JP2005129801A - 磁気記憶素子及び磁気メモリ - Google Patents

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政功 細見
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浩亮 成沢
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Abstract

【課題】 素子サイズを微細化しても、記録動作を安定して行うことができる磁気記憶素子及び磁気メモリを提供する。
【解決手段】 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層3が複数層の磁性層16,18から成り、記憶層3に対して、非磁性層15を介して磁化固定層2が配置され、記憶層3の端縁と磁化固定層2の端縁とが離れるように、記憶層2と磁化固定層3が異なる平面パターンに形成されている磁気記憶素子1を構成する。また、この磁気記憶素子1と、それぞれ交差する第1の配線5と第2の配線6とを有し、第1の配線5及び第2の配線6とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子1が配置されて成る磁気メモリを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記憶素子及び磁気メモリに関するものであり、特に不揮発性メモリに用いて好適なものである。
コンピュータ等の情報機器においては、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度のDRAMが広く使用されている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
情報通信機器、特に携帯端末等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これを構成するメモリやロジック等の素子に対して、高集積化、高速化、低電力化等、一層の高性能化が要請されている。
特に、不揮発性メモリは、機器の高機能化に必要不可欠な部品と考えられている。
例えば、電源の消耗やトラブル、サーバーとネットワークが何らかの障害により切断された場合でも、不揮発性メモリはシステムや個人の重要な情報を保護することができる。
また、最近の携帯機器は、不要の回路ブロックをスタンバイ状態にしてできるだけ消費電力を抑えるように設計されているが、高速のワークメモリと大容量ストレージメモリを兼ねることができる不揮発性メモリを実現することができれば、消費電力とメモリの無駄を無くすことができる。
さらに、高速の大容量不揮発性メモリが実現できれば、電源を入れると瞬時に起動できる“インスタント・オン”機能も可能になってくる。
不揮発性メモリとしては、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro electric Random Access Memory )等が挙げられる。
しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒のオーダーと遅いため、高速なアクセスに向かないという欠点がある。
一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が1012〜1014と有限であるため、完全にSRAMやDRAMを置き換えるには耐久性が小さく、また強誘電体キャパシタの微細加工が難しいという問題が指摘されている。
これらの欠点がない不揮発性メモリとして注目されているのが、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM;Magnetic Random Access Memory )である(例えば、非特許文献1参照)。
初期のMRAMは、AMR(anisotropic magnetoresistive)効果や、GMR(Giant magnetoresistance)効果等を利用した、スピンバルブをベースにした構成であった(非特許文献2及び非特許文献3参照)。
しかし、これらの構成では、負荷のメモリセル抵抗が10〜100Ωと低いため、読み出し時のビット当たりの消費電力が大きく大容量化が難しいという欠点があった。
そこで、TMR(Tunnel Magnetoresistance)効果を利用した構成のMRAMが提案されている。
当初は、室温における抵抗変化率が1〜2%しかなかったが(非特許文献4参照)、近年では20%近くの抵抗変化率が得られるようになり(非特許文献5参照)、TMR効果を利用したMRAMに注目が集まるようになってきている。
MRAMでは、マトリクス状に配列されたTMR効果型の記憶素子を有するとともに、その素子群のうち特定の素子に情報を記録するために、素子群を縦横に横切るワード書き込み線とビット書き込み線を有しており、その交差領域に位置する記憶素子のみに、選択的に情報の記録(書き込み)を行うように構成されている。
そして、記憶素子に情報の記録を行う方法には、アステロイド特性を利用した方法(例えば、特許文献1参照)とスイッチング特性を利用した方法(例えば、特許文献2参照)がある。
アステロイド特性を利用した方法は、選択性が各記憶素子の保磁力特性に依存するために、素子の寸法や磁気特性のばらつきに弱いという欠点があった。
これに対して、スイッチング特性を利用した方法は、素子選択に使える磁界範囲が広いので、素子ごとの特性ばらつきが多少あっても、大規模なメモリを実現しやすい、という利点がある。
ここで、スイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図を図8に示す。
メモリセルに記録された情報を読み出すために、メモリセルを電気的に選択するためには、ダイオード又はMOSトランジスタ等を用いることができるが、図8に示す構成はMOSトランジスタを用いている。
まず、MRAMのメモリセルを構成する磁気記憶素子101の構成を説明する。
第1の磁化固定層112及び第2の磁化固定層114は、非磁性層113を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。さらに、第1の磁化固定層112は、反強磁性層111と接して配置されており、これらの層間に働く交換相互作用によって、強い一方向の磁気異方性を有する。そして、これら4層111,112,113,114により固定層102が構成される。
第1の記憶層116及び第2の記憶層118は、非磁性層117を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。これら第1の記憶層116及び第2の記憶層118は、それぞれの磁化M1,M2の向きが比較的容易に回転するように構成される。そして、これら3層116,117,118により記憶層(自由層)103が構成される。
第2の磁化固定層114と第1の記憶層116との間、即ち固定層102と記憶層(自由層)103との間には、トンネル絶縁層115が形成されている。このトンネル絶縁層115は、上下の磁性層116及び114の磁気的結合を切るとともに、トンネル電流を流す役割を担う。これにより、磁性層の磁化の向きが固定された固定層102と、トンネル絶縁層115と、磁化の向きを変化させることが可能な記憶層(自由層)103とにより、TMR(Tunneling Magnetoresistance )素子が構成されている。
そして、上述の各層111〜118と、下地膜110及びトップコート膜119により、TMR素子から成る磁気記憶素子101が構成されている。
また、シリコン基板130中に選択用MOSトランジスタ131が形成され、この選択用MOSトランジスタ131の一方の拡散層133上に接続プラグ108を介して、引き出し電極109が形成されている。この引き出し電極109上に、磁気記憶素子101の下地膜110が接続されている。選択用MOSトランジスタ131のもう一方の拡散層132は、図示しないが、接続プラグを介してセンス線に接続されている。選択用MOSトランジスタのゲート130は、選択信号線と接続されている。
磁気記憶素子101のトップコート膜119は、その上のビット線(BL)106に接続されている。また、磁気記憶素子101の下方には絶縁膜を介して、書き込みワード線(WL)105が配置されている。
定常状態において、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2とは、概ね反平行状態(向きが正反対の状態)にある。同様に、非磁性層113を介した強い反強磁性結合により、第1の磁化固定層112の磁化M11と第2の磁化固定層114の磁化M12は、ほぼ完全な反平行状態にある。
通常、第1の磁化固定層112と第2の磁化固定層114とは、飽和磁化膜厚積が等しい構成とされるため、磁極磁界の漏洩成分は無視できるくらい小さい。
また、図8のMRAMを直上より見た模式的平面図を図9に示す。
磁気記憶素子101は、平面形状が楕円形状であり、楕円の長軸方向に磁化容易軸60があり、楕円の短軸方向に磁化困難軸61があり、これら磁化容易軸60と磁化困難軸61とが直交している。
また、ビット線106及びワード線105は、格子状に配置され、両者のなす角度αは一定(図9ではほぼ直交している)である。磁気記憶素子101は、その磁化容易軸60がワード線105に対して傾斜角度θ(0<θ<90°)を有するように、ワード線105及びビット線106の交点に配置されている。
この構成のメモリセルにおいて、磁気記憶素子101の記憶層103に情報を記録する際には、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きを反転させるために、ビット線106及びワード線105に、それぞれ、ビット電流Ib及びワード線電流Iwを流す。ビット線電流Ib及びワード線電流Iwは、それぞれ、ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwを誘起する。ワード線電流磁界Hwとビット線電流磁界Hbの合成磁界は、後述するように、時計回りまたは反時計回りに回る回転磁界を形成する。
そして、電流磁界Hb,Hwの印加によって、第1の記憶層116の磁化M1の向きを変えることにより、記憶層103に情報(例えば、情報”1”又は情報”0”)を記録することができる。
また、記録された情報の読み出しは、磁気抵抗効果によるトンネル電流の変化を検出して行うことができる。
ここで、図8に示した構成の磁気記憶素子101の磁化容易軸方向に外部磁界Hが印加されたときの磁化曲線の例を図10に示す。
第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2の合成磁化Mの大きさは、外部磁界の大きさによって顕著に変化する。
最初のしきい値はスピンフロッピング磁界Hsfである。外部磁界Hがこのスピンフロッピング磁界Hsf以下ならば、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2が、常に反平行状態(↑↓)を保つ。
外部磁界HがHsfを超えると、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2が、交差磁化状態をとって外部磁界Hに拮抗する。ただし、二つの磁化M1,M2がなす角度は180度以下である。この状態から外部磁界Hを取り去れば、最初の反平行状態に戻ることが多い。
次のしきい値は飽和磁界Hsatである。外部磁界Hが飽和磁界Hsatを超えると、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2は平行状態(↑↑)となる。一旦、飽和磁界Hsat以上の外部磁界Hを印加してしまうと、記憶層103は最初の反平行状態の記憶を忘却するので、外部磁界を取り去っても最初の磁化状態に戻るとは限らない。
続いて、図8のMRAMの磁気記憶素子101において、外部磁界Hとしてワード線電流磁界Hwとビット線電流磁界Hbを印加したとき、記憶層103の第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きの変化を説明する。
外部磁界Hを印加することにより、図10に示したように、記憶層103の第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きが変化するが、外部磁界Hを印加する前の状態と、外部磁界Hを取り去った後の状態との関係により、3種類の動作に大別することができる。
まず、外部磁界Hの印加の前の状態と、外部磁界Hを取り去った後の状態とで、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2の向きが反転する(2つの磁化M1,M2の向きが入れ替わり、交番的に変化する)動作がある。以下、このような動作を、Toggle動作と呼ぶ。
また、外部磁界Hの印加の前の状態と、外部磁界Hを取り去った後の状態とで、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2の向きが同じ向きになる(2つの磁化M1,M2の向きが入れ替わらない)動作がある。以下、このような動作を、No switching動作と呼ぶ。
さらにまた、外部磁界Hの印加の前の状態に係わらず、外部磁界Hを取り去った後の状態では、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2が、それぞれ決まった向きに変化する動作がある。この動作では、外部磁界Hを印加している間に、2層の磁化M1,M2が同じ向き(平行)になってしまい、外部磁界Hを印加する前の反平行状態の記憶が失われるため、外部磁界Hを除去した後の状態では、2層の磁化M1,M2が一方通行な磁化回転をして、ある決まった向きに変化する。以下、このような動作を、Direct動作と呼ぶ。
次に、3種類の動作のそれぞれにおいて、ワード線電流Iw及びビット線電流Ibの電流パルスと、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きの時間変化と、磁化M1,M2の変化に伴う磁気記憶素子101のTMR素子の電気抵抗Rの時間変化を示す。
まず、Toggle動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を、図11に示す。
図11では、1ビットの記録を行うサイクルにおいて、時間原点を時刻T0として、時刻T1,T2,T3,T4と時刻が経過して、最後に定常状態に戻るまでの磁化M1,M2の向き及びTMR素子の電気抵抗Rの変化を示している。以下、他の動作の場合の図でも同様である。
ワード線電流Iwのパルスは、時間原点T0からある時間経過した時刻T1に立ち上がり、時刻T3に立ち下がる。ビット線電流Ibのパルスは、ワード線電流Iwのパルスより遅れて、時刻T2に立ち上がり、時刻t4に立ち下がる。
このように電流パルスに時間差を設けることにより、各電流磁界Hw,Hbの合成磁界を回転磁界として、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きを回転させることができる。
TMR素子の電気抵抗Rは、第1の記憶層116の磁化M1と第2の磁化固定層114の磁化M12の向きが等しい場合に、低抵抗(これを例えば情報”0”とする)となり、第1の記憶層116の磁化M1と第2の磁化固定層114の磁化M12の向きが反平行である場合に、高抵抗(これを例えば情報”1”とする)となる。
まず、時刻T0において、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層114の磁化M2は、反平行状態をとっており、二つの磁化M1,M2の向きがなす角度は180度となっている。
時刻T1から時刻T2までの間に、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2とがなす角度が180度以下になる。
時刻T2から時刻T3までの間には、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2とがなす角度が鋭角(90度以下)になる。
時刻T3以降で第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2とがスピンフロップし、時刻T4を過ぎて再び反平行状態に戻る。このとき、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2は、それぞれ初期状態に対して向きが逆転している。
次に、No switching動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を、図12に示す。
この例では、ワード線電流Iwのパルスを図11とは逆の向きにしている。ビット線電流Ibのパルスは図11と同じである。
ワード線電流Iwのパルスは、時間原点の時刻T0からある時間経過した時刻T1に立ち上がり、時刻T3に立ち下がる。ビット線電流Ibのパルスは、ワード線電流Iwのパルスより遅れて、時刻T2に立ち上がり、時刻t4に立ち下がる。
このように電流パルスに時間差を設けることにより、各電流磁界Hw,Hbの合成磁界を回転磁界として、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きを回転させることができる。
まず、時刻T0において、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層114の磁化M2は、反平行状態をとっており、二つの磁化M1,M2の向きがなす角度は180度となっている。
時刻T1から時刻T2までの間に、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2とがなす角度が180度以下になる。
この場合は、時刻T2から時刻T3までの間で、ワード線電流磁界Hw及びビット線電流磁界Hbにより形成される回転磁界の向きが、磁気記憶素子101の磁化容易軸の方向(正方向または負方向のいずれか)を向かないので、スピンフロッピングが起こらない。 その結果、時刻T4以降では、磁化状態は初期状態に対して変化しない。
次に、Direct動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の例を、図13及び図14にそれぞれ示す。
図13に示す例では、電流パルスをいずれも図11と同じ向きにしている。一方、図14に示す例では、電流パルスをいずれも図11とは逆の向きにしている。
図13及び図14において、ワード線電流Iwのパルスは、時間原点の時刻T0からある時間経過した時刻T1に立ち上がり、時刻T3に立ち下がる。ビット線電流Ibのパルスは、ワード線電流Iwのパルスより遅れて、時刻T2に立ち上がり、時刻t4に立ち下がる。
このように電流パルスに時間差を設けることにより、各電流磁界Hw,Hbの合成磁界を回転磁界として、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きを回転させることができる。
まず、時刻T0において、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層114の磁化M2は、反平行状態をとっており、二つの磁化M1,M2の向きがなす角度は180度となっている。
時刻T1から時刻T2までの間に、スピンフロッピングが起こり、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2がなす角度は90度以下になる。
時刻T2から時刻T3までの間に、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2の向きが、ほぼ同じ向きに揃ってしまい、ワード線電流磁界Hw及びビット線電流磁界Hbにより形成される回転磁界の向きとほぼ等しくなる。
時刻T3以降では、第1の記憶層116の磁化M1及び第2の記憶層118の磁化M2が、スピンフロップして再び反平行状態に戻るが、その磁化状態は初期状態に依存しない。
続いて、ワード線電流磁界Hw及びビット線電流磁界Hbの各振幅・向きを変化させたときに、3種類の磁化回転動作のそれぞれの発生状況を表す磁化回転モード図を、図15に示す。
図15に示すように、ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwの合成磁界がスピンフロッピング磁界Hsf以下ならば、その領域は全てNo switching動作の領域81である。ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwの合成磁界が磁化容易軸方向以外になる、第二象限及び第四象限も、概ねNo switching動作の領域81である。
一方、ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwの合成磁界が飽和磁界Hsatを超えたところは、Direct動作の領域82となることが多い。
そして、ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwの合成磁界がスピンフロッピング磁界Hsf以上飽和磁界Hsat未満であり、かつ、第一象限及び第三象限に属する範囲は、Toggle動作の領域80となることが期待できる。
なお、第1の記憶層116の磁化M1と第2の記憶層118の磁化M2のなす2つの安定状態(↑↓及び↓↑)に非対称性がある場合は、Toggle動作の領域80とNo switching動作の領域81の境界に、Direct動作の領域が現れることがある。
マトリクス状に配列されたメモリセル群において、ワード線とビット線の交点に配置された特定のメモリセルのみを選択的に磁化反転させるには、選択されたメモリセルが所属するワード線及びビット線に電流を流す。
このとき、選択されたメモリセルに印加される合成磁界が、Toggle動作の領域80又はDirect動作の領域82の範囲内に含まれている必要がある。
一方、ワード線またはビット線を共有する選択されていないメモリセルが磁化反転するのを避けるには、非選択メモリセルへ印加される合成磁界が、No switching動作の領域81の範囲に含まれていることが必要である。
Wang et al.,IEEETrans.Magn.,1997,Vol.33,p.4498 J.M.Daughton,Thin Solid Films,1992,vol.216,p.162-168 D.D.Tang et al.,IEDMTechnical Digest,1997,p.995-997 R.Meservey et al.,PysicsReports,1994,vol.238,p.214-217 T.Miyazaki et al.,J.Magnetism& Magnetic Material,1995,vol.139,L231 特開平10−116490号公報 米国特許出願公開第2003/0072174号明細書
上述したように、スイッチング特性を利用したMRAMの従来の構成においては、記憶層103として2層以上の強磁性層を用いて、ビット情報の記録を行っている。
しかしながら、素子サイズが微細化していくに従って、Toggle動作の領域80(図15参照)が次第に減少するという問題があった。
例えば、図8に示した記憶層103が2層の強磁性層(第1の記憶層116及び第2の記憶層118)からなる構成のMRAMでは、Toggle動作は、第1の反平行状態(↑↓)と第2の反平行状態(↓↑)との2つの安定状態を動的に往来することによって行われる。
ところが、第1の反平行状態と第2の反平行状態の磁気的ポテンシャルエネルギーが等しくないと、どちらかの反平行状態に偏って安定してしまう場合が起こる。
この場合、異なる安定状態から出発しても一方の安定状態にのみ落ち着くような遷移、即ちDirect動作となるので、磁化回転モード図で観測するとToggle動作の領域が減少してDirect動作の領域が増加していくように見える。
この磁気的ポテンシャルエネルギーの不均一化の原因としては、Neel結合磁界又は磁極磁界の漏れ磁界等が考えられる。
素子サイズが大きいうちは磁気的ポテンシャルエネルギーの差はわずかであるが、素子サイズが微細化すると、磁化固定層からの磁極磁界の漏れ磁界が増大する傾向にある。そして、第1の記憶層116と第2の記憶層118とで、磁化固定層からの距離の違いから、この漏れ磁界の大きさがわずかに異なるため、磁気的ポテンシャルエネルギーが不均一となる結果を招くことになる。
Toggle動作の領域が減少すると、メモリセルの数が多い大規模なメモリ素子において、記録エラーが頻発し、システムの信頼性を低下させることになる。これは、メモリセルの数が多くなるほど、メモリセルにおける電流磁界のばらつきにより、Toggle動作の領域から外れてしまうメモリセルが発生しやすくなるためである。
そこで、Toggle動作の領域の減少に対して、第1の記憶層116と第2の記憶層118間の反強磁性結合を増大させて補うことが考えられる。
しかしながら、記憶層116,118間の反強磁性結合が増大すると、必然的にスピンフロッピング磁界Hsfが増大し、磁化反転電流も増加することから、記録の際の消費電力が増加してしまう。
上述した問題の解決のために、本発明においては、素子サイズを微細化しても、記録動作を安定して行うことができる磁気記憶素子及び磁気メモリを提供するものである。
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるように、記憶層と磁化固定層が異なる平面パターンに形成されているものである。
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるように、記憶層と磁化固定層が異なる平面パターンに形成されていることにより、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるため、記憶層の複数層の磁性層の各磁性層に対する、磁化固定層から漏洩する磁極磁界の影響を小さくすることが可能になる。
これにより、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、少なくとも非磁性層と記憶層との界面、又は非磁性層と磁化固定層との界面に、凹凸を有するものである。
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、少なくとも非磁性層と記憶層との界面又は非磁性層と磁化固定層との界面に凹凸を有することにより、非磁性層を挟む記憶層と磁化固定層との間に強磁性結合(Neel結合)を誘起させ、この強磁性結合による強磁性結合磁界の作用により、磁化固定層から漏洩する磁極磁界の記憶層に対する影響を相殺することが可能になる。
これにより、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されているものである。
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されていることにより、下層の磁化固定層から漏洩する磁極磁界の記憶層に対する影響と、上層の磁化固定層から漏洩する磁極磁界の記憶層に対する影響とを、相殺させることが可能になる。
これにより、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
本発明の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるように、記憶層と磁化固定層が異なる平面パターンに形成されている磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成るものである。
上述の本発明の磁気メモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるように、記憶層と磁化固定層が異なる平面パターンに形成されている磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成ることにより、第1の配線や第2の配線に電流を流すことにより磁気記憶素子に磁場(電流磁場)を印加することが可能であり、この磁場により記憶層の各磁性層の磁化の向きを変化させて情報を記録することが可能である。
そして、特に、磁気記憶素子が、記憶層の端縁と磁化固定層の端縁とが離れるように、記憶層と磁化固定層が異なる平面パターンに形成されている構成となっていることにより、前述したように、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
本発明の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、少なくとも非磁性層と記憶層との界面、又は非磁性層と磁化固定層との界面に、凹凸を有する磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成るものである。
上述の本発明の磁気メモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、少なくとも非磁性層と記憶層との界面、又は非磁性層と磁化固定層との界面に、凹凸を有する磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成ることにより、第1の配線や第2の配線に電流を流すことにより磁気記憶素子に磁場(電流磁場)を印加することが可能であり、この磁場により記憶層の各磁性層の磁化の向きを変化させて情報を記録することが可能である。
そして、特に、磁気記憶素子が、少なくとも非磁性層と記憶層との界面、又は非磁性層と磁化固定層との界面に、凹凸を有する構成となっていることにより、前述したように、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
本発明の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されている磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成るものである。
上述の本発明の磁気メモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が複数層の磁性層から成り、記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されている磁気記憶素子と、互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、第1の配線と第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ磁気記憶素子が配置されて成ることにより、第1の配線や第2の配線に電流を流すことにより磁気記憶素子に磁場(電流磁場)を印加することが可能であり、この磁場により記憶層の各磁性層の磁化の向きを変化させて情報を記録することが可能である。
そして、特に、磁気記憶素子が、記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されている構成となっていることにより、前述したように、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になる。
上述の本発明によれば、記憶層の各磁性層の磁気的ポテンシャルエネルギーを均一にすることが可能になるため、素子が微細化しても、磁化を反転させる動作を行って情報の記録を行うことができる領域を安定に確保することが可能になる。
従って、磁気記憶素子の微細化を図った場合でも、高い歩留まりを得ることが可能になり、また書き込みエラーの低減を図って高い信頼性でビット情報の書き込み(記録)や読み出しを行うことができる。
これにより、磁気記憶素子の微細化により高密度化を図り、磁気メモリの記憶容量の増大や磁気メモリの小型化を図ることが可能になる。
また、スピンフロッピング磁界を大きくしなくても、安定に記録を行うことが可能になるため、従来よりも低い電流値で電流磁場を印加して磁気記憶素子の記憶層に情報を記録することが可能になり、情報の記録に必要となる消費電力を低減することが容易に可能になる。
本発明の一実施の形態として、スイッチング特性を利用したMRAMの概略構成図(模式的断面図)を図1に示す。
本実施の形態においても、図8に示した従来の構成と同様に、メモリセルの読み出しのために選択用MOSトランジスタを用いている。
まず、MRAMのメモリセルを構成する磁気記憶素子1の構成を説明する。
第1の磁化固定層12及び第2の磁化固定層14の2層の磁性層は、非磁性層13を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。さらに、第1の磁化固定層12は、反強磁性層11と接して配置されており、これらの層間に働く交換相互作用によって、強い一方向の磁気異方性を有する。そして、これら4層11,12,13,14により固定層2が構成される。
第1の記憶層16及び第2の記憶層18の2層の磁性層は、非磁性層17を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。これら第1の記憶層16及び第2の記憶層18は、それぞれの磁化M1,M2の向きが比較的容易に回転するように構成される。そして、これら3層16,17,18により記憶層(自由層)3が構成される。
第2の磁化固定層14と第1の記憶層16との間、即ち固定層2と記憶層(自由層)3との間には、トンネル絶縁層15が形成されている。このトンネル絶縁層15は、上下の磁性層16及び14の磁気的結合を切るとともに、トンネル電流を流す役割を担う。これにより、磁性層の磁化の向きが固定された固定層2と、トンネル絶縁層15と、磁化の向きを変化させることが可能な記憶層(自由層)3とにより、TMR(Tunneling Magnetoresistance )素子が構成されている。
第2の記憶層18の上には、トップコート膜19が形成されている。このトップコート膜19は、磁気記憶素子1と接続された配線(ビット線)6との相互拡散防止、接触抵抗の低減及び第2の記憶層18の酸化防止という役割がある。
反強磁性層11の下には、下地膜10が形成されている。この下地膜10は、上方に積層される層の結晶性を高める作用がある。
第1及び第2の磁化固定層12及び14と、第1及び第2の記憶層16及び18とには、例えば、ニッケルまたは鉄またはコバルト、或いはこれらの合金を主成分とする強磁性体が用いられる。
非磁性層13,17の材料としては、例えば、タンタル、クロム、ルテニウム等が使用できる。
反強磁性層11の材料としては、例えば、鉄、ニッケル、白金、イリジウム、ロジウム等のマンガン合金、コバルトやニッケル酸化物等が使用できる。
下地膜10には、例えば、クロム、タンタル等を使用できる。
トップコート膜19には、例えば、銅、タンタル、TiN等の材料が使用できる。
これらの磁性層12,14,16,18及び導体膜10,13,17,19は、主にスパッタリング法により形成される。
トンネル絶縁層15は、スパッタリングで形成された金属膜を酸化、もしくは窒化させることにより得ることができる。
そして、上述の各層11〜18と、下地膜10及びトップコート膜19により、TMR素子から成る磁気記憶素子1が構成されている。
また、シリコン基板30中に選択用MOSトランジスタ31が形成され、この選択用MOSトランジスタ31の一方の拡散層33上に接続プラグ8を介して、引き出し電極9が形成されている。この引き出し電極9上に、磁気記憶素子1の下地膜10が接続されている。選択用MOSトランジスタ31のもう一方の拡散層32は、図示しないが、接続プラグを介してセンス線に接続されている。選択用MOSトランジスタのゲート30は、選択信号線と接続されている。
磁気記憶素子1のトップコート膜19は、その上のビット線(BL)6に接続されている。また、磁気記憶素子1の下方には絶縁膜を介して、書き込みワード線(WL)5が配置されている。
定常状態において、第1の記憶層16の磁化M1と第2の記憶層18の磁化M2とは、概ね反平行状態(向きが正反対の状態)にある。同様に、非磁性層13を介した強い反強磁性結合により、第1の磁化固定層12の磁化M11と第2の磁化固定層14の磁化M12は、ほぼ完全な反平行状態にある。
本実施の形態においては、特に、記憶層(自由層)3のパターンと比較して、固定層2のパターンの方が大きくなるように、磁気記憶素子1を構成している。
また、固定層2と記憶層3の間にあるトンネル絶縁層15は、固定層2と同じパターンとなっている。
なお、トンネル絶縁層15を必ずしも固定層2と同じパターンとする必要はないが、記憶層(自由層)3と固定層2とが電気的に短絡しないために、トンネル絶縁層15を記憶層(自由層)3よりも若干広くすることが好ましい。
上述したように記憶層(自由層)3のパターンを固定層2のパターンを異ならせるためには、例えば、電子線描画又はフォトリソグラフィによって、記憶層(自由層)3及び固定層2のパターニングをそれぞれ行えばよい。また、いわゆる寸止めエッチング、即ちトンネル絶縁層15に用いられる材料が成膜装置内の物質検出器で検出されるまで、記憶層3の側面をイオンミリング又は反応性イオンエッチングで掘削する方法でもよい。
なお、磁気記憶素子1のサイズにもよるが、記憶層(自由層)3の端縁と、固定層2の端縁とが、少なくとも直線距離で0.5nm以上離れていることが望ましい。
本実施の形態のMRAMの磁気記憶素子1においても、固定層2からの漏洩磁界を少なくすることを目的として、前述した従来の構成と同様に、第1の磁化固定層12と第2の磁化固定層14の飽和磁化膜厚積が等しくなるように構成されるのが普通である。
しかし、磁極磁界ベクトルは、平行磁界と異なり、距離に応じて大きさと向きが著しく変化するものである。
一般に、磁極磁界の大きさは、固定層2の端部では極めて大きいが、固定層2の端部からの距離の3乗に反比例して急速に減少することが知られている。
第1の磁化固定層12と第2の磁化固定層14の飽和磁化膜厚積が等しくとも、第1の記憶層16で観測すれば、第1の磁化固定層12から漏洩する磁極磁界よりも第2の磁化固定層14から漏洩する磁極磁界の方が大きい。このため、第1の記憶層16の磁化M1は、第2の磁化固定層14の磁化M12と反平行となる配置をとることによって、磁気エネルギー的に安定になろうとする。
従って、記憶層3の2つの安定状態、即ち第1の反平行状態(↑↓)と第2の反平行状態(↓↑)、のうち、第2の磁化固定層14の磁化M12と第1の記憶層16の磁化M1とが反平行である状態が、平行となる状態よりも磁気的ポテンシャルエネルギーが低くなる。この第1の反平行状態と第2の反平行状態でのエネルギー不均一は、Direct動作の領域の拡大となって現れる。
これに対して、上述のように固定層2のパターンが記憶層3のパターンより大きい磁気記憶素子1を構成することにより、固定層2の端縁から記憶層3の端縁が離れるため、固定層2から記憶層3への漏洩磁界の影響を減少させることができる。
これにより、素子サイズを微細化したときにも、Toggle動作の領域が減少しないようにすることが可能になる。
また、図1のMRAMを直上より見た模式的平面図を図2に示す。
磁気記憶素子1は、平面形状が楕円形状であり、固定層2が大きい楕円になっており、記憶層(自由層)3が小さい楕円になっている。
楕円の長軸方向に磁化容易軸60があり、楕円の短軸方向に磁化困難軸61があり、これら磁化容易軸60と磁化困難軸61とが直交している。
また、ビット線(BL)6及びワード線(WL)5は、格子状に配置され、両者のなす角度αは一定(図2ではほぼ直交している)である。磁気記憶素子1は、その磁化容易軸60がワード線5に対して傾斜角度θ(0<θ<90°)を有するように、ワード線5及びビット線6の交点に配置されている。
この構成のメモリセルにおいて、磁気記憶素子1の記憶層3に情報を記録する際には、第1の記憶層16の磁化M1及び第2の記憶層18の磁化M2の向きを反転させるために、ビット線6及びワード線5に、それぞれ、ビット電流Ib及びワード線電流Iwを流す。ビット線電流Ib及びワード線電流Iwは、それぞれ、ビット線電流磁界Hb及びワード線電流磁界Hwを誘起する。ワード線電流磁界Hwとビット線電流磁界Hbの合成磁界は、後述するように、時計回りまたは反時計回りに回る回転磁界を形成する。
また、磁気記憶素子1の記憶層3に記録された情報を読み出す際には、ビット線6と、選択用MOSトランジスタ31の拡散層32に接続されたセンス線との間に電圧をかけて、選択用MOSトランジスタ31のゲート7をオン状態にすることにより、磁気記憶素子1の膜厚方向に電流を流す。これにより、トンネル絶縁層15を挟む磁性層(第2の磁化固定層14及び第1の記憶層16)におけるトンネル磁気抵抗効果を利用して、記憶層3の磁性層の磁化の向きを検出することにより、記憶層3に記録された情報を読み出すことができる。
そして、図1に示した構成のメモリセルを用いて、それぞれ多数のワード線(WL)5及びビット線(BL)6に対して、各交点に磁気記憶素子1を配置することにより、多数のメモリセルを有し、記憶容量の大きい磁気メモリ(磁気記憶装置)を構成することができる。
このように磁気メモリを構成した場合に、あるメモリセルの磁気記憶素子1の記憶層3に情報を記録するためには、多数あるワード線5及びビット線6から、記録を行うメモリセルに対応するそれぞれ1本のワード線5及びビット線6を選択し、ワード線5及びビット線6に電流を流して、記録を行うメモリセルの磁気記憶素子1に対して電流磁場Hw,Hbを印加する。これにより、そのメモリセルの磁気記憶素子1の記憶層3に回転磁界が印加され、その記憶層3において、第1の記憶層16の磁化M1及び第2の記憶層18の磁化M2の向きが反転(Toggle動作)して、情報の書き込み(記録)が行われる。
一方、情報の記録を行わないメモリセルでは、ワード線5或いはビット線6の少なくとも一方は選択されていないため、第1の記憶層16の磁化M1及び第2の記憶層18の磁化M2の向きが反転(Toggle動作)するに充分な回転磁界が印加されず、情報の書き込み(記録)が行われないことから、記憶層3に既に記録されている情報が保持される。
ここで、本実施の形態によって得られる磁化回転モードの改善効果を調べた。
磁気記憶素子を、0.20μm(長軸方向)×0.10μm(短軸方向)として、図8に示したように記憶層と固定層を同じパターンにした場合と、本実施の形態のように固定層のパターンを記憶層のパターンよりも大きくした場合とで、素子の磁化回転モードの分布を比較した。
それぞれの磁化回転モードの分布を図3A及び図3Bに示す。図3Aは記憶層と固定層を同じパターンにした場合であり、図3Bは固定層のパターンを記憶層のパターンよりも大きくした場合である。
図3Aに示す場合では、固定層からの磁極磁界の漏れによってToggle動作の領域80が非常に小さくなっている。Toggle動作の領域80以外の大部分はDirect動作の領域82であり、スイッチング特性を利用したMRAMの選択領域が広いという利点がほとんど生かせなくなることがわかる。
これに対して、図3Bに示す本実施の形態の構成では、Toggle動作の領域80が理論的に予測された本来の大きさまで回復していることがわかる。
上述の本実施の形態の構成によれば、記憶層3のパターンよりも固定層2のパターンが大きい磁気記憶素子1を構成したことにより、固定層2の端縁から記憶層3の端縁を離して、固定層2から記憶層3への漏洩磁界の影響を減少させることができる。
このように固定層2から記憶層3への漏洩磁界の影響が減少するため、記憶層3を構成する第1の記憶層16及び第2の記憶層18の磁化M1,M2の各安定状態の磁気的ポテンシャルエネルギーを等しく揃えることができる。
これにより、素子サイズが微細化しても、Toggle動作の領域を安定に確保することが可能になる。
従って、素子サイズの微細化を図った場合でも、高い歩留まりを得ることが可能になり、また書き込みエラーの低減を図って高い信頼性でビット情報の書き込み(記録)や読み出しを行うことができる。
また、スピンフロッピング磁界を大きくしなくても、安定に記録を行うことが可能になるため、従来よりも低い電流値でメモリ素子へ情報を記録することが可能になり、情報の記録に必要となる消費電力を低減することが可能になる。
また、図1に示した磁気記憶素子1の構成に対して、固定層2及び記憶層3の上下を逆にした構成も可能である。
即ち、大きいパターンの記憶層の上に、トンネル絶縁層を介して、小さいパターンの固定層を形成してもよい。この場合も、図1に示した実施の形態と同様に、記憶層を構成する各記憶層(磁性層)の磁化の2つの安定状態の磁気的ポテンシャルエネルギーを等しく揃えることができる効果を得ることが可能である。
また、固定層の平面パターンと記憶層の平面パターンは、図2に示すような相似形に限定されるものではない。
少なくとも、固定層の端縁が記憶層の端縁から離れるように、固定層の平面パターンと記憶層の平面パターンとが異なる構成とすれば、図1に示した実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態として、スイッチング特性を利用したMRAMの概略構成図(模式的断面図)を図4に示す。
本実施の形態では、特に、固定層2と記憶層3との間にあるトンネル絶縁層15の上面及び下面を、凹凸を有する荒い界面としている。
TMR素子から成る磁気記憶素子において、磁化固定層と記憶層の間のトンネル絶縁層の界面が平坦でないと、このトンネル絶縁層を挟む磁化固定層の磁化と記憶層の磁化とが強磁性結合することが知られている。このような磁気的な結合をNeel結合という。
このNeel結合の作用は、前述した、磁極磁界の漏れ磁界によって、第2の磁化固定層14の磁化M12と第1の記憶層16の磁化M1とが反平行状態をとって安定になろうとする作用とは逆の作用である。
そこで、本実施の形態では、上述のようにトンネル絶縁層15の界面を、凹凸を有する荒い界面としていることにより、Neel結合が誘起する強磁性結合磁界をもって、固定層2からの漏洩磁界の影響を実効的に相殺する。
トンネル絶縁層15に必要な表面荒さを形成するためには、例えば、固定層2の第2の磁化固定層14の成膜条件等を制御して、第2の磁化固定層14の表面が凹凸を有する荒い面となるようにすればよい。
また、下地層10の組成を変更して、下地膜10から制御してもよい。
さらにまた、固定層2の反強磁性層11に用いられる反強磁性体の結晶性を低下させて、不均一なグレインが成長するように組成や温度条件を制御してもよい。
そして、より好ましくは、トンネル絶縁層15の界面を、0.01nm以上の荒さを有する界面とする。
なお、トンネル絶縁層15を成膜した後に、トンネル絶縁層15に対して逆スパッタリングする方法も可能である。この場合は、トンネル絶縁層15の上面が荒い界面となる。
また、図4のMRAMを直上より見た模式的平面図を、図5に示す。
本実施の形態では、固定層2のパターンと、記憶層(自由層)3のパターンとが同一になっているため、図5に示すように、磁気記憶素子41の平面形状が図9の磁気記憶素子101と同様になっている。
その他の構成は、先の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複説明を省略する。
上述の本実施の形態によれば、固定層2と記憶層3の間にあるトンネル絶縁層15の界面を凹凸を有する荒い界面としていることにより、Neel結合が誘起する強磁性結合磁界によって、固定層2からの漏洩磁界の記憶層3に対する影響を、実効的に相殺することができる。
このように、固定層2からの漏洩磁界の記憶層3に対する影響を実効的に相殺することができるため、記憶層3を構成する第1の記憶層16及び第2の記憶層18の磁化M1,M2の各安定状態の磁気的ポテンシャルエネルギーを等しく揃えることができる。
これにより、素子サイズが微細化しても、Toggle動作の領域を安定に確保することが可能になる。
従って、素子サイズの微細化を図った場合でも、高い歩留まりを得ることが可能になり、また書き込みエラーの低減を図って高い信頼性でビット情報の書き込み(記録)や読み出しを行うことができる。
また、スピンフロッピング磁界を大きくしなくても、安定に記録を行うことが可能になるため、従来よりも低い電流値でメモリ素子へ情報を記録することが可能になり、情報の記録に必要となる消費電力を低減することが可能になる。
次に、本発明のさらに他の実施の形態として、スイッチング特性を利用したMRAMの概略構成図(模式的断面図)を図6に示す。
本実施の形態では、MRAMのメモリセルを構成する磁気記憶素子51が、記憶層3の上方にも固定層4が設けられ、下層の固定層2と上層の固定層4により記憶層3を上下に挟んだ構成となっている。
上層の固定層4は、第3の磁化固定層20、非磁性層21、第4の磁化固定層22、並びに反強磁性層23が積層されて成る。第3の磁化固定層20の磁化M13と第4の磁化固定層22の磁化M14は互いに逆の向きになっている。また、固定層4の第3の磁化固定層20の磁化M13は、固定層2の第1の磁化固定層12の磁化M11の向きと同じになっている。
このように磁気記憶素子51を構成したことにより、上層の固定層4からの磁極磁界の漏洩によって、下層の固定層2からの磁極磁界の漏洩を、実効的に相殺することができる。
これにより、記憶層3を構成する第1の記憶層16及び第2の記憶層18において、磁化の各安定状態の磁気的ポテンシャルエネルギーを等しく揃えることができる。
本実施の形態では、固定層2のパターンと、記憶層(自由層)3のパターンとが同一になっているため、磁気記憶素子51の平面形状は、図9の磁気記憶素子101と同様になっている。
その他の構成は、先の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複説明を省略する。
上述の本実施の形態によれば、記憶層3を上下に挟んで、下層の固定層2と上層の固定層4とが設けられて磁気記憶素子51が構成されていることにより、下層の固定層2からの磁極磁界の漏洩と、上層の固定層4からの磁極磁界の漏洩とを、実効的に相殺することができる。
このように、下層の固定層2からの磁極磁界の漏洩と、上層の固定層4からの磁極磁界の漏洩とを、実効的に相殺することができるため、記憶層3を構成する第1の記憶層16及び第2の記憶層18の磁化M1,M2の各安定状態の磁気的ポテンシャルエネルギーを等しく揃えることができる。
これにより、素子サイズが微細化しても、Toggle動作の領域を安定に確保することが可能になる。
従って、素子サイズの微細化を図った場合でも、高い歩留まりを得ることが可能になり、また書き込みエラーの低減を図って高い信頼性でビット情報の書き込み(記録)や読み出しを行うことができる。
また、スピンフロッピング磁界を大きくしなくても、安定に記録を行うことが可能になるため、従来よりも低い電流値でメモリ素子へ情報を記録することが可能になり、情報の記録に必要となる消費電力を低減することが可能になる。
さらに、本実施の形態では、上層の固定層4を追加するだけで済むため、下層の固定層2及び自由層3の寸法・材料・製造工程等の最適条件が既に定まっている場合に、条件を変更しなくて済むことから、下層の固定層2及び自由層3に影響を与えない、という利点がある。
次に、本発明のさらに別の実施の形態として、スイッチング特性を利用したMRAMの概略構成図(磁気記憶素子の模式的断面図)を図7に示す。
なお、図7では、磁気記憶素子52以外の部分(電極や配線、選択用MOSトランジスタ)の図示を省略しているが、これらの部分は、先に示した各実施の形態と同様に構成することができる。
本実施の形態では、図6に示した先の実施の形態の磁気記憶素子51をさらに変形して、図7に示すように磁気記憶素子52を構成している。
具体的には、第2の記憶層18上に非磁性層26及び第3の記憶層27が追加されており、記憶層(自由層)3を3層の磁性層16,18,27により構成している。また、記憶層(自由層)3と上層の固定層4との間がトンネル絶縁層25になっている。
記憶層(自由層)3において、第2の記憶層18の磁化M2の向きと、第1の記憶層16の磁化M1及び第3の記憶層27の磁化M3の向きとが、互いに反平行になっている。
さらに、記憶層(自由層)3において、飽和磁化M1で膜厚t1の第1の記憶層16、飽和磁化M2で膜厚t2の第2の記憶層18、飽和磁化M3で膜厚t3の第3の記憶層27の3層の磁性層が、下記の式(1)の関係を満たすように構成されることが望ましい。
|M2・t2−M1・t1−M3・t3|/|M1・t1+M2・t2+M3・t3|≦0.1 (1)
また、下層の固定層2において、飽和磁化M11で膜厚t11の第1の固定層12と、飽和磁化M12で膜厚t12の第2の固定層14とにおいて、下記の式(2)の関係を満たすように構成されることが望ましい。
|M11・t11−M12・t12|/|M11・t11+M12・t12|>0.1
(2)
また、上層の固定層4において、飽和磁化M13で膜厚t13の第3の固定層20と、飽和磁化M14で膜厚t14の第4の固定層22とにおいて、下記の式(3)の関係を満たすように構成されることが望ましい。
|M13・t13−M14・t14|/|M13・t13+M14・t14|>0.1
(3)
また、記憶層(自由層)3と上層の固定層4との間のトンネル絶縁層25の膜厚は、下層の固定層2と記憶層(自由層)3との間のトンネル絶縁層15の膜厚と同じであることが望ましい。
なお、トンネル絶縁層25の代わりに、記憶層(自由層)3と上層の固定層4との間に、非磁性導電層を設けてもよい。
上述の本実施の形態によれば、記憶層3を上下に挟んで、下層の固定層2と上層の固定層4とが設けられて磁気記憶素子52が構成されていることにより、先の実施の形態の磁気記憶素子51と同様に、下層の固定層2からの磁極磁界の漏洩と、上層の固定層4からの磁極磁界の漏洩とを、実効的に相殺することができる。
これにより、素子サイズが微細化しても、Toggle動作の領域を安定に確保することが可能になる。
従って、素子サイズの微細化を図った場合でも、高い歩留まりを得ることが可能になり、また書き込みエラーの低減を図って高い信頼性でビット情報の書き込み(記録)や読み出しを行うことができる。
また、スピンフロッピング磁界を大きくしなくても、安定に記録を行うことが可能になるため、従来よりも低い電流値でメモリ素子へ情報を記録することが可能になり、情報の記録に必要となる消費電力を低減することが可能になる。
さらに、本実施の形態では、記憶層(自由層)3を、3層の磁性層(第1の記憶層16、第2の記憶層18、第3の記憶層27)により構成したので、下層の固定層2と記憶層(自由層)3と上層の固定層4の各磁性層12,14,16,18,27,20,22の磁化M11,M12,M1,M2,M3,M13,M14の向きの並びを上下層で対称にすることができる。
これにより、記憶層(自由層)3の各磁性層16,18,27に、バランス良く対称にバイアス磁界を印加することができる。
また、記憶層(自由層)を5層以上の奇数層の磁性層により構成した場合も、本実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、上述した各実施の形態の構成に対して、磁気記憶素子の下の引き出し電極を反強磁性体により構成して、反強磁性層と兼用してもよい。
上述の各実施の形態では、いずれも、記憶層3と下層の固定層2との間にトンネル絶縁層を設けてTMR素子から成る磁気記憶素子を構成していたが、トンネル絶縁層の代わりに非磁性導電層を設けてGMR素子から成る磁気記憶素子を構成してもよい。
GMR素子から成る磁気記憶素子を構成した場合に適用しても、同様に本発明の効果を得ることができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態のスイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図である。 図1のMRAMを直上より見た模式的平面図である。 磁化回転モードの分布を比較する図である。 A 固定層と記憶層を同じパターンに形成した従来の構成の場合である。 B 図1の構成の場合である。 本発明の他の実施の形態のスイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図である。 図4のMRAMを直上より見た模式的平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態のスイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態のスイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図である。 スイッチング特性を利用したMRAMの模式的断面図である。 図8のMRAMを直上より見た模式的平面図である。 図8の磁気記憶素子の磁化容易軸方向に外部磁界が印加されたときの磁化曲線の一例である。 Toggle動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を示す図である。 No swiching動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を示す図である。 Direct動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を示す図である。 Direct動作における、電流パルス、各記憶層の磁化の向きの時間変化、TMR素子の電気抵抗の時間変化の一例を示す図である。 図8の磁気記憶素子の磁化回転モードの分布を示す図である。
符号の説明
1,41,51 磁気記憶素子、2,4 固定層、3 記憶層(自由層)、5 ワード線、6 ビット線、11 反強磁性層、12 第1の磁化固定層、13,17 非磁性層、14 第2の磁化固定層、15 トンネル絶縁層、16 第1の記憶層、18 第2の記憶層、30 シリコン基板、31 選択用MOSトランジスタ

Claims (14)

  1. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、
    前記記憶層の端縁と前記磁化固定層の端縁とが離れるように、前記記憶層と前記磁化固定層が異なる平面パターンに形成されている
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  2. 前記非磁性層が、トンネル絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  3. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、
    少なくとも前記非磁性層と前記記憶層との界面、又は前記非磁性層と前記磁化固定層との界面に、凹凸を有する
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  4. 前記非磁性層が、トンネル絶縁層であることを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶素子。
  5. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されている
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  6. 前記非磁性層のうち、少なくとも一方がトンネル絶縁層であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶素子。
  7. 前記記憶層が、奇数層の前記磁性層から成ることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶素子。
  8. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、
    前記記憶層の端縁と前記磁化固定層の端縁とが離れるように、前記記憶層と前記磁化固定層が異なる平面パターンに形成されている磁気記憶素子と、
    互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、
    前記第1の配線と前記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ前記磁気記憶素子が配置されて成る
    ことを特徴とする磁気メモリ。
  9. 前記非磁性層が、トンネル絶縁層であることを特徴とする請求項8に記載の磁気メモリ。
  10. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層に対して、非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置され、
    前記非磁性層と前記記憶層との界面、又は前記非磁性層と前記磁化固定層との界面に、凹凸を有する磁気記憶素子と、
    互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、
    前記第1の配線と前記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ前記磁気記憶素子が配置されて成る
    ことを特徴とする磁気メモリ。
  11. 前記非磁性層が、トンネル絶縁層であることを特徴とする請求項10に記載の磁気メモリ。
  12. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層が、複数層の磁性層から成り、
    前記記憶層を挟んで、上下にそれぞれ非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層が配置されている磁気記憶素子と、
    互いに交差する第1の配線と第2の配線とを備え、
    前記第1の配線と前記第2の配線とが交差する交点付近に、それぞれ前記磁気記憶素子が配置されて成る
    ことを特徴とする磁気メモリ。
  13. 前記非磁性層のうち、少なくとも一方がトンネル絶縁層であることを特徴とする請求項12に記載の磁気メモリ。
  14. 前記記憶層が、奇数層の前記磁性層から成ることを特徴とする請求項12に記載の磁気メモリ。
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