JP7098882B2 - 真空ポンプ - Google Patents
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Description
ねじステータは、固定用の頭付きボルトでベースに取り付けられている。ターボ排気部から気体が導入されるねじ溝排気部の上部、すなわち、ねじステータの上面には、該ねじステータの上面から頭付きボルトの頭部が突出している(例えば、特許文献1の図1参照)。
さらに好ましい態様では、第1の態様において、前記六角穴付きボルトは、使用国または国際機構の規定に適合する六角穴付きボルトよりも、頭部の高さが低いボルトである。
さらに好ましい態様では、第1の態様において、前記六角穴付きボルトの頭部に設けられた六角穴の深さは、使用国または国際機構の規定に適合する。
さらに好ましい態様では、上記各態様において、前記ステータの上面には、内周側内側傾斜面と、内周側外側傾斜面と、前記内周側内側傾斜面と前記内周側外側傾斜面との間に配置された平坦面とが形成されており、前記内周側内側傾斜面および前記内周側外側傾斜面は、前記ロータシャフトに向かって下り勾配に形成されており、前記平坦面は、前記ロータシャフトに直交する方向に環状に形成されており、前記六角穴付きボルトの頭部の上面は前記平坦面の上面とほぼ面一である。
以下、図1~図4を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は本発明に係る真空ポンプを、ターボ分子ポンプを例として示す第1の実施形態の断面図である。図1に示すターボ分子ポンプは磁気浮上式のターボ分子ポンプであるが、本発明は磁気浮上式のターボ分子ポンプに限定されない。
図2に図示された矢印を付した曲線Rは、排気される気体の流れをイメージしたものである。ターボ排気部TPにより排気された気体は、ターボ排気部TPとねじ溝排気部SPとの間に形成された流路GSに入り、さらに、その流路GSからねじ溝22gに流入する。つまり、流路GSは、ターボ排気部TPから排気された気体が、ねじ溝22gに導入されるねじ溝排気部SPの導入路となっている。
ベース20は、円筒状の本体部20aと、該本体部20aの上部側であるターボ排気部TP側に設けられたフランジ部20bとを有する。本体部20aとフランジ部20bとは、同一の材料により一体成型されている。フランジ部20bの外周側は肉厚とされ、この肉厚部の上面にポンプケーシング23が固定される。ポンプケーシング23とベース20のフランジ部20bとは、シール部材を介して固定され、外部から密封する。ベース20のフランジ部20bの肉厚部の内周側にはれ、ねじステータ22を設置するための設置部が窪んで設けられている。この設置部の上面20cは、平坦面とされている。ねじステータ22は、フランジ22bの下面をベース20のフランジ部20bに設けた設置部の上面20c上に、固定用ボルト40により固定される。
流路GS内の圧力は、分子流、粘性流、それらの中間のいずれにもなり得るが、分子流領域では、気体分子同士の衝突よりも気体分子と壁面との衝突が支配的になり、壁面と衝突した気体分子の散乱方向の分布は余弦法則に従うものと考えられている。ターボ排気部TPから流路GSに流入した気体分子の一部は、直接、ねじ溝22gに入射するが、残りの大部分は、流路GSを囲む部材の外表面に入射し、余弦法則に基づいて散乱される。ねじステータ22の上面22dが水平であると、流路GS内に流入した気体分子は、ねじステータ22の上面22dや最下段のロータ翼12に入射して、ロータシャフト11の軸方向と平行な方向に散乱され、流路GSを逆流する確率が高くなる。このため、流路GSに流入した気体分子がねじ溝22gに導入されるのに時間が掛かる。これに対し、本第1の実施形態では、ねじステータ22のフランジ22bの上面22dには、ロータシャフト11側に向かって下り勾配の内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2が形成されている。このため、ねじステータ22のフランジ22bの上面22dに入射した気体分子は、ロータシャフト側に向かって散乱される確率が高くなる。これにより、流路GSに流入した気体分子は、速やかにねじ溝22gに導入される。粘性流の場合は、気体分子同士の衝突が支配的であるが、傾斜を設けることで、遅滞なく速やかにねじ溝22g気体分子を導入することができる。このため、流路GS内における生成物の堆積を抑制することができる。
また、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22の上面22dから突出している従来の構造では、固定用ボルト40の頭部41の外周側面、特に、固定用ボルト40の頭部41のポンプ回転方向に対向する側面には、生成物が堆積する。この生成物の堆積が、さらに、ターボ排気部TPから流入し、流路GSを流れる気体の流れを妨げる。これに対し、第1の実施形態では、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22の上面22dから突出しない構造となっているため、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積することもない。このため、第1の実施形態によれば、ターボ分子ポンプ1の排気性能を向上することができる。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積されることはないので、生成物の除去作業を行う必要が無く、維持管理が容易となる。
(1)ねじステータ22を、ターボ排気部TPから気体が導入されるねじ溝排気部SPの導入路において六角穴付きボルトによりベース20の上面20cに固定する構造において、ねじステータ22の、ターボ排気部TPから気体が導入される上面22dにざぐり22eを設け、六角穴付きボルトの頭部41の上面を、ねじステータ22の上面22dとほぼ面一にした。このため、ねじステータ22の上面22dと最下段のロータ翼12との隙間が、固定用ボルト40の頭部41の部分で狭まることはなく、従って、固定用ボルト40の頭部41が流路GSを流れる気体の流れを妨げることはない。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積することもない。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積されることはないので、生成物の除去作業を行う必要が無く、維持管理が容易となる。
図5は、第1の実施形態の変形例1を示す図であり、図3に相当する図である。
図5に図示された変形例1では、ざぐり22e内に配置された六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する構造を有している。つまり、この構造では、六角穴付きボルトの頭部41の高さ(厚さ)は、ねじステータ22に設けられたざぐり22eの深さよりも高く(厚く)形成されている。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176の規定に適合するか、それよりも低いものである。従って、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さは、規格製品の頭部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さよりも低くなる。すなわち、変形例1に示された構造では、六角穴付きボルトの頭部41がざぐり22e内に配置されているため、六角穴付きボルトの頭部41の上面がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さは、ざぐり22eが形成されていない従来の構造よりも小さくなっている。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例1の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図6は、第1の実施形態の変形例2を示す図であり、図3に相当する図である。
図6に図示された変形例2では、ねじステータ22の上面22dにざぐり22eを設けることなく、六角穴付きボルトの頭部41を、ねじステータ22の上面22dの平坦面22d3に当接して固定した構造を有している。この変形例2においては、六角穴付きボルトは、頭部41の高さ(厚さ)が、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも低い(薄い)ものが用いられている。なお、頭部41の外径に対する頭部の高さがJIS B 1176の規定よりも低いものであれば、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例2の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、第1の実施形態の変形例3を示す図であり、図3に相当する図である。
図7に図示された変形例3では、ねじステータ22の上面22dは、その全体がロータシャフト11に向かって下り勾配の斜面とされており、ロータシャフト11に直交する平坦面を有していない。また、ねじステータ22をベース20の上面20cに固定する六角穴付きボルトは、その頭部41の全体が、ざぐり22e内に配置されている。つまり、六角穴付きボルトの頭部41の高さは、ざぐり22eの最もロータシャフト側の端部位置、すなわち、ざぐり22eの深さが最も浅い位置においても、ざぐり22eの深さよりも薄い。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176に適合するか、それよりも低いものである。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例3の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、変形例3では、ねじステータ22の上面22d全面を傾斜面とし、傾斜面の中間に、環状の平坦面を形成する必要は無いので、ねじステータ22の生産性がよく、コスト低減を図ることができる。
図8は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図3に相当する図である。
図8に示す第2の実施形態では、ねじステータ22の上面22dは、全体がロータシャフト11にほぼ直交する方向に配置された平坦面とされており、ロータシャフト11に向かって下り勾配の斜面は有していない。また、ねじステータ22をベース20に固定する固定用ボルト40としての六角穴付きボルトは、その頭部41の下面がねじステータ22の上面22d上に固定されている。
六角穴付きボルトは、頭部41の高さ(厚さ)が、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも低い(薄い)ものが用いられている。なお、頭部41の外径に対する頭部の高さがJIS B 1176の規定よりも低いものであれば、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第2の実施形態の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第2の実施形態では、ねじステータ22のフランジ22bの上面22d全体が平坦面であるので、第1の実施形態氏に比し、ねじステータ22の生産性がよく、コスト低減を図ることができる。
図9は、本発明の第3の実施形態を示す図であり、図3に相当する図である。
第3の実施形態は、図8に示された第2の実施形態とは、ねじステータ22にざぐり22eを設け、固定用ボルト40の頭部41をざぐり22e内に配置した点で相違する。第3の実施形態では、六角穴付きボルトの頭部41の高さを、ざぐり22eの深さよりも薄くして、六角穴付きボルトの頭部41全体を、ざぐり22e内に配置した構造として例示されている。このため、六角穴付きボルトの頭部41の上面は、ねじステータ22の上面22dよりも低い位置に配置されている。
六角穴付きボルトは、JIS B 1176の規定に適合するもの(規格製品)、あるいは、規格製品に対し、その頭部41の高さ(厚さ)が低い(薄い)ものである。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第3の実施形態の他の構成は、上述した第2の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、本発明の第4の実施形態を示す図であり、図3に相当する図である。
図10に図示された第4の実施形態では、第3の実施形態とは、固定用ボルト40としての六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の上面22dよりも突出する構造である点で相違する。
つまり、この構造では、六角穴付きボルトの頭部41の高さ(厚さ)は、ねじステータ22に設けられたざぐり22eの深さよりも高く(厚く)形成されている。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176の規定に適合するか、それよりも低いものである。従って、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の上面22dから突出する高さは、規格製品の頭部がねじステータ22の上面22dから突出する高さよりも低くなる。
すなわち、第4の実施形態に示された構造では、六角穴付きボルトの頭部41がざぐり22e内に配置されているため、六角穴付きボルトの頭部41の上面がねじステータ22の上面22dから突出する高さは、ざぐり22eが形成されていない従来の構造よりも小さくなっている。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第4の実施形態の他の構成は、上述した第2、第3の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
10 ロータ
11 ロータシャフト
12 ロータ翼
13 ロータ円筒部
20 ベース
20c 上面
21 固定翼
22 ねじステータ
22d 上面
22d1 内周側内側傾斜面
22d2 内周側外側傾斜面
22d3 平坦面
22e ざぐり
22g ねじ溝
40 固定用ボルト(六角穴付きボルト)
41 頭部
42 六角穴
GS 流路(導入路)
SP ねじ溝排気部
TP ターボ排気部
Claims (1)
- ベースと、
前記ベースに回転可能に設けられたロータシャフトと、
多段に配列されたロータ翼とロータ円筒部を有し、前記ロータシャフトに取付けられたロータと、
前記ロータ翼間に配置され、前記ロータ翼と共にターボ排気部を構成する固定翼と、
前記ロータ円筒部と共にねじ溝排気部を構成するステータと、
前記ステータを、前記ターボ排気部から気体が導入される前記ねじ溝排気部の導入路において前記ベースの上面に固定する六角穴付きボルトとを備え、
前記ステータの上面にざぐりが設けられ、
前記六角穴付きボルトの頭部が前記ざぐり内に配置され、前記六角穴付きボルトの頭部の上面が前記ステータの上面とほぼ面一であり、
前記ステータの上面には、内周側内側傾斜面と、内周側外側傾斜面と、前記内周側内側傾斜面と前記内周側外側傾斜面との間に配置された平坦面とが形成されており、
前記内周側内側傾斜面および前記内周側外側傾斜面は、前記ロータシャフトに向かって下り勾配に形成されており、
前記平坦面は、前記ロータシャフトに直交する方向に環状に形成されており、
前記六角穴付きボルトの頭部の上面は前記平坦面の上面とほぼ面一である、真空ポンプ。
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