JP5322675B2 - シート、積層体及びタッチパネル - Google Patents

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Description

この発明は、シート、積層体及びタッチパネルに関する。
プラスチックフィルムは、LCD部材のプリズムシート、レンズシート、拡散板、反射板、タッチパネル等のベースフィルムとしてや、反射防止用やディスプレイ防爆用のベースフィルムなど、各種光学用途に広く使用されている。これら光学用途において明るく鮮明な画像を得るために、光学用フィルムとして用いられるベースフィルムは、その使用形態から透明性が良好で、かつ画像に影響を与える異物やキズ等の欠陥がないことが必要となる。
ところが近年、その用途が多様化するにつれて、フィルムの加工条件や使用条件が多様化し、プラスチックフィルムを加熱処理した際に、フィルム表面に、該フィルムの非架橋成分であるオリゴマーと称される重合体(環状三量体)が析出するとの問題が生じている。フィルム表面へのオリゴマーの析出が激しい場合、フィルム加工時にオリゴマーが工程内に付着して汚染したり、高度な透明性が必要な用途に使用できなくなるなどの諸問題を生じる。
従来、フィルム表面へのオリゴマーの析出を防止する方法として種々の提案がなされている。例えば特許文献1では、抵抗膜方式の透明タッチパネルにおいて、固定電極支持体と対向して配置され、上面にハードコート層が形成された可動電極フィルムの下面に、シロキサン系樹脂、アクリルエポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂で構成され、厚みが0.5μm以上の透明な収縮性樹脂層を介して、可動電極を形成する技術が開示されている。
特開平7−13695号公報 特開2003−279711号公報
特許文献1では、可動電極フィルムの下面に透明な収縮性樹脂層を形成することにより、可動電極フィルムの非架橋成分であるオリゴマーが可動電極側へ析出し、白化状態となって透明性が失われ、外観及び視認性が悪化することを防止するというものである。なお、可動電極フィルムの上面にはハードコート層が形成してあるので、このハードコート層によって可動電極フィルム内部からオリゴマーが可動電極フィルムの上面側に析出することが防止される。
しかしながら、特許文献1で規定される収縮性樹脂層は、樹脂で構成され表面が平滑であるため、シートの製造時にロール上で巻き取る際や、断裁してシート状にして重ねる際にブロッキング現象を生じてしまう。ブロッキング現象を生じているシートを使用すると、貼り付いたシートを剥がす際に騒音が発生し作業環境が悪化してしまう。また、貼り付いたシートを剥がす際に静電気が発生し粉塵を引きつける不都合も生じる。また、このようなシートを用いてタッチパネルなどを製造すると、シートにブロッキングパターンが生じているため、ディスプレイ画面の美観が著しく損なわれてしまう。
このようなブロッキング現象を防止するため、樹脂層に微粒子を添加する技術も知られているが(特許文献2)、これをディスプレイ画面上に用いると光学特性が低下するだけでなく、微粒子が輝点となってギラツキ現象を生じ易くなってしまう。
また、このような収縮性樹脂層は、その厚みが0.5〜45μmと比較的厚く形成されているため加工適正が悪く、折り曲げるとクラックを生じる場合もある。収縮性樹脂層にクラックを生じると、このクラック部分を通じて、可動電極フィルムの非架橋成分であるオリゴマーが可動電極側へ析出する。
発明が解決しようとする課題は、光学特性を低下させることなくブロッキング現象を防止することができるとともに、良好な加工適正を持ちフィルム表面へのオリゴマーの析出を防止することができる被膜を持つシートと、このシートを含む積層体と、この積層体を含むタッチパネルとを提供することである。
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下の解決手段では、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
発明に係るシート(10)は、フィルム基材(11)の表面に厚みが120nm以下の被膜(12)を有し、被膜(12)は硬化性組成物の硬化物で構成されており、硬化性組成物は金属酸化物ゾルと有機金属化合物を含有する。
上記発明において、硬化性組成物は、100重量部の金属酸化物ゾルに対して、有機金属化合物を、金属成分換算で、0.04モル以上0.5モル以下となる重量で含有することができる。
上記発明において、有機金属化合物は、金属キレート化合物、金属アルコキシド及び金属アシレートを含む群から選択される1種以上を含むことができる。
上記発明において、金属キレート化合物はチタンキレートを含み、金属アルコキシドはチタンアルコキシドを含み、金属アシレートはチタンアシレートを含むことができる。
上記発明において、有機金属化合物は、有機チタン化合物を含むことができる。
上記発明において、有機チタン化合物は、チタンキレート、チタンアルコキシド及びチタンアシレートを含む群から選択される1種以上を含むことができる。
上記発明において、硬化性組成物は、100重量部の金属酸化物ゾルに対して、チタンを、2〜25重量部含有することができる。
上記発明において、金属酸化物ゾルは酸化ケイ素ゾルを含むことができる。
上記発明において、被膜の厚みを15nm以上とすることができる。
発明に係る積層体(20)は、上記何れかのシート(10)の表面に、各種機能が付与された機能層(22,24)を有する。
上記発明において、機能層(22,24)は、例えば、シート(10)の被膜(12)側に積層された粘着層や、シート(10)の被膜(12)とは反対側に積層されたハードコート層などを含むことができる。
発明に係るタッチパネル(5)は、第1の透明導電膜(524)が第1の透明基板(522)に形成された第1の電極基板(52)と、第2の透明導電膜(544)が第1の透明導電膜(524)と所定の間隙を空けて対向するように第2の透明基板(542)に形成された第2の電極基板(54)とを有する。そして、第1の透明基板(522)及び第2の透明基板(542)のうち何れか一方の可動側電極基板が積層体(20)を含む。
発明に係るオリゴマーの析出防止方法は、フィルム基材表面へのオリゴマーの析出を防止する方法であって、フィルム基材の表面に、金属酸化物ゾルと有機金属化合物を含有する塗工液を塗布し、加熱硬化させ、厚みが120nm以下の被膜を形成させる。
上記発明によれば、フィルム基材の表面に金属酸化物と有機金属化合物を含む被膜を所定の厚み以下で形成する。被膜中に金属酸化物と有機金属化合物を含有させることで、光学特性を低下させることなくブロッキング現象を防止することができる。またこうした被膜を所定厚み以下で形成するので、良好な加工適正が確保され、フィルム表面へのオリゴマーの析出を効果的に防止することができる。
図1は本実施形態に係るシートを示す断面図である。 図2は図1のシートを有する積層体の一例を示す断面図である。 図3は図1のシートを有する積層体の他の例を示す断面図である。 図4は図2の積層体を有するタッチパネルを示す断面図である。
以下に、上記発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
《シート》
図1に示すように、本実施形態に係るシート10は、例えば透明ポリエステルフィルムなどのフィルム基材11を有する。本実施形態では材11の一方の面に、被膜12が形成されている。なお、フィルム基材11の両面に被膜12が形成される構成であってもよい。
本実施形態の被膜12は、硬化性組成物の硬化物で構成されており、フィルム基材11の内部からフィルム基材11表面へのオリゴマーの析出を防止する機能を司る。
本実施形態で用いる硬化性組成物またはその硬化物は、少なくとも、金属酸化物ゾル(以下「化合物(A)」と略記する。)と、有機金属化合物(以下「化合物(B)」と略記する。)を含有する。
《化合物(A)》
本実施形態で用いられる化合物(A)としては、例えば、ケイ素アルコキシドを加水分解して調製した酸化ケイ素ゾルや、ケイ素以外の金属アルコキシドを加水分解して調製した金属酸化物ゾルなどが挙げられる。中でも、流動性、経済性、取り扱いの容易性、無色透明な被膜が得られるという点で、酸化ケイ素ゾルが好ましい。
酸化ケイ素ゾルの調製に用いるケイ素アルコキシドは熱硬化によりポリシロキサン構造を形成するものであり、ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランなどが挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
トリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
ジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
ケイ素アルコキシドとしては、特に硬化後の塗膜強度の点で、テトラアルコキシシランが好ましく、より好ましくはテトラメトキシシラン(メチルシリケート)、テトラエトキシシラン(エチルシリケート、TEOS)を含む。
酸化ケイ素ゾル以外の金属酸化物ゾルの調製に用いる、ケイ素以外の金属アルコキシドとしては、例えば、ジルコニアプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソプロポキシドなどが挙げられる。
本実施形態では、以上例示した各種金属アルコキシドを、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
化合物(A)としての金属酸化物ゾルは、上述した各種金属アルコキシドが、水の存在下に加水分解されて生成する化合物であるが、加水分解後に縮合して生成する化合物も含む。このような縮合物としては、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば1,000〜10,000程度の縮合物が用いられる。
加水分解の反応は、公知の方法により行うことができる。例えば金属アルコキシドを大量のアルコール溶媒(例えばメタノールやエタノールなど)に入れ、水と酸触媒(塩酸、硝酸など)の存在下、所定温度で所定時間反応させる。この反応により金属アルコキシドは加水分解し、続いて縮合反応が起こり、加水分解物及び/又はその縮合物が得られる。
加水分解の程度は、使用する水の量により調節することができる。加水分解の程度は、加水分解可能な基、例えばテトラアルコキシシランにおいてはアルコキシ基を全て加水分解縮合するために必要な理論水量、即ちアルコキシ基の数の1/2の水を添加したときを加水分解率100%とし、加水分解率(%)=(実際の添加水量/加水分解理論水量)×100、で求められる。
本実施形態では、以上例示した化合物(A)を、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
《化合物(B)》
本実施形態で用いられる化合物(B)は、化合物(A)以外の化合物であって、化合物(A)を硬化させる際の硬化触媒として作用するとともに、化合物(A)の硬化収縮に伴うクラックの発生を抑制するクラック抑制剤として作用する。
化合物(B)に含まれる金属としては、特に限定されず、例えばチタン、アルミニウム、クロム、コバルト、錫、鉄、マンガン、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素などが挙げられる。
第1の観点に係る化合物(B)としては、反応速度が速すぎず遅すぎず、取り扱いやすい点で、チタンを含む有機チタン化合物を含むことが好ましい。有機チタン化合物としては、チタンキレート、チタンアルコキシド及びチタンアシレートを含む群から選択される1種以上を含むことが好ましく、より好ましくは、反応を制御しやすい点で、少なくともチタンキレートを含む。
第2の観点に係る化合物(B)としては、有機金属化合物の安定性の点で、金属キレート化合物、金属アルコキシド及び金属アシレートを含む群から選択される1種以上を含むことが好ましい。具体的には、例えばチタン、アルミニウム、クロム、コバルト、錫、鉄、マンガン、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素などの各種金属のキレート、アシレート、アルコキシドなどが挙げられる。中でも、チタンキレート、チタンアルコキシド及びチタンアシレートを含む群から選択される1種以上を含むことが好ましく、より好ましくは、反応を制御しやすい点で、少なくともチタンキレートを含む。
アルミニウムキレートとしては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソプロポキシド−モノメチルアセトアセテートなどが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
チタンキレートとしては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートなどが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。本実施形態では、特に、β−ジケトン及び/又はβ−ケトエステルが配位したものが好ましく、更にはアセチルアセトナート基及び/又はエチルアセトアセテート基を有するチタンキレートが好適に使用される。本実施形態では、例えば市場から入手したチタンキレートを用いることもできる。市販例としては、例えばマツモトファインケミカル社製の「オルガチックス」シリーズ(例えばTC−100、TC−401、TC−200、TC−750、TC−400、TC−300、TC−310、TC−315など)などが挙げられる。TC−100はチタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を含み、TC−401はチタンテトラアセチルアセトネートを含み、TC−200はチタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)を含み、TC−750はチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)を含み、TC−400はチタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)を含み、TC−300はチタンラクテートアンモニウム塩を含み、TC−310,315はチタンラクテートを含む。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシドなどが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。本実施形態では、例えば市場から入手したチタンアルコキシドを用いることができる。市販例としては、例えばマツモトファインケミカル社製の「オルガチックス」シリーズ(例えばTA−10、TA−25、TA−22、TA−30など)などが挙げられる。TA−10はチタンテトライソプロポキシドを含み、TA−25はチタンテトラノルマルブトキシドを含み、TA−22はチタンブトキシドダイマーを含み、TA−30はチタンテトラ−2−エチルヘキソキシドを含む。
チタンアシレートとしては、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。本実施形態では、例えば市場から入手したチタンアシレートを用いることもできる。市販例としては、例えばマツモトファインケミカル社製の「オルガチックス」シリーズ(例えばTPHSなど)などが挙げられる。TPHSはポリヒドロキシチタンステアレートを含む。
本実施形態の組成物中における化合物(B)の使用量は、化合物(A)及び化合物(B)の金属の種類や配位子によって異なってくるが、化合物(A)100重量部に対して、化合物(B)中の金属成分が、好ましくは0.04モル以上、より好ましくは0.1モル以上となる重量で配合する。例えば、化合物(A)をテトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解物、化合物(B)をチタンキレートとした場合、化合物(B)の使用量は、化合物(A)100重量部に対して、金属成分換算で、好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは8重量部以上である。この場合の化合物(B)の使用量が少なすぎると、架橋点が少なくなるため過熱時のクラックの発生を防止できなくなる傾向がある。
本実施形態の組成物中における化合物(B)の使用量は、化合物(A)100重量部に対して、化合物(B)中の金属成分が、好ましくは0.5モル以下、より好ましくは0.46モル以下となる重量で配合する。同様に、化合物(A)をTEOSの加水分解物、化合物(B)をチタンキレートとした場合、化合物(B)の使用量は、化合物(A)100重量部に対して、金属成分換算で、好ましくは25重量部以下、より好ましくは23重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。化合物(B)の使用量が多すぎると、チタンキレートの未反応部分が残存し、ベタつきなどの塗膜不良や副反応生成物を生じて物性の低下を引き起こす可能性がある。
《その他の化合物》
本実施形態の硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上述した化合物(A)及び化合物(B)の他に、必要に応じて、添加成分(C)を適宜配合してもよい。添加成分(C)としては、例えば、表面調整剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、蛍光増白剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、貯蔵安定剤、架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
本実施形態の硬化性組成物は、通常は塗工液の形態で実現される。例えば、上述した化合物(A)(必要に応じてさらに化合物(B))を、有機溶剤などの希釈溶媒で溶解または分散させた後、必要に応じて添加剤を加えることで、塗工液を調製することができる。有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、エーテル類(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド類(例えばジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)が挙げられる。
本実施形態では、上述の硬化性組成物をフィルム基材11の上に塗布し、硬化させることにより被膜12を得ることができる。
フィルム基材11としては、例えば透明ポリエステルフィルムなどが用いられる。フィルム基材11は、その表面に易接着処理が施されていてもよい。フィルム基材11の厚みは特に限定されない。
硬化性組成物の塗布(コーティング)は、常法によって行えばよく、例えばバーコート、ダイコート、ブレードコート、スピンコート、ロールコート、グラビアコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、スクリーン印刷、刷毛塗りなどを挙げることができる。
本実施形態では、塗布後の塗膜の厚みが、乾燥、硬化後に、後述する所定厚みとなるように塗布する。硬化性組成物をフィルム基材11に塗布したら、塗布後の塗膜を50〜120℃程度で乾燥させることが好ましい。
硬化性組成物の硬化は、塗布後の塗膜に対して、熱によるキュアリングによって行うことができる。その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。常温で所定時間放置することによっても行うことができる。
上述した硬化性組成物の硬化物で構成される被膜12は、好ましくは15nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上の厚み(t)を有する。また、被膜12の厚みtは、好ましくは120nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましく80nm以下とする。
被膜12の厚みが薄くても加熱後のクラックの発生抑制に効果はあるが、厚みが薄すぎるとオリゴマーが被膜12を通り抜けやすくなり、オリゴマーの析出防止効果を発揮することができない傾向がある。その反面、被膜12の厚みが厚くても被膜12が硬化収縮するのを抑制することができるが、厚みが厚すぎると加熱後にクラックが発生し、そのクラックの隙間からオリゴマーが析出することで、シート全体の光学特性に悪影響を与えることがある。本実施形態では、被膜12の厚みを上記範囲とすることにより、クラックを生じにくく、その結果、よりオリゴマーの析出防止効果を発揮することができる。
なお、本実施形態において「オリゴマー」とは、加熱処理後、結晶化してフィルム基材11の表面に析出する低分子量物のうちフィルム基材11を構成するポリマーの三量体成分を主とするものと定義する。「オリゴマーの析出を防止する」とは、フィルム基材11を140〜150℃の温度で2〜3時間、加熱処理した後、フィルム基材11の被膜12形成面側を200倍の顕微鏡で観察した際に10視野当たり(面積0.5mm)、円相当径で1μmφ以上の析出物が50個未満、好ましくは20個以下、さらに好ましくは10個以下であることをいう。なお、析出物の円相当径で1μmφ未満の場合、顕微鏡レベルではその存在を確認することは困難である。しかしながら、上述した加熱処理後に、耐湿試験を行うと、析出物が成長し、円相当径で1μmφ以上となって顕微鏡で確認できるレベルになることもある。
本実施形態では、フィルム基材11の表面に所定組成の被膜12を所定範囲の厚みで形成することが好ましい。被膜12に金属キレート化合物(特にチタンキレート化合物)を含有するので、所定条件(例えば150℃、2時間)で加熱してもクラックを生じにくい。これは被膜12を所定範囲の厚み以上で形成した場合も同様である。
金属キレート化合物を未添加の金属酸化物ゾルから被膜を形成した場合、上述した所定条件で加熱すると、被膜にクラックが生じてしまう。このように被膜へクラックが入ってしまう理由は必ずしも明らかではないが、被膜の収縮率とフィルム基材11の収縮率との差が所定の閾値を越えた場合に被膜へクラックが生じるのではないかと思われる。
これに対し、本実施形態では、被膜12中に金属キレート化合物を所定割合で含有させる。このため、これを含有させない場合と比較して、被膜12の収縮を抑制し、被膜12の収縮率とフィルム基材11の収縮率との差を小さくすることができる。被膜12の収縮率とフィルム基材11の収縮率との差が小さくなると、加熱の際、フィルム基材11が収縮する際に、この収縮に対して被膜12の収縮が追従しやすくなり、その結果、被膜12にクラックが入ることが防止されるのではないかと推測する。すなわち、高温加熱後にクラックを生じないのは、金属キレート化合物が有効に機能しているからである。被膜12にクラックを生じることがないと、フィルム基材11の内部からフィルム基材11表面へのオリゴマーの析出が効果的に防止され、その結果、シート10の光学特性が悪化することが効果的に防止される。
《積層体》
図2及び図3に示す積層体20は、何れも、上述した図1に示すシート10を有する。以下の説明では、シート10として、フィルム基材11の一方の面に被膜12を有する場合を例示する。
図2に示すように、本実施形態の第1の観点では、シート10の被膜12とは反対面に各種機能が付与される第1機能層22が積層してある。第1機能層22としては、例えばハードコート層、反射防止層などの単層膜又は多層膜が挙げられる。
図3に示すように、本実施形態の第2の観点では、シート10の被膜12の面に、粘着層や透明導電層などの第2機能層24が形成してある。この場合、シート10の被膜12とは反対面に、さらに図2に示す第1機能層22が積層してあってもよい。
《ハードコート層》
ハードコート層は、積層体20の表面硬度を高くし、表面に傷が発生することを防止するために設けられる。従って、第1機能層22としてハードコート層を用いる場合の当該ハードコート層の表面硬度は、好ましくはH以上、より好ましくは2H以上、さらに好ましくは3H以上である。表面硬度の値は、JIS−K5400(1990)に準拠した方法で測定した鉛筆引っかき値(鉛筆硬度)で示される。
ハードコート層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの樹脂で構成される。特に、電離放射線硬化性樹脂で構成した場合には、表面硬度等に代表されるハードコート性を発揮できるため好ましい。
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアタリレート系樹脂、ポリウレタンアタリレート系樹脂、エポキシアタリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線(紫外線または電子線)の照射によって架橋硬化する光重合性プレポリマーを用いることができる。この実施形態では、後述の光重合性プレポリマーを単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用することもできる。
光重合性プレポリマーには、カチオン重合型とラジカル重合型とがある。
カチオン重合型光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂やビニルエーテル系樹脂などが挙げられる。エポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
ラジカル重合型光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマー(硬質プレポリマー)が、ハードコート性の観点から特に好ましく使用される。
アクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレート等が挙げられる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えばポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得ることができる。ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環と、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得ることができる。アクリル系プレポリマーは単独でも使用可能であるが、架橋硬化性の向上や、硬化収縮の調整等、種々の性能を付与するために、光重合性モノマーを加えることが好ましい。
光重合性モノマーとしては、単官能アクリルモノマー(例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等)、2官能アクリルモノマー(例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート等)、3官能以上のアクリルモノマー(例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等)が挙げられる。なお、「アクリレート」には、文字通りのアクリレートの他、メタクリレートも含む。これらの光重合性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用することもできる。
ハードコート層を形成する際に、紫外線照射によって硬化させて使用する場合には、上述した光重合性プレポリマー及び光重合性モノマーの他に、光重合開始剤、光重合促進剤、紫外線増感剤等の添加剤を配合することが好ましい。
光重合開始剤としては、ラジカル重合型光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。カチオン重合型光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用することもできる。光重合促進剤としては、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。紫外線増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
これら添加剤の配合量は、上述した光重合性プレポリマー及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、通常0.2〜10重量部の範囲で選ばれる。
この実施形態のハードコート層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて、添加成分を適宜配合してもよい。添加成分としては、例えば、表面調整剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、蛍光増白剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、貯蔵安定剤、架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
ハードコート層は、その厚みが、0.1〜30μm程度であることが好ましい。より好ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは2〜10μmとする。厚みを0.1μm以上とすることで、ハードコート層側にも十分な表面硬度(ハードコート性)を発揮させることができる。
《反射防止層》
反射防止層は、ハードコート層の表面に設けられ、ハードコート層の表面部分での映り込みを減少させ、積層体20全体の全光線透過率を向上させるために設けられる。表面部分での映り込みを防止するためにハードコート層の屈折率を小さく設計することも考えられる。ところが、屈折率が小さくなるようにハードコート層を設計すると、ハードコート層のハードコート性が低下することがあるので、ハードコート層の表面に、ハードコート層の屈折率より低い屈折率を持つ反射防止層を薄い厚みで形成することが好ましい。
反射防止層は、ハードコート層よりも屈折率の低い材料で構成されればよく、例えば、Si、Ti、Zn、Y、Zr、In、Sn、Sb、Hf、Ta、Ce、Pr、Ndなどの酸化物;Li、Na、Mg、Al、Ca、La、Nd、Pbなどのフッ化物;Ti、Cr、Zr、Ni、Moなどの単体;などが挙げられる。これらの各種材料を適宜選択し、真空成膜法(例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など)により形成することができる。また、例えばケイ素系樹脂、フッ素系樹脂、金属酸化物ゾルや、これらに金属酸化物微粒子、好ましくは多孔状または中空状の金属酸化物微粒子を加えたものが挙げられる。またハードコート層の説明欄で列挙した樹脂に前記金属酸化物微粒子を加えたものも使用可能である。
金属酸化物ゾルとしては、シリカ、アルミナゾルなどが挙げられる。これら金属酸化物ゾルの中でも、屈折率、流動性、コストの観点から、シリカゾルが好適に使用される。なお、金属酸化物ゾルとは、金属酸化物の存在によってチンダル現象を観測できない材料をいい、いわゆる均一溶液のことをいう。例えば、一般にコロイダルシリカゾルと言われる材料であっても、チンダル現象が観測されるものであれば、この実施形態では金属酸化物ゾルに含まれないものとする。
このような金属酸化物ゾルは、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジルコニアプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソプロポキシドなどの金属アルコキシドを加水分解して調整することができる。金属酸化物ゾルの溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、1,4一ジオキサンなどが挙げられる。
金属酸化物微粒子は、上述した金属酸化物を微粉末化したものであり、シリカ微粒子、アルミナ微粒子などが挙げられる。これらの中でも屈折率、流動性、コストの観点から、シリカ微粒子が好適に使用される。また、金属酸化物微粒子の形状は特に制限されることはないが、屈折率の低い多孔状又は中空状の金属酸化物微粒子が好適に使用される。
このような金属酸化物微粒子としては、これを分散液とした際にチンダル現象が観測されるような一定の粒子径を有するものを使用する。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、前記条件を満たす限り特に制限されることはないが、40〜100nmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が40nm以上の微粒子を用いることにより、反射防止層の表面に浮上する金属酸化物粒子がなくなり、表面硬度の低下を防止することができ、100nm以下の微粒子を用いることで、反射防止層から金属酸化物微粒子がはみ出すことがなくなり、表面硬度の低下を防止することができる。また、透明性を良好なものとするために、金属酸化物微粒子の平均粒子径は、さらに好ましくは40〜70nmの範囲とする。
金属酸化物ゾルと金属酸化物微粒子の混合割合は、特に限定されるものではないが、金属酸化物ゾル中の金属酸化物成分100重量部に対し、金属酸化物微粒子が、好ましくは5重量部以上、より好ましくは20重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。
反射防止層の厚みは、光の反射防止理論より次式を満たすことが好ましい。
[数1] d=(a十1)λ/4n
ここで、dは反射防止層の厚み(単位は「nm」)、aは0又は正の偶数、λは反射を防止しようとする光の中心波長、nは反射防止層の屈折率である。具体的には、例えば2μm程度以下が好ましく、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下、最も好ましくは0.3μm以下である。反射防止層の厚みが厚くなると、厚みムラに起因する干渉ムラが発生し難くなる反面、下面に設けられるハードコート層のハードコート性が発揮され難くなる。
上述したハードコート層、反射防止層の形成方法としては、各々の構成成分や必要に応じて他の成分を配合して、さらに適当な溶媒に溶解又は分散させて塗布液を調製し、当該塗布液をロールコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、ダイコーティング法、ブレードコーティング法、スピンコーティング法、グラビアコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷法などの公知の方法によりシート10に順次塗布して乾燥させ、必要であれば適宜必要な硬化方法で硬化させることにより形成することができる。
《粘着層》
粘着層としては、例えば、天然ゴム系、再生ゴム系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレン・ブタジエン系などのエラストマー粘着剤、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、シアノアクリレート系などの合成樹脂粘着剤のほか、エマルジョン系粘着剤などの公知の粘着剤で構成することができる。粘着層は、粘着性を発揮させるために厚み5μm以上にするのが一般的である。
上述した第1機能層22には、紫外線吸収性能をもたせることも可能である。特に350〜380nmの範囲の光線透過率を0.1%〜70%程度とした場合、ハードコート性を保持しながら、耐候性を付与することができる。ハードコート層に電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性樹脂が硬化する紫外線領域と吸収する紫外線領域を調整することにより、ハードコート層の硬化に影響を与えることなく、紫外線吸収性の付与できる。例えば、紫外線吸収剤の吸収波長域のピークと20nm以上異なる位置に吸収波長域のピークを有する光重合開始剤を用いることが好ましい。このようにすることによりハードコート層を十分に硬化させることができ、優れたハードコート性を付与することができる。
《透明導電層》
透明導電層としては、例えば一般的に広く知られた透明導電性材料や有機導電性材料などで構成することができる。透明導電性材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫、金、銀、パラジウムなどの透明導電性物質が挙げられる。有機導電性材料としては、例えばポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリピリジン等の導電性高分子が挙げられる。中でも、透明性と導電性に優れ、比較的低コストに得られる酸化インジウム、酸化錫又は酸化インジウム錫のいずれかを主成分とした透明導電性材料で構成されていることが好ましい。
透明導電層は、上述した導電性材料を用いて、ドライプロセス(例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など)やウェットプロセス(例えば溶液塗布法など)により、薄膜状態で形成することができる。
透明導電層の厚みは、適用する材料によっても異なるため一概には言えないが、表面抵抗率で1000Ω以下、好ましくは500Ω以下になるような厚みとする。例えば、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。経済性を考慮すると、80nm以下、好ましくは70nm以下の範囲が好適である。このような薄膜においては透明導電層の厚みムラに起因する可視光の干渉縞は発生しにくい。また、全光線透過率は通常80%以上であることが好ましく、85%以上がさらに好ましく、88%以上が特に好ましい。
本実施形態では特に、シート10の被膜12とは反対面側に、透明ハードコート層と反射防止層が順次積層された第1機能層22が形成してあり、被膜12の表面側に、透明導電層で構成される第2機能層24が形成してある構造の積層体20は、帯電防止フィルムや赤外線遮蔽フィルム、反射防止フィルム、電磁波シールドフィルム、タッチパネルなどの電極基板として使用することができる。
以下の説明では、シート10の被膜12とは反対面側に透明ハードコート層と反射防止層が順次積層された第1機能層22が形成してあり、被膜12の表面側に透明導電層で構成される第2機能層24が形成してある積層体20を、タッチパネルに使用する場合を例示する。
《タッチパネル》
図4に示すタッチパネル5は、各種電子機器(例えば携帯電話やカーナビ等)に設けられる液晶等の表示素子9の前面に装着される抵抗膜方式のタッチパネルである。このタッチパネル5を通して背面の表示素子9に表示された文字や記号、絵柄等の視認や選択を行い、指や専用ペン等で押圧操作することによって、機器の各機能の切換えを行うことができる。
この実施形態のタッチパネル5は、上電極基板(第1の電極基板)52と、下電極基板(第2の電極基板)54とを有する。上電極基板52は、上透明基板(第1の透明基板)522を有する。上透明基板522の下面には、上透明導電膜(第1の透明導電膜)524が形成されている。下電極基板(第2の電極基板)54は、下透明基板(第2の透明基板)542を有する。下透明基板542の上面には、下透明導電膜(第2の透明導電膜)544が形成されている。
タッチパネル5は、上電極基板52側と下電極基板54側の何れかが可動電極であってもよいが、この実施形態では、上電極基板52を可動電極とし、下電極基板54を固定(非可動)電極とする場合を例示する。
この実施形態では、上電極基板52の下面と下電極基板54の上面のそれぞれの外周部分は、略額縁状のスペーサ56を介して貼り合わされている。また、上電極基板52の上透明導電膜524と、下電極基板54の下透明導電膜544とが、所定の間隙を空けて対向するように配置されている。下透明導電膜544の上面には、必要に応じてドット状のスペーサ58が所定間隔で複数配置される。なお、スペーサ58は必要に応じて配置すれば良く、スペーサ58を配置しない構成にすることも可能である。
上下透明導電膜524,544の両端には、それぞれ一対の電極(図示省略)が形成されている。この実施形態では、上透明導電膜524に形成される一対の上電極(図示省略)と、下透明導電膜544に形成される一対の下電極(図示省略)とは、互いに交差する方向に配置されている。
なお、この実施形態では、下電極基板54の下面には、接着層7を介してセパレータ(図示省略)が貼付してあってもよい。
この実施形態のタッチパネル5を、例えばカラー液晶等の表示素子9の前面に搭載するには、まずこの実施形態のタッチパネル5のセパレータ(図示省略)を剥がして接着層7を露出させ、表示素子9の前面に対向するように接触させる。これにより、タッチパネル付きカラー液晶表示素子を形成することができる。
このタッチパネル付き液晶表示素子では、ユーザがタッチパネル5の背面に配置される表示素子9の表示を視認しながら、指やペン等で上電極基板52の上面を押圧操作すると、上電極基板52が撓み、押圧された箇所の上透明導電膜524が下透明導電膜544に接触する。この接触を上述した一対の上下電極を介して電気的に検出することにより、押圧された位置が検出される。
この実施形態では、可動電極としての上電極基板52を、上述した積層体20(=下から上へ向けて順次、第2機能層24(透明導電層)、被膜12、フィルム基材11、第1機能層22(透明ハードコート層及び反射防止層)が積層してある構造)で構成してある。積層体20の第2機能層24(透明導電層)が上透明導電膜524に相当する。
この実施形態では、固定電極としての下電極基板54の下透明基板542は、例えばガラスなどで構成される。
なお、この実施形態では、可動電極に加えて、固定電極(下電極基板54)にも、上述した積層体20を用いることもできる。これにより、より軽く、より薄型で、割れにくいタッチパネルとすることができる。
以上説明した実施形態は、上記発明の理解を容易にするために記載されたものであって、上記発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、上記発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
次に、上記発明の実施形態をより具体化した実施例を挙げ、さらに詳細に説明するが、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
《実験例1》
まず、塗布液1(硬化性組成物)と塗布液2を調製した。
<塗布液1の処方>
・テトラエトキシシランの加水分解液(固形分2%) 10部
・チタンキレート化合物含有液(固形分75%) 0.04部
(オルガチックスTC−100、チタン含有量9.8%、マツモトファインケミカル社)
・イソプロピルアルコール(IPA) 5部
なお、TC−100を0.04部配合することで、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数は0.04モル(添加量は2部)となる。
<塗布液2の処方>
・電離放射線硬化型樹脂組成物(固形分100%) 10部
(ビームセット575、荒川化学工業社)
・光重合開始剤 0.5部
(イルガキュア651:チバ・ジャパン社)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 23部
次に、塗布液1を、フィルム基材11としての厚み125μmのPETフィルム(A4300、東洋紡績社製)の一方の面(第1面)にバーコーター法により塗布し、乾燥させて塗膜を形成した。形成した塗膜に対し、熱処理をし(温度90℃で45秒)、厚み60nmの被膜12を形成した。
次に、塗布液2を、フィルム基材11の他方の面(第2面)にバーコーター法により塗布し、乾燥させて塗膜を形成した。形成した塗膜に対し、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量400mJ/cm)、厚み6μmのハードコート層を形成し、シート試料を得た。
《実験例2》
TC−100を0.08部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.08モル(添加量を4部)とするとともに、IPAを7部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例3》
TC−100を0.16部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.16モル(添加量を8部)とするとともに、IPAを11部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例4》
TC−100を0.25部配合することにより、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.26モル(添加量を12部)とするとともに、IPAを16部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例5》
TC−100を0.33部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.34モル(添加量を16部)とするとともに、IPAを20部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例6》
TC−100を0.41部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.42モル(添加量を20部)とするとともに、IPAを23部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例7》
TC−100を0.49部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.50モル(添加量を24部)とするとともに、IPAを27部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例8》
TC−100を0.56部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.57モル(添加量を28部)とするとともに、IPAを31部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例9》
TC−100を配合せず、IPAを3部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例10》
チタンキレート化合物含有液としてのTC−100に代え、チタンキレート化合物含有液としてのオルガチックスTC−200(固形分67%、チタン含有量5.3%、マツモトファインケミカル社)と、チタンアルコキシド含有液としてのオルガチックスTA−25(固形分99%、チタン含有量14.1%、マツモトファインケミカル社)とを準備した。
次に、TC−200を0.15部、TA−25を0.055部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物及びチタンアルコキシドの合計モル数を0.16モル(添加量は8部。両者のモル比は5:5)とするとともに、IPAを13.4部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例11》
チタンキレート化合物含有液としてのTC−100に代え、チタンキレート化合物含有液としてのオルガチックスTC−200(固形分67%、チタン含有量5.3%、マツモトファインケミカル社)と、チタンアルコキシド含有液としてのオルガチックスTA−30(固形分99%、チタン含有量8.5%、マツモトファインケミカル社)とを準備した。
次に、TC−200を0.15部、TA−30を0.095部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物及びチタンアルコキシドの合計モル数を0.16モル(添加量は8部。両者のモル比は5:5)とするとともに、IPAを16部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例12》
TC−100に代え、オルガチックスTC−401(固形分65%、チタン含有量7.0%、マツモトファインケミカル社)を0.23部配合し(チタンキレート化合物は0.016部)、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.16モル(添加量を8部)とするとともに、IPAを13部とした以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例13》
TC−401を0.34部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.26モル(添加量を12部)とするとともに、IPAを18部とした以外は、実験例5と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例14》
TC−401を0.46部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.34モル(添加量を16部)とするとともに、IPAを23部とした以外は、実験例5と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例15》
TC−401を0.57部配合することにより、TEOSの加水分解物100部に対するチタン換算でのチタンキレート化合物のモル数を0.42モル(添加量を20部)とするとともに、IPAを28部とした以外は、実験例5と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例16》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み10nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例16−1》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み15nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例17》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み35nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例18》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み55nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例19》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み75nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例20》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み95nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例21》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み120nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例22》
塗布液1を用いて、フィルム基材11の表面に厚み130nmの被膜を形成した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例23》
TC−100に代え、アルミニウムキレート化合物(プレンアクトAL−M、固形分100%、アルミニウム含有量5.5%、味の素ファインテクノ社)を0.08部配合し、TEOSの加水分解物100部に対するアルミニウム換算でのアルミニウムキレート化合物のモル数を0.07モル(添加量を2部)とするとともに、IPAに代えて酢酸エチルを8.6部配合した以外は、実験例1と同様の条件でシート試料を得た。
《実験例24》
塗布液1の代わりに塗布液2を準備し、この塗布液2を、フィルム基材11の第1面にバーコーター法により塗布し、乾燥させて塗膜を形成した。形成した塗膜に対し、高圧水銀灯で紫外線を照射し(照射量400mJ/cm)、厚み1μmの樹脂からなる被膜を形成し、シート試料を得た。
《特性の評価》
上記実験例1〜24により得られたシート試料について、下記特性を評価した。結果を表1に示す。
(1)折り曲げ試験による耐クラック性
シート試料を被膜12が外側になるように2つに折り曲げ、その折り曲げた部分の被膜12にクラックを生じるか否かを目視で観察する。その結果、クラックが確認できなかったものを「○」、クラックを確認できたものを「×」として評価した。
(2)耐ブロッキング性
シート試料のハードコート層面に、別途用意したシート試料の被膜12の面を重ね合わせた。次に、両シート試料をガラス板で挟み込み、約2kgの重りを載せて50℃の雰囲気下に24時間放置した。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離した。その結果、剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離されるものを「○」、剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離されるものを「△」、剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離されるものを「×」として評価した。
(3)耐熱性
(3−1)オリゴマー析出防止性(顕微鏡)
得られたシート試料を150℃のオーブンに投入し、2時間後に取り出した。次に、取り出したシート試料の被膜12側を顕微鏡(200倍)で観察し、10視野当たり(面積0.5mm)に、円相当径で1μmφ以上の析出物が10個以下であった(オリゴマーの析出が全く認められなかった)ものを「○」、上記析出物が20個を超え50個未満であった(オリゴマーの析出がやや認められたが問題なしと考えられる)ものを「△」、上記析出物が50個を超えた(オリゴマーの析出が認められた)ものを「×」として評価した。
(3−2)オリゴマー析出防止性(ヘーズ変化率)
まず、得られたシート試料に対し、SMカラーコンピューターHGM−2K(スガ試験機社)を用いてヘーズ値「%」(JIS−K7105)を測定し、加熱前ヘーズ値を得た。その後、加熱前ヘーズ値測定後のシート試料を上記(3−1)と同様に150℃のオーブンに投入して2時間後に取り出した。次に、取り出したシート試料に対して上記同様にヘーズ値を測定し、加熱後ヘーズ値を得た。そして、下記式により加熱前後のヘーズ変化率「%」を算出した。
ヘーズ値の変化率=(加熱前ヘーズ値−加熱後ヘーズ値)
(3−3)加熱試験による耐クラック性
上記(3−1)と同様に、得られたシート試料を150℃のオーブンに投入し、2時間後に取り出し、この取り出したシート試料の被膜12側を顕微鏡(200倍)で観察する。その結果、クラックを透過と反射の双方で確認できなかったものを「○」、クラックを透過では確認できないが反射では確認できたものを「△」、クラックを透過と反射の双方で確認できたものを「×」として評価した。
(4)耐熱耐湿性
上記(3−1)と同様に、得られたシート試料を150℃の環境に2時間放置した後、60℃、95%RHの環境(恒温恒湿器)に500時間放置する。そして、上記(3−1)と同様に、シート試料の被膜12側を顕微鏡(200倍)で観察して同様の評価を行った。
Figure 0005322675
表1の結果から以下の事項が理解される。まず、被膜12にチタンキレート化合物を所定量で含有させても、被膜12の厚みが薄すぎると(実験例16)、被膜12を形成する効果が得られず、被膜12の表面にオリゴマーが析出する。このオリゴマーが析出することに起因してヘーズ変化率が増大する。
次に、被膜12にチタンキレート化合物を所定量で含有させても、被膜12の厚みが厚すぎると(実験例22)、加熱によって被膜12にクラックを生じ、クラックの隙間からオリゴマーが被膜12の表面に析出する。これに起因してヘーズ変化率が増大する。耐熱耐湿性が悪化する。
次に、被膜12の厚みが所定範囲であっても、被膜12へのチタンキレート化合物の配合量が多すぎると(実験例8)、加熱によりオリゴマーの析出防止性が低下し、被膜12の表面にオリゴマーが析出する傾向にある。このオリゴマーが析出することに起因してヘーズ変化率が増大する。なお、加熱によって被膜12にクラックを生じることはなかったが、未反応物の副反応により硬さが低下し、実用性のないものとなった。また、耐熱耐湿性試験後は、オリゴマーの析出が確認された。
次に、被膜12の厚みが所定範囲であっても、被膜12にチタンキレート化合物を配合しないと(実験例9)、実験例22における場合と同様に、加熱によって被膜12にクラックを生じ、クラックの隙間からオリゴマーが被膜12の表面に析出する。これに起因してヘーズ変化率が増大する。耐熱耐湿性が悪化する。
次に、無機被膜で構成される被膜12に代え、有機被膜を形成した場合(実験例24)、厚みが厚いことに起因して(1000nm)、折り曲げ試験による耐クラック性と耐ブロッキング性が悪化する。
これに対し、被膜12にチタンキレート化合物を所定量で含有させるとともに、被膜12を所定範囲の厚みで形成すると(実験例1〜7,12〜15,16−1,17〜21)、いずれの特性についても良好な結果が得られている。
また、被膜12に含有させる有機金属化合物としての金属キレート化合物をチタンキレート化合物からアルミニウムキレート化合物へ変更しても(実験例23)、上記実験例1〜7などと同様に、いずれの特性についても良好な結果が得られている。
さらに、被膜12に含有させる有機金属化合物を複数併用しても(実験例10,11)、上記実験例1〜7などと同様に、いずれの特性についても良好な結果が得られている。
なお、フィルム基材11として、厚さ125μmのPETフィルム(OFW、帝人社製、易接着層あり)、厚さ125μmのPETフィルム(A4350、東洋紡社製、易接着層あり)、厚さ125μmのPETフィルム(O300E、三菱化学ポリエステルフィルム社製、易接着層あり)、厚さ125μmのPETフィルム(KDL8W、帝人社製、易接着層あり)についても、上述した実験例1〜24と同様に被膜12を形成し、同様の評価を行ったところ、同様の傾向があることが確認できた。
また、TA−25とTC−200の比率を7:3や、9:1に変更しても、実験例10,11と同様、いずれの特性についても良好な結果が得られた。
《実験例25》
実験例3で得られたシート試料のハードコート層の上に、波長550nmの付近で最小反射率となるように厚さ約0.1μmの反射防止層(屈折率:1.36)を形成した。次に、シート試料の被膜12形成面に、厚み約20nmのITO膜をスパッタリング法で形成した。
このようにして得られた第1積層体試料で、図4に示す上電極基板52を構成した。
次に、図4に示す下電極基板54としての第2積層体試料を、厚み1mm強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITO膜をスパッタリング法で形成した後、これを4型の大きさ(縦87.3mm×横64.0mmの長方形)に切り取ることにより作製した。
次に、第2積層体試料のITO膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化性樹脂(DotCureTR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサ58を1mmの間隔で配列させた。
次に、両試料のITO膜が所定のギャップを隔てて対向するように、第1積層体試料と、スペーサ58を配列させた第2積層体試料とを配置し、厚み30μm、幅3mm両面接着テープで縁を接着し、図4に示すタッチパネル5に相当するタッチパネル試料を作製した。なお、この実験例では、両試料の接着部分がタッチパネル試料の表示面の領域外となるようにした。
作製したタッチパネル試料は、良好に操作をすることができることが確認できた。
10…シート、11…フィルム基材、12…被膜、20…積層体、22…第1機能層(機能層)、24…第2機能層(機能層)、5…タッチパネル、52…上電極基板(第1の電極基板)、522…上透明基板(第1の透明基板)、524…上透明導電膜(第1の透明導電膜)、54…下電極基板(第2の電極基板)、542…下透明基板(第2の透明基板)、544…下透明導電膜(第2の透明導電膜)、56,58…スペーサ、7…接着層、9…表示素子。

Claims (14)

  1. フィルム基材の表面に、厚みが15nm以上120nm以下の被膜を有する光学部品のベース用シートであって、
    前記被膜は、硬化性組成物の硬化物で構成されており、
    前記硬化性組成物は、100重量部の金属酸化物ゾルに対して、有機金属化合物を、金属成分換算で、0.04モル以上0.5モル以下となる重量で含有することを特徴とするシート。
  2. フィルム基材の表面に、厚みが15nm以上120nm以下の被膜を有する光学部品のベース用シートであって、
    前記被膜は、硬化性組成物の硬化物で構成されており、
    前記硬化性組成物は、100重量部の金属酸化物ゾルに対して、有機チタン化合物を、チタン換算で、2重量部以上25重量部以下となる重量で含有することを特徴とするシート。
  3. 請求項記載のシートにおいて、前記有機金属化合物は、金属キレート化合物、金属アルコキシド及び金属アシレートを含む群から選択される1種以上を含むことを特徴とするシート。
  4. 請求項3記載のシートにおいて、前記金属キレート化合物はチタンキレートを含み、前記金属アルコキシドはチタンアルコキシドを含み、前記金属アシレートはチタンアシレートを含むことを特徴とするシート。
  5. 請求項記載のシートにおいて、前記有機金属化合物は、有機チタン化合物を含むことを特徴とするシート。
  6. 請求項2又は5記載のシートにおいて、前記有機チタン化合物は、チタンキレート、チタンアルコキシド及びチタンアシレートを含む群から選択される1種以上を含むことを特徴とするシート。
  7. 請求項4又は5記載のシートにおいて、前記硬化性組成物は、100重量部の前記金属酸化物ゾルに対して、チタンを、2〜25重量部含有することを特徴とするシート。
  8. 請求項1〜7の何れか一項記載のシートにおいて、前記金属酸化物ゾルは、酸化ケイ素ゾルを含むことを特徴とするシート。
  9. 光学部品がタッチパネルである請求項1〜8の何れか一項記載のシート。
  10. タッチパネルの可動側電極基板に使用する、請求項1〜8の何れか一項記載のシート。
  11. 請求項1〜10の何れか一項記載のシートの表面に機能層を有する積層体。
  12. 請求項11記載の積層体において、前記機能層は、前記シートの前記被膜側に積層された粘着層を含むことを特徴とする積層体。
  13. 請求項11記載の積層体において、前記機能層が、前記シートの前記被膜とは反対側に積層されたハードコート層を含むことを特徴とする積層体。
  14. 第1の透明導電膜が第1の透明基板に形成された第1の電極基板と、
    第2の透明導電膜が前記第1の透明導電膜と所定の間隙を空けて対向するように第2の透明基板に形成された第2の電極基板とを、有するタッチパネルであって、
    前記第1の透明基板及び前記第2の透明基板のうち何れか一方の可動側電極基板が、請求項12又は13記載の積層体を含むことを特徴とするタッチパネル。
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