JP2003293220A - 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法 - Google Patents
耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法Info
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Abstract
れたポリ乳酸繊維の効率的な製造方法を提供するもので
ある。 【解決手段】ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を溶
融紡糸し、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成さ
せることを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製
造方法。
Description
耐熱性と品位に優れたポリ乳酸繊維の製造方法に関する
ものである。
て、自然環境の中で分解するポリマー素材の開発が切望
されており、脂肪族ポリエステル等、様々なポリマーの
研究・開発、また実用化の試みが活発化している。そし
て、微生物により分解されるポリマー、すなわち生分解
性ポリマーに注目が集まっている。
を原料としているが、石油資源が将来的に枯渇するので
はないかということ、また石油資源を大量消費すること
により、地質時代より地中に蓄えられていた二酸化炭素
が大気中に放出され、さらに地球温暖化が深刻化するこ
とが懸念されている。しかし、二酸化炭素を大気中から
取り込み成長する植物資源を原料としてポリマーが合成
できれば、二酸化炭素循環により地球温暖化を抑制でき
ることが期待できるのみならず、資源枯渇の問題も同時
に解決できる可能性がある。このため、植物資源を原料
とするポリマー、すなわちバイオマス利用ポリマーに注
目が集まっている。
解性ポリマーが大きな注目を集め、石油資源を原料とす
る従来のポリマーを代替していくことが期待されてい
る。しかしながら、バイオマス利用の生分解性ポリマー
は一般に力学特性、耐熱性が低く、また高コストとなる
といった課題があった。これらを解決できるバイオマス
利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されて
いるのはポリ乳酸である。ポリ乳酸は植物から抽出した
でんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料とし
たポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマー
の中では力学特性、耐熱性、コストのバランスが最も優
れている。そして、これを利用した繊維の開発が急ピッ
チで行われている。
活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それ
に続く大型の用途として衣料用途や産業資材用途が期待
されている。しかしながら、衣料用織物はアイロン掛け
ができることが必須であるが、ポリ乳酸の融点は約17
0℃と、従来の汎用合成繊維であるポリエチレンテレフ
タレート(PET)の255℃と比べるとはるかに低い
ため、アイロン掛けにより製品に穴が空くという問題が
あった。さらに、縫製前に織物をまとめて裁断するが、
その際のセン断発熱により織物の切片が融着してしまう
という致命的な問題があった。また、ゴム資材や樹脂コ
ート布帛の製造工程で150℃程度の高温にさらされる
と、製品に欠点ができたり、工程通過性が著しく低下す
る等の問題があった。このため、ポリ乳酸繊維の融点を
向上させることが求められていた。
して、ステレオコンプレックスという技術が知られてい
る。ステレオコンプレックスとは、例えば Macromolecu
les,vol.20,904(1987).に記載されているようにポリL
乳酸(以下PLLAと略す)ユニットとポリD乳酸(以
下PDLAと略す)ユニットが1対となった結晶であ
り、これにより融点を約50℃向上できるものである。
また、これを繊維に応用することも検討されており、例
えば、特開昭63−264913号公報には、PLLA
とPDLAのブレンド物を溶液紡糸した繊維を100〜
220℃のオイルバス中で延伸することにより、ステレ
オコンプレックスを形成させたポリ乳酸繊維を得る方法
が記載されている。しかしながら、該方法ではエタノー
ルと発ガン性のあるクロロホルムの混合溶媒を使用して
おり、環境、安全面での問題があった。また、延伸方法
もオイルバス中での延伸であるため、延伸速度が低く、
生産性が低いものであった。一方、繊維学会予稿集、F-
133(1989)には、PLLAとPDLAのブレンド物を溶
融紡糸した未延伸糸をオイルバス中で予備結晶化させた
後、これに重りを掛け200℃で熱処理してステレオコ
ンプレックスを形成させたポリ乳酸繊維を得る方法が記
載されている。これによれば、溶融紡糸を採用している
ため環境、安全面は改善されているが、予備結晶化工
程、延伸・熱処理がバッチ処理であるため、工業的な方
法としては採用できるものではなかった。さらに、該文
献記載の繊維では、ステレオコンプレックス形成のため
の高温熱処理により配向緩和が発生し、強度が22kg
f/mm2(1.7cN/dtex)と低いレベルのものしか得ら
れていない。また、特開2002−30523号公報に
は、PLLAとPDLAのブレンド物を紡糸速度100
0m/分で溶融紡糸して得た未延伸糸を延伸・熱処理す
ることにより、ステレオコンプレックスを形成させたポ
リ乳酸繊維を得る方法が記載されている。しかし、多段
延伸を行うものでは最終熱処理温度が180℃と高く、
ステレオコンプレックスの形成が不充分なままPLLA
あるいはPDLAの融点以上で熱処理されるため、繊維
が部分融解し得られる繊維が粗硬化するという問題があ
った。また、この部分融解のため、多段延伸をしても繊
維の強度は3.7cN/dtexが上限であり、産業用
途には強度が不足するという問題があった。さらに、紡
糸温度が260℃と高すぎるため、紡糸過程でのポリ乳
酸の分解が著しく、分解ガスによる作業環境の悪化や繊
維の低強度化を引き起こすといった問題があった。
性と強度、風合いを有するポリ乳酸繊維の効率的な製造
方法を提供するものである。
とポリD乳酸のブレンド物を溶融紡糸し、紡糸線上でス
テレオコンプレックスを形成させることを特徴とする耐
熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法により達成され
る。
その2量体、オリゴマーを重合したものを言い、L体あ
るいはD体の光学純度は90%以上であると、融点が高
く好ましい。従って、PLLAとはL体光学純度90%
以上からなるポリ乳酸を指し、PDLAとはD体純度9
0%以上からなるポリ乳酸を示す。また、ポリ乳酸の性
質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合してい
ても、ポリ乳酸以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防
止剤等の添加物を含有していても良い。ただし、バイオ
マス利用、生分解性の観点から、ポリマー中の乳酸モノ
マー量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは9
6重量%以上である。また、ポリ乳酸ポリマーの分子量
は、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性
と製糸性のバランスが良く好ましい。
制限は無いが、例えば、押し出し混練機等を使用して紡
糸前にあらかじめブレンドチップを作製する方法(ブレ
ンド法1)、紡糸機に接続された押し出し混練機でブレ
ンドする方法(ブレンド法2)、ポリマー配管内やパッ
ク内に設けた静止混練器を用いてブレンドする方法(ブ
レンド法3)を挙げることができる。このうち、ブレン
ド法2および3の方法のような紡糸工程でPLLAとP
DLAのブレンドを行うことが好ましい。また、ブレン
ドの際の温度は200〜250℃とするとポリ乳酸の分
解を抑制でき好ましい。
レンド物を溶融紡糸することが重要である。これによ
り、従来の溶液紡糸の問題点を解決することができるの
である。
Aのブレンド物を溶融紡糸し、紡糸線上でステレオコン
プレックスを形成させることを特徴とする耐熱性に優れ
たポリ乳酸繊維の製造方法であるが、ここで、紡糸線上
でステレオコンプレックスを形成させることが重要であ
る。
は、単にPLLAとPDLAのブレンド物を紡糸して得
られる結晶化していない未延伸糸を延伸・熱処理するも
のであるが、ステレオコンプレックスを充分成長させる
ためには、PLLAあるいはPDLA単独の融点以上の
温度で熱処理をすることが必要であり、このため熱処理
工程で糸の部分融解が発生し、糸が粗硬化したり低強度
化する問題があった。このことは、繊維学会予稿集、F-
133(1989)に示唆されている。すなわち、該文献には、
未延伸糸の広角X線回折(WAXD)からは結晶化が認
められず、当然ステレオコンプレックスも形成していな
いことが示されているが、熱分析では225℃付近にス
テレオコンプレックスの融解ピークが観測されたことが
記載されている。これより、ステレオコンプレックス形
成のためには180〜225℃での熱処理が必要である
としている。すなわち、これは、熱分析の昇温過程で一
旦PLLAおよびPDLAが単独で結晶化(90℃付
近)した後、180℃付近でそれが融解、再結晶化する
ことでステレオコンプレックスが形成し、それが225
℃付近で融解したものと解釈される。
温熱処理する従来の方法では必ずPLLAおよびPDL
Aの単独での融解が発生してしまう。そこで、発明者ら
は発想を全く転換し、溶融体から一気にステレオコンプ
レックスを形成することを着想したのである。そして、
鋭意検討の結果、口金から吐出した溶融体から紡糸線上
でステレオコンプレックスを形成させると、糸の部分融
解による問題点を解決できることを見いだしたのであ
る。
させる方法に特に制限は無いが、高速紡糸を利用するこ
とが好ましい。具体的な紡糸速度はポリ乳酸の分子量や
粘度、単糸繊度、フィラメント数、糸の横断面形状、紡
糸温度、冷却条件等により調整が必要であるが、ポリ乳
酸の重量平均分子量が10〜25万、単糸繊度が2〜1
0dtex、フィラメント数が1〜48フィラメント、
糸の断面が丸断面、紡糸温度が200〜250℃の場合
は、通常、3500〜12000m/分程度とすること
が好ましい。紡糸速度は、より好ましくは4000〜7
000m/分である。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量
が高分子量、単糸繊度が細繊度、糸の横断面の異形度が
高い、紡糸温度が低い、冷却が強烈なほど紡糸速度は低
速度化することが好ましい。
Aの重量平均分子量は異なる方がステレオコンプレック
スを形成しやすく、具体的には重量平均分子量の比(ど
ちらが高分子量でも良い)は1.5〜20の範囲とする
ことが好ましい。また、PLLAとPDLAのブレンド
比は30:70〜70:30であればステレオコンプレ
ックスを効率的に形成するが、45:55〜55:45
であることが好ましい。
いる方がステレオコンプレックスを形成し易いため、押
し出し混練機だけでなく、静止混練器や金属不織布フィ
ルター等を併用してPLLAとPDLAを微分散させて
おくことが好ましい。
に抑えるために、溶融混練や紡糸の温度を200〜25
0℃の範囲とすることが好ましい。これにより、混練や
紡糸の際の分解ガスの発生を抑えることができ、作業環
境を著しく改善できるのである。さらに、ポリ乳酸の分
子量低下が抑制されるため、糸の強度低下も大幅に抑制
できるのである。溶融混練や紡糸の温度は、より好まし
くは220〜240℃である。
伴気流の影響が紡糸速度2000m/分以下の低速紡糸
の場合よりもはるかに大きくなる。このため、集束給油
ガイドの位置は口金下1.4〜3.0mとすると糸の冷
却も充分進み、随伴気流による糸揺れも抑制できるため
好ましい。また、これにより糸の太さ斑の指標であるウ
ースター斑を2%以下とすることもできるのである。こ
のため、染色斑や糸の加工斑を抑制することができるの
である。
め、高速紡糸工程、仮撚加工や流体加工のような糸加工
工程、ビーミング、製織、製編のような製布工程での毛
羽が発生し易いという問題がある。このため、繊維用油
剤としては、ポリエーテル主体のものを避け、脂肪酸エ
ステルや鉱物油等の平滑剤を主体とするものを用いる
と、ポリ乳酸繊維の摩擦係数を低下させることができ、
上記工程での毛羽を大幅に抑制でき、好ましい。
15%以上であれば、優れた耐熱性を示すが、好ましく
は20%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ま
しくは50%以上とすることがよい。ここで、SC率と
は、繊維全体に対するステレオコンプレックスの形成度
合いを示す指標であり、広角X線回折におけるステレオ
コンプレックス結晶に由来するピーク強度(ISC)から
下記式により求めることができる。
ンプルのピーク強度(ISC ref)を測定し、そのX線強
度をサンプルの結晶化度(χref)で規格化した。
成度合いを広角X線回折から求めたSC率により判断す
るのは以下の理由からである。従来、示差走査熱量計
(DSC)の測定を行い、その融解ピーク温度と融解熱
量でステレオコンプレックスの形成を判断しているもの
もあるが、これではDSC測定前のバージンサンプルが
ステレオコンプレックスを形成しているかどうかを必ず
しも確認できるわけではない。というのは、DSCはサ
ンプルが融解するまで加熱する一種の破壊試験であり、
DSCの昇温過程では一旦サンプルが融解し、それが再
結晶化することが起こっており、それが最終的に融解す
るところが融解ピークとして観測されるものである。こ
のことは、前述したように繊維学会予稿集、F-133(198
9)に示唆されている。このため、バージンサンプルのス
テレオコンプレックス量の定量にはDSCは不向きであ
り、非破壊試験である広角X線回折を利用することが重
要なのである。
溶融紡糸、延伸、熱セットして得たポリ乳酸繊維のDS
Cと広角X線回折を測定してみたところ、DSCからは
220℃付近に大きな融解ピークが観測されステレオコ
ンプレックスが形成されているように見えるが、広角X
線回折ではステレオコンプレックスに由来するピークは
ほとんど観測されなかった。これは、上記したようにD
SC測定過程でステレオコンプレックスが形成されたの
であって、実際には元の繊維(バージンサンプル)では
ステレオコンプレックスはほとんど形成していなかった
のである(参考例3を参照)。
る。これは、PLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡
糸し、紡糸線上でポリ乳酸を結晶化させた繊維を延伸し
た後、150℃以上で熱処理することを特徴とする耐熱
性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法である。
結晶化させることが重要である。このように結晶化した
未延伸糸を用いることにより、延伸での工程安定性が格
段に向上するのである。さらに、延伸・熱処理工程での
ステレオコンプレックスが形成あるいは成長し易くなる
のである。さらに、紡糸線上でステレオコンプレックス
が形成された未延伸糸を用いると、既に従来のPLLA
/PDLAブレンド未延伸糸に比べ耐熱性が大幅に向上
しているため、延伸温度、熱セット温度を高くしても部
分融解がほとんど無く、好ましい。特に、SC率が20
%以上の未延伸糸を用いた場合、延伸温度を150℃以
上、熱処理温度を170℃以上とすることも可能であ
り、ステレオコンプレックスをいっそう成長させること
ができ、好ましい。なお、ポリ乳酸を紡糸線上で結晶化
させるためには、前記したように高速紡糸とすることが
好ましい。
する際、150℃以上で熱処理することが重要である。
熱処理温度は170℃以上とすると、さらにステレオコ
ンプレックスが成長させ易く好ましい。これにより、得
られるポリ乳酸繊維の耐熱性を大幅に向上できるのみな
らず、強度を向上することができ、さらに沸収も大幅に
低下させられ、繊維の寸法安定性を大幅に向上させるこ
とができる。これは、特に産業資材用途では重要であ
る。
用することができるが、130℃以上の高温延伸とする
と大幅な高倍率延伸が可能となり、糸強度を向上させや
すく好ましい。なお、130℃という高温延伸は高速紡
糸により結晶化した未延伸糸を用いることで初めて可能
になるものであり、紡糸速度1000m/分程度の低速
紡糸による結晶化していない未延伸糸では、予熱ローラ
ー上での糸揺れや融着が発生し実質的に高温延伸は不可
能なのである。
ックスが形成されたポリ乳酸延伸糸は、SC率が50%
を超えることも可能であり耐熱性、機械的特性に非常に
優れたものとできる。ポリ乳酸延伸糸のSC率は15%
以上であれば、優れた耐熱性を示すが、好ましくは20
%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは
50%以上とすることがよい。
工程通過性や製品の力学的強度を充分高く保つために
は、本発明のポリ乳酸繊維の室温での強度は3.0cN
/dtex以上とすることが好ましい。産業用途に適用
することを考えると、室温での強度はより好ましくは
5.0cN/dtex以上である。また、本発明のポリ
乳酸繊維の室温での伸度は10〜70%であると、ポリ
乳酸繊維を繊維製品にする際の工程通過性が向上し、好
ましい。
ポリ乳酸繊維では、高温での力学特性を著しく向上させ
ることができる利点もある。ここで、高温での力学特性
とは90℃での強度をいうものであるが、通常の方法に
より得られるポリ乳酸繊維では、90℃での力学特性が
著しく低く0.4cN/dtex程度であるが、本発明
の第2の製造方法で得られるポリ乳酸繊維では90℃で
の強度を0.8cN/dtex以上とすることができ、
場合によっては1.5cN/dtex超とすることも可
能である。これは、高速紡糸により生成した繊維構造を
再延伸により破壊しながら再構築することで、従来のポ
リ乳酸繊維や高速紡糸しただけの未延伸糸とも異なる構
造が発現していると考えられる。
酸繊維では、沸収を0〜6%と低収縮化することも可能
であり、繊維および繊維製品の寸法安定性が良く好まし
い。
機械捲縮、あるいは押し込み捲縮等の糸加工用の原糸と
することもできる。また、長繊維のみならず短繊維およ
びそれを用いた紡績糸とすることも可能である。
織物、編物、不織布、カップ等の成形品等の様々な繊維
製品の形態を採ることができる。
シャツやブルゾン、パンツ、コートといった衣料用途、
カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペッ
ト、マット、家具等のインテリア用途、さらにベルト、
ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等
の産業資材用途、車両内装用途にも好適に用いることが
できる。
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
ン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパ
ーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters26
90を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平
均分子量を求めた。
速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件
で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期
の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試
料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
最大点荷重値を初期の繊度で割り90℃での強度とし
た。
(%) L0:延伸糸をかせ取りし、初荷重0.09cN/dtex下
で測定したかせの原長 L1:L0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN
/dtex下でのかせ長 E.融点(Tm) PERKIN ELMER社製DSC-7を用いて1st runで融点(Tm)
を測定した。
で赤道線方向の回折強度を測定した。
ー) 出力 : 40kV×20mA スリット : 2mmφ−1゜−1゜ 検出器 : シンチレーションカウンター 計数記録装置 : 理学電機社製RAD-C型 ステップスキャン : 0.05゜ステップ 積算時間 : 2秒 サンプルプレパレーション : 長さ4cm、重量20
mgに調整し、コロジオン・エタノール溶液で固めたそ
して、赤道線においてθ=12.0°付近に観測される
ステレオコンプレックス結晶の(100)面に由来するピ
ーク強度(ISC)から下記式によりSC率を求めた。な
お、ISCは図2に示すように、バックグラウンドや非晶
による散漫散乱を差し引いた後のX線強度とした。
ンプルのピーク強度(ISC ref)を測定し、そのX線強
度をサンプルの結晶化度(χref)で規格化した。
述したが、ISC ref=18000cps、χref=0.6
0よりISC 0=30000cpsとした。
Cサーモグラムを測定し、融解熱量と冷結晶化熱量の差
(ΔH)を求め、平衡融解熱量(H0)を93.6J/
gとして、下記式から結晶化度(χ)を求めた。また、
ガラス転移、エンタルピー緩和、冷結晶化ピークが重な
っている場合は、温度変調DSCを併用してDSCサー
モグラムのベースライを適切に決めた。
粗硬化を評価した。そして、△以上を合格とした。
200m/分、ノーマルモードで測定した。
水中15分間処理し、24時間風乾した。このサンプル
に0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重を
かけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L’0を測定した。
次に、水中で0.088cN/dtex相当のかせを除
き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重
に交換し、2分後のかせ長L’1を測定した。そして下
式によりCR値を計算した。
0]×100(%) 参考例1 光学純度99.5%のL乳酸からなるラクチドを、ビス
(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触
媒モル比=10000:1)存在させてチッソ雰囲気下
180℃で180分間重合を行った。得られたPLLA
の重量平均分子量は19万、光学純度は99%L乳酸で
あった。このPLLAチップをホッパー1に投入し、2
軸押し出し混練機2で240℃で溶融した後、紡糸機に
導き、240℃で溶融紡糸し、チムニー6により25℃
の冷却風で糸を冷却固化させた後、集束給油ガイド8に
より脂肪酸エステルを主体とする繊維用油剤を塗布し、
交絡ガイド9により糸に交絡を付与した(図5)。そし
て非加熱の第1引き取りローラー10で3000m/分
で引き取った後、やはり非加熱の第2引き取りローラー
11を介して未延伸糸巻き取った。これを第1ホットロ
ーラー14温度(延伸温度)90℃、第2ホットローラ
ー15温度(熱セット温度)130℃、第1ホットロー
ラーと第2ホットローラーの周速比(延伸倍率)1.4
5倍として延伸・熱処理を行い(図6)、122dte
x、36フィラメントの延伸糸17を得た。
したところ、θ=16.6°付近のホモPLLAのα晶
に起因する大きなピークが観測されたが、ステレオコン
プレックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピーク
は全く観測されなかった(図2)。これをSC率=0%
の標準サンプルとした。
(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触
媒モル比=10000:1)存在させてチッソ雰囲気下
180℃で100分間重合を行った。得られたPDLA
の重量平均分子量は10万、光学純度は99%D乳酸で
あった。これと参考例1で得たPLLAチップとをホッ
パー1に投入し、2軸押し出し混練機2で240℃でブ
レンドした。これを直接紡糸機に導き、紡糸パック3内
に設けた静止混練器4(東レエンシ゛ニアリンク゛社製“ハイミキサー”
10段)でPLLAとPDLAをさらに細かく分散させ
た。このPLLAとPDLAのブレンド物を240℃で
溶融紡糸し、チムニー6により25℃の冷却風で糸を冷
却固化させた後、集束給油ガイド8により脂肪酸エステ
ルを主体とする繊維用油剤を塗布し、交絡ガイド9によ
り糸に交絡を付与した(図5)。そして非加熱の第1引
き取りローラー10で3000m/分で引き取った後、
やはり非加熱の第2引き取りローラー11を介して未延
伸糸巻き取った。これを第1ホットローラー14温度9
0℃、第2ホットローラー15温度130℃、第3ホッ
トローラー18温度180℃、第1ホットローラーと第
2ホットローラーの周速比を1.45倍、第2ホットロ
ーラーと第3ホットローラーの周速比を1.20倍とし
て延伸・熱処理を行い(図7)、92dtex、36フ
ィラメントの延伸糸17を得た。
16.6°付近のホモポリ乳酸のα晶に起因するピーク
がほぼ消失し、ステレオコンプレックス結晶に起因する
θ=12.0°付近のピークが大きく成長していた。こ
れより、この糸ではポリ乳酸結晶は、ほぼ100%ステ
レオコンプレックス化していると判断できる。これをS
C率=100%の標準サンプルとした。そして、図2に
示したように散漫散乱を差し引いた後のステレオコンプ
レックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピーク強
度(ISC ref)は18000cpsであった。また、こ
れの結晶化度(χref)は0.60であり、これらよ
り、ISC 0は30000cpsとした。
度がホモポリ乳酸の融点以上であったため、顕著な糸の
融着が発生し、室温強度も1.4cN/dtexと低い
ものであった。
行い、未延伸糸を得た。これに参考例1と同様に延伸温
度90℃、熱セット温度130℃、延伸倍率1.45倍
で延伸・熱処理を施し、122dtex、36フィラメ
ントの延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったとこ
ろ、θ=16.6°付近のホモポリ乳酸のα晶に起因す
る大きなピークが観測されたが、ステレオコンプレック
ス結晶に起因するθ=12.0°付近のピークは小さく
(図3)、SC率はわずか3%と見積もられた。これよ
り、この糸ではステレオコンプレックスはほとんど形成
されていないと判断できる。次に、これのDSC測定を
行ったところ1st runで、170℃付近に観測さ
れる通常のホモポリ乳酸の融解ピークは小さいものであ
ったが、220℃付近にステレオコンプレックスの大き
な融解ピークが観測された(図4)。すなわち、DSC
からは見かけ上、延伸糸にステレオコンプレックスが大
量に形成されているように見えるが、実際には、これは
DSC昇温過程でホモポリ乳酸結晶(α晶)が融解、再
結晶する際にステレオコンプレックス化したと解釈でき
る。
Aチップとをホッパー1に投入し、2軸押し出し混練機
2で240℃でブレンドした(分子量比=1.9)。こ
れを直接紡糸機に導き、紡糸パック3内に設けた静止混
練器4(東レエンシ゛ニアリンク゛社製“ハイミキサー”10段)に通
し、さらに絶対濾過径15μmの金属不織布に通してP
LLAとPDLAをさらに細かく分散させた。このPL
LAとPDLAのブレンド物を240℃で、吐出量88
g/分、丸孔(0.35mmφ)、36ホールの口金5から溶
融紡糸し、長さ1mのチムニー6により25℃の冷却風
で糸を冷却固化させた後、口金下1.8mに設置した集
束給油ガイド8により脂肪酸エステルを主体とする繊維
用油剤を塗布し、交絡ガイド9により糸に交絡を付与し
た(図5)。その後、紡糸速度を表1のように変更して
非加熱の第1引き取りローラー10で糸条を引き取った
後、非加熱の第2引き取りローラー11を介して未延伸
糸12を巻き取った。これのWAXD測定を行ったとこ
ろステレオコンプレックスの生成が確認された。また、
この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さ
らに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当て
たが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示
した。
に溶融紡糸を行ったが、未延伸糸は結晶化しておらず、
ステレオコンプレックスも形成されていなかった。これ
の筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み
地に大きな穴があいてしまった。
合を行い、表2記載のようなPLLA(光学純度99%
L乳酸)およびPDLA(光学純度99%D乳酸)を得
た。そして、ブレンド比(チップの仕込量比)、混練温
度、紡糸温度を表2のように変更し、実施例2と同様に
紡糸速度6000m/分で溶融紡糸を行い、未延伸糸を
得た。これのWAXD測定を行ったところステレオコン
プレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間
の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒
編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の
破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
行い、未延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったと
ころステレオコンプレックスの生成が確認された。ま
た、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであっ
た。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロン
を当てたが、問題となるほどではないが若干布帛が粗硬
化した。
000m/分で溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。これ
のWAXD測定を行ったところ、結晶化はしていたもの
のステレオコンプレックスは形成されていなかった。こ
れの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編
み地に大きな穴があいてしまった。
に示す条件で延伸・熱処理を施した。これのWAXD測
定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認
された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いも
のであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃で
アイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充
分な耐熱性を示した。なお、図1に実施例9で得られた
繊維の赤道線方向のWAXDパターンを示す。
紡糸を行い、結晶化したSC率=10%の未延伸糸を得
た。これに未延伸糸に図6の装置を用い、表3に示す条
件で延伸・熱処理を施した。これのWAXD測定を行っ
たところステレオコンプレックスの生成が確認された。
また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであっ
た。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロン
を当てたが、実施例14では編み地の破れ、粗硬化とも
無く充分な耐熱性を示したが、実施例15では問題とな
るほどではないが、若干布帛の粗硬化が生じた。
に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延伸)。これ
のWAXD測定を行ったところステレオコンプレックス
の生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗
硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製
し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬
化とも無く充分な耐熱性を示した。
3に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延伸)。こ
れのWAXD測定を行ったところステレオコンプレック
スの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や
粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作
製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗
硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
4000m/分で溶融紡糸を行い、結晶化してはいるが
SC率=0%の未延伸糸を得た。これにに図7の装置を
用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延
伸)。これのWAXD測定を行ったところステレオコン
プレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間
の融着は観察されないものの、問題となるほどではない
が若干糸に粗硬感があるものであった。さらに、これの
筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、問題と
なるほどではないが、若干布帛の粗硬化を生じた。
合を行い、重量平均分子量15万のPLLA(光学純度
99%L乳酸)および重量平均分子量30万のPDLA
(光学純度99%D乳酸)を得た。このPLLAとPD
LAを用い、2軸混練押し出し機により、一旦予備混練
チップを作製した。これを紡糸温度260℃とし、静止
混練器を用いないで、紡糸速度1000m/分で実施例
1と同様に溶融紡糸し、結晶化していない未延伸糸を得
た。これに図6あるいは図7の装置を用い、表3に示す
条件で延伸・熱処理を施し、延伸糸を得た。しかし、比
較例4では未延伸糸がステレオコンプレックスを形成し
ていなかったにも関わらず、熱処理温度が高すぎたた
め、糸が融着し、粗硬化したものであり、強度も低いも
のであった。また、比較例5も同様に最終熱処理温度が
高すぎたため、糸が部分的に融着し、粗硬化したもので
あった。また、比較例6では未延伸糸が結晶化していな
かったにも関わらず、第1ホットローラー14の温度が
高すぎたため、第1ホットローラー14上での糸揺れが
激しく、また糸が融着したため、延伸不能であった。
紡糸を行い、結晶化していない未延伸糸を得た。これに
図6の装置を用いて表3に示す条件で延伸・熱処理を施
した。しかし、熱処理温度が低いため得られた延伸糸で
のステレオコンプレックスがほとんど形成されていなか
った。
3に示す条件で延伸・熱処理を施した。しかし、熱処理
温度が低いため得られた延伸糸でのステレオコンプレッ
クスがほとんど形成されていなかった。
い、平織りを作製した。経糸の糊付け乾燥を110℃で
行ったが、糸が伸びるトラブルは発生しなかった。得ら
れた平織りを常法にしたがい60℃で精練した後、14
0℃で中間セットを施した。さらに常法にしたがい11
0℃で染色した。得られた布帛は、きしみ感、ソフト感
があり、衣料用として優れた風合いを有していた。
を作製した。経糸の糊付け乾燥を110℃で行ったが、
糸が伸びてしまい乾燥が不可能であった。
仮撚装置を用いて延伸仮撚を施した。この時、ヒーター
20温度は170℃とし、仮撚回転子22としては3軸
ウレタンディスクツイスターを用いた。延伸倍率は実施
例2の糸を用いた場合は1.30、実施例13の糸を用
いた場合は1.20とした。得られた仮撚加工糸の物性
はそれぞれCR=33%、沸収=3%、CR=30%、
沸収=4%と充分な捲縮特性および寸法安定性を示し
た。そして、得られた仮撚加工糸を経糸および緯糸に用
いて2/2ツイルを製織し、常法にしたがい布帛を染色
および仕上げ加工して目付150g/m2の生地を得
た。そしてこの生地を縫製し、カーテンレールを用いる
片開きカーテンを作製した。これを1年間使用したが、
毛玉の発生等は無く優れた耐久性を示した。
った。この時、ヒーター温度20を170℃とすると、
ヒーター上で糸が溶融切断し、延伸仮撚不能であった。
このため、ヒーター20温度を110℃、延伸倍率を
1.30倍として延伸仮撚を行ったが、CR=20%、
沸収=20%の捲縮特性、寸法安定性に劣る仮撚糸しか
得られなかった。
23とデリバリーローラー25の間のリラックス率を1
5%として比較例10と同様に延伸仮撚を行ったとこ
ろ、沸収は8%であったがCR=2%と捲縮がほとんど
無いものになってしまった。
使用することにより、最終製品や加工工程での耐熱性の
問題点を解決でき、ポリ乳酸繊維の用途展開を大きく拡
げることができる。
向)を示す図である。
道線方向)を示す図である。
向)を示す図である。
る。
Claims (8)
- 【請求項1】ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を溶
融紡糸し、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成さ
せることを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製
造方法。 - 【請求項2】紡糸速度が3500〜12000m/分で
あることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸繊維の製
造方法。 - 【請求項3】ポリL乳酸の重量平均分子量とポリD乳酸
の重量平均分子量の比が1.5〜20であることを特徴
とする請求項1または2記載のポリ乳酸繊維の製造方
法。 - 【請求項4】ポリL乳酸とポリD乳酸を静止混練器およ
び/または金属不織布フィルターでブレンドすることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリ乳酸
繊維の製造方法。 - 【請求項5】紡糸温度が200〜250℃であることを
特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリ乳酸
繊維の製造方法。 - 【請求項6】ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を溶
融紡糸、紡糸線上でポリ乳酸を結晶化させた繊維を延伸
した後、150℃以上で熱処理することを特徴とする耐
熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法。 - 【請求項7】紡糸線上でステレオコンプレックスを形成
させることを特徴とする請求項6記載のポリ乳酸繊維の
製造方法。 - 【請求項8】延伸温度が130℃以上であることを特徴
とする請求項6または7記載のポリ乳酸繊維の製造方
法。
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- 2002-03-29 JP JP2002096922A patent/JP3966043B2/ja not_active Expired - Fee Related
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