JP7031425B2 - 単結晶育成装置及び単結晶育成方法 - Google Patents

単結晶育成装置及び単結晶育成方法 Download PDF

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Description

本発明は、LiNbO、LiTaO、サファイアなどの単結晶を育成する単結晶育成装置に係り、特に、単結晶を育成するために誘導加熱方式を採用した単結晶育成装置及び単結晶育成方法の改良に関する。
酸化物単結晶として、LiNbO、LiTaO及びサファイア等が工業的に生産されている。LiNbO及びLiTaO単結晶は主にSAW(弾性表面波 Surface Acoustic Waveの略)フィルタ向けとして、サファイア単結晶はLED向けに使用されている。これら酸化物単結晶育成に対しては、高品質を維持しつつ、より高い生産性が求められている。
従来から、この種の酸化物単結晶を製造する主な方法として、原料をるつぼ内で融解し、その原料融液表面に種結晶を接触させて徐々に回転させながら引き上げることにより単結晶を育成する回転引上げ法としてチョクラルスキー法が知られている。この時に使われる単結晶育成装置は、一般に、原料融液を収容するるつぼと、るつぼを誘導加熱する誘導加熱コイルと、原料融液から単結晶を引上げる引上げ部とを備えている。
従来における単結晶育成装置としては、例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、底部及び底部の周縁から立ち上がる壁部を有し、アルミナ融液を収容するるつぼと、るつぼの壁部の外側に巻き回され、交流電流の供給によって壁部を誘導加熱する加熱コイルと、るつぼの上方に配置され、るつぼに収容されるアルミナ融液からサファイアインゴットを引き上げる引き上げ棒と、るつぼの底部の下方であって引き上げ棒にて引き上げられるサファイアインゴットの下方且つ内側に配置され、加熱コイルによって誘導加熱されることによりるつぼの底部の中央部を加熱する筒状ヒータとを含む単結晶引き上げ装置が開示されている。そして、本態様によれば、単結晶の成長面が凸状あるいは凹状となることを防止でき、得られる単結晶の残留応力を低減できることが開示されている。
特許文献2には、単結晶原料が充填される坩堝と、電流が流れることで坩堝を発熱させて単結晶原料を溶融させるための坩堝の周囲に配置された誘導コイルと、種結晶を保持して上下動し、坩堝内で溶融した結晶原料の融液に種結晶を接触させた後に上昇させることで、種結晶に連続した単結晶体を引き上げるための結晶引き上げ機構と、単結晶体の引き上げの最中に、誘導コイルを上昇させる移動機構とを備える単結晶育成装置が開示されている。
特開2011-6314号公報(発明を実施するための形態,図7) 特開2015-189597号公報(発明を実施するための形態,図1)
特許文献1,2に示すように、これら酸化物単結晶原料の加熱方式としては一般的に誘導加熱方式が採用されている。この誘導加熱方式では、加熱対象物とワークコイル(特許文献1の加熱コイル,特許文献2の誘導コイルに相当)との位置関係が加熱状況に影響を与えることが知られており、ワークコイル内にるつぼ(坩堝)を配置しての誘導加熱では、るつぼ側部よりもるつぼ底部が加熱されづらい。このため、酸化物単結晶育成工程において、るつぼ底部での融液固化が発生し、単結晶育成が中断してしまうという技術的課題があった。
例えば特許文献1では、誘導加熱で加熱されることで、るつぼ底部を加熱する補助ヒータ(筒状ヒータに相当)をるつぼの下方に固定的に配置する単結晶育成装置が提示されている。この装置では、単結晶育成工程において、補助ヒータによるるつぼ底部の加熱によって、るつぼ底部での融液固化を防ぐことが期待できる。一方で、原料の効率的な融解を行うためにワークコイルを降下させると、補助ヒータとワークコイルとの位置関係が変化してしまい、補助ヒータが過剰発熱し、単結晶育成工程前の原料融解工程段階で補助ヒータが溶断破壊する可能性が高かった。また、ワークコイル位置の設定ミスによっても補助ヒータが過剰発熱し、溶断破壊する可能性があった。そのため、この装置では、効率的な原料融解と単結晶育成工程におけるるつぼ底部での融液固化防止とを両立することは困難であった。
本発明が解決しようとする技術的課題は、誘導加熱方式にて坩堝内の原料融液を効率的に融解し、誘導加熱手段を降下させたとしても、坩堝底部を誘導加熱するための補助加熱手段が過剰に加熱される事態を抑制することにある。
本発明の第1の技術的特徴は、原料融液を収容する坩堝と、前記坩堝の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ前記坩堝の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段と、前記坩堝の底部付近に設けられ、前記誘導加熱手段にて誘導加熱されて前記坩堝の底部を補助的に加熱する補助加熱手段と、前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったままこれらを昇降する昇降手段と、を備えたことを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた単結晶育成装置において、前記昇降手段は、前記誘導加熱手段が昇降可能に支持される支持部材を有し、当該支持部材に前記補助加熱手段が保持可能な保持具を備えていることを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた単結晶育成装置において、前記昇降手段は前記誘導加熱手段が昇降可能に支持される複数の支持部材を有し、前記保持具は前記複数の支持部材から内側に向かって突出する保持片を有し、当該保持片の突出端で前記補助加熱手段を保持することを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第4の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた単結晶育成装置において、前記昇降手段は前記支持部材の上下方向に対して前記保持具を位置決め可能な位置決め部を有することを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた単結晶育成装置において、前記補助加熱手段は前記坩堝の底部付近に配置されるリング状の導電性板材で構成されることを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第1乃至第5の技術的特徴のいずれかを備えた単結晶育成装置において、LiNbO、LiTaO、サファイアの単結晶を育成するために用いられることを特徴とする単結晶育成装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、原料融液を収容する坩堝と、前記坩堝の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ前記坩堝の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段と、前記坩堝の底部付近に設けられ、前記誘導加熱手段にて誘導加熱されて前記坩堝の底部を補助的に加熱する補助加熱手段と、を備え、前記原料融解時には、前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったまま、前記坩堝に対してこれらを相対的に降下させた状態で、前記誘導加熱手段により前記坩堝及び前記補助加熱手段を誘導加熱する原料融解工程と、前記原料融解工程後に、前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったまま、前記坩堝に対して前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段を相対的に上昇させ、前記誘導加熱手段により前記坩堝及び前記補助加熱手段を誘導加熱し、単結晶を育成する育成工程と、を含むことを特徴とする単結晶育成方法である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、誘導加熱方式にて坩堝内の原料融液を効率的に融解し、誘導加熱手段を降下させたとしても、坩堝底部を誘導加熱するための補助加熱手段が過剰に加熱される事態を抑制することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、誘導加熱手段の支持機構を利用して補助加熱手段を一体的に昇降することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、誘導加熱手段及び補助加熱手段を安定的に支持し、一体的に昇降することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、誘導加熱手段と補助加熱手段との相対位置関係を位置決めし、一体的に昇降することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、坩堝の支持台と補助加熱手段との干渉を抑え、誘導加熱手段及び補助加熱手段を一体的に昇降させることができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、LiNbO、LiTaO、サファイアの単結晶を精度良く育成することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、誘導加熱方式にて坩堝内の原料融液を効率的に融解し、誘導加熱手段を降下させたとしても、坩堝底部を誘導加熱するための補助加熱手段が過剰に加熱される事態を抑制することができるほか、単結晶育成時には単結晶の育成に有効な加熱環境を得ることができる。
(a)は本発明が適用された単結晶育成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は本発明が適用された単結晶育成方法の実施の形態の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る単結晶育成装置の全体構成を示す説明図である。 実施の形態1に係る単結晶育成装置に採用される制御系を示す説明図である。 (a)は図3中ワークコイル及び補助ヒータの支持構造をIV方向から見た平面説明図、(b)は補助ヒータの支持構造を示す斜視説明図である。 (a)は図3中V部拡大説明図、(b)は図3中の昇降機構の一要素である昇降駆動機構の一例を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係る単結晶育成装置の原料融解工程での動作状態を示す説明図、(b)は同単結晶育成装置の単結晶育成工程での動作状態を示す説明図である。 比較の形態1に係る単結晶育成装置の要部を示す説明図である。 (a)は比較の形態2に係る単結晶育成装置の要部を示し、単結晶育成工程での動作状態を示す説明図、(b)は比較の形態2に係る単結晶育成装置の原料融解工程での動作状態を示す説明図、(c)は実施の形態1に係る単結晶育成装置の原料融解工程での動作状態を示す説明図である。 図8(a)~(c)において、坩堝、ワークコイル及び補助ヒータの位置関係を模式的に示す説明図である。 比較例1に係る単結晶育成装置において、ワークコイルによる磁場分布と磁力線分布のコイル電流周波数の影響を示す説明図である。 (a)は比較例2に係る単結晶育成装置において、ワークコイルが上昇位置に位置する条件での磁場分布、磁力線分布を示す説明図、(b)は比較例2に係る単結晶育成装置において、ワークコイルが降下位置に位置する条件での磁場分布、磁力線分布を示す説明図、(c)は実施例1に係る単結晶育成装置において、ワークコイルが降下位置に位置する条件での磁場分布、磁力線分布を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された単結晶育成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、単結晶育成装置は、原料融液10を収容する坩堝1と、坩堝1内の原料融液10に対向して下方に延び、下端に種結晶11が保持可能な保持部2aを有すると共に、坩堝1内の原料融液10に浸漬した種結晶11を回転しながら引き上げて柱状の単結晶を育成する引上げ手段2と、坩堝1の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ坩堝1の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段3と、坩堝1の底部付近に設けられ、誘導加熱手段3にて誘導加熱されて坩堝1の底部を補助的に加熱する補助加熱手段4と、誘導加熱手段3及び補助加熱手段4の相対位置関係を保ったままこれらを昇降する昇降手段5と、を備えたものである。尚、図1(a)中、符号6は単結晶の育成室を区画するチャンバ7内に設けられて坩堝1を支持する支持台である。
このような技術的手段において、坩堝1は原料融液10を収容可能であれば適宜選定して差し支えないが、高融点酸化物単結晶を育成するには白金やイリジウム等の貴金属製の態様を使用するのが好ましい。
また、引上げ手段2は種結晶11の保持部2aを有し、原料融液10から単結晶を回転しながら引き上げて育成するものであれば適宜選定してよい。
更に、誘導加熱手段3は坩堝1の側壁周囲に設けられ、坩堝1を誘導加熱する誘導加熱コイル等が代表的である。そして、誘導加熱手段3は上下方向に移動可能であり、昇降手段5により昇降可能になっている。
更にまた、補助加熱手段4は坩堝1の底部付近に設けられ、誘導加熱手段3にて誘導加熱される導電性材料(主として金属)であればよく、その形状はリング状、円板状、円筒状など適宜選定してよい。
昇降手段5は誘導加熱手段3及び補助加熱手段4の相対位置関係を保ちつつ両者を昇降するものであればよい。このとき、誘導加熱手段3を昇降する昇降手段に補助加熱手段4を保持する機能部を付加する等適宜選定して差し支えない。
ここで、補助加熱手段4が固定的に設置された比較の形態を想定すると、誘導加熱手段3が降下したとき、誘導加熱手段3と補助加熱手段4との相対位置関係が異なり、誘導加熱手段3から補助加熱手段4に作用する磁力線密度が増加するため、その分、補助加熱手段4の発熱量が増加し、補助加熱手段4が溶断する懸念が生ずる。
これに対し、本実施の形態では、原料融解時に誘導加熱手段3が降下したとしても、誘導加熱手段3と補助加熱手段4との相対位置関係が変化しないため、補助加熱手段4の過剰加熱を抑制することが容易であり、原料融解時に補助加熱手段4が溶断破壊することはない。また、補助加熱手段4が溶断破壊しないため、単結晶育成時に補助加熱手段4による坩堝1底部の加熱を実施することが可能であり、加熱されにくい坩堝1底部での融液固化を防止することができ、安定した品質の単結晶育成が可能となる。
次に、本実施の形態に係る単結晶育成装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、昇降手段5の代表的態様としては、誘導加熱手段3が昇降可能に支持される支持部材5aを有し、当該支持部材5aに補助加熱手段4が保持可能な保持具5bを備えた態様が挙げられる。
ここで、昇降手段5の好ましい態様としては、誘導加熱手段3が昇降可能に支持される複数の支持部材5aを有し、保持具5bは複数の支持部材5aから内側に向かって突出する保持片を有し、当該保持片の突出端で補助加熱手段4を保持する態様がある。また、別の好ましい態様としては、支持部材5aの上下方向に対して保持具5bを位置決め可能な位置決め部を有する態様がある。
更に、補助加熱手段4の代表的態様としては、坩堝1の支持台6との干渉を抑えるという観点から、坩堝1の底部付近に配置されるリング状の導電性板材で構成される態様が挙げられる。
また、本実施の形態に係る単結晶育成方法としては、図1(a)に示すように、原料融液10を収容する坩堝1と、坩堝1の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ坩堝1の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段3と、坩堝1の底部付近に設けられ、誘導加熱手段3にて誘導加熱されて坩堝1の底部を補助的に加熱する補助加熱手段4と、を備え、図1(b)に示すように、原料融解時には、誘導加熱手段3及び補助加熱手段4の相対位置関係を保ったまま、坩堝1に対してこれらを相対的に降下させた状態で、誘導加熱手段3により坩堝1及び補助加熱手段4を誘導加熱する原料融解工程と、原料融解工程後に、誘導加熱手段3及び補助加熱手段4の相対位置関係を保ったまま、坩堝1に対して誘導加熱手段3及び補助加熱手段4を相対的に上昇させ、誘導加熱手段3により坩堝1及び補助加熱手段4を誘導加熱し、単結晶12を育成する育成工程と、を含むようにすればよい。尚、図1(b)において、Pは坩堝1に対して誘導加熱手段3及び補助加熱手段4を相対的に降下させたときの補助加熱手段4の位置を示し、Pは坩堝1に対して誘導加熱手段3及び補助加熱手段4を相対的に上昇させたときの補助加熱手段4の位置を示す。
本例に係る単結晶育成方法は、図1(a)に示す単結晶育成装置を用いる場合には、昇降手段5にて誘導加熱手段3及び補助加熱手段4を相対位置関係を保ったまま昇降させるようにすればよいが、これに限られるものではなく、例えば図1(a)に示す昇降手段5に代えて、支持台6を昇降可能な構成とし、坩堝1を上下方向に移動させるようにしてもよい。
また、図1(b)に示す単結晶育成方法では、原料融解工程において坩堝1の底部に対する補助加熱を可能とする加熱方式を採用し、単結晶育成工程において原料融解工程とは異なる位置で誘導加熱手段3による誘導加熱を実施し、単結晶の育成に有効となる手法が採用されている。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
本実施の形態において、単結晶育成装置は、大気中または不活性ガス雰囲気中で育成される、ニオブ酸リチウムLiNbO、タンタル酸リチウムLiTaOなどの酸化物単結晶の製造に用いるもので、所謂チョクラルスキー法を適用したものである。このチョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種結晶(通常は断面の一辺が数mm程度の直方体単結晶)の先端を、原料融液に浸漬し、回転させながら徐々に引き上げることによって、種結晶の性質を伝播しながら大口径化して単結晶を製造する方法である。
-単結晶育成装置の全体構成-
図2は実施の形態1に係る単結晶育成装置の全体構成を示す。
同図において、単結晶育成装置20は、原料融液22を収容する坩堝21と、坩堝21内の原料融液22に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて柱状の単結晶を育成する引上げ手段としての引上げ機構25と、坩堝21の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ坩堝21の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段としてのワークコイル30と、坩堝21の底部付近に設けられ、ワークコイル30にて誘導加熱されて坩堝21の底部を補助的に加熱する補助加熱手段としての補助ヒータ40と、ワークコイル30及び補助ヒータ40の相対位置関係を保ったままこれらを昇降する昇降手段としての昇降機構50と、を備えている。
更に、本例では、坩堝21の開口周縁には坩堝21からの発熱を逃がさないようにリフレクタ70が設けられると共に、このリフレクタ70に隣接した箇所には育成された単結晶を加熱又は保温するアフタヒータ80が設けられている。
そして、これらの構成要素はチャンバ90内に収容され、チャンバ90が単結晶の育成に適した環境を維持するようになっている。
次に、本実施の形態に係る単結晶育成装置の個々の構成要素について説明する。
<坩堝>
坩堝21は、結晶原料を保持するための容器である。加熱により溶融した結晶原料は融液の状態で坩堝21内に保持される。坩堝21の材質は結晶原料にもよるが耐熱性のあるイリジウム等で作製される。
また、坩堝21は支持台23上に支持されている。ここで、支持台23は坩堝21を上面に載置して支持できれば、種々の材料から構成されてよく、また種々の形状を有してよいが、坩堝21の重量が重いため、強度の高い材料が用いられる。
<引上げ機構>
本例において、引上げ機構25は、図2及び図3に示すように、昇降可能な引上げ軸26を有し、この引上げ軸26の先端に形成された保持部27に種結晶28を保持し、坩堝21に収容された原料融液22の表面に種結晶28を接触させ、回転しながら引き上げることで単結晶を育成可能とするものである。
<ワークコイル>
本例において、ワークコイル30は、坩堝21や補助ヒータ40、更にはアフタヒータ80を誘導加熱するための手段であり、坩堝21、補助ヒータ40及びアフタヒータ80を囲むように配置される。そして、このワークコイル30には高周波電源31が接続されている。
<補助ヒータ>
また、補助ヒータ40は、自身がワークコイル30によって誘導加熱されて発熱し、これにより坩堝21の底部を加熱するヒータである。ここで、補助ヒータ40の材質は、坩堝21と同様にイリジウム等で作製される。特に、本例では、補助ヒータ40は、図4(a)(b)に示すように、坩堝21の底部付近に配置されるリング状の導電性板材41からなり、リング状の導電性板材41の孔部42内に坩堝21及び支持台23が配置され、補助ヒータ40が昇降したとしても、補助ヒータ40と坩堝21又は支持台23とが干渉しないように配慮されている。
<昇降機構>
本例において、昇降機構50は、図3乃至図5に示すように、ワークコイル30及び補助ヒータ40を両者の相対位置関係を保ったまま上下方向に昇降可能に移動させるものである。
そして、本例では、昇降機構50は、ワークコイル30が支持可能な支持機構51を有し、この支持機構51に保持具60を介して補助ヒータ40を保持させ、支持機構51全体を昇降駆動機構55にて昇降動させるようになっている。
ここで、支持機構51は、例えば鉛直方向に延びる複数本(本例では4本)の支持ロッド52を有し、各支持ロッド52には予め決められた間隔の支持孔53を設けておき、ワークコイル30のうち各支持ロッド52の支持孔53に対応した箇所には支持ピン54を予め突出配置し、各支持ロッド52の支持孔53に支持ピン54を差し込むことで、支持ロッド52にワークコイル30を支持するようにしたものである。そして、支持ロッド52の材質としては電気絶縁性と耐熱性が要求され、絶縁体であるセラミックスやマイカとガラスの複合材料を用いることが可能である。
更に、本例では、昇降駆動機構55は、図5(b)に示すように、駆動モータ56からの回転をウォームギア57を介してボールネジ58に伝達し、このボールネジ58の進退可能な直線運動を連結アーム59を介して支持機構51の支持ロッド52を昇降させるものである。
また、本例では、保持具60は、支持機構51の各支持ロッド52から補助ヒータ40側に向かって突出する保持片61を有し、各支持ロッド52には上下方向に対して保持具60を位置決め可能な位置決め部としての位置決め孔62を予め設けておき、保持片61の支持ロッド52側の端部には位置決め突起63を形成し、保持片61の位置決め突起63の反対側には補助ヒータ40のリング状の導電性板材41の外周縁が受け止め可能な受け止め部64を形成したものである。
従って、本例では、保持具60は、各支持ロッド52の位置決め孔62に各保持片61の位置決め突起63を差し込んで固定し、各保持片61の突出端に設けられた受け止め部64に補助ヒータ40のリング状の導電性板材41の外周縁を引っ掛けるようにしたものである。この結果、補助ヒータ40は支持ロッド52に保持具60を介して保持されるが、ワークコイル30と補助ヒータ40との相対位置関係は一定に保たれている。ここで、保持具60の材質は、支持ロッド52と同様に絶縁体であるセラミックスやマイカとガラスとの複合材料を用いるようにすればよい。
<リフレクタ>
リフレクタ70は、ワークコイル30の誘導加熱により発熱した坩堝21の熱量を、上方に逃がさずに反射して下方に戻すための反射板である。リフレクタ70は必須ではなく、必要に応じて設けるようにすればよいが、単結晶の温度勾配を適切に保つためには設けた方が好ましい。尚、図2においては、坩堝21の上端から内側に入り込むように円環状のリフレクタ70が設けられているが、リフレクタ70の形状及び配置は、用途に応じて種々変更することができる。
<アフタヒータ>
アフタヒータ80は、単結晶を育成する工程で、単結晶の上部が冷却するのを防止するための加熱手段又は保温手段である。つまり、引上げ機構25による単結晶の引き上げが進むにつれて、単結晶の上部が坩堝21から遠ざかっていくため、単結晶の温度分布が大きくなり、単結晶の上部に割れ等の不具合が発生する場合がある。これを改善するため、坩堝21上部のホットゾーンにアフタヒータ80を設置して適切な温度分布を維持することを意図している。ここで、アフタヒータ80の形状は、内径が得ようとする酸化物単結晶の直径より大きく、坩堝21の直径より小さくする。全長は、得ようとする酸化物単結晶の全長の半分より長く、二倍より短い円筒状である。材質はイリジウム等の貴金属で作製するようにすればよい。
尚、アフタヒータ80は、本例では、ワークコイル30の誘導加熱により発熱し、ヒータとして機能しているが、これに限られるものではなく、誘導加熱を用いずに、電熱線等の通常のヒータを用いて加熱する場合には、保温性の高い部材を用いて、単結晶の上部の保温が効果的に行われるよう構成してもよい。即ち、アフタヒータ80は、少なくとも保温部材として機能し、誘導加熱を行う際には、発熱体又は発熱部材としても機能するようにすればよい。
-単結晶育成装置の制御系-
本例において、単結晶育成装置20の制御系は、図3に示すように、マイクロコンピュータからなる制御装置100を有している。ここで、制御装置100は、例えば坩堝21の底部の温度を検出する温度センサ101を例えば坩堝21の支持台23に予め設置しておき、この温度センサ101からの検出情報を温度コントローラ102に取り込み、坩堝21内の原料融液22の坩堝21の底部付近の温度分布を予測し、温度コントローラ102を介して高周波電源31からワークコイル30へ印加する高周波電流を制御するようにしたものである。
また、制御装置100は、原料融解工程と原料融解工程後の単結晶育成工程との間で、坩堝21に対するワークコイル30及び補助ヒータ40の位置を切り替えるように、駆動コントローラ103を介して昇降機構50の昇降駆動機構55を制御し、ワークコイル30及び補助ヒータ40を昇降させるものである。
更に、制御装置100は、単結晶育成工程において、駆動コントローラ105を介して引上げ機構25による回転、引上げ動作を制御するものである。
-単結晶育成装置の作動-
次に、本実施の形態に係る単結晶育成装置の作動について説明する。
今、図6(a)に示すように、原料融解工程においては、効率的な原料融解を行うためにワークコイル30位置を降下させても、ワークコイル30による誘導加熱にて補助ヒータ40を有効に発熱させ、坩堝21の底部付近での加熱量を増加させている。
このとき、ワークコイル30位置が降下したとしても、昇降機構50によりワークコイル30と補助ヒータ40との相対位置関係が一定に保たれるため、原料融解時に補助ヒータ40が過剰加熱されず、補助ヒータ40の溶断は抑制される。このため、補助ヒータ40を健全な状態に保ったまま原料融解処理が実施される。
また、図6(b)に示すように、単結晶育成工程においては、ワークコイル30は原料融解工程時の位置から元の位置に上昇し、これに伴って、補助ヒータ40もワークコイル30との相対位置関係を保ったまま上昇する。一般に、単結晶120が育成するにつれて、坩堝21内の原料融液量が少なくなると、誘導加熱されにくい坩堝21底部付近で融液固化が発生しやすくなるが、本実施形の態に係る単結晶育成装置は坩堝21の下方に補助ヒータ40を有することから、坩堝21底部の加熱が可能となり、坩堝21内での原料融液22の固化を防ぐことが出来る。
尚、単結晶育成工程中はワークコイル30の位置は一定のままで差し支えないが、単結晶120の育成が進むにつれてワークコイル30を上昇させるようにしてもよいことは勿論である。
かかる単結晶育成装置を使用すれば、効率的な原料融解を行いつつ、坩堝21底部での融液固化を防止しながら酸化物単結晶を育成することが可能である。
◎比較の形態1
また、本実施の形態に係る単結晶育成装置の性能を評価する上で、比較対象とする比較の形態1に係る単結晶育成装置を図7に基づいて説明する。
同図において、単結晶育成装置20’は、原料融液22を収容する坩堝21と、坩堝21内の原料融液22に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて柱状の単結晶を育成する引上げ機構25と、坩堝21の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ坩堝21の側壁を誘導加熱するワークコイル30と、ワークコイル30を昇降する昇降機構50’と、を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本比較の形態では、実施の形態1と異なり、補助ヒータ40が用いられておらず、また、昇降機構50’はワークコイル30のみを昇降するものであり、原料融解工程ではワークコイル30を降下させ、単結晶育成工程ではワークコイル30を上昇させるものである。
ここで、比較の形態1に係る単結晶育成装置20’と、実施の形態1に係る単結晶育成装置20とについて評価を行ったところ、実施の形態1では、原料融解工程において、補助ヒータ40が溶断することなく、坩堝21内の原料融液22が坩堝21底部付近で固化することなく、適切な加熱処理が行われるのに対し、比較の形態1では、補助ヒータ40自体が使用されていないので、補助ヒータ40自体の溶断は生じないものの、原料融解工程において、仮に、ワークコイル30を降下させたとしても、坩堝21の底部中央付近には十分には磁力線が横切っておらず、坩堝21の底部中央付近で原料が融解しづらいという傾向が見られた。
-比較の形態2-
また、本実施の形態に係る単結晶育成装置の性能を評価する上で、比較対象とする比較の形態2に係る単結晶育成装置を図8(a)に基づいて説明する。
同図において、単結晶育成装置20”は、原料融液22を収容する坩堝21と、坩堝21内の原料融液22に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて柱状の単結晶を育成する引上げ機構25と、坩堝21の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ坩堝21の側壁を誘導加熱するワークコイル30と、坩堝21の支持台23の上面のうち坩堝21の設置領域の外側に固定的に設けられるリング状の導電性板材からなる補助ヒータ40’と、ワークコイル30を昇降する昇降機構50’と、を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本比較の形態よれば、ワークコイル30は昇降可能であるが、補助ヒータ40’は固定的に設置されているため、図8(b)に示すように、ワークコイル30が降下位置にあるか、図8(a)に示すように、上昇位置にあるかによって、両者間の相対位置関係が変化してしまう。つまり、図8(a)の場合には、図9(a)に示すように、補助ヒータ40’はワークコイル30の下端位置から3回巻き部分に対応した位置に配置されるが、図8(b)の場合には、図9(b)に示すように、補助ヒータ40’はワークコイル30の下端位置から6回巻き部分に対応した位置に配置されることが理解される。
このとき、ワークコイル30と補助ヒータ40’との相対位置関係が変化することに伴って、補助ヒータ40’に作用する磁力線分布が異なり、例えば図8(b)に示す場合には、図8(a)に示す場合に比べて、補助ヒータ40’に対してワークコイル30の上下方向の中央付近が配置されることになり、その分、補助ヒータ40’に横切る磁力線分布が多くなり、補助ヒータ40’が過剰発熱して溶断する懸念が生ずる。
この点、図8(c)に示すように、実施の形態1に係る単結晶育成装置では、ワークコイル30が降下位置に降下したとしても、図9(c)に示すように、補助ヒータ40もワークコイル30の降下に伴って同じだけ降下するため、両者の相対位置関係は降下前の位置と同じに保たれている。
このため、本実施の形態では、ワークコイル30が上昇位置または降下位置のいずれに移動したとしても、その移動量に伴って補助ヒータ40も昇降するため、ワークコイル30と補助ヒータ40との相対位置関係は変化せず、ワークコイル30の誘導加熱により補助ヒータ40に横切る磁力線分布はワークコイル30の昇降位置にかかわらず、略同等になることが理解される。
◎実施例1
実施例1は実施の形態1に係る単結晶育成装置(図2参照)を具現化したものである。
具体的には、本実施例に係る単結晶育成装置は、融点が1650℃程度の原料を用いて、直径150mm程度の酸化物単結晶を得る装置とした。単結晶育成装置は、坩堝21と、引上げ機構25、ワークコイル30、補助ヒータ40及び昇降機構50を備えている。
ここで、坩堝21は、材質をイリジウムとし、寸法は内径200mm、高さ180mm、厚さ2.5mmのものを使用した。
ワークコイル30はコイル外径400mm、コイル断面20×20mm、コイルピッチ30mmである。
補助ヒータ40は、材質をイリジウムとし、寸法は外径320mm、内径220mm、厚さ1.5mのリング状のものを使用した。
昇降機構50の支持機構51は4本の支持ロッド52と、4本の保持片61からなる保持具60を有しており、材質は日光化成株式会社製のマイカレックスM-25を用いた。
更に、原料融解時のワークコイル30位置は、単結晶育成時のワークコイル30位置よりも60mm降下した位置とした。
また、リフレクタ70の寸法は外径225mm、内径176mm、厚さ1.5mmとした。更に、アフタヒータ80の寸法は外径182mm、高さ176mm、厚さ1mmとした。
◎比較例1
比較例1は比較の形態1に係る単結晶育成装置(図7参照)を具現化したものである。
本例では、補助ヒータ40及びその保持具60の構成を除いて実施例1と略同様のものを使用した。
◎比較例2
比較例2は比較の形態2に係る単結晶育成装置(図8(a)(b)参照)を具現化したものである。
本例では、実施例1の補助ヒータ40及びその保持具60の代わりに、坩堝21の支持台23の表面のうち坩堝21の設置領域の外側にリング状の導電性板材からなる補助ヒータ40’を設け、それ以外については実施例1と同様とした。
-比較例1による坩堝周辺の磁場特性-
以下、磁場解析を実施する際には、有限要素法解析プログラムANSYSを用いた。
比較例1に係る単結晶育成装置において、ワークコイル30へのコイル電流周波数を500Hz、1kHz、3kHz、5kHzに代えて、ワークコイル30の位置を単結晶育成時のときよりも60mm降下した状態で、坩堝21の磁場分布と磁力線分布の変化を調べた。いずれの場合も、表皮効果により坩堝21の底部中央における磁場が小さくなっていることが理解され、原料融解時に比較例1を使用すると、坩堝21の底部中央付近で原料が融解しづらい傾向にあることがわかる。
-実施例1、比較例2による補助ヒータの発熱特性変化-
図8(a)~(c)及び図9(a)~(c)に示す比較例2、実施例1において、高周波磁場解析を行い、坩堝21と補助ヒータ(実施例1:40,比較例2:40’)との発熱割合を求めた。
(1)図8(a)、図9(a)の場合(比較例2の場合)
坩堝:補助ヒータの発熱量比は1:5.5となり、補助ヒータの発熱により坩堝の底部がより加熱され、坩堝底部での原料融液の固化は抑制される。
(2)図8(b)、図9(b)の場合(比較例2の場合)
坩堝:補助ヒータの発熱量比は1:8.1となり、ワークコイル30を降下させると、補助ヒータの位置がワークコイル30の中央に近くなるため、図8(a)、図9(a)に比べ補助ヒータはさらに発熱し、溶断する可能性がある。
(3)図8(c)、図9(c)の場合(実施例1の場合)
坩堝:補助ヒータの発熱量比は1:4.7となり、ワークコイル30を降下させても、補助ヒータの発熱は図8(a)、図9(a)の場合とほとんど変わらないため、補助ヒータが溶断することはない。
-実施例1、比較例2による坩堝周辺の磁場特性-
図8(a)~(c)及び図9(a)~(c)に示す比較例2、実施例1において、高周波磁場解析を行い、坩堝21周辺の磁場分布及び磁力線分布を調べた。
(1)図8(a)、図9(a)の場合(比較例2の場合)
坩堝21周辺の磁場分布、磁力線分布を図11(a)に示す。
同図によれば、補助ヒータ40’の設置箇所の磁場分布としては磁場3000A/mの領域(図11(a)中赤色で表記)は僅かな領域であり、その磁力線分布も補助ヒータ40’に対し局部的に密集するものとはいえないことが理解される。
(2)図8(b)、図9(b)の場合(比較例2の場合)
坩堝21周辺の磁場分布、磁力線分布を図11(b)に示す。
同図によれば、補助ヒータ40’の設置箇所の磁場分布としては磁場3000A/mの領域(図11(b)中赤色で表記)は(1)に比べて広くなっており、その磁力線分布も、(1)に比べて補助ヒータ40’に対し局部的に密集していることが理解される。つまり、ワークコイル30を降下させると、補助ヒータ40’の位置がワークコイル30の中央に近くなるため、磁場分布、磁力線分布が変化したことと推測される。
(3)図8(c)、図9(c)の場合(実施例1の場合)
坩堝21周辺の磁場分布、磁力線分布を図11(c)に示す。
同図によれば、(2)に比べて、補助ヒータ40の設置箇所の磁場分布としては磁場3000A/mの領域(図11(c)中赤色で表記)は僅かな領域であり、その磁力線分布も補助ヒータ40’に対し局部的に密集するものとはいえないことが理解される。つまり、実施例1では、ワークコイル30を降下させても、(2)の場合のように、補助ヒータ40を横切る磁場分布、磁力線分布が変化することは確認できず、ワークコイル30の降下前のものと略同様な結果が見られた。
本発明は、誘導加熱方式の単結晶育成装置において、原料融解時に、坩堝底部に対して誘導加熱手段を相対的に降下させたとしても、誘導加熱手段と坩堝底部を補助的に加熱する補助加熱手段との相対位置関係を一定に保つことで、補助加熱手段を過剰加熱することを抑制でき、これにより、補助加熱手段の溶断を防止しながら、原料融解を効率的に実施することが可能である。
1 坩堝
2 引上げ手段
2a 保持部
3 誘導加熱手段
4 補助加熱手段
5 昇降手段
5a 支持部材
5b 保持具
6 支持台
7 チャンバ
10 原料融液
11 種結晶
12 単結晶
PL 原料融解時における補助加熱手段の移動位置
PU 単結晶育成時における補助加熱手段の移動位置
20,20’,20” 単結晶育成装置
21 坩堝
22 原料融液
23 支持台
25 引上げ機構
26 引上げ軸
27 保持部
28 種結晶
30 ワークコイル
31 高周波電源
40,40’ 補助ヒータ
41 導電性板材
42 孔部
50,50’ 昇降機構
51 支持機構
52 支持ロッド
53 支持孔
54 支持ピン
55 昇降駆動機構
56 駆動モータ
57 ウォームギア
58 ボールネジ
59 連結アーム
60 保持具
61 保持片
62 位置決め孔
63 位置決め突起
64 受け止め部
70 リフレクタ
80 アフタヒータ
90 チャンバ
100 制御装置
101 温度センサ
102 温度コントローラ
103 駆動コントローラ
105 駆動コントローラ
120 単結晶

Claims (7)

  1. 原料融液を収容する坩堝と、
    前記坩堝の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ前記坩堝の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段と、
    前記坩堝の底部付近に設けられ、前記誘導加熱手段にて誘導加熱されて前記坩堝の底部を補助的に加熱する補助加熱手段と、
    前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったままこれらを昇降する昇降手段と、
    を備えたことを特徴とする単結晶育成装置。
  2. 請求項1に記載の単結晶育成装置において、
    前記昇降手段は、前記誘導加熱手段が昇降可能に支持される支持部材を有し、当該支持部材に前記補助加熱手段が保持可能な保持具を備えていることを特徴とする単結晶育成装置。
  3. 請求項2に記載の単結晶育成装置において、
    前記昇降手段は前記誘導加熱手段が昇降可能に支持される複数の支持部材を有し、前記保持具は前記複数の支持部材から内側に向かって突出する保持片を有し、当該保持片の突出端で前記補助加熱手段を保持することを特徴とする単結晶育成装置。
  4. 請求項2に記載の単結晶育成装置において、
    前記昇降手段は前記支持部材の上下方向に対して前記保持具を位置決め可能な位置決め部を有することを特徴とする単結晶育成装置。
  5. 請求項1に記載の単結晶育成装置において、
    前記補助加熱手段は前記坩堝の底部付近に配置されるリング状の導電性板材で構成されることを特徴とする単結晶育成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の単結晶育成装置において、
    LiNbO、LiTaO、サファイアの単結晶を育成するために用いられることを特徴とする単結晶育成装置。
  7. 原料融液を収容する坩堝と、
    前記坩堝の側壁周囲に設けられ、上下方向に移動可能で且つ前記坩堝の側壁を誘導加熱する誘導加熱手段と、
    前記坩堝の底部付近に設けられ、前記誘導加熱手段にて誘導加熱されて前記坩堝の底部を補助的に加熱する補助加熱手段と、を備え、
    前記原料融解時には、前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったまま、前記坩堝に対してこれらを相対的に降下させた状態で、前記誘導加熱手段により前記坩堝及び前記補助加熱手段を誘導加熱する原料融解工程と、
    前記原料融解工程後に、前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段の相対位置関係を保ったまま、前記坩堝に対して前記誘導加熱手段及び前記補助加熱手段を相対的に上昇させ、前記誘導加熱手段により前記坩堝及び前記補助加熱手段を誘導加熱し、単結晶を育成する育成工程と、
    を含むことを特徴とする単結晶育成方法。
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