JP2021100901A - 単結晶育成装置と単結晶育成方法 - Google Patents

単結晶育成装置と単結晶育成方法 Download PDF

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【課題】断熱材としてジルコニア・バブルを適用した場合でも低コストでクラックや底つきのない単結晶を育成できる単結晶育成装置と単結晶育成方法を提供する。【解決手段】耐火性坩堝10と、坩堝10内に配置された結晶育成用坩堝1と、耐火性坩堝10と坩堝1の隙間に充填されたジルコニア・バブル(断熱材)30と、坩堝1上端にリフレクター41を介し配置されたアフターヒーター40と、耐火性坩堝10等の外側周囲に配置された高周波誘導コイル2をチャンバー100内に備えた単結晶育成装置で、コイル下端側から上端までの長さをY、坩堝1の下端側から上端までの長さをX、コイル上端と坩堝1上端との間の長さをA、コイル下端と坩堝1下端との間の長さをB、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bが1.00〜1.20に設定されていることを特徴とし、アフターヒーター40側と坩堝1側の発熱バランスが適正に制御されるためクラック等のない単結晶を育成することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法による単結晶育成装置と単結晶育成方法に係り、特に、高周波誘導コイルを用いた単結晶育成装置と単結晶育成方法の改良に関する。
タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶の育成方法として、従来、酸化物単結晶となる原料が充填された結晶育成用坩堝(坩堝と略称する場合がある)を高温に加熱してこの原料を溶融し、該結晶育成用坩堝内の原料融液に上方から種結晶を接触させた後、上昇させることで種結晶と同一方位の酸化物単結晶を育成するチョクラルスキー法が広く利用されている。
チョクラルスキー法による単結晶の育成では、結晶育成用坩堝の周囲に誘導コイルが配置されており、誘導コイルに高周波電流を流すことによって坩堝に渦電流が生じ、これによって坩堝が発熱して原料が溶融する。また、引き上げが進むにつれて単結晶の上部はシード棒(結晶引き上げ軸)を伝わって冷却されるが、発熱体が坩堝のみである場合、育成中における単結晶内の温度分布が大きくなるため、坩堝上部を保温する工夫がなされている。例えば、特許文献1には、結晶内の温度差に伴う熱応力によるクラックの発生を抑制するため、金属製アフターヒーターを坩堝の上端部に配置した酸化物単結晶の育成方法が開示され、また、特許文献2には、リング状の金属製リフレクターを坩堝の開放端部に配置して坩堝上部を保温する酸化物単結晶の育成方法が開示されている。
特開平7−187880号公報 特開平7−033586号公報 特開2019−052067号公報 特開2014−125404号公報
近年、タンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶は表面弾性波デバイス材料として市場が拡大しており、生産量の確保のため単結晶の引き上げ長さが次第に長くなっている。しかし、長尺化に合わせて結晶育成用坩堝の寸法を高く(内容積を大きく)すると、その分、坩堝内の原料融液が増加するため以下のような問題が存在した。
すなわち、結晶育成用坩堝は、通常、耐火性坩堝(アルミナ坩堝)内に配置され、その隙間空間にアルミナ製焼結体から成る断熱材が充填されている。しかし、同一の結晶育成用坩堝を用いてニオブ酸リチウム単結晶等の育成を繰り返した場合、増加した原料融液の荷重により結晶育成用坩堝が変形し、結晶育成用坩堝が断熱材を押圧して耐火性坩堝(アルミナ坩堝)にクラックを生じさせる問題が存在した。
この問題に対し、特許文献3には、アルミナ製焼結体から成る断熱材に代えて顆粒状のジルコニア・バブル(断熱材)を用い、上記原料融液の荷重により結晶育成用坩堝が変形し、結晶育成用坩堝がジルコニア・バブル(断熱材)を押圧した場合でも、ジルコニア・バブル(断熱材)が押圧力を吸収して耐火性坩堝(アルミナ坩堝)にクラックを生じさせない方法を開示している。この方法を採ることで、増加した原料融液の荷重に伴う耐火性坩堝(アルミナ坩堝)の問題を回避することは確かに可能となった。
但し、顆粒状のジルコニア・バブル(断熱材)は、上記アルミナ製焼結体(断熱材)に較べて熱伝導率が小さいため、断熱材としてアルミナ製焼結体が適用された場合と同一レベルの高周波電圧を誘導コイルに印加した場合、結晶育成用坩堝内の融液温度が所望とする条件より高くなってしまい、単結晶の育成が困難となる。このため、熱伝導率の小さい顆粒状のジルコニア・バブル(断熱材)を適用した場合には、誘導コイルに印加する高周波電圧を相対的に小さくする必要があった。
しかし、誘導コイルに印加する高周波電圧を小さくすると、坩堝の上端部に配置したアフターヒーターの発熱量が低下し、アフターヒーター内における結晶の上端と下端で温度勾配が大きくなるため、熱応力によりクラックを生ずる問題が存在した。特に、ニオブ酸リチウム単結晶は、熱歪に起因したクラックの発生は顕著であった。
ところで、誘導コイルに印加する高周波電圧が小さい場合、坩堝上端部に配置したアフターヒーターの発熱を促進させるには、図1に示すように結晶育成用坩堝1の周囲に配置する高周波誘導コイル2を相対的に上方寄りに設定し、高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAが大きくなるようにすればよい。
しかしながら、高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを大きくすると、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBが相対的に小さくなり、結晶育成用坩堝1の発熱量が低下し坩堝1底近傍の融液温度が低くなってしまう。この結果、結晶育成中に坩堝1底近傍の融液が固化し、育成した結晶と固化した結晶が衝突(底つきと称される)して単結晶の育成が強制終了し、所望とする長さの単結晶が得られなくなる原因となる。
尚、特許文献4には、結晶育成用坩堝の周囲に配置する第1誘導コイルとアフターヒーターの周囲に配置する第2誘導体コイルとを個別に配置し、それぞれの誘導体コイルに個別の高周波電源を用意すると共に、供給する高周波電流が互いに逆相になるように設定した結晶育成装置が開示されている。この育成装置によれば、アフターヒーターの発熱程度を結晶育成用坩堝とは独立して細かく制御できるため、引き上げ中における単結晶の温度を単結晶の成長に応じて制御よく調整することが可能となる。しかし、特許文献4に開示された育成装置においては、電源設備が2つ必要となるため設備コストが割高となり、設置場所も広くなる問題を有する。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、断熱材としてジルコニア・バブルを適用した場合においても、低コストでクラックや上記底つき等の不具合の発生がなく、育成される結晶の長尺化に対応可能な単結晶育成装置と単結晶育成方法を提供することにある。
そこで、本発明者が上記課題を解決するため鋭意研究を行ったところ、高周波誘導コイル2の長さYと高周波誘導コイル2内に配置される結晶育成用坩堝1の長さXの比率(Y/X)が通常の範囲(結晶引き上げ方向における坩堝の長さに対し高周波誘導コイルの長さは、通常、2倍〜3.5倍に設定される)にある場合、高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAと高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBの比率(A/B)を特定の範囲に調整することでアフターヒーター側と結晶育成用坩堝側の発熱バランスが適正に制御され、その結果、断熱材としてジルコニア・バブルを適用した場合においてもクラックや底つき等の不具合を防止できることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
一端側が開放された耐火性坩堝と、
上記耐火性坩堝内に坩堝台を介し配置された金属製の結晶育成用坩堝と、
上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝の隙間空間に充填されかつジルコニア・バブルで構成された断熱材と、
上記結晶育成用坩堝の上端に金属製のリフレクターを介し配置された金属製のアフターヒーターと、
上記耐火性坩堝とアフターヒーターの外側周囲に配置された高周波誘導コイルをチャンバー内に備え、
結晶引上げ軸に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成装置において、
上記高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、上記結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、上記高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、上記高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bが、1.00〜1.20の範囲内に設定されていることを特徴とし、
第2の発明は、
第1の発明に記載の単結晶育成装置において、
直径6インチ、長さ100mm以上のニオブ酸リチウム結晶を育成するために用いられることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第3の発明は、
チャンバー内に、耐火性坩堝と、該耐火性坩堝内に坩堝台を介し配置された金属製の結晶育成用坩堝と、上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝の隙間空間に充填されかつジルコニア・バブルで構成された断熱材と、上記結晶育成用坩堝の上端に金属製のリフレクターを介し配置された金属製のアフターヒーターと、上記耐火性坩堝とアフターヒーターの外側周囲に配置された高周波誘導コイルを備え、結晶引上げ軸に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成方法において、
上記高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、上記結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、上記高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、上記高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bを、1.00〜1.20の範囲内に設定することを特徴とする。
本発明によれば、高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bが、1.00〜1.20の範囲内に設定されていることから、アフターヒーター側と結晶育成用坩堝側の発熱バランスを適正に制御できる。このため、断熱材としてジルコニア・バブルを適用した場合においても低コストで、かつ、クラックや底つき等の不具合がなく、育成結晶の長尺化にも対応可能な単結晶育成装置と単結晶育成方法を提供できる効果を有する。
単結晶育成装置における構成部品の長さ寸法を示す説明図で、図中、符号Yは高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さ、符号Xは結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さ、符号Aは高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さ、および、符号Bは高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをそれぞれ示す。 実施形態に係る単結晶育成装置の構成説明図。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る単結晶育成装置の構成説明図で、本実施形態に係る単結晶育成装置は、チャンバー100と、該チャンバー100内に配置されかつ一端側が開放された耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10と、該耐火性坩堝10内に坩堝台11を介し配置された白金製の結晶育成用坩堝1と、上記耐火性坩堝10と結晶育成用坩堝1の隙間空間に充填されたジルコニア・バブル(断熱材)30と、上記結晶育成用坩堝1の上端に白金製のリフレクター41を介し配置された白金製のアフターヒーター40と、上記耐火性坩堝10とアフターヒーター40の外側周囲に配置された高周波誘導コイル2とでその主要部が構成されている。尚、図2中、符号12はアルミナから成る耐火物、符号31は断熱材、符号50はシード棒(結晶引き上げ軸)、符号51は種結晶、符号60は育成された結晶、符号61は結晶原料をそれぞれ示す。
そして、本実施形態に係る単結晶育成装置においては、図1に示すように、高周波誘導コイル2の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、結晶育成用坩堝1の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bが、1.00〜1.20の範囲内に設定されている。
このため、高周波誘導コイル2によるアフターヒーター40側と結晶育成用坩堝1側の発熱バランスが適正に制御され、断熱材としてジルコニア・バブルが適用された場合においても上述したクラックや底つき等の不具合を防止することが可能となる。
上記A/Bが1.00未満の場合(高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAが小さく設定された場合)、高周波誘導コイル2によるアフターヒーター40側の発熱量を十分に確保できなくなるため、アフターヒーター40内における結晶60の上端と下端で温度勾配が大きくなり、熱応力等により引き上げ中にクラックの不具合を生ずる。他方、上記A/Bが1.20を超えた場合(高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAが大きく設定され、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBが相対的に小さく設定された場合)、高周波誘導コイル2による結晶育成用坩堝1の発熱量が低下して坩堝1底近傍の融液温度が低くなり、結晶育成中に坩堝1底近傍の融液が固化して底つき等の不具合を生ずる。
これに対し、A/Bが上記1.00〜1.20の範囲内に設定された場合、高周波誘導コイル2によるアフターヒーター40側と結晶育成用坩堝1側の発熱バランスが適正に制御されるため、断熱材としてジルコニア・バブルが適用された場合においてもクラックや底つき等の不具合を防止することが可能となる。
以下、本実施形態に係る単結晶育成装置を構成する部材について説明する。
結晶育成用坩堝1は、結晶原料の融液を貯留保持するための容器であり、円筒形状の側面と円形の底面を有する。また、結晶育成用坩堝1は、耐熱性に優れたイリジウムや白金で構成され、育成される単結晶がニオブ酸リチウム結晶である場合、白金製の坩堝が適用される。
坩堝台11は、結晶育成用坩堝1を支持するための支持台であり、結晶育成用坩堝1の下方に配置される。
上記結晶育成用坩堝1の上端(開放端)に配置されるリフレクター41は、坩堝1内の熱を反射して坩堝1内に戻すための熱反射手段で、坩堝1側面の上端周縁部を覆うように坩堝1側面の上端に設けられており、円環形状を有する。また、リフレクター41は、耐熱性に優れたイリジウムや白金で構成され、育成される単結晶がニオブ酸リチウム結晶である場合、白金製のリフレクターが適用される。
アフターヒーター40は、結晶育成用坩堝1から引き上げられた単結晶を加熱するための加熱手段である。アフターヒーター40は、リフレクター41上に設けられ、円筒形状を有する。また、アフターヒーター40は、耐熱性に優れたイリジウムや白金で構成され、育成される単結晶がニオブ酸リチウム結晶である場合、白金製のアフターヒーターが適用される。
シード棒(結晶引き上げ軸)50は、下端に種結晶51を保持し、結晶育成用坩堝1に保持された原料融液に種結晶51を接触させ、単結晶の引き上げを行うための単結晶引き上げ手段である。シード棒(結晶引き上げ軸)50は、図示しないモータ等に接続され、回転しながら単結晶を引き上げ可能に構成される。
耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10と耐火物12は、結晶育成用坩堝1およびアフターヒーター40のホットゾーンを外側から覆うための手段である。
ジルコニア・バブル(断熱材)30と断熱材31は、結晶育成用坩堝1の周囲を覆い、熱が外部に放出されるのを抑制するための手段であり、上記断熱材31としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)やジルコニア等の耐熱材料が用いられる。
高周波誘導コイル2は、高周波誘導加熱方式により結晶育成用坩堝1、アフターヒーター40やリフレクター41等を加熱する手段である。高周波誘導コイル2は、図2に示すように銅等の導体をコイル状に形成し、耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10、耐火物12とは非接触の状態でこれ等外周を囲むように配置されている。すなわち、高周波誘導コイル2は、耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10、耐火物12の径方向外方に設けられている。また、高周波誘導コイル2の巻き数、コイル間隔(巻きピッチ)、高周波誘導コイル2と結晶育成用坩堝1の相対位置等は、結晶育成用坩堝1の材質、大きさ(坩堝1の結晶引き上げ方向における長さ)、育成する結晶の種類、長さ、直径等によって適宜設定される。例えば、育成される単結晶が、直径6インチ、直胴部長80mm〜110mm程度のニオブ酸リチウム結晶である場合、高周波誘導コイル2の巻き数は8巻〜14巻程度、コイル間隔(巻きピッチ)は30mm前後である。また、高周波誘導コイル2を作動させるとき、該コイル2には外部の電源(図示せず)から高周波電圧が印加され高周波の電流が流される。これにより、高周波誘導コイル2の周辺に磁界が生じて、高周波誘導コイル2に囲まれる結晶育成用坩堝1、アフターヒーター40、リフレクター41等が発熱する。また、所望とする直径の結晶を育成するため、育成中の結晶重量をロードセルにより検出し、結晶重量から結晶の直径を算出すると共に、ADC(Automatic Diameter Control)により高周波誘導コイル2へ印加する高周波電圧(例えば、135V〜140V)を制御するよう構成されている。
チャンバー100は、結晶育成用坩堝1、耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10、アフターヒーター40、高周波誘導コイル2、耐火物12、坩堝台11等を含めた全体を覆うための手段で、結晶育成雰囲気の保持や熱が外部に漏れるのを抑制する役割を果たす。
制御手段(図示せず)は、単結晶育成装置全体の制御を行うための手段であり、単結晶育成プロセスを含めて単結晶育成装置全体の動作を制御する。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、および、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、プログラムにより動作するマイクロコンピュータにより構成されてもよいし、特定用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路により構成されてもよい。
そして、単結晶の育成は、結晶原料61が充填された結晶育成用坩堝1を高周波誘導加熱により加熱させて原料融液を得る。その後、シード棒(結晶引き上げ軸)50に連結された種結晶51を原料融液表面に接触させ、上方に引き上げて単結晶の育成を行う。チョクラルスキー法による育成方法は特に限定されず、公知の技術を利用できる。
以下、本発明に係る実施例を比較例も挙げて具体的に説明する。
すなわち、図2に示す単結晶育成装置を用いて直径6インチで直胴部長100mmのニオブ酸リチウム単結晶を育成した。尚、ニオブ酸リチウム単結晶の肩部育成時におけるシード棒(結晶引き上げ軸)50の回転速度を10.0rpm、引き上げ速度を0.5mm/hrとし、ニオブ酸リチウム単結晶の直胴部育成時におけるシード棒(結晶引き上げ軸)50の回転速度を5.0rpm、引き上げ速度を1.3mm/hrとしている。
高周波誘導コイル2には、コイル間隔(巻きピッチ)が30mm、巻き数が14巻の銅製ワークコイル(全長Y:420mm)を適用し、結晶育成用坩堝1には、内径220mm、高さ(すなわちX)が168mmの白金製坩堝を適用した。すなわち、上記高周波誘導コイル2の長さYと結晶育成用坩堝1の長さXの比率(Y/X)は、420/168=2.5(すなわち、2〜3.5の通常範囲)に設定されている。耐火性坩堝(アルミナ坩堝)10と結晶育成用坩堝1の隙間空間に充填される断熱材30にはジルコニア・バブルを適用し、断熱材31にはアルミナ(酸化アルミニウム)を用いた。また、アフターヒーター40には、長さ140mmの白金製アフターヒーターを適用した。尚、高周波誘導コイル2へ印加する電圧は135V〜140Vに設定した。
また、図1に示す高周波誘導コイル2の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY(420mm)、結晶育成用坩堝1の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX(168mm)、高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとする。
[実施例1]
高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを126mm、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBを126mmに設定してニオブ酸リチウム単結晶の育成を7回実施したところ、クラックや底つき等の不具合は皆無であった。
尚、A/B=126/126=1.00となる。
育成条件と結果を以下の表1に記載する。
[実施例2]
高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを132mm、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBを120mmに設定して、実施例1と同様、ニオブ酸リチウム単結晶の育成を7回実施したところ、クラックや底つき等の不具合は皆無であった。
尚、A/B=132/120=1.10となる。
育成条件と結果を以下の表1に記載する。
[実施例3]
高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを137mm、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBを115mmに設定して、実施例1と同様、ニオブ酸リチウム単結晶の育成を7回実施したところ、クラックや底つき等の不具合は皆無であった。
尚、A/B=137/115=1.19となる。
育成条件と結果を以下の表1に記載する。
[比較例1]
高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを119mm、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBを133mmに設定してニオブ酸リチウム単結晶の育成を実施したところ、底つきは起こらなかったがクラックが発生した。
高周波誘導コイル2が相対的に下方寄りに設定されてしまい、高周波誘導コイル2によるアフターヒーター40側の発熱量を十分確保できなくなってアフターヒーター40内における結晶60の上端と下端で温度勾配が大きくなり、その結果、クラックが発生したものと推定される。尚、A/B=119/133=0.89となる。
育成条件と結果を以下の表1に記載する。
[比較例2]
高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さAを142mm、高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さBを110mmに設定してニオブ酸リチウム単結晶の育成を実施したところ、育成途中で底つきが起こったため強制的に中止した。但し、育成途中の結晶にクラックは確認されなかった。
高周波誘導コイル2が相対的に上方寄りに設定されてしまい、高周波誘導コイル2による結晶育成用坩堝1の発熱量が低下して坩堝1底近傍の融液温度が低くなり、その結果、結晶育成中に坩堝1底近傍の融液が固化したものと推定される。
尚、A/B=142/110=1.29となる。
育成条件と結果を以下の表1に記載する。
Figure 2021100901
本発明によれば、断熱材としてジルコニア・バブルを適用した場合においても低コストでクラックや底つきのない単結晶を育成できるため、表面弾性波デバイス材料として用いられるニオブ酸リチウム単結晶の育成装置として利用される産業上の利用可能性を有している。
1 結晶育成用坩堝
2 高周波誘導コイル
10 耐火性坩堝(アルミナ坩堝)
11 坩堝台
30 ジルコニア・バブル(断熱材)
31 断熱材
40 アフターヒーター
41 リフレクター
50 シード棒(結晶引き上げ軸)
51 種結晶
60 結晶
61 結晶原料
100 チャンバー
Y 高周波誘導コイル2の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さ
X 結晶育成用坩堝1の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さ
A 高周波誘導コイル2上端と結晶育成用坩堝1上端との間の結晶引き上げ方向における長さ
B 高周波誘導コイル2下端と結晶育成用坩堝1下端との間の結晶引き上げ方向における長さ

Claims (3)

  1. 一端側が開放された耐火性坩堝と、
    上記耐火性坩堝内に坩堝台を介し配置された金属製の結晶育成用坩堝と、
    上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝の隙間空間に充填されかつジルコニア・バブルで構成された断熱材と、
    上記結晶育成用坩堝の上端に金属製のリフレクターを介し配置された金属製のアフターヒーターと、
    上記耐火性坩堝とアフターヒーターの外側周囲に配置された高周波誘導コイルをチャンバー内に備え、
    結晶引上げ軸に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成装置において、
    上記高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、上記結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、上記高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、上記高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bが、1.00〜1.20の範囲内に設定されていることを特徴とする単結晶育成装置。
  2. 直径6インチ、長さ100mm以上のニオブ酸リチウム結晶を育成するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の単結晶育成装置。
  3. チャンバー内に、耐火性坩堝と、該耐火性坩堝内に坩堝台を介し配置された金属製の結晶育成用坩堝と、上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝の隙間空間に充填されかつジルコニア・バブルで構成された断熱材と、上記結晶育成用坩堝の上端に金属製のリフレクターを介し配置された金属製のアフターヒーターと、上記耐火性坩堝とアフターヒーターの外側周囲に配置された高周波誘導コイルを備え、結晶引上げ軸に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成方法において、
    上記高周波誘導コイルの下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをY、上記結晶育成用坩堝の下端側から上端までの結晶引き上げ方向における長さをX、上記高周波誘導コイル上端と結晶育成用坩堝上端との間の結晶引き上げ方向における長さをA、上記高周波誘導コイル下端と結晶育成用坩堝下端との間の結晶引き上げ方向における長さをBとし、Y/Xを2〜3.5とした場合、A/Bを、1.00〜1.20の範囲内に設定することを特徴とする単結晶育成方法。
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