JP6447190B2 - ポリエチレン繊維含有複合糸および織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン繊維および該ポリエチレン繊維を含有する複合糸並びに織編物に関する。
ポリエチレン繊維は、資材用途向けに高強度の繊維として用いられており、寝装用途向けには冷感素材としてシーツ等に用いられている。
特許文献1には、強度が28g/d以上、弾性率が700g/d以上であり、紫外線1000時間照射後の強度保持率が75%以上であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維が開示されている。
特許文献2には、ポリエチレン繊維を含む布帛であって、該布帛の20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率(A)が0.08W/mK以上で、接触冷温感(B)が0.13W/cm以上で、かつ、前記熱伝導率(A)を布帛の目付け(g/m)で割った値が0.001Wm/gK以上であることを特徴とする快適性布帛が開示されている。
特許文献3には、芯鞘構造を有する混繊糸であって、ポリエチレンを主たる構成成分とする繊維を鞘糸、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンから選択される少なくとも1種以上の繊維形成性重合体を主たる構成成分とする繊維を芯糸とすることを特徴とする冷感に優れた混繊糸が開示されている。
しかしながら、衣料用途の肌着向けにポリエチレン繊維100%使いの織編物は、肌着用途としては、風合いの悪いものであり、より風合いの良いものが求められている。
そのためには、ポリエチレン繊維と、肌着用途に適した綿糸やアセテート繊維等のセルロース系繊維との混用や、ポリエステル繊維との混用が考えられるが、従来のポリエチレン繊維とセルロース系繊維とを混用した織編物は、タンブラー乾燥機で乾燥させると高温になり、セルロース系繊維であれば発火したり、ポリエステル繊維等の合成繊維であれば、合成繊維が溶融する恐れがあった。
特開平7−166413号公報 特開2010−236130号公報 特開2012−622号公報
本発明の課題は、清涼感に優れ、セルロース系繊維と混用した場合に、酸化発熱がなく、安全に使用できるポリエチレン繊維を提供し、また該ポリエチレン繊維を含有するセルロース系繊維と混用された酸化発熱がない複合糸並びに織編物を提供することにある。
本発明の要旨は、
1.分子量2000以上の高分子型ヒンダードアミン系化合物を0.2〜7質量%含有するポリエチレン繊維にある。
2.ポリエチレン繊維が、前記高分子型ヒンダードアミン系化合物を好ましくは0.2〜5質量%含有する。
3.ポリエチレン繊維を構成するポリエチレン樹脂のMFRが、好ましくは5〜35g/分である。
4.ポリエチレン繊維が、好ましくはヒドロキシルアミン系化合物を0.02〜0.5質量%含有する。
5.ポリエチレン繊維の単繊維繊度が、好ましくは1〜3dtexである。
6.ポリエチレン繊維の糸斑のU%が、好ましくは0.5〜5である。
また、本発明の要旨は、
7.前記ポリエチレン繊維がセルロース系繊維と混用された複合糸であって、ポリエチレン繊維を糸全体に対して30〜80質量%含有するポリエチレン繊維含有複合糸にある。
さらに、本発明の要旨は、
8.前記ポリエチレン繊維がセルロース系繊維と混用された織編物であって、ポリエチレン繊維を織編物全体に対して30〜80質量%含有するポリエチレン繊維含有織編物にある。
9.セルロース系繊維を織編物全体に対して好ましくは20〜70質量%含有する。
本発明のポリエチレン繊維は、150℃の雰囲気での酸化発熱がなく、清涼感に優れた効果を奏するものである。また本発明のポリエチレン繊維を含有する糸や織編物は、セルロース繊維が混用されていても保管状態やタンブラー乾燥等での酸化発熱がなく、安全に使用できるものである。
(ポリエチレン繊維)
本発明のポリエチレン繊維を構成するポリエチレン樹脂については、特に制限はないが、重量平均分子量(Mw)が30,000〜80,000のポリエチレン樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が30,000以上であれば、衣料用途に使用できる繊維強度が確保でき、80,000以下であれば、樹脂粘度が高くなり過ぎず、紡糸安定性を確保できる。前記観点から、ポリエチレン樹脂の分子量は、より好ましくは45,000〜70,000である。
また、本発明のポリエチレン繊維を構成するポリエチレン樹脂は、そのMFR(メルトマスフローレイト、JIS K7210に準拠、温度230℃、荷重2.16kgで測定)が5〜35g/分であることが好ましい。MFRが5g/分以上であれば、製糸安定性が得られ、35g/分以下であれば、衣料用途に使用できる繊維強度が得られる。前記観点から、ポリエチレン樹脂のMFRは、より好ましくは10〜30g/分、さらに好ましくは15〜25g/分である。
MFRの測定においては、切断したポリエチレン繊維を測定装置に投入、溶解して測定を行った。
本発明においては、ポリエチレン繊維を構成するポリエチレン樹脂には、光安定剤として分子量2000以上の高分子型ヒンダードアミン系化合物が添加されることが必要である。高分子型ヒンダードアミン系化合物は、その分子量が2000以上であれば、繊維中から水中への溶出を抑制することができ、分子量が5000以下であることが好ましい。前記観点から、高分子型ヒンダードアミン系化合物の分子量は、より好ましくは2500〜4000、さらに好ましくは3000〜3500である。
用いられる高分子型ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体等が挙げられる。
本発明においては、前記高分子型ヒンダードアミン系化合物を、ポリエチレン繊維中に0.2〜7質量%含有させることが必要である。ポリエチレン繊維における前記高分子型ヒンダードアミン系化合物の含有量が、0.2質量%以上であれば、繊維が酸化発熱し難くなり、7質量%以下であれば、紡糸安定性、経済性の点から好ましい。前記観点から、ポリエチレン繊維における高分子型ヒンダードアミン系化合物の含有量は、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.4〜3質量%である。
本発明のポリエチレン繊維には、その構成のポリエチレン樹脂に加工安定剤としてヒドロキシルアミン系化合物を添加することにより、ヒドロキシルアミン系化合物を0.02〜0.5質量%含有させることが好ましい。ポリエチレン繊維におけるヒドロキシルアミン系化合物の含有量が0.02質量%以上であれば、ポリエチレン繊維が黄変し難くなり、0.5質量%以下であれば、ポリエチレン繊維の紡糸安定性が確保できる。前記観点から、ポリエチレン繊維におけるヒドロキシルアミン系化合物の含有量は、より好ましくは0.03〜0.3質量%、さらに好ましくは0.04〜0.1質量%である。
本発明のポリエチレン繊維は、単繊維繊度が1〜3dtexであることが好ましい。単繊維繊度が1dtex以上であれば、衣料用途に使用できる繊維強度となり、3dtex以下であれば、肌着用途に使用した場合に風合いが固くなり難い繊維となる。前記観点から、前記単繊維強度はより好ましくは1.5〜2.5dtexである。
本発明のポリエチレン繊維は、糸斑(U%)が0.5〜5%であることが好ましい。U%が5%以下であれば、織物にした場合に、糸斑による品位の少なくできる。前記観点から、前記糸斑(U%)は、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
また、本発明のポリエチレン繊維は、総繊度が40〜400dtexの糸条であることが好ましい。糸条の総繊度が、40dtex以上であれば、複合糸の作成或いは織編物の作成の際に繊維が切れにくくなり、400dtex以下であれば、肌着用途および寝装用途等に使用した場合に風合いが固くなり難いものとなる。前記観点から、ポリエチレン繊維糸条での総繊度は、より好ましくは50〜250dtexである。
(その他の添加剤)
本発明ポリエチレン繊維を構成するポリエチレン樹脂に、酸化発熱を抑制する効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。特にリン酸化合物の添加は、繊維の黄変を抑制するうえで好ましいことである。リン酸化合物は、ポリエチレン繊維における含有量が0.1〜0.5質量%であるように添加することが好ましい。リン酸化合物の含有量が0.1質量%以上であれば、繊維の黄変が抑制し易くなり、0.5質量%以下であれば、繊維の製造コストを抑えられる。前記観点から、ポリエチレン繊維におけるリン酸化合物の含有量は、より好ましくは0.15〜0.3質量%である。
(ポリエチレン繊維の製造)
本発明のポリエチレン繊維は、合成繊維の一般的な溶融紡糸工程および延伸工程を採用して製造することができる。
まず、溶融紡糸工程で、原料の熱可塑性樹脂を紡糸口金から溶融押出して未延伸糸を得て一旦巻き取った後、延伸工程で延伸することにより繊維を得る。延伸工程は、未延伸糸が紡糸されてからインラインで連続して延伸を行ってもよく、一旦巻取った後、別ラインで独立して延伸を行ってもよい。また、延伸工程は1段でもよく2段以上の多段であってもよい。さらに延伸工程で用いる熱源は、熱源の接触型或いは非接触型いずれの熱源でもよい。延伸倍率についても溶融紡糸された未延伸糸の破断伸度に達する前の範囲で任意に設定することが可能である。
例えば、本発明のポリエチレン繊維の製造においては、原料に前記高分子型ヒンダードアミン系化合物或いはさらにヒドロキシルアミン系化合物等を添加したポリエチレン樹脂を溶融紡糸するものである。紡糸温度は、ポリエチレン樹脂の融点よりも50℃以上120℃以下の温度範囲であることが好ましい。またポリエチレン繊維の製造においては、紡糸速度が200〜1000m/分、延伸温度が60〜90℃、延伸速度が200〜1000m/分、延伸倍率が最大延伸倍率の0.65〜0.80倍、熱セット温度60〜120℃の条件が用いられる。ここで最大延伸倍率とは、延伸温度70℃、熱セット温度90℃、延伸速度500m/分で未延伸糸が切断されるまで延伸したときの倍率をいう。
ポリエチレン繊維の製糸過程においては、紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後延伸する、紡糸した未延伸糸を巻き取ることなく延伸する、紡糸速度が1000m/分以上の高速紡糸により半未延伸糸として巻き取る、或いは高速紡糸して巻き取ることなく延伸する等の方法が用いられる。
(複合糸)
本発明のポリエチレン繊維は、他の繊維と混用して複合糸とすることができる。本発明の複合糸においては、前記ポリエチレン繊維を糸全体に対して30〜80質量%含有することが好ましい。前記ポリエチレン繊維の含有量が30質量%以上であれば、接触冷感性が高くなり、80質量%以下であれば、他の繊維を混用させ風合いを良くすることができる。他の繊維の例としては、セルロース系繊維やポリエステル繊維が好ましいものとして挙げられ、セルロース系繊維やポリエステル繊維を混用すると、肌着用途に適した糸となる。
本発明の複合糸は、セルロース系繊維と混用して、前記ポリエチレン繊維とセルロース系繊維を含有する複合糸とすることが好ましい。即ち、本発明の複合糸は、前記ポリエチレン繊維がセルロース系繊維と混用された複合糸であって、前記ポリエチレン繊維を糸全体に対して30〜80質量%含有するポリエチレン繊維含有複合糸であり、セルロース系繊維を糸全体に対して好ましくは20〜70質量%含有する。前記ポリエチレン繊維とセルロース系繊維との複合方法として、混紡、混繊、引き揃え、合撚等があるが、特にその複合方法に限定されるものではない。本発明のポリエチレン繊維を含む複合糸は、織編物の構成糸の全部または一部として使用することができる。
前記複合糸におけるポリエチレン繊維の含有量が30質量%以上であれば、接触冷感性が高くなり、複合糸におけるセルロース系繊維の含有量が20質量%以上であれば、織編物の風合いが柔らかく、肌着用途に適するものとなる。前記観点から、ポリエチレン繊維の含有量は、好ましくは35〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。また、セルロース系繊維の含有量は、好ましくは30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
複合糸におけるセルロース系繊維としては、綿(木綿)、セルロースアセテート、レーヨン、キュプラ等が挙げられ、特に制限されるものではないが、風合いの点から、綿、セルロースアセテート、中でもセルロースジアセテート、セルローストリアセテートが好ましいものとして挙げられる。
本発明のポリエチレン繊維は、織編物とすることができる。織編物にする場合は、織編物の接触冷感性を高めるために織編物全体に対して30質量%以上含有することが好ましい。
(織編物)
本発明のポリエチレン繊維含有織編物は、前記ポリエチレン繊維を織編物全体に対して30〜80質量%含有することが好ましい。前記ポリエチレン繊維の含有量が30質量%以上であれば、接触冷感性が高くなり、80質量%以下であれば、他の繊維を含有させることで織編物の強度を高めることができる。前記観点から、本発明のポリエチレン繊維の含有量は、好ましくは35〜70質量%、よりが好ましくは40〜60質量%である。
本発明のポリエチレン繊維含有織編物は、生地強度保持の観点から、実用性および機能性を得るためには、他の繊維と複合することが好ましい。複合可能な繊維としては、綿(木綿)、麻、絹等の天然繊維、セルロース系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。また、それぞれの繊維を構成する単繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、得ようとする織編物の風合いおよび光沢等を考慮して、円形、菊型、扁平、Y字等の断面形状から選択される。
本発明のポリエチレン繊維と他の繊維との複合方法は、繊維同士を複合した複合糸であってもよいし、織編物に別々の糸として混用してもよい。
本発明のポリエチレン繊維含有織編物は、セルロース系繊維を織編物全体に対して好ましくは20〜70質量%含有する。本発明のポリエチレン繊維含有織編物において、本発明のポリエチレン繊維を使用することで、タンブラー乾燥等の高温で長時間加熱された場合でも、酸化発熱を抑制し、セルロース系繊維の発火を防止することができる。セルロース系繊維の含有量が20質量%以上であれば、吸湿性が得られ、70質量%以下であれば、前記ポリエチレン繊維を所定量含有することができる。前記観点から、セルロース系繊維の含有量は、より好ましくは35〜65質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。
また、本発明の本発明のポリエチレン繊維含有織編物は、ポリエステル系繊維を織編物全体に対して好ましくは20〜70質量%含有する。本発明のポリエチレン繊維含有織編物において、本発明のポリエチレン繊維の含有量、ポリエステル系繊維の含有量により、本発明のポリエチレン繊維をポリエステル系繊維と混用した織編物におけるポリエステル系繊維の溶融を防止することができる。ポリエステル系繊維の含有量が20質量%以上であれば、織編物強度が高められ、70質量%以下であれば、前記ポリエチレン繊維を所定量含有することができる。前記観点から、ポリエステル系繊維の含有量は、より好ましくは35〜65質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。
織編物におけるセルロース系繊維としては、複合糸と同様、綿(木綿)、セルロースアセテート、レーヨン、キュプラ等が挙げられ、特に制限されるものではないが、風合いの観点から、綿、セルロースアセテート、中でもセルロースジアセテート、セルローストリアセテートが好ましいものとして挙げられる。
また、織編物の組織については、片面の表面に本発明のポリエチレン繊維が多く存在するような組織にすることが、前記片面を肌側に当たる製品において接触冷感性が得られ易いため好ましい。織編物の組織としては、リバーシブル組織、片袋組織等が挙げられる。
本発明の織編物は、さらに弾性糸を織編物質量に対し1〜15質量%加えて含有させることが好ましい。弾性糸としては好ましくはポリウレタン弾性糸を用い、弾性糸を含有させることで、ストレッチ性に優れた織編物が得ることができる。弾性糸の混率は、1質量%以上であれば、ストレッチ性が得られ易く、15質量%以下であれば、風合いを損ない難い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各評価項目は、以下の方法に拠った。
(糸斑(U%))
糸斑試験機(計測器工業社製、イブネステスターKET−80C)を使用し、測定速度15m/分で測定した。測定回数は3回行い、その平均値を算出した。
(酸化発熱評価)
下記のポリプロピレン繊維の酸化発熱試験方法(加速法)(化繊協会法(2012年7月6日改訂))を準用し、評価試験を行い、測定温度150℃、測定時間100時間で、試料に温度上昇がないときは発熱なしと判断した。
1.試料
(1)試料の準備
測定用の生地から直径50mm の大きさの布状試料を採取する。また、円筒容器の深さ(50mm)まで積み重ね充填できる枚数を採取する。
(2)試料の前処理
漂白剤による酸化防止剤の損傷効果を確認するため、水洗い洗濯処理を行う。
a.洗濯処理10回繰り返し後、乾燥を1セットとし、これを10セット繰り返す。
b.洗濯はJIS L0217「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示法」の103法により実施する。ただし、洗剤は「アタック」(粉末タイプ)を使用し、洗剤と共に2.3mL/L となるよう漂白剤「ハイター」(液体タイプ)を加える。
c.乾燥はタンブラー乾燥機で60℃30分間処理する。
2.試験装置
(1)円筒形容器
ふた、底、側壁に孔の開いた、内径51mm、深さ50mmの金属製円筒形容器(ステンレス製等)を用いる。孔径は5.0mmとし、孔の数はふたおよび底に25ヵ所、側壁に140ヵ所とする。なお、ふた、底、側壁は、容器の強度を保持できる厚さ(約1.0〜2.0mm)とし、ふたはボルト等で固定できる構造とする。
(2)恒温乾燥機
温度150℃を維持でき、上記の円筒形容器を入れることのできる大きさの恒温乾燥機を使用する。
(3)温度変化の記録装置
円筒形容器に挿入できる熱電対およびその温度変化を記録できる装置を用いる。
3.試験方法
(1)円筒形容器への試料の充填と熱電対の挿入
円筒形容器の深さの約半分(25mm)まで布状試料を積み重ね、その中心部に熱電対を設置した上で、更に布状試料を積み重ねて円筒形容器に試料を隙間なく充填する。積み重ねた布状試料を上から押さえ(押圧荷重150g/cm 相当)、容器内に隙間ができる場合はその部分に布状試料を追加し、熱電対と試料の間に完全に隙間ができないようにする。
(2)酸化発熱試験(加速法)
a.温度150℃に設定した恒温乾燥機中に、試料を充填した円筒形容器を入れる。
b.試料の中心部の温度が150℃に達した後の時間と温度変化を記録する。試料の中心部に挿入した熱電対の温度が150℃になった時から試験開始とする。
c.試験時間は100時間とする。
d.試験終了後、試料の状態を確認する。
(NOx/BHT黄変テスト)
NOx/BHT黄変試験(ユニチカガーメンテック法);
40mm×40mmの試料を準備し、架台に吊り下げる。架台に吊り下げた試料を、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を25mg入れたシャーレに、およびNO(一酸化窒素)ガスを5mL吸引したシリンジを、25Lのデシケーターに入れてふたをし、50℃の乾燥機に入れ16時間保持し、黄変の程度を評価した。評価は、1−5級の級判定とした。
1級:黄変多い、5級:黄変少ない
(清涼感評価)
判定者3人の官能試験により、試料の清涼感を5段階(清涼感の高いほうを5、低いほうを1)で評価し、その平均値を算出した。
(実施例1)
ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ポリエチレン樹脂HE490、MFR22g/分)を用い、前記ポリエチレン樹脂にヒドロキシルアミン系安定剤(BASF社製、Irgastab FS 301FF)を5質量%添加した樹脂チップ1と、前記ポリエチレン樹脂に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)(BASF社製、Chimassorb 2020 FDL)を20質量%添加した樹脂チップ2をそれぞれ用意し、ポリエチレン樹脂と、前記樹脂チップ1と前記樹脂チップ2とを、チップブレンドし、押出機に投入した。押出機で205℃にて溶融混練したのち、吐出孔の直径が0.6mm、吐出孔数が30個の紡糸口金から205℃の温度で溶融押出し、600m/分の速度で巻き取ることにより未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を、延伸温度70℃、延伸倍率4.3倍、熱セット温度85℃で延伸することにより、HALSおよびヒドロキシルアミン系安定剤を繊維中に含有する56dtex/30フィラメント(f)のポリエチレン繊維糸条を得た。ポリエチレン樹脂、樹脂チップ1、樹脂チップ2のチップブレンドでは、樹脂全体に対して、樹脂チップ1を1質量%、樹脂チップ2を2質量%になるように添加した。表1に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤およびヒドロキシルアミン系安定剤の繊維中での含有量を示す。なお、表1中では高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤をHALS、ヒドロキシルアミン系安定剤をヒドロキシルアミンと略記した。
得られたポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)2本と綿の80番手単糸2本の合計4本を引き揃えて、16Gの横編機でリブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ発熱することはなく、またNOx/BHT黄変テストでも4−5級であった。得られた繊維および編物の評価結果を表1に示す。
(実施例2〜9)
実施例1において、表1に示す内容とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)を得て、さらに実施例1と同様にしてリブ組織の編物を作成した。得られた繊維の評価結果を表1に示す。得られた各編物は、酸化発熱評価を行ったが、いずれも発熱することはなかった。なお、実施例9においては、溶融押出の前に他の添加剤としてヒンダードフェノール(BASF社製、Irganox1010)0.05質量%(繊維中含有量)を添加した。得られた繊維の評価結果を、以下の実施例、比較例での評価結果とともに、表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、繊維中のHALSの含有量を0.1質量%とした以外は、実施例1と同じ方法によりポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)を得た。実施例1と同様に、このポリエチレン繊維糸条と綿の80番単糸からリブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、若干の温度上昇が見られ、NOx/BHT黄変テストでもうすい黄褐色に着色することが確認された。
(比較例2)
実施例1において、ポリエチレン繊維中のHALSの含有量を0質量%とした以外は、実施例1と同じ方法によりポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)を得た。実施例1と同様に、このポリエチレン繊維糸条と綿の80番単糸からリブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、急激な温度上昇が見られ、2時間後には650℃に達し、試験布は黒色に焦げた状態となった。
(比較例3)
実施例1において、ポリエチレン樹脂をMFR1g/分のポリエチレン樹脂(ブラスケム社製、HE150)に代えた以外は、実施例1と同じ方法によりポリエチレン繊維を製造しようとしたが、製糸安定性が得られず、繊維化できなかった。
(比較例4)
実施例1において、HALSを低分子量型光安定剤(BASF社製、Tinuvin770DF)に代えた以外は、実施例1と同じ方法によりポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)を得た。実施例1と同様に、このポリエチレン繊維糸条と綿の80番単糸からリブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、若干の温度上昇が見られ、NOx/BHT黄変テストでもうすい黄褐色に着色することが確認された。
(実施例10)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)2本とポリエチレンテレフタレート(PET)繊維糸条(三菱レイヨン社製、ソルーナ ブライト84dtex/48f)2本の合計4本を引き揃えて、16Gの横編機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、発熱することはなく、また清涼感のある風合いのものであった。得られた編物の評価結果を、以下の実施例、比較例での評価結果とともに、表2に示す。
(実施例11)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)2本と綿の80番単糸2本の合計4本を引き揃えて、16Gの横編機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、発熱することはなく、また清涼感のある風合いのものであった。
(実施例12)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)2本とセルロースジアセテート(DA)繊維糸条(三菱レイヨン社製、リンダ ブライト84dtex/20f)2本の合計4本を引き揃えて、16Gの横編み機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、発熱することはなく、また清涼感のある風合いのものであった。
(比較例5)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)4本を引き揃えて、16Gの横編機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、清涼感のある風合いのものであったが、酸化発熱評価を行ったところ、評価試験での温度がポリエチレン樹脂の融点以上の温度のため、編物が溶融し、酸化発熱の有無は判断できなかった。
(比較例6)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)1本と綿の40番単糸5本の合計6本を引き揃えて、12Gの横編み機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、発熱することはなかったが、清涼感の低いものであった。
(比較例7)
実施例1で作成したポリエチレン繊維糸条(56dtex/30f)1本とポリプロピレン(PP)繊維糸条(MRCパイレン社製、パイレン、56dtex/30f)3本の合計4本を引き揃えて、16Gの横編機で、リブ組織の編物を作成した。得られた編物は、酸化発熱評価を行ったところ、発熱することはなかったが、清涼感の低いものであった。
本発明によるポリエチレン繊維は、セルロース繊維と混用して衣料用途の糸や織編物にした場合、酸化発熱がなく、また清涼感に優れた効果を奏するものである。また本発明のポリエチレン繊維含有するセルロース繊維との複合糸や織編物、或いはその製品は、繰り返し洗濯、クリーニング後の保管状態やタンブラー乾燥等での酸化発熱がなく、安全に使用できるものであり、清涼感に優れた風合いを有することから、寝装用途、衣料用途、特に肌着用途として有用なるものである。

Claims (8)

  1. 分子量2000以上の高分子型ヒンダードアミン系化合物を0.2〜7質量%含有するポリエチレン繊維が、セルロース系繊維と混用された複合糸であって、前記ポリエチレン繊維を糸全体に対して30〜80質量%含有し、セルロース系繊維を糸全体に対して20〜70質量%含有するポリエチレン繊維含有複合糸。
  2. 前記ポリエチレン繊維が、前記高分子型ヒンダードアミン系化合物を0.2〜5質量%含有する請求項1に記載のポリエチレン繊維含有複合糸。
  3. 前記ポリエチレン繊維が、ヒドロキシルアミン系化合物を0.02〜0.5質量%含有する請求項1または請求項2に記載のポリエチレン繊維含有複合糸。
  4. 前記ポリエチレン繊維の単繊維繊度が1〜3dtexである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のポリエチレン繊維含有複合糸。
  5. 分子量2000以上の高分子型ヒンダードアミン系化合物を0.2〜7質量%含有するポリエチレン繊維が、セルロース系繊維と混用された織編物であって、前記ポリエチレン繊維を織編物全体に対して30〜80質量%含有し、セルロース系繊維を織編物全体に対して20〜70質量%含有するポリエチレン繊維含有織編物。
  6. 前記ポリエチレン繊維が、前記高分子型ヒンダードアミン系化合物を0.2〜5質量%含有する請求項5に記載のポリエチレン繊維含有織編物。
  7. 前記ポリエチレン繊維が、ヒドロキシルアミン系化合物を0.02〜0.5質量%含有する請求項5または請求項6に記載のポリエチレン繊維含有織編物。
  8. 前記ポリエチレン繊維の単繊維繊度が1〜3dtexである請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載のポリエチレン繊維含有織編物。
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