JP7139228B2 - ギア装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ギア装置の製造方法に関する。
下記特許文献1には、位相合わせの必要なギアを有するギア装置が記載されている。具体的には、ギア装置の第1カム付ギア及び第2カム付ギアには、貫通孔が形成されており、組付治具にピンが設けられている。そして、組付治具のピンをシャーシの通し孔内に挿入する。また、第1カム付ギア及び第2カム付ギアをシャーシの板厚方向一方側に配置して、第1カム付ギア及び第2カム付ギアの貫通孔内に、組付治具のピンを嵌入する。これにより、第1カム付ギア及び第2カム付ギアを、位相を合わせた状態でシャーシに組付けることができる。
特開平8-147811号公報
しかしながら、上記特許文献1では、第1カム付ギア及び第2カム付ギアをシャーシの板厚方向に対して同一方向から組付ける方法について記載されているものの、組付方向が互いに反対となる2つのギアをシャーシに組付けることについては考慮されていない。
本発明は、上記事実を考慮して、組付方向が反対となる第1ギア及び第2ギアを、位相を合わせつつ組付けることができるギア装置の製造方法を提供する。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、ギア挿通孔及びピン挿通孔が形成されたプレート部を含んで構成され、前記ギア挿通孔に対して前記プレート部の板厚方向一方側に設けられた第1ギア組付部と、前記プレート部から板厚方向一方側へ突出された筒状の第2ギア組付部と、を有する被組付部材と、前記プレート部の板厚方向を軸方向とすると共に、軸方向に貫通された位置決め孔を有する第1ギアと、前記プレート部の板厚方向を軸方向とした円筒状に形成され、軸方向に延在された位置決め溝が外周部に形成された第2ギアと、を備えたギア装置の製造方法であって、組付治具の第1ピンを前記位置決め孔の内部に挿入して、前記第1ギアを位置決めした状態に前記組付治具にセットする第1工程と、前記組付治具の第2ピンを前記ピン挿通孔の内部に挿入して前記被組付部材を前記組付治具にセットすると共に、前記第1ギアを前記プレート部の板厚方向他方側から前記ギア挿通孔の内部に挿通させて前記第1ギア組付部に組付ける第2工程と、前記第2ギアを前記プレート部の板厚方向一方側に配置して前記第2ギア組付部を第2ギアの内部に挿入させ、前記位置決め溝の内部に前記第2ピンを挿入させて前記第2ギアを位置決めし、前記第2ギアを前記第1ギアに噛合させる第3工程と、を備えたギア装置の製造方法である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1ピンは、径寸法の異なる一対のピンによって構成され、前記第1ギアには、前記第1ピンに対応する径寸法の異なる一対の前記位置決め孔が形成されており、前記第1工程では、前記第1ピンを、対応する前記位置決め孔に挿入させることを特徴とするギア装置の製造方法である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、第1ギアは、前記プレート部の板厚方向を厚み方向とする円板状のギア本体と、前記ギア本体の中心部から前記プレート部の板厚方向一方側へ突出され、先端部にフック部を有する係合軸部と、を含んで構成され、前記第1ギア組付部には、前記フック部が係合され且つ前記係合軸部を回転可能に支持する係合孔が形成されており、前記第2工程では、前記ピン挿通孔の内部に前記第2ピンを挿入させた後に、前記係合軸部を前記係合孔に組付けることを特徴とするギア装置の製造方法である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1ギア組付部には、前記係合孔の径方向外側において、前記プレート部の板厚方向他方側へ突出された円筒状のガイド筒部が形成されており、前記第2工程では、前記係合軸部の前記係合孔への組付前において、前記フック部が、前記ガイド筒部内に挿入され、前記ガイド筒部によってガイドされながら前記ガイド筒部の軸方向に移動することを特徴とするギア装置の製造方法である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記係合軸部の基端部には、前記係合軸部から前記ギア本体の径方向外側へ突出され且つ前記ガイド筒部に回転可能に支持された支持部が形成されており、前記第2工程において、前記支持部を前記ガイド筒部の内部に挿入させることを特徴とするギア装置の製造方法である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記組付治具は、前記被組付部材の外周部を囲むガイド部を有しており、前記第2工程では、前記ガイド部の内側に前記被組付部材を挿入させることを特徴とするギア装置の製造方法ある。
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、組付方向が反対となる第1ギア及び第2ギアを、位相を合わせつつ組付けることができる。
(A)は、本実施の形態に係るギア装置の製造方法が適用されるギア装置の要部を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示される第1ギアのケースへの組付状態を示す断面図(図1(A)の1B-1B線断面図)である。 図1に示されるケースを示す斜視図である。 (A)は、図1に示される第1ギアを示す斜視図であり、(B)は、図1に示される第2ギアを示す斜視図である。 本実施の形態に係るギア装置の製造方法に用いられる組付治具である。 (A)は、本実施の形態に係るギア装置の製造方法の第1工程を示す斜視図であり、(B)は、ギア装置の製造方法の第1工程を示す正面図である。 図5(A)に示される第1位置決めピンが、第1ギアの位置決め孔に挿入された状態を示す斜視図である。 (A)は、本実施の形態に係るギア装置の製造方法の第2工程の初期状態を示す斜視図であり、(B)は、ギア装置の製造方法の第2工程の完了後の状態を示す斜視図である。 図7(B)に示される第2位置決めピンが、ケースのピン挿通孔に挿入された状態を示す斜視図である。 本実施の形態に係るギア装置の製造方法の第3工程の初期状態を示す斜視図である。 図9に示される第2ギアの組付完了後における、第1ギアと第2ギアとの噛合状態を示す断面図である。
以下、初めに、本実施の形態に係るギア装置の製造方法が適用されるギア装置10について説明し、次いで、ギア装置の製造方法に用いられる組付治具50について説明する。
(ギア装置10について)
図1~図3を用いて、ギア装置10について説明する。なお、図1~図3において適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、それぞれギア装置10の装置上側、装置前側、装置右側(幅方向一方側)を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ギア装置10の装置上下方向、装置前後方向、装置左右方向を示すものとする。
ギア装置10は、「被組付部材」としてのケース20と、第1ギア30と、第2ギア40と、を含んで構成されている。以下、ギア装置10の各構成について説明する。
<ケース20について>
図1及び図2に示されるように、ケース20は、樹脂製とされている。ケース20は、下側へ開放された比較的底の浅い略箱状に形成されており、上側から見た平面視で、前後方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。具体的には、ケース20は、上下方向を板厚方向とするプレート部20Aと、プレート部20Aの外周部から下側へ延出された側壁部20Bと、を含んで構成されている。また、平面視において、ケース20の左前の角部は、傾斜しており、側壁部20Bは、当該角部の部位において、左側へ向かうに従い後側へ傾斜された傾斜部20B1を有している。さらに、平面視において、ケース20の左後の角部は、傾斜しており、側壁部20Bは、当該角部の部位において、左側へ向かうに従い前側へ傾斜された傾斜部20B2を有している。
プレート部20Aの前端部には、左側の端部において、後述する第1ギア30が挿通される円形状のギア挿通孔21が貫通形成されている。また、ギア挿通孔21の上側(プレート部20Aの板厚方向一方側)には、後述する第1ギア30を組付けるための第1ギア組付部22が設けられている。この第1ギア組付部22は、前側から見て、下側へ開放された略逆U字形板状に形成されている。具体的には、第1ギア組付部22は、上下方向を板厚方向とし且つ左右方向に延在された頂壁22Aと、頂壁22Aの左右両端部から下側へ延出された側壁22Bと、を含んで構成されている。そして、側壁22Bの先端部(下端部)が、ギア挿通孔21の周縁部に接続されている。
第1ギア組付部22の頂壁22Aには、後述する第1ギア30を回転可能に支持する円形状の係合孔22Cが貫通形成されており、係合孔22Cは、ギア挿通孔21と同軸上に配置されている。また、頂壁22Aには、係合孔22Cの径方向外側において、円筒状のガイド筒部22D(図1(B)参照)が形成されており、ガイド筒部22Dは、係合孔22Cと同軸上に配置されて、頂壁22Aから下側(プレート部20Aの板厚方向他方側)へ突出されている。
プレート部20Aには、ギア挿通孔21の右側の位置において、後述する第2ギア40を回転可能に支持するための第2ギア組付部23が形成されている。第2ギア組付部23は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、プレート部20Aから上側へ突出されている。また、第2ギア組付部23の下端部は、プレート部20Aに対して下側へ突出しており、第2ギア組付部23の下端面が、載置面23A(図9参照)として構成されている。なお、第2ギア組付部23の上端部は、第1ギア組付部22の頂壁22Aよりも上側に配置されている。
第2ギア組付部23の上端部には、複数(本実施の形態では、3箇所)の係合爪部23Bが形成されている。係合爪部23Bは、第2ギア組付部23の周方向に等間隔毎(120度毎)に配置されている。なお、第2ギア組付部23の上端部には、係合爪部23Bの幅方向両側において、スリット23Cが形成されており、スリット23Cは、第2ギア組付部23の径方向に貫通され且つ上側へ開放されている。これにより、係合爪部23Bが第2ギア組付部23の径方向に弾性変形可能に構成されている。また、係合爪部23Bの上端部には、フック23B1が形成されており、フック23B1は、第2ギア組付部23の径方向外側へ突出している。
プレート部20Aには、第2ギア組付部23の径方向外側に隣接した位置において、ギア用溝部24が形成されている。ギア用溝部24は、上側へ開放された溝状に形成され、第2ギア組付部23の周方向に沿って延在されると共に、第2ギア組付部23の周方向全周に亘って形成されている。また、ギア用溝部24の一部が、ギア挿通孔21に連通している。
プレート部20Aには、第2ギア組付部23の右斜め前方において、円形状のピン挿通孔25が貫通形成されている。このピン挿通孔25は、第2ギア組付部23の径方向外側に隣接しており、ピン挿通孔25の略半分が、ギア用溝部24内に配置されている。
<第1ギア30について>
図1及び図3(A)に示されるように、第1ギア30は、樹脂製とされている。第1ギア30は、ギア本体31と回転軸34とを含んで構成されている。
ギア本体31は、上下方向を板厚方向とした円板状に形成されている。ギア本体31の外周部には、複数の外歯によって形成されたギア部31Aが形成されており、ギア部31Aは、ギア本体31の周方向全周に亘って形成されている。
ギア本体31には、左右一対の位置決め孔32L,32Rが貫通形成されている。一対の位置決め孔32L,32Rは、ギア本体31の中心部に対して左側及び右側にそれぞれ配置されて、ギア本体31の周方向に180度離間して配置されている。また、一方(左側)の位置決め孔32Lの内径が、他方(右側)の位置決め孔32Rの内径よりも大きく設定されている。
回転軸34は、上下方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、ギア本体31の中心部から上側及び下側へ延出されている。図6にも示されるように、回転軸34の上部の中心部には、上側へ開放されたスリット35が形成されており、回転軸34の上部(ギア本体31から上側へ突出された部分)が、前後に2分割されている。そして、2分割された回転軸34の上部が、前後一対の係合軸部36によって構成されている。この係合軸部36は、回転軸34の径方向に弾性変形可能に構成されている。係合軸部36の上端部には、フック部36Aが、それぞれ形成されており、フック部36Aは、係合軸部36から回転軸34の径方向外側へ突出されている。
そして、係合軸部36が、ケース20の係合孔22C内に下側(プレート部20Aの板厚方向他方側)から挿入されて、フック部36Aが係合孔22Cの縁部に係合している。これにより、係合軸部36の下側への移動が制限された状態で、係合軸部36が、ケース20の第1ギア組付部22に回転可能に組付けられている(図1(B)参照)。なお、前後方向における、一対の係合軸部36のフック部36A間の距離が、ケース20のガイド筒部22Dの内径よりも僅かに小さく設定されている。このため、係合軸部36をケース20の係合孔22Cに挿入させるときには、係合軸部36がガイド筒部22D内に下側から挿入され、ガイド筒部22Dが一対のフック部36Aをガイドしながら、係合軸部36がガイド筒部22D内を移動するようになっている。
また、係合軸部36の基端部には、係合軸部36の径方向外側へ突出された支持部36Bが形成されており、支持部36Bは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。また、支持部36Bの直径は、ケース20のガイド筒部22Dの内径よりも僅かに小さく設定されている。そして、支持部36Bが、ガイド筒部22Dの先端部(下端部)の内部に挿入されて、ガイド筒部22Dによって回転可能に支持されている(図1(B)参照)。なお、第1ギア30の第1ギア組付部22への組付状態では、ガイド筒部22Dが、ギア本体31の上側に隣接して配置されており、第1ギア30の上側への移動が、ガイド筒部22Dによって制限されている。
また、第1ギア30の第1ギア組付部22への組付状態では、ギア本体31がケース20のギア挿通孔21を挿通して、プレート部20Aの上側に配置されている。さらに、図示は省略するが、回転軸34の下段部には、Dカットが施されており、回転軸34の下段部の断面形状がD字形状に形成されている。そして、回転軸34の下端部が、ケース20(プレート部20A)の下側に配置された基板に実装されたロータリーエンコーダに係合している。
<第2ギア40について>
図1(A)及び図3に示されるように、第2ギア40は、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されている。そして、第2ギア40が、ケース20の第2ギア組付部23に上側から組付けられて、第2ギア組付部23が第2ギア40の内部に挿入されている。これにより、第2ギア40が、第2ギア組付部23に回転可能に組付けられている。また、第2ギア40の第2ギア組付部23への組付状態では、第2ギア組付部23の係合爪部23Bのフック23B1が、第2ギア40の上端部に係合して、第2ギア40の上側への移動が制限されている。
第2ギア40の下端部には、外周部において、複数の外歯によって構成されたギア部40Aが形成されており、ギア部40Aは、後述する位置決め溝42に対応する部分を除いて、第2ギア40の周方向全周に亘って形成されている。また、ギア部40Aの外歯は、第2ギア40の外周面よりも径方向外側に突出している。そして、ギア部40Aが、ケース20のギア用溝部24内に配置されて、第1ギア30のギア部31Aに噛合されている。
また、第2ギア40の外周部には、ギア部40Aの上側において、リブ41が形成されており、リブ41は、第2ギア40の周方向に沿って延在されると共に、第2ギア40の周方向全周に亘って形成されている。
さらに、第2ギア40のリブ41には、位置決め溝42が形成されている。なお、前述したギア部40Aは、位置決め溝42に対応する部位において、外歯が形成されていない構成になっている。位置決め溝42の内周面は、下側から見て、第2ギア40の径方向外側へ開放された略半円状の円弧面によって構成されている。位置決め溝42の円弧面の半径と、ケース20のピン挿通孔25の半径とは、略同じ寸法に設定されており、下面視で、位置決め溝42の円弧面の中心と、ピン挿通孔25の中心とが一致するように、第2ギア40がケース20に組付けられている。すなわち、第2ギア40のケース20への組付状態では、下面視で、第2ギア40の位置決め溝42が、ケース20のピン挿通孔25と重なるように配置されている。そして、詳細については後述するが、第2ギア40のケース20への組付時には、ピン挿通孔25を挿通した組付治具50の第2位置決めピン55が、位置決め溝42内に挿入される構成になっている。
(組付治具50について)
以下、図4を用いて組付治具50について説明する。なお、図4に示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、組付治具50の上側、前側、右側を示しており、組付治具50の上下方向、前後方向、左右方向が、ギア装置10の上下方向、前後方向、左右方向とそれぞれ一致している。
組付治具50は、ベースプレート51と、第1治具ブロック52と、第2治具ブロック54と、前後一対の「ガイド部」としての第1ガイドブロック56と、前後一対の「ガイド部」としての第2ガイドブロック57と、を含んで構成されている。
ベースプレート51は、上下方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、平面視で前後方向を長手方向とする矩形状に形成されている。そして、ベースプレート51が、組付治具50の基台として構成されている。
第1治具ブロック52は、上下方向に延在された略矩形柱状に形成されている。第1治具ブロック52は、ベースプレート51の前端部(詳しくは、ギア装置10の第1ギア30に対応する位置)において、ベースプレート51の上面に固定されている。第1治具ブロック52の上面の略中央部には、ザグリ部52Aが形成されており、ザグリ部52Aは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で円形状に形成されている。また、第1治具ブロック52の上面には、左右一対の「第1ピン」としての第1位置決めピン53L,53Rが設けられており、第1位置決めピン53L,53Rは、上下方向を軸方向とした円柱状に形成されて、第1治具ブロック52から上側へ突出している。第1位置決めピン53L,53Rは、第1ギア30の位置決め孔32L,32Rに対応して設けられており、一方(左側)の第1位置決めピン53Lの直径が、他方(右側)の第1位置決めピン53Rの直径よりも大きく設定されている。具体的には、図6に示されるように、第1位置決めピン53Lが、第1ギア30の位置決め孔32Lと組を成しており、第1位置決めピン53Lの直径が、位置決め孔32Lの内径と比べて僅かに小さく設定されている。一方、第1位置決めピン53Rが、第1ギア30の位置決め孔32Rと組を成しており、第1位置決めピン53Rの直径が、位置決め孔32Rの内径と比べて僅かに小さく設定されている。
図4に示されるように、第2治具ブロック54は、略直方体ブロック状に形成されて、第1治具ブロック52の右側(詳しくは、ケース20の第2ギア組付部23に対応する位置)において、ベースプレート51の上面に固定されている。また、第2治具ブロック54のベースプレート51からの突出量が、第1治具ブロック52のベースプレート51からの突出量よりも小さく設定されており、第2治具ブロック54の上面が第1治具ブロック52の上面よりも下側に配置されている。
また、第2治具ブロック54の上面には、「第2ピン」としての第2位置決めピン55が設けられており、第2位置決めピン55は、上下方向を軸方向とした円柱状に形成されて、第2治具ブロック54から上側へ突出している。第2位置決めピン55の直径は、ケース20のピン挿通孔25の内径よりも僅かに小さく設定されている。また、第2位置決めピン55は、ケース20のピン挿通孔25及び第2ギア40の位置決め溝42に対応して配置されており、ギア装置10の組付時に第2位置決めピン55がピン挿通孔25及び位置決め溝42の内部に挿入されるように、第2位置決めピン55の軸長が設定されている。
第1ガイドブロック56は、略直方体ブロック状に形成されて、ベースプレート51の上面に固定されている。また、一対の第1ガイドブロック56は、ケース20における側壁部20Bの傾斜部20B1及び傾斜部20B2に対応する位置に配置されており、ギア装置10の組付時には、一対の第1ガイドブロック56が、傾斜部20B1及び傾斜部20B2の外側に隣接して配置されるようになっている。
第2ガイドブロック57は、略L字形ブロック状に形成されて、ベースプレート51の上面に固定されている。また、一対の第1ガイドブロック56は、ケース20における右側の一対の角部に対応する位置に配置されており、ギア装置10の組付時には、一対の第2ガイドブロック57が、ケース20の右側角部の外側に隣接して配置されるようになっている。つまり、一対の第1ガイドブロック56及び一対の第2ガイドブロック57によって、ケース20の外周部(4箇所の角)を断続的に囲んで、ケース20の第2位置決めピン55の軸回りの回転を制限する構成になっている。
(作用効果)
次に、図5~図10を用いて、ギア装置10の製造方法を説明しつつ、本実施の形態の作用効果について説明する。なお、図5~図10では、便宜上、組付治具50における第1ガイドブロック56及び第2ガイドブロック57を図示省略している。
図5及び図6に示されるように、ギア装置10の製造方法では、初めに、第1ギア30を組付治具50の第1治具ブロック52上に接地して、第1ギア30を位置決めした状態で、組付治具50にセットにする(第1工程)。
具体的には、第1工程において、第1ギア30の回転軸34の下端側部分を第1治具ブロック52のザグリ部52Aの内部に上側から挿入させる。また、このときには、第1治具ブロック52の第1位置決めピン53Lを、第1ギア30の位置決め孔32Lの内部に挿入させると共に、第1治具ブロック52の第1位置決めピン53Rを、第1ギア30の位置決め孔32Rの内部に挿入させる。そして、第1ギア30のギア本体31を第1治具ブロック52の上面に接地させる。これにより、第1ギア30の回転が制限された状態で、第1ギア30が組付治具50にセットされる。
第1工程後、ケース20を組付治具50にセットしつつ、第1ギア30をケース20に組付ける(第2工程)。
具体的には、初めに、ケース20を組付治具50に対して上側に配置すると共に、ケース20が第1ガイドブロック56及び第2ガイドブロック57の内側に配置されるように、ケース20の向きを合わせる。そして、図7(A)に示されるように、ケース20を下側へ移動させて、ケース20のピン挿通孔25の内部に組付治具50の第2位置決めピン55を挿入させる。また、このときには、ケース20の外周部(側壁部20B)を一対の第1ガイドブロック56及び一対の第2ガイドブロック57の内側に挿入する。これにより、ケース20の第2位置決めピン55の軸回りの回転が制限された状態になる。なお、第2位置決めピン55のピン挿通孔25への挿入開始時では、第1ギア30の係合軸部36が、ケース20の第1ギア組付部22の頂壁22Aよりも下側に離間して配置されて、第1ギア30の第1ギア組付部22への組付けが開始していない状態になっている。
第2位置決めピン55のピン挿通孔25への挿入開始後、ケース20を下側へさらに移動させて、第1ギア30をケース20における第1ギア組付部22に組付ける。
具体的には、第1ギア30の係合軸部36(フック部36A)をケース20のガイド筒部22D(図7では、不図示)内に下側から挿入させる。そして、フック部36Aを、ガイド筒部22Dによってガイドしながら、第1ギア組付部22の係合孔22Cに接近させる。さらに、フック部36Aを、第1ギア組付部22の係合孔22C内に挿入させて、フック部36Aを係合孔22Cの縁部に係合させる。なお、このときには、係合軸部36が、径方向内側へ弾性変形しながら、第1ギア組付部22の係合孔22C内に挿入される。また、フック部36Aが係合孔22Cの縁部に係合されるときには、第1ギア30の支持部36B(図7では、不図示)が、ガイド筒部22D内に下側から挿入されて、ガイド筒部22Dの下端部に回転可能に支持される。これにより、図7(B)及び図8に示されるように、第1ギア30のケース20への組付が完了する。
なお、第1ギア30のケース20への組付時には、第1ギア30のギア本体31が、ケース20のギア挿通孔21の内部を下側から挿通して、ケース20のプレート部20Aに対して上側に配置される。そして、第1ギア30のギア部31Aが、ケース20の第2ギア組付部23側へ露出される。また、第1ギア30のケース20への組付完了時には、第2ギア組付部23の載置面23Aが、第2治具ブロック54の上面に載置されて、ケース20の組付治具50へのセットが完了する。なお、第2工程後では、第2位置決めピン55が、ケース20のピン挿通孔25から上側へ突出して、ケース20の第2ギア組付部23の径方向外側に近接した位置に配置されている。
第2工程後、第2ギア40をケース20の第2ギア組付部23に組付けると共に、第2ギア40のギア部40Aを第1ギア30のギア部31Aに噛合させる(第3工程)。
具体的には、図9に示されるように、第2ギア40を、ケース20の上側において、第2ギア組付部23と同軸上に配置する。そして、第2ギア40を下側へ移動させて、第2ギア組付部23を第2ギア40の内部に挿入させる。さらに、第2ギア40の位置決め溝42を第2位置決めピン55に合わせるように、第2ギア40の周方向の位置を調整しながら、第2ギア40を下側へさらに移動させる。そして、第2位置決めピン55を第2ギア40の位置決め溝42内に挿入させながら、第2ギア40を下側へさらに移動させて、第2ギア40のギア部40Aを第1ギア30のギア部31Aに噛合させる。これにより、図10に示されるように、第2ギア40の第1ギア30に対する位置が決定した状態で、第2ギア40のケース20への組付けが完了する。なお、第2ギア40のケース20への組付完了時には、第2ギア組付部23の係合爪部23Bのフック23B1が、第2ギア40の上端部に係合して、第2ギア40の上側への移動が制限される。
以上説明したように、本実施の形態のギア装置の製造方法では、第1工程において、第1ギア30を組付治具50に上側からセットする。このとき、組付治具50の第1位置決めピン53L,53Rを第1ギア30の位置決め孔32L,32R内に挿入させて、第1ギア30の位置を決める。そして、第2工程において、ケース20を上側から組付治具50にセットする。このとき、ケース20のピン挿通孔25内に第2位置決めピン55を挿入させつつ、第1ギア30を下側からケース20に組付ける。さらに、第3工程において、第2ギア40を上側からケース20に組付ける。このとき、第2ギア40の位置決め溝42内に第2位置決めピン55を挿入させて、第2ギア40の位置を決める。したがって、ケース20(プレート部20A)に対して組付方向が互いに反対となる第1ギア30及び第2ギア40の位相を合わせつつ、これらのギアをケース20に組付けることができる。
しかも、ギア装置の製造方法では、第1工程における第1ギア30の組付治具50へのセット方向、第2工程におけるケース20の組付治具50へのセット方向、第3工程における第2ギア40のケース20への組付方向が、同一方向になる。これにより、組付方向が互いに反対となる第1ギア30及び第2ギア40を有するギア装置10を組立てるときの作業性を向上することができる。
また、第1ギア30には、一対の位置決め孔32L,32Rが形成されており、一方の位置決め孔32Rの内径が、他方の位置決め孔32Lの内径よりも小さく設定されている。また、組付治具50は、位置決め孔32L,32Rに対応する、1対の第1位置決めピン53L,53Rを有しており、一方の第1位置決めピン53Rの直径が、他方の第1位置決めピン53Lの直径よりも小さく設定されている。そして、第1ギア30の組付治具50へのセット時には、第1位置決めピン53Rが位置決め孔32Rに挿入され、第1位置決めピン53Lが位置決め孔32Lに挿入される。このため、第1ギア30の組付治具50への誤組付を防止することができる。また、第1ギア30の回転方向における、ケース20に対する第1ギア30の位置を決めて、第1ギア30をケース20に組付けることができる。これにより、第1ギア30をケース20に組付けた後に、第1ギア30に組付けられる他の部品(ロータリーエンコーダ)の回転位置を合わせることができる。
また、第2工程では、ケース20のピン挿通孔25の内部に第2位置決めピン55を挿入させた後に、第1ギア30の係合軸部36を、ケース20における第1ギア組付部22の係合孔22Cに組付ける。このため、第1ギア30の係合軸部36を、ケース20の第1ギア組付部22の係合孔22Cに組付けるときには、第2位置決めピン55がケース20の上下方向の移動をガイドするガイド部として機能する。これにより、第1ギア30のケース20への組付性を効果的に向上することができる。
また、第2工程では、第1ギア30(係合軸部36)の第1ギア組付部22の係合孔22Cへの組付前において、第1ギア30のフック部36Aが、ケース20のガイド筒部22D内に挿入され、ガイド筒部22Dによってガイドされながら、ガイド筒部22Dの軸方向に移動する。このため、第1ギア30のケース20への組付性を効果的に向上することができる。
また、第2工程では、第1ギア30の支持部36Bが、ケース20のガイド筒部22D内に挿入されて、ガイド筒部22Dによって回転可能に支持される。このため、第1ギア30(係合軸部36)の第1ギア組付部22への組付時にガイド部として機能するガイド筒部22Dを活用して、支持部36Bを回転可能に支持することができる。したがって、ケース20の第1ギア30に対する支持性能を向上することができる。
また、第2ギア40では、第2位置決めピン55が挿入される位置決め溝42がリブ41に形成されている。このため、径方向における第2ギア40の体格の大型化を抑制しつつ、第2ギア40の位置を、位置決め溝42及び第2位置決めピン55によって決定することができる。すなわち、第2ギア40の位置決め構造として、第2位置決めピン55が挿入される孔を、リブ41に形成する構造も考えられる。しかしながら、この場合には、リブ41の第2ギア40からの径方向の突出量が比較的大きくなる。このため、第2ギア40の体格が大きくなる傾向になる。これに対して、本実施の形態では、上述のように、位置決め溝42がリブ41に形成されている。このため、上記の場合と比べて、径方向における第2ギア40の体格の大型化を抑制しつつ、第2ギア40の位置を、位置決め溝42及び第2位置決めピン55によって決定することができる。
また、組付治具50は、ケース20の外周部を囲む第1ガイドブロック56及び第2ガイドブロック57を有しており、第2工程では、ケース20を第1ガイドブロック56及び第2ガイドブロック57の内側に挿入させる。これにより、ケース20の第2位置決めピン55の軸回りの回転を抑制しつつ、ケース20を組付治具50にセットすることができる。したがって、第2工程における第1ギア30のケース20への組付を一層効果的に向上することができる。
なお、組付治具50では、第1ガイドブロック56及び第2ガイドブロック57によって、ケース20の外周部を断続的に囲んでいるが、「ガイド部」としてのガイドブロックをケース20の外形に対応した枠状に形成して、当該ガイドブロックによってケース20の外周部を連続的に囲む構成にしてもよい。
さらに、図2に示すように反対側の傾斜面20B2側にも第1、第2ギア組付部が設けられているが、その場合には、ベースプレート51上の反対側面に第1、第2冶具ブロックを設けた組付冶具を設けることによって、ライン上でスムーズにケース20の両側に配置される第1、第2ギア30,40を組付けることができる。
10 ギア装置
20 ケース(被組付部材)
20A プレート部
21 ギア挿通孔
22 第1ギア組付部
22C 係合孔
22D ガイド筒部
23 第2ギア組付部
25 ピン挿通孔
30 第1ギア
31 ギア本体
32L 位置決め孔
32R 位置決め孔
36 係合軸部
36A フック部
36B 支持部
40 第2ギア
42 位置決め溝
50 組付治具
53L 第1位置決めピン(第1ピン)
53R 第1位置決めピン(第1ピン)
55 第2位置決めピン(第2ピン)
56 第1ガイドブロック(ガイド部)
57 第2ガイドブロック(ガイド部)

Claims (6)

  1. ギア挿通孔及びピン挿通孔が形成されたプレート部を含んで構成され、前記ギア挿通孔に対して前記プレート部の板厚方向一方側に設けられた第1ギア組付部と、前記プレート部から板厚方向一方側へ突出された筒状の第2ギア組付部と、を有する被組付部材と、
    前記プレート部の板厚方向を軸方向とすると共に、軸方向に貫通された位置決め孔を有する第1ギアと、
    前記プレート部の板厚方向を軸方向とした円筒状に形成され、軸方向に延在された位置決め溝が形成された第2ギアと、
    を備えたギア装置の製造方法であって、
    組付治具の第1ピンを前記位置決め孔の内部に挿入して、前記第1ギアを位置決めした状態に前記組付治具にセットする第1工程と、
    前記組付治具の第2ピンを前記ピン挿通孔の内部に挿入して前記被組付部材を前記組付治具にセットすると共に、前記第1ギアを前記プレート部の板厚方向他方側から前記ギア挿通孔の内部に挿通させて前記第1ギア組付部に組付ける第2工程と、
    前記第2ギアを前記プレート部の板厚方向一方側に配置して前記第2ギア組付部を第2ギアの内部に挿入させ、前記位置決め溝の内部に前記第2ピンを挿入させて前記第2ギアを位置決めし、前記第2ギアを前記第1ギアに噛合させる第3工程と、
    を備えたギア装置の製造方法。
  2. 前記第1ピンは、径寸法の異なる一対のピンによって構成され、前記第1ギアには、前記第1ピンに対応する径寸法の異なる一対の前記位置決め孔が形成されており、
    前記第1工程では、前記第1ピンを、対応する前記位置決め孔に挿入させることを特徴とする請求項1に記載のギア装置の製造方法。
  3. 第1ギアは、
    前記プレート部の板厚方向を厚み方向とする円板状のギア本体と、
    前記ギア本体の中心部から前記プレート部の板厚方向一方側へ突出され、先端部にフック部を有する係合軸部と、
    を含んで構成され、
    前記第1ギア組付部には、前記フック部が係合され且つ前記係合軸部を回転可能に支持する係合孔が形成されており、
    前記第2工程では、前記ピン挿通孔の内部に前記第2ピンを挿入させた後に、前記係合軸部を前記係合孔に組付けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のギア装置の製造方法。
  4. 前記第1ギア組付部には、前記係合孔の径方向外側において、前記プレート部の板厚方向他方側へ突出された円筒状のガイド筒部が形成されており、
    前記第2工程では、前記係合軸部の前記係合孔への組付前において、前記フック部が、前記ガイド筒部内に挿入され、前記ガイド筒部によってガイドされながら前記ガイド筒部の軸方向に移動することを特徴とする請求項3に記載のギア装置の製造方法。
  5. 前記係合軸部の基端部には、前記係合軸部から前記ギア本体の径方向外側へ突出され且つ前記ガイド筒部に回転可能に支持された支持部が形成されており、
    前記第2工程において、前記支持部を前記ガイド筒部の内部に挿入させることを特徴とする請求項4に記載のギア装置の製造方法。
  6. 前記組付治具は、前記被組付部材の外周部を囲むガイド部を有しており、
    前記第2工程では、前記ガイド部の内側に前記被組付部材を挿入させることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか1項に記載のギア装置の製造方法。
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