JP5654194B2 - 丸編地及びそれを用いてなる繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、ラン(伝線)の広がりを効果的に抑えることのできる新規な丸編地と、これを用いた繊維製品に関するものである。
低融点のポリマーを鞘部に配し、熱処理することで当該鞘部を溶融させうる複合繊維を用いて、これまでに多くの編地が提案されている。
例えば、特許文献1には、芯成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)を、鞘成分としてテレフタル酸成分及びイソフタル酸成分を共重合したPET系共重合体を配したポリエステル系熱接着性複合繊維を用いてなる編地が開示されている。また、特許文献2には、高融点モノフィラメントと、低融点モノフィラメントとが組み合わされ、かつ低融点モノフィラメントの表面が露出している融着糸を用いて熱融着させた編地が開示されている。
特許第3459952号公報 特開2004−149964号公報
上記の編地は、いずれも各種繊維製品の基布として使用しうるものであるが、いくつかの問題点が存する。すなわち、特許文献1記載の繊維においては、PET系共重合体が非晶性であって明確な結晶融点を示さないため、ガラス転移点以上の温度で軟化が始まる。したがって、鞘成分を溶融させる目的で編地を熱処理すると、繊維が収縮する結果、ランを含む目崩れが発生するという問題がある。
また、特許文献2記載の融着糸は、芯鞘繊維などの高価な繊維を使用することなく、効果的に布帛の目崩れを防止することを目的とするものである。しかしながら、この融着糸を使用して編地を作製した場合、ある程度ランの発生を抑制できるが、編地に所望の寸法安定性や耐久性などを具備させるには、編地の厚みや目付けを増やさなければならないという問題がある。したがって、かかる編地を、例えば、ティーパック、コーヒーフィルター、茶こしといった飲料用フィルターなどに供した場合、厚みが増えすぎてしまい実用にそぐわないという問題が生ずる。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、ランの広がりを抑制できると共に、寸法安定性、耐久性などにも優れる丸編地と、この丸編地を用いてなる繊維製品とを提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、本発明に達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1) ポリエチレンテレフタレートを芯部に、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、かつ1,4−ブタンジオール成分を含有する共重合ポリエステルであって、融点が130〜200℃である前記共重合ポリエステルを鞘部に配した芯鞘型複合繊維を含む糸条を用いてなる丸編地であって、
ラン発生強力が30.0N/mm以上であることを特徴とする丸編地。
(2)前記糸条を2〜6コースおきに1本含み、前記芯鞘型複合繊維の質量比率が5.0〜40質量%である上記(1)に記載の丸編地。
(3)添え糸編組織で編成されてなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の丸編地。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の丸編地を用いてなる繊維製品。
本発明の丸編地は、所定のラン発生強力を具備している。そのため、丸編地に過度の外力が加わってもランの広がりを最小限に抑えることができる。また、本発明の丸編地は優れた寸法安定性及び耐久性なども有する。したがって、本発明の丸編地を用いることで各種の繊維製品を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の丸編地は、各種の繊維製品に適用できるものである。繊維製品としては、例えば、ティーパック、コーヒーフィルター、茶こしなどの飲料用フィルター、掃除機、エアコン、空気清浄機などに取り付けられる家電用フィルター、衣服、芯地などの衣料製品、クッション、カーテンなどのインテリア製品及び建築資材、土木資材、基板などの産業資材といったものがあげられるが、本発明の丸編地の用途は、これらに限定されるものでなく、広く繊維製品全般に適用できるものである。
本発明の丸編地は、ランの広がりを最小限に抑えることができる点で従来の丸編地と異なる。一般に編地は引っ張られるとランがウェール方向へ直線状に延びていく。しかし、本発明の丸編地では、ランは発生こそするものの、一気に延びていくのではなく、一旦その延びを止め、再びその地点からランが発生する。すなわち、本発明の丸編地では、ランは発生・停止を繰り返しながら、編地のウェール方向へ直線状に徐々に延びていくのである。
このように、本発明の丸編地は、ランの広がりを効果的に抑えることができるが、これを達成する要件として、具体的に、JIS L1018 8.13(引張強さ及び伸び率)を準用して測定されるラン発生強力が、ウェール方向(経方向)で30.0N/mm以上であることが必要である。ラン発生強力とは、編地内で最初に発生したランが一旦その延びを止め、そこから再び発生したランがその延びを止めたときの引張強さいう。測定条件としては、試験幅5cm、つかみ間隔20cm、引張速度20cm/分なる条件のカットスリップ法に準ずるものとし、測定機器としては、市販の定速伸長形引張試験機を使用する。本発明では、同一の丸編地からウェール方向に取り出した、幅5cm、長さ30cmなる短冊状の試料3枚につき測定し、それら3枚の平均値をラン発生強力(N/mm)とする。
ラン発生強力が30.0N/mm未満になると、編地内に素早くランが広がり、種々の問題が発生することになる。例えば、丸編地を染色する際に液流染色機を使用する場合や繊維製品を繰り返し使用する場合などにランが広がりやすく、結果、編地品位が大きく損なわれることになる。
本発明において、ラン発生強力を所定の範囲とすることは、丸編地内に接着点を設けることにより可能である。接着とは、丸編地を構成する基本単位たる繊維同士が接着剤などを介して接している態様をいい、接着点とは、繊維同士がそのような態様でもって接している部位をいう。したがって、接着点としては、糸条内にある繊維同士にとどまらず、糸条同士又は交錯するループ同士などの間においても設けることができる。
接着点を設ける手段としては、特に限定されるものでないが、例えば、編成の後、接着剤などを使用して接着点を設けるといった手段は、非常に手間のかかる手段であり、排除こそされないが好ましいとはいい難い。しかるに、本発明では手間を省くという点から、好ましくは低融点ポリマーを含有する合成繊維を用いる。このような合成繊維を用いれば、編成の後、当該合成繊維を溶融させうる程度の温度で熱処理さえすれば、編地内に容易に接着点を設けることができる。つまり、低融点ポリマーは溶融することで、接着剤として機能するのである。
この場合の低融点ポリマーとしては、比較的低い温度で溶融して繊維間を融着させうるものであれば基本的にどのようなものでも採用できるが、耐久性やコストを考慮してポリエステルが好ましく採用できる。ただし、溶融したポリマーは一般に剛直なものであり、繰り返しの曲げに対して繊維間の融着が外れ易い傾向にある。したがって、繊維製品によっては可撓性を有することが好ましい場合もありうるとの観点から、かかる合成繊維を形成するポリマーとしては、融着に寄与しやすい低融点ポリマーだけを用いるのではなく、融着に寄与し難い比較的高融点のポリマーも同時に使用することが好ましい。つまり、合成繊維繊を形成するポリマーとして、融点の異なる2種以上のポリマーを使用し、融着に寄与しやすいポリマーをできるだけ繊維断面の外側部分に配置させるのが好ましいのである。そうすると、前述のように低融点ポリマーとしてはポリエステルが好ましいのであるから、繊維中におけるポリマー間の剥離強力を考慮すれば、一方の高融点ポリマーも必然的にポリエステルが好ましいことになる。
以上の点を踏まえると、本発明に用いうる合成繊維としては、高融点のポリエステル(ポリエステルA)を芯部に、低融点のポリエステル(ポリエステルB)を鞘部に配した芯鞘型複合繊維を採用することが好ましいことになる。
ここで、ポリエステルAを形成するポリエステルとしては、実質的に融着に寄与しない高融点のポリエステルであればどのようなものでも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのアルキレンテレフタレートを主体とするポリエステルがあげられ、これらを単独、又は混合、あるいは共重合して用いることができる。
また、ポリエステルAには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、共重合成分として、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンギカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、リン酸などの酸成分、グリセリン、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチルプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、2,2−ビス{4−(β−ヒドロキシ)フェニル}プロパンのエチレンオキシド付加体などを共重合させてもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリエステルA中に酸化防止剤、艶消し剤、着色剤、滑剤、結晶核剤などの添加剤を含有させてもよい。
そして、ポリエステルAの融点としては、220℃以上が好ましく、220〜280℃がより好ましい。ポリエステルAの融点が220℃未満になると、芯鞘型複合繊維から構成される糸条の乾熱処理後の強度保持率が低くなる傾向にあり、また安定して紡糸することが困難になる場合もあり、好ましくない。加えて、丸編地を得た後、高温下で使用すると、寸法安定性が低下する傾向にもあり、好ましくない。
一方、ポリエステルBを形成するポリエステルとしては、実質的に融着に寄与しうる低融点のポリエステルであればどのようなものでも使用できる。例えば、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、かつ1,4−ブタンジオール成分、脂肪族ラクトン成分及びアジピン酸成分の少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。特にテレフタル酸成分、エチレングリコール成分、1,4−ブタンジオール成分及び脂肪族ラクトン成分からなる共重合ポリエステルは、比較的結晶化速度が速く、紡糸時や熱接着加工後の冷却の点からも好ましい。なお、脂肪族ラクトン成分としては、炭素数4〜11のラクトンが好ましく、特に好ましいラクトンとしては、ε−カプロラクトン(ε−CL)があげられる。
また、ポリエステルB中にもその効果を損なわない範囲であれば、酸化防止剤、艶消し剤、着色剤、滑剤、結晶核剤などの添加剤を含有させてもよい。
さらに、ポリエステルBは、結晶性を有していることが好ましい。これにより、繊維製造工程において繊維を十分に熱処理することができ、後述する糸条の乾熱処理後の強度保持率や収縮率を所望の範囲にすることができる。
ポリエステルBの融点としては、ポリエステルAより30℃以上低いことが好ましい。ポリエステルAとの融点の差が30℃未満であると、ポリエステルBを溶融させる際、熱処理温度を高温に設定せざるを得ない場合があり、その結果、芯鞘型複合繊維を劣化させてしまうことがあるため好ましくない。なお、ポリエステルBの具体的な融点としては130℃〜200℃が、ガラス転移点としては20〜80℃が、結晶開始温度としては90〜130℃がそれぞれ好ましい。
また、上記芯鞘型複合繊維における芯部と鞘部との質量比率(芯:鞘)としては、40:60〜80:20が好ましい。芯部の比率が最終的に得られる丸編地の耐久性に大きく影響するため、上記の範囲が好ましく、特に50:50〜80:20が好ましい。芯部の比率が40%未満になると、糸条の乾熱処理後の強度保持率が低くなる傾向にあり、一方、80%を超えると、溶融成分たるポリエステルBの絶対量が不足するため、繊維間を十分に接着できない傾向にあり、いずれも好ましくない。
そして、上記芯鞘型複合繊維の単糸繊度としては、特に限定されるものでないが、1.1〜56.0dtexが好ましい。
さらに、上記芯鞘型複合繊維の形状としては、長・短繊維のいずれでもよく、また、断面形状としても、特に限定されるものでなく、通常の丸断面の他、三角断面形状などの多角形断面形状、又は断面の最外周の一部が突起を形成しているような異形断面形状のものでもよい。
本発明においては、このように芯鞘型複合繊維が好ましく採用できるが、具体的な使用態様としては、当該芯鞘型複合繊維をモノフィラメント糸として直接的に用いてもよいが、一般には紡績糸やマルチフィラメント糸のように繊維を複数本束ねた状態にして用いるのが好ましい。
この場合、糸条の形状としては、特に限定されるものでなく、例えば、フラット糸、撚糸、混繊糸、仮撚糸などの形態の他、長・短繊維を複合させた糸条などが採用できる。
また、上記糸条の物性としては、乾熱処理後の強度保持率が60.0%以上となることが好ましく、70.0%以上がより好ましい。乾熱処理後の強度保持率が60.0%未満になると、丸編地の染色中に糸条が切断しやすい傾向にあり、場合によっては切断箇所からランが広がることもあるので、好ましくない。
ここで、乾熱処理とは、ポリエステルBの融点より10℃高い温度にて、無荷重で15分間乾熱処理することをいう。また、乾熱処理後の強度保持率とは、JIS L1013 8.5.1に準じて、定速伸長形の試験機を用いて、つかみ間隔25cmで乾熱処理前後の糸条の強度を測定した後、下記(1)式にて算出するものである。
さらに、上記の糸条においては、収縮率として20.0%以下が好ましく、15.0%以下がより好ましい。収縮率が20.0%を超えると、繊維製品の寸法安定性が低下する傾向にあるばかりでなく熱処理により繊維径が増加し、例えば薄いフィルターといった繊維製品を得難くなる傾向にあり、好ましくない。
ここで、収縮率とは、前述した乾熱処理の前後で糸長を測定し、下記(2)式にて算出するものである。なお、糸長は、0.049cN/dtexの荷重を掛けた状態で測定するものとする。
本発明の丸編地では、上記糸条が好ましく採用できるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記糸条中に芯鞘型複合繊維以外の繊維を含ませてもよい。ここで、芯鞘型複合繊維以外の繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、綿、羊毛、レーヨン、アセテートなどがあげられ、混繊、交絡、合撚、引き揃えなどの手段を採用して含ませることができる。なお、芯鞘型複合繊維以外の繊維を糸条中ではなく、例えば糸条間又は丸編地表面に付着させるなどして丸編地中に含ませてもよいことは、いうまでもない。
次に、本発明の丸編地を製造する方法について説明する。
本発明の丸編地では、ラン発生強力が所定の範囲を満足し、かつ繊維製品に好適でありさえすれば、どのような組成、構成を有する繊維及び糸条を用いてもよいし、丸編地の構造もどのような態様であっても何ら差し支えない。ただ、より広い範囲の製品に適用したい場合や丸編地の各種物性をより優れたものにしたい場合は、上記の糸条を使用して丸編地を得るのが好ましいことは、前述のとおりである。
本発明において好ましく用いられる芯鞘型複合繊維は、一般的に複合紡糸装置を用いて製造することができる。具体的には、引取速度1000〜4500m/分で溶融紡糸した後、延伸して得ることができる。この場合、延伸倍率として、1.5〜2.0倍が好ましく、延伸時の熱処理温度として、130〜170℃が好ましい。
引取速度については、繊維の生産効率の観点から1000m/分以上が好ましく、糸切れ抑制の観点から4500m/分以下が好ましい。延伸については、紡糸した繊維を一旦捲き取った後に延伸機に供給するか、あるいは、紡糸に引き続き、延伸ローラを介して直接延伸してから捲き取ることもできる。
芯鞘型複合繊維を得た後は、この繊維を用いて糸条を作製する。糸条の形状としては前述のように任意でよく、装置、製造条件としては、公知技術を準用する。なお、糸条の作製としては、一般に繊維の作製と同時に行い、通常はフラット糸を得た後、撚糸、混繊糸、仮撚糸といった各種の糸条に加工する。
糸条を得た後は、市販の編機を用いて編成する。このとき、上記の芯鞘型複合繊維を含む糸条(芯鞘型複合繊維糸条)のみを用いて編成してもよいが、目的に応じて芯鞘型複合繊維糸条以外の糸条を併用してもよい。具体的には、数コースおきに1本の割合で芯鞘型複合繊維糸条を編地内に含ませる形態が最も一般的であるが、何らこれに限定されるものでない。例えば、ランの発生を抑制したい部位に応じて芯鞘型複合繊維糸条を編地内に含ませてもよい。本発明では、芯鞘型複合繊維を多く使用するほど、繊維間の融着が促進されるので、編地内における接着点の数も必然的に増える。そうすると、編地のラン発生強力は上がるので、ランの発生を効率よく抑制することができる。しかしなら、前述のように芯鞘型複合繊維を多く使用し過ぎると、編地の剛直性が増す傾向にあるため、可撓性の観点から、編地の際に使用する芯鞘型複合繊維の質量比率としては、5.0〜40.0質量%が好ましい。
また、編成に適用しうる編組織としては、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような編組織でも採用可能であるが、ラン発生強力向上の観点から、添え糸編組織を採用することが好ましい。添え糸編組織は、芯鞘型複合繊維糸条とそれ以外の糸条とを併用する場合に採用される編組織であるところ、芯鞘型複合繊維糸条のみを用いた場合に比べラン発生強力の向上に資するところが大きい。
編成の後は、芯鞘型複合繊維の鞘部に配されたポリエステルBの融点以上の温度で熱処理して、本発明の丸編地を得ることができる。この熱処理は、ポリエステルBを溶融させるためのものである。溶融したポリエステルBは、接着剤として機能し、編地内における接着点形成に寄与する。
本発明の丸編地は、以上の方法で得ることができるが、製造方法としてはこれに限定されず、種々の方法で得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。なお、各種物性値の測定は下記に準じた。
1.融点
パーキンエルマー社製DSC−2型(示差走査熱量計)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
2.極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒とし、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
(実施例1)
ポリエステルAとして、融点が256℃、極限粘度0.61のPETを用い、ポリエステルBとして、PETに1,4−ブタンジオールを50モル%共重合した共重合ポリエステル(極限粘度:0.78、融点:181℃、ガラス転移点:48℃)を用いた。そして、ポリエステルAを芯部にポリエステルBを鞘部に配すると共に、芯鞘質量比率(芯:鞘)が50:50となるようにして、通常の複合紡糸装置より紡糸温度280℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、未延伸糸を得た。
そして、得られた未延伸糸を一旦巻き取った後、所定倍率で延伸すると共に熱処理して、芯鞘型複合繊維からなる54dtex24fの芯鞘型複合繊維糸条を得た。得られた糸条の乾熱処理後の強度保持率は75.7%であり、収縮率は14.9%であった。
次に、得られた芯鞘型複合繊維糸条と、通常のポリエステル糸条56dtex24fとを用いて、図1に示す編組織にて編成した。なお、編機としては(株)福原精機製「LPJ−H33(商品名)」を使用し、針密度は28Gとした。また、図中、DY、CYは針列を指し、DYはダイヤル側を、CYはシリンダー側をそれぞれ指す。そして、F1〜F6は給糸口を指し、F1へ芯鞘型複合繊維糸条を、F2〜F6へ通常のポリエステル糸条をそれぞれ供給した。
編成後、市販のピンテンターを用いて200℃で熱処理し、本発明の丸編地を得た。
その後、製品としての価値を向上させることを目的に、丸編地を順次、精練、プレセット、染色した後、190℃でファイナルセットした。
最終的に得られた丸編地は、適度に可撓性があり品位も良好であった。また、多少引っ張っただけでは型崩れしないばかりかランも発生しなかった。そして、この丸編地のラン発生強力を測定したところ、73.5N/mmであった。
(比較例1)
芯鞘質量比率(芯:鞘)を80:20に変更する以外は、実施例1と同様にして芯鞘型複合繊維糸条を得た。得られた糸条の乾熱処理後の強度保持率は95.7%であり、収縮率は13.5%であった。以降、実施例1と同様にして丸編地を得、この丸編地を同一手段で加工した。
最終的に得られた丸編地は、実施例1にかかる丸編地より可撓性があるものの、所々にランの発生が認められた。これらのランは、染色の過程で発生したものと考えられる。この丸編地のラン発生強力を測定したところ、29.5N/mmであった。ラン発生の原因としては、ポリエステルBの使用量が少ないため、編地内に十分な接着点を設けることができなかったことが考えられる。
(参考例1)
ポリエステルBとして、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを共重合させてなるPBT(極限粘度:0.85、融点:228℃、ガラス転移点:25℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして芯鞘型複合繊維糸条を得た。得られた糸条の乾熱処理後の強度保持率は58.1%であり、収縮率は20.2%であった。以降、実施例1と同様にして丸編地を得、この丸編地を同一手段で加工した。
最終的に得られた丸編地は、適度に可撓性があり品位も良好であった。また、多少引っ張っただけでは型崩れしないばかりかランも発生しなかった。ただ、この丸編地のラン発生強力を測定したところ、65.8N/mmであり、実施例1の場合と比べやや低い結果となった。これは、ポリエステルBの融点が高いため、複合繊維の鞘部を十分に溶融させることができず、その結果、編地内における接着点の数を十分に増やすことができなかったことが原因と考えられる。
(比較例2)
芯鞘型複合繊維糸条に代えて通常のポリエステル糸条54dtex24fを用いること、及び編成後に行う熱処理を省くこと以外は、実施例1と同様にして丸編地を得、さらに、同実施例と同一手段にて加工した。
最終的に得られた丸編地は、至るところにランの発生が認められ、これらは、染色の過程で発生したものと考えられる。なお、この丸編地には、接着点なるものは形成されておらず、ラン発生強力は8.3N/mmであった。
(実施例2)
図1に示す編組織に代えて図2に示す編組織を採用すること、及び針密度を28Gではなく24Gとする以外は、実施例1と同様にして丸編地を得、さらに、同実施例と同一手段にて加工した。なお、図2は、添え糸編組織の一種に相当する編組織であり、図中、実線で結ばれた曲線は芯鞘型複合繊維糸条を、破線で結ばれた曲線は通常のポリエステル糸条をそれぞれ指す。
最終的に得られた丸編地は、実施例1の場合と同様、適度に可撓性があり品位も良好であり、また、多少引っ張っただけでは型崩れしないばかりかランも発生しなかった。そして、この丸編地のラン発生強力を測定したところ、88.1N/mmであった。
本発明の丸編地に採用しうる編組織の一例である。 本発明で好ましく採用しうる編組織たる添え糸編組織の一例である。
符号の説明
DY ダイヤル側針列
CY シリンダー側針列
F1〜F6 給糸口

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレートを芯部に、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、かつ1,4−ブタンジオール成分を含有する共重合ポリエステルであって、融点が130〜200℃である前記共重合ポリエステルを鞘部に配した芯鞘型複合繊維を含む糸条を用いてなる丸編地であって、
    ラン発生強力が30.0N/mm以上であることを特徴とする丸編地。
  2. 前記糸条を2〜6コースおきに1本含み、前記芯鞘型複合繊維の質量比率が5.0〜40質量%である請求項1に記載の丸編地。
  3. 添え糸編組織で編成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の丸編地。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の丸編地を用いてなる繊維製品。
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