JP7102448B2 - 磁気交換結合自由層を備えた磁気トンネル接合記憶素子 - Google Patents

磁気交換結合自由層を備えた磁気トンネル接合記憶素子 Download PDF

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Description

本発明は、一般には電子メモリに関し、より詳細には、高いデータ保持力(例えば≧10年)をもたらすと同時に高速スイッチング電流の大きさを最小(例えば書き込みパルス幅≦10ns)にするように構成された磁気交換結合複合自由層と二重トンネル障壁とを有する、スピントランスファートルク(STT)磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子に関する。
電子メモリは、揮発性または不揮発性に分類される。揮発性メモリは、記憶されたデータをメモリに電力が供給されているときだけ保持するが、不揮発性メモリは、定電力がなくても記憶されているデータを保持する。揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)は、高速読み取り/書き込み速度と、容易な再書き込み機能とを実現する。しかし、システム電力がオフにされると、揮発性RAMからハード・ドライブにコピーされていない情報は失われる。不揮発性メモリは、記憶されているデータを保持するのに定電力を必要としないが、一般に、揮発性メモリと比較して読み取り/書き込み速度がより低速であり、寿命が比較的限られている。
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)は、磁気デバイスを標準シリコン・ベースのマイクロエレクトロニクスと組み合わせて、不揮発性と、高速読み取り/書き込み動作と、高い読み取り/書き込み耐久性とデータ保持力とを組み合わせた属性を実現する不揮発性メモリである。「磁気抵抗」という用語は、MTJ記憶素子(または「ビット」)の特定の磁性状態に変更を加えるとMTJ抵抗が変化する効果を言い、これが「磁気抵抗」RAMという名称の由来である。MRAMにはデータが電荷ではなく磁性状態または磁気特性(例えば磁化方向、磁極性、磁気モーメントなど)として記憶される。典型的な構成では、各MRAMセルが、トランジスタと、データ記憶のためのMTJデバイスと、ビット線とワード線とを含む。一般に、MTJの電気抵抗は、特定のMTJ層の相対的磁性状態に基づいて高または低となる。特定のMTJ層の磁性状態を切り換えるように特定の磁場または電荷電流を印加することによって、MTJにデータが書き込まれる。データは、MTJの抵抗を検出することによって読み取られる。記憶のために磁性状態/磁気特性を使用することには2つの主な利点がある。第1に、電荷とは異なり、磁性状態は時間の経過とともに漏出せず、したがって、システム電力がオフにされても記憶されているデータは残る。第2に、磁性状態の切り換えには知られている摩耗メカニズムがない。
STTは、MTJベースの記憶素子において、記憶素子を1つの記憶状態(例えば「0」または「1」)から別の記憶状態(例えば「1」または「0」)に切り換えるのを支援するために利用可能な現象である。例えば、図1に示すSTT-MRAM100は、MTJ102の自由層108の磁性状態(すなわち磁化方向110)を切り換えるために、スピン偏極された電子を使用する。MTJ102は、参照/固定磁気層104と、薄い誘電体トンネル障壁106と、自由磁気層108とを含むように構成される。MTJ102は、その自由層108の磁化方向110が固定層104の磁化方向112と平行なときに低抵抗を有する。逆に、MTJ102は、その自由層108が固定層104の磁化方向112に対して逆平行な向きである磁化方向110を有するときに高抵抗を有する。STT-MRAM100は、ワード線(WL)124によってゲート制御されるFET120と直列の多層MTJ102を含む。設計によっては、BL126とソース線(SL)128とは互いに平行とすることができる。BL126はMTJ102に結合され、SL128はFET120に結合される。(BL126に沿った複数のMTJ記憶素子の1つである)MTJ102が、そのWL124をオンにすることによって選択される。
MTJ102は、MTJ102を介したビット線(BL)126からの電流を切り換える、それに関連づけられたワード線トランジスタ(例えば電界効果トランジスタ(FET)120)をアクティブにすることによって読み取ることができる。MTJの抵抗は、感知された電流から判断することができ、感知電流自体は自由層108の磁化方向110の極性に基づく。従来、固定層104および自由層108の磁化方向112、110が同じ極性を有する場合、抵抗は低く、「0」が読み取られる。固定層104および自由層108の磁化方向112、110が逆極性を有する場合、抵抗はより高く、「1」が読み取られる。
MTJ102を通してBL126からSL128に電圧(例えば500mV)が印加されると、選択されたセルのMTJ102に電流が流れてそのセルを、印加された電圧(BL高対SL高)の極性によって決まる特定の状態に書き込む。書き込み動作中、参照層104で生成されたスピン偏極電子がトンネル層106をトンネルし、自由層108にトルクを加え、それによって自由層108の磁化方向110を切り換えることができる。したがって、STT-MRAMのMTJに書き込むために必要な電流の量は、MTJでスピン偏極がどれだけ効率的に生成されるかに依存する。さらに、STT-MRAMのスケーラビリティを向上させるには、書き込み電流を小さく(例えばI<25マイクロアンペア)維持するSTT-MRAM設計が重要である。これは、スイッチング電流が大きいほど大きなトランジスタ(例えばFET120)を必要とすることになり、それによってSTT-MRAM密度を高めることができなくなるためである。
しかし、STT MRAMデバイスにおいて高速スイッチング(例えば書き込みパルス幅≦10ns)を実現するためには、大電流が必要である。より詳細には、高速スイッチング方式では、特定のパルス幅におけるスイッチング電流Iと臨界電流Ic0との差であるいわゆるオーバードライブ電流が、式(1)に示すように書き込みパルスに反比例する。
Figure 0007102448000001
式(1)で、I-Ic0はオーバードライブ電流、ηは磁性材料のスピン偏極、tはパルス幅、mは自由層材料の総モーメント、μBは定数であるボーア磁子である。式(1)は、特定のパルス幅におけるスイッチング電流を最小にするには、自由層モーメント(m)を低減する必要があることを示唆している。低モーメント自由層を設けることは、MTJの低ビット書き込みエラー率(WER)パフォーマンスを向上させるためにも有利である。
しかし、単純な低モーメント自由層は、活性化エネルギー(E)が低く、その結果、保持力が弱くなる。一般に、活性化エネルギーは、MTJ自由層の磁性状態を反転させるのに要するエネルギーの量である。MTJ自由層に書き込まれたデータを保持するためには、活性化エネルギーは、MTJの動作環境におけるランダムなエネルギー源(例えば熱)がMTJ自由層を反転させるのに十分なエネルギーを意図せずに印加するのを防ぐのに十分に高くなければならない。したがって、高速スイッチング方式において知られているSTT-MRAM動作では、低モーメント自由層を流れるスイッチング電流を最小にすると、活性化エネルギー(E)とデータ保持力が低下する(例えば≦10年)という望ましくない結果を招く。
本発明の実施形態は、磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子を対象とする。MTJの非限定的実施例は、第1の固定磁化方向を有する第1の参照層と、第1のトンネル障壁層と、第1のトンネル障壁層の第1の参照層とは反対の側にある自由層と、自由層の第1のトンネル障壁とは反対の側にある第2のトンネル障壁と、第2の固定磁化方向を有する第2の参照層とを含む。第2の参照層は第2のトンネル障壁の自由層とは反対の側にある。自由層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを含む。第1の領域は、第1の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第1の材料を含む。第2の領域は、第2の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第2の材料を含む。第1の領域と第2の領域との間に第1のスペーサ材料があり、第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成される。本発明の上記の実施形態の利点は、第3の領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第1の領域を使用し、STTによる第1の領域の磁化方向を切り換えるプロセスを開始するために第1の参照層を使用し、STTによる第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第2の参照層を使用することができるようになることを含むが、これには限定されない。
本発明の実施形態は、MTJ記憶素子を対象とする。MTJの非限定的実施例は、第1の固定磁化方向を有する第1の参照層と、第1のトンネル障壁層と、第1のトンネル障壁層の第1の参照層とは反対の側にある自由層と、自由層の第1のトンネル障壁とは反対の側にある第2のトンネル障壁と、第2の固定磁化方向を有する第2の参照層とを含み、第2の参照層は、第2のトンネル障壁の自由層とは反対の側にある。自由層は第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、第1のスペーサ材料と、第2のスペーサ材料とを含む。第1の領域は、第1の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第1の材料を含む。第2の領域は、第2の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第2の材料を含む。第3の領域は、第3の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第3の材料を含む。第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間にあり、第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成されている。第2のスペーサ材料は、第2の領域と第3の領域との間にあり、第2のスペーサ材料は、第2の領域と第3の領域との磁気交換結合をもたらすように構成されている。本発明の上記の実施形態の利点は、第1のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第1の領域を使用し、第2のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第3の領域を使用し、STTによる第1の領域磁化方向を切り換えるプロセスを開始するために第1の参照層を使用し、STTによる第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第2の参照層を使用することができるようになることを含むが、これには限定されない。
本発明の実施形態はMTJ記憶素子を形成する方法を対象とする。この方法の非限定的実施例は、第1の固定磁化方向を有する第1の参照層を形成することと、第1のトンネル障壁層を形成することと、第1のトンネル障壁層の第1の参照層とは反対の側に複合自由層を形成することと、自由層の第1のトンネル障壁とは反対の側に第2のトンネル障壁を形成することと、第2の固定磁化方向を有する第2の参照層を形成することとを含む。第2の参照層は、第2のトンネル障壁の自由層とは反対の側にある。複合自由層を形成することは、第1の領域と、第2の領域と、第1のスペーサ材料と、第2のスペーサ材料とを形成することを含む。第1の領域は、第1の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第1の材料を含む。第2の領域は、第2の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第2の材料を含む。第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間にある。第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成される。本発明の上記の実施形態の利点は、第3の領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第1の領域を使用し、STTによる第1の領域磁化方向を切り換えるプロセスを開始するために第1の参照層を使用し、STTによる第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第2の参照層を使用することができるようになることを含むが、これには限定されない。
実施形態は、MTJ記憶素子を形成する方法を対象とする。この方法の非限定的実施例は、第1の固定磁化方向を有する第1の参照層を形成することと、第1のトンネル障壁層を形成することと、第1のトンネル障壁層の第1の参照層とは反対の側に複合自由層を形成することと、自由層の第1のトンネル障壁とは反対の側に第2のトンネル障壁を形成することと、第2の固定磁化方向を有する第2の参照層を形成することとを含む。第2の参照層は、第2のトンネル障壁の自由層とは反対の側にある。複合自由層の形成は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、第1のスペーサ材料と、第2のスペーサ材料とを形成することを含む。第1の領域は、第1の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第1の材料を含む。第2の領域は、第2の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第2の材料を含む。第3の領域は、第3の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第3の材料を含む。第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間にあり、第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成される。第2のスペーサ材料は、第2の領域と第3の領域との間にあり、第2のスペーサ材料は、第2の領域と第3の領域との磁気交換結合をもたらすように構成される。本発明の上記の実施形態の利点は、第1のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第1の領域を使用し、第2のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第3の領域を使用し、STTによる第1の領域磁化方向を切り換えるプロセスを開始するために第1の参照層を使用し、STTによる第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第2の参照層を使用することができるようになることを含むが、これには限定されない。
実施形態は、MTJ記憶素子を動作させる方法を対象とする。この方法の非限定的実施例は、所定の振幅を有する書き込みパルスをMTJ記憶素子に印加することを含む。MTJ記憶素子は、第1の固定磁化方向を有する第1の参照層と、第1のトンネル障壁層と、第1のトンネル障壁層の第1の参照層とは反対の側の自由層と、自由層の第1のトンネル障壁とは反対の側の第2のトンネル障壁と、第2の固定磁化方向を有する第2の参照層とを含み、第2の参照層は第2のトンネル障壁の自由層とは反対の側にある。自由層は、第1の領域と、第2の領域と、第1のスペーサ材料とを含む。第1の領域は、第1の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第1の材料を含む。第2の領域は、第2の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第2の材料を含む。第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間にあり、第1のスペーサ材料は、第1の領域と第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成される。この方法は、書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、第1の参照層材料中でスピン・トルク電子を生成することをさらに含み、第1の参照層材料中で生成されるスピン・トルク電子は、第2の領域の第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分である。この方法は、スピン・トルク電子が第1の参照層材料中で生成されることに少なくとも部分的に基づいて、第1の領域の第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始することをさらに含む。本発明の上記の実施形態の利点は、第1のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第1の領域を使用し、第2のスペーサ領域によってもたらされる磁気交換結合を使用して第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第3の領域を使用し、STTによる第1の領域磁化方向を切り換えるプロセスを開始するために第1の参照層を使用し、STTによる第2の領域磁化方向を切り換えるプロセスを支援するために第2の参照層を使用することができるようになることを含むが、これには限定されない。
その他の特徴および利点も本発明の技術によって実現される。本発明の他の実施形態および態様について、本明細書で詳細に説明し、特許請求される対象の一部とみなされる。よりよく理解することができるように、詳細な説明および図面を参照されたい。
本明細書に示す図面は例示である。本発明の思想から逸脱することなく、図面または図面に記載の動作には多くの変形があり得る。例えば、動作は異なる順序で行うことができ、または動作を追加、削除または変更することが可能である。また、「結合される」という用語は、2つの要素間に信号経路を有することを説明するものであり、それらの要素間に介在要素/接続部がない、要素間の直接的接続を含意しない。これらの変形はすべて本明細書の一部とみなされる。
本発明の対象については、添付の特許請求の範囲に具体的に示され、明確に特許請求されている。上記およびその他の特徴および利点は、添付図面とともに以下の詳細な説明を読めば明らかになる。
本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJ記憶素子を利用することができるSTT-MRAMを示すブロック図である。 本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJを示すブロック図である。 本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJを示すブロック図である。 本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJに印加することができる書き込みパルスを示す図である。 本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJの書き込み動作の非限定的一例を示す一連の図である。 本発明の実施形態により構成された磁気交換結合スピン・トルクMTJの書き込み動作の非限定的一例を示す一連の図である。
本明細書では、関連図面を参照しながら本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の代替実施形態も考案することができる。なお、以下の説明および図面では、要素間の様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が記載されている。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に明記されていない限り、直接的または間接的とすることができ、本発明はこの点に関して限定的であることが意図されていない。したがって、実体の結合は、直接結合または間接結合を指す場合があり、実体間の位置関係は、直接的位置関係または間接的位置関係であり得る。間接的位置関係の一例として、本説明で層「B」の上に層「A」を形成すると言う場合、層「A」と層「B」の関連特性および機能が介在層によって実質的に変更されない限り、層「A」と層「B」との間に1つまたは複数の介在層(例えば層「C」)がある状況を含む。
簡潔にするために、MTJ製造に関する従来の技術については本明細書では詳細に説明する場合もしない場合もある。また、本明細書に記載の様々な作業およびプロセス・ステップは、本明細書では詳細に説明されていない追加のステップまたは機能を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込むことができる。具体的には、STT-MRAMおよびMTJデバイスの製造における様々なステップはよく知られており、したがって簡潔にするために、本明細書では多くの従来のステップについては、周知のプロセスの詳細を記載せず、簡単に言及するにとどめるか、または完全に省略する。
MTJ自由層の磁性状態を切り換えるためにスピントランスファートルク(STT)効果を利用するSTT-MRAMは、高速と高密度と不揮発性とスケーラビリティと耐久性とを兼ね備える。主記憶素子であるMTJ自由層は、(金属スピン・バルブと比較して)かなり低いスイッチング電流密度と、集積CMOS技術における読み取りおよび書き込み動作に対応し得る大きな抵抗と、トンネル磁気抵抗(TMR)比とのために、典型的にはMgOベースの材料から形成される。最適動作のために、STT-MRAMは、MTJ自由層の電流誘起切り換え時のエネルギー散逸(すなわち書き込みエネルギー)を最小限にしながら、誤切り換え事象(例えば意図しない熱活性化)を防ぐ。
誤切り換え事象を防止するのに十分な高さの活性化エネルギーまたはエネルギー障壁(E)ももたらしながら、書き込みエネルギーを最小にすることは、ナノ秒範囲の書き込み時間(例えば書き込みパルス幅≦10ns)を有する高速メモリ用途における課題である。高速メモリ用途では、必要なスイッチング電流密度は、準静的または長パルス切り換えにおけるスイッチング電流密度と比較して高い。本明細書で前述したように、高速スイッチング方式では、特定のパルス幅におけるスイッチング電流Iと臨界電流Ic0との差であるいわゆるオーバードライブ電流が、式(1)に示すように書き込みパルスに反比例する。
Figure 0007102448000002
式(1)で、I-Ic0はオーバードライブ電流、ηは磁性材料のスピン偏極、tはパルス幅、mは自由層材料の総モーメント、μBは定数であるボーア磁子である。式(1)は、特定のパルス幅におけるスイッチング電流を最小にするには、自由層モーメント(m)を低減する必要があることを示唆している。低モーメント自由層を設けることは、MTJの低ビット書き込みエラー率(WER)パフォーマンスを向上させるためにも有利である。
しかし、単純な低モーメント自由層は、活性化エネルギー(E)が低く、その結果、保持力が弱くなる。一般に、活性化エネルギーは、MTJ自由層の磁性状態を反転させるのに要するエネルギーの量である。MTJ自由層に書き込まれたデータを保持するためには、活性化エネルギーは、MTJの動作環境におけるランダムなエネルギー源(例えば熱)がMTJ自由層を反転させるのに十分なエネルギーを意図せずに印加するのを防ぐのに十分に高くなければならない。したがって、高速スイッチング方式において知られているSTT-MRAM動作では、低モーメント自由層を流れるスイッチング電流を最小にすると、活性化エネルギー(E)とデータ保持力が低下する(例えば≦10年)という望ましくない結果を招く。
次に本発明の態様の概説に移ると、本発明の実施形態は、高データ保持力(例えば≧10年)を実現しながら、高速スイッチング電流(例えば書き込みパルス幅≦10ns)の必要な大きさを最小にするように構成された、磁気交換結合複合自由層を有するMTJ記憶素子を提供するSTT-MRAMを対象とする。本発明のある実施形態では、自由層は、低モーメント領域と高エネルギー障壁(E)領域とを有する複合構造から形成される。本発明のある実施形態では、低モーメント領域と高E領域との間に配置された非磁性スペーサ層によって、低モーメント領域と高E領域との間に磁気交換結合がもたらされる。本発明のある実施形態では、低モーメント領域はMTJトンネル障壁に隣接し、MTJトンネル障壁はMTJ固定層に隣接する。
書き込みパルスの振幅は、MTJトンネル障壁をトンネルするスピン・トルク電子をMTJ参照層において生成し、低モーメント領域の磁化方向の切り換えを開始または完了あるいはその両方を行うのに十分であるように選択される。しかし、書き込みパルスの振幅は、高E領域の磁化方向を切り換えるのに十分なスピン・トルク電子をMTJ参照層において生成するには不十分であるようにも選択される。したがって、書き込みパルスの振幅は、低モーメント領域の磁化方向の切り換えを開始または完了あるいはその両方を行うために、トンネル障壁をトンネルし、低モーメント領域に入るのに十分なスピン・トルク電子をMTJ参照/固定層で生成するのに十分に大きくするだけでよい。本明細書で前述したように、式(1)は、高速スイッチング・パルス幅において、低モーメント領域が低モーメント材料から形成されていることが必要スイッチング電流を最小限とすることを示唆している。
低モーメント領域は高E領域に磁気的に結合されているため、低モーメント領域の磁化方向が切り換えられると、低モーメント領域が高E領域の磁化方向を引っぱって低モーメント領域とともに切り換えさせる。したがって、低モーメント領域の磁化方向が書き込み電流によって切り換えられ、磁気交換結合の効果により低モーメント領域によって高E領域の磁化方向が切り換えられる。この新規な磁気交換結合自由層は、トンネル障壁境界面における低モーメント領域によって決まる低オーバードライブと、主として高E領域に由来する高いEとの両方を有する。磁気交換結合強度を最適化するように非磁性スペーサ層のパラメータ(例えば、厚さ、材料など)を調整することにより、また、自由層の低モーメント領域と高E領域との間に非磁性スペーサ層を配置することにより、最適スイッチング効率(10nsでのE/I)を実現することができる。
低モーメント領域は、低濃度元素ドープまたは非ドープの、Co、Fe、NiおよびBベースの材料とすることができる。本明細書で使用する「低濃度元素ドーピング」という表現は、ホスト材料の約10%のドーピング・レベルを指す。本発明のある実施形態では、低濃度元素ドーピングは、ホスト材料の約5%ないし約30%の範囲である。ドーパントの例としては、Al、Mg、Ti、Sc、Ca、V、Cr、Mn、Ge、Si、C、BeおよびGaが含まれるが、これらには限定されない。低モーメント領域の厚さは、約8オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。高E領域は、Co、Fe、NiおよびBベースの材料、または、Co/Pd、Co/Ir、Co/Pt、Co(Fe)/Tb、Co(Fe)/Gd、Co/Rh多層、または、CoPt、CoPd、FePt、FePd、CoFeTb、CoFeGd合金とすることができる。高E領域の厚さは、約15オングストロームないし約100オングストロームの範囲とすることができる。非磁性スペーサは、例えば、Ta、W、Ir、MoおよびそのFe、CoまたはNiとの合金を含む、金属とすることができる。非磁性スペーサは、例えば、MgO、AlOx、TiOx、TaOx、WOxまたはこれらの混合物を含む、酸化物とすることもできる。非磁性スペーサ層の厚さは、約2オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。
本発明のある実施形態では、スイッチング電流は、上述の複合自由層を、下部参照層と下部トンネル障壁と上部参照層と上部トンネル障壁とから形成された二重トンネル接合とともに備えるSTT-MRAM MTJを設けることによって、さらに低くすることが可能である。ある実施形態では、下部参照層は下部トンネル障壁の一方の側に配置され、複合自由層は下部トンネル障壁の下部参照層とは反対の側に配置される。ある実施形態では、上部参照層は、上部トンネル障壁の一方の側に配置され、複合自由層は上部トンネル障壁の上部参照層とは反対の側に配置される。書き込みパルスが下部参照層と上部参照層においてスピン・トルク電子を生成するため、複合自由層の作用に加えて、この構成ではスイッチング電流がより低くされる。下部参照層で生成されたスピン・トルク電子は下部トンネル障壁を通して低モーメント領域に印加されて、低モーメント領域の磁化方向の切り換えを開始または完了あるいはその両方を行う。上部参照層で生成されたスピン・トルク電子は、上部トンネル障壁を通して高E領域に印加されて、低モーメント領域と高E領域との磁気交換結合と実質的に連係して高E領域の磁化方向を切り換えるように働く。上述のように、低モーメント領域は高E領域に磁気的に結合されているため、低モーメント領域の磁化方向が切り換えられると、低モーメント領域が高E領域の磁化方向を引っぱって低モーメント領域とともに切り換えさせる。したがって、低モーメント領域の磁化方向が書き込み電流によって切り換えられ、磁気交換結合の効果により高E領域の磁化方向が低モーメント領域によって、また、上部トンネル障壁を通して上部参照層により与えられるスピン・トルク電子によって切り換えられる。
本発明のある実施形態では、スイッチング電流は、下部参照層と、下部トンネル障壁と、上部参照層と、上部トンネル障壁とから形成された二重トンネル接合とともに、上述の複合自由層の代替構成を有するSTT-MRAM MTJを設けることによってさらに低くすることができる。本発明のある実施形態では、この代替複合自由層は、第1の低モーメント領域と、第1の非磁性スペーサ層と、高E領域と、第2の非磁性スペーサ層と、第2の低モーメント領域とを含む。ある実施形態では、第1の非磁性スペーサ層は、高E領域と第1の低モーメント領域との間にあり、第2の非磁性スペーサ層は、高E領域と第2の低モーメント領域との間にある。ある実施形態では、下部参照層は、下部トンネル障壁の一方の側にあり、代替複合自由層は下部トンネル障壁の下部参照層とは反対の側にある。ある実施形態では、上部参照層は、上部トンネル障壁の一方の側にあり、代替複合自由層は上部トンネル障壁の上部参照層とは反対の側にある。この構成では、書き込みパルスが下部参照層および上部参照層においてスピン・トルク電子を生成するため、スイッチング電流はさらに低くされる。下部参照層で生成されたスピン・トルク電子は下部トンネル障壁を通して第1の低モーメント領域に印加されて、第1の低モーメント領域磁化方向の切り換えを開始または完了あるいはその両方を行う。上部参照層で生成されたスピン・トルク電子は、上部トンネル障壁を通して第2の低モーメント領域に印加されて、第2の低モーメント領域の磁化方向の切り換えの開始または完了あるいはその両方を行う。第1および第2の低モーメント領域の磁化方向が切り替わると、第1および第2の低モーメント領域の両方が、磁気交換結合による高E領域の磁化方向の切り換えを支援する。より詳細には、第1の低モーメント領域は第1の非磁性スペーサ層によってもたらされる磁気交換結合により高E領域の磁化方向の切り換えを支援し、第2の低モーメント領域は第2の非磁性スペーサ層によってもたらされる磁気交換結合により高E領域の磁化方向の切り換えを支援する。第1の低モーメント領域と第2の低モーメント領域は高E領域に磁気的に結合されているため、第1および第2の低モーメント領域の磁化方向が切り換えられると、第1および第2の低モーメント領域が高E領域の磁化方向を引っぱって第1および第2の領域とともに切り換えさせる。したがって、第1および第2の低モーメント領域の磁化方向が書き込み電流によって切り換えられ、高E領域の磁化方向が磁気交換結合の効果により第1および第2の低モーメント領域によって切り換えられる。
本明細書に記載の新規なMTJ記憶素子のそれぞれの層の厚さは、設計考慮要因に応じて異なり得る。例えば、この新規なMTJ記憶素子の層の厚さは、本明細書に記載の様々な機能により、所定の厚さを有するように、または所定の範囲内の厚さを有するように、または互いに対して固定した比率の厚さを有するように、または任意のその他の考慮要因または考慮要因の組合せに基づく厚さを有するように設計することができる。
次に本発明の態様のより詳細な説明に移ると、図2は、本発明の実施形態による二重トンネル接合磁気交換結合スピン・トルクMTJベースの記憶素子102Aの例示の構成を示すブロック図を示す。MTJ102Aは、MTJ102と同様にして(図1に示す)STT-MRAM100において実装可能である。MTJ102Aは、図のように構成され、配置された、下部磁気参照層204と、下部誘電体トンネル障壁206と、複合自由層208と、上部磁気参照層244と、上部トンネル障壁246とを含む。複合自由層208は、第1の領域210と、第2の領域212と、第1の領域210と第2の領域212との間に配置された交換結合領域214とを含む。本発明のある実施形態では、第1の領域210は低モーメント磁気層として実装され、第2の領域212は高E磁気層として実装され、交換結合領域214は非磁性スペーサ層として実装される。MTJ102Aを形成する磁気層は、垂直磁化を有し、これは、これらの磁気層のすべての磁化方向が膜の面に対して垂直(上または下向き)であることを意味する。参照層204、244は、反対方向に設定された磁化方向を有する。自由層210、212は、(書き込み中でないときに)互いに平行な磁化方向を有し、すなわちすべてが上向きまたはすべてが下向きである。
下部磁気参照層204は、その磁化方向220が固定されるように形成され、構成される。上部磁気参照層244は、その磁化方向250が固定されるように形成され、構成される。第1の領域210と第2の領域212とは、それらの層にそれぞれ切り換え可能な磁化方向222、224をもたせるようにして形成され、構成される。交換結合領域214は非磁性である。しかし、交換結合領域214は、第1の領域210と第2の領域212とを磁気的に結合するように構成される。より詳細には、交換結合領域は、第1の領域210から交換結合領域214を挟んで第2の領域212に所定の磁気交換結合強度をもたせるように構成される。交換結合領域214のパラメータ(例えば、材料、厚さなど)は、結果としての所定の磁気交換結合により、最適スイッチング効率(10nsでのE/I)が得られるように選択される。ある実施形態では、交換結合領域214は、例えば、Ta、W、Ir、MoおよびそのFe、CoまたはNiとの合金を含む、金属から形成された非磁性スペーサとすることができる。交換結合領域214は、例えば、MgO、AlOx、TiOx、TaOx、WOxまたはこれらの混合物を含む、酸化物とすることもできる。交換結合領域214の厚さは、約1オングストロームないし約10オングストロームの範囲とすることができる。
第1の領域210は、低モーメント磁性材料から形成することができる。磁石の磁気モーメントは、磁石が外部磁場において受けるトルクを決定する数量である。電流のループ、棒磁石、電子、分子および惑星はすべて磁気モーメントを有する。磁性材料は、そのMt積が≦約0.12emu/cmである場合に「低モーメント」であるとみなすことができ、ここでMはその材料の飽和磁化、tはその材料の厚さ、emuは磁気モーメントを測定するためのcgs(センチメートル-グラム-秒)単位である。第1の領域210は、低濃度元素ドープまたは非ドープの、Co、Fe、NiおよびBベースの材料とすることができる。本明細書で使用する「低濃度元素ドーピング」という表現は、ホスト材料の約10%のドーピング・レベルを指す。本発明のある実施形態では、低濃度元素ドーピングは、ホスト材料の約5%ないし約30%の範囲である。ドーパントの例としては、Al、Mg、Ti、Sc、Ca、V、Cr、Mn、Ge、Si、C、BeおよびGaが含まれるが、これらには限定されない。第1の領域210の厚さは、約8オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。一般に、材料の層の磁気モーメントは、層が薄いほど磁気モーメントが低くなるように、層の厚さに関係する。したがって、第1の領域210の厚さは、MTJ102Aの所望のスイッチング電流を実現するように選択される所望の磁気モーメントを実現するように選択される。
第2の領域212は、高E磁気層から形成することができる。磁気層は、そのEが目的用途のためのデータ保持要件を満たすのに十分な場合に、高いEを有するとみなすことができる。これは、約10年間のデータ保持のための約60kTないし約100kT(k=ボルツマン定数、T=温度)の範囲内の活性化エネルギー(またはエネルギー障壁)Eに相当する。第2の領域212は、Co、Fe、NiおよびBベースの材料、または、Co/Pd、Co/Ir、Co/Pt、Co(Fe)/Tb、Co(Fe)/Gd、Co/Rh多層、または、CoPt、CoPd、FePt、FePd、CoFeTb、CoFeGd合金とすることができる。第2の領域212の厚さは、約10オングストロームないし約100オングストロームの範囲とすることができる。一般に、材料の層のエネルギー障壁Eは、層が厚いほどエネルギー障壁Eが高くなるように、その層の厚さに関係する。したがって、第2の領域212の厚さは、目的用途の所望のデータ保持要件を満たすように選択される所望のエネルギー障壁Eを実現するように選択される。
下部トンネル障壁層206および上部トンネル障壁246はそれぞれ、誘電材料(例えばMgO)の比較的薄い(例えば約10オングストローム)層から形成することができる。2つの導電電極(例えば下部参照/固定層204と第1の領域210、または上部参照/固定層244と第2の領域212、あるいはその両方)が薄い誘電体層(例えばトンネル障壁層206または246あるいはその両方)によって分離されている場合、電子が誘電体層をトンネルすることができ、その結果として通電する。電子トンネル現象は、電子の波動性によって生じ、その結果の接合電気コンダクタンスは、トンネル障壁内の電子波動関数のエバネセント状態によって決まる。したがって、トンネル障壁206、246は、下部参照層204または上部参照層244からの電子(詳細にはスピン・トルク電子)が、それぞれトンネル障壁206、246を量子力学的にトンネルすることを可能にするのに十分に薄く構成される。また、トンネル障壁206、246は、第1の領域210の磁化方向222と第2の領域212の磁化方向224とが自由に反転することができるように、複合自由層208の第1の領域210を下部参照層204から減結合し、複合自由層208の第2の領域212を上部参照層244から減結合するのに十分に厚く構成される。
この最適交換結合強度と、複合自由層設計と、二重トンネル接合設計とにより、交換結合複合自由層208全体を切り換えるのに必要な書き込みパルスの振幅は、単一の磁気トンネル接合および同じ総活性エネルギーEを備えた単純な自由層を切り換えるのに必要な振幅よりも小さくなる。したがって、交換結合複合自由層208と二重トンネル接合とは、E/Ic10nsと定義されるスイッチング効率を向上させる。複合自由層構造と二重トンネル接合とは、MTJ102Aの書き込みエラー率パフォーマンスも向上させる。本発明の実施形態によるMTJ102Aに印加される書き込みパルスは、低モーメントの第1の領域の磁化方向222の切り換えを開始するには十分であるが高Eの第2の領域の磁化方向224を切り換えるには不十分である必要がある。
低モーメントの第1の領域210が高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメント領域の磁化方向222が切り換えられると、低モーメント領域が高E領域の磁化方向224を引っぱって低モーメント領域とともに切り換えさせる。したがって、低モーメント領域の磁化方向222が書き込み電流によって切り換えられ、高E領域の磁化方向224が、磁気交換結合の効果により低モーメントの第1の領域210によって切り換えが支援される。本発明の実施形態による新規な磁気交換結合複合自由層208は、トンネル障壁境界面における低モーメント領域210によって決まる低オーバードライブと、主として高E領域212に由来する高いEの両方を有する。非磁性交換結合領域214を挟んだ低モーメントの第1の領域210と高Eの第2の領域212との磁気交換結合強度を最適化することによって、最適スイッチング効率(10nsでのE/I)を実現することができる。
複合自由層208の作用に加えて、書き込みパルスが下部参照層204と上部参照層244においてスピン・トルク電子を生成するため、MTJ102Aにおけるスイッチング電流がさらに低くされる。下部参照領域204で生成されたスピン・トルク電子は、下部トンネル障壁206を通して低モーメントの第1の領域210に印加されて、低モーメント領域の磁化方向222の切り換えを開始または完了あるいはその両方を行う。上部参照層244で生成されたスピン・トルク電子は、上部トンネル障壁246を通して高Eの第2の領域212に印加されて、低モーメントの第1の領域210と高Eの第2の領域212との間の磁気交換結合と実質的に連係して高Eの第2の領域の磁化方向224を切り換えるように働く。上述のように、低モーメントの第1の領域210は高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメントの第1の領域の磁化方向222が切り換えられると第1の領域が高Eの第2の領域の磁化方向224を引っぱって第1の領域とともに切り換えさせる。したがって、低モーメントの第1の領域の磁化方向222が書き込み電流によって切り換えられ、磁気交換結合の効果により高Eの第2の領域の磁化方向224が低モーメントの第1の領域210によって、また、上部トンネル障壁246を通して上部参照層244により与えられるスピン・トルク電子によって切り換えられる。
図3に、本発明の実施形態による、二重トンネル接合磁気交換結合スピン・トルクMTJベースの記憶素子102Bの例示の構成を示すブロック図を示す。MTJ102Bは、MTJ102と同様にして、(図1に示す)STT-RAM100において実装可能である。MTJ102Bは、以下で詳述するMTJ102Bの複合自由層208Aの構成と動作以外は、(図2に示す)MTJ102Aと実質的に同じように構成される。
図3に示すように、MTJ102Bは、図のように構成され、配置された、下部磁気参照層204と、下部誘電体トンネル障壁206と、複合自由層208Aと、上部磁気参照層244と、上部トンネル障壁246とを含む。複合自由層208Aは、第1の領域210と、第2の領域212と、第3の領域216と、第1の領域210と第2の領域212との間に配置された第1の交換結合領域214と、第2の領域212と第3の領域216との間に配置された第2の交換結合領域218とを含む。本発明のある実施形態では、第1の領域210は低モーメント磁気層として実装され、第2の領域212は高E磁気層として実装され、第1の領域210は低モーメント磁気層として実装され、第1および第2の交換結合領域214、218はそれぞれ非磁性スペーサ層として実装される。MTJ102Bを形成する磁気層は、垂直磁化を有し、これは、これらの磁気層のすべての磁化方向が膜の面に対して垂直(上または下向き)であることを意味する。参照層204、244は、反対方向に設定された磁化方向を有する。自由層210、212、216は、(書き込み中でないときに)互いに平行な磁化方向を有し、すなわちすべてが上向きまたはすべてが下向きである。
下部磁気参照層204は、その磁化方向220が固定されるように形成され、構成される。上部磁気参照層244は、その磁化方向250が固定されるように形成され、構成される。第1の領域210と第2の領域212と第3の領域216は、それぞれ、切り換え可能な磁化方向222、224、226をもたせるようにして形成され、構成される。第1および第2の交換結合領域214、218は非磁性である。しかし、第1の交換結合領域214は、第1の領域210と第2の領域212とを磁気的に結合するように構成され、第2の交換結合領域218は、第2の領域212と第3の領域216とを磁気的に結合するように構成される。より詳細には、第1の交換結合領域214は、第1の領域210から交換結合領域214を挟んで第2の領域212に所定の磁気交換結合強度をもたせるように構成される。同様に、第2の交換結合領域218は、第2の領域212から第2の交換結合領域218を挟んで第3の領域216に所定の磁気交換結合強度をもたせるように構成される。交換結合領域214、218のパラメータ(例えば、材料、厚さなど)は、結果としての所定の磁気交換結合により、最適スイッチング効率(10nsでのE/I)が得られるように選択される。ある実施形態では、交換結合領域214、218は、それぞれ、例えば、Ta、W、Ir、MoおよびそのFe、CoまたはNiとの合金を含む、金属から形成された非磁性スペーサとすることができる。交換結合領域214、218は、それぞれ、例えば、MgO、AlOx、TiOx、TaOx、WOxまたはこれらの混合物を含む、酸化物とすることもできる。交換結合領域214、218の厚さは、約2オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。
第1の領域210と第3の領域216とはそれぞれ、低モーメントの磁性材料から形成することができる。磁石の磁気モーメントは、磁石が外部磁場において受けるトルクを決定する数量である。電流のループ、棒磁石、電子、分子および惑星はすべて磁気モーメントを有する。磁性材料は、そのMt積が≦約0.12emu/cm2である場合に「低モーメント」であるとみなすことができ、ここでMはその材料の飽和磁化、tはその材料の厚さ、emuは磁気モーメントを測定するためのcgs(センチメートル-グラム-秒)単位である。第1の領域210および第3の領域216は、それぞれ、低濃度元素ドープまたは非ドープの、Co、Fe、NiおよびBベースの材料とすることができる。本明細書で使用する「低濃度元素ドーピング」という表現は、ホスト材料の原子約100個当たり約1個ないし約10個のドーパント原子のドーピング・レベルを指す。ドーパントの例としては、Al、Mg、Ti、Sc、Ca、V、Cr、Mn、Ge、Si、C、BeおよびGaが含まれるが、これらには限定されない。第1の領域210および第3の領域216それぞれの厚さは、約8オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。一般に、材料の層の磁気モーメントは、層が薄いほど磁気モーメントが低くなるように、層の厚さに関係する。したがって、第1の領域210および第3の領域216それぞれの厚さは、MTJ102Bの所望のスイッチング電流を実現するように選択される、所望の磁気モーメントを実現するように選択される。
第2の領域212は、高E磁気層から形成することができる。磁気層は、そのEが目的用途のためのデータ保持要件を満たすのに十分な場合に、高いEを有するとみなすことができる。これは、約10年間のデータ保持のための約60kTないし約100kT(k=ボルツマン定数、T=温度)の範囲内の活性化エネルギー(またはエネルギー障壁)Eに相当する。第2の領域212は、Co、Fe、NiおよびBベースの材料、または、Co/Pd、Co/Ir、Co/Pt、Co(Fe)/Tb、Co(Fe)/Gd、Co/Rh多層、または、CoPt、CoPd、FePt、FePd、CoFeTb、CoFeGd合金とすることができる。第2の領域212の厚さは、約15オングストロームないし約100オングストロームの範囲とすることができる。一般に、材料の層のエネルギー障壁Eは、層が厚いほどエネルギー障壁Eが高くなるように、その層の厚さに関係する。したがって、第2の領域212の厚さは、目的用途の所望のデータ保持要件を満たすように選択される所望のエネルギー障壁Eを実現するように選択される。
下部トンネル障壁層206および上部トンネル障壁246はそれぞれ、誘電材料(例えばMgO)の比較的薄い(例えば約10オングストローム)層から形成することができる。2つの導電電極(例えば下部参照/固定層204と第1の領域210、または上部参照/固定層244と第3の領域216、あるいはその両方)が薄い誘電体層(例えばトンネル障壁層206または246あるいはその両方)によって分離されている場合、電子が誘電体層をトンネルすることができ、その結果、通電する。電子トンネル現象は、電子の波動性によって生じ、その結果の接合電気コンダクタンスは、トンネル障壁内の電子波動関数のエバネセント状態によって決まる。したがって、トンネル障壁206、246は、下部参照層204または上部参照層244からの電子(詳細にはスピン・トルク電子)が、それぞれトンネル障壁206、246を量子力学的にトンネルすることを可能にするように十分に薄く構成される。また、トンネル障壁206、246は、第1の領域210の磁化方向222と第3の領域216の磁化方向226とが自由に反転することができるように、複合自由層208Aの第1の領域210を下部参照層204から減結合し、複合自由層208Aの第3の領域216を上部参照層244から減結合するのに十分に厚く構成される。
この最適交換結合強度と、複合自由層設計と、二重トンネル接合設計とにより、交換結合複合自由層208A全体を切り換えるのに必要な書き込みパルスの振幅は、単一の磁気トンネル接合および同じ総活性エネルギーEを備えた単純な自由層を切り換えるのに必要な振幅よりも小さくなる。したがって、交換結合複合自由層208Aと二重トンネル接合とは、E/Ic10nsと定義されるスイッチング効率を向上させる。複合自由層構造と二重トンネル接合とは、MTJ102Bの書き込みエラー率パフォーマンスも向上させる。本発明の実施形態によるMTJ102Bに印加される書き込みパルスは、低モーメントの第1の領域の磁化方向222および低モーメントの第3の領域の磁化方向226の切り換えを開始するには十分であるが高Eの第2の領域の磁化方向224を切り換えるには不十分である必要がある。
低モーメントの第1の領域210は高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメントの第1の領域の磁化方向222が下部参照層204からのスピン・トルク電子によって切り換えられると、低モーメントの第1の領域210が高Eの第2の領域の磁化方向224を引っぱって第1の領域210とともに切り換える。同様に、低モーメントの第3の領域216も高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメントの第3の領域の磁化方向226が上部参照層244からのスピン・トルク電子によって切り換えられると、低モーメントの第3の領域216も高Eの第2の領域の磁化方向224を引っぱって第3の領域216とともに切り換える。したがって、低モーメントの第1の領域の磁化方向222と低モーメントの第3の領域の磁化方向226とが、書き込み電流によって生成されたスピン・トルク電子によって切り換えられ、高E領域の磁化方向224が低モーメントの第1の領域210と低モーメントの第3の領域216の両方との磁気交換結合によって切り換えられる。本発明の実施形態による新規な二重トンネル接合磁気交換結合複合自由層208Aは、トンネル障壁境界面における低モーメント領域210、216によって決まる低オーバードライブと、主として高Eの第2の領域212に由来する高Eの両方を有する。非磁性交換結合領域214、218を挟んだ低モーメント領域210、216と高Eの第2の領域212との間の磁気交換結合強度を最適化することによって、最適スイッチング効率(10nsでのE/I)を実現することができる。
次に、MTJ102Aおよび102Bの書き込み動作の非限定的実施例について、図4、図5および図6を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施形態による書き込みパルス450の図を示す。書き込みパルス450は(図5および図6に示す)MTJ102AおよびMTJ102Bに印加され、本発明の実施形態により、自由層208、208Aのそれぞれ低モーメント領域210、216の磁化方向222、226を上向きから下向きに(または下向きから上向きに)変えるように動作する。ただし、書き込みパルス450の書き込みパルス振幅は、本発明の実施形態により、自由層208、208Aの高Eの第2の領域212の磁化方向224を変えるには不十分であるようにも選択される。比較のため、高E自由層を切り換えるために書き込み電流が使用された場合に必要となる、より高い書き込みパルス振幅の例を示すために、書き込みパルス452が示されている。書き込みパルス450、452は、時間(t)にわたる書き込みパルス450、452のパルス振幅を示す図/グラフで示されている。図の実施形態では、書き込みパルス450、452は、約10ナノ秒の書き込みパルス持続期間を有し、これにより、書き込みパルス450、452は一般に「高速スイッチング」方式とみなされる範囲に入る。図を簡単にするために、MTJ102AまたはMTJ102Bからのスイッチング電流を表すために1つの書き込みパルス450が使用されている。しかし、実際にはMTJ102BはMTJ102Aよりも低いスイッチング電流を実現することができることが予期される。
図5は、本発明の実施形態による書き込みパルス450などの書き込みパルス(すなわちスイッチング電流)の初期印加中の時間にわたってMTJ102Aの磁化方向222、224がどのように変化し得るかという非限定的例を示す一連の図を示す。図5は、図5の上部に一連の4つの図を示しており、各図は、図4に示す書き込みパルス450の印加中の下向きの電流方向(e-)での特定の時点(t)におけるMTJ102Aの磁化方向220、222、224、250を示す。t=ゼロ(0)ns、t=2.0ns、t=5.5ns、およびt=10nsにおける、MTJ102Aの磁化方向220、222、224、250の例が示されている。各時点について示す図は、例示を目的としたものであり、ゼロ(0)ns、2.0ns、5.0ns、および10.0nsの正確な時点における磁化方向220、222、224、250の正確な位置を伝えることを意図したものではない。代わりに図5に示す各図は、本発明の実施形態による磁化方向220、222、224、250の変化の一般的な進行がどのように起こり得るかの例を伝えることを意図しており、変化が起こる特定の時点または変化の特定の順序を伝えることを意図したものではない。例えば、208の自由層の磁化方向は、同じ時点に変化する可能性も変化しない可能性もある(すなわち、1つの自由層磁化方向が先に変化し、他の自由層磁化方向がそれに続き得る)。
t=ゼロ(0)における図は、書き込みパルス450の開始時点におけるMTJ102Aの磁化方向220、222、224、250を示す。t=2.0nsにおいて、書き込みパルス450は、下部参照層204においてスピン・トルク電子を生成するプロセスを開始しており、それによって低モーメントの第1の領域210の磁化方向222を切り換えるプロセスが開始する。同様に、t=2.0nsにおいて、書き込みパルス450は上部参照層244においてスピン・トルク電子を生成するプロセスを開始しており、それによって高Eの第2の領域212の磁化方向224を切り換えるプロセスが開始する。
t=5.0nsにおいて、書き込みパルス450は、低モーメントの第1の領域210の磁化方向222と、高Eの第2の領域212の磁化方向224を変えるプロセスを続ける。t=5.0nsまでには非磁性交換結合領域214によってもたらされた磁気交換結合によって低モーメントの第1の領域210の磁化方向222が高Eの第2の領域212の磁化方向224に作用し始めているため、書き込みパルス450の振幅は、高Eの第2の領域212の磁化方向224を切り換えるのに十分である必要はない。低モーメントの第1の領域210は高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメント領域の磁化方向222が切り換えられると、低モーメント領域が高E領域の磁化方向224を引っぱって低モーメント領域とともに切り換える。したがって、低モーメント領域の磁化方向222が書き込み電流450によって切り換えられ、高E領域の磁化方向224が、書き込み電流450と低モーメント領域210の両方によって切り換えられる。書き込み電流450は、上部参照層244で生成されたスピン・トルク電子の作用により高E領域の磁化方向224に作用する。低モーメント領域210は、非磁性交換結合領域214によって与えられた磁気交換結合の効果により、高E領域の磁化方向224に作用する。MTJ102Aの新規な二重トンネル接合磁気交換結合自由層208は、トンネル障壁206との境界面にある低モーメントの第1の領域210によって決まる低オーバードライブと、主として高Eの第2の領域212に由来する高いEの両方を有する。磁気交換結合強度を最適化するように非磁性交換結合領域214のパラメータ(例えば厚さ、材料など)を調整することによって、また、複合自由層208の低モーメントの第1の領域210と高Eの第2の領域212との間に非磁性交換結合領域214を配置することによって、最適スイッチング効率(10nsにおけるE/I)を実現することができる。t=10.0nsまでには、複合自由層の磁化方向222、224を切り換える新規なプロセスは完了している。
図5は、図5の下部に一連の4つの図も示しており、各図は、図4に示す書き込みパルス450の負のパルスの印加中の上向き電流方向(e-)での特定の時点(t)におけるMTJ102Aの磁化方向220、222、224、250を示す。図5の下部のこの一連の4つの図に図示されるスイッチング動作は、電流方向が上向きで、複合自由層磁化方向222、224が下向きから上向きに切り換えられる点を除いて、図5の上部の一連の4つの図に図示されているスイッチング動作と実質的に同様に進行する。
図6に、MTJ102Bの磁化方向222、224、226が本発明の実施形態により、書き込みパルス450などの書き込みパルス(すなわちスイッチング電流)の初期印加中の時間にわたってどのように変化し得るかという非限定的例を示す一連の図を示す。図6は、図6の上部に一連の4つの図を示しており、各図は、図4に示す書き込みパルス450の印加中の下向き電流方向(e-)での特定の時点(t)におけるMTJ102Bの磁化方向220、222、224、226、250を示す。t=ゼロ(0)ns、t=2.0ns、t=5.5ns、およびt=10nsにおけるMTJ102Bの磁化方向220、222、224、226、250の例が図示されている。各時点について示す図は、例示を目的としたものであり、ゼロ(0)ns、2.0ns、5.0ns、および10.0nsの正確な時点における磁化方向220、222、224、226、250の正確な位置を伝えることを意図したものではない。代わりに図6に示す各図は、本発明の実施形態により、磁化方向220、222、224、226、250の変化の一般的な進行がどのように起こり得るかの例を伝えることを意図しており、変化が起こる特定の時点または変化の特定の順序を伝えることを意図したものではない。例えば、208Aの自由層の磁化方向は、同じ時点に変化する可能性も変化しない可能性もある(すなわち、1つの自由層磁化方向が先に変化し、他の自由層磁化方向がそれに続き得る)。
t=ゼロ(0)における図は、書き込みパルス450の開始時点におけるMTJ102Bの磁化方向220、222、224、226、250を示す。t=2.0nsにおいて、書き込みパルス450は、下部参照層204においてスピン・トルク電子を生成するプロセスを開始しており、それによって、低モーメントの第1の領域210の磁化方向222を切り換えるプロセスを開始する。同様に、t=2.0nsにおいて、書き込みパルス450は上部参照層244においてスピン・トルク電子を生成するプロセスを開始しており、それにより低モーメントの第3の領域216の磁化方向226を切り換えるプロセスを開始する。
t=5.0nsにおいて、書き込みパルス450は、低モーメントの第1の領域210の磁化方向222と、低モーメントの第3の領域216の磁化方向226を変えるプロセスを続ける。t=5.0nsまでには第1の非磁性交換結合領域214によってもたらされた磁気交換結合によって低モーメントの第1の領域210の磁化方向222が高Eの第2の領域212の磁化方向224に作用し始めているため、書き込みパルス450の振幅は、高Eの第2の領域212の磁化方向224を切り換えるのに十分である必要はない。同様に、t=5.0nsまでに、第2の非磁性交換結合領域218によってもたらされた磁気交換結合により低モーメントの第3の領域210の磁化方向226が高Eの第2の領域212の磁化方向224に作用し始めている。低モーメント領域210、216が高Eの第2の領域212に磁気的に結合されているため、低モーメント領域の磁化方向222、226が切り換えられると、低モーメント領域210、216が高E領域の磁化方向224を引っぱって低モーメント領域210、216とともに切り換える。したがって、低モーメントの第1の領域の磁化方向222が書き込み電流450によって切り換えられ、低モーメントの第3の領域の磁化方向226が書き込み電流450によって切り換えられ、高E領域の磁化方向224が、高E領域212と低モーメントの第1の領域210および低モーメントの第3の領域216の両方との磁気交換結合の作用によって切り換えられる。MTJ102Bの新規な二重トンネル接合および磁気交換結合自由層208Aは、低オーバードライブと高いEの両方を有する。低オーバードライブは、トンネル障壁206、246との境界面における低モーメント領域210、216によって決まり、高いEは主として高Eの第2の領域212に由来する。磁気交換結合強度を最適化するように非磁性交換結合領域214のパラメータ(例えば厚さ、材料など)を調整することによって、また、複合自由層208Aの低モーメントの第1の領域210と高Eの第2の領域212との間に非磁性交換結合領域214を配置することによって、最適スイッチング効率(10nsにおけるE/I)を実現することができる。t=10.0nsまでには、複合自由層の磁化方向222、224、226を切り換える新規なプロセスは完了している。
図6は、図6の下部に一連の4つの図も示しており、各図は、図4に示す書き込みパルス450の負のパルスの印加中の上向き電流方向(e-)での特定の時点(t)におけるMTJ102Bの磁化方向220、222、224、226、250を示す。図6の下部のこの一連の4つの図に図示されるスイッチング動作は、電流方向が上向きで、複合自由層磁化方向222、224、226が下向きから上向きに切り換えられる点を除いて、図6の上部の一連の4つの図に図示されているスイッチング動作と実質的に同様に進行する。
MTJ102A、102Bを形成する様々な層および領域は、例えば、任意の適合する付着、成長またはその他の形成プロセスによって形成可能である。参照層204、244は、Co含有多層、例えばCo|Pt、Co|Ni、Co|Pd、Co|Ir、Co|Rhなど、垂直の異方性を有する合金、例えばCoPt、FePt、CoCrPtなど、および希土類-遷移金属、例えばCoFeTbなどを含むが、これらには限定されない、強磁性材料で形成可能である。本発明の実施形態によると、参照層204、244は、固定磁化方向220、250をもたせるようにして形成され、構成される。
トンネル障壁層206、246は、MgO、AlOx、MgAlOx、CaOxなどを含むがこれらには限定されない、非導電性材料とすることができる。本発明の実施形態によると、トンネル障壁206、246は、それぞれ参照層204、244からの電子(詳細にはスピン・トルク電子)が、トンネル障壁206、246を量子力学的にトンネルすることを可能にするように十分に薄く構成される。また、トンネル障壁206、246は、それぞれ複合自由層208、208Aの磁化方向222、224または226が自由に反転することができるように、複合自由層208、208Aを参照層204、244から減結合するのに十分に厚く構成される。
複合自由層208は、低モーメントの第1の領域210と、高Eの第2の領域212と、第1の領域210と第2の領域212との間に配置された非磁性交換結合領域214とを含むことができる。複合自由層208Aは、低モーメントの第1の領域210と、高Eの第2の領域212と、低モーメントの第3の領域と、第1の領域210と第2の領域212との間に配置された第1の非磁性交換結合領域214と、第2の領域212と第3の領域216との間に配置された第2の非磁性交換結合領域218とを含むことができる。低モーメント領域210、216は、低濃度元素ドープ、または非ドープの、Co、Fe、NiおよびBベースの材料とすることができる。本明細書で使用する「低濃度元素ドーピング」という表現は、ホスト材料の原子約100個当たり約1個ないし約10個のドーパント原子のドーピング・レベルを指す。ドーパントの例としては、Al、Mg、Ti、Sc、Ca、V、Cr、Mn、Ge、Si、C、BeおよびGaが含まれるが、これらには限定されない。低モーメント領域210、216の厚さは、約8オングストロームないし約20オングストロームの範囲とすることができる。高Eの第2の領域212は、Co、Fe、NiおよびBベースの材料、Co/Pd、Co/Ir、Co/Pt、Co(Fe)/Tb、Co(Fe)/Gd、Co/Rh多層、または、CoPt、CoPd、FePt、FePd、CoFeTb、CoFeGd合金とすることができる。高Eの第2の領域212の厚さは、約10オングストロームないし約100オングストロームの範囲とすることができる。交換結合領域214、218は、それぞれ、例えばTa、W、Ir、MoおよびそのFe、Co、またはNiとの合金を含む、金属とすることができる。交換結合領域214、218は、それぞれ、例えばMgO、AlOx、TiOx、TaOx、WOx、またはこれらの混合物を含む、酸化物とすることもできる。交換結合領域214、218の厚さはそれぞれ、約1オングストロームないし約10オングストロームの範囲とすることができる。本発明の実施形態によると、複合自由層208、208Aの領域210、212、216は、それぞれ、切り換え可能磁化方向222、224、226をもたせるようにして形成され、構成される。
領域210、216は、低モーメント特性を有する低モーメント磁性金属から形成することができる。磁性材料は、そのMt積が≦約0.12emu/cmである場合に「低モーメント」であるとみなすことができ、ここでMはその材料の飽和磁化、tはその材料の厚さ、emuは磁気モーメントを測定するためのcgs(センチメートル-グラム-秒)単位である。
領域212は、高E磁性金属から形成することができる。磁性金属は、そのEが目的用途のためのデータ保持要件を満たすのに十分な場合に、高いEを有するとみなすことができる。これは、約10年間のデータ保持のための約60kTないし約100kT(k=ボルツマン定数、T=温度)の範囲内の活性化エネルギー(またはエネルギー障壁)Eに相当する。
本明細書に記載の新規なMTJ記憶素子のそれぞれの層の厚さは、設計考慮要因に応じて異なり得る。例えば、この新規なMTJ記憶素子の層の厚さは、本明細書に記載の様々な機能により、所定の厚さを有するように、または所定の範囲内の厚さを有するように、または互いに対して固定した比率の厚さを有するように、または任意のその他の考慮要因または考慮要因の組合せに基づく厚さを有するように設計することができる。
したがって、上記の詳細な説明から、本発明は、高データ保持力(例えば≧10年)を実現しながら、高速スイッチング電流の大きさを最小にするように(例えば書き込みパルス幅≦10ns)構成された二重トンネル接合および磁気交換結合複合自由層を有するSTT-MTJ記憶素子を提供することがわかる。二重トンネル接合および磁気交換結合複合自由層MTJは、複合自由層に起因してより高い活性化エネルギーを有するが、複合自由層の両側にスピン・トルクが加えられることに起因してより低いスイッチング電流を有する。複合自由層構造の低モーメント自由層は、複合自由層構造の高E自由層よりも薄くすることができ、切り換えをより容易に(垂直磁気異方性をより低く)することができる。自由磁気層のそれぞれは、1nmないし10nmの厚さを有し、スペーサ層は典型的には1nm未満の厚さである。磁気層(自由層または参照層あるいはその両方)のうちの任意の1つまたは複数の磁気層を、それ自体が、2つの磁気層を逆平行に密に結合する薄い金属スペーサ(典型的にはRu、Os、Ir、Rh、Re、またはこれらの合金)によって分離された2つの磁気層からなる合成反強磁性体に置き換えることができる。
本明細書では「例」または「例示の」という用語を使用して、「例、事例または例示となる」ことを意味する。「例示の」として本明細書に記載されているいずれの実施形態または設計も、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいかまたは有利であるものと解釈されるべきではない。「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち1、2、3、4などを含むものと理解される。「複数の」という用語は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むものと理解される。「接続」という用語は、間接的な「接続」と直接的な「接続」とを含み得る。
本明細書で「一実施形態」「ある実施形態」、「例示の実施形態」などと言う場合、それは、記載されているその実施形態が、特定の特徴、構造または特性を含み得るが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備えていてもいなくてもよいことを示している。また、そのような語句は必ずしも同じ実施形態を指していない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造または特性が記載されている場合、明示的に記載されているか否かを問わず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態に関連して備えることは他の当業者の知識の範囲内にあるものと認められる。
以下の説明において、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」という用語およびこれらの派生語は、記載されている構造および方法に対して、図面における向きの通りの関係にあるものとする。「重なっている」、「~の上に(atop)」、「~上に(on top)」、「~の上に位置する」または「~上に位置する」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素の上に存在することを意味し、その際、第1の要素と第2の要素との間に境界面構造などの介在要素が存在し得る。「直接接触」という語句は、第1の構造などの第1の要素と、第2の構造などの第2の要素とが、それら2つの要素の境界面に中間の導電層、絶縁層または半導体層なしに接続されることを意味する。なお、例えば「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの、「~に対して選択的」という語句は、第1の要素がエッチングされることができ、第2の要素がエッチ・ストップとして機能することができることを意味することに留意されたい。「約」、「実質的に」、「ほぼ」という用語およびこれらの変形は、本出願の出願時点で利用可能な装置に基づく特定の数量の測定に付随する程度の誤差を含むことが意図されている。例えば、「約」は、記載されている値の±8%または5%、または2%の範囲を含み得る。
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明することを目的としているに過ぎず、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されている単数形の「一(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに他の解釈を示していない限り、複数形も含むことを意図している。また、本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」あるいはその両方の用語は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素または構成要素あるいはその組合せの存在を規定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素またはこれらのグループあるいはその組合せの存在または追加を排除しない。例えば、列挙されている要素を含む組成、混合物、プロセス、方法、物または装置は、必ずしもそれらの要素のみには限定されず、明示的に記載されていないか、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物または装置に固有の他の要素を含み得る。
添付の特許請求の範囲において、すべてのミーンズまたはステップ・プラス・ファンクション要素の対応する構造、材料、行為、および均等物は、具体的に特許請求されている他の特許請求対象要素と組み合わせてその機能を実行するための任意の構造、材料または行為を含むものと意図されている。本発明の説明は、例示および説明を目的として示したものであり、網羅的であること、または記載されている形態の本発明に限定されることを意図していない。当業者には、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、多くの変更および変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明するため、および当業者が、企図された特定の用途に適合するように様々な変更を加えた様々な実施形態のために本発明を理解することができるようにするために選定し、説明している。
好ましい実施形態について説明したが、当業者は、現在も将来も添付の特許請求の範囲に含まれる様々な改善および改良を加えることができることはわかるであろう。

Claims (23)

  1. 磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子であって、
    第1の固定磁化方向を有する第1の参照層と、
    第1のトンネル障壁と
    前記第1のトンネル障壁の前記第1の参照層とは反対の側の自由層と、
    前記自由層の前記第1のトンネル障壁とは反対の側の第2のトンネル障壁と、
    第2の固定磁化方向を有する第2の参照層と
    を含み、前記第2の参照層は前記第2のトンネル障壁の前記自由層とは反対の側にあり、
    前記自由層は、
    第1の切り換え可能磁化方向および第1の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第1の材料を含む第1の領域と、
    第2の切り換え可能磁化方向および第2の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第2の材料を含む第2の領域と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間の第1のスペーサ材料と
    を含み、前記第1の所定の磁気モーメントは前記第2の所定の磁気モーメントより低くなるように構成され、前記第1のスペーサ材料は前記第1の領域と前記第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成された、
    磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子。
  2. 前記第1の材料は第1の磁性材料を含み、
    前記第2の材料は第2の磁性材料を含み、
    前記第1のスペーサ材料は非磁性材料を含む、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  3. 前記第1の参照層は、前記MTJが書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分な量のスピン・トルク電子を前記第1の参照層材料中で生成するように構成され、
    前記第1の参照層において生成される前記スピン・トルク電子の前記量は、前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するのに十分である、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  4. 前記第1の領域は、前記第1の切り換え可能磁化方向の切り換えが、前記第1のスペーサ材料によってもたらされる前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記磁気交換結合に少なくとも部分的に基づいて前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換える前記プロセスを支援するように構成された、請求項3に記載のMTJ記憶素子。
  5. 前記第2の参照層は、前記MTJが書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分な量のスピン・トルク電子を前記第1の領域材料中において生成するように構成され、
    前記第2の参照層において生成される前記スピン・トルク電子の前記量は、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するのに十分である、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  6. 前記第1の材料は、第1の所定の活性化エネルギーを備えるようにさらに構成され、
    前記第2の材料は、第2の所定の活性化エネルギーを備えるようにさらに構成され、
    前記第2の所定の活性化エネルギーは前記第1の所定の活性化エネルギーより高くなるように構成された、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  7. 前記第1のスペーサ材料は非磁性材料を含む、請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  8. 前記第1の材料はドーパントを含む、請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  9. 前記ドーパントの濃度は前記第1の材料の5%ないし30%の範囲内である、請求項に記載のMTJ記憶素子。
  10. 前記自由層は、
    第3の切り換え可能磁化方向を備えるように構成された第3の材料を含む第3の領域と、
    前記第2の領域と前記第3の領域との間の第2のスペーサ材料と
    をさらに含み、前記第2のスペーサ材料は、前記第2の領域と前記第3の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成された、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  11. 前記第1の領域は、前記第1の参照層において生成されるスピン・トルク電子を受け取るように構成され、
    前記第3の領域は、前記第2の参照層で生成されるスピン・トルク電子を受け取るように構成された、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  12. 前記第1の参照層は、前記MTJが書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向または前記第3の領域の前記第3の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分な量のスピン・トルク電子を前記第1の参照層材料中で生成するように構成され、
    前記第1の参照層で生成されるスピン・トルク電子の前記量は、前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するのに十分である、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  13. 前記第1の領域は、前記第1の切り換え可能磁化方向の切り換えが、前記第1のスペーサ材料によってもたらされる前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記磁気交換結合に少なくとも部分的に基づいて前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換える前記プロセスを支援するように構成された、請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  14. 前記第2の参照層は、前記MTJが書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向または前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分な量のスピン・トルク電子を前記第2の参照層材料中で生成するように構成され、
    前記第2の参照層で生成されるスピン・トルク電子の前記量は、前記第3の領域の前記第3の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するのに十分である、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  15. 前記第3の領域は、前記第3の切り換え可能磁化方向の切り換えが、前記第2のスペーサ材料によってもたらされる前記第3の領域と前記第2の領域との間の前記磁気交換結合に少なくとも部分的に基づいて前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換える前記プロセスを支援するように構成された、請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  16. 記第3の材料は、第3の所定の磁気モーメントを備えるように構成され、
    記第3の所定の磁気モーメントは記第2の所定の磁気モーメントよりも低くなるように構成された、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  17. 前記第1の材料は、第1の所定の活性化エネルギーを備えるようにさらに構成され、
    前記第2の材料は、第2の所定の活性化エネルギーを備えるようにさらに構成され、
    前記第3の材料は、第3の所定の活性化エネルギーを備えるようにさらに構成され、
    前記第2の所定の活性化エネルギーは、前記第1の所定の活性化エネルギーおよび前記第3の所定の活性化エネルギーのそれぞれよりも高くなるように構成された、
    請求項1に記載のMTJ記憶素子。
  18. 磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子を形成する方法であって、
    第1の固定磁化方向を有する第1の参照層を形成することと、
    第1のトンネル障壁を形成することと、
    前記第1のトンネル障壁の前記第1の参照層とは反対の側に複合自由層を形成することと、
    前記複合自由層の前記第1のトンネル障壁とは反対の側に第2のトンネル障壁を形成することと、
    第2の固定磁化方向を有し、前記第2のトンネル障壁の前記自由層とは反対の側にある第2の参照層を形成することと
    を含み、
    前記複合自由層を形成することは、
    第1の切り換え可能磁化方向および第1の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第1の材料を含む第1の領域を形成することと、
    第2の切り換え可能磁化方向および第2の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第2の材料を含む第2の領域を形成することと、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間に第1のスペーサ材料を形成することと、
    前記第1の所定の磁気モーメントを前記第2の所定の磁気モーメントより低くなるように構成することと、
    前記第1のスペーサ材料を前記第1の領域と前記第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成することと
    を含む、方法。
  19. 前記複合自由層を形成することは、
    第3の切り換え可能磁化方向および第3の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第3の材料を含む第3の領域を形成することと、
    前記第2の領域と前記第3の領域との間に第2のスペーサ材料を形成することと
    をさらに含み、前記第2のスペーサ材料は、前記第2の領域と前記第3の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成される、
    請求項1に記載の方法。
  20. 前記第3の所定の磁気モーメントを前記第2の所定の磁気モーメントよりも低くなるように構成することをさらに含む、
    請求項19に記載の方法。
  21. 磁気トンネル接合(MTJ)記憶素子を動作させる方法であって、
    前記MTJ記憶素子に所定の振幅を有する書き込みパルスを印加することを含み、
    前記MTJ記憶素子は、
    第1の固定磁化方向を有する第1の参照層と、
    第1のトンネル障壁と
    前記第1のトンネル障壁の前記第1の参照層とは反対の側の自由層と、
    前記自由層の前記第1のトンネル障壁とは反対の側の第2のトンネル障壁と、
    第2の固定磁化方向を有する第2の参照層と
    を含み、前記第2の参照層は前記第2のトンネル障壁の前記自由層とは反対の側にあり、
    前記自由層は、
    第1の切り換え可能磁化方向および第1の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第1の材料を含む第1の領域と、
    第2の切り換え可能磁化方向および第2の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第2の材料を含む第2の領域と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間の第1のスペーサ材料と
    を含み、前記第1の所定の磁気モーメントは前記第2の所定の磁気モーメントより低くなるように構成され、前記第1のスペーサ材料は前記第1の領域と前記第2の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成され、
    前記方法は、
    前記書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分なスピン・トルク電子を前記第1の参照層材料において生成することと、
    スピン・トルク電子が前記第1の参照層材料中において生成されることに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始することと
    を含む方法。
  22. スピン・トルク電子が前記第2の参照層材料中で生成されることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始することをさらに含み、
    前記第1の領域の前記第1の切り換え可能磁化方向の切り換えは、前記第1のスペーサ材料によってもたらされる前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記磁気交換結合に少なくとも部分的に基づいて前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換える前記プロセスを支援する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記自由層は、
    第3の切り換え可能磁化方向および第3の所定の磁気モーメントを備えるように構成された第3の材料を含む第3の領域と、
    前記第3の領域と前記第2の領域との間の第2のスペーサ材料と
    をさらに含み、前記第3の所定の磁気モーメントは、前記第2の所定の磁気モーメントよりも低くなるように構成され、前記第2のスペーサ材料は、前記第2の領域と前記第3の領域との間に磁気交換結合をもたらすように構成され、
    前記方法は、
    前記書き込みパルスを受け取ることに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始するには不十分なスピン・トルク電子を前記2の参照層材料中において生成することと、
    スピン・トルク電子が前記第2の参照層材料中で生成されることに少なくとも部分的に基づいて、前記第3の領域の前記第3の切り換え可能磁化方向を切り換えるプロセスを開始することと
    をさらに含み、
    前記第3の領域の前記第3の切り換え可能磁化方向の切り換えは、前記第2のスペーサ材料によってもたらされる前記第3の領域と前記第2の領域との間の前記磁気交換結合に少なくとも部分的に基づいて前記第2の領域の前記第2の切り換え可能磁化方向を切り換える前記プロセスを支援する、請求項22に記載の方法。
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