JP7115252B2 - 酸化物単結晶の製造方法及び結晶育成装置 - Google Patents

酸化物単結晶の製造方法及び結晶育成装置 Download PDF

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Description

本発明は、高周波誘導加熱炉等を用いたチョクラルスキー(以下、「Cz」と略称する)法による酸化物単結晶の製造方法及び結晶育成装置に関する。
強誘電体であるタンタル酸リチウム(LiTaO3:以下、「LT」と略称する)やニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、「LN」と略称する)単結晶から加工される酸化物単結晶基板は、主に移動体通信機器において電気信号ノイズを除去する表面弾性波素子(SAWフィルター)の材料として用いられている。
SAWフィルターの材料となるLT、LN単結晶は、産業的には主にCz法によって育成されている。Cz法とは、図1に示すように、坩堝内の原料融液表面に種結晶となる単結晶片を接触させ、該種結晶を回転させながら上方に引き上げることにより種結晶と同一方位の円筒状単結晶を育成する方法である。種結晶の回転速度や引上速度は、育成する結晶の種類、育成時の温度環境に依存し、これ等の条件に応じて適切に選定する必要がある。また、結晶育成に際しては、成長界面で融液の結晶化によって生じる固化潜熱を、種結晶を通して上方に逃がす必要があるために、成長界面から上方に向って温度が低下する温度勾配下で行う必要がある。加えて、育成結晶の形状が曲がったり、捩れたりしないようにするために、原料融液内においても、成長界面から坩堝壁に向って水平方向に、且つ成長界面から坩堝底に向って垂直方向に温度が高くなる温度勾配下で行う必要がある。
例えば、LT単結晶育成の場合は、LT結晶の融点が1650℃と高温であることから、高融点金属であるイリジウム(Ir)製の坩堝を用い、高周波誘導加熱式の電気炉(育成炉)を用いて育成されている。育成時の引上速度は、一般的には数mm/H程度、回転速度は数r.p.m.程度で行われる。また、育成時の炉内は、酸素濃度数%程度の窒素-酸素の混合ガス雰囲気とするのが一般的である。このような条件下で、所望の大きさまで結晶を育成した後は、引上速度の変更や融液温度を徐々に高くする等の操作を行うことで、育成結晶を融液から切り離し、その後、育成炉のパワーを所定の速度で低下させることで徐冷し、炉内温度が室温近傍となった後に育成炉内から結晶を取り出す。取り出された結晶は、温度勾配がある育成炉内の環境で結晶育成、冷却がなされたために、結晶内に温度差に起因する熱歪(残留歪)が内在している。その残留歪を取り除くために、均熱炉内でアニール、徐冷を行う。この工程を、アニール処理と呼んでいる。
LT、LN単結晶のような強誘電体は、結晶の温度がキュリー温度以下となると自発分極によって結晶内にプラス、マイナスの電気的な極性が発生するが、アニール後の結晶は、その極性の方向が結晶内で揃ってない。従って、アニール後の結晶は、電気的極性を揃えるためにポーリング処理を行う。ポーリング処理とは、結晶の電気的極性方向にプラス、マイナスの一対の電極を取り付けて、キュリー温度以上まで昇温した後に、結晶に電圧を印加し、その電圧印加を維持したままで、結晶温度をキュリー温度以下まで低下させる工程をいう。LT結晶のキュリー温度は約600℃であるので、LT結晶のポーリング処理は、結晶温度を600℃以上とした後に電圧を印加して行う。LN結晶のキュリー温度は約1140℃であるので、結晶温度を1140℃以上としてポーリング処理を行う。ポーリング処理後の結晶は、育成方位とほぼ垂直にスライスし、その後の研磨工程によって厚さ数百ミクロン程度の単結晶基板に加工され、SAWフィルターの材料として用いられる。
ところで、LT単結晶育成においては、所定の直径を有しかつ結晶長の長い結晶を育成する必要がある。そこで、例えば、特許文献1に示すように、引上げ軸の上方に設置しているロードセルでの結晶重量測定、及び引上げ軸の引上げ長さのデータより育成する結晶の直径が一定の直径になるように出力等を調整し、育成される結晶径が所定径になるように自動制御して結晶を育成するのが一般的である。
しかし、このような構成を用いてLT、LNの単結晶育成を行った場合でも、育成炉内から結晶を取り出した際、しばしば、多結晶化する事態が発生していた。LT、LNの単結晶育成では、種結晶を接触させてから初期の肩部育成では、結晶重量が小さく、かつ加熱温度が高いため出力と熱の応答性も遅いため自動制御が難しく、所望の結晶径までは、手動で所望の直径まで成長させてから自動制御を行っている。この時の手順は、坩堝内の原料融液表面に種結晶先端部を接触させ、原料融液と種結晶を馴染ませたのち、引上げを開始させる。引上げを開始させた後は、結晶の急成長が発生し易いため高周波誘導加熱炉上部の観察窓に設置したカメラで撮影された映像をもとに、形成される結晶の目視確認、坩堝の底に設置している熱電対の温度変化、及び引上げ軸の上方に設置しているロードセルでの結晶重量測定値を確認しながら、高周波誘導加熱炉の出力操作を行い所望の結晶径まで成長させてから、直径自動制御へ移行させている。このため、初期の肩部育成時の高周波誘導加熱炉の出力操作の変更量は、作業者でバラツキがあり、一部で肩部育成時に急成長を発生させ多結晶化し単結晶化率を低下させ生産性を悪化させていた。反対に結晶の成長が遅いと、自動制御に移行させるまでに時間がかかってしまいコストアップの要因となっていた。
特開2016-199417号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、酸化物単結晶の初期肩部育成時の出力操作のバラツキを抑制し最適化を図り、酸化物単結晶を、特にLT、LN単結晶を生産性良く育成する方法及び結晶育成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る酸化物単結晶の製造方法は、坩堝内に投入された原料を加熱溶融した後に、該原料融液に種結晶を接触させて、回転させながら引上げることで単結晶を育成するCz法による酸化物単結晶育成方法であって、
育成中の単結晶の重量測定値と過去の単結晶育成のデータとから予測重量を算出するステップと、
算出した予測重量から、単結晶の予想直径を算出するステップと、
前記単結晶の予測直径に基づいて、予測直径変化速度を算出するステップと、
前記予測直径変化速度を管理しながら、前記単結晶を育成するステップと、を有する。
本発明によれば、肩部育成時の作業者による高周波誘導加熱炉等の出力操作のバラツキが抑制され最適化が図れ、LT、LN等の大型酸化物単結晶を高単結晶化率で得ることが可能となり、大幅な生産性向上、コストダウンが図れる。
本発明の実施形態に係る単結晶育成装置の一例を示した概要図である。 引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量と移行時間との関係について示した図である。 引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量と熱電対の温度変化量について示した図である。 本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法により製造された単結晶の直径変動を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の実施形態に係るチョクラスキー法を用いた結晶育成装置は、大気中または酸素を含んだ不活性ガス雰囲気中で育成されるニオブ酸リチウムLiNbO(以下LN)、タンタル酸リチウムLiTaO(以下LT)、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12(以下YAG)などの酸化物単結晶の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は数mm程度の単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら徐々に引上げることによって、種結晶の方位と同一の単結晶を製造する方法である。
図1は、本発明の実施形態に係る単結晶育成装置の一例を示した概要図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、坩堝10と、坩堝台20と、リフレクタ30と、アフター・ヒーター40と、断熱材50と、耐火物60と、誘導コイル70と、引き上げ軸80と、載置台90と、チャンバー100とを備える。
また、引上げ軸80の下端には種結晶保持部81が設けられ、種結晶150を保持している。また、坩堝10内には原料融液160が貯留保持されている。
本実施形態に係る結晶育成装置において、坩堝10は坩堝台20の上に載置されている。坩堝10の上方には、リフレクタ30を介して、アフター・ヒーター40が設置されている。坩堝10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40の周囲を囲むように断熱材50及び耐火物60が設けられている。更に、坩堝10、坩堝台20、リフレクタ30、アフター・ヒーター40、断熱材50及び耐火物60を取り囲むように誘導コイル70が設けられている。また、誘導コイル70の外側にはチャンバー100が設けられ、断熱材50及び誘導コイル70の周囲全体を覆っている。
坩堝10の上方には、引き上げ軸80が設けられている。引き上げ軸80は、下端に種結晶保持部81を有し、図示しない引き上げ軸駆動モータにより昇降可能に構成されている。耐火物60の下方かつチャンバー100内には載置台90が設けられ、チャンバー100以外の全体を支持している。
また、結晶育成装置全体の動作を制御するための制御部110と、過去の結晶育成情報を記憶するための記憶部111と、誘導コイル70及び結晶育成装置全体に電力を供給するための電源120がチャンバー100の外部に設けられる。
次に、個々の構成要素について説明する。
坩堝10は、結晶原料を貯留保持し、単結晶を育成するための容器である。坩堝は高周波誘導加熱による発熱体になるため抵抗の低い金属が使用される。LT等の酸化物結晶育成では酸素を含む雰囲気で育成されるため、耐熱性があり酸素と反応しない貴金属、Pt(白金)、Rh(ロジウム)やIr(イリジウム)等の単体又はそれらの合金からなることが好ましい。
坩堝台20は、坩堝10を下方から支持する支持台として設けられる。坩堝台20は、誘導コイル70の加熱に耐え得る十分な耐熱性及び坩堝10を支持する耐久性を有すれば、種々の材料から構成されてよい。
リフレクタ30とアフター・ヒーター40も坩堝10と同様の特性が要求されるため、坩堝10と同様に貴金属、Pt、RhやIr等の単体又はそれらの合金からなることが好ましい。
断熱材50、耐火物60及び坩堝台20にはアルミナやジルコニア、マグネシア、カルシア等の焼結体耐火物が使われる。
誘導コイル70は、坩堝10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を加熱するための手段であり、坩堝10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を囲むように配置する。誘導コイル70は、坩堝10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を誘導加熱できれば形態は問わないが、例えば、高周波加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置として構成される。なお、高周波誘導加熱方式に替えて抵抗加熱方式の加熱手段を用いてもよい。
引き上げ軸80は、種結晶150を保持し、坩堝10に保持された原料融液160の表面に種結晶150を接触させ、回転しながら単結晶を引き上げるための手段である。引き上げ軸80は、種結晶150を保持する種結晶保持部81を下端部に有するとともに、図示しない引き上げ軸駆動モータを備える。なお、引き上げ軸駆動モータは、結晶の引き上げの際、結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構である。
チャンバー100は、坩堝10及びアフター・ヒーター40の誘導コイル70による発熱を内部に保持し、外部への放出を防ぐ役割を果たす。チャンバー100は、耐熱性の高い材料で構成される。断熱材50及びチャンバー100は、天井面に開口51、101を有し、引き上げ軸80を挿入可能に構成される。
載置台90は、断熱材50を含む全体を支持するための支持手段である。
制御部110は、結晶育成装置の全体の動作を制御し、単結晶育成中における誘導コイル70の加熱の仕方も制御する。本実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法では、単結晶の肩部の個体差を低減させるための自動制御も必要に応じて行う。
次に、本実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法の説明を行うが、理解の容易のため、まず、従来の酸化物単結晶の製造方法について説明する。
[従来法]
引上げを開始させたのち、手動で高周波誘導加熱炉の出力操作を行い、所望の結晶径まで成長させ、育成される結晶径が所定径になるように自動制御(以下、高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御)へ移行させる。例えばLT単結晶の直径が150mmの単結晶を育成する場合、種結晶150を接触させたから高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御に移行させる単結晶肩部の直径はφ30mm程度である。この出力操作に起因して、しばし育成中の単結晶が急成長等の問題が発生する。このため、従来は、高周波誘導加熱炉上部の観察窓に設置したカメラで撮影された映像をもとに、形成される結晶状態の目視確認、坩堝10の底に設置している熱電対の温度変化、及び引上げ軸の上方に設置しているロードセルでの結晶重量測定値を確認し、結晶の急成長等の不具合を抑制の為に、高周波誘導加熱炉の出力操作を行っていた。しかし、ロードセルでの結晶重量測定値は小さく、高周波誘導加熱炉の出力操作の変更量は作業者でバラツキがあった為、安定して結晶を得る事が出来なかった。
[従来法に係る高周波誘導加熱炉出力に関する調査]
肩部育成時に単結晶の肩部が急成長し多結晶が発生した育成結晶等を含め、引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量(自動制御開始時の出力量-引上げ開始時の出力量)、及び引上げ開始から自動制御開始までの移行時間、熱電対の温度変化量(自動制御開始時の温度-引上げ開始時の温度)を調査した。図2及び図3にこの調査結果を示す。
図2は、引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量と移行時間との関係について示した図である。図2から、上述の従来法で育成された結晶の出力操作の変更量(下げ量)は、0.0~―0.05kwに対し自動制御へ移行させるまでの時間は2時間程度から15時間程度とバラツキがあった。多結晶が発生した育成結晶は結晶成長を促す為の出力操作の変更量(下げ量)が大きく、逆に単結晶は出力操作の変更量が小さい傾向にある。しかし、出力操作量が小さくとも多結晶になる場合ある。
ここで、図2から、移行時間が4時間以上の場合には、単結晶が得られているが、4時間未満であると、多結晶が発生していることが分かる。よって、移行時間を4時間以上にすれば、高品質の単結晶を製造できるのではないかと推測される。
図3は、引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量と熱電対の温度変化量について示した図である。図3の結果から、単結晶は出力変化量に関係なく、温度変化量が-0.7℃以上で得られることが判る。図2、図3より、単結晶を得るには、温度変化量が-0.7℃以上にするために移行時間を4時間以上かけてゆっくりと単結晶の肩部を形成する必要がある事が判った。
[本発明の製造方法]
図2、図3の調査結果から、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が結晶欠陥に関係がある事が判った。発明者らは、多結晶の発生原因は、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が早い、すなわち、肩部育成時の急成長が育成結晶の単結晶化率に関係すると考えた。つまり、図2に示されるように、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が4時間以上の場合には、安定して単結晶を製造することができ、4時間未満の場合には、多結晶が製造されている。よって、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間を4時間以上とするような制御を行うことが、本実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法の一態様として挙げられる。なお、図2において、多結晶を示す三角形のプロット点のうち、1点だけ頂点が4時間に接触している点があるが、実際の移行時間は三角形の重心の位置であるから、4時間以上のプロット点は総て単結晶となっている。
また、上述のように、単結晶育成では種結晶を接触させてから初期の肩部育成では、結晶重量が小さくかつ加熱温度が高いため出力と熱の応答性も遅く自動制御が難しく、所望の結晶径までは手動で成長させてから自動制御を行っている。このため、高周波誘導加熱炉の出力操作の変更量は作業者でバラツキがあった為、安定して結晶を得る事が出来なかった。
そこで、本発明においては、単結晶であった育成の過去のログデータ、結晶育成時のパラメータから、育成する重量や直径を予測し、その予測に基づき所定の移行時間になるように推奨の出力操作量を算出し、これに基づき初期の肩部の育成を行う。なお、過去のログデータは、記憶部111に記憶してもよいし、制御部110内のメモリに記憶してもよい。
まず、調査結果から単結晶であった育成の過去のログデータ、結晶育成時のパラメータから係数を算出する。引上げ軸の上方に設置しているロードセルでの結晶重量測定値(実際の測定重量)をもとに、測定重量をwn(nは2以上の自然数)、1ステップ当たりの予想重量変化量をΔwとしたときに、以下の関係式(1)より、プログラムの1ステップ先の予想重量w(n+1)算出する。
((wn-w(n-2))/2=Δw)、wn+Δw=w(n+1) (1)
例えば、n=2のとき、以下の関係式(2)のようになる。
((w2-w0)/2=Δw)、(w2+Δw=w3) (2)
なお、上記において、W0が最初のデータ、数字が大きいほど新しいデータとし、各データの測定周期は任意で良いが、1~2分程度が好ましい。また、取得するデータの個数は任意だが、測定重量のバラツキから最適化してもよい。例えば、測定重量を複数取得しその平均値を使用する等を行ってもよい。以後、測定周期をステップでカウントすることとする。
次に、w(n+1)(nは5以上の自然数)を用いて予想直径をd(n+1)(nは5以上の自然数)とした場合、関係式(3)から予想直径を算出する。
((w(n+1)~w(n-5)の傾き×係数)1/2*2=d(n+1)) (3)
ここで、w(n+1)を(1)式から求め、(3)式を用いれば、当然に予測直径d(n+1)が求められる。(w(n+1)~w(n-5)の傾きの算出方法は、例えば、個々のデータより線形回帰直線の傾きを求めてもよい。
例えば、n=5とした場合、予想重量w6を用いて予想直径をd6とした際、関係式((w6~w0の傾き×係数)1/2*2=d6)より1ステップ先の予想直径を算出する。
その後、(nは29以上の自然数)を用いて予想直径変化速度v(n+1)(nは29以上の自然数)とした場合、関係式(4)から予想直径変化速度v(n+1)を算出する。(d(n+1)~d(n-29)の傾き=v(n+1) (4)
ここで、d(n+1)を(3)式から求め、(4)式を用いれば、当然に予測直径変化速度v(n+1)が求められる。
例えば、n=29とした場合、d30を用いて予想直径変化速度をv30とした際、(d30~d0の傾き=v30)より1ステップ先の予想直径変化速度を算出した。
d(n+1)~d(n-29)の傾きの算出方法は、例えば、個々のデータより線形回帰直線の傾きを求めてもよい。なお、上記の予測直径d(n+1)や予測直径変化速度v(n+1)を求める時のデータ数については、測定周期等を考慮して適宜設定してもよい。例えば、測定周期が1分~2分の場合、予測直径d(n+1)のデータ数は予測値を含め6、予測直径変化速度v(n+1)のデータ数は予測値を含め30程度が好ましい。
そして、予想直径変化速度v(n+1)に応じて高周波誘導加熱炉の出力操作をする。この時、直径変化速度は、所望する引上げ開始から自動制御開始までの移行時間になる様に、直径変化速度を管理する。例えば、LT単結晶において、移行時間を4時間とし、引上げ開始時の直径をφ6mmとし、自動制御を行う肩部の直径をφ30mmと設定した場合、直径変化速度は、少なくとも、0.1mm/min以下に設定し、この数値以下になるように出力操作を行う。図4にその時の直径変動について示す。ほぼ一定の傾きで初期の肩部の育成を行うことができている。
このような状態で結晶育成を行った場合、作業者での出力操作のバラツキは少なくなる。また、予想直径変化速度v(n+1)を算出することで急成長や出力の上げ過ぎに伴う成長停止を事前に検出する事ができ、それに応じて出力調整する事で、急成長、成長停止の抑制ができ、一定の速度で成長させる事ができる。さらに、実際に急成長等が始まってから出力操作を行うことが無くなり、肩育成時に急成長を抑制することができる。これにより結晶の多結晶化を防止することができる。
つまり、nの数が変化しても、予想直径変化速度v(n+1)が一定となるように制御部110で誘導コイル70の出力制御を行えば、多結晶化を防止し、単結晶を製造することができる。その際、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が4時間以上となるように制御を行えば、更に高品質のLT単結晶を製造することができる。
なお、反対に成長が遅いと、高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が長くなり、多結晶化は防止できるが育成時間延長になり生産性を劣化させる。よって、引上げ開始から自動制御開始までの移行時間は、10時間未満になるように調整することが好ましい。
また、LNについても、LT同様に、引上げ開始から自動制御開始までの出力操作の変更量、及び熱電対の温度変化の調査を行い、プログラムの1ステップ先の予想重量、予想直径、予想直径変化速度を算出する事ができ、最適な出力操作をする事が出来る。
なお、関係式(1)、(3)を用いて自動制御を行い、酸化物単結晶の肩部を自動制御により形成するようにしてもよい。この後は、従来から存在する高周波誘導加熱炉プログラムに引き継ぐので、単結晶の引上げから高周波誘導加熱炉プログラムまでも更に自動制御で行うことができ、一定の品質を有する単結晶を高品質で量産することが可能となる。
[実施例]
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
高周波誘導加熱炉内に図1に示す構成を構築し、引上げ開始後の重量変化をもとに、プログラムの1ステップ先の予想重量、予想直径、予想直径変化量を算出し、それに応じて高周波誘導加熱炉の出力操作を行い、LT単結晶育成を行った。この時、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間は4時間から6時間に設定した。
Ir(イリジウム)製坩堝内にLT原料をチャージし、原料融解後に、種結晶先端部を原料融液に浸し、回転させながら引上げることで、直径φ6インチ、直胴部長さ120mmのLT単結晶育成を得た。得られた単結晶の重量は約20kgであった。
同様の条件で繰り返し育成を50run(50回運転)行った結果、育成結晶の多結晶発生は2runであった。多結晶発生以外の不良の発生があったために、育成50runの内、得られた単結晶本数は45本であり、単結晶化率は90%であった。
[実施例2]
引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間が10時間以上とした。出力を調整した以外は、実施例1と同一の条件でLT単結晶育成を行った。
同様の条件で、φ6インチ、直胴長さ120mm、結晶重量約20kgのLT結晶の繰り返し育成を50run行った結果、育成結晶の多結晶発生は1runであった。多結晶発生以外の不良が発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は、46本で、単結晶化率92%であった。しかし、育成開始から結晶取出しまでにかかる日数は、実施例1と比べると1日多くなった。
[比較例]
高周波誘導加熱炉上部の観察窓に設置したカメラで撮影された映像をもとに、形成される結晶の目視確認、坩堝の底に設置している熱電対の温度変化、及び引上げ軸の上方に設置しているロードセルでの結晶重量測定値を確認しながら、高周波誘導加熱炉の出力操作を行い、LT単結晶育成を行った。引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの時間は3時間~15時間であった。出力を調整した以外は、実施例1と同一の条件で結晶育成を行った。
同様の条件で、φ6インチ、直胴長さ120mm、結晶重量約20kgのLT結晶の繰り返し育成を50run行った結果、育成結晶の多結晶発生は20runであった。多結晶発生以外の不良が発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は、24本で、単結晶化率48%であった。
このように、本実施例によれば、予想直径変化速度v(n+1)が略一体となるように制御して単結晶の肩部を形成することにより、高い単結晶化率を有する高品質の酸化物単結晶を製造することができることが示された。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムをCz法を用いて生産する場合に有効である。
本発明に係る酸化物単結晶の育成方法及び結晶育成装置によれば、引上げ開始から高周波誘導加熱炉プログラムの自動制御へ移行させるまでの出力操作を定量化することで多結晶化の抑制、結晶育成時間延長の抑制がされ、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の大型酸化物単結晶を高単結晶化率で得ることが可能となり、大幅な生産性向上、コストダウンが図れる。
10 坩堝
20 坩堝台
30 リフレクタ
40 アフター・ヒーター
50 断熱材
60 耐火物
70 ヒータ
80 引上げ軸
90 載置台
100 チャンバー
110 制御部
111 記憶部
120 電源
150 種結晶
160 原料融液

Claims (7)

  1. 坩堝内に投入された原料を加熱溶融した後に、原料融液に種結晶を接触させて、回転させながら引上げることで単結晶を育成するCz法による酸化物単結晶育成方法であって、
    育成中の単結晶の重量測定値と過去の単結晶育成のデータとから単結晶の予測重量を算出するステップと、
    算出した予測重量から、単結晶の予想直径を算出するステップと、
    前記単結晶の予測直径に基づいて、予測直径変化速度を算出するステップと、
    前記予測直径変化速度を管理しながら、前記単結晶を育成するステップと、を有する酸化物単結晶の製造方法。
  2. 前記単結晶を育成するステップは、前記予測直径変化速度が略一定となるように前記単結晶を育成するステップを含む請求項1に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  3. 前記予測直径変化速度が略一定となるように前記単結晶を育成するステップは、自動制御により行われる請求項2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  4. 引上げ開始から前記単結晶の所定の直径の肩部を形成するまでは、所定の時間以上かけて前記単結晶を育成する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  5. 前記所定の時間は4時間以上である請求項4に記載に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  6. 前記酸化物単結晶が、タンタル酸リチウム、若しくはニオブ酸リチウムである請求項1乃至5のいずれか一項に記載された酸化物単結晶の製造方法。
  7. 原料融液を貯留する坩堝と、
    種結晶を保持し、前記原料融液に種結晶を接触させて単結晶を育成しながら引き上げる引上げ軸と、
    前記単結晶の重量を測定する重量測定手段と、
    過去の単結晶育成データを記憶する記憶部と、
    単結晶の育成動作を制御する制御部と、を有し、
    該制御部は、育成中の単結晶の重量測定値と過去の単結晶育成のデータとから単結晶の予測重量を算出するステップと、
    算出した予測重量から、単結晶の予想直径を算出するステップと、
    前記単結晶の予測直径に基づいて、予測直径変化速度を算出するステップと、
    前記予測直径変化速度を管理しながら、前記単結晶を育成するステップと、を実行する結晶育成装置。
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