JP7100220B1 - 二層構造紡績糸及び織編物 - Google Patents
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Abstract
Description
(イ) 糸条長手方向に対して垂直方向の断面において芯部と鞘部とを有する二層構造紡績糸であって、
芯部及び鞘部がともに短繊維で形成されており、芯部にポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)からなる二成分複合短繊維を含み、二層構造紡績糸中に前記二成分複合短繊維を20~70質量%含み、且つ
以下の(1)~(3)の特性値を全て満足する、二層構造紡績糸。
(1)単糸引張強さが1.0cN/dtex以上
(2)撚り係数Kが120~180
(3)熱水寸法変化率が4.0%以上
(ロ) 鞘部にセルロース系短繊維を含み、且つ二層構造紡績糸中にセルロース系短繊維を30~70質量%含む、(イ)記載の二層構造紡績糸。
(ハ) 鞘部に獣毛繊維を含み、且つ二層構造紡績糸中に獣毛繊維を30~70質量%含む、(イ)記載の二層構造紡績糸。
(ニ) 芯部を形成する単繊維の総質量:鞘部を形成する単繊維の総質量が30~70):(70~30である、(イ)~(ハ)のいずれかに記載の二層構造紡績糸。
(ホ) 前記二成分複合短繊維が、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)がサイドバイサイド型に貼り合わされた複合短繊維である、(イ)~(ニ)のいずれかに記載の二層構造紡績糸。
(へ) 前記二成分複合短繊維の長手方向に対して垂直方向の断面形状が、外周に溝部を有する卵型形状であり、前記二成分複合短繊維が以下の(a)~(e)の特性値を全て満足する、(ホ)に記載の二層構造紡績糸。
(a)アスペクト比A:B(Aは断面長軸長であり、Bは断面短軸長である)が1.8:1~1.2:1
(b)単繊維繊が0.8~3.0dtex
(c)繊維長が30~60mm
(d)引張強さが2.0~4.0cN/dtex
(e)前記溝部の数が2以上
(ト) (イ)~(へ)のいずれかに記載の二層構造紡績糸を含む織物。
(チ) イ)~(へ)のいずれかに記載の二層構造紡績糸を含む編物。
このため、本発明の織編物は、衣料用途として、アウター用、インナー用ともに好適な素材となる。
本発明の二層構造紡績糸は、糸条長手方向に対して垂直方向の断面において芯部と鞘部とを有する二層構造紡績糸であって、芯部及び鞘部がともに短繊維で形成されており、芯部にポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)からなる二成分複合短繊維を含み、二層構造紡績糸中に前記二成分複合短繊維を20~70質量%含み、且つ単糸引張強さ、撚り係数K、及び熱水寸法変化率が特定範囲を満たすことを特徴とする。以下、本発明の二層構造紡績について詳述する。
本発明の二層構造紡績糸の芯部には、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)からなる二成分複合短繊維が含まれる。本発明において、「二成分複合短繊維」とは、1本の単繊維の中に2種のそれぞれのポリマーが貼り合わされて存在している短繊維である。
本発明の二層構造紡績糸の鞘部は短繊維で形成されていればよいが、鞘部を形成する短繊維としてはセルロース系短繊維及び/又は獣毛繊維が好ましい。
本発明の二層構造紡績糸は、糸条長手方向に対して垂直な断面において、前記芯部が前記鞘部で覆われた二層構造を有する。
本発明の二層構造紡績糸は、以下の(1)~(3)の特性値を全て満足するものである。
(1)単糸引張強さが1.0cN/dtex以上
(2)撚り係数Kが120~180
(3)熱水寸法変化率が4.0%以上
本発明の二層構造紡績糸の番手としては、英式綿番手で10~80であることが好ましく、20~60であることがより好ましく、30~60であることが更に好ましい。ここで、二層構造紡績糸の英式綿番手は、JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」の「9.4.2 見掛テックス及び番手」に記載の方法に準拠して測定される値である。
本発明の二層構造紡績糸は、単糸のまま使用できるが、本発明の二層構造紡績糸2本を撚り合わせた双糸、或は本発明の二層構造紡績糸と他の紡績糸又は合成繊維のフィラメントを撚り合わせた双糸として使用してもよい。
本発明の二層構造紡績糸の製造方法については、前述する構成を備える二層構造紡績糸が得られることを限度として、特に制限されないが、以下、本発明の二層構造紡績糸の製造方法の好適な一例について説明する。
本発明の織編物(織物又は編物)は、前記二層構造紡績糸(本発明の二層構造紡績糸)を構成糸として含むことを特徴とする。本発明の織編物は、前記二層構造紡績糸を使用して製織編することにより、優れた抗ピリング性及びストレッチ性を備えることができる。以下、本発明の織編物について詳述する。
本発明の織物では、経糸及び緯糸の少なくとも一方に前記二層構造紡績糸が使用されていればよい。本発明の織物における前記二層構造紡績糸の使用量については、特に制限されないが、30質量%以上が好ましく、35~100質量%がより好ましく、50~100質量%が更に好ましい。織物における前記二層構造紡績糸の使用量が前記範囲を充足することにより、優れた抗ピリング性及びストレッチ性を好適に具現化でき、着用時に伸び感を感じられて快適な着用感を有すると共に、繰り返しの着用でストレッチバック性も良好で、例えばズボンの膝抜け等の不良の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の編物では、構成糸の少なくとも1つとして前記二層構造紡績糸が使用されていればよい。本発明の編物における前記二層構造紡績糸の使用量については、特に制限されないが、30質量%以上が好ましく、50~100質量%がより好ましく、80~100質量%が更に好ましい。
実施例における各特性値の測定・試験方法は以下のとおりである。
JIS L 1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」の「8.4.1 平均繊維長」の「a)ステープルダイヤグラム法(A法)」に記載の方法に準拠して、二成分複合短繊維の繊維長を測定した。また、JIS L 1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」の「8.5.1 正量繊度」の「a)A法」に記載の方法に準拠して、二成分複合短繊維の単繊維繊度を測定した。
綿の繊維長は、JIS L 1019:2006「綿繊維試験方法」の「7.2 繊維長」の「7.2.1 ソータによる方法」の「A法(ダブルソータ法)」に記載の方法に準拠して測定した。綿の単繊維繊度は、JIS L 1019:2006「綿繊維試験方法」の「7.4 繊度」の「7.4.1 マイクロネヤによる方法」に記載の方法に準拠して測定した。
羊毛繊維のカット長さ(繊維長)は、JIS L 1081:2014「羊毛繊維試験方法」の「7.2 平均繊維長」の「7.2.1 A法(エレクトロニックマシンによる方法)」に記載の方法に準拠して測定した。
JIS L 1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」の「8.7 引張強さ及び伸び率」の「8.7.1 標準時試験」に記載の方法に準拠して、つかみ間隔20mm、引張速度20mm/分で、二成分複合短繊維の引張強さを測定した。
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」の「9.5 単糸引張強さ及び伸び率」の「9.5.1 JIS法」の「a)標準時」に記載の方法に準拠して、つかみ間隔50cm、引張速度30cmで、紡績糸の単糸引張強さを測定した。
撚り係数Kは以下の式(i)に従って算出した
K = T/√Ne ・・・式(i)
T=撚り回数/m
Ne=英式綿番手
ここで、撚り回数Tは、JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」の「9.15 より数」の「9.15.1 JIS法」の「a)A法」に記載の方法に準拠して測定した。
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」の「9.4.2 見掛テックス及び番手」に記載の方法に準拠して、紡績糸の英式綿番手を測定した。
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」の「9.24 熱水寸法変化率」の「A法」に記載の方法に準拠して、紡績糸の熱水寸法変化率を測定した。
JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.16.1 伸び率」の「b)B法(織物の定荷重法)」に記載の方法に準拠して、200mm間隔の印をつけて14.7Nの荷重を加えることにより、織物の緯方向の伸び率、及び編物のヨコ方向の伸び率を測定した。荷重を加えて1分間保持後の伸び率の測定値を「伸び率1」とし、荷重を加えて1時間保持後の伸び率の測定値を「伸び率2」とした。
JIS L 1076:2012「織物及び編物のピリング試験方法」の「8.1 JIS法」の「8.1.1 A法(ICI形試験機を用いる方法)」に記載の方法に準拠して、織物及び編物の抗ピリング性(級)を評価した。操作時間は、織物は10時間、編物は5時間とした。
実施例及び比較例の紡績糸の製造において、以下の短繊維を使用した。
F1:ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の質量比率が50/50であり、糸条長手方向に対して垂直な断面が図1に示すような卵型形状(溝部を2個有する雪だるま形状)にサイドバイサイド型に張り合わされ、単繊維繊度2.0dtex、繊維長38mm、引張強さ3.4cN/dtex、アスペクト比(A:B)が1.5:1の短繊維
F2:F1と同様の短繊維であって、繊維長が51mmのもの
M1:繊度4.9μm/インチ、繊維長33mmのもの(豪州綿)
R1:ユニチカトレーディング社製「リヨセルKF」(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)
U1:次亜塩素ナトリウム、ジクロロイソシアヌール酸ナトリウムで防縮処理を施した羊毛繊維(メリノウール、38mmにカットして使用)
P1:ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維であって、繊維長38mm、単繊維繊度1.45dtex、引張強さ5.9cN/dtexのもの
V1:クラレ社製水溶性ビニロン「K-II タイプWN4」であって、繊維長38mm、単繊維繊度1.7dtex、引張強さ7.0cN/dtexのもの
〔実施例1〕
芯部用スライバー;二成分複合短繊維F1を81.6質量%と綿M1を18.4質量%混用して、混打綿機、カード機に投入し、カードスライバーを得、さらに、カードスライバーを練条工程に付してスライバーS1を得た。
鞘部用スライバー;綿M1を100質量%使用し、混打綿工程、カード工程、練条工程を経て、スライバーS2を得た。
図2(概略断面図)及び図3(概略断面図)に示す構造の粗紡機を用いて、芯部用のスライバーS1と鞘部用のスライバーS2を供給し、延伸後の各スライバーの質量比をS1:S2=49:51となるようにし、図2におけるドラフト方向に対する芯部用のスライバーS1のフライヤーヘッドへの進行角度θを60°として、粗糸質量275gr/30yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)、撚り数を0.961回/2.54cmとした粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、35.5倍の延伸を行った後、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、リング状のガイドにはまっているトラベラーに糸を通してボビンに巻き取り、摩擦などによりトラベラーがボビンより遅く回転することによって撚りを付与した。斯くして、30番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
実施例1と同様の粗糸を用い、精紡機での延伸倍率を47.3倍に変更した以外は実施例1と同様の条件で紡績を行い、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
芯部用スライバーにおいて、綿M1に代えてリヨセル繊維R1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、芯部用のスライバーS1を得た。
鞘部用スライバーとして、リヨセル繊維R1を100質量%使用し、混打綿工程、カード工程、練条工程を経て、スライバーS2を得た。
これらのスライバーS1とS2を用いた以外は、実施例2と同様の条件で紡績を行い、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
芯部用スライバーにおいて、綿M1に代えて獣毛繊維U1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、芯部用のスライバーS1を得た。
鞘部用のスライバーとして、獣毛繊維U1を100質量%使用し、混打綿工程、カード工程、練条工程を経て、スライバーS2を得た。
これらのスライバーS1とS2を用いた以外は、実施例1と同様の条件で紡績を行い、30番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
実施例4と同様の粗糸を用い、精紡機での延伸倍率を47.3倍に変更した以外は実施例1と同様の条件で紡績を行い、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
実施例1と同様の粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て47.3倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=130の二層構造紡績糸を得た。
実施例1と同様の粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て47.3倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=140の二層構造紡績糸を得た。
芯部用スライバー;二成分複合短繊維F1を80質量%とビニロン繊維V1を20質量%混用した以外は、実施例1と同様にしてスライバーS1を得た。
鞘部用スライバー;リヨセル繊維R1を100質量%使用し、混打綿工程、カード工程、練条工程を経て、スライバーS2を得た。
図2(概略断面図)および図3(概略断面図)に示す構造の粗紡機を用いて、芯部用のスライバーS1と鞘部用のスライバーS2を供給し、延伸後の各スライバーの質量比をS1:S2=40:60となるようにした以外は、実施例1と同様にして粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て59.1倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、50番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
芯部用スライバー;二成分複合短繊維F1を100質量%使用とした以外は、実施例1と同様にしてスライバーS1を得た。
鞘部用スライバー;リヨセル繊維R1を100質量%使用し、混打綿工程、カード工程、練条工程を経て、スライバーS2を得た。
図2(概略断面図)および図3(概略断面図)に示す構造の粗紡機を用いて、芯部用のスライバーS1と鞘部用のスライバーS2を供給し、延伸後の各スライバーの質量比をS1:S2=40:60となるようにした以外は、実施例1と同様にして粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て71.0倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する全体速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、60番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
芯部用スライバー;ポリエステル繊維P1を100質量%使用し、混打綿機、カード機に投入し、カードスライバーを得、更にカードスライバーを練条工程に付してスライバーS1を得た。
芯部用スライバーを上記のものに変更した以外は、実施例1と同様の条件で紡績を行い、30番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
比較例1と同様の粗糸を用い、精紡機での延伸倍率を47.3倍に変更した以外は実施例1と同様の条件で紡績を行い、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の二層構造紡績糸を得た。
二成分複合短繊維F1と綿M1を、質量比を40/60として混紡し、粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、35.5倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、30番手(英式綿番手)、撚り係数K=150の混紡紡績糸を得た。
実施例1と同様の粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、47.3倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=100の二層構造紡績糸を得た。
実施例1と同様の粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、47.3倍の延伸を行った後に、スピンドルの回転を利用した加撚及び巻き取り操作を行った。加撚及び巻き取り操作では、スピンドルへ供給する速度とスピンドル回転数を調整することにより撚りを加えた。斯くして、40番手(英式綿番手)、撚り係数K=190の二層構造紡績糸を得た。
〔実施例11〕
緯糸:実施例1の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に16回/2.54cmの撚りをかけて得られた紡績糸(30/2番手の双糸)。
経糸:比較例2の二層構造紡績糸。
緯糸、経糸に上記の紡績糸を用いてエアジェット織機により、経密度92本/2.54cm、緯密度50本/2.54cm、カバーファクター29.6の平織(オックスフォード)の生機を得た。さらに公知の手法で毛焼き、糊抜き、精練を施した後、緯糸方向にテンションを懸けずにシルケットを行なった。その後、下記条件で染色加工と仕上げ加工を施し、経密度112本/2.54cm、緯密度52本/2.54cm、カバーファクター31.1のオックスフォード織物を得た。
(染色加工)
蛍光増白染料としてユビテックスEBF(日本チバガイギー株式会社製)5g/l、及び、イルミナールURL(昭和化工株式会社製)5g/lを用い、織物を含浸し、薬剤としての付着率がそれぞれ0.35%となるようにマングルで絞り、170℃×1分の条件下でテンターにて乾燥処理を施した。
(仕上げ加工)
柔軟仕上げ剤としてサンソフターGA Conc NEW(日華化学株式会社製)20g/lを用い、薬剤としての付着率が1.4%となるようにマングルで絞り、150℃×1分の条件下でテンターにて乾燥処理を施した。
緯糸に実施例2の二層構造紡績糸、経糸に比較例2の二層構造紡績糸を用いてエアジェット織機により、経密度112本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター28.8の平織の生機を得た。さらに公知の手法で毛焼き、糊抜き、精練を施した後、緯糸方向にテンションを懸けずにシルケットを行なった。その後、下記条件で染色と柔軟剤仕上げ加工を施し、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6の平織物を得た。
<染色加工>
反応染料「Remazol Brilliant Blue R 3%(owf)」に、芒硝20g/L、ソーダ灰30g/Lを添加し、これに糊抜き後の織物を浸漬し、60℃×60分の条件で染色した。
<仕上げ加工>
サンドパンDTC(サンド株式会社製)1g/Lを使用し、90℃×10分の条件でソーピング処理を実施した後に、サンソフターGA Conc NEW(日華化学株式会社製柔軟剤)20g/lを用い、薬剤としての付着率が1.4%となるようにマングルで絞り、150℃×1分の条件下でテンターにて乾燥処理した。
経糸:実施例5の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて得られた紡績糸(40/2番手の双糸)。
緯糸:実施例4の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に16回/2.54cmの撚りをかけて得られた紡績糸(30/2番手の双糸)。
緯糸、経糸に上記の紡績糸を用いてエアジェット織機により、経密度100本/2.54cm、緯密度55本/2.54cm、カバーファクター27.4の3/1右綾組織の生機を得た。さらに公知の手法で毛焼き、酵素糊抜き、精練を施し、下記条件で染色と柔軟剤仕上げ加工を施し、経密度120本/2.54cm、緯密度55本/2.54cm、カバーファクター30.8の3/1右綾組織織物を得た。
<染色加工>
反応染料「Remazol Brilliant Blue R 3%(owf)」に、芒硝20g/L、ソーダ灰30g/Lを添加し、これに糊抜き後の織物を浸漬し、60℃×60分の条件で染色した。
<仕上げ加工>
モノゲン170TN(第一工業製薬株式会社製)1g/Lを使用し、90℃×10分の条件でソーピング処理を実施した後に、サンソフターGA Conc NEW(日華化学株式会社製柔軟剤)20g/lを用い、薬剤としての付着率が1.4%となるようにマングルで絞り150℃×1分の条件下でテンターにて乾燥処理した。
緯糸に実施例6の二層構造紡績糸を用いた以外は、実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6の平織物を得た。
緯糸に実施例7の二層構造紡績糸を用いた以外は、実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6の平織物を得た。
緯糸に比較例1の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に16回/2.54cmの撚りをかけて得られた紡績糸(30/2番手の双糸)を用いた以外は、実施例11と同様に製織、染色及び仕上げ処理を行い、経密度112本/2.54cm、緯密度52本/2.54cm、カバーファクター31.1のオックスフォード織物を得た。
経糸、緯糸ともに比較例2の二層構造紡績糸を用いた以外は実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6の平織物を得た。
緯糸に比較例3の混紡紡績糸を用いた以外は実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6の平織物を得た。
緯糸に特開2008-248402号公報の実施例1に記載された36番手(英式綿番手)の長短複合紡績糸を用いた以外は、実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター32.2の平織物を得た。
緯糸に比較例4の二層構造紡績糸を用いた以外は実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6平織物を得た。
緯糸に比較例5の二層構造紡績糸を用いた以外は実施例12と同様に製織、染色及び仕上げ加工を行い、経密度130本/2.54cm、緯密度70本/2.54cm、カバーファクター31.6平織物を得た。
比較例15で得られた織物は、緯糸に比較例4の紡績糸を用いたことにより、糸自体の抱合力不足により、糸の毛羽が増加し、抗ピリング性に劣るものであった。
比較例16で得られた織物は、緯糸に比較例5の紡績糸を用いたため、撚りによって捲縮が阻害され、緯方向の伸び率1及び2の双方とも10%未満であり、ストレッチ性の低下がみられ、生地風合いも硬いものとなった。
〔実施例21〕
実施例2の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて紡績糸(40/2番手の双糸)を得た。
上記双糸を使用し、30in、22ゲージの編み機を用いて天竺組織の編物を得た。この編物を公知の条件で精練、漂白処理を行い、下記条件で染色加工及び仕上げ加工を施し、目付160g/m2、コース37本/2.54cm、ウェール31本/2.54cmの天竺編物を得た。
<染色加工>
反応染料「Remazol Brilliant Blue R 3%(owf)」に、芒硝20g/L、ソーダ灰30g/Lを添加し、これに糊抜き後の編物を浸漬し、60℃×60分の条件で染色した。
<仕上げ加工>
染色加工後に、リポトールRK-5(日華化学株式会社製)1g/Lを使用し、90℃×10分の条件でソーピング処理を実施した後に、チェールカットCF-2(センカ株式会社製)20g/L、NK-1 30g/Lに薬剤としての付着率が3%となるようにマングルで絞り150℃×2分の条件でテンターにて乾燥処理を行った。
実施例3の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて紡績糸(40/2番手の双糸)を得た。
上記双糸を使用した以外は、実施例21と同様にして、製編、染色及び仕上げ処理を施し、目付160g/m2、コース37本/2.54cm、ウェール31本/2.54cmの天竺編物を得た。
実施例21と同様の双糸を使用し、26in、24ゲージの編み機を用いて鹿の子組織の編物を得た。この編物を公知の条件で精練、漂白処理を行い、下記条件で染色加工及び仕上げ加工を施し、目付190g/m2、コース44本/2.54cm、ウェール26本/2.54cmの鹿の子編物を得た。
<染色加工>
反応染料「Remazol Brilliant Blue R 3%(owf)」に、芒硝20g/L、ソーダ灰30g/Lを添加し、これに糊抜き後の織物を浸漬し、60℃×60分の条件で染色した。
<仕上げ加工>
染色加工後に、リポトールRK-5(日華化学株式会社製)1g/Lを使用し、90℃×10分の条件でソーピング処理を実施した後に、チェールカットCF-2(センカ株式会社製)20g/L、NK-1 30g/Lに薬剤としての付着率がそれぞれ2%、3%となるようにマングルで絞り150℃×2分の条件でテンターにて乾燥処理を行った。
実施例8の二層構造紡績糸を用い、福原精機製丸編機19”19Gを用いて製編し、フライス組織の編物を得た。
得られた編物に実施例21と同様にして、染色加工及び仕上げ加工を行い、目付124g/m2、コース52本/2.54cm、ウェール40本/2.54cmのフライス編物を得た。
実施例9の二層構造紡績糸を用い、福原精機製丸編機17”24Gを用いた以外は実施例24と同様にして製編、染色加工、及び仕上げ加工を行い、目付122g/m2、コース65本/2.54cm、ウェール42本/2.54cmのフライス編物を得た。
比較例2の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて紡績糸(40/2番手の双糸)を得た。
上記双糸を用いた以外は実施例21と同様にして製編、染色加工及び仕上げ加工を施し、目付160g/m2、コース37本/2.54cm、ウェール31本/2.54cmの天竺編物を得た。
比較例2の二層構造紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて紡績糸(40/2番手の双糸)を得た。
上記双糸を用いた以外は実施例23と同様にして、製編、染色加工及び仕上げ加工を施し、目付190g/m2、コース44本/2.54cm、ウェール26本/2.54cmの鹿の子編物を得た。
比較例3の混紡紡績糸を2本合糸し、S方向に19回/2.54cmの撚りをかけて紡績糸(40/2番手の双糸)を得た。
上記双糸を用いた以外は実施例21と同様にして製編、染色及び仕上げ加工を施し、目付160g/m2、コース37本/2.54cm、ウェール31本/2.54cmの天竺編物を得た。
一方、比較例21及び22で得られた編物は、芯部に丸断面の一般的なポリエステル繊維を有する二層構造紡績糸であって、熱水寸法変化率が小さいものを用いたため、ルーズな編物となった。その結果、芯部のポリエステル繊維が摩擦や揉みなどによって紡績糸や編物表面に露出しやすくなり、さらにポリエステル繊維の繊維強度が高いために、脱落せずに核となったため、抗ピリング性に劣る結果となった。
比較例23で得られた編物は、二成分複合短繊維と綿とを単にブレンドした混紡紡績糸を用いたため、編物表面に二成分複合短繊維が存在するものとなり、このため、編物表面の二成分複合短繊維が核となり、脱落したコットンが絡みやすくなったために抗ピリング性に劣っていた。
B ミドルローラ
C エプロン
D フロントローラ
E フライヤーヘッド
F フライヤー
G 紡績糸
H 粗糸
S1 芯部用スライバー
S2 鞘部用スライバー
Claims (7)
- 糸条長手方向に対して垂直方向の断面において芯部と鞘部とを有する二層構造紡績糸であって、
芯部及び鞘部がともに短繊維で形成されており、芯部にポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)からなる二成分複合短繊維を含み、二層構造紡績糸中に前記二成分複合短繊維を20~70質量%含み、
前記二成分複合短繊維が、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)がサイドバイサイド型に貼り合わされた複合短繊維であり、
前記二成分複合短繊維の長手方向に対して垂直方向の断面形状が溝部を2個有する雪だるま型であり、前記断面形状における断面長軸長Aと断面短軸長Bのアスペクト比(A:B)が1.8:1~1.2:1であり、且つ
以下の(1)~(3)の特性値を全て満足する、二層構造紡績糸。
(1)単糸引張強さが1.0cN/dtex以上
(2)撚り係数Kが120~180
(3)熱水寸法変化率が4.0%以上 - 鞘部にセルロース系短繊維を含み、且つ二層構造紡績糸中にセルロース系短繊維を30~70質量%含む、請求項1記載の二層構造紡績糸。
- 鞘部に獣毛繊維を含み、且つ二層構造紡績糸中に獣毛繊維を30~70質量%含む、請求項1記載の二層構造紡績糸。
- 芯部を形成する短繊維の総質量:鞘部を形成する短繊維の総質量が30~70:70~30である、請求項1~3のいずれかに記載の二層構造紡績糸。
- 前記二成分複合短繊維が以下の(a)~(c)の特性値を全て満足する請求項1~4のいずれかに記載の二層構造紡績糸。
(a)単繊維繊が0.8~3.0dtex
(b)繊維長が30~60mm
(c)引張強さが2.0~4.0cN/dtex - 請求項1~5のいずれかに記載の二層構造紡績糸を含む織物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の二層構造紡績糸を含む編物。
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