JP2003055848A - 抗ピル性および伸縮性に優れた長短複合糸 - Google Patents

抗ピル性および伸縮性に優れた長短複合糸

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JP2003055848A
JP2003055848A JP2001243602A JP2001243602A JP2003055848A JP 2003055848 A JP2003055848 A JP 2003055848A JP 2001243602 A JP2001243602 A JP 2001243602A JP 2001243602 A JP2001243602 A JP 2001243602A JP 2003055848 A JP2003055848 A JP 2003055848A
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Masafumi Kito
雅文 木藤
Masaya Ikenori
池乗  雅也
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Abstract

(57)【要約】 優れた抗ピル性、および伸縮性を合わせ持った長短複合
糸を提供することを目的とする。 【課題】ポリエステルの改質や紡績糸、編織物のスペッ
ク変更あるいは樹脂コーティングといった単繊維の滑脱
を防ぐための組織拘束力を高める方法ではなしえなかっ
た良好な風合い感を持ち、強度面等の問題のない抗ピル
性および伸縮性に優れた長短複合糸を提供するものであ
る。 【解決手段】紡績糸の比較的内層側に位置する芯成分と
紡績糸の比較的外層側に位置する鞘成分からなる長短複
合糸であって、鞘成分がホモポリエステル(ポリマー
A)と共重合ポリエステル(ポリマーB)をA:Bが2
0:80〜80:20重量%の範囲でブレンドされてい
るポリマーからなる複合ポリエステル短繊維で構成さ
れ、芯成分がポリトリメチレンテレフタレートを主体と
したポリエステルを少なくとも一方の成分に用いた異種
のポリエステル系重合体を繊維長さ方向に沿ってサイド
バイサイド型に貼り合わせた複合繊維のフィラメント糸
条から構成されることを特徴とする長短複合糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鞘成分が中空複合
ポリエステル短繊維、芯成分がポリトリメチレンテレフ
タレートを主体としたポリエステルを少なくとも一方の
成分に用いた異種のポリエステル系重合体を繊維長さ方
向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維
のフィラメントから構成された抗ピル性および伸縮性に
優れた長短複合糸に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の短繊維紡績糸を用いた衣料が
数多く見られ、特に、ポリエステル短繊維紡績糸を用い
たものは、風合い、強力、防シワ性、速乾性などに優れ
たものであることから広く使用されているのが現状であ
る。ただし、これらのポリエステル短繊維からなる紡績
糸を使用したテキスタイルは該繊維がもつ物性、すなわ
ち強度が高いことが逆に作用し、衣料着用時、布帛表面
に摩擦を受け毛羽が絡み、毛玉に成長し、いわゆるピリ
ングが発生し、衣料の外観を著しく損なう欠点を有して
いる。特にストレッチ性を要求されるようなスポーツ分
野では、前述の布帛表面が受ける摩擦も著しく、布帛に
短繊維を用いた場合、ピリングが発生しやすい傾向にあ
る。
【0003】かかる欠点の解消のため種々の検討がなさ
れている。一般的にはポリエステルの繊維強度、特に結
節、引掛強度、屈曲強度を低くするためポリエチレング
リコールやスルホン酸金属塩を共重合させた改質ポリエ
ステルとか、あるいは極限粘度が0.45以下の低重合
ポリエステルを用いる方法が提案されている。
【0004】しかしながら、ピリングを防止する効果、
すなわち抗ピル効果は得られるものの繊維強度が低下す
るため、紡績工程で操業性不良に伴う生産性の低下、さ
らには最終製品の物性面、たとえば引き裂き、摩耗強度
で問題が生じることがある。
【0005】また、ポリエステルにリン酸、ホスホン酸
およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なく
とも一種のリン化合物を添加し、該素材で構成された編
織物を染色加工時の高温熱処理工程において加水分解を
生じさせ、繊維を脆くさせる方法が特開昭63−135
517号公報で提案されている。しかしながら、この技
術についても、編織物の強度低下をきたし、用途的に制
約を受けるものである。
【0006】さらには、編織物を構成する紡績糸中から
単繊維が抜けだし、毛羽が成長しピル形成を助長するこ
とを防ぐ目的で、紡績糸のヨリ数を高めに設定すると
か、編織物の組織密度を高める方法、さらには布帛の裏
面にウレタンなどの樹脂をコーティングする方法が提案
されているが、いずれも製品風合いが著しく低下する問
題が残されている。
【0007】一方、フィラメントと短繊維の長短複合糸
に関しても数々の研究・開発が行われており、その中で
ストレッチ性を付与したものとして、例えばポリウレタ
ン系の弾性糸を使用した短繊維との複合糸(CSY)、
伸縮性を持ったフィラメントを集束させて短繊維の芯部
に位置させるコアヤーン等があげられる。
【0008】しかしながら、このような複合糸はフィラ
メント成分と短繊維成分、つまり、芯成分と鞘成分との
絡合性、拘束性に欠け、鞘成分と芯成分が分離し、分離
した短繊維成分がピルを形成しやすいという問題点があ
った。
【0009】また、従来の長短複合糸は芯鞘型構造を維
持するために芯成分と鞘成分を拘束させる必要があるこ
とから、紡績糸の撚りを通常対比高めにする必要があ
り、結果的に鞘成分の短繊維あるいは芯成分の短繊維の
収束が強くなり、布帛とした際、ソフトな風合いが損な
われるという問題もあった。
【0010】以上の提案のいずれの場合においても一長
一短があり、強力低下による高次加工通過性不良、製品
物性の低下問題を含みながら抗ピル機能のみを追求した
ものがほとんどであり、これらを改善し、抗ピル機能に
優れた編織物を得ることが業界の永年の課題であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上述したポリエステルの改質や紡績糸、編
織物のスペック変更あるいは樹脂コーティングといった
単繊維の滑脱を防ぐための組織拘束力を高める方法では
なしえなかった良好な風合い感を持ち、強度面等の問題
のない抗ピル性および伸縮性に優れた長短複合糸を提供
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために次の構成を有する。すなわち、 (1)紡績糸の比較的内層側に位置する芯成分と紡績糸
の比較的外層側に位置する鞘成分からなる長短複合糸で
あって、鞘成分がホモポリエステル(ポリマーA)と共
重合ポリエステル(ポリマーB)をA:Bが20:80
〜80:20重量%の範囲でブレンドされているポリマ
ーからなる複合ポリエステル短繊維で構成され、芯成分
がポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエ
ステルを少なくとも一方の成分に用いた異種のポリエス
テル系重合体を繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド
型に貼り合わせた複合繊維のフィラメント糸条から構成
されることを特徴とする長短複合糸。 (2)鞘成分の複合ポリエステル短繊維が中空率10〜
30%である中空の断面形状を有することを特徴とする
前記(1)に記載の長短複合糸。 (3)鞘成分の複合ポリエステル短繊維繊度が1.1〜
4.4デシテックスの範囲にあり、強度が2.9cN/
dtex以上であることを特徴とする前記(1)〜
(2)のいずれかに記載の長短複合糸。 (4)鞘成分の複合ポリエステル短繊維のホモポリエス
テルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴
とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の長短複合
糸。 (5)鞘成分の複合ポリエステル短繊維の共重合ポリエ
ステルの共重合成分が、芳香族スルフォン酸金属塩類を
有するものであり、共重合率が1.5〜8.0モル%の
範囲であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいず
れかに記載の長短複合糸。 (6)芯成分の複合繊維のフィラメント糸条と鞘成分の
複合ポリエステル短繊維束の複合比率が、複合繊維のフ
ィラメント糸条/短繊維束=15/85〜85/15
(重量%)であることを特徴とする前記(1)〜(5)
のいずれかに記載の長短複合糸。 (7)芯成分の複合繊維のフィラメント糸条の20%伸
張時の伸長回復率が80%以上であることを特徴とする
前記(1)〜(6)のいずれかに記載の長短複合糸。 (8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の長短複合
糸を40重量%以上含むことを特徴とする編物。 (9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の長短複合
糸を40重量%以上含むことを特徴とする織物。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0014】ここで編織物のピリング発生を抑制する要
因について以下の事項が揚げられる。第1に、繊維が脆
く、ピルに形成しても脱落する。第2に、布帛表面の毛
羽が極めて少ないか、極めて短いこと。第3に、布帛か
ら毛羽が抜けにくく、ピルが成長して大型化しないこ
と。第4に、繊維が太いとか特殊な断面形状を持つとか
で、繊維が曲がりにくいこと。第5に、繊維にケン縮が
なく絡みにくいこと。
【0015】以下に本発明の実施の形態と上記のピル発
生抑制要因との関連において詳細に説明する。
【0016】本発明は、芯成分と鞘成分からなる芯鞘型
構造の長短複合紡績糸であり、芯成分は紡績糸の比較的
内層側に位置し、鞘成分は紡績糸の比較的外層側に位置
する構造となっている。本発明の鞘成分は中空複合ポリ
エステル短繊維からなるものである。上記鞘成分を構成
する中空複合ポリエステル短繊維はホモポリエステルと
共重合ポリエステルをブレンドして得られたものであ
る。すなわち、上記ホモポリエステルと共重合ポリエス
テルのポリマーをブレンドし、溶融紡糸、延伸、カット
して得られた中空複合ポリエステル短繊維はこれらのポ
リマーが均一に微分散されることなく、繊維軸方向に筋
状に配列された繊維構造を呈することになる。
【0017】ここで本発明の中空複合ポリエステル短繊
維を鞘成分に持つ長短複合糸で構成された編織物は実着
用時に表面に受ける摩擦などの外力により、中空複合ポ
リエステル短繊維の表面が微細分離化、すなわちフィブ
リル化が生じることになる。
【0018】ホモポリエステルと共重合ポリエステルの
ポリマーのブレンドと抗ピル性向上との関連でみた作用
効果については、上記の通り、編織物を構成している長
短複合糸中の中空複合ポリエステル短繊維は鞘成分であ
り、糸表面に位置するため、摩擦を受けた部分でフィブ
リル化し、短繊維表面にいわゆる“ささくれ立った”部
分が生じ、その結果短繊維が紡績糸中から滑脱すること
の妨げとなる、いわゆる“ラチェット効果”を呈し、ピ
ルが大型に成長することを防ぐことになる。これは冒頭
に述べたピリング発生抑制要因の第3項に該当し、抗ピ
ル性が向上するものである。また、フイブリル化した微
細繊維の毛足は極めて短く、さらに該微細繊維の一端は
短繊維の表面に固定化されており、ピリング発生抑制要
因の第2、第3項に該当し、ピル形成しない、あるいは
ピルが大型に成長しないなどの理由で抗ピル性が良化す
るものである。
【0019】次に、ホモポリエステルと共重合ポリエス
テルのポリマーのチップブレンドにおけるさらなる作用
効果は、溶融紡糸に際し、分子の配向が抑制され、その
結果、未延伸糸の伸度が高くなり、その後の延伸倍率を
高く設定することが可能となり、高配向の短繊維が得ら
れることになる。したがって、得られた短繊維の初期引
っ張り抵抗度(見掛けのヤング率)は高くなり、連動し
て曲げ硬さも増加することになる。
【0020】編織物の表面に毛羽が存在しても、繊維の
曲げ硬さが高いため毛羽同士がお互いに交絡せずピルに
形成しにくい効果がある。たとえば、繊維の曲げ硬さが
極めて大きい麻を用いた編織物についてはピル発生問題
が少ないことと合わせ考えると、ピリング抑制要因第4
項に該当する作用効果をもたらし、抗ピル性が良化する
ものである。
【0021】本発明の長短複合糸の鞘成分に用いるポリ
エステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどが挙げられる。なかでも、強伸度特性、風合いの
観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0022】ここで、ホモポリエステルと共重合ポリエ
ステルブレンド比率についてはホモポリエステルが重量
比で20〜80重量%、共重合ポリエステルが重量比で
80〜20重量%の範囲にあることが好ましく、さらに
はホモポリエステルが重量比で40〜60重量%、共重
合ポリエステルが重量比で60〜40重量%がより好ま
しい範囲である。すなわち、共重合ポリエステルの成分
を上記好ましい範囲から過大に設定すると短繊維の物性
低下、すなわち強度が大幅に低下する。このため、紡
績、製織工程での工程通過性が阻害され、さらには製品
での布帛強度も低下し、実用上問題が発生することもあ
る。
【0023】また、共重合ポリエステル成分の増加は原
料コストがアップし、汎用的に使いにくい短繊維になる
ので好ましくない。反面、共重合ポリエステル成分を上
記好ましい範囲から過小に設定すると前述のフイブリル
化が生じなく、したがって抗ピル性能は低下する。さら
に曲げ硬さについては、共重合ポリエステル成分を過小
あるいは過大にすると前述した配向抑制効果が減少し、
曲げ硬さが低下するものである。したがってホモポリエ
ステル成分と共重合ポリエステル成分のブレンド比率は
上記記載の範囲に設定することが重要である。
【0024】次に本発明の長短複合糸の鞘成分を構成す
る中空複合ポリエステル短繊維の中空率について説明す
る。ここでいう中空率とは短繊維の横断面の面積をS
1、中空部の面積をS2とすると(S2/S1)×10
0で表される値(%)であり、短繊維の横断面に占める
中空部の面積割合で示す。
【0025】先ずはじめに、本発明の長短複合糸の鞘成
分を構成する中空複合ポリエステル短繊維は中空断面形
状を持つものである。短繊維の繊度が同一であっても、
短繊維断面中に中空部が存在することにより、短繊維の
直径は大きくなる。丸断面の繊維の曲げ硬さは繊維半径
の4乗に比例して増大し、前述のピリング発生抑制要因
第4項に該当し、抗ピル性について有利に作用するもの
である。
【0026】ここで、本発明の長短複合糸の鞘成分を構
成する中空複合ポリエステル短繊維の中空率は10〜3
0%の範囲にあることが好ましい。さらには中空率15
〜25%がより好ましい範囲にある。中空率を上記好ま
しい範囲から過大に設定すると高次加工工程あるいは製
品着用段階での外力を受けることにより、中空部が変
形、あるいは割れが生じ中空形状が維持できにくくなる
ので好ましくない。反面、好ましい範囲より中空率を過
小に設定すると、同一繊度でみると繊維直径は大きく変
化せず曲げ硬さ増大による抗ピル効果が乏しいものとな
ってくるので好ましくない。本発明の長短複合糸は抗ピ
ル性能、嵩高性を持つ以外に軽量、保温効果、張り腰反
発性付与効果も併せ持つことであり、そのためにも適度
な中空率を持つことが重要である。したがって、本発明
の長短複合糸の鞘成分を構成する中空複合ポリエステル
短繊維の中空率は上述の好ましい範囲にあるものであ
る。
【0027】次に、本発明の長短複合糸の鞘成分を構成
する中空複合ポリエステル短繊維の繊度は1.1〜4.
4デシテックス(dtex)の範囲にあることが好まし
く、さらには2.2〜3.3デシテックスの範囲にある
ことがより好ましい。短繊維の繊度が1.1デシテック
ス未満の細繊度になると中空形状の維持が難しいこと、
あるいは曲げ硬さが低減し、抗ピル性能が低下してくる
ので好ましくない。反面4.4デシテックスを超えると
紡績糸の番手設定に制約が生じ、さらには製品の風合い
が硬くなるなどの欠点が生じ、製品の用途に制約を受け
ることになるので好ましくない。
【0028】また、本発明の長短複合糸の鞘成分を構成
する中空複合ポリエステル短繊維の強度は2.9cN/
dtex以上であることが好ましい。2.9cN/dt
ex未満であると紡績、製織工程における工程通過性が
不調になる問題が派生するとか、製品の強度劣化による
実着用時に問題が生じることもでてくる。以上の理由に
より、中空複合ポリエステル短繊維の繊度、デシテック
スは上述の好ましい範囲にあるものである。
【0029】次に、本発明の長短複合糸の鞘成分を構成
する中空複合ポリエステル短繊維の共重合ポリエステル
の共重合成分としてはイオン性染料の染色座席となりえ
る芳香族スルホン酸金属塩を用いることが望ましい。共
重合率は1.5モル%〜8.0モル%の範囲にあること
が好ましく、さらには3.0モル%〜6.0モル%の範
囲にあることがより好ましい。ここで共重合率が1.5
モル%未満であるとイオン性染料、とくにカチオン染料
で十分に染色できにくくなってくるので好ましくない。
反面8.0モル%を超えると染色性が飽和に達するこ
と、さらには融点降下が大きくなること、物理特性が低
下するなどの問題が生じてくるので好ましくない。した
がって共重合ポリエステルの共重合成分としては芳香族
スルホン酸金属塩が共重合率1.5モル%〜8.0モル
%の範囲が好ましく、さらには3.0モル%〜6.0モ
ル%がより好ましい範囲である。
【0030】次に、本発明の長短複合糸の鞘成分を構成
する中空複合ポリエステル短繊維の紡績糸中に占める重
量比率は15重量%以上であることが好ましい。さらに
は30重量%以上であることが抗ピル性の点からより好
ましいが、芯部のカバー性、精紡操業性、さらには伸張
回復性を考慮すると85重量%以下とするのが好まし
い。抗ピル性能を有効に発揮させるためには上記好まし
い範囲に設定することが重要である。
【0031】次に、本発明の長短複合糸の芯成分に用い
るサイドバイサイド型複合繊維のマルチフィラメントに
ついて説明する。
【0032】サイドバイサイド型の複合繊維は、固有粘
度や共重合成分、共重合率等が異なる重合体を貼り合わ
せ、それらの弾性回復特性や収縮特性の差によって、捲
縮を発現するものである。固有粘度差を有するサイドバ
イサイド型複合の場合、紡糸、延伸時に高固有粘度側に
応力が集中するため、2成分間で内部歪みが異なる。そ
のため、延伸後の弾性回復率差により高粘度側が大きく
収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形
態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当た
りのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差
(弾性回復率差を含む)によって決まると言ってもよ
く、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長
当たりのコイル数が多くなる。
【0033】ここで、前記のコイル特性を満足するため
には高収縮成分(高粘度成分)の特性が重要となる。コ
イルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分
の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重
合体には高い伸長性および回復性が要求される。
【0034】そこで、本発明者らはポリエステルの特性
を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討
した結果、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレー
ト(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステル
を用いることを見出した。
【0035】ここで、本発明におけるPTTとは、テレ
フタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオー
ルを主たるグリコール成分として得られるポリエステル
である。ただし、20モル%、より好ましくは10モル
%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合
成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物と
して、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸
類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン
ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコールなどのジオール類を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。また、必要に応
じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリ
カやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェ
ノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0036】また、低収縮成分(低粘度成分)には高収
縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が
安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定
されるものではないが、力学的特性、化学的特性および
原料価格を考慮すると、繊維形成能のあるPETが好ま
しい。
【0037】また、両成分の複合比率は製糸性および繊
維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:
低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲
が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ま
しい。
【0038】本発明の長短複合糸に用いるサイドバイサ
イド型複合繊維の断面形状は、丸断面、扁平断面、三角
断面、マルチローバル断面、X型断面、その他公知の異
形断面であってもよいが、特にダルマ型断面であること
がより好ましい。
【0039】ここでいうダルマ型断面とは、図2に示す
ようなPTT成分(ハ)とPET成分(ニ)の界面が断
面の長手方向に対して垂直方向に貼り合わせたものであ
る。
【0040】サイドバイサイド型複合繊維の断面が図2
に示すようなダルマ型断面であれば、マルチフィラメン
トを構成する単糸においてS方向のトルクの捲縮とZ方
向のトルクの捲縮とが交互に発現し、ストレッチ性は損
なうことなく互いのトルクを消し合い、より高品位の編
織物を得ることができる。
【0041】また、サイドバイサイド型複合繊維の単糸
繊度は、1.1〜10dtexが好ましく、より好まし
くは1.1〜6dtexである。1.1dtex以上と
することで、捲縮によるストレッチ性の実効を得ること
ができる。
【0042】また、本発明の長短複合糸に用いるサイド
バイサイド型複合繊維は、20%伸張時の伸長回復率が
80%以上であることが好ましい。この伸長回復率が8
0%以上であれば、リング精紡機にて長短複合糸にした
際、優れたストレッチバック性と捲縮発現性により、短
繊維成分と強固に絡み合い、芯鞘型構造の形態安定性に
優れ、ピリング発生原因となる短繊維成分の分離を防ぐ
ことができる。
【0043】本発明の長短複合糸の番手は特に限定され
ないが長短複合紡績糸を製造する上で、短繊維の断面構
成繊維本数が50本以上となるよう番手を決定するのが
好ましい。またヨリ数Tは一般的な長短複合紡績糸より
やや低めに設定するのがよく、T(回/in)=K(綿
番手)1/2(K:ヨリ係数)において、K=3.0〜
4.0の範囲が好ましい。
【0044】次に本発明の長短複合糸の製造方法につい
て説明する。例えばサイドバイサイド型複合繊維糸とポ
リエステル短繊維をリング精紡機を用いて合体し、長短
複合糸の芯部にサイドバイサイド型複合繊維糸を、表面
にポリエステル短繊維を出現させるためには、撚り合わ
せ時における2成分の供給速度に一定の差を維持するよ
うに合体することが好ましい。サイドバイサイド型複合
繊維糸とポリエステル短繊維のフロントローラーからの
送り出し速度をそれぞれVf、Vsとすると、2成分の
速度関係はVf<Vsにあり、Vs=L・Vf(L:係
数)においてL=1.01〜1.025のとするのが好
ましい。定数Lはサイドバイサイド型複合繊維糸とポリ
エステル短繊維との混合比率や、ヨリ係数などによって
定まるものである。
【0045】さらに詳細に図面に基づいて以下に説明す
る。図3は、本発明の長短複合糸を得るための概略図で
あり、図4は図3の要部正面拡大図である。短繊維成分
の粗糸1はバックローラー2、エプロンローラー3、フ
ロントローラー4に順次供給されフリース10を得る。
長短複合糸の表面にポリエステル短繊維を出現させるに
は、フロントボトムローラー9の上部のフロントトップ
ローラー4は大径、小径部を有するの段付きローラーと
する。一方、サイドバイサイド型複合繊維糸6は張力測
定装置(テンサー)7を経てフィード装置5を通り、フ
ロントトップローラー4の小径部8とフロントボトムロ
ーラーの隙間を通過後、前記フリース10と合体させ、
ヨリにより収束させ管糸に巻き取る。フリース10の送
り出し速度Vsとサイドバイサイド型複合繊維糸の供給
速度Vfの関係Vs>Vfになるようフロントボトムロ
ーラー9の速度とフィード装置5の速度を同期させる。
サイドバイサイド型複合繊維糸は優れた伸縮性と回復性
を持つため、フロントトップローラ4から送り出された
直後にストレッチバックし、他方の短繊維フリースを巻
き込みながらヨリがかかり絡み合い、芯成分と鞘成分が
分離することなく芯鞘状態に強固に取り巻き、芯鞘構造
の形態安定性に優れた長短複合糸となる。
【0046】図1に芯部にサイドバイサイド型複合繊維
糸(ロ)、鞘部に中空複合ポリエステル短繊維(イ)が
配置された本発明の長短複合糸の断面略図を示す。
【0047】また、長短複合糸の製造方法としては、前
述の芯鞘型製造方式に限定されるのものではなく、精紡
交撚方式であっても良い。
【0048】次に、本発明の長短複合糸からなる編物
(編成品)について説明する。
【0049】ポリエステル短繊維100%の紡績糸を使
用した編成品でインナー、アウター用途では表面タッ
チ、風合い、W/W性、物性面などで高いポテンシャル
を持つ商品が具現化でき、市場からの要望も強い。ただ
し、唯一の欠点として製品着用時のピル発生により品位
が低下する問題があり、市場に多く出回っていないのが
現状である。前述のピル発生抑制要因の第1項に記載し
た、短繊維の物性を低下させた態様、すなわち強度を下
げたポリエステル短繊維からなる紡績糸を抗ピル素材と
して展開しているニット商品は存在するが、これらは着
用開始後数週間でピリングが発生する。しかしさらに着
用を継続し、長期間経過すると形成されたピルが脱落す
ることで抗ピル性をうたっているものもある。しかしな
がら消費者は短期間着用でピルが発生する商品に対して
決して満足しているものではなく、短期長期間に関わら
ずピルが発生しないことを要求している。
【0050】本発明の長短複合糸を使用した編成品につ
いては上記要望を満たすものである。
【0051】図5は、ポリエステル短繊維の強度を低減
化した(短繊維の強度2.7cN/dtexレベル)従
来態様の抗ピル紡績糸からなる編成品と、繊維断面形状
が中実の丸で通常の物性を持つポリエチレンテレフタレ
ート短繊維、いわゆるレギュラーポリエステル(短繊維
の強度5.5cN/dtex)を使用した紡績糸で構成
された編成品との比較において、本発明の長短複合糸か
らなる編成品の抗ピル性能をICIピリングテスターに
て3hr、5hr、10hrそれぞれの処理時間におい
てピル発生の程度を1〜5級のクラスに分けて評価した
ものである。ここで1級はピル発生状況が最も悪く、5
級はピル発生状況が最も良いことを示すものである。
【0052】図5から、従来態様の抗ピル紡績糸で構成
されている編織物は3hr、5hrの処理時間において
抗ピル性能は不十分であるが、処理時間10hrにおい
てはじめて抗ピル性能は良化している(C)。また、レ
ギュラー紡績糸で構成されている編成品は3hr、5h
r、10hrそれぞれの処理時間においてピル判定で1
級であり、きわめて不良なレベルである(B)。
【0053】本発明の中空複合ポリエステル短繊維(短
繊維の強度3.5cN/dtexレベル、ポリマーブレ
ンド比率50:50、中空率20%)を鞘成分とする長
短複合糸からなる編成品は3hr、5hr、10hrい
ずれの処理時間てもピル判定は4級以上キープしてお
り、製品着用における抗ピル性能の経時的変化は極めて
少なく(A)、長期間着用してもピル発生のない表面品
位の優れたものであることを示すものである。また、上
記の特性を満足させるためには本発明の長短複合糸を編
成品重量に対し、少なくとも40重量%含むものである
ことが好ましいものである。
【0054】以下、本発明を実施例により、さらに詳細
に説明する。
【0055】
【実施例】以下に本発明で用いた評価方法につき具体的
に説明する。
【0056】(1)ICIピル判定 抗ピル性能をモデル的に評価するものでピル発生の程度
を1〜5級にランク付けし、数字が少ないほどピリング
発生が少ないことを示す。JIS L1076(A法)
に準ずる。
【0057】(2)伸長回復率 自記記録装置付定速伸長型引張試験機を用い、1デシテ
ックス当たり0.0826cNの初荷重をかけた状態で
20cmのつかみの間隔に取り付け、引張速度を20c
m/minとして、20%の伸度まで引き伸ばし、直ち
に、同じ速度で除重した。完全に除重した後、直ちに、
初荷重まで引き伸ばし、このときの回復伸びを伸長回復
率とした。
【0058】(3)ストレッチ性 編地のストレッチ性を下記官能評価した。
【0059】 ×:ストレッチ性なし ○:ストレッチ性あり (4)破裂強度 編み地の強度を評価するものでミューレン形法でJIS
L1018(A法)に準ずる。
【0060】(実施例1)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で80%:20%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度4.3cN/dtexである
中空複合ポリエステル短繊維100%を鞘成分の短繊維
束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸
を作成した。
【0061】次に、長短複合糸の芯成分である複合繊維
のフィラメント糸条として、固有粘度(IV)が1.4
0のホモPTTと固有粘度(IV)が0.60のホモP
ETをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度275℃で24
孔の複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐
出し、紡糸速度1400m/分で引取り165デシテッ
クス、24フィラメントのサイドバイサイド型複合構造
未延伸糸(繊維断面は図2に示すようなダルマ型断面)
を得た。さらにホットロール−熱板系延伸機(接糸長:
20cm、表面粗度:3S)を用い、ホットロール温度
75℃、熱板温度170℃、延伸倍率3.3倍で延伸し
次いで一旦引き取ることなく、連続して0.9倍でリラ
ックスして巻き取り、55デシテックス、24フィラメ
ントの延伸糸を得た。紡糸、延伸とも製糸性は良好であ
り、糸切れは発生しなかった。得られたサイドバイサイ
ド型複合繊維の持性は、 伸長回復率 :85.5% と優れた伸長回復性を示し、これを長短複合糸の芯成分
である複合繊維のフィラメント糸条Bとした。
【0062】次に前述の短繊維成分Aの粗糸を精紡機に
仕掛け、図3、図4に示す段付きトップローラの大径部
に通しフリースを紡出した。一方、前述のサイドバイサ
イド型複合繊維のフィラメント糸条Bをそれぞれクリー
ルに仕掛け、張力調整装置(テンサー)を経てフィード
装置を通り、段付きトップローラーの小径部とボトムロ
ーラーの隙間を通過させ、前述フリースと組み合わせ合
体し、ヨリ数14.8T/in(K=3.2)でリング
・トラベラーを通し、管糸に巻き取った。この時フリー
スおよびサイドバイサイド型複合繊維糸のフィード装置
からの送り出し速度比はVs/Vf=1.03とし、芯
成分がサイドバイサイド型複合繊維糸、鞘成分が中空複
合ポリエステル短繊維である番手30sの本発明の長短
複合糸を得た。得られた長短複合糸の伸長回復率を測定
した結果、 伸長回復率 :75.7% と優れた伸長回復性を示し、ソフトストレッチ性、回復
性、芯成分と鞘成分の絡合性に富み、ヌードヤーンの発
生もなく芯鞘型構造の形態安定性に優れたものであっ
た。この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止めセット
した後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染色し18
0℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル性能、ス
トレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0063】(実施例2)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で60%:40%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度3.7cN/dtexである
中空複合ポリエステル短繊維100%を鞘成分の短繊維
束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸
を作成した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合
繊維のフィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法
で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維5
0%、複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S
(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0064】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0065】(実施例3)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で50%:50%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度3.5cN/dtex3.9
g/dである中空複合ポリエステル短繊維100%を鞘
繊維の短繊維束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5
g/mの粗糸を作成した。一方、芯成分には実施例1で
使用した複合繊維のフィラメント糸条を用い、実施例1
と同様な方法で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエス
テル短繊維50%、複合繊維のフィラメント糸条50
%)、30’S(綿式)の長短複合糸を作成した この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止めセットした
後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染色し180℃
で仕上セット行った編み地につき、抗ピル性能、ストレ
ッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0066】(実施例4)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で40%:60%でブレンドしたあと、紡糸、延伸、カ
ットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊維長7
6mm、短繊維強度3.4cN/dtexである中空複
合ポリエステル短繊維100%を鞘繊維の短繊維束Aと
して、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸を作成
した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合繊維の
フィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法で芯鞘
比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維50%、
複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S(綿
式)の長短複合糸を作成した。
【0067】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0068】(実施例5)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で20%:80%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度3.2cN/dtexである
中空複合ポリエステル短繊維100%を鞘繊維の短繊維
束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸
を作成した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合
繊維のフィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法
で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維5
0%、複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S
(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0069】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0070】(比較例1)実施例1で使用したポリエチ
レンテレフタレートのみからなるポリエステルで、溶融
紡糸、延伸、カットし、中空率20%、繊度2.5d、
繊維長76mm、短繊維強度4.6cN/dtexであ
る中空ポリエステル短繊維100%を鞘繊維の短繊維束
Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸を
作成した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合繊
維のフィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法で
芯鞘比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維50
%、複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S
(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0071】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0072】(比較例2)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で90%:10%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度4.4cN/dtexである
中空ポリエステル複合短繊維100%を鞘繊維の短繊維
束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸
を作成した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合
繊維のフィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法
で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維5
0%、複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S
(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0073】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0074】(比較例3)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で10%:90%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率20%、繊度2.8dtex、繊
維長76mm、短繊維強度4.4cN/dtexである
中空ポリエステル複合短繊維100%を鞘繊維の短繊維
束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.5g/mの粗糸
を作成した。一方、芯成分には実施例1で使用した複合
繊維のフィラメント糸条を用い、実施例1と同様な方法
で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエステル短繊維5
0%、複合繊維のフィラメント糸条50%)、30’S
(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0075】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0076】(比較例4)主たる繰返し単位をエチレン
テレフタレートとしてなり5−ソジウムスルホイソフタ
ール酸を5モル%共重合した共重合ポリエステルのみ
で、溶融紡糸、延伸、カットし、中空率20%、繊度
2.8dtex、繊維長76mm、短繊維強度2.7c
N/dtexである中空ポリエステル短繊維100%を
鞘繊維の短繊維束Aとして、通常の紡績方法で太さ0.
5g/mの粗糸を作成した。一方、芯成分には実施例1
で使用した複合繊維のフィラメント糸条を用い、実施例
1と同様な方法で芯鞘比率50/50(中空複合ポリエ
ステル短繊維50%、複合繊維のフィラメント糸条50
%)、30’S(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0077】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0078】(比較例5)ポリエチレンテレフタレート
チップと主たる繰返し単位をエチレンテレフタレートと
してなり5−ソジウムスルホイソフタール酸を5モル%
共重合した共重合ポリエステルからなるチップを重量比
で50%:50%でブレンドしたあと、溶融紡糸、延
伸、カットし、中空率0%(中空断面形状でない通常の
丸断面)、繊度2.8dtex、繊維長76mm、短繊
維強度3.5cN/dtexであるポリエステル複合短
繊維100%を鞘繊維の短繊維束Aとして、通常の紡績
方法で太さ0.5g/mの粗糸を作成した。一方、芯成
分には実施例1で使用した複合繊維のフィラメント糸条
を用い、実施例1と同様な方法で芯鞘比率50/50
(中空断面形状でない通常の丸断面ポリエステル複合短
繊維50重量%、複合繊維のフィラメント糸条50重量
%)、30’S(綿式)の長短複合糸を作成した。
【0079】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0080】(比較例6)極限粘度が0.40のホモP
ETと、極限粘度が0.75のホモPETとを、それぞ
れ別々に溶融し、紡糸温度295℃で12孔の複合紡糸
口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速
度1450m/分で引取り145デシテックス、12フ
ィラメントのサイドバイサイド型複合構造未延伸糸を得
た。さらに実施例1で用いたのと同様のホットロール−
熱板系延伸機を用い、ホットロール温度89℃、熱板温
度150℃、延伸倍率2.63倍で延伸し、次いで一旦
引き取ることなく、連続して次のリラックス率1倍(弛
緩無し)でリラックスして巻き取り、55デシテック
ス、12フィラメントの延伸糸を得た。
【0081】得られた潜在捲縮性ポリエステル複合繊維
の持性は伸長回復率39.4%であった。
【0082】次に、実施例1と同様の中空複合ポリエス
テル短繊維と合体させ、実施例1と同様な方法で芯鞘比
率50/50(中空複合ポリエステル短繊維50%、潜
在捲縮性ポリエステル複合繊維50%)、30’S(綿
式)の長短複合糸を作成した。また、得られた長短複合
糸の伸長回復率を測定した結果、 伸長回復率 :25.4%であり、芯鞘構造の形態安定
性に欠け、所々でヌードヤーンが見受けられ、ストレッ
チ性、膨らみ感、ソフト感としても満足のいくものでは
なかった。
【0083】この長短複合糸を60℃で20分間ヨリ止
めセットした後、28Gの天竺組織で編み立て、通常染
色し180℃で仕上セット行った編み地につき、抗ピル
性能、ストレッチ性、破裂強度を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、鞘成分が
ホモポリエステルと共重合ポリエステルを適度な配合比
でブレンドし、中空断面を持つ中空複合ポリエステル短
繊維からなり、芯成分がポリトリメチレンテレフタレー
トを主体としたポリエステルを少なくとも一方の成分に
用いた異種のポリエステル系重合体を繊維長さ方向に沿
ってサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維のフィ
ラメント糸条から構成される芯鞘型複合紡績糸を用いた
編織物において、抗ピル性、嵩高性に優れた張り腰反発
風合いを持ち、さらには軽量感と保温性を併せ持つ商品
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の長短複合糸の横断面形状の一例を示す
図である。
【図2】本発明のサイドバイサイド型複合繊維の横断面
形状の一例を示す図である。
【図3】本発明の長短複合糸を得るための製造方法の一
例をモデル的に示す側面概略図である。
【図4】本発明の長短複合糸を得るための製造方法の一
例をモデル的に示す要部正面拡大図である。
【図5】ICIピリングテスターでの処理時間とICI
ピリング判定(級)との関係を示す図である。
【符号の説明】
イ:中空複合ポリエステル短繊維 ロ:サイドバイサイド型複合繊維 ハ:ポリトリメチレンテレフタレート ニ:ポリエチレンテレフタレート 1:粗糸 2:バックローラー 3:エプロンローラー 4:フロントローラー 5:フィード装置 6:サイドバイサイド型複合繊維糸 7:張力調整装置(テンサー) 8:フロントトップローラ小径部 9:フロントボトムローラー 10:フリース A:本発明の長短複合糸で構成された筒編み地 B:通常の強度を持つレギュラーポリエステル短繊維を
使用した紡績糸で構成された筒編み地 C:強度を低減化した抗ピル短繊維を使用した紡績糸で
構成された筒編み地
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 21/00 D04B 21/00 B Fターム(参考) 4L002 AA07 AB00 AB01 AB02 AB04 AB05 AC00 BA01 EA00 EA01 EA07 4L036 MA05 MA17 MA19 MA24 MA33 MA35 MA39 MA40 PA21 PA31 PA46 RA24 UA07 4L041 AA07 BA02 BA05 BA09 BA22 BA32 BB08 BC17 BD14 CA06 CA13 4L048 AA21 AA22 AA28 AA30 AA39 AA46 AA50 AA51 AB16 AB19 AC12 CA04 DA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紡績糸の比較的内層側に位置する芯成分と
    紡績糸の比較的外層側に位置する鞘成分からなる長短複
    合糸であって、鞘成分がホモポリエステル(ポリマー
    A)と共重合ポリエステル(ポリマーB)をA:Bが2
    0:80〜80:20重量%の範囲でブレンドされてい
    るポリマーからなる複合ポリエステル短繊維で構成さ
    れ、芯成分がポリトリメチレンテレフタレートを主体と
    したポリエステルを少なくとも一方の成分に用いた異種
    のポリエステル系重合体を繊維長さ方向に沿ってサイド
    バイサイド型に貼り合わせた複合繊維のフィラメント糸
    条から構成されることを特徴とする長短複合糸。
  2. 【請求項2】鞘成分の複合ポリエステル短繊維が中空率
    10〜30%である中空の断面形状を有することを特徴
    とする請求項1に記載の長短複合糸。
  3. 【請求項3】鞘成分の複合ポリエステル短繊維の繊度が
    1.1〜4.4デシテックスの範囲にあり、強度が2.
    9cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1
    〜2のいずれかに記載の長短複合糸。
  4. 【請求項4】鞘成分の複合ポリエステル短繊維のホモポ
    リエステルが、ポリエチレンテレフタレートであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長短複合
    糸。
  5. 【請求項5】鞘成分の複合ポリエステル短繊維の共重合
    ポリエステルの共重合成分が、芳香族スルフォン酸金属
    塩類を有するものであり、共重合率が1.5〜8.0モ
    ル%の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の長短複合糸。
  6. 【請求項6】芯成分の複合繊維のフィラメント糸条と鞘
    成分の複合ポリエステル短繊維束の複合比率が、複合繊
    維のフィラメント糸条/短繊維束=15/85〜85/
    15(重量%)であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の長短複合糸。
  7. 【請求項7】芯成分の複合繊維のフィラメント糸条の2
    0%伸張時の伸長回復率が80%以上であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の長短複合糸。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の長短複合
    糸を40重量%以上含むことを特徴とする編物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の長短複合
    糸を40重量%以上含むことを特徴とする織物。
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