以下、図面を参照しながら、本発明に係るコルゲートチューブ保持具及び保持具付きコルゲートチューブの実施の形態について説明する。
なお、後述する第1実施形態〜第6実施形態がコルゲートチューブ保持具に係る実施形態であり、第7実施形態および第8実施形態が保持具付きコルゲートチューブに係る実施形態である。
<第1実施形態>
図1〜図3に示すように、第1実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具100」という。)は、下側保持部材110、上側保持部材120、及び、保持片130、を有している。保持具100は、コルゲートチューブ10を保持するための保持具である。コルゲートチューブ10は、円筒状の形状を有している。
なお、保持具100は、例えば、車両用のワイヤハーネスを製造する際に用いられ得る。具体的には、ワイヤハーネスを構成する電線等を必要に応じてコルゲートチューブ10の中空部に挿通した後、そのコルゲートチューブ10を保持具100によって保持するように、用いられ得る。保持具100は、ワイヤハーネスを車両の所定箇所に固定するため等に用いられる。
コルゲートチューブ10は、周方向の一か所において軸線方向に延びるスリット11を有している。コルゲートチューブ10は、周方向に延びる複数の凹部12と凸部13とが軸線方向に交互に形成された蛇腹形状を有している。これにより、コルゲートチューブ10は、その内周面に、外周面の凸部13に対応する位置に周方向に延びる凹部14を有し、外周面の凹部12に対応する位置に周方向に延びる凸部15を有している。コルゲートチューブ10は、軟質な合成樹脂等から成形されている。
図1に示すように、下側保持部材110には、上側保持部材120が被せられるように組み付けられる。下側保持部材110に上側保持部材120を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成されることになる。コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容されるように保持される。なお、図1(a)〜図1(c)においては、便宜上、下側保持部材110と上側保持部材120との組み付け後に収容空間が画成される位置に、符号Sを付している。
図2に示すように、下側保持部材110は、正面部111、底面部112及び側面部113を有している。側面部113は、底面部112の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材110は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)114を有している。リブ114は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔を空けて、配置されている。リブ114の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。下側保持部材110の側面部113の外面側には、係止片115が形成されている。
上側保持部材120は、正面部121、上面部122及び側面部123を有している。側面部123は、上面部122の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材120は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)124を有している。リブ124は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ124の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材120の側面部123の外面側には、係止爪125が形成されている。係止爪125は、下側保持部材110に対して上側保持部材120を被せるように装着する際、下側保持部材110の係止片115を係止する。そして、係止片115に対して係止爪125が係止することにより、下側保持部材110に上側保持部材120が組み付けられた状態が維持されることになる。
保持片130は、下側保持部材110に繋がるように設けられている。保持片130は、第1板部131、第2板部132及びヒンジ部133を有している。第1板部131は、収容空間Sの軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部132は、第1板部131に交差する方向に(図2においては上下方向に)第1板部131から突出している。ヒンジ部133は、下側保持部材110と保持片130(具体的には、第1板部131の下側保持部材110に隣接する端部)とを繋いでいる。
保持片130は、ヒンジ部133により、下側保持部材110の一方側の側面部113の上端における外面側に、ヒンジ部133を中心に回転可能に連結されている。これにより、図1に示すように、保持片130は、収容空間Sの外側の第1位置(図1(a)(b)で示す位置)から、収容空間Sの内側の第2位置(図1(c)(d)で示す位置)へ、回転移動可能となっている。一方、保持片130は、ヒンジ部133により、収容空間Sの軸線方向には移動不能となっている。更に、保持片130には、下側保持部材110の正面部111と反対側の一端に、コルゲートチューブ10の位置を定めるための位置決め片134を有している。
次いで、保持具100によってコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図1(a)に示すように保持片130が第1位置(収容空間Sの外側)にある状態にて、図1(b)に示すようにコルゲートチューブ10を軸線方向(図1(b)の矢印A方向)へスライドさせ、コルゲートチューブ10のスリット11に第1板部131を挿入し且つコルゲートチューブ10の内側に第2板部132を配置するように、保持片130にコルゲートチューブ10を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片130の位置決め片134に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。図3(a)は、図1(b)の状態における保持片130及びコルゲートチューブ10を、正面から見た概略図である。
次いで、図1(c)に示すように、保持片130及びコルゲートチューブ10を一緒にヒンジ部133を中心に収容空間Sに向けて(図1(c)の矢印B方向へ)回転移動させることにより、保持片130及びコルゲートチューブ10を第2位置(収容空間Sの内側)に移動させる。図3(b)は、図1(c)の状態における保持片130及びコルゲートチューブ10を、正面から見た概略図である。
更に、図1(d)に示すように、上側保持部材120を下側保持部材110に向かって下方(図1(d)の矢印C方向)へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材120と下側保持部材110とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪125を係止片115に係止させる。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材110と上側保持部材120とから形成された収容空間Sに収容されることになる。
このとき、コルゲートチューブ10の外周側の凹部12に、下側保持部材110のリブ114及び上側保持部材120のリブ124が入り込む。これにより、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材110及び上側保持部材120のリブ114,124によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
以上に説明したように、第1実施形態に係る保持具100によれば、保持片130が第1位置にある状態にて保持片130にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片130とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部133を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材110のリブ114等とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片130をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片130とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材110と上側保持部材120とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、リブ114,124によってコルゲートチューブ10を保持できる。
よって、コルゲートチューブ10への保持具100の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
なお、後述する変形例(図4)のように、保持片130(特に、第1板部131)の形状や位置を調整することにより、最終的に保持具100に装着された時点でのコルゲートチューブ10のスリット11の位置(開口方向)を任意に調整できる。例えば、保持具100を車両等に固定した際にコルゲートチューブ10のスリット11が上向きに開口しない(例えば、横向き又は下向きに開口する)ようにすれば、異物がスリット11を通じてコルゲートチューブ10内に入ることを防止できる。
更に、保持具100は、コルゲートチューブ10を保持具100に保持させる保持構造として、コルゲートチューブ10の凹部12に入り込んでコルゲートチューブ10を係止するリブ114,124を有するため、リブ114,124の根元部分にてコルゲートチューブ10を支えることになる。また、コルゲートチューブ10の外周を周回するようにリブ114,124を設け、リブ114,124とコルゲートチューブの凹部12との接触面積を増大させている。よって、保持具100は、コルゲートチューブ10を強固に保持できる。
<第1実施形態の変形例>
次いで、第1実施形態に係る保持具100の変形例について説明する。
図4(a)に示すように、変形例に係る保持具100Aでは、保持片130の第1板部131が、円弧状部131aを有している。円弧状部131aは、コルゲートチューブ10の外周面に沿う円弧状に形成されており、コルゲートチューブ10の外周面における周方向の約1/4の部分に配置される。
図4(b)に示すように、保持具100Aでは、コルゲートチューブ10を取り付けた保持片130を、ヒンジ部133を中心として回転させて第2位置に回転移動させると、コルゲートチューブ10のスリット11が下向きに開口することになる。これにより、異物がスリット11を通じてコルゲートチューブ10内へ侵入することを、より確実に防止できる。
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態について説明する。図5に示すように、第2実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具200」という。)は、主として下側保持部材210に設けられる保持片230の形態において、第1実施形態の保持具100と相違する。
具体的には、図6(a)に示すように、保持具100と同様、保持具200の下側保持部材210には、上側保持部材220が被せられるように組み付けられる。下側保持部材210に上側保持部材220を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容されるように保持される。
下側保持部材210は、正面部211(図5を参照)、底面部212及び側面部213を有している。側面部213は、底面部212の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材210は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)214を有している。リブ214は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ214の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。なお、下側保持部材210の側面部213の外面側には、第1実施形態に係る保持具100と同様の係止片(図示省略)が形成されている。下側保持部材210の内周面には、周方向に沿う溝部210aが形成されている。
上側保持部材220は、正面部(図6は断面図であるため図示省略)、上面部222及び側面部223を有している。側面部223は、上面部222の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材220は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)224を有している。リブ224は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ224の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材220の側面部223の外面側には、第1実施形態に係る保持具100と同様の係止爪(図示略)が形成されている。係止爪は、下側保持部材210に対して上側保持部材220を被せるように装着する際、下側保持部材210の係止片を係止する。そして、係止片に対して係止爪が係止することにより、下側保持部材210に上側保持部材220が組み付けられた状態が維持される。上側保持部材220には、内周面に、周方向に沿う溝部220aが形成されている。
保持片230は、下側保持部材210に繋がるように設けられている。保持片230は、第1板部231、第2板部232a,232b及びヒンジ部233を有している。第1板部231は、収容空間Sの軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部232a,232bは、第1板部231に交差する方向に(図6においては左右方向に)第1板部231から突出している。ヒンジ部233は、下側保持部材210と保持片230(具体的には、第2板部232bの下側保持部材210に隣接する端部)とを繋いでいる。
保持片230は、ヒンジ部233によって下側保持部材210の一方側の側面部213の上端に連結されている。これにより、図6(b)に示すように、保持片230は、収容空間Sの外側の第1位置(図6(a)に示す位置)から収容空間Sの内側の第2位置(図6(b)に示す位置)へ移動可能であり、且つ、収容空間Sの軸線方向に移動不能とされている。更に、保持片230には、下側保持部材210の正面部211と反対側の一端に、位置決め片234が形成されている。
更に、保持片230は、収容空間Sの外側の第1位置から収容空間Sの内側の第2位置へ移動される際、ヒンジ部233が破断するようになっている。このようにヒンジ部233を破断させるための構造として、例えば、ヒンジ部233にそのような破断を誘発する切欠きを設けること、ヒンジ部233の厚さを破断可能な程度まで薄くすること、保持片230が第1位置から第2位置へ移動する際にヒンジ部233が押し付けられる凸部を下側保持部材210に設けること、及び、その移動の際に下側保持部材210に押し付けられる凸部をヒンジ部233に設けること、等が挙げられる。
次いで、保持具200にコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図6(a)に示すように、保持片230が第1位置にある状態(収容空間Sの外側)にて、コルゲートチューブ10のスリット11に第1板部231を挿入し、且つ、コルゲートチューブ10の外周面と内周面とを第2板部232a,232bによって挟むように、保持片230にコルゲートチューブ10を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片230の位置決め片234に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。
次いで、図6(b)に示すように、保持片230及び保持片230に取り付けたコルゲートチューブ10を一緒にヒンジ部233を中心に収容空間Sに向けて(図6(b)の矢印D方向へ)回転移動させることにより、保持片230及びコルゲートチューブ10を収容空間Sの第2位置に移動させる。この回転移動の過程において、ヒンジ部233が破断し、保持片230が下側保持部材210から分離する。
その後、上側保持部材220を下側保持部材210に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材220と下側保持部材210とによって挟む(収容する)。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材210と上側保持部材220とから形成された収容空間S内に収容される。なお、このとき、図示しない係止爪と係止片とにより、上側保持部材220と下側保持部材210とが係止される。
更に、このとき、コルゲートチューブ10の外周側の凹部12に下側保持部材210及び上側保持部材220のリブ214,224が入り込む。これにより、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材210及び上側保持部材220のリブ214,224によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
図7に示すように、このとき、ヒンジ部233が破断して保持片230が下側保持部材210から分離しているため、保持片230とコルゲートチューブ10とが一緒に収容空間S内において軸線周りに自由に回転可能となる。この回転の際、保持片230の第2板部232bは、下側保持部材210及び上側保持部材220の溝部210a,220a内を通過することになる。
以上に説明したように、第2実施形態に係る保持具200によれば、保持片230が第1位置にある状態にて保持片230にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片230とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部233を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材210のリブ214等とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片230をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片230とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材210と上側保持部材220とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、リブ214,224によってコルゲートチューブ10を保持できる。よって、コルゲートチューブ10への保持具200の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
更に、ヒンジ部233が破断することにより、保持片230とコルゲートチューブ10とが一緒に収容空間S内において軸線周りに回転可能となる。その結果、保持具200によってコルゲートチューブ10を保持した後、コルゲートチューブ10のスリット11の位置(開口方向)を任意に調整できることになる。これにより、例えば、保持具200を車両等に固定した後、コルゲートチューブ10内に異物が侵入し難いようにスリット11の位置を適宜調整できる。
<第3実施形態>
次いで、第3実施形態について説明する。図8に示すように、第3実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具300」という。)は、主として下側保持部材310に設けられる保持片330の形態、及び、下側保持部材310及び上側保持部材320が内周面にリブ(凸部)を有さない点において、第1実施形態の保持具100と相違する。
具体的には、図8に示すように、保持具100と同様、保持具300の下側保持部材310には、上側保持部材320が被せられるように組み付けられる。下側保持部材310に上側保持部材320を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ10は、その端部が、下側保持部材310の収容空間Sに収容されて保持される。
下側保持部材310は、正面部311、底面部312及び側面部313を有している。側面部313は、底面部312の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材310は、その内周面が平滑な円弧面とされている。下側保持部材310の側面部313の外面側には、係止片315が形成されている。
上側保持部材320は、正面部321、上面部322及び側面部323を有している。側面部323は、上面部322の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材320は、その内周面が平滑な円弧面とされている。上側保持部材320の側面部323の外面側には、係止爪325が形成されている。係止爪325は、下側保持部材310に対して上側保持部材320を被せるように装着する際、下側保持部材310の係止片315を係止する。そして、係止片315に対して係止爪325が係止することにより、下側保持部材310に上側保持部材320が組み付けられた状態に維持される。
保持片330は、下側保持部材310に設けられている。保持片330は、第1板部331、第2板部332及びヒンジ部333を有している。第1板部331は、軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部332は、第1板部331に交差する方向に(図8においては上下方向に)第1板部331から突出している。第2板部332は、コルゲートチューブ10の内周面の凹部14に対応する形状を有する複数の係止部332aから構成されている。具体的には、これら係止部332aは、コルゲートチューブ10の内周面の凹部14に対応するように、凹部14のピッチと同一の間隔をあけて配置されている。
ヒンジ部333は、下側保持部材310と第1板部331とを繋いでいる。保持片330は、ヒンジ部333によって下側保持部材310の一方側の側面部313の上端における外面側に、ヒンジ部333を中心に回転移動可能に連結されている。これにより、第1実施形態に係る保持具100と同様、保持片330は、収容空間の外側の第1位置から収容空間の内側の第2位置に移動可能であり且つ収容空間の軸線方向に移動不能とされている。更に、保持片330には、下側保持部材310の正面部311と反対側の一端に、位置決め片334が形成されている。
次いで、保持具300にコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図8に示すように、保持片330が第1位置にある状態にて、コルゲートチューブ10のスリット11に第1板部331を挿入し且つコルゲートチューブ10の内周側に第2板部332を配置するように、保持片330にコルゲートチューブ10を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片330の位置決め片334に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。
更に、図9に示すように、このように保持片330にコルゲートチューブ10を取り付けた状態にてコルゲートチューブ10を第2板部332に近づけるように変位させると、保持片330の第2板部332を構成する係止部332aがコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込む。これにより、コルゲートチューブ10が第2板部332に係止され、コルゲートチューブ10の軸線方向(図9における左右方向)における移動が制限される。
その後、第1実施形態に係る保持具100と同様、保持片330及びコルゲートチューブ10を一緒にヒンジ部333を中心に収容空間Sへ向けて回転移動させることにより、保持片330及びコルゲートチューブ10を第2位置に移動させる。更に、上側保持部材320を下側保持部材310に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材320と下側保持部材310とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪325を係止片315に係止させる。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材310と上側保持部材320とから形成された収容空間Sに収容される。
このとき、上述したように、第2板部332を構成する係止部332aがコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込み、コルゲートチューブ10が第2板部332に係止されている。よって、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間に収容され、且つ、保持片330の第2板部332によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
以上に説明したように、第3実施形態に係る保持具300によれば、保持片330が第1位置にある状態にて保持片330にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片330とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部333を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材310とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片230をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片330とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材310と上側保持部材320とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、第2板部332(係止部332a)によってコルゲートチューブ10を保持できる。よって、コルゲートチューブ10への保持具300の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
更に、第2板部332の係止部332aをコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込ませることにより、コルゲートチューブ10の中空部を出来る限り狭めることなく、コルゲートチューブ10を保持できる。
<第3実施形態の変形例>
次いで、第3実施形態に係る保持具300の変形例について説明する。
図10に示すように、変形例に係る保持具300Aでは、保持片330の第2板部332が平板状に形成されると共に、その平板状の第2板部332から第1板部331に向けて複数の係止部332aが突設されている。
保持具300Aでは、図11に示すように、保持片330に設けられた第2板部332の係止部332aがコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込む。更に、第2板部332が平板状に形成されているため、第3実施形態に比べてコルゲートチューブ10の中空部が若干狭まるものの、係止部332aの強度が向上してコルゲートチューブ10の保持力が高まる。
<第4実施形態>
図12に示すように、第4実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具400」という。)は、下側保持部材410、上側保持部材420、及び、保持片430と、を有している。保持具400は、コルゲートチューブ10を保持するための保持具である。コルゲートチューブ10は、円筒状の形状を有している。
なお、保持具100は、例えば、車両用のワイヤハーネスを製造する際に用いられ得る。具体的には、ワイヤハーネスを構成する電線等を必要に応じてコルゲートチューブ10の中空部に挿通した後、そのコルゲートチューブ10を保持具100によって保持するように、用いられ得る。保持具100は、ワイヤハーネスを車両の所定箇所に固定するため等に用いられる。
コルゲートチューブ10は、周方向の一か所において軸線方向に延びるスリット11を有している。コルゲートチューブ10は、周方向に延びる複数の凹部12と凸部13とが軸線方向に交互に形成された蛇腹形状を有している。これにより、コルゲートチューブ10は、その内周面に、外周面の凸部13に対応する位置に周方向に延びる凹部14を有し、外周面の凹部12に対応する位置に周方向に延びる凸部15を有している。コルゲートチューブ10は、軟質な合成樹脂等から成形されている。
図12に示すように、下側保持部材410には、上側保持部材420が被せられるように組み付けられる。下側保持部材410に上側保持部材420を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容されるように保持される。なお、図12(a)〜図1(c)においては、便宜上、下側保持部材410と上側保持部材420との組み付け後に収容空間が画成される位置に、符号Sを付している。
図13に示すように、下側保持部材410は、正面部411、底面部412及び側面部413を有している。側面部413は、底面部412の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材410は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)414を有している。リブ414は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ414の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。下側保持部材410の側面部413の外面側には、係止片415が形成されている。
上側保持部材420は、正面部421、上面部422及び側面部423を有している。側面部423は、上面部422の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材420は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)424を有している。リブ424は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ424は、その内縁部が、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材420の側面部423の外面側には、係止爪425が形成されている。係止爪425は、下側保持部材410に対して上側保持部材420を被せるように装着する際、下側保持部材410の係止片415を係止する。そして、係止片415に対して係止爪425が係止することにより、下側保持部材410に上側保持部材420が組み付けられた状態が維持される。
保持片430は、下側保持部材410に設けられている。保持片430は、第1板部431、第2板部432a,432b及びヒンジ部433を有している。第1板部431は、収容空間Sの軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部432a,432bは、第1板部431に交差する方向に(図13においては左右方向に)第1板部431から突出している。ヒンジ部433は、下側保持部材410と保持具400(具体的には、第1板部431)とを繋いでいる。ヒンジ部433は、下側保持部材410の底面部412から収容空間Sに向けて突設された支持部412aの上端に繋がっている。
保持片430は、ヒンジ部433によって下側保持部材410の底面部412に、ヒンジ部433を中心に回転可能に連結されている。これにより、保持片430は、収容空間Sの内側において、収容空間Sの軸線に対して傾いた第1位置(図12(a)(b)で示す位置)から収容空間Sの軸線に対して平行な第2位置(図12(c)(d)で示す位置)へ移動可能であり且つ収容空間Sの軸線方向に移動不能となっている。
より詳細には、保持片430は、第1位置に配置された状態にて、下側保持部材410の正面部411へ向かって先端が上方へ傾いている。更に、下側保持部材410の底面部412には、溝部412bが形成されており、第2位置に配置された保持片430の第2板部432bが溝部412bに収容される。更に、保持片430には、下側保持部材410の正面部411と反対側の一端に、コルゲートチューブ10の位置を定めるための位置決め片434を有している。
次いで、保持具400によってコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図12(a)に示すように、保持片430が第1位置にある状態にて、図12(b)に示すようにコルゲートチューブ10のスリット11に第1板部431を挿入し、且つ、コルゲートチューブ10の外周面と内周面とを第2板部432a,432bによって挟むように、保持片430にコルゲートチューブ10を斜めに取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片430の位置決め片434に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。図14は、図12(b)の状態における保持片430及びコルゲートチューブ10を、側面から見た断面図である。
次いで、図12(c)に示すように、保持片430及びコルゲートチューブ10を一緒にヒンジ部433を中心に下方へ(図15の矢印E方向へ)回転移動させることにより、保持片430及びコルゲートチューブ10を第2位置に移動させる。図15は、図1(c)の状態における保持片430及びコルゲートチューブ10を、正面から見た概略図である。
更に、図12(d)に示すように、上側保持部材420を下側保持部材410に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材420と下側保持部材410とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪425を係止片415に係止させる。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材410と上側保持部材420とから形成された収容空間S内に収容される。
このとき、コルゲートチューブ10の外周側の凹部12に、下側保持部材410及び上側保持部材420のリブ414,424が入り込む。これにより、コルゲートチューブ10は、その端部が、収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材410及び上側保持部材420のリブ414,424によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
以上に説明したように、第4実施形態に係る保持具400によれば、保持片430が第1位置にある状態にて保持片130にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片130とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部433を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材410のリブ414等とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片430をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片430とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材410と上側保持部材420とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、リブ414,424によってコルゲートチューブ10を保持できる。
よって、コルゲートチューブ10への保持具400の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
なお、保持片430の配置を調整することにより、最終的に保持具400に装着した状態でのコルゲートチューブ10のスリット11の位置(開口方向)を任意に調整できる。例えば、保持具400を車両等に固定した際にコルゲートチューブ10のスリット11が上向きに開口しない(例えば、横向き又は下向きに開口する)ようにすれば、異物がスリット11を通じてコルゲートチューブ10内に入ることを防止できる。
更に、保持具400は、コルゲートチューブ10を保持具400に保持させる保持構造として、コルゲートチューブ10の凹部12に入り込んでコルゲートチューブ10を係止するリブ414,424を有するため、リブ414,424の根元部分にてコルゲートチューブ10を支えることになる。また、コルゲートチューブ10の外周を周回するようにリブ414,424を設け、リブ414,424とコルゲートチューブの凹部12との接触面積を増大させている。よって、保持具400は、コルゲートチューブ10を強固に保持できる。
<第5実施形態>
次いで、第5実施形態について説明する。図16に示すように、第5実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具500」という。)は、主として下側保持部材510に設けられる保持片530の形態において、第4実施形態の保持具400と相違する。
具体的には、図17に示すように、保持具400と同様、下側保持部材510には、上側保持部材520が被せられるように組み付けられる。下側保持部材510に上側保持部材520を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容されるように保持される。
下側保持部材510は、正面部511、底面部512及び側面部513を有している。側面部513は、底面部512の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材510は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)514を有している。リブ514は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ514の内縁部は、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。なお、下側保持部材510の側面部513の外面側には、第4実施形態に係る保持具400と同様の係止片(図示略)が形成されている。下側保持部材510の内周面には、周方向に沿う溝部510aが形成されている。
上側保持部材520は、正面部521、上面部522及び側面部523を有している。側面部523は、上面部522の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材520は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)524を有している。リブ524は、コルゲートチューブ10の外周面に形成された凹部12に対応するように、凹部12のピッチと同一または凹部12のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ524は、その内縁部が、コルゲートチューブ10の外周面の凹部12における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材520の側面部523の外面側には、係止爪(図示略)が形成されている。係止爪は、下側保持部材510に対して上側保持部材520を被せるように装着する際、下側保持部材510の係止片を係止する。そして、係止片に対して係止爪が係止することにより、下側保持部材510に上側保持部材520が組み付けられた状態に維持される。上側保持部材520には、内周面に、周方向に沿う溝部520aが形成されている。
保持片530は、下側保持部材510に繋がるように設けられている。保持片530は、第1板部531、第2板部532及びヒンジ部533を有している。第1板部531は、収容空間Sの軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部532a,532bは、第1板部531に交差する方向に(図16においては左右方向に)第1板部531から突出している。ヒンジ部533は、下側保持部材510と保持片530(具体的には、第2板部532a)とを繋いでいる。ヒンジ部533は、下側保持部材510の底面部512から収容空間Sに向けて突設された支持部512aの上端に繋がっている。
保持片530は、ヒンジ部533によって下側保持部材510の底面部512に、軸線方向と直交する軸回りに回転可能に連結されている。これにより、保持片530は、収容空間Sの内側において、収容空間Sの軸線に対して傾いた第1位置(図17に示す位置)から収容空間Sの軸線に対して平行な第2位置(図18に示す位置)に移動可能であり且つ収容空間Sの軸線方向に移動不能とされている。
更に、保持片530には、支持部512aとの連結側の端部に凸部530aが形成されている。これにより、保持片530は、収容空間Sの外側の第1位置から収容空間Sの内側の第2位置へ移動される際、ヒンジ部533が破断するようになっている。具体的には、保持片530の第1位置から第2位置への移動の際、保持片530の凸部530aが支持部512aに当接すると、保持片530を支持部512aから引き離すようにヒンジ部533に引張応力が生じ、ヒンジ部533が破断する。
なお、このようにヒンジ部533を破断させるための構造として、例えば、ヒンジ部533にそのような破断を誘発する切欠きを設けること、ヒンジ部533の厚さを破断可能な程度まで薄くすること、及び、保持片530が第1位置から第2位置へ移動する際にヒンジ部533に押し付けられる凸部を下側保持部材510の支持部512aに設けること、等が挙げられる。
次いで、保持具500にコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図17に示すように、保持片530が第1位置にある状態にて、コルゲートチューブ10のスリット11に第1板部531を挿入し、且つ、コルゲートチューブ10の外周面と内周面とを第2板部532a,532bによって挟むように、保持片530にコルゲートチューブ10を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片530の位置決め片534に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。
次いで、図18に示すように、保持片530及び保持片530に取り付けたコルゲートチューブ10を一緒にヒンジ部533を中心に下方へ(図18の矢印F方向へ)回転移動させることにより、保持片230及びコルゲートチューブ10を収容空間Sの内側の第2位置に移動させる。この回転移動の過程において、ヒンジ部533が破断し、保持片530が下側保持部材510から分離する。
その後、上側保持部材520を下側保持部材510に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材520と下側保持部材510とによって挟む(収容する)。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材510と上側保持部材520とから形成された収容空間S内に収容される。
このとき、コルゲートチューブ10の外周側の凹部12に下側保持部材510及び上側保持部材520のリブ514,524が入り込む。これにより、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材510及び上側保持部材520のリブ514,524によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。なお、このとき、図示しない係止爪と係止片とにより、上側保持部材520と下側保持部材510とが係止される。
更に、このとき、コルゲートチューブ10の外周側の凹部12に下側保持部材510及び上側保持部材520のリブ514,524が入り込む。これにより、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材510及び上側保持部材520のリブ514,524によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
図19に示すように、このとき、ヒンジ部533が破断して保持片530が下側保持部材510から分離しているため、保持片530とコルゲートチューブ10とが一緒に収容空間S内において軸線周りに自由に回転可能となる。この回転の際、保持片530の第2板部532bは、下側保持部材510及び上側保持部材520の溝部510a,520a内を通過することになる。
以上に説明したように、第5実施形態に係る保持具500によれば、保持片530が第1位置にある状態にて保持片530にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片530とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部533を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材510のリブ514等とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片530をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片530とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材510と上側保持部材520とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、リブ514,524によってコルゲートチューブ10を保持できる。よって、コルゲートチューブ10への保持具500の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
更に、ヒンジ部533が破断することにより、保持片530とコルゲートチューブ10とが一緒に収容空間S内において軸線周りに回転可能となる。その結果、保持具500によってコルゲートチューブ10を保持した後、コルゲートチューブ10のスリット11の位置(開口方向)を任意に調整できることになる。これにより、例えば、保持具500を車両等に固定した後、コルゲートチューブ10内に異物が侵入し難いようにスリット11の位置を適宜調整できる。
<第6実施形態>
次いで、第6実施形態について説明する。図20に示すように、第6実施形態に係るコルゲートチューブ保持具(以下「保持具600」という。)は、主として下側保持部材610に設けられる保持片630の形態、及び、下側保持部材610及び上側保持部材620が内周面にリブ(凸部)を有さない点において、第4実施形態の保持具400と相違する。
具体的には、図20に示すように、保持具400と同様、保持具600の下側保持部材610には、上側保持部材620が被せられるように組み付けられる。下側保持部材610に上側保持部材620を組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ10は、その端部が、収容空間Sに収容されて保持される。
下側保持部材610は、正面部611、底面部612及び側面部613を有している。側面部613は、底面部612の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材610は、その内周面が平滑な円弧面とされている。下側保持部材610の側面部613の外面側には、係止片615が形成されている。
上側保持部材620は、正面部621、上面部622及び側面部623を有している。側面部623は、上面部622の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材620は、その内周面が平滑な円弧面とされている。上側保持部材620の側面部623の外面側には、係止爪625が形成されている。係止爪625は、下側保持部材610に対して上側保持部材620を被せるように装着する際、下側保持部材610の係止片615を係止する。そして、係止片615に対して係止爪625が係止することにより、下側保持部材610に上側保持部材620が組み付けられた状態に維持される。
保持片630は、下側保持部材610に設けられている。保持片630は、第1板部631、第2板部632及びヒンジ部633を有している。第1板部631は、軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部632は、第1板部631に交差する方向に(図20においては左右方向に)第1板部631から突出している。第2板部632は、コルゲートチューブ10の内周面の凹部14に対応する形状を有する複数の係止部632aから構成されている。具体的には、これら係止部632aは、コルゲートチューブ10の内周面の凹部14に対応するように、凹部14のピッチと同一の間隔をあけて配置されている。
ヒンジ部633は、下側保持部材610と第1板部631とを繋いでいる。ヒンジ部633は、下側保持部材610の底面部612に突設された支持部612aの上端に繋がっている。保持片630は、ヒンジ部633によって下側保持部材610の底面部612に、ヒンジ部633を中心に回転移動可能に連結されている。これにより、第4実施形態に係る保持具400と同様、保持片630は、収容空間Sの内側において、収容空間Sの軸線に対して傾いた第1位置から収容空間Sの軸線に対して平行な第2位置に移動可能であり且つ収容空間Sの軸線方向に移動不能とされている。
更に、保持片630は、ヒンジ部633による連結端と反対側の端部に、加圧片635を有している。加圧片635は、保持片630の両側方へ延びる水平アーム部635a、及び、水平アーム部635aの先端から上方へ延びる垂直アーム部635bを有している。保持片630は、第1位置に配置された状態で、下側保持部材610の端部へ向かって先端が上方へ傾いた状態とされる。更に、下側保持部材610には、底面部612に、溝部612bが形成されており、第2位置に配置された保持片630の第1板部631の一部が溝部612bに収容される。
次いで、保持具600にコルゲートチューブ10を保持するための各工程について説明する。
図20及び図21に示すように、保持片630が第1位置にある状態にて、コルゲートチューブ10のスリット11に第1板部631を挿入し且つコルゲートチューブ10の内周側に第2板部632を配置するように、保持片630にコルゲートチューブ10を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ10の端部が保持片630の位置決め片634に当接され、コルゲートチューブ10が軸線方向において位置決めされる。
更に、このように保持片630にコルゲートチューブ10を取り付けた状態にて、コルゲートチューブ10を第2板部632に近づけるように変位させると、図21に示すように、保持片630の第2板部632を構成する係止部632aがコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込む。これにより、コルゲートチューブ10が第2板部632に係止され、コルゲートチューブ10の軸線方向(図21における左右方向)における移動が制限される。
その後、傾斜した状態のコルゲートチューブ10を水平に配置させるように移動させると、コルゲートチューブ10とともに保持片630が移動する。具体的には、保持片630及びコルゲートチューブ10が、保持片630のヒンジ部633を中心に回転移動し、保持片630が第2位置に移動する。その後、上側保持部材620を下側保持部材610に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ10を上側保持部材620と下側保持部材610とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪625を係止片615に係止させる。これにより、コルゲートチューブ10は、下側保持部材610と上側保持部材620とから形成された収容空間S内に収容される。
このとき、上述したように、第2板部632を構成する係止部632aがコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込み、コルゲートチューブ10が第2板部632に係止されている。よって、コルゲートチューブ10は、その端部が収容空間に収容され、且つ、保持片630の第2板部332によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。なお、このとき、コルゲートチューブ10は、第2板部632(係止部632a)と、下側保持部材610の内周面と、に挟まれた状態となり、第2板部632(係止部632a)がコルゲートチューブ10の凹部14に入った状態が維持されることになる。
以上に説明したように、第6実施形態に係る保持具600によれば、保持片630が第1位置にある状態にて保持片630にコルゲートチューブ10を取り付けた後、保持片630とコルゲートチューブ10とを一緒にヒンジ部633を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材610とコルゲートチューブ10との干渉を考慮することなく、保持片630をコルゲートチューブ10に取り付けられる。更に、保持片630とコルゲートチューブ10とを第2位置に移動させた後、下側保持部材610と上側保持部材620とを組み付けることにより、コルゲートチューブ10を収容空間Sに収容すると共に、第2板部632(係止部632a)によってコルゲートチューブ10を保持できる。よって、コルゲートチューブ10への保持具600の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
更に、第2板部632の係止部632aをコルゲートチューブ10の内周面の凹部14に入り込ませることにより、コルゲートチューブ10の中空部を出来る限り狭めることなく、コルゲートチューブ10を保持できる。
<第7実施形態>
次いで、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、コルゲートチューブ保持具(以下「保持具700」という。)と、コルゲートチューブ(以下「コルゲートチューブ70」という。)と、を備えた保持具付きコルゲートチューブに係る実施形態である。
図22に示すように、保持具700は、主として下側保持部材710に設けられる保持片730の形態において、第1実施形態の保持具100と相違する。
具体的には、図22に示すように、保持具100と同様、保持具700の下側保持部材710には、上側保持部材720が被せられるように組み付けられる。下側保持部材710に上側保持部材720を組み付けることにより、コルゲートチューブ70(図23を参照。詳細は後述される。)を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ70は、その端部が、下側保持部材710の収容空間Sに収容されて保持される。
下側保持部材710は、正面部711、底面部712及び側面部713を有している。側面部713は、底面部712の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材710は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)714を有している。リブ714は、コルゲートチューブ70の外周面に形成された凹部72に対応するように、凹部72のピッチと同一または凹部72のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ714の内縁部は、コルゲートチューブ70の外周面の凹部72における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。なお、下側保持部材710の側面部713の外面側には、係止片715が形成されている。
上側保持部材720は、正面部721、上面部722及び側面部723を有している。側面部723は、上面部722の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材720は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)724を有している。リブ724は、コルゲートチューブ70の外周面に形成された凹部72に対応するように、凹部72のピッチと同一または凹部72のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ724の内縁部は、コルゲートチューブ70の外周面の凹部72における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材720の側面部723の外面側には、係止爪725が形成されている。係止爪725は、下側保持部材710に対して上側保持部材720を被せるように装着する際、下側保持部材710の係止片715を係止する。そして、係止片715に対して係止爪725が係止することにより、下側保持部材710に上側保持部材720が組み付けられた状態に維持される。
保持片730は、下側保持部材710に設けられている。保持片730は、第1板部731、第2板部732、ヒンジ部733、及び、傾斜突起部734を有している。第1板部731は、軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部732は、第1板部731に交差する方向に(図22においては上下方向に)第1板部731から突出している。第2板部732は、第1板部731が延びる方向(軸線方向)に沿って第1板部731からの突出量が徐々に大きくなる形状(換言すると、略三角形の形状)を有するように第1板部731から突出している。ヒンジ部733は、下側保持部材710と第1板部731とを繋いでいる。
なお、第2板部732は、必ずしも上述した形状(略三角形の形状)を有する必要はなく、第1実施形態の保持片130の第2板部132と同様の形状(略長方形の形状)を有してもよい。
保持片730は、ヒンジ部733によって下側保持部材710の一方側の側面部713の上端における外面側に、ヒンジ部733を中心に回転移動可能に連結されている。これにより、第1実施形態に係る保持具100と同様、保持片730は、収容空間の外側の第1位置から収容空間の内側の第2位置に移動可能であり且つ収容空間の軸線方向に移動不能とされている。
傾斜突起部734は、第1板部731が延びる方向(軸線方向)に沿って第1板部731からの距離が徐々に大きくなる傾斜面を有するように第1板部731から突出している。換言すると、傾斜突起部734は、略三角形のくさび状の形状を有している。別の言い方をすると、傾斜突起部734は、下側保持部材710の正面部711から離れる向き(即ち、コルゲートチューブ70が挿入される向き)において徐々に突出量が増える傾斜面を有している。
なお、図22において、傾斜突起部734は第1板部731の上面側にのみ示されているが、第1板部731の下面側にも同様の形状の傾斜突起部734が設けられている。
本例において、保持片730は、第1実施形態に係る保持具100とは異なり、コルゲートチューブ70の位置決め片を有していない(例えば、図2の位置決め片134を参照。)。これは、傾斜突起部734の傾斜面が、位置決め片と同等の機能を有するためである。しかし、コルゲートチューブ70の位置決めをより確実に行うため、第1実施形態と同様の位置決め片(図示省略)を、保持片730の下側保持部材710の正面部711と反対側の一端に設けてもよい。
図23に示すように、コルゲートチューブ70は、端部(図23の右方の端部)において、スリット71の幅が広がったスリット拡大部76を有する点において、第1実施形態のコルゲートチューブ10と相違する。
具体的には、コルゲートチューブ70は、周方向の一か所において軸線方向(長さ方向)に延びるスリット71を有している。コルゲートチューブ70は、周方向に延びる複数の凹部72と凸部73とが軸線方向に交互に形成された蛇腹形状を有している。これにより、コルゲートチューブ70は、その内周面に、外周面の凸部73に対応する位置に周方向に延びる凹部74を有し、外周面の凹部72に対応する位置に周方向に延びる凸部75を有している。
コルゲートチューブ70の端部に形成されたスリット拡大部76は、保持片730の傾斜突起部734の傾斜面に対応するように広がった形状を有する。スリット拡大部76は、例えば、第1実施形態のコルゲートチューブ10からスリット拡大部76に相当する部分を切り取ることによって形成されてもよく、スリット拡大部76を最初から有するようにコルゲートチューブ70を製造することによって形成されてもよい。図23から理解されるように、スリット拡大部76は、スリット71を中心としてスリット71の幅方向に広がる切欠き部、とも表現し得る。
図24に示すように、コルゲートチューブ70と保持具700とが組み付けられるとき、スリット拡大部76に保持片730の傾斜突起部734が挟まれるように、傾斜突起部734がスリット拡大部76に挿入される。このとき、スリット拡大部76の両端面と、傾斜突起部734の傾斜面と、は互いに当接することになる(詳細は後述される。)。
次いで、保持具700にコルゲートチューブ70を保持するための各工程について説明する。
図22に示すように、保持片730が第1位置にある状態にて、コルゲートチューブ70のスリット拡大部76に傾斜突起部734を挿入し且つコルゲートチューブ70の内周側に第2板部732を配置するように、保持片730にコルゲートチューブ70を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ70は、傾斜突起部734の傾斜面に案内され、スリット拡大部76の両端面と傾斜突起部734の傾斜面とが当接するまで、挿入される。これにより、コルゲートチューブ70が軸線方向において位置決めされる。
その後、第1実施形態に係る保持具100と同様、保持片730及びコルゲートチューブ70を一緒にヒンジ部733を中心に収容空間Sへ向けて回転移動させることにより、保持片730及びコルゲートチューブ70を第2位置に移動させる。更に、上側保持部材720を下側保持部材710に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ70を上側保持部材720と下側保持部材710とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪725を係止片715に係止させる。これにより、コルゲートチューブ70は、下側保持部材710と上側保持部材720とから形成された収容空間Sに収容される。
このとき、コルゲートチューブ70の外周側の凹部72に、下側保持部材710のリブ714及び上側保持部材720のリブ724が入り込む。これにより、コルゲートチューブ70は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材710及び上側保持部材720のリブ714,724によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
その結果、本実施形態に係る保持具付きコルゲートチューブが得られる。なお、この保持具付きコルゲートチューブは、例えば、図1(d)に示すような外観を有している。
以上に説明したように、第7実施形態に係る保持具付きコルゲートチューブに用いられる保持具700によれば、保持片730が第1位置にある状態にて保持片730にコルゲートチューブ70を取り付けた後、保持片730とコルゲートチューブ70とを一緒にヒンジ部733を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材710とコルゲートチューブ70との干渉を考慮することなく、保持片230をコルゲートチューブ70に取り付けられる。
更に、このとき、コルゲートチューブ70のスリット拡大部76に保持具700の傾斜突起部734を挿入するように取り付けを行えば、コルゲートチューブ70が傾斜突起部734の傾斜面に案内されるため、取り付けが容易になる。
更に、保持片730とコルゲートチューブ70とを第2位置に移動させた後、下側保持部材710と上側保持部材720とを組み付けることにより、コルゲートチューブ70を収容空間Sに収容すると共に、第2板部732(係止部732a)によってコルゲートチューブ70を保持できる。
よって、コルゲートチューブ70への保持具700の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
<第8実施形態>
次いで、第8実施形態について説明する。第8実施形態は、コルゲートチューブ保持具(以下「保持具800」という。)と、コルゲートチューブ(第7実施形態と同様のコルゲートチューブ70)と、を備えた保持具付きコルゲートチューブに係る実施形態である。
図25に示すように、保持具800は、主として下側保持部材810に設けられる保持片830の形態において、第4実施形態の保持具400と相違する。
具体的には、図25に示すように、保持具400と同様、下側保持部材810には、上側保持部材820が被せられるように組み付けられる。下側保持部材810に上側保持部材820を組み付けることにより、コルゲートチューブ70を収容するための円柱状の収容空間Sが画成される。コルゲートチューブ70は、その端部が、下側保持部材810の収容空間Sに収容されて保持される。
下側保持部材810は、正面部811、底面部812及び側面部813を有している。側面部813は、底面部812の両側縁から上方へ延在されている。下側保持部材810は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)814を有している。リブ814は、コルゲートチューブ70の外周面に形成された凹部72に対応するように、凹部72のピッチと同一または凹部72のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ814の内縁部は、コルゲートチューブ70の外周面の凹部72における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。なお、下側保持部材810の側面部813の外面側には、係止片815が形成されている。
上側保持部材820は、正面部821、上面部822及び側面部823を有している。側面部823は、上面部822の両側縁から下方へ延在されている。上側保持部材820は、その内周面から収容空間Sに向けて突出する複数のリブ(凸部)824を有している。リブ824は、コルゲートチューブ70の外周面に形成された凹部72に対応するように、凹部72のピッチと同一または凹部72のピッチの整数倍の間隔をあけて配置されている。リブ824の内縁部は、コルゲートチューブ70の外周面の凹部72における曲率半径と略同一の曲率半径の円弧状に形成されている。上側保持部材820の側面部823の外面側には、係止爪825が形成されている。係止爪825は、下側保持部材810に対して上側保持部材820を被せるように装着する際、下側保持部材810の係止片815を係止する。そして、係止片815に対して係止爪825が係止することにより、下側保持部材810に上側保持部材820が組み付けられた状態に維持される。
保持片830は、下側保持部材810に設けられている。保持片830は、第1板部831、第2板部832a,832b、ヒンジ部833、及び、傾斜突起部834を有している。第1板部831は、収容空間Sの軸線方向に延びる平板状に形成されている。第2板部832a,832bは、第1板部831に交差する方向に(図25においては左右方向に)第1板部831から突出している。ヒンジ部833は、下側保持部材810と保持具800(具体的には、第1板部831)とを繋いでいる。ヒンジ部833は、下側保持部材810の底面部812から収容空間Sに向けて突設された支持部812aの上端に繋がっている。
なお、第2板部832a,832bは、必ずしも上述した形状(略三角形の形状)を有する必要はなく、第1実施形態の保持片130の第2板部132と同様の形状(略長方形の形状)を有してもよい。
保持片830は、ヒンジ部833によって下側保持部材810の底面部812に、ヒンジ部833を中心に回転可能に連結されている。これにより、保持片830は、収容空間Sの内側において、収容空間Sの軸線に対して傾いた第1位置(図12(a)(b)と同様の位置)から収容空間Sの軸線に対して平行な第2位置(図12(c)(d)と同様の位置)へ移動可能であり且つ収容空間Sの軸線方向に移動不能となっている。
より詳細には、保持片830は、第1位置に配置された状態にて、下側保持部材810の正面部811へ向かって先端が上方へ傾いている。更に、下側保持部材810の底面部812には、溝部812bが形成されており、第2位置に配置された保持片830の第2板部832bが溝部812bに収容される。
傾斜突起部834は、第1板部831が延びる方向(軸線方向)に沿って第1板部831からの距離が徐々に大きくなる傾斜面を有するように第1板部831から突出している。換言すると、傾斜突起部834は、略三角形のくさび状の形状を有している。別の言い方をすると、傾斜突起部834は、下側保持部材810の正面部811から離れる向き(即ち、コルゲートチューブ70が挿入される向き)において徐々に突出量が増える傾斜面を有している。
なお、図25において、傾斜突起部834は第1板部831の手前側にのみ示されているが、第1板部831の奥側にも同様の形状の傾斜突起部834が設けられている。
本例において、保持片830は、第4実施形態に係る保持具400とは異なり、コルゲートチューブ70の位置決め片を有していない(例えば、図13の位置決め片434を参照。)。これは、傾斜突起部834の傾斜面が、位置決め片と同等の機能を有するためである。しかし、コルゲートチューブ70の位置決めをより確実に行うため、第4実施形態と同様の位置決め片(図示省略)を、保持片830の下側保持部材810の正面部811と反対側の一端に設けてもよい。
コルゲートチューブ70の形状等については、第7実施形態と同様であるため、記載を省略する(図23及び図24を参照。)。
次いで、保持具800にコルゲートチューブ70を保持するための各工程について説明する。
図24に示すように、保持片830が第1位置にある状態にて、コルゲートチューブ70のスリット拡大部76に傾斜突起部834を挿入し且つコルゲートチューブ70の内周側に第2板部832aを配置するように、保持片830にコルゲートチューブ70を取り付ける。このとき、コルゲートチューブ70は、傾斜突起部834の傾斜面に案内され、スリット拡大部76の両端面と傾斜突起部834の傾斜面とが当接するまで挿入される。これにより、コルゲートチューブ70が軸線方向において位置決めされる。
その後、第4実施形態に係る保持具400と同様、保持片830及び保持片830に取り付けたコルゲートチューブ70を一緒にヒンジ部833を中心に下方へ回転移動させることにより、保持片830及びコルゲートチューブ70を収容空間Sの内側の第2位置に移動させる。更に、上側保持部材820を下側保持部材810に向かって下方へ移動させ、コルゲートチューブ70を上側保持部材820と下側保持部材810とによって挟んだ(収容した)状態にて、係止爪825を係止片815に係止させる。これにより、コルゲートチューブ70は、下側保持部材810と上側保持部材820とから形成された収容空間Sに収容される。
このとき、コルゲートチューブ70の外周側の凹部72に、下側保持部材810のリブ814及び上側保持部材820のリブ824が入り込む。これにより、コルゲートチューブ70は、その端部が収容空間Sに収容され、且つ、下側保持部材810及び上側保持部材820のリブ814,824によって軸線方向に移動不能に保持されることになる。
その結果、本実施形態に係る保持具付きコルゲートチューブが得られる。なお、この保持具付きコルゲートチューブは、例えば、図12(d)に示すような外観を有している。
以上に説明したように、第8実施形態に係る保持具付きコルゲートチューブに用いられる保持具800によれば、保持片830が第1位置にある状態にて保持片830にコルゲートチューブ70を取り付けた後、保持片830とコルゲートチューブ70とを一緒にヒンジ部833を中心として回転移動させて第2位置に移動させることができる。そのため、下側保持部材810とコルゲートチューブ70との干渉を考慮することなく、保持片230をコルゲートチューブ70に取り付けられる。
更に、このとき、コルゲートチューブ70のスリット拡大部76に保持具800の傾斜突起部834を挿入するように取り付けを行えば、コルゲートチューブ70が傾斜突起部834の傾斜面に案内されるため、取り付けが容易になる。
更に、保持片830とコルゲートチューブ70とを第2位置に移動させた後、下側保持部材810と上側保持部材820とを組み付けることにより、コルゲートチューブ70を収容空間Sに収容すると共に、第2板部832a(係止部832a)によってコルゲートチューブ70を保持できる。
よって、コルゲートチューブ70への保持具800の容易な取り付け及びコルゲートチューブ抜けの防止を両立できる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上述した各実施形態では、それぞれ別体の下側保持部材と上側保持部材とから構成された保持部材を備えたものを例示している。しかし、保持部材は、下側保持部材と上側保持部材とをヒンジ等によって連結した一体構造を有してもよい。
更に、例えば、下側保持部材および上側保持部材の一方または双方は、コルゲートチューブ10,70を保持具に保持(収容)した後にコルゲートチューブ10,70の収容位置を確認可能にするため、保持具の外側から内側を視認可能な開口部(窓部)を有してもよい。
ここで、上述した本発明に係るコルゲートチューブ保持具の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(6)に簡潔に纏めて列記する。
(1)(主に図1〜4を参照。)
コルゲートチューブ(10)を保持するための保持具(100)であって、
コルゲートチューブを収容する空間(S)を画成可能な一又は複数の保持部材(110,120)と、
前記空間の軸線方向に延びる第1板部(131)、及び、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(132)、を有する保持片(130)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(133)を更に有する保持片(130)と、を備え、
前記保持片(130)は、
前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の外側の第1位置(図3(a)の位置)から前記空間の内側の第2位置(図3(b)の位置)へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向(図3の紙面前後方向)に移動不能であり、
前記保持部材(110,120)及び前記保持片(130)の少なくとも一方は、
コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(114,124)を有する、
コルゲートチューブ保持具。
(2)(主に図5〜8を参照。)
上記(1)に記載のコルゲートチューブ保持具において、
前記保持片(230)が、
コルゲートチューブの外周面と内周面とを挟むことが可能な距離だけ離れた複数の前記第2板部(232a,232b)を有し、
前記ヒンジ部(233)が、
前記保持片が前記第1位置(図6(a)の位置)から前記第2位置(図6(b)の位置)へ移動したときに破断するように構成されている、
コルゲートチューブ保持具。
(3)(主に図1〜11を参照。)
上記(1)又は上記(2)に記載のコルゲートチューブ保持具において、
前記保持構造が、
前記一又は複数の保持部材の少なくとも一つの内壁面から前記空間に向けて突出する凸部(114,124,214,224)であって、コルゲートチューブの外周面の凹部(12)に対応する形状を有する凸部(114,124,214,224)、
及び、
コルゲートチューブの内周面の凹部(14)に対応する形状(332a)を有する前記第2板部(332)、
の少なくとも一方である、
コルゲートチューブ保持具。
(4)(主に、図12〜15を参照。)
コルゲートチューブ(10)を保持するための保持具(400)であって、
コルゲートチューブを収容する空間(S)を画成可能な一又は複数の保持部材(410,420)と、
前記空間の軸線方向に延びる第1板部(431)、及び、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(432a,432b)、を有する保持片(430)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(433)を更に有する保持片(430)と、を備え、
前記保持片(430)は、
前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の軸線に対して傾いた第1位置(図14の位置)から前記空間の軸線に対して平行な第2位置(図15の位置)へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向(図15の紙面左右方向)に移動不能であり、
前記保持部材(410,420)及び前記保持片(430)の少なくとも一方は、
コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(414,424)を有する、
コルゲートチューブ保持具。
(5)(主に、図16〜19を参照。)
上記(4)に記載のコルゲートチューブ保持具において、
前記保持片(430)が、
コルゲートチューブの外周面と内周面とを挟むことが可能な距離だけ離れた複数の前記第2板部(532a,532b)を有し、
前記ヒンジ部(533)が、
前記保持片が前記第1位置(図17の位置)から前記第2位置(図18の位置)へ移動したときに破断するように構成されている、
コルゲートチューブ保持具。
(6)(主に、図12〜21を参照。)
上記(4)又は上記(5)に記載のコルゲートチューブ保持具において、
前記保持構造が、
前記一又は複数の保持部材の少なくとも一つの内壁面から前記空間に向けて突出する凸部(414,424,514,524)であって、コルゲートチューブの外周面の凹部(12)に対応する形状を有する凸部(414,424,514,524)、
及び、
コルゲートチューブの内周面の凹部(14)に対応する形状(632a)を有する前記第2板部(632)、
の少なくとも一方である、
コルゲートチューブ保持具。
更に、上述した本発明に係る実施形態(保持具付きコルゲートチューブ)の特徴を、それぞれ以下(7)及び(8)に簡潔に纏めて列記する。
(7)(主に、図22〜24を参照。)
コルゲートチューブ(70)と、前記コルゲートチューブを保持するための保持具(700)と、を備えた保持具付きコルゲートチューブであって、
前記保持具(700)は、
前記コルゲートチューブを収容する空間を画成可能な一又は複数の保持部材(710,720)と、
前記空間の軸線方向に延びる第1板部(731)、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(732)、及び、前記第1板部が延びる方向に沿って前記第1板部からの距離が徐々に大きくなる傾斜面を有するように前記第1板部から突出する傾斜突起部(734)、を有する保持片(730)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(733)を更に有する保持片(730)と、を備え、
前記コルゲートチューブ(70)は、
該コルゲートチューブの長さ方向に沿ったスリット(71)と、
該コルゲートチューブの端部において前記スリットが前記傾斜突起部(734)の傾斜面に対応する形状を有するように広がったスリット拡大部(76)と、を備え、
前記保持片(730)は、
前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の外側の第1位置から前記空間の内側の第2位置へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向に移動不能であり、
前記保持部材(710,720)及び前記保持片(730)の少なくとも一方は、
前記コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(714,724)を有する、
と共に、
前記コルゲートチューブの前記スリット拡大部(76)に前記保持片の前記傾斜突起部(734)が挟まれた状態にて、前記コルゲートチューブ(70)が前記保持具(700)に保持される、
保持具付きコルゲートチューブ。
(8)(主に、図25を参照。)
コルゲートチューブ(70)と、前記コルゲートチューブを保持するための保持具(800)と、を備えた保持具付きコルゲートチューブであって、
前記保持具(800)は、
前記コルゲートチューブを収容する空間を画成可能な一又は複数の保持部材(810,820)と、
前記空間の軸線方向に延びる第1板部(831)、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(832a,832b)、及び、前記第1板部が延びる方向に沿って前記第1板部からの距離が徐々に大きくなる傾斜面を有するように前記第1板部から突出する傾斜突起部(834)、を有する保持片(830)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(833)を更に有する保持片(830)と、を備え、
前記コルゲートチューブ(70)は、
該コルゲートチューブの長さ方向に沿ったスリット(71)と、
該コルゲートチューブの端部において前記スリットが前記傾斜突起部(834)の傾斜面に対応する形状を有するように広がったスリット拡大部(76)と、を備え、
前記保持片(830)は、
前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の軸線に対して傾いた第1位置から前記空間の軸線に対して平行な第2位置へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向に移動不能であり、
前記保持部材(810,820)及び前記保持片(830)の少なくとも一方は、
前記コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(814,824)を有する、
と共に、
前記コルゲートチューブの前記スリット拡大部(76)に前記保持片の前記傾斜突起部(834)が挟まれた状態にて、前記コルゲートチューブ(70)が前記保持具(800)に保持される、
保持具付きコルゲートチューブ。
更に、上述した本発明に係る実施形態の他の特徴(保持具付きコルゲートチューブの製造方法の特徴)を、それぞれ以下[9]及び[10]に簡潔に纏めて列記する。
[9](主に、図1〜11を参照。)
コルゲートチューブ(10)とコルゲートチューブ保持具(100)とを備えた保持具付きコルゲートチューブの製造方法であって、
前記コルゲートチューブ保持具(100)は、前記コルゲートチューブを収容する空間(S)を画成可能な一又は複数の保持部材(110,120)と、前記空間の軸線方向に延びる第1板部(131)、及び、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(132)、を有する保持片(130)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(133)を更に有する保持片(130)と、を備え、
前記保持片(130)が、前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の外側の第1位置(図3(a)の位置)から前記空間の内側の第2位置(図3(b)の位置)へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向(図3の紙面前後方向)に移動不能であり、
前記保持部材(110,120)及び前記保持片(130)の少なくとも一方が、前記コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(114,124)を有し、
該製造方法は、
前記保持片(130)が前記第1位置にある状態(図3(a))にて、前記コルゲートチューブのスリット(11)に前記第1板部(131)を挿入し且つ前記コルゲートチューブの内側に前記第2板部(132)を配置するように、前記保持片に前記コルゲートチューブを取り付ける工程(図1(b))と、
前記保持片及び前記コルゲートチューブを前記ヒンジ部(133)を中心に回転移動させることによって前記第2位置(図3(b))へ移動させる工程と(図1(c))、
前記保持構造(114,124)によって前記コルゲートチューブを保持する工程(図1(d))と、
を含む、
保持具付きコルゲートチューブの製造方法。
[10](主に、図12〜21を参照。)
コルゲートチューブ(10)とコルゲートチューブ保持具(400)とを備えた保持具付きコルゲートチューブの製造方法であって、
前記コルゲートチューブ保持具は、前記コルゲートチューブを収容する空間(S)を画成可能な一又は複数の保持部材(410,420)と、前記空間の軸線方向に延びる第1板部(431)、及び、前記第1板部に交差する方向に前記第1板部から突出する第2板部(432a,432b)、を有する保持片(430)であって、前記一又は複数の保持部材の一つと該保持片とを繋ぐヒンジ部(433)を更に有する保持片(430)と、を備え、
前記保持片(430)は、前記ヒンジ部を中心に回転移動することによって前記空間(S)の軸線に対して傾いた第1位置(図14の位置)から前記空間の軸線に対して平行な第2位置(図15の位置)へ前記空間の画成時に移動可能であり、且つ、前記空間の軸線方向(図15の紙面左右方向)に移動不能であり、
前記保持部材(410,420)及び前記保持片(430)の少なくとも一方は、前記コルゲートチューブを前記空間の軸線方向に移動不能に保持可能な保持構造(414,424)を有し、
該製造方法は、
前記保持片(430)が前記第1位置にある状態(図14)にて、前記コルゲートチューブのスリット(11)に前記第1板部(431)を挿入し且つ前記コルゲートチューブの内側に前記第2板部(432a,432b)を配置するように、前記保持片に前記コルゲートチューブを取り付ける工程(図12(b))と、
前記保持片及び前記コルゲートチューブを前記ヒンジ部(433)を中心に回転移動させることによって前記第2位置(図15)へ移動させる工程(図12(c))と、
前記保持構造(414,424)によって前記コルゲートチューブを保持する工程(図12(d))と、
を含む、
保持具付きコルゲートチューブの製造方法。