の上昇した高さを測定した(バイレック法 JIS−L−1907)。得られた結果を次の3段階で評価し、○を合格とした。
○:水の上昇した高さ 13.0mm以上
△:水の上昇した高さ 11.0mm以上、13.0未満
×:水の上昇した高さ 11.0mm未満
(2)柔軟性、ドライ感
試験糸から目付86g/mで筒編物を作製し、10人による官能試験を実施した。10人中8人が「優れている」と判断した場合は○、10人中5人が「普通」と判断した場合は△、10人中5人が「劣っている」と判断した場合は×の3段階で評価し、○を合格とした。
(3)解舒性
巻き上がり試験糸2.0kgから糸束700m/分で解舒し、セラミック製ガイド6個を通過させて、そのときの糸切れ回数を測定した。得られた結果を次の3段階で評価し、○を合格とした。
○:糸切れ件数 5件未満
△:糸切れ件数 5件以上、15件未満
×:糸切れ件数 15件以上
(実施例1)
98%硫酸相対粘度2.63のポリアミド(ナイロン66)を溶融後、98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、油剤を供給し集束させ、交絡付与を行いながら、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、ジメチル(5−ナトリウムスルホ)イソフタル酸が全カルボン酸に対し、1.6モル%、重量平均分子量1000のポリエチレングリコールがポリエステルに対して1.2質量%共重合した改質ポリエチレンテレフタレート(改質PET)を溶融後、96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、油剤を供給し集束させ、交絡付与を行いながら、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。各々の部分配向未延伸糸引き揃えて供給糸とし、加工倍率1.21倍で延伸仮撚加工を行い、交絡を付与しながら巻き取り、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.53dtex、総繊度が52.2dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.86dtex、総繊度が82.4dtexの複合延伸仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は24.1%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は51.8%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、68ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.56dtex、総繊度が37.9dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.86dtex、総繊度が82.5dtexの複合延伸仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は23.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は47.3%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、48ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2300m/分で巻き取り、単繊維断面が丸と六葉混在のポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例2と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.57dtex、総繊度が38.5dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.88dtex、総繊度が42.1dtexの複合延伸仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は20.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は36.3%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、ホモポリマーからなるポリエチレンテレフタレート(ホモPET)を溶融後、48ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、油剤を供給し集束させ、交絡付与を行いながら、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.64dtex、総繊度が63.2dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.87dtex、総繊度が41.7texの複合延伸仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は21.5%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は40.2%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を複合延伸仮撚加工前に1.05倍で延伸し、その後引き揃えて加工した。そのとき、加工倍率を1.14としたこと以外は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.58dtex、総繊度が56.8dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.85dtex、総繊度が81.3dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は24.5%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は63.4%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、吐出量を変更して98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他の方法は実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.38dtex、総繊度が37.2dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.86dtex、総繊度が82.2dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は17.7%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は51.7%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様の方法でポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、吐出量を変更して96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他の方法は実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.53dtex、総繊度が52.0dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.67dtex、総繊度が64.5dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は24.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は44.8%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1と同様の方法でポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、吐出量を変更して96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他の方法は実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.53dtex、総繊度が51.9dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.45dtex、総繊度が43.2dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は24.1%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は41.1%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、吐出量を変更して98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、吐出量を変更して96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他の方法は実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.38dtex、総繊度が37.2dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.67dtex、総繊度が64.3dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は18.1%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は45.2%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸は、ポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、吸水性と柔軟性があり、ドライ感も有していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒性も良好であった。結果を表1に示す。
Figure 2012211423
(比較例1)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、17ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、一方向からの冷却風で冷却し、5147m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が3.28dtex、総繊度が55.8dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.85dtex、総繊度が82.0dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は22.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は49.3%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が太く、吸水性、柔軟性およびドライ感はいずれも欠如していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒では糸切れが散発した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、68ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、36ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、一方向からの冷却風で冷却し、3000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.53dtex、総繊度が35.9dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が2.48dtex、総繊度が89.2dtexの複合延伸仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は23.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は61.0%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度は太く、ドライ感は得られたものの、吸水性と柔軟性は欠如していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒では糸切れが多発した。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、98ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.83dtex、総繊度が81.6dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.78dtex、総繊度が75.2dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は24.0%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は42.6%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、ポリアミドマルチフィラメントの総繊度と単繊維繊度が太く、吸水性、柔軟性およびドライ感はいずれも欠如していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒では糸切れが散発した。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例4と同じホモポリマーからなるポリエチレンテレフタレート(ホモPET)を溶融後、96ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は、実施例2と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.54dtex、総繊度が36.6dtexで、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が1.08dtex、総繊度が103.9dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は22.3%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は55.0%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、ポリエステルマルチフィラメントの総繊度と単繊維繊度は太く、ドライ感は得られたものの、吸水性および柔軟性は欠如していた。また、得られた複合延伸仮撚加工糸の解舒では糸切れが散発した。結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1と同様のポリアミドを溶融後、68ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に内周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、4550m/分の速度で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。また、実施例1と同じ改質ポリエチレンテレフタレートを溶融後、48ホールの吐出孔を有した紡糸口金から吐出し、糸条に外周から円環状に冷却風を吹き付け冷却し、2000m/分の速度で巻き取り、ポリエステルマルチフィラメント部分配向未延伸糸を採取した。その他は実施例1と同様な方法で複合延伸仮撚加工を行い、ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.58dtex、総繊度が39.2dtex、ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.73dtex、総繊度が35.2dtexの複合仮撚加工糸を得た。得られた複合延伸仮撚加工糸のポリアミドマルチフィラメントの残留伸度は22.1%であり、ポリエステルマルチフィラメントの残留伸度は45.2%であった。得られた複合延伸仮撚加工糸はポリアミドマルチフィラメントを中心とし、ポリエステルマルチフィラメントが、これにラセン状に巻き付いた構造であった。
得られた複合延伸仮撚加工糸を用いて作製した筒編物は、ポリエステルマルチフィラメントの総繊度は低く、柔軟性は得られたものの、吸水性とドライ感が欠如していた。解舒では糸切れが散発した。結果を表2に示す。
Figure 2012211423
1:ポリエステルマルチフィラメント
2:ポリアミドマルチフィラメント
3:開繊部
4:交絡部

Claims (3)

  1. ポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントからなる複合延伸仮撚加工糸であって、前記ポリアミドマルチフィラメントの単繊維繊度が0.36dtex〜0.65dtex、総繊度が35dtex〜70dtexで、前記ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度が0.40dtex〜0.90dtex、総繊度が40dtex〜90dtexであり、前記ポリアミドマルチフィラメントを中心に、前記ポリエステルマルチフィラメントがラセン状に巻き付いていることを特徴とする複合延伸仮撚加工糸。
  2. ポリエステルマルチフィラメントが、カチオン染料で染色可能な改質ポリエステルからなることを特徴とする請求項1記載の複合延伸仮撚加工糸。
  3. ポリアミドマルチフィラメントの残留伸度が10%〜25%で、かつポリエステルマルチフィラメントの残留伸度が35%〜65%であり、さらに前記ポリエステルマルチフィラメントと前記ポリアミドマルチフィラメントの残留伸度差が10%〜40%であることを特徴とする請求項1または2記載の複合延伸仮撚加工糸。
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