JP2021109826A - 坩堝変形量測定方法及び酸化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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和孝 岡山
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Abstract

【課題】チョクラルスキー法(Cz法)を用いて単結晶育成する際の坩堝の変形を育成毎に把握できる坩堝変形量測定方法、及び、坩堝変形量を活用することで対称な結晶形状を有する高品質の単結晶を、生産性高く製造する酸化物単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】Cz法を用いた結晶育成装置において原料融液を貯留するのに用いる坩堝10の変形量を測定する坩堝変形量測定方法であって、単結晶170育成中の自動直径制御時に用いる又は取得する制御データを取得する工程と、育成された単結晶170の直径または半径Dcを計測した計測データを取得する工程と、制御データと計測データとを用いて、坩堝10の変形量を算出する工程と、を有する坩堝変形量測定方法である。単結晶の製造方法は、坩堝変形量測定方法を用いて坩堝10の変形量を算出する工程と、坩堝10の変形量に応じて、育成条件を変更する工程とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、坩堝変形量測定方法及び酸化物単結晶の製造方法に関する。
従来から、タンタル酸リチウム(LiTaO;以下、LTと略称する)単結晶およびニオブ酸リチウム(LiNbO;以下、LNと略称する)単結晶から加工される酸化物単結晶基板は、主に移動体通信機器において電気信号ノイズを除去する表面弾性波素子(SAWフィルター)の材料として用いられている。
また、SAWフィルターの材料となるLT、LN等の酸化物単結晶は、産業的には主にチョクラルスキー法(Cz法)によって育成されている。例えば、LT単結晶は、イリジウム(Ir)製ルツボを用い、窒素−酸素混合ガス雰囲気の高周波誘導加熱式電気炉(育成炉)中で育成されている。Cz法とは、Ir等の金属製の坩堝内の原料融液に種結晶となるLT等の単結晶片を接触させ、該単結晶片を回転させながら上方に引き上げることにより、種結晶と同一方位の単結晶を育成する方法である。単結晶片の回転速度や引上速度は、育成する結晶の種類、育成時の温度環境に依存し、これ等の条件に応じて適切に選定する必要がある。育成後は、育成炉内において所定の冷却速度で冷却した後、育成炉から単結晶を取り出す。取り出された単結晶は、アニール、ポーリング工程を経た後、スライス、研磨工程によって厚さ数百ミクロン程度の単結晶基板に加工され、SAWフィルターの材料として用いられる。
図1はチョクラルスキー法による酸化物単結晶の育成方法に用いられる結晶育成装置の一例を示す概略構成断面図である。すなわち、この結晶育成装置は、筒状のチャンバー110と、このチャンバー110の内側に設置された高周波コイル80と、この高周波コイル80の内側にそれぞれ配置された耐火物坩堝50および原料が投入される坩堝10と、これら坩堝10と耐火物坩堝50の隙間に充填された耐火性のバブル40と、このバブル40の上端側に設置されたアフター・ヒーター30と、このアフター・ヒーター30を囲むように設けられた耐火物60と、上記坩堝10の上方側に設けられ先端に種結晶150が取付けられる種結晶引上軸90と、上記耐火物坩堝6を支持する坩堝台70とを備えており、かつ、上記種結晶引上軸90は軸線を中心に回転すると共に垂直方向へ種結晶150を移動可能に構成されている。
Cz法に代表される引き上げ法によるLT単結晶の育成では、一般的に高周波誘導加熱式の育成炉が用いられている。LT結晶の融点は1650℃と高温であること、育成雰囲気に酸素が必要であること等から、育成に際してはイリジウム(Ir)製坩堝が用いられており、このIr製坩堝自体がワークコイルで形成される高周波磁場によって誘導加熱され発熱体となる。Ir製坩堝の周囲には、断熱や温度分布の調整のためにアルミナやジルコニア製の耐火物筐体を配している(例えば、特許文献1参照)。
Cz法による単結晶育成では、種結晶を回転させながら引き上げることで円柱状の結晶を得るので、原料融液を含めたホットゾーン内の温度分布が、引上軸に対して軸対称であることが重要である。温度分布の軸対称性が悪いと、結晶の回転に伴って、成長界面近傍の融液温度が変化するために結晶成長速度が変動してしまう。極端な場合では、結晶が融解、急成長を繰り返すことになる。このような結晶成長速度の変動が起こると、結晶欠陥が生成し育成成功率が低下する。
成長界面近傍の温度分布の軸対称性に最も影響を与えるのは、内部に単結晶原料融液があり、且つ発熱体であるIr製坩堝の発熱分布である。Ir製坩堝の真円度が高く、且つIr製坩堝の中心軸上に引上軸があることが好ましい。
特開2003−112998号公報
しかしながら、Ir製坩堝は、育成を繰り返す毎に変形が進む。坩堝の変形は、非対称に起こるので、坩堝の変形が進行するに従って温度分布の軸対称性が悪化し、育成成功率が低下してしまう。変形が起こる理由は、主に坩堝内部にある単結晶原料融液による荷重とLTとIrの熱膨張率の差である。
単結晶原料融液の荷重による変形とは、LT結晶育成時は、坩堝はLT結晶の融点1650℃以上になっており、低温時と比較すると軟化し、変形し易い状態となっている。そのため、坩堝内部にある単結晶原料融液による外側に向う応力によって、特に坩堝底部付近が膨らむ。この現象では、原料融液量が最も多く、且つ坩堝の温度が最も高い、単結晶原料融解時が最も変形速度が大きい。
それに対して、LTとIrの熱膨張率の差による変形は、結晶育成終了後の冷却時に発生する。これは、育成時は熱膨張でIr製坩堝の直径が室温時よりも大きくなっている。その状態で冷却に入ると、坩堝内に残った単結晶原料融液が融点1650℃以下となり固化する。その後、室温まで冷却されるが、固化したLT原料とIr製坩堝の熱膨張率とを比較すると、Ir製坩堝の方が大きいために、Ir製坩堝は、内部で固化した原料の形状に沿うように変形してしまう。
従来は、育成結晶のサイズ、及び用いる坩堝のサイズも小さく、坩堝内に充填する原料の量が少ないため、LTとIrの熱膨張率の差による変形が主であったが、近年、育成結晶のサイズ、用いる坩堝のサイズが大型化し、坩堝内に充填する単結晶原料量が多くなるにつれ、原料融液の荷重による変形が顕著となってきた。単結晶原料融解時に起こる単結晶原料融液の荷重による変形が起こると、その変形した形状に対応して融液が固化する。これにより、その後の冷却時に起こる膨張率差に起因する拡大変形を助長させることになる。
上述したように、坩堝の変形が大きい場合、変形は非対称に起こるので、坩堝の変形が進行するに従って温度分布の軸対称性が悪化し、育成成功率が低下してしまう。結晶育成は、坩堝内に残留した原料に新たに原料粉を追加して繰り返し育成するため、坩堝の変形を直接測定することは難しい。このため、連続育成を中止し、育成回数等により定期的に坩堝の変形を測定している。詳細には、育成装置内から坩堝を取り出し、坩堝内の残留原料を除去し、坩堝の変形量をキャリパーゲージ等により直接坩堝の変形を測定し管理している。
しかしながら、連続育成を中止することで生産性が悪化している。また、坩堝変形の測定は、育成毎でないため坩堝に異常変形が起きた場合は対応が出来ず、径不良等結晶不具合が発生していた。
そこで、本発明は、Cz法を用いて単結晶育成での坩堝の変形を育成毎に把握できる坩堝変形量測定方法及び、この坩堝変形量を活用することで対称な結晶形状を有する高品質の単結晶を、生産性高く製造する酸化物単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る坩堝変形量測定方法は、チョクラルスキー法を用いた結晶育成装置において原料融液を貯留するのに用いる坩堝の変形量を測定する坩堝変形量測定方法であって、
単結晶育成中の自動直径制御時に用いる又は取得する制御データを取得する工程と、
育成された単結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程と、
前記制御データと前記計測データとを用いて、前記坩堝の変形量を算出する工程と、を有する。
本発明の一態様に係る酸化物単結晶の製造方法は、上記の坩堝変形量測定方法を用いて坩堝の変形量を算出する工程と、前記坩堝の変形量に応じて、育成条件を変更する工程と、を有する。
本発明によれば、坩堝の変形を育成毎に把握でき、把握した坩堝変形量を活用することで坩堝変形を事前に把握し、対称な結晶形状を有する高品質の単結晶を、生産性高く製造する酸化物単結晶の製造方法を提供できる。
本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。 坩堝半径を計算するためのデータを示した図である。 制御部で実施する坩堝径を算出する工程のフロー図である。 坩堝使用回数に対しての坩堝変化量を実施例及び比較例の方法で求めて結果をグラフに示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の実施形態に係る坩堝変形量測定方法及び酸化物単結晶の製造方法が適用されるチョクラスキー法を用いた結晶育成装置は、大気中または酸素を含んだ不活性ガス雰囲気中で育成されるニオブ酸リチウムLiNbO(以下、「LN」と略称する。)、タンタル酸リチウムLiTaO(以下、「LT」と略称する。)、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12(以下、「YAG」と略記する場合がある。)などの酸化物単結晶(以下、「単結晶」とも呼ぶ。)の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は数mm程度の単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら徐々に引き上げることによって、種結晶の方位と同一の単結晶を製造する方法である。
現在、坩堝形状の測定は、育成回数等により定期的に育成装置内から坩堝を取り出し作業者がキャリパーゲージを用いて測定を実施している。この間に坩堝の変形が大きくなると育成される結晶形状に影響が生じ、径不良や多結晶化等不具合が発生する。そこで、本発明者等は、結晶育成時、結晶径を安定させるために行っている自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)で得られた各種データ情報および育成された結晶形状データ情報で坩堝形状の測定ができると考え、発明を完成させるに至った。
図1は、本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、坩堝10と、リフレクタ20と、アフター・ヒーター30と、バブル40と、耐火物坩堝50と、耐火物60と、坩堝台70と、高周波コイル80と、引き上げ軸90と、ロードセル100と、チャンバー110と、高周波電源120と、制御部130を備える。
また、引上軸90の下端には種結晶保持部91が設けられ、種結晶150を保持している。また、坩堝10内には原料融液160が貯留保持されている。
本実施形態に係る結晶育成装置において、坩堝10はバブル40の上に載置されている。坩堝10の上方には、リフレクタ20を介して、アフター・ヒーター30が設置されている。坩堝10及びバブル40の周囲を囲むように耐火物坩堝50、リフレクタ20及びアフター・ヒーター30の周囲を囲むように耐火物60が設けられている。耐火物坩堝50は、坩堝台70の上に載置されている。また、坩堝10、リフレクタ20、アフター・ヒーター30、バブル40、耐火物坩堝50及び耐火物60を取り囲むように高周波コイル80が設けられている。また、高周波コイル80の外側にはチャンバー100が設けられ、耐火物坩堝50、耐火物60及び高周波コイル80の周囲全体を覆っている。
坩堝10の上方には、引き上げ軸90が設けられている。引き上げ軸90は、下端に種結晶保持部91を有し、図示しない引き上げ軸駆動モータにより昇降可能に構成されている。また、引上軸90の上方にロードセル100を設置し、育成された単結晶の重量が測定される。耐火物坩堝50の下方かつチャンバー100内には載置台70が設けられ、チャンバー100以外の全体を支持している。
また、結晶育成装置全体の動作を制御するための制御部130と、実行中の自動直径制御データを記憶するための記憶部140と、高周波コイル80及び結晶育成装置全体に電力を供給するための電源120がチャンバー100の外部に設けられる。
次に、個々の構成要素について説明する。
坩堝10は、結晶原料を貯留保持し、単結晶を育成するための容器である。LT等の酸化物結晶育成では酸素を含む雰囲気で育成されるため、耐熱性があり酸素と反応しない貴金属、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)等の単体又はそれらの合金から構成されることが好ましい。
リフレクタ20、アフター・ヒーター30も坩堝10と同様の特性が要求されるため、坩堝10と同様に貴金属、Ir、Pt、Rh等の単体又はそれらの合金からなることが好ましい。
バブル40、耐火物坩堝50及び耐火物60は、坩堝10等の発熱を外部に漏らさないための発熱遮蔽手段である。バブル40及び耐火物坩堝50は、坩堝10の周囲を覆うように設けられる。耐火物60は、リフレクタ20及びアフター・ヒーター30の周囲を覆うように設けられる。
坩堝台70は、耐火物坩堝50を下方から支持する支持台として設けられる。坩堝台70は、誘導コイル100の加熱に耐え得る十分な耐熱性及び坩堝10を支持する耐久性を有すれば、種々の材料から構成されてよい。
引き上げ軸90は、種結晶150を保持し、坩堝10に保持された原料融液160の表面に種結晶150を接触させ、回転しながら単結晶を引き上げるための手段である。引き上げ軸90は、種結晶150を保持する種結晶保持部91を下端部に有するとともに、駆動機構(図示せず)を備える。なお、駆動機構は、結晶の引き上げの際、結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構であり、例えば、モータが用いられてもよい。
ロードセル100は、単結晶育成時における単結晶の重量を測定するための手段であり、自動直径制御データのうち、結晶重量データを取得するのに用いられる。
高周波コイル80は、坩堝10、リフレクタ20及びアフター・ヒーター30を加熱するための手段であり、坩堝10、リフレクタ20、アフター・ヒーター30を囲むように配置する。
高周波電源120は、高周波コイル80に電源供給を行うための電力供給手段であり、交流電源が用いられる。
制御部130は、結晶育成装置の全体の動作を制御する。特に、本実施形態においては、結晶育成時における自動直径制御を実施する。制御部120は、例えば、コンピュータにより構成される。
記憶部140は、自動直径制御中に取得したデータ及び育成された結晶の半径データを記憶するための手段である。後の演算工程において使用するデータを記憶する。なお、記憶部140は、一般的に使用されているメモリを用いることができる。
本実施形態に係る坩堝変形量測定方法は、かかる結晶育成装置に好適に適用され得る。
次に、本発明の実施形態に係る坩堝変形量測定方法について説明する。本発明の実施形態に係る坩堝変形量測定方法は、結晶育成中の自動直径制御時の制御データを取得する工程と、育成された結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程と、前記結晶育成中の制御時のデータ取得する工程の自動直径制御時の自動直径制御データと育成された結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程の結晶の直径または半径のデータとより坩堝の変形量を算出する工程とを有する。以下詳細に説明する。
結晶育成中の自動直径制御時の制御データを取得する工程は、種結晶150を原料融液160に接触させて結晶の引き上げを開始してから育成終了までの育成に関するデータを取得する工程である。
単結晶育成においては、育成する単結晶が所定の直径を有しかつ所定の結晶長の単結晶を育成する必要がある。そこで、一定の間隔で、引上軸90の上方に設置しているロードセル100での結晶重量測定、及び引上軸の引上距離等のデータから育成する結晶の直径を予測し、その直径が一定の直径になるように出力等を調整し、育成される結晶径が所定径になるように自動制御して結晶を育成するのが一般的である。そこで、結晶育成中の自動直径制御時の自動直径制御データを取得する工程においては、育成単結晶の直径を自動制御する際に取得される、引上軸の引上距離とその時の結晶重量を取得する。上記制御間隔は、例えば1分/回〜5分/回である。
育成された結晶の直径または半径計測した計測データを取得する工程は、文字通り、育成された結晶を結晶先端から終端までを一定間隔で結晶の直径または半径を測定し、結晶の直径または半径のデータを取得する工程である。測定器の種類や構造は特に限定されない。測定器は連続的に測定できる測定器であることが好ましい。例えば、測定器としては、レーザー測長測定器等を用いることが出来る。また、育成された結晶は真円ではなく一部に偏りがある場合がある。このため、育成された結晶の測定は、半径が好ましく、例えば、種結晶の基準線(結晶育成方向の種結晶に中心線)を中心とし、均等に8方向を測定し、その平均値としてもよい。
次に、前記結晶育成中の自動直径制御時の制御データを取得する工程で取得された制御データと、育成された結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程で取得された結晶の直径または半径のデータに基づいて、坩堝の変形量を算出する工程を実施する。坩堝の変形量を算出する工程は、上記で得られたデータから坩堝変形量を算出する工程である。
結晶育成中の自動直径制御時は、引上軸の引上距離とその時の結晶重量データと、原料融液の密度および引上結晶の密度、坩堝径から引上結晶の結晶径を算出している。本発明では、引上距離、結晶の重量量、原料融液および引上結晶の密度に加え、育成された結晶の直径または半径の計測データを取得する工程からの育成終了後の引上結晶の結晶直径または半径の実測値を用い、これらのデータから坩堝径を逆算する。なお、以下の説明では、計測データを取得する工程での計測値は、結晶半径を用いた場合について説明する。
図2は、坩堝半径を計算するためのデータを示した図である。図2に示されるように、引上軸90の引上距離をh(mm)、原料融液160の液面降下距離をH(mm)とし、引上結晶の実行成長距離をG(mm)とする。また、引上結晶の重量をW(g)、引上結晶の結晶半径をDc(mm)、引上結晶の密度をρ(g/mm)、原料融液の密度をρ(g/mm)とする。ここで、引上結晶の重量W、引上距離hは、結晶育成中の自動直径制御時のデータ取得する工程の自動直径制御時に実測されて取得される値である。一方、引上結晶の結晶半径Dcは、育成された結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程で測定された結晶半径の実測値である。また、引上結晶の密度ρ、原料融液の密度ρmは既知のものとする。なお、液面降下距離Hは、実測はされず、計算過程において消去される計算用のデータである。また、求める坩堝半径をDm(mm)とする。
育成される結晶の長さは、引上結晶の実行成長距離Gで引上距離h、原料融液の液面降下量Hを足し合わせた値(h+H)となる。育成された単結晶の重量は、実効成長距離の体積の重さとなる。結晶育成中の自動直径制御時の1ステップごとに計算する場合dGが十分に小さいと仮定し、結晶半径DcはDc(G)≒Dc(G+dG)、坩堝半径DはDm(G)≒Dm(G+dG)とする。この時、1ステップ当たりの実行成長距離、dGは1ステップ当たりの引上結晶の重量変化量dW、引上結晶の結晶半径Dm、引上結晶の密度ρを用いると、引上結晶の重量変化量dWは、以下の式(1)から求まる。
dW=πρdGDc(G+dG) (1)
よって、式(1)から、実効成長距離dGは、式(2)のように表される。
dG=dh+dH=dW/πρDc(G+dG) (2)
dGを積算することにより、ある時点での引上結晶170の実行成長距離Gを算出できる。次に、この育成された結晶170の重量は、坩堝半径Dmを底面積とし液面降下距離Hが高さの原料融液160の重量と同等である。即ち、減少した原料融液160と育成された結晶170の重量は等しい。よって、実行成長距離Gの時点における引上結晶170の結晶半径Dm(G+dG)、1ステップ当たりの引上結晶170の重量変化量dW、引上結晶170の密度をρ、原料融液の密度をρとすると、重量変化量dWは、式(3)の関係を有する。
dW=πρDc(G+dG)dG=πρDm(G+dG)dH (3)
式(2)及び式(3)から、結晶の実行成長距離(G+dG)の時点における坩堝半径Dm(G+dG)が式(4)のように求められる。
Figure 2021109826
このようにして、実行成長距離Gの時点における引上結晶170の結晶半径Dm(G+dG)を求めることができる。
図3は、制御部130で実施する坩堝半径を算出する工程のフロー図である。
STEP0では、育成重量W、引上距離hのデータを取得する。
STEP1では、ログデータより、重量W(W+dW)、引上距離h(h+dh)、および結晶半径Dc(G+dG)のデータを取得する。
次に、STEP0とSTEP1との差分、重量dW、引上距離dh、結晶半径Dc(G+dG)より、実効成長距離dGを算出し、これらより坩堝半径dDm(G)を算出する。坩堝半径の変形量は、坩堝半径dDc(G)から坩堝半径初期値Dm00を減じた値とする。また、坩堝の直径の変形量は、坩堝直帰2dDc(G)から坩堝直径初期値2Dm00を減じた値である。上記のSTEP0及びSTEP1のサイクルを最終STEPまで繰り返し実施することで連続した変形量を検出することが出来る。なお、坩堝半径の初期値Dm00は、新品の坩堝を導入した時の坩堝の半径であり、使用前の坩堝の半径である。
なお、ステップの間隔は、結晶育成中の自動直径制御時の制御ステップ間隔とすることが可能であり、連続的に算出することで坩堝の変形をより正確に算出することが出来る。結晶育成中の自動直径制御時の測定する重量は回転しながら計測しているため、測定値にばらつきがある。このため、ステップ間隔は、1分/回〜5分/回とし、かつ10点の移動平均値等の平準化を行ってもよい。また、変形量としては、坩堝高さから下側に変形を連続して算出することがよいが、概ね1mm間隔で変形量の平均値とすることにより、安定して数値(データ)を得ることができる。
次に、本発明の酸化物単結晶の製造方法を説明する。
上述したように、本実施形態に係る坩堝変形量測定方法により、坩堝10の変形量を算出し、坩堝の変形量を把握することができる。そこで、本発明の酸化物単結晶の製造方法は、この把握した坩堝の変形量に応じて育成条件を変更し、結晶形状の良好な円筒形の単結晶170を得るための制御を実施しつつ、単結晶170を製造する方法である。
本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法はチョクラルスキー法を用いる。具体的には、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は数mm程度の単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら徐々に引き上げることによって、種結晶の方位と同一の単結晶を製造する方法である。この際、結晶を安定的に一定の径に成長させる方法として自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)を行っている。自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)は、引上軸の上部に配置されたロードセルにより結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量及び引上軸の引上距離とその時の結晶重量データと、原料融液の密度および引上結晶の密度、坩堝径から引上結晶の結晶直径を算出し、目標直径との差分から高周波電源120の出力を変化させて直径を制御する方法である。ここで、坩堝径は、初期値として、新品時の坩堝径、あるいは、育成回数等により、育成装置内から坩堝を取り出し、坩堝の変形量をキャリパーゲージ等により直接坩堝の変形を測定した坩堝径を使用していた。
これに対し、本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の製造方法では、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径を、上述した坩堝変形量測定方法により算出したデータを用いる。このデータは、連続したデータでもよいし、ある間隔で取得されたデータでも良い。上記算出値は、短い間隔でのデータではばらつきが大きい場合があり、自動直径制御に用いるデータとしては不向きである。そこで、自動直径制御に用いるデータは、3mm〜15mm間隔の平均値あるいは前後のデータの移動平均値等を用いることが好ましい。また、育成条件を急激に変更した場合、結晶異常が発生しやすいことから、緩やかに育成条件が変化するように設定することが好ましい。このため、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径データは、上述した坩堝変形量測定方法により算出したデータの一部を±5%を目途に補正してもよい。特に、変形が開始される部分、あるいは、単結晶の直胴部終了部分等は急激な変化がないように補正することが好ましい。
自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径を、上述した坩堝変形量測定方法により算出したデータを用いることで、対称な結晶形状を有する高品質の単結晶170を、生産性高く製造することができる。
このように、本実施形態に係る坩堝変形量測定方法を組み込んだ単結晶の製造方法を実施し、結晶形状に優れた高品質の単結晶を製造することが可能である。
[実施例1]
本実施例1では、図1に示す高周波誘導加熱式電気炉を用いて、タンタル酸リチウムの単結晶の育成を行った。この時、坩堝の内径がφ200mmの坩堝を使用して、6インチの単結晶を育成した。坩堝内の融液面を0とし、そこから引き上げを開始し自動直径制御をおこなった際の、育成時のデータの育成重量と引上距離の数値を取得し、また、実際に育成した結晶の形状データの半径データを取得し、これらより算出を行い、坩堝半径を求めることとした。
引き上げ開始より20.01mmの位置では育成時のデータより、引き上げ開始からの重量W2637g、引き上げ距離H20.01mmを取得した。引き上げ開始より30.00mmの位置では、育成時のデータより引き上げ開始からの重量W7725g、引き上げ距離H30.00mmを取得した。実際にできた結晶の形状の結晶径データよりDは78.5mmであった。なお、結晶径のデータは、結晶半径とし、種結晶の基準線を中心とし、結晶の均等に8方向を測定しその平均値とした。これより算出して坩堝半径101.94、坩堝直径203.88mmを得た。上記と同様に、STEP毎に2分/回の頻度で計算し、結晶育成完了まで計算を実施した。
育成終了後、育成装置内より坩堝を取り出し、坩堝の変形量をキャリパーゲージにより直接坩堝の直径を測定した。なお、4方向測定しその平均値を坩堝直径とした。この実測値を比較例とする。
図4は、坩堝使用回数に対しての坩堝変化量を上記実施例、比較例の方法で求め、その結果をグラフに示した図である。なお、坩堝変化量は、新品の坩堝を導入した時の坩堝直径との差とした。比較例は、キャリパーゲージによる実測値であり、基準値である。この実測値に近い算出地であれば、計算値が正確である、ということになる。
図4において、坩堝使用回数は試験開始時をゼロとして所定の使用回数毎にデータをプロットした。なお、図4は、坩堝上端より下側に80mmの位置の坩堝の変形量を示している。なお、変形方向は、坩堝の内側に変形しており内側にくびれた状態となっていた。くびれの最大部は、坩堝上端より下側に80mmの位置であった。
実施例のデータについては、坩堝上端より下側に80mmの位置の上下2STEPを含む5点のデータの平均値とした。坩堝変形量推移は実施例の計算値と比較例の実測値の傾向が一致している事が分かった。坩堝の繰り返し使用回数35回で最大の変形量が14mm前後であったのに対し、両者の差は数mm程度であり、本件測定方法でも十分坩堝変形量を算出することが有効である。
このように上記の実施例によれば、自動直径制御の育成時のデータと育成された結晶の形状データより算出することで、育成回数等により定期的に坩堝の変形を測定する必要がなく、連続して育成することができ生産性を向上させることが出来る。また、坩堝変形は、育成毎に把握できるため、坩堝の変形量に合わせ条件を変更できるため、育成成功率を向上させることが出来る。
[実施例2]
実施例2では、図1に示す高周波誘導加熱式電気炉を用いて、タンタル酸リチウムの単結晶の育成を行った。この時、坩堝の初期設定が内径φ210mmで数十回使用した坩堝を用い6インチの単結晶を育成した。実施例1と同様に、坩堝内の融液面を0とし、そこから引き上げを開始し自動直径制御を行った際の、育成時のデータの育成重量と引上距離の数値を取得した。また、実際に育成した結晶の形状データの半径データを取得し、これらより算出を行い、坩堝径(計算値)を算出した。その結果を表1に示す。また、坩堝をキャリパーゲージにより直接坩堝の直径を測定した。なお、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径データは、初期設定値とした。
Figure 2021109826
次に、算出した坩堝径(計算値)を基に、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径を表1のADC修正値に変更して、上記と同様単結晶の育成を行った。
この時、育成した単結晶の直胴部の直径を確認した。この坩堝は、結晶育成時の後半部分が内側にくびれている。このため、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径の設置を初期値に設定して育成を行った場合、育成された結晶は、結晶下側が大きくなる傾向にあり、結晶直胴部の下端部は結晶径が+7mm大きく育成されていた。
これに対し、自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径の設置を表1のADC修正値に変更して育成した結晶は、結晶直胴部全長にわたり±2mm以内に抑えられ良好であった。
このように、変形がある坩堝であっても、上述した坩堝変形量測定方法により算出したデータを自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)の坩堝径に用いることで、坩堝の変形量に合わせて育成条件を変更することができる。これにより、対称な結晶形状を有する高品質の単結晶170を、生産性高く製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 坩堝
20 レフレクター
30 アフター・ヒーター
40 バブル
50 耐火物坩堝
60 耐火物
70 坩堝台
80 高周波コイル
90 引上軸
100 ロードセル
110 チャンバー
120 高周波電源
130 制御部
140 記憶部
150 種結晶
160 原料融液
170 結晶

Claims (4)

  1. チョクラルスキー法を用いた結晶育成装置において原料融液を貯留するのに用いる坩堝の変形量を測定する坩堝変形量測定方法であって、
    単結晶育成中の自動直径制御時に用いる又は取得する制御データを取得する工程と、
    育成された単結晶の直径または半径を計測した計測データを取得する工程と、
    前記制御データと前記計測データとを用いて、前記坩堝の変形量を算出する工程と、を有する坩堝変形量測定方法。
  2. 前記制御データは、引上結晶の引上距離データと、結晶重量データと、原料融液の密度データと、引き上げ結晶の密度データとを含み、
    前記坩堝の変形量を算出する工程は、前記引き上げ距離データ、前記結晶重量データ及び前記計測データを用いて所定の時間間隔における前記引上結晶の引上距離と前記原料融液の液面低下距離を加えた単結晶の実行成長距離を算出する工程と、
    前記単結晶の実行成長距離において育成された単結晶の重量と、前記原料融液の減少量の重量は等しいという関係から前記坩堝の直径または半径を算出する工程と、
    前記坩堝の直径または半径から前記坩堝の直径または半径の初期値を減ずる工程と、を含む請求項1に記載の坩堝変形量測定方法。
  3. 請求項1乃至2のいずれか一項に記載の坩堝変形量測定方法を用いて坩堝の変形量を算出する工程と、
    前記坩堝の変形量に応じて、育成条件を変更する工程と、を有する単結晶の製造方法。
  4. 自動直径制御(Auto Diameter Control: ADC)に用いる坩堝径のデータを用いて、前記育成条件を変更する工程を実施する請求項3に記載の単結晶の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023195217A1 (ja) * 2022-04-08 2023-10-12 株式会社Sumco シリコン単結晶の製造方法及び装置並びにシリコンウェーハの製造方法
WO2023219035A1 (ja) * 2022-05-11 2023-11-16 信越化学工業株式会社 酸化物単結晶の製造方法及び製造装置

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