JP7106978B2 - 結晶育成装置及び単結晶の製造方法 - Google Patents

結晶育成装置及び単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶育成装置及び単結晶の製造方法に関する。
酸化物単結晶の製造方法としては、酸化物単結晶になる原料を充填したルツボを高温に加熱してこの原料を溶融し、ルツボ内の原料融液の液面に上方から種結晶を接触させた後に回転させながら上昇させることで種結晶と同一方位の酸化物単結晶を育成するチョクラルスキー法による結晶育成方法が広く実施されている。
図1は、チョクラルスキー法による結晶育成を行うための一般的な結晶育成装置の一例を示した図である。酸化物単結晶育成は、図1に示すようにルツボ10の外側に誘導コイル70を配置し、誘導コイル70に高周波電流を流すことによってルツボ10に渦電流を生じさせ、これによってルツボ10が発熱してルツボ10内の原料が溶融する方法により主に行われている。
また、引き上げが進むにつれて単結晶の上部は、シード棒(引き上げ軸)80からの伝熱や結晶表面からの熱輻射により冷却される。成長中の単結晶内の温度分布が大きくなるため、ルツボ10の上部を保温する工夫がなされている。例えば、結晶内の温度差に伴う熱応力によるクラックを抑制するため、ルツボ10の上部に、ルツボ10以外の発熱体である円筒状のアフター・ヒーター40を配置している。また、ルツボ10の上部を保温するためドーナツ状のリフレクタ30を配置することもある。
チョクラルスキー法による単結晶育成では、ルツボ10の原料融解面に種結晶を接触させて回転させ、徐々に引き上げながら結晶を成長させている。結晶を成長させるためには融液界面温度は融点に保ちつつ結晶成長に伴って発生する潜熱を結晶上部に放熱しなければならない。そのため結晶が成長するに伴って、加熱源である高周波電力を適切な範囲で低下させなければならない。
これらの加熱法では、炉内設置した誘導コイル70に高周波電流を流し、それによって高周波磁場を発生させる。高周波磁場により金属製のルツボ10や金属製の円筒(アフター・ヒーター40)に電流が誘導され、この誘導電流によって金属にジュール熱が発生する。
誘導コイル70と導電材料の位置、導電材料の形状により、磁場分布が変化するとそれに伴って誘導電流量、発熱量が変化する。これらの位置が固定されることで発熱分布が決まるので、高周波電力の増減で発熱分布の強度を変えることができる。
図2は、図1に示した結晶育成装置のルツボ10の周囲の磁場を計算した結果を示した図である。図2の磁場の計算結果が示すように、磁場はルツボ10や導電体の角に集中する。そのため角部の誘導電流が大きくなり、ルツボ10の角部の発熱が大きくなる。ルツボ底の中央部やルツボの胴部等の発熱は小さい。
これらの発熱が熱伝導や対流により伝熱してルツボ内の融液温度分布が決まる。結晶育成時には、結晶の成長に伴って融液の液面が低下し、融液と結晶の固液界面が融点を保つように高周波出力を低下させる。これに伴いルツボ底部中央部では温度が低下し、場合によってはルツボ底部中央より原料融液が固化する現象(融液固化)が発生することがある。また、このままの状態で結晶の育成を続けた場合、固化した結晶はルツボ底部から上方に成長し、育成している結晶と融着してしまい、育成を中止しなければならない事態が発生することもある。
近年、上記のような単結晶を製造するコストを低減するために、ルツボの使用回数をできる限り増やして長期間使用する試みがなされている。しかしながら、ルツボの使用回数を増加させるにつれてルツボの変形が進み、ルツボの角部が丸くなる等により角部の発熱が減少し、ルツボ底部中央の融液固化が起きやすくなるという問題があった。
特許文献1では、ルツボの使用回数を増加させるにつれてルツボの変形が進み、その変形の仕方によっては、歩留まりが低下したりボイド等が単結晶中に含まれたりするという問題が指摘され、その対策としてルツボ底面側の板厚を側面方向の板厚よりも薄くして、底面側に変形を逃がすようなルツボ構造が提案されている。
特開2012-250874号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、底面側に変形を逃がすとしてもルツボ底部の角の発熱は減少し、ルツボ底部中央の融液固化の問題は解決しない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、チョクラルスキー法による単結晶育成装置において、結晶体の育成回数増加に伴うルツボ変形による発熱分布の変化を補正し、ルツボ底部の原料固化を、効率的に防止できる結晶育成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る結晶育成装置は、原料融液を貯留保持可能な金属製のルツボと、
該ルツボを下方から支持するとともに、該ルツボよりも外側の所定位置に設けられた補助ヒータ設置部を有するルツボ台と、
前記ルツボの周囲に設けられた誘導コイルと、
前記ルツボが外側方向に変形したときに、前記補助ヒータ設置部に設置される補助ヒータと、を有し、
前記補助ヒータの上面は、前記ルツボを支持する支持面と同一あるいは支持面よりも下方に設けられる。
本発明によれば、結晶育成回数が増加してもルツボ底部中央からの融液固化が無く育成できる単結晶育成装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るルツボ変形前の結晶育成装置の一例を示した概要図である。 図1に示した結晶育成装置のルツボの周囲の磁場を計算した結果を示した図である。 図1に示した結晶育成装置のルツボの周囲の磁場強度分布を計算した結果を示した図である。 変形が生じたルツボを有する結晶育成装置の一例を示した図である。 図1と図4に示すルツボの発熱密度を計算した結果を示した図である。 シーディング時のルツボと融液の温度分布を示した図である。 ルツボ変形後の本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の実施形態に係るチョクラスキー法を用いた結晶育成装置は、大気中または酸素を含んだ不活性ガス雰囲気中で育成されるニオブ酸リチウムLiNbO(以下LN)、タンタル酸リチウムLiTaO(以下LT)、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12(以下YAG)などの酸化物単結晶の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は数mm程度の単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら徐々に引上げることによって、種結晶の方位と同一の単結晶を製造する方法である。
図1は、本発明の実施形態に係るルツボ変形前の結晶育成装置の一例を示した概要図である。本実施形態に係る結晶育成装置において、ルツボ変形前は、従来の結晶育成装置と同様の構成を有する結晶育成装置を使用する。よって、図1の結晶育成装置を、ルツボ変形前の本実施形態に係る結晶育成装置として説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、ルツボ10と、ルツボ台20と、リフレクタ30と、アフター・ヒーター40と、断熱材50、60と、誘導コイル70と、引き上げ軸80と、載置台90と、チャンバー100とを備える。
また、引上げ軸80の下端には種結晶保持部81が設けられ、種結晶120を保持している。また、ルツボ10内には原料融液130が貯留保持されている。
本実施形態に係る結晶育成装置において、ルツボ10はルツボ台20の上に載置されている。ルツボ10の上方には、リフレクタ30を介して、アフター・ヒーター40が設置されている。ルツボ10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40の周囲を囲むように断熱材50、60が設けられている。更に、ルツボ10、ルツボ台20、リフレクタ30、アフター・ヒーター40及び断熱材50、60を取り囲むように誘導コイル70が設けられている。また、誘導コイル70の外側にはチャンバー100が設けられ、断熱材50及び誘導コイル70の周囲全体を覆っている。
ルツボ10の上方には、引き上げ軸80が設けられている。引き上げ軸80は、下端に種結晶保持部81を有し、図示しない引き上げ軸駆動モータにより昇降可能に構成されている。断熱材50の下方かつチャンバー100内には載置台90が設けられ、チャンバー100以外の全体を支持している。
また、図示していないが、結晶育成装置全体の動作を制御するための制御部と、誘導コイル70及び結晶育成装置全体に電力を供給するための電源がチャンバー100の外部に設けられる。
次に、個々の構成要素について説明する。
ルツボ10は、結晶原料を貯留保持し、単結晶を育成するための容器である。ルツボは高周波誘導加熱による発熱体になるため抵抗の低い金属が使用される。LT等の酸化物結晶育成では酸素を含む雰囲気で育成されるため、耐熱性があり酸素と反応しない貴金属、Pt(白金)、Rh(ロジウム)やIr(イリジウム)等の単体又はそれらの合金からなることが好ましい。
ルツボ台20は、ルツボ10を下方から支持する支持台として設けられる。ルツボ台20は、誘導コイル70の加熱に耐え得る十分な耐熱性及びルツボ10を支持する耐久性を有すれば、種々の材料から構成されてよい。
本実施形態に係る結晶育成装置のルツボ台20は、ルツボ10の変形後には、補助ヒータ設置部が設けられ、補助ヒータが設置可能なルツボ台が用いられるが、ルツボ10の変形前は、そのような補助ヒータ設置部を有しないルツボ台20を用いてよい。
リフレクタ30とアフター・ヒーター40もルツボ10と同様の特性が要求されるため、ルツボ10と同様に貴金属、Pt、RhやIr等の単体又はそれらの合金からなることが好ましい。
断熱材50、ルツボ台20にはアルミナやジルコニア、マグネシア、カルシア等の焼結体耐火物が使われる。一方ルツボ周囲の断熱材60には加熱冷却時に変形可能なアルミナやジルコニア、マグネシア、カルシア等の粉末が好ましい。
誘導コイル70は、ルツボ10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を加熱するための手段であり、ルツボ10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を囲むように配置する。誘導コイル70は、ルツボ10、リフレクタ30及びアフター・ヒーター40を誘導加熱できれば形態は問わないが、例えば、高周波加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置として構成される。
引き上げ軸80は、種結晶120を保持し、ルツボ10に保持された原料融液130の表面に種結晶120を接触させ、回転しながら単結晶を引き上げるための手段である。引き上げ軸80は、種結晶120を保持する種結晶保持部81を下端部に有するとともに、図示しない引き上げ軸駆動モータを備える。なお、引き上げ軸駆動モータは、結晶の引き上げの際、結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構である。
チャンバー100は、ルツボ10及びアフター・ヒーター40の誘導コイル70による発熱を内部に保持し、外部への放出を防ぐ役割を果たす。チャンバー100は、耐熱性の高い材料で構成される。断熱材50及びチャンバー100は、天井面に開口51、101を有し、引き上げ軸80を挿入可能に構成される。
載置台90は、断熱材50を含む全体を支持するための支持手段である。
図1の構成の結晶育成炉のコイルに高周波電流を流した時の電磁界解析を行った。図2に磁力線分布、図3に磁場強度分布を示す。磁界強度は、図3に示す領域Aが最も強く、以下、領域B、領域C、領域D、領域E、領域Fと順次段階的に磁界強度が小さくなっている。図2、図3から、ルツボ10やアフター・ヒーター40のような導電体で囲まれた領域やルツボ10の底部の下側の領域には磁力線が侵入できないあるいは磁力線がまばらであるため磁場エネルギーが小さいことが分かる。
高周波磁力線の近くに導電物があると導電物に渦電流が生じる。導電物には電気抵抗があるため電流の二乗に比例するジュール熱が生じて導電物が自己発熱する。渦電流は磁場強度が大きいと大きくなるため図3に示すようにルツボ10の底面の外周部やリフレクタ30の外周に磁場エネルギーが集中しその部分の発熱が大きくなる。磁力線は導電体内に侵入できないため、磁力線を遮る導電物があるとその周囲の磁場エネルギーが小さくなる。
図4は、変形が生じたルツボ10aを有する結晶育成装置の一例を示した図である。図1に示した結晶育成装置を用いて単結晶の製造を繰り返すと、加熱及び冷却の熱負荷により、ルツボ10が変形してくる。ルツボ10の変形は、ルツボ10の底面付近が外側に張り出す、又は広がるような変形が多い。即ち、図4に示すように、ルツボ10の変形が進むとルツボ底面の角(底面と側面がなす角)が丸くなり、ルツボ下側の円筒部が膨らむ等の変形が起こる。
図5は、図1と図4に示すルツボの発熱密度を計算した結果を示した図である。図5において、横軸は高さ方向におけるルツボ底からの距離(mm)、縦軸は横軸の高さ位置における発熱密度の平均値(W/m)を示している。図5に示されるように、変形が無いルツボ10はルツボ底(0mm)での発熱密度が高くなっているのに対し、変形のあるルツボ10aはルツボ底部より高い位置の発熱密度が大きくなっているものの、ルツボ変形無しの場合に比べてルツボ底近辺の発熱密度が低下している。即ち、図5から、ルツボ10に変形が生じると、底部付近の発熱密度が著しく低下することが分かる。
図6は、シーディング時のルツボと融液の温度分布を示した図である。図6(a)がルツボ10に変形が無い場合の原料融液130の温度分布を示し、図6(b)がルツボ10に変形が有る場合の原料融液130の温度分布を示す。温度は、領域Aが最も高く、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、領域Hと順に徐々に小さくなっている。シード(種結晶120)と融液界面温度がLTの融点に一致するように計算を行った。変形の無い図6(a)の温度分布の温度の方が、変形の有る図6(b)の温度分布よりも高い温度範囲にあることが分かる。このように、図6から、ルツボ10に変形が生じるとルツボ底端部の温度が低下し、融液全体の温度も低いことが分かる。
ルツボ10の発熱は高周波電流を増加させることで大きくなるが、図1の構成のように一つの誘導コイル70の場合は電流増加により、アフター・ヒーター40やリフレクタ30の発熱が増加するため、ルツボ10の発熱とのバランスが崩れてしまう。よって、ルツボ変形による発熱減少をコイル電流で調整することは好ましくない。
一方、誘導コイル70の長さを調整することによりアフター・ヒーター40の磁場強度を相対的に減少させ、高周波電流を大きくして変形による発熱減少をコイル電流で調整することは可能である。しかしリフレクタ30はルツボ10とアフター・ヒーター40の中間に位置するため、ルツボ10の発熱を大きくすると発熱が大きくなり、誘導コイル70の長さとコイル電流で調整し一定の発熱にすることは難しい。
そこで、ルツボ底より外側、かつルツボ底より下側に導電体を補助ヒータとして設置し、補助ヒータによる加熱を検討した。つまり、補助ヒータも導電体であるため、誘導コイル70により加熱される。
図7は、ルツボ変形後の本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。図7に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、ルツボ10aの変形後は、ルツボ台20aが図1のルツボ台20の代わりに設けられる。ルツボ台20aは、ルツボ10aよりも上面視において広い面積を有し、ルツボ10aを包含する。そして、ルツボ10aよりも外側の部分に補助ヒータ設置部21aを有する。補助ヒータ設置部21aは、ルツボ10aよりも外側であり、かつ、ルツボ10aの底面よりも下方に設けられることが好ましい。補助ヒータ設置部21aは、例えば、ルツボ台20aの外縁部に、ルツボ台20aのルツボ10aを支持している支持面よりも高さが低い円環状の水平な段差面として構成される。そして水平面をなす補助ヒータ設置部21a上に補助ヒータ110が設置される。
補助ヒータ110の材質は、耐熱性かつ耐酸化性のある白金、ロジウムやイリジウムとそれらの合金等で作製される。このため、コストを考慮すると厚みは、薄い方が低コストで補助ヒータを製作することが可能である。よって補助ヒータ110の厚さは0.5mm~3mmの範囲内であることが好ましく、1mm~2mmの範囲内にあることが更に好ましい。
ルツボ10aの変形は、大きな変形でなくてもルツボ底面とルツボ側壁とがなす角度が90度より大きくなると影響が現れる。ルツボ底面とルツボ側壁とがなす角度が100度を超えると、ルツボ底での固化が早まり120度以上では結晶の大きさに影響が現れる。そのため、補助ヒータ110は、ルツボ底面の側面とのなす角度が100度になった段階で設置することが望ましい。この角度が大きくなるにつれて、ルツボ10a内の発熱量は低下する。
このため、この角度に応じ、所定の発熱量になるように補助ヒータ110の位置を設定する。特に、ルツボ底の角部付近が発熱する(発熱密度が高くなる)ように補助ヒータ110を配置することが好ましい。例えば、水平方向における位置は補助ヒータ110を誘導コイル70側に近づけると発熱量が大きくなる。また、補助ヒータ110の上下方向における設置位置は、ルツボの発熱位置(発熱密度が最大値となる位置)を調整することができる。ルツボ底部(ルツボ10aを支持している支持面)より下方側に設定することで、より発熱位置を下げること(ルツボの角部に近づけること)が可能となる。
補助ヒータ110の形状は円環状である。補助ヒータ110の大きさは、補助ヒータ110の外径の位置がルツボ10の外径より片側5mm以上20mm以下大きくすることが好ましく、10mm以上15mm以下がより好ましい。補助ヒータ110の外径の位置がルツボの外径より小さいと、磁場強度が弱く発熱が十分でない。外径の位置がルツボ外径より片側20mmを超えるとルツボ10aまでの距離が長すぎて伝熱効率が悪くなる。また補助ヒータ110の外周部の温度が上がりクラックが発生しやすい。
補助ヒータの内径の位置はルツボ外径より片側0を超え10mm以下大きくすることが好ましい。補助ヒータ110の円環状の幅は5mm以上20mm以下が好ましい。
補助ヒータ110とルツボ10aが接触すると、連続した導電体となりルツボ近傍の磁場強度が低下するため、接触させないようにする。補助ヒータ110の厚みは0.5mm以上3mm以下が好ましく、1mm以上2mm以下がより好ましい。補助ヒータ110の厚みが3mmを超えると、熱容量が大きくなり温度が低下してしまうが、小さくすると高温になり効率的に加熱可能である。一方、補助ヒータ110の厚みが0.5mm未満では、補助ヒータ110自体の強度が低く、破損しやすくなってしまう。
補助ヒータ110の上下方向の設置位置は、ルツボ10aを支持している支持面より下側に0以上35mm以下が好ましい。設置位置が支持面より下側35mmを超えると、ルツボ10aまでの距離が長すぎて伝熱効率が悪くなる。上述したように、補助ヒータ110の上下方向の設置位置は、ルツボ10aの変形する角度に応じ、ルツボ底部の角部付近が発熱するように適宜配置することが好ましい。
なお、補助ヒータ110を十分に発熱させるためには、誘導コイルの下端よりも30mm以上上側に補助ヒータ110を配置することが好ましい。
また、ルツボ台20aの補助ヒータ設置部21aについては、補助ヒータ110を適切な位置に配置できる限り、その構成は問わず、窪んだ平坦面を有する構成に限定する趣旨ではない。
なお、本実施形態においては、ルツボ10の変形前は補助ヒータ設置部21aを有しないルツボ台20を使用し、ルツボ10の変形後に補助ヒータ設置部21aを有するルツボ台20aを使用して補助ヒータ110を設置する例を説明したが、最初からルツボ台20aを用いるが、ルツボ10の変形前は補助ヒータ110を設置せず、ルツボ10aの変形後に補助ヒータ110を設置する、という使用方法も可能である。しかしながら、ルツボ台20aは、ルツボ台20よりも体積が大きくコスト増に繋がってしまうので、変形後のルツボ10aにのみルツボ台20a及び補助ヒータ110を用いる使用方法で十分である。但し、この使用方法に限定する趣旨ではなく、変形前からルツボ台20aを使用してもよい。
[実施例]
次に、本実施形態に係る結晶育成装置及び単結晶の製造方法を実施した実施例について説明する。なお、以下の実施例において、本実施形態と対応する構成要素については、理解の容易のため、同一の参照符号を付して説明する。
[実施例1]
図7と同様の育成装置に結晶育成の使用回数が50回以上のルツボ10aと補助ヒータ110を用いて6インチLT結晶を育成した。ルツボ底の変形角度は円周状で145度であった。なお、ルツボ10の変形角度は、任意の均等に分けた4ヶ所の平均値とした。イリジウム製補助ヒータ110については、円環状で、厚み1.5mm、幅10mm、内径位置はルツボの外径から片側5mm、外径位置はルツボの外形より片側15mm大きくなるように設置した。補助ヒータ110の上下方向の設置位置はルツボ10aを支持している支持面と同一とした。
結晶育成中、ルツボ底からの固化を監視するためルツボ底の近傍に熱電対を設置してルツボ底で固化した時の温度変化を確認し固化の発生の有無を確認した。また、ルツボ底に固化が確認された時点で、結晶の育成は終了した。
また、LTの結晶重量から以下の(1)式で結晶化率を算出した。
結晶化率=結晶重量/原料重量 (1)
なお、ルツボ底に固化が発生した時は、固化が発生した時に育成を終了するためその時の結晶重量として算出した。固化が発生しなかった場合は、所定の結晶長さに育成し、その結晶重量として算出した。
また、育成終了後、補助ヒータ110の状況を確認した。その結果、実施例1では、育成中の固化信号の発生が無く、固化率45%の結晶が育成できた。
[実施例2]
幅5mmの円環状のイリジウム製補助ヒータ110を、内径位置がルツボの外径から片側5mm、外形位置がルツボの外径から片側10mm大きくなるように設置した。それ以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。実施例2では、育成中の固化信号の発生が無く、固化率44%の結晶が育成できた。
[実施例3]
補助ヒータ110を、補助ヒータ110の上下方向の設置位置がルツボ10aを支持している支持面より20mm下方に設置した以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。実施例3では、育成中の固化信号の発生が無く、固化率45%の結晶が育成できた。
[実施例4]
ルツボ底と変形角度が円周状で125度のルツボ110aを用いた。それ以外は実施例1と同様の方法で引上げ試験を行った。実施例4では、育成中の固化信号の発生が無く、固化率46%の結晶が育成できた。
[比較例1]
補助ヒータ110の外径位置をルツボの外径から片側25mm大きくし、円環状幅を10mmとした以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。育成中の固化信号の発生が無く、固化率25%の結晶が育成された。結晶の形状が悪く、補助ヒータ110の外周部にクラックが発生した。
[比較例2]
補助ヒータ110の内径位置をルツボの外径から片側10mm小さくし、外形位置をルツボ外径と同じとし、円環状の幅は10mmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。育成中の固化率28%でルツボ底の固化信号が発生した。変形ルツボ10aの底部の発熱が低下したと考えられる。
[比較例3]
補助ヒータ110を、補助ヒータ110の上下方向の設置位置がルツボ10aを支持している支持面より40mm下方に設置した以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。育成中の固化率27%で、ルツボ底の固化信号が発生した。変形ルツボ10aの底部の発熱が低下したと考えられる。
[比較例4]
補助ヒータ110を用いない以外は、実施例1と同様の方法で引き上げ試験を行った。育成中の固化率19%でルツボ底の固化信号が発生した。
実施例1~4及び比較例1~4の実施結果を表1に示す。表1に示される通り、実施例1~4においては、44~46%と高い固化率が得られているが、比較例1~4においては、19~28%と低い固化率であった。また、実施例1~4においては、クラックも発生せず、固化信号も無かったが、比較例1~4においては、比較例1でクラックが発生し、比較例2~3で固化信号が発生した。また、実施例1~4の評価は合格であったが、比較例1~4の評価は不合格であった。
Figure 0007106978000001
このように、本実施例によれば、ルツボ10aに変形が発生してからは補助ヒータ110を設置することにより、固化率が高く高品質の単結晶を製造できることが示された。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10、10a ルツボ
20、20a ルツボ台
21a 補助ヒータ設置部
30 リフレクタ
40 アフター・ヒーター
50、60 断熱材
70 誘導コイル
80 引上げ軸
100 チャンバー
110 補助ヒータ
120 種結晶
130 原料融液

Claims (5)

  1. 原料融液を貯留保持可能な金属製のルツボと、
    該ルツボを下方から支持するとともに、該ルツボよりも外側の所定位置に設けられた補助ヒータ設置部を有するルツボ台と、
    前記ルツボの周囲に設けられた誘導コイルと、
    前記ルツボが外側方向に変形したときに、前記補助ヒータ設置部に設置される補助ヒータと、を有 し、
    前記補助ヒータの上面は、前記ルツボを支持する支持面と同一あるいは支持面よりも下方に設けられた 結晶育成装置。
  2. 前記補助ヒータは、前記ルツボの外径より外側に水平に設置された請求項に記載の結晶育成装置。
  3. 前記補助ヒータは円環状の平面形状を有する請求項に記載の結晶育成装置。
  4. 誘導コイルにより加熱されたルツボ内に貯留保持された原料融液に種結晶を接触させて単結晶を育成しながら引き上げる単結晶育成工程と、
    育成された単結晶を除去して単結晶を取得する単結晶取得工程と、
    前記ルツボを洗浄及び冷却し、次の単結晶育成に備える単結晶育成準備工程と、
    前記単結晶育成工程、前記単結晶取得工程及び前記単結晶育成準備工程を循環的に繰り返し、単結晶を継続して製造する単結晶量産工程と、
    該単結晶量産工程の実施により前記ルツボが外側方向に変形したときに、前記ルツボを支持するルツボ台に設けられた所定の補助ヒータ設置部に補助ヒータを設置する補助ヒータ設置工程と、
    前記補助ヒータが前記ルツボ台に設置された状態で前記単結晶量産工程を実施する単結晶量産継続工程と、を有する単結晶の製造方法。
  5. 前記ルツボの変形前には、前記補助ヒータ設置部を有しない第2のルツボ台が用いられ、
    前記ルツボの変形後に前記ルツボ台が用いられる請求項に記載の単結晶の製造方法。
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