JP7087867B2 - タンタル酸リチウム基板の製造方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンタル酸リチウム結晶を用いてタンタル酸リチウム基板を製造する方法に係り、特に、色むら(還元むら)の無い電気的特性に優れたタンタル酸リチウム基板を安定して製造できるタンタル酸リチウム基板の製造方法に関するものである。
タンタル酸リチウム(以下、LTと略称することがある)結晶は、融点が約1650℃、キュリー温度が約600℃の強誘電体であり、この結晶を用いて製造されたタンタル酸リチウム基板は、主に、携帯電話の送受信用デバイスに用いられる表面弾性波(SAW)フィルター材料として適用されている。
そして、携帯電話の高周波化、各種電子機器の無線LANであるBluetooth(登録商標)(2.45GHz)の普及等により、2GHz前後の周波数領域のSAWフィルターが今後急増すると予測されている。
上記SAWフィルターは、LT等の圧電材料で構成された基板上に、Al、Cu等の金属薄膜で一対の櫛型電極が形成された構造となっており、この櫛型電極がデバイスの特性を左右する重要な役割を担っている。また、上記櫛型電極は、圧電材料上にスパッタリングにより金属薄膜を成膜した後、一対の櫛型パターンを残し、フォトリソグラフ技術により不要な部分をエッチングにより除去することで形成される。
また、上記LT単結晶は、産業的には、主にチョクラルスキー法によって、酸素濃度が数%~20%程度の窒素-酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成されており、通常、高融点のイリジウム坩堝が用いられ、育成されたLT単結晶は電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出して得られている。
育成されたLT結晶は、無色透明若しくは透明度の高い淡黄色を呈している。育成後、結晶の熱応力による残留歪みを取り除くため、融点に近い均熱下で熱処理を行い、更に単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LT結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理後、結晶の外径を整えるために外周研削されたLT結晶(インゴットと称する)は、スライス、ラップ、ポリッシュ工程等の機械加工を経て基板となる。最終的に得られた基板はほぼ無色透明で、その体積抵抗率はおよそ1014~1015Ω・cm程度である。
ところで、このような従来の方法で得られた基板では、表面弾性波素子(SAWフィルター)製造プロセスにおいて、LT結晶の特性である焦電性のため、プロセスで受ける温度変化によって電荷が基板表面にチャージアップし、これにより生ずる放電が原因となって基板表面に形成した櫛型電極が破壊され、更には基板の割れ等を生じて素子製造プロセスでの歩留まり低下が起きている。
そこで、LT結晶の焦電性による不具合を解消するため、導電率を増大させる技術がいくつか提案されている。例えば、特許文献1では、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素およびこれ等の組合せから選択されたガスの還元雰囲気で基板の状態に加工されたLT結晶(以下「基板形状のLT結晶」とし、還元処理後のLT基板と区別する)を熱処理(還元処理)してその導電性を増大させる方法が提案され、特許文献2では、基板形状のLT結晶を20Pa以下の減圧雰囲気で熱処理してその導電性を増大させる方法が提案されている。また、特許文献3では、基板形状のLT結晶が収容された処理室内に酸素ポンプを用いて酸素分圧が1×10-22atm以下の不活性ガスを供給しながら熱処理する方法が提案され、特許文献4では、基板形状のLT結晶をアルミニウム粉末(Al粉)と酸化アルミニウム粉末(Al23粉)との混合粉中に埋め込んで熱処理する方法が提案されている。尚、導電性を増大させたLT基板は、酸素空孔が導入されたことにより光吸収を起こすようになる。そして、観察されるLT基板の色調は、透過光では赤褐色系に、反射光では黒色に見えるため、導電性を増大させる還元処理は黒化処理とも呼ばれており、このような色調の変化現象を黒化と呼んでいる。
特開平11-92147号公報 特開2004-152870号公報 特許6001261号公報(図3参照) 特許4063191号公報
ところで、融点が1250℃程度と比較的低いニオブ酸リチウム結晶と異なり、融点が約1650℃と高いタンタル酸リチウム結晶に対して特許文献1および特許文献2の方法を適用した場合、LT基板の導電性が十分に増大しないため、焦電性による不具合を十分に改善でない問題があった。また、LT結晶が収容された処理室内に酸素ポンプを用いて酸素分圧が1×10-22atm以下の不活性ガスを供給しながら熱処理する特許文献3の方法では、10-12~10-11Ω-1・cm-1(特許文献3における図3のグラフ参照)程度の導電率(1011~1012Ω・cm程度の体積抵抗率)は得られるものの、処理室内に供給する不活性ガスの酸素分圧を1×10-22atmにするには、酸化ジルコニウム(ZrO2)等の固体電解質で構成された高価な酸素ポンプを設置する必要があり、かつ、酸素ポンプで調製される不活性ガス量は少量であるため僅かな枚数のLT結晶しか処理できず、生産コストと生産性に劣る問題を有していた。
一方、基板形状のLT結晶をアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に埋め込んで熱処理(還元処理)する特許文献4の方法においては、所望とする体積抵抗率(導電性)が得られると共に、高価な酸素ポンプを設置する必要がないため生産コストにも優れた利点を有している。しかし、所望される体積抵抗率が低くなる(下記参考例1で例示された7.0×108Ω・cm程度)につれて、上記混合粉中におけるアルミニウム粉末の比率を高く設定する必要があり、アルミニウム粉末の比率が20質量%以上になった場合、直径1~5mm程度の黒い点(色むら、すなわち還元むら)が発生し易くなり、生産性を悪化させる問題を有していた。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、所望される体積抵抗率が低い(例えば108Ω・cm程度)場合でも、色むら(還元むら)の無い電気的特性に優れたタンタル酸リチウム基板を安定して製造できるタンタル酸リチウム基板の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者は、アルミニウム粉末の比率を20質量%未満に設定しても、熱処理後におけるタンタル酸リチウム基板の体積抵抗率を低く(例えば108Ω・cm程度)調整できる方法を完成させるため鋭意研究を行ったところ、アルミニウム粉末との混合粉に用いる酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させることで達成できることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
タンタル酸リチウム結晶を用いてタンタル酸リチウム基板を製造する方法であって、容器内に充填されたアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム結晶を埋め込み、かつ、上記容器を加熱炉内に配置した後、タンタル酸リチウム結晶のキュリー温度未満の温度で熱処理してタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
上記混合粉が、アルミニウム粉末とアルコールを吸着した酸化アルミニウム粉末とで構成されることを特徴とする。
第2の発明は、
第1の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
アルコールを吸着した酸化アルミニウム粉末に含まれる炭素量が0.1質量%~2.0質量%であることを特徴とする。
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記アルコールが、炭素数2~18のアルコールで構成されることを特徴とする。
第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記混合粉中におけるアルミニウム粉末の比率が20質量%未満であることを特徴とする。
第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
大気圧雰囲気下の上記加熱炉内に不活性ガスを連続的に給排することを特徴とする。
また、第6の発明は、
第5の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記不活性ガスがアルゴンガスで構成され、加熱炉内に連続的に給排されるアルゴンガスの流量が0.5~5L/minであることを特徴とする。
本発明に係るタンタル酸リチウム基板の製造方法によれば、
アルミニウム粉末との混合粉に用いる酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させているため、上記混合粉中に埋め込まれたタンタル酸リチウム結晶が熱処理される際、酸化アルミニウム粉末に吸着されたアルコールが分解して炭素を生成する。
そして、アルミニウム粉末の還元作用と共に生成した炭素の還元作用が加わるため、アルミニウム粉末の比率が20質量%未満に設定されても、タンタル酸リチウム基板の体積抵抗率を低く(例えば108Ω・cm程度)調整でき、色むら(還元むら)の無い電気的特性に優れたタンタル酸リチウム基板を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム結晶(基板形状のLT結晶)をアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に埋め込んで熱処理するLT基板の製造方法において、所望される体積抵抗率が低い(例えば108Ω・cm程度)場合においても、直径1~5mm程度の黒い点(還元むら)が発生しないように上記酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させたことを特徴とするものである。
以下、本発明に係るLT基板の製造方法について工程毎に説明する。
(A)酸化アルミニウム粉末のアルコール吸着工程
この工程は、酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させる工程である。この工程において、酸化アルミニウム粉末に吸着させるアルコールの種類は任意であり、メタノール、エタノール、プロパノール(n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール)、ブタノール(n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第2ブチルアルコール、第3ブチルアルコール)、オレイルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール等の二価アルコール等、炭素数2~18のアルコールが例示される。
また、酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させる方法も任意であり、トレーに収容された酸化アルミニウム粉末に向け噴霧器等を用いてアルコールを噴霧し、酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させる方法が例示される。また、アルコールの噴霧量としては、アルコールを吸着した酸化アルミニウム粉末に含まれる炭素量が0.1質量%~2.0質量%、好ましくは0.1質量%~1.0質量%に相当する量である。尚、酸化アルミニウム粉末にアルコールを吸着させない場合、熱重量・質量分析装置を用いて測定した酸化アルミニウム粉末に含まれる炭素量は0.02質量%以下であった。
(B)アルミニウム粉と酸化アルミニウム粉の混合工程
この工程は、アルミニウム粉末(Al粉)と酸化アルミニウム粉末(Al23粉)を混合する工程である。この工程において、上記(A)酸化アルミニウム粉末のアルコール吸着工程によりアルコールが吸着された酸化アルミニウム粉末(Al23粉)と、アルミニウム粉末(Al粉)を混合する。
混合するAl粉の比率は、20質量%未満が好ましく、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5~15質量%の範囲である。
Al粉の比率を20質量%以上とした場合、LT基板の充分な導電性(体積抵抗率)が達成される反面、Al粉比率の上昇に伴い、直径1~5mm程度の黒い点(色むら不良)の発生率が増加する傾向が確認され、生産性が悪化してしまう。
そして、本発明においては、Al粉の比率が20質量%未満であっても、酸化アルミニウム粉末(Al23粉)に吸着させるアルコール量を適宜調整することにより、LT基板の体積抵抗率を所望とする値に低下させることが可能となる。
(C)タンタル酸リチウム基板(LT基板)の熱処理工程
この工程は、アルミニウム粉末(Al粉)と酸化アルミニウム粉末(Al23粉)の混合粉中に基板形状のLT結晶を埋め込んで熱処理する工程である。
熱処理温度はLT結晶のキュリー温度未満(約600℃未満)とし、熱処理の雰囲気は、真空条件または不活性ガスの封止条件でよく、あるいは、大気圧雰囲気下で不活性ガスを加熱炉内に連続的に給排する雰囲気でもよい。尚、真空条件または不活性ガスの封止条件とした場合、加熱炉内の熱が一か所に溜まって還元むら(色むら)を起こすことがあるため、熱処理の雰囲気としては、大気圧雰囲気下で不活性ガスを加熱炉内に連続的に給排する雰囲気が好ましい。不活性ガスを加熱炉内に連続的に給排することで、炉内において熱を均一にすることができる。不活性ガスとしては、アルゴンガスや窒素ガス等を使用できる。加熱炉内に連続的に給排される不活性ガスの流量は、不活性ガスがアルゴンガスである場合、0.5~5L/minであることが好ましい。
ところで、基板形状のLT結晶が熱処理される際、この熱処理により混合粉中の酸化アルミニウム粉末(Al23粉)に吸着されたアルコールが分解して炭素を生成し、強力な還元剤となる。
そして、酸化アルミニウムに吸着されるアルコール量(すなわち炭素量)が増えるに伴い、熱処理後のLT基板の体積抵抗率は低下する傾向にある。従って、上記(A)酸化アルミニウムのアルコール吸着工程で吸着させるアルコール量を適宜調整することにより、混合粉中のAl粉比率を従前より低く設定でき、これにより混合粉中のAl粉比率を20質量%以上に設定する必要がなくなることから、直径1~5mm程度の黒い点(色むら不良)の発生を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施例について参考例も挙げて具体的に説明するが、本発明の技術範囲は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
[加熱炉の構成]
実施例と参考例で用いられる加熱炉には給気口と排気口が設けられ、一般的に市販されているアルゴンガス(酸素分圧は1×10-6atm程度)が給気口を介し加熱炉内に連続的に供給されると共に、排気口を介してアルゴンガス(不活性ガス)が加熱炉外へ連続的に排気されて、加熱炉内は大気圧雰囲気下に調整されている。尚、加熱炉内に給排されるアルゴンガスの流量は2L/minに設定されている。
[LT結晶の育成とインゴットの加工等]
コングルエント組成の原料を用い、チョクラルスキー法により、直径4インチであるLT単結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素-酸素混合ガスである。得られたLT結晶のインゴットは透明な淡黄色であった。
LT結晶のインゴットに対し、熱歪み除去のための熱処理と単一分極とするためのポーリング処理を行った後、外周研削、スライス、および研磨を行って42゜RY(Rotated Y axis)の基板形状に加工されたLT結晶とした。
得られた42゜RYのLT結晶は、無色透明で、体積抵抗率は1×1015Ω・cm、キュリー温度は603℃であった。
[実施例1]
トレーに収容した平均粒径52μmのAl23粉(酸化アルミニウム粉末)に向け、噴霧器を用いてエタノールを噴霧し、Al23粉にエタノールを吸着させた。尚、噴霧器によるエタノールの噴霧量は、エタノールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が0.1質量%に相当する量である。また、平均粒径は、Al23粉をレーザー回折式粒度分布計で測定した値である。
エタノールが吸着されたAl23粉を90質量%と、平均粒径100μmのAl粉(アルミニウム粉末)を10質量%の割合で混合してAl粉とAl23粉の混合粉を得た。
次いで、上記混合粉をステンレス製容器に充填し、該混合粉中に基板の状態に加工されたLT結晶を埋め込み、かつ、LT結晶が埋め込まれたステンレス製容器を給気口と排気口を有する上記加熱炉内に配置した。
そして、一般的に市販されているアルゴンガスを流量2L/minの条件で大気圧雰囲気下の上記加熱炉内に給排し、580℃、20時間の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
そして、基板の状態に加工された200枚のLT結晶について同様の熱処理を行い、処理後のLT基板の体積抵抗率を測定し、かつ、色むらの発生率を調査した。
尚、体積抵抗率は、JIS K-6911に準拠した3端子法により測定している。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は9.0×108Ω・cm(200枚の基板の平均値、以下同様)で、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。これ等結果を表1に示す。
[実施例2]
エタノールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が1.0質量%に相当する量とした以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は5.0×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例3]
トレーに収容した平均粒径52μmのAl23粉に向けてブタノールを噴霧し、ブタノールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が0.1質量%に相当する量とした以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は9.0×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例4]
ブタノールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が1.0質量%に相当する量とした以外は実施例3と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は4.8×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例5]
トレーに収容した平均粒径52μmのAl23粉に向けてオレイルアルコールを噴霧し、オレイルアルコールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が0.1質量%に相当する量とした以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は8.9×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例6]
オレイルアルコールを吸着したAl23粉に含まれる炭素の量が1.0質量%に相当する量とした以外は実施例5と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は4.8×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例7]
炭素の量が1.0質量%に相当する量のエタノールが吸着されたAl23粉を95質量%と、Al粉を5質量%の割合で混合し以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は1.3×109Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例8]
炭素の量が1.0質量%に相当する量のエタノールが吸着されたAl23粉を85質量%と、Al粉を15質量%の割合で混合し以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は1.0×108Ω・cmで、色むら発生率は5%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
これ等結果を表1に示す。
[実施例9]
炭素の量が2.0質量%に相当する量のエタノールが吸着されたAl23粉を90質量%と、Al粉を10質量%の割合で混合し以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は1.0×108Ω・cmで、色むら発生率は2%であり、電気的特性に優れたLT基板を得ることができた。
但し、アルコール量が多く(2.0質量%)なる分、生産コストが割高になった。これ等結果を表1に示す。
[参考例1]
Al23粉にエタノールを吸着させず、かつ、Al23粉を80質量%とAl粉を20質量%の割合で混合した以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
尚、エタノールが吸着されていないAl23粉の炭素量を、熱重量・質量分析装置で測定した結果、炭素量は0.02質量%であった。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は7.0×108Ω・cmで電気的特性に優れていたが、色むら発生率が17%であり、直径1~5mm程度の黒い点(色むら不良)が発生した。これ等結果を表1に示す。
[参考例2]
Al23粉にエタノールが吸着されていない以外は実施例1と同様の条件によりLT結晶の熱処理(還元処理、黒化処理)を行った。
尚、エタノールが吸着されていないAl23粉の炭素量を、参考例1と同様、熱重量・質量分析装置で測定した結果、炭素量は0.02質量%であった。
熱処理(還元処理、黒化処理)後におけるLT基板の体積抵抗率は1.5×109Ω・cmであり、Al粉割合が5質量%の実施例7と同様の電気的特性を有していたが、色むら発生率は2.5%であり、実施例7より劣っていた。これ等結果を表1に示す。
Figure 0007087867000001
[確 認]
(1)Al粉10質量%、エタノール吸着Al23粉適用の実施例1、2、9において
実施例1(Al23粉の炭素量:0.1質量%、体積抵抗率:9.0×108Ω・cm)、
実施例2(Al23粉の炭素量:1.0質量%、体積抵抗率:5.0×108Ω・cm)、
実施例9(Al23粉の炭素量:2.0質量%、体積抵抗率:1.0×108Ω・cm)
なるデータからAl23粉の炭素量が多い程、体積抵抗率は小さくなっている。
このことから、LT結晶の還元には混合粉中の酸化アルミニウム粉末(Al23粉)に含まれる炭素が関与していることが確認されている。
(1-1)Al粉10質量%、ブタノール吸着Al23粉適用の実施例3~4、および、
(1-2)Al粉10質量%、オレイルアルコール吸着Al23粉適用の実施例5~6においても同様である。
(2)また、参考例1(Al粉が20質量%、体積抵抗率:7.0×108Ω・cm)と略同等の体積抵抗率を有する実施例1(体積抵抗率:9.0×108Ω・cm)、実施例2(体積抵抗率:5.0×108Ω・cm)、実施例3(体積抵抗率:9.0×108Ω・cm)、実施例4(体積抵抗率:4.8×108Ω・cm)、実施例5(体積抵抗率:8.9×108Ω・cm)、および、実施例6(体積抵抗率:4.8×108Ω・cm)等から、Al粉の比率が20質量%未満(実施例1~6:10質量%)であっても参考例1と同等の体積抵抗率が得られる。
従って、アルミニウム粉末の比率を20質量%以上に設定する必要がないため、直径1~5mm程度の黒い点(色むら不良)の発生を抑制できることが確認される。
(3)他方、Al23粉に含まれる炭素量が0.02質量%、Al粉の比率が10質量%である参考例2では、LT基板の体積抵抗率が1.5×109Ω・cmと高い数値になっており、体積抵抗率を低く(例えば108Ω・cm程度)するにはアルミニウム粉末の比率を20質量%以上(参考例1参照)に設定する必要があることも確認される。
本発明方法によれば、所望される体積抵抗率が低い(例えば108Ω・cm程度)場合でも、色むら(還元むら)の無い電気的特性に優れたタンタル酸リチウム基板を製造できるため、表面弾性波素子用の基板材料に用いられるタンタル酸リチウム基板を安定して提供できる産業上の利用可能性を有している。

Claims (6)

  1. タンタル酸リチウム結晶を用いてタンタル酸リチウム基板を製造する方法であって、容器内に充填されたアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム結晶を埋め込み、かつ、上記容器を加熱炉内に配置した後、タンタル酸リチウム結晶のキュリー温度未満の温度で熱処理してタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
    上記混合粉が、アルミニウム粉末とアルコールを吸着した酸化アルミニウム粉末とで構成されることを特徴とするタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  2. アルコールを吸着した酸化アルミニウム粉末に含まれる炭素量が0.1質量%~2.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  3. 上記アルコールが、炭素数2~18のアルコールで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  4. 上記混合粉中におけるアルミニウム粉末の比率が20質量%未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  5. 大気圧雰囲気下の上記加熱炉内に不活性ガスを連続的に給排することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  6. 上記不活性ガスがアルゴンガスで構成され、加熱炉内に連続的に給排されるアルゴンガスの流量が0.5~5L/minであることを特徴とする請求項5に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
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