JP6958854B2 - 磁歪材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁歪材料の製造方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば磁歪振動発電に用いられる磁歪材料の製造に用いて好適な技術に関する。
エネルギーハーベスティング技術の一つとして、磁歪材料を用いて振動から電力を生みだす磁歪振動発電がある。磁歪材料としては、高い磁歪定数(具体的には、約300 ppm)且つ延性材料という特徴から、Fe−Ga合金が有望視されている。
Fe−Ga合金は、引上げ法やブリッジマン法により直径が1〜2インチ程度の大きな単結晶インゴットとして作製される。
Fe−Ga基合金を製造する従来の手法として、坩堝を外側坩堝と当該外側坩堝内に配置された内側坩堝とからなる二重坩堝とし、外側坩堝の外側に配置した加熱源により加熱を行い、内側坩堝内の原料融液に種結晶を接触させた後に、種結晶を引き上げて単結晶を育成させる方法がある(特許文献1)。
特開2016−28831号公報
しかしながら、特許文献1の製造方法では、直径が10〜40 mm である比較的大型の単結晶が育成されるところ、エネルギーハーベスティング用のデバイスとしてFe−Ga合金が用いられる場合は素子サイズ(具体的には、数mmサイズ)の部材/部品があれば良いので大きなインゴットから数mmサイズの部品/素子が切り出されて使用されるため、切断加工による材料のロス(具体的には、切りしろや廃棄分)が多量に発生してしまう。このため、最終的な製品の価格を高止まりさせてしまう可能性があるという問題がある。
また、特許文献1の製造方法では、直径が10〜40 mm である比較的大型の(言い換えると、断面積が比較的大きい)単結晶が育成されるところ、例えば数十 mm 程度の寸法の大きなインゴットでは材料(具体的には、結晶方位)の均質性を高いレベルで維持することが難しいため、均一で良好なレベルが維持された品質を備える部品/素子を安定的に供給することが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、部品や素子に仕上げるための加工に伴うロスを低減させることができると共に良好な結晶性及び磁歪性能を確保することができる磁歪材料の製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の磁歪材料の製造方法は、坩堝内に溜められたFe−Ga基合金の原料が溶融した原料融液が、最小寸法が1〜3 mm の範囲である孔から、0.3〜50 mm/分 の範囲の速度で坩堝外へと引き出されて、磁歪材料となるFe−Ga基合金単結晶が育成されるようにしている。
したがって、この磁歪材料の製造方法によると、最小寸法が1〜3 mm である孔から引き出されて結晶が育成されるようにしているので、製造対象の磁歪材料の完成品に近い形状(言い換えると、製品サイズ)の単結晶が作製される。
この磁歪材料の製造方法によると、また、最小寸法が1〜3 mm である孔から0.3〜50 mm/分 の速度で引き出されて結晶が育成されるようにしているので、多結晶粒の生成が抑制された良質な且つ高い磁歪性能が確保された単結晶が作製される。
また、本発明の磁歪材料の製造方法は、孔の位置に於ける温度と前記孔の位置から10 mm 離れた位置に於ける温度との温度差が50 ℃ 以上であるようにしても良い。この場合には、原料融液とFe−Ga基合金単結晶との界面が孔の外側に出てきて表面張力によって丸まってしまうことが防止される。
また、本発明の磁歪材料の製造方法は、坩堝外へと引き出す速度が0.5〜10 mm/分 の範囲であるようにしても良い。この場合には、磁歪性能が一層高い単結晶が作製される。
本発明の磁歪材料の製造方法によれば、製造対象の磁歪材料の完成品に近い形状(言い換えると、製品サイズ)の単結晶を作製することができるので、例えば部品/素子の切り出しなどの完成品にするための加工に伴う材料のロスを従来の製造方法と比べて大幅に低減させることが可能になり、延いては最終的な製品の価格を低廉にすることが可能になる。
本発明の磁歪材料の製造方法によれば、また、多結晶粒の生成が抑制された良質な且つ高い磁歪性能が確保された単結晶を作製することができるので、磁歪材料の製造手法としての有用性を向上させることが可能になる。
本発明の磁歪材料の製造方法は、孔近傍領域に於ける温度勾配が50 ℃ 以上であるようにした場合には、原料融液とFe−Ga基合金単結晶との界面が孔の外側に出てきて表面張力によって丸まってしまうことを防止することができるので、育成される単結晶の形状の制御を確実に行うことが可能になり、延いては製造対象の磁歪材料の完成品に近い形状の単結晶を一層確実に作製して材料のロスを一層確実に低減させることが可能になる。
本発明の磁歪材料の製造方法は、0.5〜10 mm/分 の範囲で引き出すようにした場合には、磁歪性能が一層高い単結晶を作製することができるので、磁歪材料の製造手法としての有用性を一層向上させることが可能になる。
本発明に係る磁歪材料の製造方法を実施する仕組みの一例としての装置を示す縦断面図である。 図1に示す装置の坩堝の底部の孔の位置と前記孔の近傍位置との間における温度勾配を規定する対象温度の位置を示す縦断面図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明に係る磁歪材料の製造方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態の磁歪材料の製造方法は、坩堝1内に溜められたFe−Ga基合金の原料が溶融した原料融液20が、最小寸法が1〜3 mm の範囲である孔から、0.3〜50 mm/分 の範囲の速度で坩堝1外へと引き出されて、磁歪材料となるFe−Ga基合金単結晶21が育成されるようにしている。
本実施形態の磁歪材料の製造方法によるFe−Ga基合金単結晶の育成・製造に、例えば、図1に示す装置が用いられる。図1に示す装置では、坩堝1の底部に設けられた貫通孔1aから原料融液20が引き出されてFe−Ga基合金単結晶21が育成・製造される。なお、図1に示す装置は、単結晶を育成する手法の一つである「マイクロ引き下げ法」に用いられる装置(具体的には、高周波誘導電気炉を含む装置)と基本的な構成は共通している。また、図1は、本発明に係る磁歪材料の製造方法による単結晶の育成・製造に用いられ得る装置の構成のあくまでも概要を説明するための概念図であり、部位・部材相互の寸法関係や具体詳細な構造を規定するものではない。
図1に示す装置は、坩堝1,アフターヒーター2,ヒーター3,断熱材4,及び支持台5を有し、これらがチャンバー6によって囲われている。また、チャンバー6には真空排気装置10が接続されている。
坩堝1は、円筒形状の本体部と当該本体部の下端に連接する漏斗形状の底部とを有するものとしてセラミックス(具体的には例えばアルミナ、マグネシア等)によって形成される。
坩堝1の漏斗形状の底部の平面視中心位置(従って、漏斗形状の下端部/先端部)に貫通孔1aが設けられていると共に、Fe−Ga基合金の原料(尚、例えば、各原料が予め混合された粉末状の混合原料)が充填される。
本発明における「Fe−Ga基合金」には、Fe−Ga合金のほか、Fe−Al合金、及び、Fe−Ga合金やFe−Al合金に第三の元素が添加された組成の合金材料が含まれる。
なお、Fe−Ga合金を原料とする場合には、例えば、あくまで例として挙げると、10〜35質量%のガリウム(Ga)を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的不純物である、合金材料が用いられることが考えられる。
Fe−Al合金を原料とする場合には、例えば、あくまで例として挙げると、10〜35質量%のアルミニウム(Al)を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的不純物である、合金材料が用いられることが考えられる。
また、Fe−Ga合金やFe−Al合金に添加される第三の元素は、特定の種類に限定されるものではなく、磁歪材料を製造する際に添加される従来の若しくは新規の種々の元素が対象になり得る。
図1に示す装置が用いられて作製される結晶は、坩堝1の底部に設けられている孔1aの横断面形状と同じ断面形状(即ち、引き下げ方向に対して直交する断面の形状)を有する柱状の結晶として育成・形成される。
坩堝1の底部に設けられる孔1aの形状は、特定の形状に限定されるものではなく、製造対象の磁歪材料の用途に応じて要求される形状に合わせて所望の形状に適宜設計される。具体的には例えば、円形,矩形,或いは他の多角形などが挙げられる。なお、坩堝1の底部に設けられる孔1aの形状が、円形である場合にはファイバー状,棒状,又は円柱状の結晶が育成され、アスペクト比が大きい長方形(言い換えると、スリット状)である場合にはプレート状の結晶が育成される。
坩堝1の底部に設けられる孔1aの大きさは、当該孔1aとしての空隙/穴隙の内径の最小寸法(即ち、前記内径における最小の差し渡し)が、1〜3 mm 程度の範囲であるように設定され、1〜2 mm 程度の範囲であるように設定されることが好ましく、1〜1.5 mm 程度の範囲であるように設定されることが一層好ましい。
本発明における孔1aに纏わる最小寸法とは、孔1aの開口形状が、円形である場合には直径の大きさであり、楕円形である場合には短軸の長さであり、正方形である場合には一辺の長さであり、長方形である場合には短辺の長さであり、また、多角形である場合には複数の対角線のうちの最も短い対角線の長さである。
坩堝1の底部に設けられる孔1aの大きさについて、発明者らの知見によると、Fe−Ga基合金の原料が溶融した原料融液20の粘性との兼ね合いで、孔1aの最小寸法が1 mm 未満である場合には、原料融液20の坩堝1からの引き出しが円滑に行われなくなったり、原料融液20が坩堝1から引き出されたとしても結晶化が安定しなくなったりする。また、孔1aの最小寸法が3 mm を越える場合には、原料融液20が垂れ落ち易くなって結晶化が安定しなくなる。
なお、坩堝1の底部に設けられる孔1aの大きさが、最小寸法が1〜3 mm 程度の範囲であるように設定される場合には、坩堝1内のFe−Ga基合金の原料が溶融して原料融液20になっても、当該原料融液20の表面張力(界面張力)の働きにより、適切な温度範囲においては原料融液20が孔1aから自然に漏れ出すことはない。種結晶9が坩堝1の底部の孔1aから坩堝1内部へと差し込まれ、種結晶9に原料融液20が付着して原料融液20が種結晶9と共に前記孔1aから下方へと引き出されることにより、即ち人為的な操作が行われることにより、Fe−Ga基合金単結晶21の育成が開始される。
チャンバー6内の底面に支持台5が設置され、当該支持台5上に坩堝1及びアフターヒーター2が設置される。
アフターヒーター2は、円筒形状をなし、坩堝1の漏斗形状の底部の周囲を取り囲み、特に底部の孔1aの側方周辺に位置するように配設される。
アフターヒーター2の内側が単結晶が育成される領域であり、当該育成領域の周囲を取り囲むアフターヒーター2により、当該育成領域の温度が制御され、特に鉛直方向における温度勾配(言い換えると、鉛直方向における温度分布)が制御される。
アフターヒーター2は、例えば、坩堝1と同種のセラミックス(具体的には例えばアルミナ、マグネシア等)によって形成される。
坩堝1及びアフターヒーター2の側方周囲にヒーター3が配設され、当該ヒーター3の側方周囲を取り囲むように断熱材4が配設され、さらに、断熱材4の側方周囲を囲むように加熱コイル7(高周波コイルや誘導コイルなどとも呼ばれる)が配設される。
坩堝1及びアフターヒーター2は、加熱コイル7による高周波誘導加熱を受けたヒーター3によって加熱される。
坩堝1の底部の孔1aの側方周辺に配設されて加熱コイル7によって加熱されるアフターヒーター2を介して、孔1a近傍の空間における雰囲気の温度が調節される。
なお、アフターヒーター2やヒーター3と加熱コイル7とからなる加熱の仕組みとして他の機序が用いられるようにしても良い。
坩堝1の底部の孔1aの下方に、支持台5やアフターヒーター2の内側を通過するようにして、長手の軸心方向が鉛直方向に沿うように引き下げロッド8が配設される。当該引き下げロッド8の先端(言い換えると、上端,頂部)に、長手の軸心方向が鉛直方向に沿うように種結晶9が固定されて設けられる。
種結晶9の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、Fe−Ga基合金,Fe基合金,或いはFe−Ga基合金と結晶格子が類似しており原料融液20と実質的に反応しない材質であることや高温における耐食性を備える材質であることが考慮されるなどした上で、適当な材質が適宜選択される。
真空排気装置10は、特定の仕組みや機序に限定されるものではなく、排気を行ってチャンバー6内を所定の気圧まで下げることができる仕組みや機序として適当なものが適宜選択される。真空排気装置10としては、具体的には例えば、油回転ポンプ及び油拡散ポンプからなる仕組みが用いられ得る。
本発明に係る磁歪材料の製造方法を実施する仕組みの一例としての図1に示す装置が用いられて行われるFe−Ga基合金単結晶の作製手順は、まず、Fe−Ga基合金の原料が坩堝1に充填された上で、真空排気装置10が用いられてチャンバー6の内部が例えば1.0×10-3 Pa 程度以下まで真空排気される。
チャンバー6内が真空排気された後、高純度アルゴンなどの不活性ガスがチャンバー6内に導入されてガス置換が行われる。このガス置換操作により、原料或いはチャンバー6内に付着している水分が除去される。ガス置換操作後のチャンバー6内の圧力は例えば大気圧にされる。
チャンバー6内の圧力が(例えば)大気圧にされた後、加熱コイル7への通電によって坩堝1が加熱されて当該坩堝1内の原料が加熱され溶融して原料融液20になる。
坩堝1内の原料は、加熱コイル7により、具体的には例えば、1400〜1600 ℃ 程度の範囲の温度になるように加熱される。
坩堝1の底部の孔1aから原料融液20が引き出されてFe−Ga基合金単結晶21の育成が行われる間、坩堝1の底部の孔1aの位置と孔1aの近傍位置との間における温度勾配(言い換えると、孔1aの近傍領域における温度分布)が所定の状態であるように制御されることが好ましい。
具体的には、坩堝1の底面における孔1aの開口面の位置に於ける雰囲気の温度T1 ℃ と、前記孔1aの開口面の位置から鉛直方向下方10 mm の位置に於ける雰囲気の温度T2 ℃ との温度差ΔT(=T1−T2)℃ が、50 ℃ 以上であるように制御されることが好ましい。なお、坩堝1の底面における孔1aの開口面とは、孔1aの下端面であり、言い換えると孔1aに於ける坩堝1の内部と外部との境界面である。
上記温度差ΔTについて、発明者らの知見によると、温度差ΔTが小さいと原料融液20とFe−Ga基合金単結晶21との界面が坩堝1の孔1aの外側(図1に示す例では、下側)に出てきて表面張力によって丸まってしまい形状の制御が困難になる。
各温度T1,T2は、例えば一対の熱電対によって計測される。
一対の熱電対が用いられる場合には、一方の熱電対が坩堝1の底面における孔1aの開口面の位置13Aの空間に設置されると共に、他方の熱電対が坩堝1の底面における孔1aの開口面から鉛直方向下方10 mm の位置13Bの空間に設置され、これら位置13A,13Bに於ける雰囲気の温度を対象として計測が行われる。なお、図2は、本発明に係る磁歪材料の製造方法による単結晶の育成・製造に用いられ得る装置の構成のあくまでも概要や単結晶の育成領域に関する温度計測の概貌を説明するための概念図であり、部位・部材及び温度計測位置相互の寸法関係や具体詳細な構造を規定するものではない。
一対の熱電対はどちらも坩堝1の底部の孔1aの真下に配置され、孔1aの真下の二つの位置13A,13Bのそれぞれに於ける温度の計測が行われてこれら二つの位置13A,13Bの間における温度分布が測定される。
なお、坩堝1の底部の孔1aの真下位置における温度は、坩堝1の底面(また、坩堝1の底面における孔1aの開口面)から離れるに従って次第に低下する。
例えば、坩堝1の下方のアフターヒーター2の内側に引き下げロッド8やワイヤー9が配設されてないと共に坩堝1内へと充填されたFe−Ga基合金の原料が加熱コイル7によって加熱され溶融してFe−Ga基合金単結晶21の育成処理を行うときと同じ条件に坩堝1内の原料融液20が保持された状態で、一対の熱電対が各々の所定の位置13A,13Bに設置されて各温度T1,T2が計測される。
ここで、坩堝1内の原料融液20が孔1aの開口面位置まで滲み出ているために孔1aの開口面の位置に於ける雰囲気の温度T1[℃]の計測ができない場合には、孔1aの開口面の直近直下の位置の空間に熱伝対が設置されると共に当該位置に於ける雰囲気の温度が計測され、開口面の位置13Aに於ける雰囲気の温度T1[℃]の代わりに、開口面の直近直下の位置に於ける雰囲気の温度が用いられるようにしても良い。
そして、温度差ΔTが50 ℃ 以上である状態の実現が確認された後に各熱電対が撤去されて引き下げロッド8及びワイヤー9が配設されて単結晶の育成処理が行われるようにすることが考えられる。
上記温度差ΔTは、アフターヒーター2の温度調節によって制御され得る。なお、温度差ΔTが50 ℃ 以上になるようにするために必要な場合には、アフターヒーター2が使用されない(言い換えると、アフターヒーター2が加熱されない)ようにしても良い。
原料が溶融させられて原料融液20とされた状態で、加熱コイル7による加熱が継続されたまま、引き下げロッド8の先端(上端)に設けられた種結晶9が坩堝1の底部の孔1aから坩堝1内部へと差し込まれ、種結晶9に原料融液20が付着して原料融液20が種結晶9と共に前記孔1aから下方へと引き出されてFe−Ga基合金単結晶21の育成が開始される。
原料融液20を引き出すことによるFe−Ga基合金単結晶21の育成は、具体的には例えば、種結晶9が坩堝1の底部の孔1aへと差し込まれて引き出される操作が、加熱コイル7からの高周波の出力が調整されて原料(原料融液20)の温度がFeやGaの融点から徐々に上げられながら、原料融液20が種結晶9と共に引き出されるまで繰り返され、原料融液20が種結晶9と共に引き出されたときに結晶の育成が開始されることによって行われる。
坩堝1の底部の孔1aから種結晶9と共に原料融液20が引き出された後、引き下げロッド8が引き下げられることによって所定の引き下げ速度で連続的に種結晶9が引き下げられることにより、Fe−Ga基合金単結晶21が得られる。
坩堝1の底部の孔1aから原料融液20が連続的に引き出されてFe−Ga基合金単結晶21の育成が行われる間、坩堝1の内部に於ける温度が例えば1400〜1600 ℃ 程度の範囲であるように、加熱コイル7からの高周波の出力が調整される。
引き下げロッド8の引き下げ速度(尚、種結晶9の引き下げ速度でもあり、また、Fe−Ga基合金単結晶21の成長速度でもある)は、0.3〜50 mm/分 程度の範囲であるように設定され、0.5〜10 mm/分 程度の範囲であるように設定されることが好ましく、5 mm/分 程度であるように設定されることが一層好ましい。
Fe−Ga基合金単結晶21の成長速度について、発明者らの知見によると、引き下げ速度(成長速度)を50 mm/分 程度以下にすることにより、特に0.5〜10 mm/分 程度の範囲にすることにより、良好な品質の(具体的には、磁歪性能が高い)結晶が作製され得る。
Fe−Ga基合金単結晶21の成長速度について、また、成長速度が遅い(例えば、前出の特許文献1では、引上速度/実行成長速度が1.0〜2.0 mm/時間 である)場合にはガリウムの偏析が大きくなって育成の始めと終わりとで化学組成が変化してずれてしまうという問題があるのに対し、発明者らの知見によると、引き下げ速度(成長速度)を0.3 mm/分 程度以上にすることによってガリウムの偏析を低減させて良好な均質性が確保された結晶が作製され得る。
引き下げロッド8を介して連続的に引き下げることによってFe−Ga基合金単結晶21が所望の長さ(具体的には例えば、20〜500 mm 程度)に達したら、Fe−Ga基合金単結晶21が坩堝1の底部の孔1aから引き離される。
図1に示す装置が用いられて上述の処理によって作製されるFe−Ga基合金単結晶21は、製造対象の部品/素子の用途に応じて要求される寸法に合わせて所望の長さに切断され、磁歪材料として使用される。
以上のように構成された磁歪材料の製造方法によれば、製造対象の磁歪材料の完成品に近い形状(言い換えると、製品サイズ)のFe−Ga基合金単結晶21を作製することができるので、例えば部品/素子の切り出しなどの完成品にするための加工に伴う材料のロスを従来の製造方法と比べて大幅に低減させることが可能になり、延いては最終的な製品の価格を低廉にすることが可能になる。
以上のように構成された磁歪材料の製造方法によれば、また、多結晶粒の生成が抑制された良質な且つ高い磁歪性能が確保されたFe−Ga基合金単結晶21を作製することができるので、磁歪材料の製造手法としての有用性を向上させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では本発明に係る磁歪材料の製造方法によるFe−Ga基合金単結晶の育成・製造を行う仕組みとして図1に示す装置が用いられるようにしているが、本発明に係る磁歪材料の製造方法を実施する仕組みは図1に示す装置に限定されるものではなく、他の構成を備える装置が用いられるようにしても良い。
付け加えると、図1に示す装置では、原料融液20が引き出される孔1aが坩堝1の底部に形成される共に前記孔1aから原料融液20が引き下げられる(即ち、下方へと引き出される)ことによってFe−Ga基合金単結晶21が作製されるようにしているが、坩堝1に形成される孔の位置は底部には限定されないと共に原料融液20が引き出される向きは下方には限定されない。例えば、坩堝1内に収容された原料融液20が坩堝1に形成された孔から漏れ出ないことを条件として坩堝1の側壁(言い換えると、周壁)に孔が形成されると共に原料融液20が横向きに引き出される(即ち、側方へと引き出される)ようにしても良く、或いは、坩堝1の天板(言い換えると、蓋)に孔が形成されると共に(又は、坩堝1の上端開口部から)原料融液20が上向きに引き出される(即ち、上方へと引き上げられる)ようにしても良い。すなわち、坩堝1内の原料融液20が引き出される向きはいずれの向きであっても良い。なお、原料融液20が上向きに引き出される場合には、例えば、原料融液20の液面へと設けられた浮き蓋や原料融液20の液水位に合わせて上下動する蓋が坩堝1内に設けられ、当該蓋に原料融液20が引き出される孔が設けられるようにしても良い。
1 坩堝
1a 孔(貫通孔)
2 アフターヒーター
3 ヒーター
4 断熱材
5 支持台
6 チャンバー
7 加熱コイル
8 引き下げロッド
9 種結晶
10 真空排気装置
13A 坩堝の孔の開口面の位置
13B 坩堝の孔の開口面から鉛直方向下方10 mm の位置
20 原料融液
21 Fe−Ga基合金単結晶/育成結晶

Claims (3)

  1. 坩堝内に溜められたFe−Ga基合金の原料が溶融した原料融液が、最小寸法が1〜3 mm の範囲である孔から、0.3〜50 mm/分 の範囲の速度で前記坩堝外へと引き出されて、磁歪材料となるFe−Ga基合金単結晶が育成されることを特徴とする磁歪材料の製造方法。
  2. 前記孔の位置に於ける温度と前記孔の位置から10 mm 離れた位置に於ける温度との温度差が50 ℃ 以上であることを特徴とする請求項1記載の磁歪材料の製造方法。
  3. 前記坩堝外へと引き出す前記速度が0.5〜10 mm/分 の範囲であることを特徴とする請求項1記載の磁歪材料の製造方法。
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