JP7144900B2 - ホワイトボードシート - Google Patents
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Description
本発明のホワイトボードシートの基材としては、各種のプラスティックからなるフィルムであれば、特に限定されない。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、セルロース系樹脂等よりなるフィルムが例示されるが、これらに限定されるものではない。取り扱性、粘着層又は吸着層との接着力の向上、コストの面等より、ポリエステルフィルムが好ましい。基材の厚みは、ホワイトボードシートの大きさに応じて適宜選択すればよいが、通常4~400μmの範囲のものを用いる。
本発明の筆記層は、繰り返し筆記されることに耐えうる耐傷性、耐久性を満足するために、ハードコート層であることが好ましい。
本発明のホワイトボードシートは、ガラス板、合成樹脂板、鉄板、木板、板紙などの表面に貼着することによりホワイトボードを作製するのに用いられる。このため、本発明のホワイトボードシートは筆記層と反対側の基材面上に、粘着層又は吸着層を設けることが好ましい。基材上に設けた粘着層又は吸着層によって、ホワイトボードシートは、ガラス板、合成樹脂板、鉄板、木板、板紙などの表面に容易に貼着することができる。
基材上にシリコーン吸着層を積層するには、基材とシリコーン吸着層の間にアンカー層を設けることが好ましい。アンカー層を設ける目的は、基材とシリコーン吸着層との接着力の向上、および、特に被着体がガラスである場合のガラス面とシリコーンオリゴマーとの反応による密着力の経時上昇を防ぎ、ホワイトボードシートを剥離する際に、スムーズに剥離でき被着体であるガラス面上にシリコーン残りを発生させないことである。
ホワイトボードシートのシリコーン吸着層に用いるシリコーンの性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていていることが求められる。そして、シリコーン吸着層の性能としては、表面が被着体表面に追従し、被着体からの剥離の際には小さい剥離力で被着体表面から容易に剥離できることが求められる。また、シリコーン吸着層に用いるシリコーンの加工上の性能としては、少なくとも膜厚10μm以上で、目付け加工の方法を用いることなく塗工及び加熱処理だけで、架橋したシリコーン吸着層を設けられることが求められる。このようなシリコーンとしては、硬化反応に際して150℃以下の低温短時間で深部まで架橋し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプのものである付加型液状シリコーン樹脂の使用が好ましい。付加型液状シリコーン樹脂は、白金触媒等のもと、1分子中に2個以上のビニル基などのアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと架橋剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロキシル反応により熱架橋することができる。
本発明のシリコーン吸着層を構成するシリコーン組成物は、上記の成分に加え、さらに、M単位(R3SiO1/2:Rはメチル基、フェニル基などの1価の有機基)とQ単位(SiO4・1/2)からなるMQレジンを含有してもよい。MQレジンは非反応性、又は反応性のどちらでもよく、非反応性と反応性の両方を含有してもよい。
本発明のシリコーン吸着層を保護するために、シリコーン吸着層を覆うセパレーターを設けてもよい。セパレーターは、シリコーン吸着層の表面の汚れや異物付着を防ぐためや、ホワイトボードシートのハンドリングを向上させるための樹脂フィルム製のセパレーターである。セパレーターは、シリコーン吸着層の表面に貼り合わされて使用される。セパレーターとしては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン、ポリプロピレン等よりなる剥離性の高い樹脂フィルムよりなり、所望により、表面にシリコーン系材料等の剥離剤を塗工したものが使用される。
(筆記層)
(疎水性多官能高分子樹脂の合成)
5リットルの4つ口フラスコにポリブタジエングリコ-ル(日本曹達製、商品名NISSO PB G-3000、数平均分子量2600~3200)を1943重量部、ジラウリン酸ジ-n-ブチル錫を0.2重量部、2,6-ジーターシャリブチル-4-メチルフェノ-ルを0.7重量部入れ、50℃で攪拌しつつ、イソホロンジイソシアネ-ト(住友バイエル社製、商品名デスモジュ-ルI)289重量部を4時間にわたって滴下した。
滴下終了後50℃で攪拌しながら、3時間反応を続行したのち、さらに、50℃で攪拌しつつ、ペンタエリスリトールトリアクリレート388重量部を2時間にわたって滴下し、滴下終了後70℃で攪拌しながら、5時間反応を続行し、ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トA(疎水性多官能高分子樹脂)を得た。
上記で合成したポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トAを用いて、表1の実施例1~11、参考例12、比較例2,3の各ハードコート剤を調整した後、厚さ100μmの透明PETの片面に表1の各ハードコート剤をコーティングし、それぞれ積算光量500mj/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化させて、厚み7μmの筆記層を形成して、実施例1~11、参考例12と比較例2、3の筆記層を作製した。またウレタンアクリレ-トAを用いずに調整した表1の比較例1のハードコート剤を使用して、ハードコート剤以外は実施例1~11、参考例12および比較例2、3と同様の方法で、比較例1の厚み7μmの筆記層を作製した。
※1:A-9550(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学製)とUA-53(ウレタンアクリレートオリゴマ-、新中村化学製)の重量比率1:1配合物
※2:ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレートA
※3:N-ビニルホルムアミド
※4:アクリロイルモルホリン
※5:フェノキシ基含有アクリレート
※6:イルカギュア184(光開始剤、チバスペシャリティケミカル製)
※7:キシレン
筆記層を形成した、実施例1~11、参考例12、比較例1~3の各基材の筆記層を形成した面の反対側の面に、下記アンカー層塗工液をグラビアコーターで塗工、乾燥して、厚み3.0μmのアンカー層を形成した。
(アンカー層塗工液)
アクリルポリオール樹脂 20部
(東レファインケミカル製、コータックスLH455、固形分:50%)
ポリチオフェン 27部
(信越ポリマー製、セプルジーダOC-SC100、固形分:3%)
MEK 40部
トルエン 13部
前記のアンカー層の上に、23℃50%RHの環境下で、表2に示すシリコーン吸着層塗工液を塗工厚み20μm(乾燥後)で塗工後、オーブンにて150℃、100秒で架橋させて、シリコーン吸着層を得た。
成分A:分子末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:600,000)/(無溶剤型)
成分B:両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:80,000)/(無溶剤型)
成分C:分子末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:550,000)/(無溶剤型)
成分D:両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:20,000)/(無溶剤型)
成分E:オルガノハイドロジェンポリシロキサン-ジオルガノシロキサンコポリマー(重量平均分子量:2,000)/(無溶剤型)
成分F:オルガノハイドロジェンポリシロキサン(重量平均分子量:2,000)/(無溶剤型)
成分G:反応性レジン(シラノール基含有シリコーンレジン)(重量平均分子量:10,000)/(無溶剤型)
商品H:信越化学製CAT.PL-56
1.筆記性
各ホワイトボードシートの筆記層面に、評価用のペンを使用して文字を手書きし、1分後の文字を目視評価し、以下の基準で判定した。評価用のペンとしては、アスクル株式会社が販売している「アスクルオリジナルホワイトボードマーカー中字丸芯 黒」を使用した。
◎:インクのはじきやかすれがなく、文字に滲みもない
○:筆記当初ははじきがないが、1分経過後に輪郭部にはじきが確認できる
×:インクがはじかれ筆記できない、又はインクが広がり文字が滲む
2.消去性
また、筆記から約1日後にガーゼで筆記面を弱く2回擦り、擦った後の筆記面を目視評価し、以下の基準で判定した。
◎:インクが完全に拭き取られ残留していない
○:文字の端のみが残留している
×:インクが筆記層面に薄く残留している、又はインクが消去できない
3.全光線透過率
日本電色工業製ヘイズメーターNDH2000を用い、JIS-K7361-1:1997に基づき、測定した。なお、光は筆記層面側から入射させて測定した。
4.ヘイズ
日本電色工業製ヘイズメーターNDH2000を用い、JIS-K7105:1981に基づき、測定した。なお、光は筆記層面側から入射させて測定した。
5.耐スチールウール硬度
スチールウール(#0000)に、250gf/cm2の加重をかけ、筆記層上をストロ-ク幅30mmで、14秒間に10往復させた後、筆記層の傷を評価した。評価基準は、下記の通りである。
○:傷跡が全く見えない
△:傷跡が薄く見える
×:傷跡がはっきり見える
6.鉛筆硬度
JIS-K5600-5-4:1999に基づき、筆記層の鉛筆硬度を測定した。
7.シリコーン吸着層の吸着力評価
上記作成したホワイトボードシートを25mm幅にカットし、表面が平滑なアクリル板に筆記層側から、2kgの荷重ロールを2往復させてシリコーン吸着層を貼着し、30分間常温放置した後に、筆記層面から180度方向に毎分1,200mmの速度で引き剥がした際の吸着力を測定した。
評価基準
○:吸着力が15mN/25mm以上。
×:吸着力が15mN/25mm未満。
8.シリコーン吸着層の糊残り評価
上記作成したホワイトボードシートを120mm×55mmにカットし、厚み3mmの透明ソーダ石灰ガラス板に、筆記層側から、2kgの荷重ロールを2往復させてシリコーン吸着層を貼着した後、常温(25℃)で、24時間放置して、評価用のサンプルを作成した。次に貼着したサンプルのガラス面側からカーボンアークを照射強度500W/m2、環境温度63℃の条件にて300時間照射した。この300時間照射後のガラス板に貼着したホワイトボードシートをガラス板より手で剥離して、ガラス板上に付着したシリコーン吸着層の有無を下記の基準により目視で評価した。
評価基準
◎:シリコーン吸着層の付着無し。
○:シリコーン吸着層が部分的に付着している。
×:シリコーン吸着層が全面付着している。
評価結果を表3にまとめる。
Claims (4)
- 基材の一方の面に筆記層を設けたホワイトボードシートであって、前記筆記層が少なくとも電離性放射線により重合する多官能化合物と、電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を含有し、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種をさらに含有する塗液を前記基材に塗布乾燥した後、電離性放射線を照射することで硬化してなるハードコート層であり、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂の前記筆記層の固形分中に占める含有比率が0.1~8重量%であり、前記電離性放射線により重合する多官能化合物と、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を合わせた前記筆記層の固形分中に占める含有比率が70重量%以上であり、前記筆記層の固形分中に占めるN-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートの合計の含有比率が5重量%以上25重量%以下であることを特徴とするホワイトボードシート。
- 前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂がポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トである請求項1に記載のホワイトボードシート。
- 前記筆記層が設けられた基材の前記筆記層とは反対側の面上に吸着層を有することを特徴とする請求項1~請求項2のいずれかに記載のホワイトボードシート。
- 前記吸着層が、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるシリコーン組成物を、付加反応により硬化してなるものであり、前記ジオルガノポリシロキサンが、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサン、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のホワイトボードシート。
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