JP7437975B2 - 繊維および繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、捲縮性に優れたメチルペンテン系重合体からなる繊維、およびその製造方法に関する。
従来から軽量で嵩高性に優れた織編物が要望されており、これまでに種々の繊維が提案 されている。
ポリメチルペンテンは、従来繊維に用いられていたポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンよりも比重が小さく、極めて軽量性に優れている。また、他のポリオレフィンよりも融点や軟化点が高く、耐熱性に優れ、さらには熱や光に対する耐性も高いため、衣料用途への展開が可能である。
しかしながら、ポリメチルペンテンは結晶性が高く、収縮しにくいという特性を有している。そのため、ポリメチルペンテンを単独で繊維化した場合には、捲縮性を付与することは困難である。また、ポリメチルペンテンは剥離性が高いという特性を有している。例えば、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂とのサイドバイサイド型複合繊維とした場合には、繊維化後の製織、製編などの高次加工工程において剥離が生じ、複合繊維の形態を維持することができないため、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂との収縮差を利用した捲縮性の付与は困難である。
ポリメチルペンテンを用いた繊維としては、特許文献1に、ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれ のMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに 、MFR(A)<MFR(B)であるサイドバイサイド型複合繊維が開示されている。また、特許文献2には、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を含む、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)が開示されており、この組成物が繊維として利用できることが記載されている。
特開2015-121007号公報 特開2018-162408号公報
特許文献1に開示されたサイドバイサイド型複合繊維は、従来のポリメチルペンテン系繊維に比較して捲縮性が高いが、依然として捲縮性が十分であるとはいえず、例えば衣類の中綿などに用いた場合、ふんわり感が足りないなどの問題があり、さらなる改善が求められていることがわかってきた。
また、特許文献2に開示された4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物は、繊維として利用できることが示唆されているものの、実際に繊維として使用された記載はなく、繊維としての性能は不明である。
本発明は、従来のポリメチルペンテン系繊維よりもさらに捲縮性に優れたポリメチルペンテン系の繊維を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体と4-メチル-1-ペンテン共重合体から得られる複合繊維が高い捲縮性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば、下記[1]~[6]に関する。
[1] 下記要件(A-a)~(A-d )を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを含む繊維。
(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~1.5モル%である。
(A-b)極限粘度[η]Aが1.00~1.30dL/gの範囲にある。
(A-c)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が236~260℃の範囲にある。
(A-d)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g以上である。
(B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が1.5~80.0モル%である。
(B-b)極限粘度[η]Bが1.30~2.60dL/gの範囲にある。
(B-c)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が236℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
(B-d)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g未満である。
[2] 前記4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の構成単位のうち4-メチル-1-ペンテンから導かれる含有量が99.4モル%以上である[1]に記載の繊維。
[3] サイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型繊維である[1]または[2]に記載の繊維。
[4] 前記4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の極限粘度[η]Aと、前記4-メチル1-ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]Bとが、[η]A<[η]Bの関係式を満足する、[1]~[3]のいずれかに記載の繊維。
[5] 下記要件(A-a)~(A-d )を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを複合して溶融紡糸する繊維の製造方法。
(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.0モル%である。
(A-b)極限粘度[η]Aが1.0~1.3dL/gの範囲にある。
(A-c)DSCで測定した融点(Tm)が236~260℃の範囲にある。
(A-d)DSCで測定した融解熱が45J/g以上である。
(B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が1.5~80.0モル%である。
(B-b)極限粘度[η]Bが1.3~2.6dL/gの範囲にある。
(B-c)DSCで測定した融点(Tm)が236℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
(B-d)DSCで測定した融解熱が45J/g未満である。
[6] 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを、サイドバイサイド型に配して紡糸する[5]に記載の製造方法。
本発明の繊維は、ポリメチルペンテン系繊維でありながら高い捲縮性を有する。このため、本発明の繊維は、例えば衣類の中綿などに用いた場合、十分なふんわり感が得られるなどの効用が期待される。
本発明の繊維は、下記要件(A-a)~(A-d )を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを含む。
以下、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)について説明する。
[4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)]
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、下記要件(A-a)~(A-d)を満たす。
(要件(A-a))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~1.5モル%である。
本発明において、「エチレン」および「炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)」を「コモノマー」とも記載する。コモノマーから導かれる構成単位は、1種のコモノマーから導かれる構成単位であってもよく、2種以上のコモノマーから導かれる構成単位であってもよい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、例えば、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体(すなわち、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、または4-メチル-1-ペンテンと他のオレフィンとの共重合体である。
ここで、得られる繊維の捲縮性を高める観点から、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれる全構成単位に対する4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)は好ましくは99.0~100モル%、より好ましくは99.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種から導かれる構成単位の含有量(U2)は、好ましくは0~1.0モル%、より好ましくは0~0.5モル%である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)が共重合体である場合、4-メチル-1-ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3~20のα-オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンであり、これらのα-オレフィンは、1種単独でもよく、または2種以上の組み合わせでもよい。
本発明において、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)中の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量は、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)の量によって調整することができる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、後述する要件を満たす限り、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン以外のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、(U1)と(U2)の合計100wt%に対して、例えば10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。
(要件(A-b))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、極限粘度[η]Aが1.00~1.30dl/gの範囲にある。極限粘度[η]Aは、135℃のデカリン中で測定した値である。
極限粘度[η]Aは、好ましくは1.00~1.25dl/g、より好ましくは1.05~1.20dl/g、さらに好ましくは1.10~1.18dl/gである。極限粘度[η]Aが上記範囲内であると、得られる繊維の捲縮性を高めることができる。
極限粘度[η]Aは、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整でき、また、極限粘度[η]Aの異なる4-メチル-1-ペンテン系重合体を混合して上記範囲内に調整しても構わない。
(要件(A-c))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、DSCで測定した融点(Tm)が236~260℃の範囲にある。融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の融点(Tm)は、好ましくは236~250℃、より好ましくは236~245℃、さらに好ましくは236~242℃である。融点(Tm)が上記範囲内にあると、繊維の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
(要件(A-d))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g以上である。前記融解熱は、前記要件(A-c)に示した条件と同様の条件によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の融解熱は、好ましくは45~60J/g、より好ましくは45~55J/g、さらに好ましくは47~52J/gである。融解熱が上記範囲内にあると、繊維の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の融解熱は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
上記要件のほか、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が185~400g/10分の範囲にあることが好ましく、215~300g/10分の範囲にあることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、上記要件を満たす限り、(共)重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性(共)重合体であってもよい。
(4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法)
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法においては、従来公知の重合触媒を用いることができる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)がグラフト変性(共)重合体である場合は、以下のグラフト変性条件により4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)を製造することができる。
《グラフト変性》
グラフト変性に用いられる極性モノマーとしては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物が挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物が挙げられる。不飽和基としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
極性モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸の誘導体として、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルが挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートが挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が特に好ましい。
変性は、被変性体である(共)重合体に、極性モノマーをグラフト重合させることにより得られる。被変性体に、極性モノマーをグラフト重合させる際には、極性モノマーは、被変性体100質量部に対して、通常1~100質量部、好ましくは5~80質量部の量で使用される。このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下にて行なわれる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物などを用いることができる。
ラジカル開始剤は、被変性体および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
被変性体に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
被変性体の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば被変性体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、通常70~200℃、好ましくは80~190℃の温度で、通常0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させることにより行うことができる。
押出機などを用いて、被変性体と極性モノマーとを反応させて、変性体、すなわち4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)を含む共重合体組成物を製造することもできる。この反応は、通常は被変性体の融点以上で行う。具体的には、熱可塑性樹脂を変性する場合には、例えば通常120~300℃、通常0.5~10分間行われ、好ましくは160~300℃、より好ましくは180℃~250℃の温度で行われる。
このようにして得られる変性体の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性体を100質量%とした場合に、通常0.1~50質量%、好ましくは0.2~30質量%、さらに好ましくは0.2~10質量%である。
また、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、被変性体を、シランカップリング剤を用いてグラフト変性することにより得られた(共)重合体(A)であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N'-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤を用いて架橋する際は、乾式処理法でも、湿式(スラリー法)処理法でもよい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)として変性体を用いると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。
[4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)]
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす。4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)がブレンドポリマーである場合、そのブレンドポリマーが下記要件(B-a)~(B-d)を満たす。
(要件(B-a))
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が1.5~80.0モル%である。
コモノマーから導かれる構成単位は、1種のコモノマーから導かれる構成単位であってもよく、2種以上のコモノマーから導かれる構成単位であってもよい。
含有量(U3)および(U4)が上記範囲であると、得られる繊維の捲縮性が高められる点で好ましい。
コモノマー組成は、IRまたは13C-NMRにより測定することができる。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)中の各構成単位の含有量は、例えば、重合反応中に添加するそれぞれのオレフィン(例えば、4-メチル-1-ペンテン、エチレン、炭素数3~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィン)の量によって調整することができる。
炭素数3~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンが挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは炭素原子数6~20のメチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンであり、例えば1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが挙げられる。
その中でも、1-ヘキセン、1-デセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが特に好ましい。
コモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、後述する要件を満たす限り、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン以外の、他のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、含有量(U3)と(U4)の合計100wt%に対して、例えば10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。
(要件(B-b))
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]Bは1.30~2.60dl/gの範囲にある。極限粘度[η]Bは、135℃のデカリン中で測定した値である。
極限粘度[η]Bは、好ましくは1.30~2.30dl/g、より好ましくは1.30~1.95dl/g、さらに好ましくは1.30~1.60dl/g、特に好ましくは1.30~1.45dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、得られる繊維の捲縮性が高められる。
極限粘度[η]は、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整でき、また、極限粘度[η]の異なる4-メチル-1-ペンテン系重合体を混合して上記範囲内に調整しても構わない。
また、得られる繊維の捲縮性を高める観点から、4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の極限粘度[η]Aと4-メチル1-ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]Bとが、[η]A<[η]Bの関係式を満足することが好ましい。
さらに、4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の極限粘度[η]Aと4-メチル1-ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]Bとの比([η]A/[η]B)が、0.43~0.96の範囲にあることが好ましく、0.70~0.91の範囲にあることがより好ましく、0.75~0.87の範囲にあることが更に好ましい。
(要件(B-c))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)は、DSCで測定した融点(Tm)が236未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)の融点(Tm)は、好ましくは215~235℃、より好ましくは220~235℃、さらに好ましくは222~235℃である。融点(Tm)が上記範囲内にあると、繊維の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)の融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
(要件(B-d))
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)は、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g未満である。前記融解熱は、前記要件(B-c)に示した条件と同様の条件によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)の融解熱は、好ましくは10~44J/g、より好ましくは15~42J/g、さらに好ましくは18~40J/gである。融解熱が上記範囲内にあると、繊維の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)の融解熱は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
上記要件のほか、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(B)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が9~130g/10分の範囲にあることが好ましく、26~110g/10分の範囲にあることがより好ましい。
(4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の製造方法)
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、後述するオレフィン重合用触媒の存在下、4-メチル-1-ペンテンとエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合することで得ることができる。
[1]オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、
[A]架橋メタロセン化合物と、
[B](b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(b-2) 前記メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b-3) 有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と
を含む触媒が好ましい。
〈架橋メタロセン化合物[A]〉
架橋メタロセン化合物[A]は、一般式[A1]で表される化合物が好ましく、一般式[A2]で表される化合物がより好ましい。
Figure 0007437975000001
式[A1]中、Mは周期表第4族遷移金属、例えばチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数であり、RAおよびRBは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができる単核または多核炭化水素残基であり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、RCおよびRDは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 0007437975000002
式[A2]中、R1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2~R10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数である。
一般式[A2]で表される架橋メタロセン化合物の中でも、重合特性、入手容易性、上記要件を満たす重合体を得る観点から、一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物が特に好ましい。
Figure 0007437975000003
式[A3]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b~R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1~3の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数である。
<R 1 からR 10 、R 1b からR 12b
1からR10およびR1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bまでの置換基のうち、2つの置換基(例:R2bとR3b、R3bとR4b、R5bとR6b、R6bとR7b、R8bとR9b、R9bとR10b、R10bとR11b、R11bとR12b)が互いに結合して環を形成していてもよく、前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、立体規則性の観点から、炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
1bとしては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくはtert-ブチル基、1-アダマンチル基である。
一般式[A3]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
8bは水素原子であることが好ましい。
9bは炭化水素基であることがより好ましく、R9bは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R9bは炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
<M、Q、nおよびjについて>
Mは第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され;炭素数3~10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、5以下であることがより好ましい。
炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが例示される。
アニオン配位子としては、メトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が例示される。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1~5のアルキル基である。
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることが、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
以上、一般式[A2]または[A3]で表される架橋メタロセン化合物の構成、すなわちR1~R10、R1b~R12b、M、n、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。このような架橋メタロセン化合物は、上記物性を有する本発明の重合体を得るために好適に使用することができる。
一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
〈化合物[B]〉
《有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)》
有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、一般式[B1]で表される化合物および一般式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、一般式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、一般式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
Figure 0007437975000004
式[B1]および[B2]において、Rは炭素数1~10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが好適に使用される。
Figure 0007437975000005
式[B3]において、Meはメチル基であり、Rは炭素数2~10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数である。複数あるRは相互に同一でも異なっていてもよい。修飾メチルアルミノキサン[B3]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[B3]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられる方法で調製することが出来る。
また、東ソー・ファインケム社等からも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、一般式[B3]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOという商品名で商業的に生産されている。
MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。具体的には一般式[B1]または[B2]で表される化合物等のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは異なり、MMAOは脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素に溶解するものである。
Figure 0007437975000006
式[B4]において、Rcは炭素数1~10の炭化水素基である。複数あるRdはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基である。上記オレフィン重合用触媒を用いた製法では、後述するような高温においても重合体を製造することができる。したがって、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることができる。また、特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2-24701号公報、特開平3-103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
なお、上記の「ベンゼン不溶性または難溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンに溶解する当該化合物の溶解量が、Al原子換算で通常は10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である有機アルミニウムオキシ化合物をいう。
上記例示の有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《イオン性化合物(b-2)》
架橋メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン性化合物(b-2)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、特開2004-51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b-2)としては、一般式[B5]で表される化合物が好ましい。
Figure 0007437975000007
式[B5]において、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に有機基を示し、好ましくはアリール基またはハロゲン置換アリール基を示す。
上記カルベニウムカチオンとしては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが例示される。
アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが例示される。
ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが例示される。
e+としては、上記例示の中では、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
1.R e+ がカルベニウムカチオンの場合(カルベニウム塩)
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
2.R e+ がアンモニウムカチオンの場合(アンモニウム塩)
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
トリアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが例示される。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
ジアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが例示される。
イオン性化合物(b-2)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《有機アルミニウム化合物(b-3)》
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、一般式[B7]で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
a mAl(ORbnpq [B6]
式[B6]において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
2AlRa 4 [B7]
式[B7]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。
有機アルミニウム化合物[B6]としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム; ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C49xAly(C510z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra 2.5Al(ORb0.5(式中、RaおよびRbは式[B6]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が例示される。
錯アルキル化物[B7]としては、LiAl(C254、LiAl(C7154が例示される。また、錯アルキル化物[B7]に類似する化合物も使用することができ、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が例示される。このような化合物としては、(C252AlN(C25)Al(C252が例示される。
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、入手が容易な点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、有機アルミニウム化合物(b-3)は、1種で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈担体[C]〉
オレフィン重合用触媒の成分として、担体[C]を用いてもよい。担体[C]は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
《無機化合物》
無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。多孔質酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が例示される。複合物または混合物としては、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOが例示される。これらの中では、SiO2およびAl23の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、粒径が好ましくは10~300μm、より好ましくは20~200μmの範囲にあり;比表面積が好ましくは50~1000m2/g、より好ましくは100~700m2/gの範囲にあり;細孔容積が好ましくは0.3~3.0cm3/gの範囲にある。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100~1000℃、好ましくは150~700℃で焼成して使用される。無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が例示される。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に上記無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。
具体的には、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが例示され;イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が例示される。具体的には、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO42・H2O、α-Zr(HPO42、α-Zr(KPO42・3H2O、α-Ti(HPO42、α-Ti(HAsO42・H2O、α-Sn(HPO42・H2O、γ-Zr(HPO42、γ-Ti(HPO42、γ-Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が例示される。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が例示される。
また、イオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した層状化合物としてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常はピラーと呼ばれる。例えば、層状化合物の層間に下記金属水酸化物イオンをインターカレーションした後に加熱脱水することにより、層間に酸化物支柱(ピラー)を形成することができる。なお、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物;Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+等の金属水酸化物イオンが例示される。これらのゲスト化合物は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
また、ゲスト化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解および重縮合して得た重合物、SiO2等のコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
無機化合物の中では、粘土鉱物および粘土が好ましく、モンモリロナイト群、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
《有機化合物》
有機化合物としては、粒径が10~300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
〈有機化合物成分[D]〉
オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分[D]を用いてもよい。有機化合物成分[D]は、必要に応じて、α-オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分[D]としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
〈オレフィン重合用触媒の構成〉
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
(1)オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、架橋メタロセン化合物[A]は、反応容積1リットル当り、通常は10-9~10-1モル、好ましくは10-8~10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)を用いる場合には、化合物(b-1)は、化合物(b-1)中のアルミニウム原子(Al)と架橋メタロセン化合物[A]中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01~5000、好ましくは0.05~2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b-2)を用いる場合には、化合物(b-2)は、化合物(b-2)と架橋メタロセン化合物[A]中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-2)/M〕が、通常は1~10、好ましくは1~5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b-3)を用いる場合には、化合物(b-3)は、化合物(b-3)と架橋メタロセン化合物[A]中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-3)/M〕が、通常は10~5000、好ましくは20~2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物成分[D]を用いる場合には、化合物[B]が有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)であるときは、有機化合物成分[D]と化合物(b-1)とのモル比〔[D]/(b-1)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b-2)であるときは、有機化合物成分[D]と化合物(b-2)とのモル比〔[D]/(b-2)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b-3)であるときは、有機化合物成分[D]と化合物(b-3)とのモル比〔[D]/(b-3)〕が、通常は0.01~2、好ましくは0.005~1となるような量で用いられる。
[2]重合方法
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の製造において、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
当該製造方法において、オレフィンの重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
当該製造方法は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高立体規則性・高融点および高分子量を有する重合体を製造することが可能である。このような高温条件下では、重合温度は、通常40℃以上、好ましくは40~200℃、より好ましくは45~150℃、特に好ましくは50~150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
当該製造方法で得られた重合体に対しては、上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
[その他の成分]
本発明の繊維は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体および樹脂用添加剤から選ばれる少なくとも1種を任意に含有することができる。以下、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体を「他の重合体(D)」ともいい、樹脂用添加剤を「添加剤(C)」ともいう。
(他の重合体(D))
他の重合体(D)としては、本発明の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる熱可塑性樹脂を広く用いることができる。他の重合体(D)の含有量は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)のそれぞれの含有量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる限り特に制限されないが、
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂:例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂;
熱可塑性ポリアミド系樹脂:例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612);
熱可塑性ポリエステル系樹脂:例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂:例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、これらの水素添加物);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム:例えば、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム;
等が例示される。上述した熱可塑性ポリオレフィン系樹脂のうち、例えばポリエチレン、ポリプロピレンは結晶核剤として用いることもでき、その場合の好ましい含有量は4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)のそれぞれの含有量に対して、0.001~5質量%である。
熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂であり、より好ましくは、耐熱性向上、低温耐性向上、柔軟性の点で、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂である。
他の重合体(D)の一部または全部は、重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性重合体であってもよい。グラフト変性については、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)について示した上記《グラフト変性》に準じる。
他の重合体(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(添加剤(C))
添加剤(C)としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤が挙げられる。
添加剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤(C)の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)のそれぞれの含有量に対して、配合される添加剤それぞれについて0.001~30質量%であることが好ましい。
核剤としては、繊維の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6-ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
核剤の配合量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末、アマイド系滑剤等が挙げられる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)のそれぞれの含有量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1~3質量%である。
充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレークが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
離型剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(C1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンが挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等)、リン系(トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸やオレイン酸のエステルが挙げられ、高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、アミン系安定剤、フェノール系安定剤および硫黄系安定剤などの従来公知の安定剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系安定剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。
有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ-tert-ブチル有機ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert-ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
有機ペルオキシドは、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
上記架橋助剤は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。これらのうちで、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
軟化剤の量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)のの総量100質量部に対して、1~200質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、繊維を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
[繊維]
本発明の繊維は、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを含む。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と複合比率(重量比)は、A:B=20~80:80~20であることが好ましく、30~70:70~30であることがより好ましく、40~60:60~40であることがさらに好ましい。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と複合比率(重量比)が前記範囲内であると、得られる繊維の捲縮性を高めることができる。
本発明の繊維は、前述のとおり、高い捲縮性を有する。本発明の繊維のJIS L1015に準拠した捲縮数は、好ましくは1~20山/inchであり、より好ましくは4~20山/inchである。本発明の繊維のJIS L1015に準拠した捲縮率は、好ましくは2~15%であり、より好ましくは4~15%である。捲縮数および捲縮率の測定方法は、後記の実施例において詳述する。
本発明の繊維の繊度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは0.5~50dtexであり、より好ましくは2~10dtexである。繊度が前記範囲内であると、製糸操業性や高次加工における工程通過性が良好であり、 使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れ、さらに柔軟性を有する繊維となる。
本発明の繊維の引張強さは、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1.0~10.0cN/dtexであり、より好ましくは2.0~6.0cN/dtexである。引張強さが前記範囲内であると、紡糸、延伸工程や製織、製編工程等において糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、繊維の使用時の耐久性に優れる。
本発明の繊維の伸度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは10~100%であり、より好ましくは20~80%である。伸度が前記範囲内であると、耐摩耗性が良好であり、工程通過性が良好であり、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性が良好であり、さらに寸法安定性が良好な繊維となる。
本発明の繊維は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを含む複合繊維であり、その複合繊維の形態としては、特に制限はなく、例えばサイドバイサイド型複合繊維および偏心芯鞘型繊維等を挙げることができる。このうち、より高い捲縮性を得るという観点から、サイドバイサイド型複合繊維が好ましい。
本発明の繊維の断面形状は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができ、真円形、扁平形、だるま形、多葉形、多角形などが挙げられる。捲縮性と風合いのバランスから、真円形、扁平形、だるま形の半円状サイドバイサイドが好ましく、真円形の半円状サイドバイサイドがより好ましい。
[繊維の製造方法]
本発明の繊維の製造方法は、特に限定されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを複合して溶融紡糸する方法が挙げられる。
以下、本発明の繊維がサイドバイサイド型複合繊維である場合の製造方法の一具体例について詳述する。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)をそれぞれ別々に溶融紡糸機にて溶融し、計量ポンプで計量した後、紡糸口金で4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とをサイドバイサイドに貼り合わせ 、吐出して紡出糸条を得る。紡出糸条は冷却装置によって冷却、固化された後、油剤を付与され、交絡付与装置で交絡を付与される。その後、紡出糸条はゴデットロールに引き取られ、巻取機で巻き取られて巻取糸(サイドバイサイド型複合繊維)となる。
溶融紡糸機は、エクストルーダー型、プレッシャーメルター型のいずれを用いてもよく、製糸操業性、生産性、繊維の機械的特性を向上させるために、必要に応じて紡糸口金下部に 2~20cmの長さの加熱筒や保温筒を設置してもよい。
溶融紡糸における紡糸温度は、260~320℃であることが好ましい。紡糸温度が260℃以上であれば、紡糸口金より吐出された紡出糸条の伸長粘度が十分に低下するため吐出が安定し、さらには、紡糸張力が過度に高くならず、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸温度は270℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることが更に好ましい。一方、紡糸温度が320℃以下であれば、紡糸時の熱分解を抑制することができ、得られるサイドバイサイド型複合繊維の機械的特性不良や着色が生じないため好ましい。紡糸温度は310℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸における紡糸速度は、紡糸温度や、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)との複合比率などに応じて適宜選択することができるが、300~3000m/分であることが好ましい。紡糸速度が800m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸速度は1000m/分以上であることがより好ましく、1500m/分以上であることが更に好ましい。一方、紡糸速度が3000m/分以下であれば、紡出糸条を十分に冷却することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。紡糸速度は2750m/分以下であることがより好ましく、2500m/分以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸によって引き取られた未延伸糸は、所望の繊維特性を有するポリメチルペンテン系サイドバイサイド型複合繊維を得るために延伸を行った方が好ましい。延伸の方法は、特に制限がなく、公知の方法に従い、ドラムに一旦巻き取った未延伸糸を延伸する2工程法、ドラムへ巻き取らずに連続して延伸する直接紡糸延伸法などが挙げられるが、これらに限定されない。
延伸における加熱方法としては、走行糸条を直接的あるいは間接的に加熱できる装置であれば、特に限定されない。加熱方法の具体例として、加熱ローラー、熱ピン、熱板、レーザーなどの装置、温水、熱水などの液体浴、熱空、スチームなどの気体浴などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの加熱方法は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。加熱方法としては、加熱温度の制御、走行糸条への均一な加熱、装置が複雑にならない観点から、加熱ローラーとの接触、熱ピンとの接触、熱板との接触、温水や熱水などの液体浴への浸漬を好適に採用できる。
延伸を行う場合の延伸倍率は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)との複合比率、延伸後のサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、1.1~3.5倍であることが好ましい。延伸倍率が1.1倍以上であれば、延伸によってサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などの機械的特性を向上させることができるため好ましい。延伸倍率は1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることが更に好ましい。一方、延伸倍率が3.5倍以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸倍率は3.2倍以下であることがより好ましく、3.0倍以下であることが更に好ましい。また、1段延伸法または2段以上の多段延伸法のいずれの方法によってもよい。
延伸を行う場合の延伸温度は、延伸後のサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、80~140℃であることが好ましい。延伸温度が80℃以上であれば、延伸に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸時の熱変形が均一となり、繊度斑の発生を抑制できるため好ましい。延伸温度は85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが更に好ましい。一方、延伸温度が140℃以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸温度は135℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが更に好ましい。また、必要に応じて、延伸後に80~150℃の熱セットを行ってもよい。
(製造例1)4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)の製造
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(以下「メタロセン化合物(a)」ともいう。)を合成した。
充分に乾燥し、窒素置換したシュレンク管に、磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n-ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し、窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4-メチル-1-ペンテン500mL、シクロヘキサン250mL、および、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素120.0mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに前記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から20分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過により回収した。その後、回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)を得た。
(製造例2)4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-2)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-2)を得た。
(製造例3)4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(B-1)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(B-1)を得た。
(製造例4)4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン共重合体(B-2)の製造
国際公開第2006/054613号の実施例17において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン混合物から導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン共重合体(B-2)を得た。
上記製造例1~4で得られた重合体および共重合体の組成、メルトフローレート(MFR)、極限粘度[η]、融点および融解熱を以下の測定方法により測定した。結果を表1に示す。
<重合体および共重合体の組成測定>
重合体および共重合体中の、各モノマーから導かれる構成単位の含有量は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルによって算出した。
装置として、ブルカー社製のAVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として、o-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒を用い、試料濃度:55mg/0.6mL、測定温度:120℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間:5.5秒、積算回数:64回の条件で、ベンゼン-d6の128ppmのピークをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、各モノマーから導かれる構成単位の含有量(モル%)を算出した。
なお、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量を4MP-1含有量ともいい、4-メチル-1-ペンテン以外のモノマー(コモノマー)から導かれる構成単位の含有量の合計をコモノマー含有量ともいう。
<メルトフローレート(MFR)>
メルトフローレート(MFR)はASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定した。
<極限粘度[η]測定>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、重合体または共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値(dl/g)を極限粘度として求めた(下記式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<融点(Tm)、融解熱>
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点(Tm)とした。測定は、以下のようにして行った。ペレット試料約5mgを測定用アルミパンに詰め、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。また、その融解ピークから融解熱を求めた。融解ピークが複数ある場合には最もピーク強度の強い値を融点とした。
Figure 0007437975000008
[実施例1]
4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)および4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(B-1)をそれぞれ別々にエクストルーダーにて280℃で溶融し、計量ポンプで計量した後、紡糸ブロックに内蔵された紡糸パックに送った。紡糸パック内で濾過した後、紡糸温度290℃にて、紡糸口金で4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B-1)とを、複合比率((A-1)/(B-1)(重量比)を50/50として、サイドバイサイドに貼り合わせ、吐出して繊維を製造した。得られた繊維を、冷却装置によって冷却、固化して、給油装置で油剤を付与した後、第1ゴデットロールに引き取られ、第2ゴデットロールを介して、巻取機で巻き取って、サイドバイサイド型複合繊維を得た。
[実施例2]
4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(B-1)の代わりに4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン共重合体(B-2)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、サイドバイサイド型複合繊維を得た。
[比較例1]
4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)の代わりに4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-2)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、サイドバイサイド型複合繊維を得た。
[比較例2]
4-メチル-1-ペンテン重合体(A-1)の代わりに4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-2)を使用し、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(B-1)の代わりに4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン共重合体(B-2)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、サイドバイサイド型複合繊維を得た。
上記実施例および比較例で得られたサイドバイサイド型複合繊維の繊度、引張強さ、伸度、捲縮数および捲縮率を以下の測定方法により測定した。なお、測定試料としては、サイドバイサイド型複合繊維をカットしていない長繊維、またはサイドバイサイド型複合繊維を38mmにカットして得られた短繊維を用いた。長繊維はJIS L1013規格で評価し、短繊維はJIS L1015規格で評価した。
結果を表2に示す。
<繊度>
繊度は、測定試料として長繊維を用い、JIS L1013に準拠して測定した。初荷重をかけて正確に長さ90cmの試料20本をとり、絶乾質量を量り、次の式によって正量繊度(tex)を算出した。その後、tex標記からdtex標記に換算した。
F0=1000 x (m/L) x (100 + R0)/100
F0:正量繊度(tex)
L:試料の長さ(m)
m:試料の絶乾質量(g)
R0:工程水分率(%)
<引張強さ、伸度>
引張強さおよび伸度は、測定試料として長繊維を用い、JIS L1013に準拠して測定した。引張試験機の掴み部に測定試料を取り付け、掴み間隔50cm、引張速度50±3cm/minで引張試験を実施した。初荷重をかけた時の伸びをゆるみとして読み、さらに試料を引っ張った。試料が切断した時の荷重および伸びを測定した。引張強さおよび伸度は以下の算出式によった。
引張強さ
T=SD/F
T:引張強さ(cN/dtex)
SD:切断時の強さ(cN)
F:試料の繊度(dtex)
伸度
S=(E2-E1)x 100/(L+E1)
S:伸度(%)
E1:緩み(mm)
E2:切断時の伸び(mm)
L:つかみ間隔
<捲縮数、捲縮率>
捲縮数および捲縮率は、測定試料として短繊維を用い、JIS L1015に準拠して測定した。測定試料に初荷重をかけた時の掴み間の距離(mm)を読み、1inchあたりの捲縮数を求めた。初荷重は1.8mNx試料の繊度(dtex)とした。また、捲縮数の読み方は山と谷を全部数え、2で除して求めた。
捲縮率は試料に1.8mNx試料の繊度(dtex)の初荷重をかけた場合の長さと、44.1mNx試料の繊度(dtex)の荷重をかけた時の長さから、下記式により算出した。
C=(b-a)x 100/b
C:捲縮率(%)
a:初荷重をかけた時の長さ(mm)
b:44.1mNx試料の繊度(dtex)の荷重をかけた時の長さ(mm)
Figure 0007437975000009
(結果)
実施例1および2は自己捲縮が発現した。一方、比較例は自己捲縮が発現しなかった。

Claims (6)

  1. 下記要件(A-a)~(A-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを含み、
    前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とがサイドバイサイドに貼り合わされてなる、繊維。
    (A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~1.5モル%である。
    (A-b)極限粘度[η]Aが1.00~1.30dL/gの範囲にある。
    (A-c)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が236~260℃の範囲にある。
    (A-d)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g以上である。
    (B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が97~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が1.5~モル%である。
    (B-b)極限粘度[η]Bが1.30~2.60dL/gの範囲にある。
    (B-c)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が236℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
    (B-d)示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が45J/g未満である。
  2. 前記4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の構成単位のうち4-メチル-1-ペンテンから導かれる含有量が99.4モル%以上である請求項1に記載の繊維。
  3. 前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)が、前記4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位と、前記エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位とのみを含む、請求項1または2に記載の繊維。
  4. 前記4-メチル1-ペンテン(共)重合体(A)の極限粘度[η]Aと、前記4-メチル1-ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]Bとが、[η]A<[η]Bの関係式を満足する、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維。
  5. 下記要件(A-a)~(A-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)~(B-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とを溶融紡糸し、サイドバイサイドに貼り合わせる繊維の製造方法。
    (A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~1.5モル%である。
    (A-b)極限粘度[η]Aが1.0~1.3dL/gの範囲にある。
    (A-c)DSCで測定した融点(Tm)が236~260℃の範囲にある。
    (A-d)DSCで測定した融解熱が45J/g以上である。
    (B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が97~98.5モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が1.5~モル%である。
    (B-b)極限粘度[η]Bが1.3~2.6dL/gの範囲にある。
    (B-c)DSCで測定した融点(Tm)が236℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
    (B-d)DSCで測定した融解熱が45J/g未満である。
  6. 前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)が、前記4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位と、前記エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位とのみを含む、請求項5に記載の繊維の製造方法。
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