JP2020066555A - 単結晶育成装置及び単結晶育成方法 - Google Patents

単結晶育成装置及び単結晶育成方法 Download PDF

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彰 寺島
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Abstract

【課題】低コストで急成長やクラック不具合等の発生を抑制でき、結晶育成長さの大口径化に対応できる単結晶育成装置及び単結晶育成方法の提供。【解決手段】結晶原料160を貯留するルツボ10と、ルツボ10の周囲に配置され、ルツボ10を誘導加熱する誘導コイル20と、結晶原料160に種結晶150を接触させ、結晶原料160から単結晶170を引き上げる引上げ軸50と、ルツボ10から単結晶170を引き上げるときに、ルツボ10の上方の空間を冷却して温度勾配を調整する冷却手段60と、ルツボ10と誘導コイル20との相対位置を維持したままルツボ10及び誘導コイル20を昇降させる昇降手段90及び100と、を有する単結晶育成装置。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶育成装置及び単結晶育成方法に関する。
一般的に、酸化物単結晶の製造方法は、酸化物単結晶になる原料を充填したルツボを高温に加熱してこの原料を溶融し、ルツボ内の原料融液の液面に上方から種結晶を接触させた後に上昇させ、種結晶と同一方位の酸化物単結晶を育成するチョクラルスキー法による結晶育成方法が広く実施されている。
チョクラルスキー法による単結晶育成では、ルツボの周囲に高周波電流を印加する誘導コイルが配置されている。この誘導コイルに高周波電流を流すことによりルツボに渦電流が生じ、これによってルツボが発熱してルツボ内の原料が溶融される。
また、引き上げが進むにつれて単結晶の上部は、シード棒を伝わって冷却されるが、発熱体がルツボのみである場合には、成長中の単結晶内の温度分布が大きくなるため、ルツボ上部を保温する工夫がなされている。
例えば特許文献1には、結晶内の温度差に伴う熱応力によるクラックを抑制するため、ルツボの上部に、ルツボ以外の発熱体である円筒状のアフター・ヒーターを配置する酸化物単結晶の製造方法が開示されている。
特許文献2には、ドーナッツ状のリフレクタを配置することでルツボ上部を保温する酸化物単結晶の製造方法が開示されている。
特開平7−187880号公報 特開平7−33586号公報 特開2014−125404号公報
近年、酸化物単結晶、特にニオブ酸リチウムは表面弾性波デバイス材料として市場が拡大しており、生産量を確保のため単結晶の長尺化や大口径化等大型化している。
しかし、大型化に伴い、冷却中に結晶外部と内部、結晶上部と下部などの温度差により発生した熱歪によりクラックが発生し易くなり、結晶の良品率を低下させる原因となっている。そこで、炉内の保温性を高め、温度勾配を小さくすると、冷却中のクラックは抑えることが出来るが、温度勾配を低下させるとシーディング直後の多結晶化が多発するようになる。また、融液内の自然対流が小さくなり、直胴部の育成過程で結晶が曲るなどの不具合が発生し易くなる。
これらの不具合が発生する一因として、育成する結晶が大型になるほど、結晶育成の工程全般にわたって、適正な温度環境を形成するのが難しくなることがあげられる。
このため特許文献3では、ルツボの周囲に配置する第1の誘導コイルとアフター・ヒーターの周囲に配置する第2の誘導体を配置し、それぞれの誘導体には個々の高周波電源を用意し、それぞれ逆相になるようにする結晶育成装置が開示されている。アフター・ヒーター部を個別に加熱することができるため、適正温度分布を設定することが可能となる。
しかしながら、電源設備が2つ必要で設備コストが高く、設置場所も広くなる。また、第1高周波電流と第2の高周波電流との位相を逆にして、第1の高周波電流に起因する磁界と第2高周波電流に起因する磁界を適切の制御する必要があり技術的に高度な制御が必要となる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、低コストで急成長やクラック不具合等の発生を抑制でき、結晶育成長さの長尺化や大口径化等大型化に対応できる単結晶育成装置及び単結晶育成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る単結晶育成装置は、結晶原料を貯留するルツボと、
前記ルツボの周囲に配置され、前記ルツボを誘導加熱する誘導コイルと、
前記結晶原料に種結晶を接触させ、前記結晶原料から単結晶を引き上げる引上げ軸と、
前記ルツボから単結晶を引き上げるときに、前記ルツボの上方の空間を冷却して温度勾配を調整する冷却手段と、
前記ルツボと前記誘導コイルとの相対位置を維持したまま前記ルツボ及び前記誘導コイルを昇降させる昇降手段と、を有する。
本発明によれば、低コストで多結晶化やクラックの不具合がなく、結晶の長尺化や大口径化等大型化に対応できる単結晶育成装置及び単結晶育成方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。 冷却部材の一例を示した図である。 単結晶育成の各段階におけるルツボ及びアフター・ヒーターと誘導コイルの位置を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明のチョクラルスキー式結晶育成装置は、大気中または不活性ガス雰囲気中で育成される、ニオブ酸リチウム(以下、「LN」と略記)、タンタル酸リチウム(以下、「LT」と略記)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(以下、「YAG」と略記)などの酸化物単結晶の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は断面の一辺が10mm程度の直方体単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら種結晶を徐々に引上げることにより、種結晶の性質を伝播させながら結晶を育成する単結晶を製造する方法である。
図1は、本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。図1に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、ルツボ10と、ルツボ台15と、誘導コイル20と、アフター・ヒーター30と、耐火物40と、引上げ軸50と、冷却部材60と、ルツボ軸台70と、ルツボ軸80と、ルツボ軸を昇降させるルツボ軸昇降機構90と、誘導コイル20を昇降する誘導コイル昇降機構100と、チャンバー110と、電源120と、制御手段130とを備える。
また、図1において、関連構成要素として、引上げ軸50の下端には種結晶150が設けられ、ルツボ10内には結晶原料160が貯留された状態が示されている。そして、単結晶170が引き上げられる状態が示されている。
結晶育成装置において、ルツボ10はルツボ台15の上方に載置される。ルツボ10は、結晶原料を保持し、結晶を育成するための容器である。結晶原料は、結晶化する金属等が溶融した融液の状態で保持される。ルツボの材質は、結晶原料や結晶育成時の雰囲気にもよるが、耐熱性のある白金やイリジウム等で作製される。ルツボ台15は、ルツボ10を下方から支持する支持台として設けられる。ルツボ台15は、誘導コイル20の加熱に耐え得る十分な耐熱性及びルツボ10を支持する耐久性を有すれば、種々の材料から構成されてよい。
ルツボ10の上方には、アフター・ヒーター30が設置されている。アフター・ヒーター30は、ルツボ10から引き上げられた単結晶170を加熱するための手段であり、誘導コイル20により誘導加熱される。アフター・ヒーター30の形状は、内径が得ようとする酸化物単結晶の直径より大きくする。全長は、得ようとする酸化物の全長の半分より長く、二倍より短い円筒状である。ルツボと同様に、材質は白金やイリジウム等の高融点金属で作製される。
なお、ルツボ10の上端部かつアフター・ヒーター30の下端部に、円環状のリフレクタを設けてもよい。リフレクタは、ルツボ10の上端から内側に延び、ルツボ10内の熱を反射する役割を果たすため、アフター・ヒーター30と同一材料から構成されてもよい。
ルツボ10及びルツボ台15を耐火物40で取り囲んでいる。ルツボ10及びルツボ台15と耐火物40の間にはジルコニアバブル等の断熱材45が充填される。また、耐火物40の下には、ルツボ軸台70、及びルツボ軸80が設置されている。ルツボ軸80は、ルツボ軸駆動機構90に連結されてルツボ軸80を上下に昇降させる。ルツボ軸70の昇降により、ルツボ10、ルツボ台15及び耐火物40も同時に昇降する。ルツボ軸昇降機構90は、例えば、駆動モーターの回転を、ウォームギア及びボールネジ等を用いて上下方向の駆動力に変換しルツボ軸80を昇降してもよい。
なお、ルツボ軸80の昇降は、その他の方法で行ってもよい。また、この時、ルツボ軸80は、回転しない方がよい。単結晶170を育成中にルツボ軸80が回転すると、ルツボ内の対流が変化し安定して育成ができなく可能性がある。よって、ルツボ軸80は、回転させずに昇降させることが好ましい。
断熱材40の外側には誘導コイル20が配置されている。誘導コイル20は、ルツボ10とアフター・ヒーター30を加熱するための手段であり、例えば、誘導コイルから構成される。誘導コイル20は、ルツボ10及びアフター・ヒーター30を誘導加熱できれば形態は問わないが、例えば、高周波加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置として構成される。誘導コイル20は、ルツボ10及びアフター・ヒーター30を効率よく加熱するように、ルツボ10及びアフター・ヒーター30を囲み、コイルの巻き数、高さ、ルツボ10及びアフター・ヒーター30との位置を適正化して配置されている。
また、誘導コイル20は、誘導コイル昇降機構100に連結し上下に昇降する。誘導コイル昇降機構100は、例えば、駆動モーターの回転を、ウォームギア及びボールネジ等を用いて上下方向の駆動力に変換し誘導コイルを昇降してもよい。また、この方法に限らず。その他の方法により誘導コイル20を昇降してもよい。
誘導コイル20の周囲をチャンバー110が覆っている。チャンバー110は、ルツボ10及び誘導コイル20の高熱を遮断するとともに、これらを収容する機能を有する。
ルツボ10の上方には、引き上げ軸50が設けられている。引き上げ軸50は、種結晶150を保持し、ルツボ10に保持された結晶原料(融液)の表面に種結晶150を接触させ、回転しながら単結晶170を引き上げ、あるいは引き下げるための手段である。引き上げ軸50は、種結晶150を保持する種結晶保持部51を下端部に有するとともに、回転機構であるモーター52を備える。また、モーター52は、単結晶170の引き上げの際、単結晶170を回転させながら引き上げ、引き下げる動作を行うための回転駆動機構である。
また、チャンバー110の内壁上面には、冷却手段として冷却部材60が設けられている。チャンバー110は、内部に冷却水が設けられて冷却水が循環しており、冷却部材60は、このチャンバー110の上面の内壁に接触して取付けられる。一般的な単結晶育成炉に用いられるチャンバー110では、その上面や側面及び底面が過剰に高温とならないように、それぞれ水冷されているが、本発明の冷却部材60は、チャンバー110を冷却する為ではなく、耐火物40の上面を積極的に冷却して、ルツボ上空の温度勾配を大きくすることを目的としている。この目的が達成できれば冷却部材60の態様は問わない。
図2は、冷却部材60の一例を示した図である。図2に示すように、例えば、冷却部材60は、下面61に同心円状の凹凸62、63を設けて表面積を大きくした形状であってもよい。表面積を大きくすると、その下方に位置する断熱材40の冷却効果が大きい。冷却部材60の大きさは、誘導コイル20の外径より大きく、チャンバー110の内径より小さく設定する。例えば、冷却部材60は、誘導コイル20の直径よりも50〜100mm大きい形状に設定する。厚みは5〜30mmである。誘導コイル20より内側の位置の部分には、凹凸形状を設置してもよい。この時この凹凸62、63の大きさは、凸部62の幅を10〜40mmとし、高さを10〜40mmとし、凹凸60のピッチを20〜80mmとしてもよい。冷却部材60は、熱を効率的に放熱すべく金属材料から構成されることが好ましく、例えば、SUS材等が良い。また、熱反射板等を取付けてもよい。なお、チャンバー110が左右に分割する方式の場合は、そのチャンバー上面の形状の合わせた冷却部材60の形状にする。例えば、半円形状として、各々に設置してもよい。
チャンバー110の外部には、制御手段130及び電源120が設けられる。制御手段130は、誘導コイル20の加熱、引上げ軸50の引上げ動作、ルツボ軸昇降機構90及び誘導コイル昇降機構100の昇降動作の他、結晶育成装置全体の動作を制御する。
制御手段130は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、及びROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特定の用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路から構成されてもよい。また、電源120は、誘導コイル20を含めて結晶育成装置に電源供給を行う。
一般的なチョクラルスキー方法では、単結晶170の引き上げが進むにつれて単結晶170の上端(肩部)がルツボ10から遠ざかって行く為、単結晶170内の温度分布が大きくなり割れ等の不具合が発生する場合がある。本発明においては、かかる不具合を改善するために、ルツボ10及びアフター・ヒーター30と誘導コイル20は互いの位置関係を保ったまま、結晶成長と共にルツボ軸80及び誘導コイル20を徐々に引き下げる。同時にそれらよりも遅い速度で引き上げ軸80を下降させる。この結果、育成する単結晶170は、相対的にルツボ10から引き上げられて成長することになる。ここで、これらの移動に伴い、ルツボ10及びアフター・ヒーター30を取り囲む耐火物40が下降するが、単結晶170は、チャンバー10の天井面に配した冷却部材60からは遠ざかる。
これにより、結晶の肩形成時には、融液上空の温度勾配が確保され、融液の自然対流が十分維持され状態となり、その結果、急成長により多結晶化することを防止できる。また、結晶直胴部育成時や結晶切り離し後の冷却時は、結晶内の温度差に起因した歪によるクラックも発生し難くなり、高収率で単結晶を得ることができる。
以下、本発明の酸化物単結晶の結晶育成方法を詳細に説明する。なお、本発明の酸化物単結晶は、チョクラルスキー法で育成されるLN,LT,YAGなどの酸化物半導体単結晶に適用することができる。まず、ルツボ10に、酸化物単結晶の原料160を投入し誘導コイル20の高周波により加熱し、ルツボ10内の結晶原料160を融解する。その後、引上げ軸50の先端に取り付けた種結晶150を回転させながらルツボ10内の結晶原料160の融液の上面に接触させ、原料融液の温度を適正に調整して種結晶170を回転させながら徐々に上方へ引き上げる(シーディング)。
ここで、加熱温度や回転数、引上げ速度等を制御することで、引上げ単結晶170に肩部(円錐状の形成される部分)を育成する。ここで、シーディングおよび肩部育成においては、ルツボ10及びアフター・ヒーター30と誘導コイルは、チャンバー110の上面の冷却部材60に接近させておく。
図3は、単結晶育成の各段階におけるルツボ及びアフター・ヒーターと誘導コイルの位置を示す図である。図3(a)は、肩部形成時における誘導コイル20及びルツボ10の位置の一例を示した図である。
図3(a)に示すとおり、結晶原料160の融解、シーディング及び肩部育成においては、誘導コイルの上端とチャンバー110の内壁上面との距離を小さくしておく。図3(a)において、単結晶170の円錐状の肩部171が形成されている状態が示されている。この段階では、例えば、誘導コイル20の上端とチャンバー110の天井面との間の距離を110mm〜160mmに設定する。このことにより、ルツボ10が冷却部材60と近接するため耐火物40の上面が冷却され易くなり結晶原料160の融液の上方の空間の温度勾配が増加する。その結果、結晶原料160の温度を融点付近に維持するためにルツボ10の発熱が増加し、融液の自然対流が大きくなる。これにより、肩部育成時に単結晶170の急成長が起こり難くなり、結晶が多結晶化する不具合を抑制することができる。
なお、誘導コイル20の上端とチャンバー110との距離が100mm程度になると、高周波の誘導加熱がチャンバー上面にも及ぶため、その分、ルツボ10及びアフター・ヒーター30の発熱が減少してしまい発熱の効率が悪くなる。一方、誘導コイル20の上端とチャンバー130との距離が160mmを超えると、この効果が薄れる。
シーディング及び肩部171の育成が終了するまでは、引き上げ軸50を所定の速度で引き上げる。
図3(b)は、直胴部育成初期のルツボ10及び誘導コイル20の位置の一例を示した図である。図3(b)において、引上げ軸50が上昇し、単結晶170の円錐状の肩部171に加えて、円柱状の直胴部172が形成されている状態が示されている。ここで、ルツボ10及び誘導コイル20の高さが、図3(a)のときと比較して下降しており、図3(a)の時よりも下方に位置している。これは、冷却部材60とルツボ10の上端との間の距離を広げ、冷却部材60の肩部171及び直胴部172への影響を低減させるために行う。つまり、肩部171を形成するまでの初期段階では、結晶原料160の上方の空間の温度勾配を大きくする方が好ましいので、冷却部材60を用いてルツボ10の上方の空間を冷却することが好ましい。しかしながら、直胴部172の形成段階では、冷却部材60により冷却効果が継続すると、単結晶170の肩部171及び直胴部172にクラックが発生し易くなってしまう。そこで、図3(b)に示されるように、肩部171の形成を終え、直胴部172の形成段階に入ったら、徐々にルツボ10及び誘導コイル20を下降させ、ルツボ10の上端を冷却部材60から遠ざけてクラックの発生を抑制する。
肩部形成後、直胴部育成が開始されると、今度は、ルツボ軸80及び誘導コイル20を、ルツボ軸昇降機構90及び誘導コイル昇降機構100を使用し図3(b)に示すように降下させる。この時、降下速度は同一とする。耐火物40内に配置されたルツボ10、アフター・ヒーター30と誘導コイル20は、互いの位置関係を保ったままとし、それと同時に、それらよりも遅い速度で引き上げ軸50を下降させる。これにより、単結晶170の直胴部172の結晶成長と共に徐々に、ルツボ10や誘導コイル20等が引き下げられる。この時のルツボ軸80及び誘導コイル20を降下させる高さは、80〜120mmの範囲に設定することが好ましく、100mm前後に設定することが更に好ましい。
図3(c)は、育成終了時のルツボ10及び誘導コイル20の位置の一例を示した図である。図3(c)に示されるように、育成終了時のルツボ10及び誘導コイル20の高さ位置は、図3(b)の直胴部育成初期よりも更に低下している。このように、直胴部172の形成を開始したら、ルツボ軸80及び誘導コイル20の位置の下降を継続する。そして、育成終了時には、ルツボ10及び誘導コイル20の高さ位置が最も低い位置となっている。
なお、誘導コイル20を降下させる距離は、チャンバー110の上面の内壁面(天井面)と誘導コイル20の上端との間の距離とする。また、誘導コイル20とルツボ10の上端の位置は、所定の位置に設定する。この長さを、直胴長が形成される時間内で降下されれば良い。好ましくは、一定の速度で降下させることがより好ましい。この時の降下速度は、例えば2〜8mm/時が好ましい。単結晶170の直胴部172を育成する時、ルツボ軸80及び誘導コイル20を降下させることで、チャンバー110内に設置した冷却部材60から徐々に遠ざかる。このため、育成された結晶の上部は冷却措置60の影響が小さくなり、育成結晶上端部の温度勾配が小さくなることで転位が少なくなり結晶性が向上する。
単結晶170が所定の結晶長になったら、単結晶170を原料融液と切り離す。この場合、引き上げ軸50を上昇させて単結晶170を切り離してもよいし、ルツボ10及び誘導コイル20を降下させてもよい。また、この両方を同時に実施してもよい。
単結晶170の切り離し時には、ルツボ10及び誘導コイル20はチャンバー110の下方に位置し、冷却部材60からは十分遠ざかっているため、耐火物40の上面は冷却され難くなっている。その結果、融液上空の温度勾配及び結晶内外の温度差も小さくなっており、結晶の冷却時に、歪によるクラックも発生し難くなって良質な結晶を高収率で得ることができる。
なお、本実施形態において、酸化物単結晶を製造する例を挙げて説明したが、本実施形態に係る単結晶育成装置及び単結晶育成方法は、種々の単結晶の製造に適用することができ、酸化物単結晶の製造に限るものではない。即ち、酸化物以外の単結晶にも本実施形態に係る単結晶育成装置及び単結晶育成方法を適用することが可能である。
また、図3には、チャンバー110の天上面と誘導コイル20の上端との間の距離が例示的に記載されているが、次に説明する実施例の説明の理解の容易のために記載したものであり、各段階におけるチャンバー110の天上面と誘導コイル20との間の距離は、用途、プロセス等に応じて種々設定することが可能である。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。以下は、一例としてニオブ酸リチウム単結晶育成方法について説明する。
チャンバーの内部に配置した白金製のルツボに、ニオブ酸リチウムの原料を充填し、ルツボ及びルツボの上部に配置された白金製のアフター・ヒーターを銅製の高周波誘導コイルによって加熱した。
アルミナ製の耐火物で保温することで、ルツボ内のニオブ酸ルツボ原料が効率よく加熱された。原料が融解した後、白金製のシード棒(引上げ軸)の下端に取り付けられた角柱状の種結晶を1〜20rpmで回転させながら、原料の融液に接触させてシーディングを実施した。その後、ルツボ軸及び誘導コイル及びシード棒を2〜10mm/hの速度で垂直に引上げ駆動することによって、種結晶から連続的に単結晶を得た。
冷却部材は、φ650mm、厚み10mmのSUS材とし、φ100mmの位置から幅20mm、高さ20mmの突起を片側40mmピッチで5カ所形成したものを用いた。
本実施例において、図3に示されるように、ニオブ酸リチウム単結晶育成の各段階において、ルツボ及びアフター・ヒーターと誘導コイルを高さ方向において移動させた。
まず、図3(a)に示すとおり、結晶原料の融解時に誘導コイルの上端とチャンバーの内壁上面との距離を155mmとしておいた。シーディング及び肩部形成時においては、シード棒を回転させながら、2mm/hの速度で上昇させた。これによって、耐火物の上面が冷やされ、ルツボ上空の温度勾配を急峻にすることができた。また、上述したように、融液の自然対流が加速された。これら2つの効果によって、肩部形成において、急成長を抑制することができた。
単結晶の肩部が形成された後は、ルツボ軸及び誘導コイルを4〜6mm/hの速度で下降させた。それと同時に、引き上げ軸を回転させながら2〜4mm/hの速度で下降させた。
単結晶の直胴長が150mmに達した時点では、誘導コイルの上端とチャンバーの内壁上面との距離が250mmとなり、ここで、ルツボ軸及び誘導コイルの下降を停止し、単結晶を切り離した。
上述したように、冷却部材からは十分遠ざかっているために耐火物の上面が冷却され難くなっており、その結果、融液上空の温度勾配及び結晶内外の温度差も小さくすることができた。そのため、結晶冷却時に、歪によるクラックも発生し難くい状態とすることができた。
このように、大口径なニオブ酸リチウム単結晶を育成しても、肩形成時には、融液上空の温度勾配が確保され、融液の自然対流が十分維持され状態となり、その結果、急成長により多結晶化することなく、また、結晶切り離し後は、結晶内の温度差に起因した冷却時の歪によるクラックも発生し難くなり、高収率で単結晶を得ることができた。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上述の各種実施形態及び実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において各部材の改良、構造の変更、を行なってもよい。即ち、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 ルツボ
20 誘導コイル
30 アフター・ヒーター
40 耐火物
50 引上げ軸
60 冷却部材
70 ルツボ軸台
80 ルツボ軸
90 ルツボ軸駆動機構
100 誘導コイル駆動機構
110 チャンバー
120 電源
130 制御部
150 種結晶
160 結晶原料
170 単結晶
171 肩部
172 直胴部

Claims (7)

  1. 結晶原料を貯留するルツボと、
    前記ルツボの周囲に配置され、前記ルツボを誘導加熱する誘導コイルと、
    前記結晶原料に種結晶を接触させ、前記結晶原料から単結晶を引き上げる引上げ軸と、
    前記ルツボから単結晶を引き上げるときに、前記ルツボの上方の空間を冷却して温度勾配を調整する冷却手段と、
    前記ルツボと前記誘導コイルとの相対位置を維持したまま前記ルツボ及び前記誘導コイルを昇降させる昇降手段と、を有する単結晶育成装置。
  2. 前記ルツボ及び前記誘導コイルはチャンバーに覆われ、
    前記冷却手段は、前記チャンバーの天井面の前記ルツボの上方の位置に設けられた請求項1に記載の単結晶育成装置。
  3. 前記冷却手段は、下面に凹凸が形成された金属板である請求項1又は2に記載の単結晶育成装置。
  4. 前記昇降手段は、前記単結晶の肩部を形成する際には前記ルツボ及び前記誘導コイルを前記冷却手段に最も近い位置に配置し、
    前記単結晶の肩部から直胴部の形成に移行するにつれて前記ルツボ及び前記誘導コイルを下降させて前記冷却手段から遠ざける動作を行う請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  5. 前記昇降手段は、前記ルツボ及び前記誘導コイルを、前記単結晶を育成中に30mm〜100mm下降させる請求項4に記載の単結晶育成装置。
  6. ルツボの周囲に設けられた誘導コイルで前記ルツボを加熱し、前記ルツボ内の結晶原料を溶融させる工程と、
    ルツボの上方の空間を上方から冷却しながら、引上げ軸を用いて前記ルツボ内に貯留された結晶原料から単結晶を引上げ、前記単結晶の肩部を育成する工程と、
    前記ルツボ及び前記誘導コイルを下降させながら前記単結晶を引上げ、前記単結晶の直胴部を育成する工程と、を有する単結晶の育成方法。
  7. 前記単結晶の直胴部を育成する工程において、前記引上げ軸は前記ルツボ及び前記誘導コイルの下降速度よりも遅い速度で下降している請求項6に記載の単結晶の育成方法。
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