JP7390116B2 - 二層構造紡績糸、織編物および衣料 - Google Patents

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本発明は、二層構造紡績糸、織編物および衣料に関する。特に芯層と鞘層とからなり、前記芯層がポリイミド繊維を含み、前記鞘層がセルロース繊維を含む、二層構造紡績糸に関する。
ポリイミド繊維は、特許文献1に記載されているような製法で得られるものであり、難燃性、耐摩耗性といった機能特性に優れている。そのため、例えば、産業資材分野、電気電子分野、または航空・船舶分野等の多くの分野で、有用な繊維として用いられている。
特開2009-228189号公報 特開2013-67920号公報
しかし、特許文献1に記載されたように、ポリイミド繊維は染色性が不十分であるために、一般衣料用途等においては不向きであるという問題がある。そこで、特許文献2に記載されたように、ポリイミド繊維の染色性を向上させることについて様々に検討されている。しかしながら、特許文献2においては、易染色性に関して着目されているが、染色後の物性や繊維自体の風合いには言及されていない。
ここで、例えば各種の加工工程(例えば、酸化糊抜き)、染色加工等に付する場合、苛性ソーダ等を使用したアルカリ環境下に付された場合、ポリイミド繊維が加水分解を起こし、カルボキシル基が生成されるために、硬化して風合いが低下してしまう。そのために、特許文献2においては染色等の工程後において風合いに劣るという問題がある。
本発明は、ポリイミド繊維を用いることで難燃性、耐摩耗性に優れるうえに、染色容易性に優れ、さらに染色等の工程を経た場合であっても、ソフトな風合いに優れる二層構造紡績糸を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、芯層と鞘層とからなる二層構造紡績糸であって、前記芯層がポリイミド繊維を含み、前記鞘層がセルロース繊維を含む二層構造紡績糸であれば、織編物とした場合に、難燃性、耐摩耗性というポリイミド繊維に由来する機能特性を維持しつつ、セルロース繊維に由来する染色容易性、染色等の工程後においても、風合いに優れたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)~()を要旨とする。
(1)芯層と鞘層とからなる二層構造の紡績糸であり、
前記芯層がポリイミド繊維を含み、かつ、さらにセルロース繊維を含み、
前記鞘層がセルロース繊維を含む、二層構造紡績糸。
(2)前記芯層と前記鞘層との質量比が、芯層:鞘層=80:20~20:80である、(1)記載の二層構造紡績糸。
(3)前記セルロース繊維が難燃性を具備するセルロース繊維である、(1)または(2)の二層構造紡績糸。
(4)(1)~()の何れかの二層構造紡績糸を含む、織編物。
(5)()の織編物を含む、衣料。
本発明の二層構造紡績糸は、紡績糸の芯層に配されたポリイミド繊維に由来する難燃性、耐摩耗性に優れるうえに、紡績糸の鞘層に配されたセルロース繊維に由来する染色容易性、染色後の風合いにも優れているために、各種繊維製品(例えば、衣料、寝具、フィルター、インテリア製品)等に、有用に利用することができる。
粗紡機の一例を示す概略断面図である。 粗紡機の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二層構造紡績糸は、芯層と鞘層とからなる二層構造の紡績糸であり、前記芯層がポリイミド繊維を含むとともに、前記鞘層がセルロース繊維を含むものである。
ポリイミド繊維は、難燃性、耐摩耗性に優れるものである。本発明においては、こうしたポリイミド繊維の機能特性を十分に発現させるとともに、二層構造紡績糸の染色容易性および風合いを向上させるために、ポリイミド繊維は芯層に含まれるものであり、鞘層には含まれないことが好ましい。
本発明の二層構造紡績糸に含まれるポリイミド繊維とは、例えば難燃性の指標である限界酸素指数(LOI値)が、36~38であるものが好ましい。ポリイミド繊維の形態としては、長繊維、または長繊維をカットしたステープルタイプ(短繊維)が挙げられる。
本発明の二層構造紡績糸において、難燃性、耐摩耗性に優れる観点から、ポリイミド繊維は紡績糸全体に対して5質量%以上の割合で含まれることが好ましく、5~80質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
上記のポリイミド繊維の単繊維繊度としては、特に限定されるものではないが、短繊維または長繊維の何れであっても、0.5~10.0dtexの範囲が好ましく、より好ましくは0.8~3.0dtexの範囲が挙げられる。0.5dtex未満であると繊維自体の強力に劣る場合がある。一方、10.0dtexを超えて過度に太くなると、繊維同士の絡みが少なることにより強力が却って低下し易くなり、また後工程の加工性、風合いといった品位面に劣る場合がある。
ポリイミド繊維が長繊維の場合、総繊度としては、30~1000dtexの範囲が好ましく、30~300dtexの範囲がより好ましい。30dtex未満であると、繊維自体の強力に劣る場合がある。一方、1000dtexを超えると加工性に劣る場合がある。
また、ポリイミド繊維の公定水分率は極めて低く、紡績中に帯電しやすくローラーへの巻き上げ等のトラブルが発生する場合がある。こうしたトラブルを抑制するために、ポリイミド繊維には、0.01~1.00質量%程度の割合で、油剤(例えば、公知の界面活性剤)が付着して含まれていてもよい。さらに二層構造紡績糸の品質を高めるために、例えば制電剤や消泡剤が含まれていてもよい。また、帯電防止、帯電除去のための従来公知の処理がなされていてもよい。
芯層における、ポリイミド繊維の含有割合は、6~100質量%であることが好ましく、40~80質量%であることがより好ましい。こうした範囲とすることで、ポリイミド繊維の機能特性を十分に維持することができる。
芯層においては、ポリイミド繊維以外の繊維が併用されて含まれていてもよい。ポリイミド繊維と併用される繊維は、特に限定されなく、例えば、セルロース繊維(例えば、綿、麻等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維等の再生セルロース繊維)、アセテート等の半合成繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維が用いることができる。さらには、これらの繊維自体を改質して難燃性等を付与した繊維でもよい。また、高機能繊維としてのアラミド(メタ型アラミド、パラ型アラミド)やポリエーテルスルフィド(PPS)、ポリベンズオキサゾール(PBO)、無機繊維(金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維)を用いることができる。中でも、難燃性を具備するセルロース繊維、難燃性を具備するアクリル繊維等を使用することで、難燃性または耐熱性に優れ、風合いが良好となるために好ましい。
また、芯層においては、ポリイミド繊維に加えて、セルロース繊維が混合されて配されることが好ましい。これにより、芯層に含まれるセルロース繊維と、鞘層に含まれるセルロース繊維との抱合性を向上させることができ、紡績における生産性が良好で品位のよい二層構造紡績糸とすることができる。
セルロース繊維としては、難燃性に優れ、かつ好ましい風合いの紡績糸とする観点から、難燃性を具備するセルロース繊維(難燃セルロース繊維)が好ましい。難燃性を具備するセルロース繊維としては、例えば、リン化合物を主成分とする難燃剤を繊維内部に含有する再生セルロース繊維(例えば、難燃性を具備するレーヨン繊維)が挙げられる。この難燃性を具備する再生セルロース繊維は、既存のビスコース法等を採用することにより得ることができる。例えば、紡糸液に難燃剤を添加して、公知の湿式紡糸を行えば、容易に難燃性を具備する再生セルロース繊維を得ることができる。
鞘層はセルロース繊維を含むものであり、鞘層におけるセルロース繊維の含有割合は80質量%以上であることが好ましく、中でも鞘層がセルロース繊維のみからなることが好ましい。セルロース繊維が紡績糸の表面に存在することにより、染色容易性、染色等の工程後においても風合いに優れた二層構造紡績糸とすることができる。鞘層に用いられるセルロース繊維としては、例えば、上述のような芯層に用いられるセルロース繊維が挙げられる。
本発明者らは、紡績糸での上記繊維の配置について種々検討した結果、芯層にポリイミド繊維を含み、鞘層にセルロース繊維を含むと、ポリイミド繊維が有する優れた機能特性(耐摩耗性、難燃性)と、セルロース繊維が有する優れた染色容易性、染色後の風合いを、同時に織編物へ反映させやすい紡績糸となることを見出した。これは、紡績糸表面(鞘層)に配された繊維は外部と接触する機会が多く、紡績糸の中心部(芯層)に配された繊維は糸質に深く関わるとの理由によるものである。すなわち、単にポリイミド繊維とセルロース繊維を混紡して紡績糸とした場合は、芯層におけるポリイミド繊維の機能特性、鞘層におけるセルロース繊維の物性を十分に発現させることができず、本発明の効果を達成することができない。
特に芯層と鞘層との複合割合を特定範囲に設定することにより、上記のような機能特性、風合い、染色容易性を飛躍的に向上させうることも併せて見出した。すなわち、本発明の二層構造紡績糸においては、芯層と鞘層との複合割合が、質量比で20:80~80:20の範囲にあることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。ポリイミド繊維を含む芯層がこの範囲を下回って少なくなると、紡績糸および織編物の耐摩耗性、難燃性等の機能特性が低減するために、好ましくない場合がある。一方、鞘層がこの範囲を超えて少なくなると、芯層のポリイミド繊維が表面に現れ易く、織編物とした場合の染色容易性、染色後の風合いに劣るために好ましくない場合がある。
本発明の二層構造紡績糸は難燃性に優れるものであり、例えば、限界酸素指数(LOI値)が26以上であることが好ましい。
本発明の二層構造紡績糸の製造方法について、以下に説明する。
本発明の二層構造紡績糸は、公知の複合紡績法を準用することで作製することができる。例えば、ポリイミド繊維からなるスライバーと、セルロース繊維からなるスライバーとを用意し、前者が芯層に後者が鞘層に配されるように粗紡した後、精紡するか、または、ポリイミド繊維からなる粗糸と、セルロース繊維からなる粗糸とを用意し、前者が芯層に後者が鞘層に配されるように精紡することにより、本発明の二層構造紡績糸を得ることができる。
芯層にポリイミド繊維以外の繊維(その他の繊維)を含ませる場合は、芯層用のスライバーとして、ポリイミド繊維とその他の繊維とからなるスライバーを用いて粗紡した後に精紡するか、または、ポリイミド繊維とその他の繊維とからなる粗糸を用い、精紡することができる。
粗紡工程の一例について、以下に述べる。
粗紡工程においては、二種類のスライバーを延伸部に並列に配置し、延伸後のフリースをフライヤーによる仮撚り効果を与えながら巻き取ることで、芯層を形成するフリースを中心として、鞘層を形成するフリースを巻き付けることができる。ここで、粗紡工程の撚数は、次工程の精紡工程の延伸不良を起こさない程度で設定することが好ましく、例えば、撚係数を0.4~1.5に調整することができる。ここで、芯層となるスライバーと、鞘層となるスライバーとの質量比率は、(芯層):(鞘層)=20:80~80:20となるように調整することが好ましく、特に、繊維の比重、強力、捲縮等の様々な要因を考慮した配分とすることが好ましい。
精紡工程の撚り数は、特に限定されないが、物性(強力・毛羽等)や風合いの観点から、撚り係数Kは、3.0~6.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3.6~4.2の範囲内である。撚係数Kが3.0未満のような甘撚では、糸の素抜けの発生原因になったり、織編物にした際の物性(特にピリング)が悪化したりする場合がある。逆に撚り係数Kを上げると、一定の強力の向上、シャリ感の良化が達成できるが、6.0を超えて高過ぎると、生産性の悪化、風合い硬化、または継ぎ目不良・スナール等の欠点につながりやすい場合がある。
本発明の織編物は、上記したような本発明の二層構造紡績糸を含むものである。本発明の織編物における二層構造紡績糸の含有割合は60質量%以上が好ましく、100質量%であることがより好ましい。
本発明の織編物は、耐摩耗性、難燃性はもちろんのこと、風合い、染色容易性にも優れているため、各種繊維製品(例えば、衣料、寝具、フィルター、インテリア製品)等に、有用に利用することができる。さらに、本発明の織編物の風合いは、セルロース繊維によって奏されるソフトかつハリコシ感ある風合いであるが、剛直性を有するポリイミド繊維の特性が発現されることで、シャリ味ある清涼感にあふれた風合いにすることもでき、夏季衣料として用いる場合に特に好ましい風合いとなる。
本発明の二層構造紡績糸、または本発明の織編物については、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の加工(例えば、カレンダ加工、起毛加工、吸水加工、撥水加工、制電加工、防縮加工、抗菌加工、消臭加工など)が施されていてもよい。
以下に実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
なお、それぞれの物性の測定方法または評価方法は以下の通りである。
<限界酸素指数(LOI値)>
実施例または比較例にて得られた紡績糸を用い、JIS L1091のE法に従って測定した。
<燃焼性>
実施例または比較例にて得られた織物を用い、JIS L1091のA-4法による残炎時間、残じん時間、および燃焼長さに従って評価した。
<紡績糸の摩耗強度>
JIS L1095の9.10.1 A法に従って、初荷重を11gとし、研磨紙P1000を使用して測定した。
<布帛の風合い評価>
実施例または比較例にて得られた織物を用い、以下の基準で評価した。
○;肌触りがソフトで、風合いがよい。
×;肌触りが固く、風合いが悪い。
<布帛の摩耗強度>
実施例または比較例にて得られた織物を用い、JIS L 1096:2010のA法(ユニバーサル型法)のA-1法(平面法)で押圧荷重:4.45Nでの布帛の破壊までの回数を評価した。
(実施例1)
紡出時の環境を、温度25~27℃×湿度58~60%に保ち、ポリイミド繊維(JIANGSU AOSHEN HI-TECH NEW MATERIALS CO.,LTD製、1.67T×38mm、LOI値:38)と難燃性を具備する再生セルロース繊維(オーミケンシ社製の難燃レーヨン繊維 「NEXT-FR」、1.40dtex×38mm、LOI値:29)とを、ポリイミド繊維62.5質量%と難燃レーヨン繊維37.5質量%で混用して、混打綿機、カード機に投入し、カードスライバーを得た。なお、混打綿工程では、ポリイミド繊維に対し、ノニオン性帯電防止剤を繊維全量に対しして0.1質量%の割合で付与した。
芯層用のスライバーとして、上記のカードスライバーを練条工程に付したスライバーS1を得た。また、鞘層用のスライバーとしては、上記の難燃レーヨン繊維を100質量%で紡出したスライバーS2を用意した。
図1(概略断面図)および図2(概略断面図)に示す構造の粗紡機を用いて、芯層用のスライバーS1と鞘層用の巻き付けスライバーS2を供給し、延伸後の各スライバーの質量比をS1:S2=40:60とし、図2におけるドラフト方向に対する芯層用のスライバーS1のフライヤーヘッドへの進行角度θを60°として、粗糸質量240gr/30yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)、撚り数を0.977回/吋とした粗糸を得た。
この粗糸を精紡機のバックローラーに通し、バックローラー・エプロン・フロントローラーの間で30.95倍の延伸を行った後、撚り数20.8回/インチでZ方向に撚りをかけ、30番手(英式綿番手)の実施例1の二層構造紡績糸を得た。この糸を2本合糸し、S方向に16回/インチの撚りをかけて二層構造紡績糸(30/2番手)の双糸を得た。
この二層構造紡績糸を使用し、エアジェット織機により、経密度67本/インチ、緯密度66本/インチである、2/1右綾の生機を得た。さらに公知の手法で酵素糊抜きを実施した後に、下記の糊抜きを行った後に、下記の染色条件で反応染色させて実施例1の織物を作製した。
糊抜き条件
酵素糊抜きとしてのビオテックス5g/L、サンモールFL1g/Lを用い、浴比1:50で、60℃×90分の条件下で実施した。
染色条件
反応染料「Remazol Brill B Blue 3%(owf)」に、芒硝20g/L、苛性ソーダ30g/Lを添加し、これに糊抜き後の織物を浸漬し、60℃×60分の条件で染色した。
次いで、ソーピング(「リポトールRK-5」 1g/Lを使用し、90℃×10分の条件で実施)後にした後に、フィックス(チェールカットCF-2 2%(owf)を使用し、60℃×10分の条件で実施)した。
次いで、「リケンレジンM-3」を0.5質量%、ACX(触媒)を0.05質量%、残部を水として付与し、175℃×90秒で、テンターで処理して仕上げした。
(比較例1)
実施例1と同様のポリイミド繊維を、100質量%の割合で混打綿機、カード機に投入し、カードスライバーを得た(単一混)。なお、紡出時の環境を、温度25~27℃×湿度58~60%に保った。混打綿工程では、ポリイミド繊維に対し、ノニオン性帯電防止剤を繊維全量に対しして0.1質量%の割合で付与した。このカードスライバーを、練条工程で引き揃え(8本)、延伸した後、スライバー質量340gr/6yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)の条件で粗紡機に供給した。粗紡機において、供給されたスライバーを延伸し(7.08倍)、撚り数を0.728回/インチ、粗糸質量を240gr/30yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)とした粗糸を得た。この粗糸を精紡機のバックローラーに通し、バックローラー・エプロン・フロントローラーの間で30.95倍の延伸を行った後、撚り数20.8回/インチでZ方向に撚りをかけ、30番手(英式綿番手)である比較例1の紡績糸を得た。この糸を2本合糸し、S方向に16回/インチの撚りをかけて紡績糸(30/2番手)の双糸を得た。さらに、実施例1と同様の方法で織物を作製した。
(比較例2)
上記のポリイミド繊維に代えて、Kermel社製のメタ系アラミド繊維(1.70T×51mm)を62.5質量%用い、芯層用のスライバーS1を得た以外は実施例1と同様の紡績を行い、比較例2の二層構造紡績糸(30/2番手の双糸)を作製した。さらに、実施例1と同様の方法で織物を作製した。
(比較例3)
上述のメタ系アラミド繊維(Kermel社製)を100質量%の割合で混打綿機、カード機に投入し、カードスライバーを得た(単一混)。なお、紡出時の環境を、温度25~27℃×湿度58~60%に保った。混打綿工程では、ポリイミド繊維に対し、ノニオン性帯電防止剤を繊維全量に対しして0.1質量%の割合で付与した。このカードスライバーを、練条工程で引き揃え、延伸した後、スライバー質量340gr/6yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)の条件で粗紡機に供給した。粗紡機において、供給されたスライバーを延伸し(7.08倍)、撚り数を0.728回/インチ、粗糸質量を240gr/30yd(1gr=0.65g、1yd=0.9144m)とした粗糸を得た。この粗糸を精紡機のバックローラーに通し、バックローラー・エプロン・フロントローラーの間で30.95倍の延伸を行った後、撚り数20.8回/インチでZ方向に撚りをかけ、30番手(英式綿番手)である比較例3の紡績糸を得た。この糸を2本合糸し、S方向に16回/インチの撚りをかけて紡績糸(30/2番手)の双糸を得た。さらに、実施例1と同様の方法で織物を作製した。
実施例および比較例の評価結果を、表1~表3にまとめて示す。
表1から明らかなように、実施例1で得られた二層構造紡績糸は、難燃性、耐摩耗性が良好であった。そして、これを用いた織物も十分な耐摩耗性を有しているうえ、表面のセルロース繊維に由来して、衣料用途(身体の肌面に接触する用途)に用いる場合であっても、ソフトでハリコシ感もあり十分な風合いを有していた。さらに、この織物を目視で観察したところ、均一に染色されており、染色容易性にも優れていた。
一方、比較例1および比較例3で得られた二層構造紡績糸においては、鞘部がセルロース繊維を含んでおらず、セルロース繊維が表面に存在しないために、実施例1と比較すると風合い評価に劣る結果となった。さらに、この織物を目視で観察したところ、染色されたことが確認できず染色容易性にも劣っていた。
比較例2で得られた紡績糸においては、ポリイミド繊維を用いていないために、糸条としての摩耗強度に劣るものであった。また、表2から明らかなように、実施例1と比較例2とを比較すると、比較例2で得られた織物は摩耗強度に顕著に劣るものであり、燃焼性(燃焼長さ)についても顕著に劣るものであった。
A バックローラー
B ミドルローラー
C エプロン
D フロントローラー
E フライヤーヘッド
F フライヤー
S1 芯層用の巻き付けスライバー
S2 鞘層用の巻き付けスライバー

Claims (5)

  1. 芯層と鞘層とからなる二層構造の紡績糸であり、
    前記芯層がポリイミド繊維を含み、かつ、さらにセルロース繊維を含み、
    前記鞘層がセルロース繊維を含む、二層構造紡績糸。
  2. 前記芯層と前記鞘層との質量比が、芯層:鞘層=80:20~20:80である、請求項1記載の二層構造紡績糸。
  3. 前記セルロース繊維が難燃性を具備するセルロース繊維である、請求項1または2に記載の二層構造紡績糸。
  4. 請求項1~の何れか1項に記載の二層構造紡績糸を含む、織編物。
  5. 請求項に記載の織編物を含む、衣料。
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