JP2015121007A - ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れ、織編物や不織布などの繊維構造体として好適に採用できるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を提供する。【解決手段】ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれのMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFR(A)<MFR(B)でMFR(A)/MFR(B)が0.40〜0.70であるサイドバイサイド型複合繊維。ポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)が50重量%以上であるサイドバイサイド型複合繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維に関するものである。
従来から軽量で嵩高性に優れた織編物が要望されており、これまでに種々の繊維が提案されている。
繊維を軽量化するために、繊維へ捲縮性を付与し、嵩高性を発現させる方法がある。例えば、ポリエステル繊維への捲縮性付与については、極限粘度の異なる2種類のポリエステルをサイドバイサイド型に接合した複合繊維が提案されている(特許文献1)。しかしながら、ポリエステルの比重が1.38と高いため、捲縮性付与による軽量化には限界があり、展開用途も制限されるものであった。
一方で、低比重のポリマーからなる繊維を用いることによって、軽量化が可能である。例えば、ポリオレフィン系繊維の一種であるポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維は、低比重であるため軽量性に優れる。しかしながら、低融点であるため耐熱性が低く、アイロンを使用できないという欠点を有している。また、熱や光により劣化しやすく、特に洗濯や乾燥、有機溶剤を使用したドライクリーニングなどの処理が繰り返される衣料用途においては、劣化の進行により、場合によっては酸化発熱を生じる恐れがあった。これらの欠点のために、一般衣料分野での展開用途が制限され、現状ではタイルカーペット、家庭用敷物、自動車用マットなどのインテリア用途やロープ、養生ネット、ろ過布、細幅テープ、組紐、椅子張りなどの資材用途などの限られた用途において利用されている。
ポリエチレン、ポリプロピレンとは異なるポリオレフィン系のポリマーとしてポリメチルペンテンがある。ポリメチルペンテンは、ポリエチレン、ポリプロピレンよりも比重が低く、極めて軽量性に優れている。また、他のポリオレフィンよりも融点や軟化点が高く、耐熱性に優れ、さらには熱や光に対する耐性も高いため、衣料用途への展開が可能である。しかしながら、ポリメチルペンテンは結晶性が高く、収縮しにくいという特性を有している。そのため、ポリメチルペンテンを単独で繊維化した場合には、捲縮性を付与することは困難である。また、ポリメチルペンテンは剥離性が高いという特性を有している。例えば、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂とのサイドバイサイド型複合繊維とした場合には、繊維化後の製織、製編などの高次加工工程において剥離が生じ、複合繊維の形態を維持することができないため、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂との収縮差を利用した捲縮性の付与は困難である。
ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂との複合繊維については、これまでにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献2では、ポリメチルペンテンとポリプロピレンからなる分割性複合繊維が提案されている。この提案では、ともに低比重であるポリプロピレンとポリメチルペンテンを1:1の比率で交互に貼り合わせた繊維断面を有する複合繊維とした後、分割することで極細繊維を得ている。
特許文献3では、ポリメチルペンテンを鞘、他の熱可塑性樹脂を芯とした芯鞘複合繊維または偏心芯鞘複合繊維が提案されている。この提案では、熱可塑性樹脂との複合によりポリメチルペンテンの延伸性を向上させ、ポリメチルペンテン繊維を高強度化している。
特開平11−241229号公報 特開平3−199425号公報 特開平2−127521号公報
特許文献2記載の方法では、ポリメチルペンテンとポリプロピレンからなる分割性複合繊維を分割することによって、ポリメチルペンテン繊維とポリプロピレン繊維からなる混繊糸となる。ポリメチルペンテン繊維は単独では低収縮性であるため、捲縮性は発現せず、嵩高性を付与することはできなかった。また、耐熱性が低く、熱や光に対する耐性の低いポリプロピレン繊維を含有するため、一般衣料分野での展開用途が限られるものであった。
特許文献3記載の方法において、ポリメチルペンテンを鞘、他の熱可塑性樹脂を芯とした芯鞘複合繊維の場合には、熱可塑性樹脂が繊維断面の中心に配置されているため、3次元コイル状の捲縮が発現しにくいという課題があった。また、ポリメチルペンテンを鞘、他の熱可塑性樹脂を芯とした偏心芯鞘複合繊維の場合には、ポリメチルペンテンと熱可塑性樹脂の剥離が生じてしまうという課題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れ、織編物や不織布などの繊維構造体として好適に採用できるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を提供することにある。
上記の本発明の課題は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれのMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFR(A)<MFR(B)であることを特徴とするサイドバイサイド型複合繊維によって解決することができる。
また、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であること、MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40〜0.70であることが好ましい。
さらには、沸水処理後の捲縮数が1〜10山/cmであること、沸水処理後の捲縮伸長率が2〜20%であることが好適に採用できる。
本発明によれば、捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を提供することができる。本発明により得られるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、織編物や不織布などの繊維構造体とすることで、一般衣料、スポーツ衣料、寝具、インテリア、資材などの幅広い用途において好適に用いることができる。
実施例5で製造したポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維横断面を示す図面代用写真である。 ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の製造に用いうる装置の模式図である。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれのMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFR(A)<MFR(B)である。ポリメチルペンテンは、結晶性が高く、収縮しにくいという特性を有しているが、サイドバイサイド型複合繊維として、2種類のポリメチルペンテン系樹脂の溶融粘度差に起因した収縮差を利用することで、3次元コイル状の捲縮性が発現する。また、2種類のポリメチルペンテン系樹脂間で剥離が生じないため、複合繊維の形態を維持することができるとともに、3次元コイル形態を維持することが可能となる。
本発明のポリメチルペンテン系樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンと同様にポリオレフィン系樹脂であるが、ポリエチレン、ポリプロピレンよりも比重が低く、極めて軽量性に優れている。また、他のポリオレフィンよりも融点や軟化点が高く、耐熱性に優れるとともに、熱や光に対する耐性が高いため、一般衣料用途に加え、アイロンの使用や高温下で使用される用途への展開が可能である。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂としては、4−メチル−1−ペンテン系重合体が挙げられ、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であっても、4−メチル−1−ペンテンとその他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。これらその他のα−オレフィン(以下、単にα−オレフィンと称する場合もある)は、1種または2種以上で共重合することができる。
これらα−オレフィンの炭素数は2〜20であることが好ましく、α−オレフィンの分子鎖は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。これらα−オレフィンの具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ヘキセンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
上記α−オレフィンの共重合率は、4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィンの総モル数に対して20モル%以下であることが好ましい。α−オレフィンの共重合率が20モル%以下であれば、機械的特性や耐熱性が良好なポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維が得られるため好ましい。α−オレフィンの共重合率は15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが更に好ましい。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂の融点は、200〜250℃であることが好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂の融点が200℃以上であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の耐熱性が良好となるため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂の融点は210℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系樹脂の融点が250℃以下であれば、熱流動性が良好であり、製糸操業性が安定化するため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂の融点は245℃以下であることがより好ましく、240℃以下であることが更に好ましい。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂は、ASTM D1238に準じて温度260℃、荷重5.0kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が5〜200g/10分であることが好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂のMFRが5g/10分以上であれば、熱流動性が高く、成形加工性が良好であるため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂のMFRは10g/10分以上であることがより好ましく、20g/10分以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系樹脂のMFRが200g/10分以下であれば、機械的特性が良好なポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維が得られるため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂のMFRは190g/10分以下であることがより好ましく、180g/10分以下であることが更に好ましい。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)のMFRをそれぞれMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40〜0.70であることが好ましい。MFRとは、樹脂の溶融粘度を示す指標である。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40以上であれば、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の溶融粘度差や繊維構造差に起因した収縮差によって優れた3次元コイル状の捲縮が発現するため好ましい。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))は0.45以上であることがより好ましく、0.50以上であることが更に好ましい。一方、MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.70以下であれば、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の溶融粘度差に起因した収縮差によって、優れた3次元コイル状の捲縮が発現するため好ましい。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))は0.65以下であることがより好ましく、0.60以下であることが更に好ましい。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂は、副次的添加物を加えて種々の改質が行われたものであってもよい。副次的添加剤の具体例として、可塑剤、相溶化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、離型剤、抗菌剤、核形成剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、調整剤、艶消し剤、消泡剤、防腐剤、ゲル化剤、ラテックス、フィラー、インク、着色料、染料、顔料、香料などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの副次的添加物は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
次に、本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維について説明する。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であることが好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であれば、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の溶融粘度差や繊維構造差に起因した収縮差によって優れた3次元コイル状の捲縮が発現するため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)は60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が90重量%以下、すなわち、ポリメチルペンテン系樹脂(A)が10重量%以上であれば、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の溶融粘度差や繊維構造差に起因した収縮差による3次元コイル状の捲縮を付与することができるため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)は85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮数は、1〜10山/cmであることが好ましい。沸水処理後の捲縮数の測定方法の詳細については後述する。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮数が1山/cm以上であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体へ嵩高性を付与することができるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮数は2山/cm以上であることがより好ましく、3山/cm以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮数が10山/cm以下であれば、工程通過性や取り扱い性が良好であることに加え、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体の嵩高性を損なうことがないため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮数は9山/cm以下であることがより好ましく、8山/cm以下であることが更に好ましく、5山/cm以下であることが特に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮伸長率は、2〜20%であることが好ましい。沸水処理後の捲縮伸長率の測定方法の詳細については後述する。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮伸長率が2%以上であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体へ嵩高性を付与することができるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮伸長率は3%以上であることがより好ましく、4%以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮伸長率が20%以下であれば、工程通過性や取り扱い性が良好であることに加え、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体の嵩高性を損なうことがないため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の沸水処理後の捲縮伸長率は15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の全繊度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、10〜500dtexであることが好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の全繊度が10dtex以上であれば、製糸操業性や高次加工における工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の全繊度は30dtex以上であることがより好ましく、50dtex以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の全繊度が500dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体とした場合に柔軟性を損なうことがないため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の全繊度は400dtex以下であることがより好ましく、300dtex以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、機械的特性の観点から0.5〜2.0cN/dtexであることが好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度が0.5cN/dtex以上であれば、紡糸、延伸工程や製織、製編工程等において糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時の耐久性に優れるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度は0.7cN/dtex以上であることがより好ましく、1.0cN/dtex以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度は技術的に2.0cN/dtex程度以下である。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の伸度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、工程通過性の観点から10〜60%であることが好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の伸度が10%以上であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体の耐摩耗性が良好となり、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性が良好となるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の伸度は15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の伸度が60%以下であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体の寸法安定性が良好となるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の伸度は55%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の初期引張抵抗度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、10〜40cN/dtexであることが好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の初期引張抵抗度が10cN/dtex以上であれば、工程通過性や取り扱い性が良好であり、機械的特性に優れるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の初期引張抵抗度は15cN/dtex以上であることがより好ましく、20cN/dtex以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の初期引張抵抗度が40cN/dtex以下であれば、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の初期引張抵抗度は35cN/dtex以下であることがより好ましく、30cN/dtex以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維径は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、3〜100μmであることが好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維径が3μm以上であれば、製糸操業性や高次加工における工程通過性が良好であり、機械的特性に優れたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維が得られるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維径は5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維径が100μm以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維径は70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の断面形状は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができ、真円形、扁平形、だるま形、多葉形、多角形などが挙げられるが、捲縮性と風合いのバランスから、真円形、扁平形、だるま形の半円状サイドバイサイドが好ましく、真円形の半円状サイドバイサイドがより好ましい。なお、本発明における扁平形とは、楕円形、長方形、正方形を表し、数学的に定義される正確な楕円形、長方形、正方形以外に、楕円形、長方形、正方形に類似した形状、例えば、長方形または正方形の角を丸くした形状を含むものである。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の嵩高度は、90cc/g以上であることが好ましい。嵩高度の測定方法の詳細については後述する。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の嵩高度が90cc/g以上であれば、繊維構造体へ軽量性を付与することができるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の嵩高度は、100cc/g以上であることがより好ましく、110cc/g以上であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維のアイロン耐熱温度は、160℃以上であることが好ましい。アイロン耐熱温度の測定方法の詳細については後述する。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維のアイロン耐熱温度が160℃以上であれば、低温〜中温でのアイロン掛けにおいて風合い硬化、形状変化、色調変化が生じないため好ましい。また、低温〜中温でのアイロン掛けが可能な繊維素材との複合による繊維構造体とすることができるため好ましい。ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維のアイロン耐熱温度は、170℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維のアイロン耐熱温度は技術的に190℃程度以下である。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、製織や製編について一般の繊維と同様に扱うことができ、繊維構造体とする際に本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維と他の繊維を交織や交編などによって組み合わせてもよい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維からなる繊維構造体の形態は、特に制限がなく、公知の方法に従い、織物、編物、パイル布帛、不織布などにすることができる。また、本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維からなる繊維構造体は、いかなる織組織または編組織であってもよく、平織、綾織、朱子織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などが好適に採用できる。
次に、本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の製造方法について説明する。
本発明におけるポリメチルペンテン系樹脂は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)のMFRをそれぞれMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40〜0.70であることが好ましい。MFRとは、樹脂の溶融粘度を示す指標である。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40以上であれば、溶融粘度差が大きくなり過ぎず、紡糸口金の吐出孔直下での糸の曲がり現象が抑制され、製糸操業性が良好となるため好ましい。また、紡糸工程において、ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)ともに繊維構造の形成が進み、機械的特性が良好なポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維が得られるため好ましい。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))は0.45以上であることがより好ましく、0.50以上であることが更に好ましい。一方、MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.70以下であれば、紡糸工程において、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の溶融粘度差に起因した繊維構造差が発現し、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維へ捲縮性を付与できるため好ましい。MFRの比(MFR(A)/MFR(B))は0.65以下であることがより好ましく、0.60以下であることが更に好ましい。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であることが好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であれば、紡糸口金の吐出孔直下での糸の曲がり現象が抑制され、製糸操業性が安定化するため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)は60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。一方、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が90重量%以下、すなわち、ポリメチルペンテン系樹脂(A)が10重量%以上であれば、紡糸工程において、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の繊維構造差が発現し、ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維へ捲縮性を付与できるため好ましい。ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)は85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることが更に好ましい。
図2は、本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の製造に用いうる装置の模式図である。
ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)をそれぞれ別々にエクストルーダー1にて溶融し、計量ポンプ2で計量した後、紡糸ブロック3に内蔵された紡糸パック4に送り、紡糸パック内で濾過した後、紡糸口金5でポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)をサイドバイサイドに貼り合わせた後、吐出して紡出糸条を6得る。紡出糸条は冷却装置7によって冷却、固化された後、給油装置8で油剤を付与され、交絡付与装置9で交絡を付与された後、第1ゴデットロール10に引き取られ、第2ゴデットロール11を介して、巻取機12で巻き取られ、巻取糸(ポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維)13を得ることができる。なお、溶融紡糸機は、エクストルーダー型、プレッシャーメルター型のいずれを用いてもよく、製糸操業性、生産性、繊維の機械的特性を向上させるために、必要に応じて紡糸口金下部に2〜20cmの長さの加熱筒や保温筒を設置してもよい。
溶融紡糸における紡糸温度は、ポリメチルペンテン系樹脂の融点や耐熱性などに応じて適宜選択することができるが、240〜320℃であることが好ましい。紡糸温度が240℃以上であれば、紡糸口金より吐出された紡出糸条の伸長粘度が十分に低下するため吐出が安定し、さらには、紡糸張力が過度に高くならず、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸温度は250℃以上であることがより好ましく、260℃以上であることが更に好ましい。一方、紡糸温度が320℃以下であれば、紡糸時の熱分解を抑制することができ、得られるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の機械的特性不良や着色が生じないため好ましい。紡糸温度は310℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸における紡糸速度は、紡糸温度や、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率などに応じて適宜選択することができるが、800〜3000m/分であることが好ましい。紡糸速度が800m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸速度は1000m/分以上であることがより好ましく、1500m/分以上であることが更に好ましい。一方、紡糸速度が3000m/分以下であれば、紡出糸条を十分に冷却することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。紡糸速度は2750m/分以下であることがより好ましく、2500m/分以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸によって引き取られた未延伸糸は、所望の繊維特性を有するポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を得るために延伸を行ってもよい。延伸の方法は、特に制限がなく、公知の方法に従い、ドラムに一旦巻き取った未延伸糸を延伸する2工程法、ドラムへ巻き取らずに連続して延伸する直接紡糸延伸法などが挙げられるが、これらに限定されない。
延伸における加熱方法としては、走行糸条を直接的あるいは間接的に加熱できる装置であれば、特に限定されない。加熱方法の具体例として、加熱ローラー、熱ピン、熱板、レーザーなどの装置、温水、熱水などの液体浴、熱空、スチームなどの気体浴などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの加熱方法は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。加熱方法としては、加熱温度の制御、走行糸条への均一な加熱、装置が複雑にならない観点から、加熱ローラーとの接触、熱ピンとの接触、熱板との接触、温水や熱水などの液体浴への浸漬を好適に採用できる。
延伸を行う場合の延伸倍率は、ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率、延伸後のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、1.02〜3.0倍であることが好ましい。延伸倍率が1.02倍以上であれば、延伸によってポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などの機械的特性を向上させることができるため好ましい。延伸倍率は1.1倍以上であることがより好ましく、1.2倍以上であることが更に好ましい。一方、延伸倍率が3.0倍以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸倍率は2.7倍以下であることがより好ましく、2.5倍以下であることが更に好ましい。また、1段延伸法または2段以上の多段延伸法のいずれの方法によってもよい。
延伸を行う場合の延伸温度は、延伸後のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、50〜100℃であることが好ましい。延伸温度が50℃以上であれば、延伸に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸時の熱変形が均一となり、繊度斑の発生を抑制できるため好ましい。延伸温度は55℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることが更に好ましい。一方、延伸温度が100℃以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸温度は95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが更に好ましい。また、必要に応じて、延伸後に50〜150℃の熱セットを行ってもよい。
延伸を行う場合の延伸速度は、延伸方法や延伸倍率などに応じて適宜選択することができるが、30〜1000m/分であることが好ましい。延伸速度が30m/分以上であれば、未延伸糸の総繊度が大きい場合にも走行糸条が安定するため好ましい。延伸速度は、50m/分以上であることがより好ましく、100m/分以上であることが更に好ましい。一方、延伸速度が1000m/分以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸速度は、800m/分以下であることがより好ましく、500m/分以下であることが更に好ましい。
本発明により得られるポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維、およびポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維からなる繊維構造体は、捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れたものである。そのため、展開用途として、一般衣料用途、スポーツ衣料用途、寝具用途、インテリア用途、資材用途などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めたものである。
A.MFR
MFR(g/10分)は、ASTM D1238に準じて測定した。試料がポリメチルペンテン系樹脂の場合には測定温度260℃、荷重5.0kg、ポリプロピレンの場合には測定温度230℃、荷重2.16kg、ポリエステルの場合には測定温度290℃、荷重0.325kgの条件で測定した。なお、測定は1試料につき3回行い、その平均値をMFRとした。
B.MFR比
サイドバイサイド型複合繊維の原料として用いたA成分、B成分のMFRをそれぞれMFR(A)、MFR(B)とし、下記式を用いてMFR比(MFR(A)/MFR(B))を算出した。
MFR比(MFR(A)/MFR(B))=MFR(A)/MFR(B) 。
C.複合比率
サイドバイサイド型複合繊維の原料として用いたA成分の重量と、B成分の重量から、複合比率(A/B)(重量%)を算出した。
D.繊度
温度20℃、湿度65%RHの環境下において、INTEC製電動検尺機を用いて、100mの繊維をかせ取りした。得られたかせの重量を測定し、下記式を用いて繊度(dtex)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を繊度とした。
繊度(dtex)=繊維100mの重量(g)×100 。
E.強度、伸度
強度および伸度は、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5に準じて算出した。温度20℃、湿度65%RHの環境下において、島津製作所製オートグラフAG−50NISMS型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行った。最大荷重を示す点の応力(cN)を繊度(dtex)で除して強度(cN/dtex)を算出し、最大荷重を示す点の伸び(L1)と初期試料長(L0)を用いて下記式によって伸度(%)を算出した。なお、測定は1試料につき10回行い、その平均値を強度および伸度とした。
伸度(%)={(L1−L0)/L0}×100 。
F.初期引張抵抗度
初期引張抵抗度は、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.10に準じて算出した。上記Eと同様に測定を行って荷重−伸長曲線を描き、この曲線の原点近傍において伸長変化に対する荷重変化の最大点を求め、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.10に記載の式を用いて初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を初期引張抵抗度とした。
G.捲縮数(沸水処理後)
繊維をかせ取りし、0.09cN/dtexの荷重を吊るした状態で15分間、沸騰水中で処理した後、冷水で1分間冷却し、さらに5時間風乾した。続いて、繊維を約5cmに切断した後、単糸を取り出してガラス板上に置き、投影機でスクリーンに投影して1cmの間における山と谷の数を数え、山と谷の総数の半分を捲縮数(山/cm)とした。なお、測定は1試料につき10本の単糸について行い、その平均値を捲縮数(沸水処理後)とした。また、算出された捲縮数(沸水処理後)を捲縮性の指標とした。
H.捲縮伸長率(沸水処理後)
繊維をかせ取りし、0.09cN/dtexの荷重を吊るした状態で15分間、沸騰水中で処理した後、冷水で1分間冷却し、さらに5時間風乾した。その後、0.018cN/dtexの初荷重を吊るして2分後に試料長L0を測定し、続いて3.53cN/dtexの定荷重を吊るして2分後に試料長L1を測定した後、下記式を用いて捲縮伸長率(%)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を捲縮伸長率(沸水処理後)とした。また、算出された捲縮伸長率(沸水処理後)を捲縮性の指標とした。
捲縮伸長率(%)={(L1−L0)/L0}×100 。
I.嵩高度
繊維をかせ取りし、0.09cN/dtexの荷重を吊るした状態で15分間、沸騰水中で処理した後、冷水で1分間冷却し、さらに5時間風乾した。その後、回転式のカッターで64mmに切断した後、カードマシンに投入して、わた状のサンプルを作製した。得られたサンプル1gを直径5cmの円筒(円筒の底面積19.6cm)に入れ、2.75gの荷重用円盤を円筒の中にゆっくり降下させ、荷重をかけて2分後の荷重用円盤の高さ(cm)を、円筒の3ヶ所の目盛りで計測し、その平均値を荷重用円盤の高さとして、下記式を用いて嵩高度(cc/g)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を嵩高度とした。また、算出された嵩高度を軽量性の指標とした。
嵩高度(cc/g)=円筒の底面積(cm)×荷重用円盤の高さ(cm)/サンプルの重量(g) 。
J.アイロン耐熱温度
実施例により得られた繊維を経糸、緯糸に用いて、経糸密度70本/25.4mm、緯糸密度70本/25.4mmの平織物を作製した。平織物(15cm×15cm)を試料とし、設定温度に加熱したアイロン(三洋電機製A−1F、面圧約8g/cm)を15秒間当てた後の織物表面の形状変化を観察した。織物表面の形状に変化が見られない場合は、設定温度を10℃ずつ上げ、形状変化がない最高温度をアイロン耐熱温度(℃)とした。なお、アイロンの設定温度は130℃から210℃まで変更した。また、測定により得られた平織物のアイロン耐熱温度をアイロン耐熱性の指標とした。
実施例1
A成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX231”、融点232℃、MFR100g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX820”、融点232℃、MFR180g/10分)のペレットを95℃で12時間真空乾燥した後、別々のプレッシャーメルターへ供給してA成分、B成分ともに280℃で溶融させ、紡糸温度290℃で複合比率(A/B)(重量比)を70/30として紡糸口金(吐出孔径0.7mm、吐出孔長0.3mm、孔数24、だるま形サイドバイサイド型断面)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、3000m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って50dtex−24fのポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を得た。
得られたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表1に示す。捲縮数、捲縮伸長率ともに良好であり、捲縮性に優れていた。また、嵩高度も良好であり、軽量性に優れていた。さらには、アイロン耐熱性にも優れるものであった。
実施例2〜6
複合比率(A/B)(重量比)を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を作製した。
得られたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表1に示す。実施例2〜5において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率が増加するにつれ、捲縮性、軽量性ともに向上した。なかでも、実施例5は捲縮性、軽量性ともに極めて優れていた。また、実施例2〜6のいずれの場合もアイロン耐熱性に優れていた。実施例5により得られたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維横断面を図1に示した。
比較例1
ポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX820”、融点232℃、MFR180g/10分)のペレットを95℃で12時間真空乾燥した後、プレッシャーメルターへ供給して280℃で溶融させ、紡糸温度290℃で紡糸口金(吐出孔径0.23mm、吐出孔長0.3mm、孔数24、丸孔)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、3000m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って50dtex−24fのポリメチルペンテン繊維を得た。
得られたポリメチルペンテン繊維の繊維特性および評価結果を表2に示す。アイロン耐熱性は良好であるものの、ポリメチルペンテンのみからなる繊維であるため収縮性が極めて低く、捲縮性、軽量性ともに劣るものであった。
比較例2
A成分としてポリプロピレン(PP)(日本ポリケム製“ノバテックPP SA3A”、融点165℃、MFR11g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX820”、融点232℃、MFR180g/10分)を用い、A成分の溶融温度を230℃、紡糸温度を270℃とした以外は、実施例3と同様にサイドバイサイド型複合繊維を作製した。
得られたサイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表2に示す。捲縮性、軽量性は良好であるものの、融点が低いポリプロピレンとの複合であるためにアイロン耐熱性に極めて劣るものであった。
比較例3
A成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)(融点252℃、MFR7g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX820”、融点232℃、MFR180g/10分)を用い、A成分の溶融温度を295℃とした以外は、実施例3と同様にサイドバイサイド型複合繊維を作製した。
得られたサイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表2に示す。アイロン耐熱性は良好であった。しかしながら、ポリメチルペンテンとポリエチレンテレフタレートの親和性が低いため、繊維横断面において界面剥離が多数見られており、捲縮数、捲縮伸長率、嵩高度のいずれも低く、捲縮性、軽量性ともに劣るものであった。
実施例7〜12
紡糸口金を吐出孔径0.3mm、吐出孔長0.6mm、孔数24、真円形サイドバイサイド型断面に変更した以外は、実施例1〜6と同様にポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を作製した。
得られたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表3に示す。いずれの複合比率においても、断面形状がだるま形の場合と比べて、捲縮性、軽量性ともに良好であった。また、実施例7〜12のいずれの場合もアイロン耐熱性に優れていた。
実施例13〜21
実施例13〜15ではA成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX845”、融点232℃、MFR9g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“RT31”、融点232℃、MFR21g/10分)を用い、実施例16〜18ではA成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“RT18”、融点232℃、MFR26g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX231”、融点232℃、MFR100g/10分)を用い、実施例19〜21ではA成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“RT18”、融点232℃、MFR26g/10分)、B成分としてポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製“DX820”、融点232℃、MFR180g/10分)を用いた。また、紡糸口金として吐出孔径0.3mm、吐出孔長0.6mm、孔数24、真円形サイドバイサイド型断面を用い、複合比率(A/B)(重量比)を表4に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を作製した。
得られたポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維の繊維特性および評価結果を表4に示す。MFR比および複合比率に応じて、捲縮性、軽量性が変化した。また、実施例13〜21のいずれの場合もアイロン耐熱性に優れていた。
本発明のポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維は、捲縮性とともに軽量性、アイロン耐熱性に優れるものである。そのため、織編物や不織布などの繊維構造体として好適に用いることができる。
1.エクストルーダー
2.計量ポンプ
3.紡糸ブロック
4.紡糸パック
5.紡糸口金
6.紡出糸条
7.冷却装置
8.給油装置
9.交絡付与装置
10.第1ゴデットロール
11.第2ゴデットロール
12.巻取機
13.巻取糸

Claims (5)

  1. ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれのMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFR(A)<MFR(B)であることを特徴とするサイドバイサイド型複合繊維。
  2. ポリメチルペンテン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)の複合比率(重量比)において、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載のサイドバイサイド型複合繊維。
  3. MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が0.40〜0.70であることを特徴とする請求項1または2記載のサイドバイサイド型複合繊維。
  4. 沸水処理後の捲縮数が1〜10山/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のサイドバイサイド型複合繊維。
  5. 沸水処理後の捲縮伸長率が2〜20%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のサイドバイサイド型複合繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113039315A (zh) * 2018-09-18 2021-06-25 埃克森美孚化学专利公司 双组分纤维和由其生产的非织造材料
JP7437975B2 (ja) 2020-03-03 2024-02-26 三井化学株式会社 繊維および繊維の製造方法

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