JP2014213596A - 樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い表面硬度を有していると共に、高透明性を有する樹脂積層体を提供する。【解決手段】多官能(メタ)アクリル単量体を必須成分とする硬化型樹脂組成物から形成され、三次元架橋構造を有して25μm以上250μm以下の厚みを有する硬質樹脂層と、熱可塑性樹脂の単層または2以上の複数層からなる基材層とを有する樹脂積層体であって、前記硬質樹脂層は、単独での引っ張り弾性率が2,000〜4,000メガパスカルであると共に、全光線透過率が90%以上であり、また、基材層の合計厚みt1と硬質樹脂層の厚みt2の比(t1/t2)が0.25以上10以下であり、樹脂積層体の引っ掻き硬度が40g以上である樹脂積層体である。【選択図】図1
Description
本発明は、優れた表面硬度、透明性、及び成形加工性を有する樹脂積層体に関し、特に透明多層シートとしてディスプレイ面板に好適な樹脂積層体に関する。
デジタルカメラや携帯電話等の電子機器においては、液晶ディスプレイ等の基板として、又は液晶ディスプレイ等の表面をキズや汚れ等から守るための保護板等として、アクリルやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂で作られた積層体が用いられている。これらの積層体を形成する樹脂は、光学特性に優れ且つガラスに比べ割れにくいという特性を有していることから、近年、従来はガラスが使用されていた分野にも広く使用されるようになってきている。しかしながら、アクリルやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂はガラスに比べて表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性に劣り、傷つきやすいという欠点がある。
この欠点を解消するため、従来から樹脂積層体の表面改質に関する検討がなされてきた。例えば、熱硬化型樹脂や、紫外線硬化型の樹脂を基材表面にコーティングすることが広く実施されている。これらのコーティングが施された樹脂積層体においては、耐摩耗性、耐擦傷性においてはある程度の改善がみられるものの、表面硬度に関しては不十分であり、ガラスに比べ表面硬度が低く、実用上大きな問題がある。
透明プラスチック材料について表面硬度をさらに向上するためのコーティングの技術としては、例えば、ハードコート層に高硬度のフィラーを混入することで、表面硬度を向上させる試みがなされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。また、類似の方法として、ハードコート層の膜厚を大きめにし、発生する応力を緩和するために無機及び/又は有機架橋粒子を混入したり、該粒子の表面に官能基を導入して、ハードコート層の樹脂と部分的に架橋させる、いわゆる有機無機ハイブリッドの手法が検討されている(特許文献4、特許文献5参照)。さらには、ハードコート層を多層化し、コート全体の厚さを大きくすることで、より高い表面硬度を得ようとする試みがなされている(特許文献6参照)。
しかしながら、これらの方法の具体例として示されたものは、基材としてポリカーボネート樹脂よりも元々鉛筆硬度が高いポリエチレンテレフタレートフィルムやセルローストリアセテートフィルムを用いて鉛筆硬度を4Hから6Hまで達成し、その効果を実証してはいるものの、薄いハードコート層だけでは鉛筆硬度を達成することができないために硬い下地層や無機材料の補助的機能が必須である。そのため、これらの下地層や無機材料は透明性を阻害する要因となり、液晶ディスプレイのような表示装置用としては不適である。
また、鉛筆硬度が低い樹脂であるポリカーボネート樹脂を用いて2官能ウレタンアクリレート、多官能オリゴマー、多官能モノマー、単官能モノマーを含有し特定の官能基数をもった紫外線硬化型樹脂よりなる塗膜を、特定の膜厚でポリカーボネート樹脂基材上に2層に形成する試みがなされているが、この技術において鉛筆硬度は最大で4Hであり十分ではない(特許文献7参照)。
更に、上記特許文献7はJIS K 5600‐5−4に準じて鉛筆法による引っ掻き硬度による評価をしているが、熱可塑性樹脂層上にハードコート層や硬質樹脂層を積層したものは熱可塑性樹脂と硬質樹脂層の性質や厚みにより、下層である熱可塑性樹脂の影響を受け、へこみによる塑性変形や弾性変形が生じ、一見して表面がへこんだだけなのか引掻きによる傷痕かの判別が難しい。また、硬質樹脂層の材質によっては本来想定していないへこみによる変形よって割れが発生することがあり、鉛筆硬度のみによる測定では正しい表面硬度は測定が難しい。更には、前記のように液晶ディスプレイ等の保護板等の用途に用いた場合、日常生活においてはより固い金属や鉱物等によるキズに対する保護を考慮する必要があるため、金属や鉱物に比べて柔らかい鉛筆法による判定では、実際の日常生活における耐摩耗性、耐擦傷性とは乖離している恐れが大いにある。
本発明は、上記従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、高い表面硬度を有していると共に、高透明性を有する樹脂積層体を提供するものである。
本発明者らは、表面硬度に優れながらも、高い透明性を有する樹脂積層体を得るために鋭意検討した結果、所定の硬化性樹脂組成物からなる硬質樹脂層と熱可塑性樹脂からなる基材層とを備えた樹脂積層体とすることで、これらを同時に達成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、多官能(メタ)アクリル単量体を必須成分とする硬化型樹脂組成物から形成され、三次元架橋構造を有して25μm以上250μm以下の厚みを有する硬質樹脂層と、熱可塑性樹脂の単層または2以上の複数層からなる基材層とを有する樹脂積層体であって、前記硬質樹脂層は、単独での引っ張り弾性率が2,000〜4,000メガパスカルであると共に、全光線透過率が90%以上であり、また、基材層の合計厚みt1と硬質樹脂層の厚みt2の比(t1/t2)が0.25以上10以下であり、樹脂積層体の引っ掻き硬度が40g以上であることを特徴とする樹脂積層体である。
ここで、本発明における樹脂積層体の硬度の評価は、ISO 1518−2に準じた評価方法による引っ掻き硬度である。この方法は変動負荷法による評価方法であるため、上層である硬質樹脂層と下層の熱可塑性樹脂全体の性質は厚みの影響を受けることなく、積層体としての評価のバラツキもなく硬度の評価が可能である。
本発明において、好ましくは、硬質樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリル単量体の官能基数が4以上であるものが硬化性樹脂組成物の固形分100gあたり40g以上の割合で含まれるのがよい。
また、本発明において、好ましくは、硬質樹脂層と基材層とが、接着層を介して積層されているのがよい。この接着層については、粘着性接着剤、感圧性接着剤、光硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、及びホットメルト接着剤からなる群から選ばれたいずれか1種又は2種以上であるのが好適である。また、硬質樹脂層と熱可塑性樹脂層とが、易接着層を介して積層されているようにしてもよい。更に、本発明においては、硬質樹脂層が、基材層の表裏両面に備えられているようにしてもよい。
また、本発明においては、硬質樹脂層を形成する硬化型樹脂組成物に含まれた多官能(メタ)アクリル単量体が、かご型シルセスキオキサン構造を有するものであるのが好ましい。より好ましくは、かご型シルセスキオキサン構造を有する多官能(メタ)アクリル単量体が、下記式(1)
(R1SiO3/2)n(R2R3SiO2/2)m(R4R5R6SiO1/2)l (1)
(式中R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニル基、又はオキシラン環を有する基であり、それぞれ同一の基であっても異なった基を含んでもよいが、式中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有し、また、n、m、lは平均値であって、nは6〜14の数であり、mは0〜4の数であり、lは0〜4の数を示し、かつm≦lを満たす)で表されるものであるのがよい。
(R1SiO3/2)n(R2R3SiO2/2)m(R4R5R6SiO1/2)l (1)
(式中R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニル基、又はオキシラン環を有する基であり、それぞれ同一の基であっても異なった基を含んでもよいが、式中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有し、また、n、m、lは平均値であって、nは6〜14の数であり、mは0〜4の数であり、lは0〜4の数を示し、かつm≦lを満たす)で表されるものであるのがよい。
本発明の樹脂積層体は、透明性を維持したまま高い表面硬度を有することができる。しかも、衝撃や曲げに対して十分な耐性を有する樹脂積層体とすることができるため、成形や切削、打ち抜き等の加工性優れ、ディスプレイ面版やデザイン性にすぐれた筐体等として使用することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
<硬質樹脂層>
本発明の樹脂積層体における硬質樹脂層を形成する硬化型樹脂組成物は、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートを含有するものであれば良く、特に制限はない。すなわち、上記多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート又は三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の樹脂積層体における硬質樹脂層を形成する硬化型樹脂組成物は、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートを含有するものであれば良く、特に制限はない。すなわち、上記多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート又は三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
このうち、二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、三官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ
)アクリレート、カルボン酸変性ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
)アクリレート、カルボン酸変性ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、硬化型樹脂組成物については、多官能(メタ)アクリル単量体として、硬化性かご型シルセスキオキサン構造を有する化合物が含まれることが好ましい。
さらに、上記硬化性かご型シルセスキオキサン構造を有する化合物は、下記一般式(1)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含有させるのがより好ましい。
(R1SiO3/2)n(R2R3SiO2/2)m(R4R5R6SiO1/2)l (1)
(式中R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニル基、オキシラン環を有する基であり、それぞれ同一の基であっても異なった基を含んでもよいが式(1)中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有し、n、m、lは平均値であって、nは6〜14の数であり、mは0〜4の数であり、lは0〜4の数を示し、かつm≦lを満たす)
(R1SiO3/2)n(R2R3SiO2/2)m(R4R5R6SiO1/2)l (1)
(式中R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニル基、オキシラン環を有する基であり、それぞれ同一の基であっても異なった基を含んでもよいが式(1)中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有し、n、m、lは平均値であって、nは6〜14の数であり、mは0〜4の数であり、lは0〜4の数を示し、かつm≦lを満たす)
上記かご型シルセスキオキサン樹脂は、かごを構成するケイ素原子全てに(メタ)アクリル基を有する有機官能基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基からなる反応性官能基を有して、分子量分布及び分子構造の制御された籠型シルセスキオキサン樹脂であるのが好ましいが、一部がアルキル基、フェニル基等に置き換わっていても差し支えなく、また、完全に閉じた多面体構造ではなく、一部が開裂したような構造であってもよい。一部か開裂した構造の場合、連結されるシリコーン鎖に(メタ)アクリル基を有していてもよい。
本発明で使用される硬化型樹脂組成物からなる硬質樹脂層は、厚みは25μm以上250μm以下であることが必要である。厚みが25μm未満では十分な引っ掻き硬度が得られず、厚みが250μmを超えると全光線透過率が低下し、ディスプレイ等に必要な透明性が得られないという問題がある。
また、本発明で使用される硬質樹脂層の単体での引っ張り弾性率が2,000〜4,000メガパスカルである。引っ張り弾性率が2,000メガパスカル未満であると樹脂積層体の引っ掻き硬度が40g未満となり、4,000メガパスカルを超えると成形や切削、打ち抜き等の加工性が困難になるという問題がある。更に、本発明で使用される硬質樹脂層は、ディスプレイ面板に好適であることなどから、その全光線透過率は90%以上である必要がある。
また、上記硬質樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物である(メタ)アクリル単量体の官能基数が4以上であるものが、硬化性樹脂組成物の固形分100gあたり40g以上の割合で含まれることが好ましい。(メタ)アクリル単量体の官能基数が4以上であるものが40gより少ないと厚みが25μm以上でも十分な引っ掻き硬度が得られないという問題がある。
また、硬化型樹脂組成物については、樹脂積層体として十分な引っ掻き硬度を得ると共に、切削、打ち抜きなどの機械的加工を良好にするなどの観点から、好ましくは、硬化性樹脂組成物の固形分100gあたりの(メタ)アクリル基のモル数が0.6〜0.9の範囲であるのがよい。ここで、硬化性樹脂組成物の固形分100gあたりの(メタ)アクリル基のモル数は以下の式で算出される。
(100gあたりの(メタ)アクリル基のモル数)=(100/分子量)×1分子中の(メタ)アクリル基の数
なお、硬化型樹脂組成物として複数種の多官能(メタ)アクリル単量体を用いた場合は、配合割合に応じて算出した平均の(メタ)アクリル基のモル数を用い、シリカ等の充填剤を配合した場合はその重量も含めた上で(メタ)アクリル基のモル数の平均値を算出する。
(100gあたりの(メタ)アクリル基のモル数)=(100/分子量)×1分子中の(メタ)アクリル基の数
なお、硬化型樹脂組成物として複数種の多官能(メタ)アクリル単量体を用いた場合は、配合割合に応じて算出した平均の(メタ)アクリル基のモル数を用い、シリカ等の充填剤を配合した場合はその重量も含めた上で(メタ)アクリル基のモル数の平均値を算出する。
また、硬化型樹脂組成物からなる硬質樹脂層は、硬化性樹脂組成物の固形分100gあたりの(メタ)アクリル基のモル数が0.6〜0.9の範囲から逸脱しない範囲で単官能性(メタ)アクリレートと組み合わせたものとすることができる。ただし、単官能(メタ)アクリレートを一定量以上配合すると、表面硬度が低下する傾向となるため、粘度調整等の目的で配合する場合も最低限にとどめることが望ましく、硬化型樹脂組成物に対して30重量%以下であることが好ましい。
ここで、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコデシルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアルキルアクリレート類、アクリロイルモルホリン、シクロへキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、2−ヒドロキシアルキルアクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、上記の水酸基含有アクリル酸エステル系化合物にε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート等のグリシジル基含有化合物とアクリル酸との付加反応により得られる化合物、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(2−イソブチル−2−メチル−1,3ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート等が挙げられる。
本発明で使用される硬化型樹脂組成物はこれをラジカル共重合することにより、(メタ)アクリル樹脂共重合体を得ることができる。(メタ)アクリル樹脂共重合体の物性を改良するため又はラジカル共重合を促進するためなどの目的で、本発明の硬化型樹脂組成物に種々の添加剤を配合することができる。反応を促進する添加剤として熱重合開始剤、熱重合促進剤、光重合開始剤、光開始助剤、鋭感剤等を例示することができる。光重合開始剤又は熱重合開始剤を配合する場合、その添加量は硬化型樹脂組成物の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲とすることがよく、0.1〜3重量部の範囲とすることが更に好ましい。この添加量が0.1重量部に満たないと硬化が不十分となり、得られる硬質樹脂層の強度、剛性が低くなり、一方、5重量部を超えると硬質樹脂層の着色等の問題が生じるおそれがある。
硬化型樹脂組成物を光硬化性組成物とする場合に用いられる光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系、アシルホスフィンオキサイド系等の化合物を好適に使用することができる。より具体的には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンを例示することができ、これらは一種単独で用いるほか、二種以上を併用することができる。
本発明で使用される硬化型樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤を配合して加熱又は光照射によって硬化させることで平面や曲面など任意の形状で硬質樹脂層を製造することができる。加熱によって任意の形状の硬質樹脂層を製造する場合、その成形温度は、熱重合開始剤と促進剤の選択により、室温から200℃前後までの広い範囲から選択することができる。この場合、金型内やスチールベルト上で重合硬化させることで所望の形状の硬質樹脂層を得ることができる。
また、光照射によって硬質樹脂層を製造する場合、波長10〜400nmの紫外線や波長400〜700nmの可視光線を照射することで得ることができる。用いる光の波長は特に制限されるものではないが、特に波長200〜400nmの近紫外線が好適に用いられる。紫外線発生源として用いられるランプとしては、低圧水銀ランプ(出力:0.4〜4W/cm)、高圧水銀ランプ(40〜160W/cm)、超高圧水銀ランプ(173〜435W/cm)、メタルハライドランプ(80〜160W/cm)、パルスキセノンランプ(80〜120W/cm)、無電極放電ランプ(80〜120W/cm)等を例示することができる。これらの紫外線ランプは、各々その分光分布に特徴があるため、使用する光開始剤の種類に応じて選定される。
光照射によって本発明で使用される任意の形状の硬質樹脂層を得る方法としては、例えば任意のキャビティ形状を有し、石英ガラス等の透明素材で構成された金型内に硬化性樹脂組成物を注入し、上記の紫外線ランプで紫外線を照射して重合硬化を行い、金型から脱型させることで所望の形状の硬質樹脂層を製造する方法や、金型を用いない場合には、例えば移動するスチールベルト上にドクターブレードやロール状のコーターを用いて本発明の硬化型樹脂組成物を塗布し、上記の紫外線ランプで重合硬化させることで、シート状の硬質樹脂層を製造する方法等を例示することができる。
<基材層>
本発明における基材層としては、透明性に優れることが望ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。これらのフィルムは無延伸のものも、延伸加工を施したものも使用可能であるが、これらのうち耐熱性、透明性、耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性、加工性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)が特に好ましい。
本発明における基材層としては、透明性に優れることが望ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。これらのフィルムは無延伸のものも、延伸加工を施したものも使用可能であるが、これらのうち耐熱性、透明性、耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性、加工性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)が特に好ましい。
基材層は、本発明の樹脂積層体に剛性を付与し、衝撃や曲げに対して十分な耐性を与える。例えば、本発明における硬質樹脂層が、かご型シルセスキオキサン構造を有する多官能(メタ)アクリル単量体を含んだ硬化型樹脂組成物から形成されると、好適には引っ掻き強度が40g以上の高い表面硬度を備えることができるが、透明性を確保するために硬質樹脂層の厚みを250μm以下にすると、耐衝撃性が不十分になってしまう。そのため本発明においては、基材層によって衝撃や曲げ等に対する十分な耐性を備えるようにする。この基材層については、その総厚みが0.5〜2000μm、好ましくは10〜1000μmであるのがよい。0.5μm未満では十分な剛性が得られず、2000μmを超えると成形や切削、打ち抜き等の加工が困難となる。また、本発明では基材層の合計厚みt1と硬質樹脂層の厚みt2の比(t1/t2)は0.25以上10以下である。この厚みの比が0.25未満であると成形や切削、打ち抜き等の加工性が困難になるという問題があり、10を超えると引っ掻き硬度が40g未満になるという問題がある。
<接着層>
本発明に係る樹脂積層体は、硬質樹脂層と基材層とをフィルム、シート状いずれかのバインダー層(接着層)により積層することができる。
本発明に係る樹脂積層体は、硬質樹脂層と基材層とをフィルム、シート状いずれかのバインダー層(接着層)により積層することができる。
バインダー層としては、その厚みが0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μmであるのがよい。0.01μm未満では十分な接着効果を得ることが難しく、30μm以上では積層体の引っ掻き硬度が十分得られなくなるおそれがある。
また、接着層としてのバインダー層を構成するものとしては、粘着性接着剤、感圧性接着剤、光硬化性接着剤、熱硬化性接着剤及びホットメルト接着剤を用いることもできる。このようなものとしてアクリル接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィン接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体) 接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン接着剤、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤、などを挙げられるが、接着性、透明性、加工性が良好であれば特に限定されるものではない。
<易接着層>
また、バインダー層を構成する別のものとしては、易接着層が挙げられる。易接着層は難接着性である樹脂の表面において化学的易接着能もしくは物理的易接着能を施す処理がされた層である。このうち、化学的易接着能とは、詳しくは基材層上に官能基を有する樹脂の薄膜層を形成し、硬質樹脂層と化学的結合を形成することで密着力を得るものであり、一方の物理的易接着能とは、基材層上に凹凸を有する樹脂薄膜層又は無機薄膜層を形成することで、アンカー効果により硬質樹脂層との密着力を得るものである。化学的易接着能を有する材料としては、多官能(メタ)アクリレート類、エポキシ類、チオール基含有化合物等が挙げられ、物理的易接着能を有する材料としては、SiO2、SiN、SiC等の蒸着膜等が挙げられる。
また、バインダー層を構成する別のものとしては、易接着層が挙げられる。易接着層は難接着性である樹脂の表面において化学的易接着能もしくは物理的易接着能を施す処理がされた層である。このうち、化学的易接着能とは、詳しくは基材層上に官能基を有する樹脂の薄膜層を形成し、硬質樹脂層と化学的結合を形成することで密着力を得るものであり、一方の物理的易接着能とは、基材層上に凹凸を有する樹脂薄膜層又は無機薄膜層を形成することで、アンカー効果により硬質樹脂層との密着力を得るものである。化学的易接着能を有する材料としては、多官能(メタ)アクリレート類、エポキシ類、チオール基含有化合物等が挙げられ、物理的易接着能を有する材料としては、SiO2、SiN、SiC等の蒸着膜等が挙げられる。
図1には、本発明における樹脂積層体の第1の態様が示されている。図1に示した樹脂積層体は、熱可塑性樹脂からなる基材層3の両面にバインダー層2を挟み、その上下両面に硬質樹脂層1が積層されている。また、この第1の形態に係る樹脂積層体では、片側の硬質樹脂層1に印刷層4が形成された構造を有している。ここで、バインダー層2は、硬質樹脂層1と基材層3とを一体化せしめるための接着層として機能している。また、本発明に係る樹脂積層体の下面に印刷層4を形成することにより模様、文字等を構成することができる。印刷層4の印刷柄としては任意に選択することができ、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、全面ベタ、メタリック等の絵柄が挙げられる。なお、ここにおけるバインダー層2は前記接着層又は易接着層のいずれであってもよい。
印刷層4には硬質樹脂層や基材層との相性がよい樹脂成分が配合されていることが好ましく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂及び塩素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。このような樹脂成分を配合することで、印刷の剥離や脱落を抑制することができる。
また、印刷層4の形成に際しては、適切な色の顔料又は染料を含有する着色剤を用いることができる。
印刷層4の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法、ロールコート法、スプレーコート法等のコート法及びフレキソグラフ印刷法が挙げられる。
印刷層4の厚さとしては、樹脂積層体において所望の表面外観が得られるように適宜厚さを選択すれば良く、通常、0.5〜30μm程度である。
また、本発明の樹脂積層体は、第2、第3の実施態様として図2、図3に示す構造を例示することができる。
図2に示される第2の実施態様においては、基材層3bの上面に印刷層4を形成し、その印刷層4側上部と印刷層4が形成されていない側にそれぞれ感圧性接着剤層5を挟み、印刷層4側に硬質樹脂層1を、また、印刷層4が形成されていない側に基材層3を形成する。
図2において、使用される基材層3bとしては、透明性である限り特に限定されないがポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
また、図3に示される第3の実施態様においては、基材層3の上面にバインダー層2を介して硬質樹脂層1を形成し、また、基材層3の下面に印刷層4を形成し、その下部に感圧性接着剤層5を介して第2の基材層3を形成する。
図2及び図3の実施態様において用いた感圧性接着剤層5は、公知の感圧性接着剤を用いることができる。具体的には、例えば、天然ゴム系樹脂、合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等の粘着剤を用いることができる。
上記接着剤は、必要な光透過性、粘着性、耐候性を得ることができればこれに限定されるものではない。また、層構成によっては、色素の劣化を防止するために、紫外線を吸収する効果のあるUV吸収剤(ベンゾトリアゾールなど)を粘着剤に含めることが望ましい。
感圧性接着剤層5としては、その平均厚みが0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μmであるのがよい。0.01μm未満では十分な接着強度を得ることができず、また印刷層の凹凸を吸収して平坦化する効果も低下する。また、30μm超では積層体の引っ掻き硬度を低下させてしまう要因になるおそれがある。
本発明の実施態様図1、3おいては、樹脂積層体の状態で熱成形により三次元的形状を付与することができる。図1、3における基材層3は熱により成形可能であり、硬質樹脂層1は十分な柔軟性を有するため基材層3の形状に追従してバインダー層2を介して一体成型品とすることができる。熱形成としては真空成形、圧空成形、プレス成形等が挙げられる。
また、本発明の実施態様図2に示す樹脂積層体のような層構成の場合、あらかじめ別々に所定の形状に成形したAパーツ(硬質樹脂層1、感圧性接着剤層5、印刷層4、基材層3b)とBパーツ(感圧性接着剤層5、基材層3)とを、感圧成接着材層5を介して貼り合わせてもよいし、また、Bパーツを構成する基材層3は、あらかじめAパーツに感圧接着剤層5形成したものを所望の形状の金型内に装填したのち、射出成型によって射出成型用樹脂として注入することで形成してもよい。
なお、実施態様図1〜3にはそれぞれ印刷層4が形成されているが、印刷層4は省略することもできるし、また、積層体製造プロセスに合わせて任意の層間に任意の印刷方法で形成すればよい。
基材層3を射出成形する場合、射出成型用の熱可塑性樹脂としては、透明性を有するものが望ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができるが、耐熱性、透明性、耐候性、耐溶剤性、剛度、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート、もしくはポリカーボネートを用いることが好ましく、耐衝撃性の観点から、ポリカーボネートが特に好ましい。
ここで本発明の硬度の評価方法について説明する。ISO 1518−2には先端の形状が鋭角の圧子を用いた変動荷重法による引っ掻き硬度測定方法が開示されている。この方法は荷重をかけて試料の表面に圧子を押圧したまま試料を移動させ、圧子による傷痕が観察されたときの荷重から下記に示される式を用いて硬度Fc(g)を評価する方法である。
Fc={(100−d)/100}×(Ff−Fi)
d:測定開始点から終点までの距離が100mmのときの傷の付き始めから終点までの距離(mm)
Ff:終点での荷重(g)
Fi:測定開始点での荷重(g)
Fc={(100−d)/100}×(Ff−Fi)
d:測定開始点から終点までの距離が100mmのときの傷の付き始めから終点までの距離(mm)
Ff:終点での荷重(g)
Fi:測定開始点での荷重(g)
本発明の発明者らはこの方法を用いて種々の材料について硬度評価を実施したところ、鉛筆硬度では判定できなかった傷の付き難さをより正確判定できることを見出し、そのときの材料の特性について考察した。すなわち変動荷重法による引っ掻き硬度が40g以上であることが好ましい範囲である。この範囲より値が小さいと少ない荷重で簡単に傷が付きやすいため好ましくない。なお、引っ掻き硬度の値が極端に大きい場合について補足説明すると、大きい荷重をかけても傷がつかないということは加工の困難さを示すことと同義であるので好ましくない。また、硬質樹脂層が荷重によって撓む性質を有する場合にも引っ掻き硬度の値が大きくなる場合があるが、傷痕が付かなくても、へこみ跡が残ったり、質感が低下するので好ましくない。なお、変動荷重法による引掻き硬さを測定するときの荷重は特に制限は無いが、測定開始点においておよそ0〜数百g、終点において数十〜数百gの範囲で測定を行うのが良い。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明で用いた評価方法及び記号は以下のとおりである。
1)引っ掻き硬度:ISO 1518−2(塗料及びワニス−引っかき抵抗の測定−第2部:変動負荷法)に準じて先端のRが0.03±0.005mmのサファイア針を用いて、針の移動速度10mm/s、荷重を0〜200gの範囲で増やしてゆき、顕微鏡観察により傷が目視できたときの荷重から評価した。
2)全光線透過率:JIS K 7361−1に準じて測定した。
3)膜厚:(株)ミツトヨ製ID−SXを用いて測定した。
4)引張り弾性率:JIS7127に準じて測定した。
5)加工性:ルーター加工機(メガロテクニカ社製)にルーター刃(内山刃物製、刃径2mm、直刃)を取り付け、実施例で得られた樹脂積層体を回転数20,000rpm、送り速度900mm/分の加工条件で切削加工を行い、切断面の顕微鏡観察を行い切断面に欠け(チッピング)が観察されたものを×、観察されなかったものを○とした。
2)全光線透過率:JIS K 7361−1に準じて測定した。
3)膜厚:(株)ミツトヨ製ID−SXを用いて測定した。
4)引張り弾性率:JIS7127に準じて測定した。
5)加工性:ルーター加工機(メガロテクニカ社製)にルーター刃(内山刃物製、刃径2mm、直刃)を取り付け、実施例で得られた樹脂積層体を回転数20,000rpm、送り速度900mm/分の加工条件で切削加工を行い、切断面の顕微鏡観察を行い切断面に欠け(チッピング)が観察されたものを×、観察されなかったものを○とした。
[実施例1]
(硬質樹脂層の作成)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:85重量部、及びPMMA:15重量部を110℃に加熱混錬し、その後、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5重量部を混合して硬化性樹脂組成物を得た。
(硬質樹脂層の作成)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:85重量部、及びPMMA:15重量部を110℃に加熱混錬し、その後、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5重量部を混合して硬化性樹脂組成物を得た。
次に、ロールコーターを用いて、厚さ0.15mmになるように剥離処理されたPET上に硬化性樹脂組成物をキャスト(流延)し、別の剥離処理されたPETをキャストされた硬化性樹脂組成物にラミネートしたのち30W/cmの高圧水銀ランプを用い、4000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、剥離処理されたPETをすべて剥離除去することで所定の厚みとしたシート状の硬質樹脂層を得た。得られた硬質樹脂層について引っ張り弾性率及び全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
(樹脂積層体の作成)
基材層とするポリカーボネート(帝人社製PC−1151、200mm×200mm×厚さ0.5mm(t1))にカチオン系光硬化性接着剤(協立化学産業社製)を5μmの厚みになるように塗布流延した後、上記で得られた硬質樹脂層をポリカーボネートの片面側全面に貼り合せ、圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で両面から照射し、樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体について引っ掻き硬度及び加工性を評価した。このときの硬質樹脂層厚み(t2)、厚み比率(t1/t2)及び引っ掻き硬度の結果を表1に示す。
基材層とするポリカーボネート(帝人社製PC−1151、200mm×200mm×厚さ0.5mm(t1))にカチオン系光硬化性接着剤(協立化学産業社製)を5μmの厚みになるように塗布流延した後、上記で得られた硬質樹脂層をポリカーボネートの片面側全面に貼り合せ、圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で両面から照射し、樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体について引っ掻き硬度及び加工性を評価した。このときの硬質樹脂層厚み(t2)、厚み比率(t1/t2)及び引っ掻き硬度の結果を表1に示す。
[実施例2]
配合組成を表1に示す重量割合とした他は、実施例1と同様にして硬質樹脂層及び樹脂積層体を得た。得られた成形体の評価結果を併せて表1に示す。
配合組成を表1に示す重量割合とした他は、実施例1と同様にして硬質樹脂層及び樹脂積層体を得た。得られた成形体の評価結果を併せて表1に示す。
[合成例1]
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)400mlと塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)を装入した。滴下ロートにIPA150mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製SZ−6030)126.9gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温でMTMSのIPA溶液を30分かけて滴下した。MTMS 滴下終了後、加熱することなく2時間撹拌した。2間撹拌後溶媒を減圧下で溶媒を除去し、トルエン500mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することでメタクリロイル基を全てのケイ素原子上に有した篭型シルセスキオキサン化合物を86g得た。このシルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)400mlと塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)を装入した。滴下ロートにIPA150mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製SZ−6030)126.9gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温でMTMSのIPA溶液を30分かけて滴下した。MTMS 滴下終了後、加熱することなく2時間撹拌した。2間撹拌後溶媒を減圧下で溶媒を除去し、トルエン500mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することでメタクリロイル基を全てのケイ素原子上に有した篭型シルセスキオキサン化合物を86g得た。このシルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
[実施例3]
上記合成例1で得たメタクリロイル基を全てのケイ素原子上に有した篭型シルセスキオキサン化合物:25重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:40重量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:30重量部、ウレタンアクリレートオリゴマー1:5重量部、及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5重量部を混合し、透明な硬化性樹脂組成物を得た。
次に、実施例1と同様にして硬質樹脂層を得たのち、実施例1と同様にして樹脂積層体を作成し評価を行った。結果を表1に示す。
上記合成例1で得たメタクリロイル基を全てのケイ素原子上に有した篭型シルセスキオキサン化合物:25重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:40重量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:30重量部、ウレタンアクリレートオリゴマー1:5重量部、及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5重量部を混合し、透明な硬化性樹脂組成物を得た。
次に、実施例1と同様にして硬質樹脂層を得たのち、実施例1と同様にして樹脂積層体を作成し評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4〜9及び比較例1〜4]
配合組成を表1に示す重量割合とした他は、実施例1と同様にして硬質樹脂層及び樹脂積層体を得た。得られた成形体の評価結果を併せて表1に示す。
配合組成を表1に示す重量割合とした他は、実施例1と同様にして硬質樹脂層及び樹脂積層体を得た。得られた成形体の評価結果を併せて表1に示す。
表中の略号は次のとおりである。
A:合成例1で得られた化合物
B:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製KAYARAD DPHA)
C:トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルTMP)
D:ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートPE−3A)
E:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1(日本化薬(株)製KAYARAD DPCA-20)
F:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2(日本化薬(株)製KAYARAD DPCA-30)
G:ジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートDCP−A)
H:ジシクロペンタニルジメタクリレート(新中村化学(株)製NKエステルDCP)
I:PMMA((株)クラレ製 パラペットLW:重量平均分子量約34000)
J:ウレタンアクリレートオリゴマー1(共栄社化学(株)製UF−503:数平均分子量約8800)
K:ウレタンアクリレートオリゴマー2(新中村化学(株)製NKオリゴUA−122P:数平均分子量約1100)
L:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(重合開始剤、BASFジャパン(株)製IRGACURE184)
A:合成例1で得られた化合物
B:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製KAYARAD DPHA)
C:トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルTMP)
D:ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートPE−3A)
E:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1(日本化薬(株)製KAYARAD DPCA-20)
F:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2(日本化薬(株)製KAYARAD DPCA-30)
G:ジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートDCP−A)
H:ジシクロペンタニルジメタクリレート(新中村化学(株)製NKエステルDCP)
I:PMMA((株)クラレ製 パラペットLW:重量平均分子量約34000)
J:ウレタンアクリレートオリゴマー1(共栄社化学(株)製UF−503:数平均分子量約8800)
K:ウレタンアクリレートオリゴマー2(新中村化学(株)製NKオリゴUA−122P:数平均分子量約1100)
L:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(重合開始剤、BASFジャパン(株)製IRGACURE184)
1:硬質樹脂層
2:バインダー層
3:基材層
3b:基材層
4:印刷層
5:感圧性接着剤層
2:バインダー層
3:基材層
3b:基材層
4:印刷層
5:感圧性接着剤層
Claims (8)
- 多官能(メタ)アクリル単量体を必須成分とする硬化型樹脂組成物から形成され、三次元架橋構造を有して25μm以上250μm以下の厚みを有する硬質樹脂層と、熱可塑性樹脂の単層または2以上の複数層からなる基材層とを有する樹脂積層体であって、前記硬質樹脂層は、単独での引っ張り弾性率が2,000〜4,000メガパスカルであると共に、全光線透過率が90%以上であり、また、基材層の合計厚みt1と硬質樹脂層の厚みt2の比(t1/t2)が0.25以上10以下であり、樹脂積層体の引っ掻き硬度が40g以上であることを特徴とする樹脂積層体。
- 硬質樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリル単量体の官能基数が4以上であるものが、硬化性樹脂組成物の固形分100gあたり40g以上の割合で含まれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層体。
- 硬質樹脂層と基材層とが、接着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
- 接着層が、粘着性接着剤、感圧性接着剤、光硬化性接着剤、熱硬化性接着剤及びホットメルト接着剤からなる群から選ばれたいずれか1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項3に記載の樹脂積層体。
- 硬質樹脂層と熱可塑性樹脂層とが、易接着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
- 硬質樹脂層を形成する硬化型樹脂組成物に含まれた多官能(メタ)アクリル単量体が、かご型シルセスキオキサン構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂積層体。
- かご型シルセスキオキサン構造を有する多官能(メタ)アクリル単量体が、下記式(1)
(R1SiO3/2)n(R2R3SiO2/2)m(R4R5R6SiO1/2)l (1)
(式中R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニル基、又はオキシラン環を有する基であり、それぞれ同一の基であっても異なった基を含んでもよいが、式(1)中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有し、また、n、m、lは平均値であって、nは6〜14の数であり、mは0〜4の数であり、lは0〜4の数を示し、かつm≦lを満たす)で表されることを特徴とする請求項6に記載の樹脂積層体。 - 硬質樹脂層が、基材層の表裏両面に備えられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体。
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