JP2008161812A - 自動車排NOx浄化用触媒及び排NOx浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来困難であったディーゼル排NOxを効率的に浄化処理するために、触媒として新規の強塩基性メソポーラス触媒を用い、還元剤としてアルコールを用いる、新規のNOx浄化方法を提供する。
【解決手段】アルコールを還元剤に用いてリーンバーン排ガス中のNOxを浄化するための触媒が、10≦pH≦14の範囲にある強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒であることを特徴とする自動車排NOx浄化用触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車排NOx浄化用触媒及び浄化方法に関するものであり、触媒として強塩基性のメソポーラス材料に担持した白金族触媒を用い、還元剤としてアルコール用いて、リーンバーン排NOxを高効率で浄化処理することに関する。
従来、ガソリン車の排ガスに含まれるNOx、一酸化炭素、及び炭化水素は、白金族元素から成る三元触媒によって浄化されている(特許文献1参照)。三元触媒は、通常、触媒支持体としてコージェライト製のモノリス成形体を用い、該成形体のガス流路内壁に数μm〜数十μmの大きさの活性アルミナ粒子を塗布し、該塗布層に数10nm〜数100nmの大きさの白金-パラジウム-ロジウム粒子を担持させた構造となっている。三元触媒による浄化方法は、空気:燃料の重量混合比である空燃比を理論空燃比(=14.7)近傍に制御することで(この燃焼はリッチバーンと呼ばれている)排ガスに含まれる酸素濃度を1%以下に維持できるので、排ガスに含まれる一酸化炭素及び炭化水素をNOxの還元剤として利用できるという利点を持つが、排ガス中の酸素濃度が数%以上になると触媒の著しい酸化劣化が生じるという問題がある。
また、軽油燃料で走行するトラック、バス等の大型ディーゼル車の排ガス処理は、触媒として遷移金属化合物又は白金族元素を用い還元剤として尿素水を用いる、所謂尿素SCR法が検討されている(特許文献2参照)。この方法は、100℃付近の比較的低温領域から600℃付近の比較的高温領域に渡ってNOxを効率的に浄化できるという利点を持つが、還元剤として高価な尿素水の搭載が必要であるという問題と、200℃付近以下の低温排NOxの多くが硝酸アンモニウムとして排出されるので水質環境汚染を招くという問題がある。
一方、ディーゼル乗用車等の小型ディーゼル車の排NOx処理には三元触媒が使用できない。それは、空燃比がガソリンの空燃比の数倍以上であるので(ディーゼル燃料の燃焼はリーンバーンとよばれている)ディーゼル排ガス中の酸素濃度が通常5%以上であり還元性物質がほとんど含まれていないためである。同様の理由でリーンバーンガソリン車の排ガスも三元触媒では浄化が難しい。小型ディーゼル車の排NOx処理には、触媒として白金族触媒にNOx吸蔵剤を添加した所謂NOx吸蔵還元触媒が検討されている(特許文献3参照)。この方法は、リーンバーンとリッチバーンのサイクル燃焼を行い、リーンバーン排NOxをNOx吸蔵剤で吸収し、吸収NOxをリッチバーン雰囲気下で放出させ、放出NOxをリッチバーン排ガス中の一酸化炭素、水素、炭化水素等の還元性物質で還元処理するという考えに立脚している。NOx吸蔵還元触媒を用いた浄化方法は、ガソリン乗用車の排ガス処理に用いられている三元触媒が使用できないような高濃度の酸素雰囲気中でも250℃付近から600℃付近に渡ってNOxを浄化できるという利点を持つが、200℃付近以下でのNOx浄化は非常に困難であるという問題と排ガス中の水分及び少量のSOxによってNOx吸蔵剤が著しく劣化するという問題がある。また、250℃から300℃での中温付近でのNOx浄化の大部分が、非常に大きな温暖化係数をもつ一酸化二窒素(N2O)の段階で止まっているという問題がある。
尿素水以外の還元剤を用いる方法としては、自動車燃料(燃料に少量含有されるエチレン、プロピレン等の炭化水素が還元性を有する)を還元剤として用いるハイドロカーボンSCR法が検討されており、この方法はリッチバーン排NOxに対しては高い浄化率が得られるが、燃費が低減するという問題があるので必ずしも好ましくない。また、メタノールを還元剤として用いることが提案されているが、反応開始温度が300℃以上であるという問題がある(非特許文献1参照)。また、ディーゼル排ガス等の排NOx浄化用に研究されているゼオライト担持触媒は、水熱条件下での水分及び酸素によって著しく活性が低
下するという問題がある。
ところで、国内ではディーゼル乗用車の排出する排ガスの温度は過渡走行時でおよそ120℃〜200℃であり安定走行時でおよそ200℃〜400℃であるが、排出されるNOxの約80%が過渡走行時に排出されている。
以上のことから、ディーゼル乗用車の排NOx処理に要求される触媒は、上記120℃〜200℃の低温領域のリーンバーン排NOxに対して高活性を有する触媒であることが望まれているが、現在の所、250℃以下のリーンバーン排NOxに対して有効な排NOx浄化用触媒及び浄化方法は見出されていない。また、低温から中温領域でのNOx浄化の大部分が、非常に大きな温暖化係数をもつ一酸化二窒素(N2O)の段階で止まっているという問題も解決されていない。
一般に、工業的な触媒は多孔性材料に担持した状態で使用されることが多い。多孔性材料の細孔は、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)によると、細孔直径が2nm以下のミクロ細孔、2〜50nmのメソ細孔、及び50nm以上のマクロ細孔に分類されている。ミクロからメソの範囲にわたる広い分布をもつような単一の多孔性材料は活性炭以外には知られていない。
近年、細孔径が数nmの細孔が規則的に配列し、比表面積が400〜1100m2/gという非常に大きな値を有するシリカ、アルミナ、及びシリカアルミナ系のメソポーラス分子篩が開発された。これらは、例えば、特許文献1、2、及び3等に開示されており、細孔の細孔配列があたかも結晶性物質の原子配列に類似していることから結晶性メソポーラス分子篩と命名されている。
触媒反応は表面反応であるので触媒の比表面積が大きいほど触媒活性が高い。また、触媒を担持するための担体は比表面積が大きいほど触媒活性を発現しやすい。このような観点から自動車用三元触媒をみると、支持体としてのモノリス成形体は成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体であり、比表面積が約0.2m2/g、担体としてのアルミナ粒子の比表面積が110〜340m2/gであり、触媒の比表面積は粒径から20〜40m2/g程度であると推定される。したがって、従来の触媒粒子の粒径よりも一桁から二桁小さいナノサイズの触媒粒子を上記のようなメソポーラス材料の細孔内に担持することによって触媒の表面積は従来の三元触媒の102〜104倍大きくなるので、これをモノリス成形体に塗布することによって自動車排ガスに対する触媒活性の向上を図ることが考えられ、この考えは、例えば、特許文献4〜9に開示されている。しかし、ディーゼル乗用車等が排出する120℃〜250℃付近の低温排NOxを効果的に除去することは困難であった。
特開平5-254827号公報 特表平5-503499号公表 特表平6-509374号公表 米国特許第 5,143,707号明細書 特開平8-257407号公報 特開2001-9275号公報 特開2002-210369号公報 特開2002-320850号公報 特開2003-135963号公報 Applied Catalysis B: Environmental 17 (1998) 115-129.
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、従来困難であったリーンバーン排NOxを効率的に浄化するために、低温領域のリーンバーン排NOxに対して高活性を示す新規のメソポー
ラス触媒及びこの触媒を用いた排NOx浄化方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔分布と高比表面積を有する強塩基性のメソポーラス材料に白金を主体とした触媒を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒によって、アルコールを用いてNOxを還元処理する方法がリーンバーン排NOx処理に対して非常に有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アルコールを還元剤に用いてリーンバーン排ガス中のNOxを浄化するための触媒が、10≦pH≦14の範囲にある強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒であることを特徴とする自動車排NOx浄化用触媒。
(2)アルコールがエタノールであり、また、強塩基性のメソポーラス触媒が100m2/g〜1400m2/gの比表面積と1〜50nmの細孔径を有する強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持した触媒であることを特徴とする(2)に記載の自動車排NOx浄化用触媒。
(3)強塩基性のメソポーラス材料が、強塩基性のイオンを固定したシリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料から選ばれたメソポーラス材料であり、又、白金族の触媒活性成分が白金であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の自動車排NOx浄化用触媒。
(4)アルコールを還元剤に用いて、10≦pH≦14の範囲にある強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒によってリーンバーン排ガス中のNOxを浄化することを特徴とする自動車排NOx浄化方法。
(5)アルコールがエタノールであり、また、強塩基性のメソポーラス触媒が100m2/g〜1400m2/gの比表面積と1〜50nmの細孔径を有する強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持した触媒であることを特徴とする(4)に記載の自動車排NOx浄化方法。
(6)強塩基性のメソポーラス材料が、強塩基性のイオンを固定したシリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料から選ばれたメソポーラス材料であり、又、白金族の触媒活性成分が白金であることを特徴とする(4)又は(5)に記載の自動車排NOx浄化方法、に関する。
本発明の触媒として強塩基性のメソポーラス触媒を用い還元剤としてアルコールを用いる排NOx浄化方法は、従来達成できなかったリーンバーン排NOx処理を低温領域でも極めて効率よく行うことができる。例えば、三元触媒では酸素濃度14%の雰囲気下における一酸化窒素はほとんど浄化できないが、本発明の強塩基性メソポーラスアルミナに白金を担持したメソポーラス触媒は、含水エタノールを還元剤に用いて、酸素濃度14%の雰囲気に存在する一酸化窒素の60%以上を180℃〜400℃において浄化できる。また、NOx浄化の60%以上が窒素の段階まで還元されるという特長をもつ。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の特徴は、自動車排NOxの還元剤としてアルコールを用いることと、アルコールによるNOx還元率を高めるために強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性の固体触媒を用いることである。以下では、この触媒のことを強塩基性のメソポーラス触媒と称する。
還元剤としてアルコールを用いるのは、アルコールが、ハイドロカーボンSCR法で還
元剤として機能する低級オレフィンと違い、酸化雰囲気の排NOxに対して高活性を示すという特長を見出したからである。本発明では、アルコールとしてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、等の低級アルコールと炭素数5以上のアルコールが有効であるが、これらの中でメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが還元性に優れているので好ましく、中でもエタノールは、引火性が低く経口毒性も低いのでさらに好ましい。上記のアルコールは、含水アルコールでも有効である。含水率は、アルコールの分解温度に影響を与えない程度であることが好ましく、通常は10%程度以内である。また、排NOx処理に供給されるアルコールの量は、排ガス中の酸素濃度にも多少影響されるが、酸素濃度が20%以下の範囲であればNOxと同程度のモル数から数十倍程度のモル数であれば特に限定するものではない。
本発明メソポーラス触媒の担体として用いるメソポーラス材料は、高比表面積を有し細孔径がナノサイズであるので、そこに担持される触媒の比表面積を飛躍的に高められること、触媒を細孔内に担持することで触媒粒子の再凝集を抑制し触媒の均一高分散を図れること、などの優れた効果がある。比表面積は、特別な事情がない限り高ければ高いほどよい。本発明に用いることのできるメソポーラス材料の比表面積は100〜1400m2/gであり、好ましくは100〜1200m2/g、さらに好ましくは、200〜1200m2/gである。比表面積が100m2/g未満では、触媒の担持量が少なくなるので担持触媒の触媒性能を引き出す上で100m2/g以上であることが好ましい。一方、材料強度上の面からは比表面積が1400m2/g以下であることが好ましい。なお、本発明における比表面積は、吸脱着の気体として窒素を用いたBET窒素吸着法によって測定される値である。また、本発明メソポーラス材料の細孔の大部分は、細孔径(直径表示)が1〜50nmの範囲にあり、好ましくは2〜20nmの範囲にあり、より好ましくは2〜10nmの範囲にある。ここでいう細孔の大部分とは1〜50nmの細孔が占める細孔容積が全細孔容積の60%以上であることをいう。細孔径が1nm未満であっても触媒の担持は可能であるが不純物等による汚染の影響を考えると1nm以上が好ましい。50nmを越えると分散担持された触媒が水熱高温条件などによるシンタリング(=燒結)によって巨大粒子に成長しやすくなるので50nm以下が好ましい。なお、本発明における細孔径は、吸脱着の気体として窒素を用いた窒素吸着法によって測定される値でありBJH法によって求められる1〜200nmの範囲の細孔分布(微分分布表示)で示される。
さらに本発明のメソポーラス材料は、強塩基性であることが必要である。アルコールを酸素雰囲気中、触媒下で、還元性物質に変換するには強塩基性のメソポーラス材料であることが好ましく、10≦pH≦14の範囲が好ましいことが見出された。特に好ましい範囲は、12≦pH≦14である。このような材料としては、強塩基性のイオンを固定したシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、ニオビア、及び活性炭、が好ましく、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、及び活性炭がさらに好ましく、中でもシリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料が最も好ましい。また、場合によっては、ミクロポーラス分子篩材料である既存のゼオライト系材料を用いてもよい。該メソポーラス材料に固定される強塩基性イオンとしては、酸素イオン(O, O2−, O2 のうちいずれか1種以上)、硫酸イオン(SO4 2−イオン)、硝酸イオン(NO3−)、過塩素酸イオン(ClO4 )などのオキシ酸イオン、等であることが好ましく、中でも酸素イオンと硫酸イオンであることが好ましい。これらのイオンの存在は、赤外分光法で測定されるスペクトルの特性基振動数によって同定することができる。
本発明強塩基性メソポーラス材料の塩基性は、水素イオン濃度であるpHによって表す。本発明の強塩基性メソポーラス材料は水溶性ではないので、pHを知るためにはメソポーラス材料を中性の液体中でコロイド状に微分散させた中に特定のpHで変色するpH指示薬を入れ、該指示薬の変色からpHを測定する。pH指示薬としては、フェノールフタレイン、α-ナフトールベンゾイン、チモールフタレイン、アリザリンイエロー、ジアゾ
バイオレット、サリシルイエロー、トロペオリン、アリザリンブルーS,ニトラミン、トリニトロベンゼン、トリニトロベンゾイックアシッド等の塩基性領域のpHで敏感に変色する指示薬を用いることができる。
次に本発明で用いる触媒活性成分としては、白金族元素が好ましい。白金族元素とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の6元素の総称であるが、これらの中で、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金が好ましく、中でも白金が最も好ましい。白金を主体としてこれに白金以外の白金族元素を含有してもよい。本発明で白金主体の触媒を用いる理由は、触媒の主成分である白金が排NOの主成分である一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する触媒能力が高く、高濃度の酸素雰囲気中でも化学的に安定であるからである。又、白金族の中では白金が比較的低温活性であるからでもある。また、本発明の白金族触媒活性成分に異なる機能をもつ助触媒的成分を添加することによってシナジー効果による触媒性能の向上をはかることもできる。このような成分として、例えば、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、バリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ランタン、セリウム、バリウム、レニウム及びこれらの化合物をあげることができる。これらの中で、不動態化膜になるクロム、鉄、コバルト、ニッケル、還元剤の吸着力が比較的高い銅、NOx吸蔵性がある酸化バリウム、中程度の酸化力をもつ酸化セリウムと三二酸化マンガン、SOx被毒防止に有効な銅-亜鉛、鉄-クロム、酸化モリブデン、触媒活性成分の粒成長抑制に効果を示す鉄、レニウムなどは好ましい。これらの助触媒的成分の添加質量は、通常、白金の0.01倍から100倍程度であるが、必要に応じて100倍以上であってもよい。
本発明メソポーラス材料の細孔に担持される触媒活性成分の粒径は、細孔径とほぼ同程度ないしそれ以下であるので、前記の細孔径の範囲は、高活性を発現する触媒活性成分の粒径範囲とも一致している。一般に、ナノサイズに微粒化された触媒粒子は、活性を示すエッジ、コーナー、ステップなどの高次数の結晶面を多量にもつので、触媒活性が著しく向上するだけでなく、バルクでは触媒活性を示さないような不活性金属でも予期しなかった触媒活性を発現する場合があることが知られている。したがって、触媒能力の観点からは触媒活性成分は小さいほど好ましいのであるが、反面、微粒化による表面酸化、副反応などの好ましくない性質もでてくるので、微粒子の粒子径には最適範囲が存在する。本発明における目的のNOx分解浄化処理に対して効果的な活性を示す触媒活性成分の平均粒径は1〜50nmの範囲にあり、1〜20nmの範囲が好ましく、1〜10nmの範囲が特に好ましい。
強塩基性メソポーラス材料への触媒活性成分である白金族元素の担持量は0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であるが、量的な問題がなければ、通常は、1ないし数質量%の担持量で用いる。担持量は20質量%以上でも可能であるが、担持量が過剰になると反応にほとんど寄与しない細孔深部の触媒が増えるので20質量%以下が好ましい。0.01質量%未満では活性が十分ではないので0.01質量%以上が好ましい。
本発明で用いるメソポーラス材料の製造は、従来の方法である界面活性剤のミセルをテンプレートとして用いるゾル-ゲル法を応用することによって所用の材料を製造することができる。メソポーラス材料の前駆物質には、メソポーラスシリカの場合、通常、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン等のアルコキシドを用いる。メソポーラスアルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、ニオビアについても、通常、アルコキシドを用いて製造することができる。ミセル形成の界面活性剤は、例えば、長鎖のアルキルアミン、長鎖の4級アンモニウム塩、長鎖のアルキルアミンN−オキシド、長鎖のスルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のいずれであってもよい。溶媒として、通常、水、アルコール類、ジオ
ールの1種以上が用いられるが、水系溶媒が好ましい。反応系に金属への配位能を有する化合物を少量添加すると反応系の安定性を著しく高めることができる。このような安定剤としては、アセチルアセトン、テトラメチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ピリジン、ピコリンなどの金属配位能を有する化合物が好ましい。
前駆物質、界面活性剤、溶媒及び安定剤からなる反応系の組成は、前駆物質のモル比が0.01〜0.60、好ましくは0.02〜0.50、前駆物質/界面活性剤のモル比が1〜30、好ましくは1〜10、溶媒/界面活性剤のモル比が1〜1000、好ましくは5〜500、安定化剤/主剤のモル比が0.01〜1.0、好ましくは0.2〜0.6である。反応温度は、20〜180℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。反応時間は5〜100時間、好ましくは10〜50時間の範囲である。反応生成物は通常、濾過により分離し、十分に水洗、乾燥後、500〜1000℃の高温焼成によってテンプレートを熱分解除去し、メソポーラス材料を得ることができる。必要に応じて、焼成前に界面活性剤をアルコールなどで抽出することもできる。
次に、上記メソポーラス材料への強塩基性イオンの固定は、通常、強塩基性を示すアルカリ金属元素、又はアルカリ土類金属元素の水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、等の水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液、等を前記のメソポーラス材料に吸収させた後、乾燥後、200〜1000℃の温度で焼成することによって製造することができる。他の方法としては、アルカリ金属元素、又はアルカリ土類金属元素の金属蒸気、ハロゲン、NO2、SO2、SO3等の酸化性のガスを用いて200〜1000℃の温度で表面処理することによっても製造することができる。以上の処理を行なうことによって、メソポーラス材料に酸素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン等の塩基性イオンを固定することができる。
本発明の強塩基性メソポーラス触媒は、例えば、イオン交換法又は含浸法によって製造することができる。これらの二つの方法は、担体への触媒の沈着化について、イオン交換法が担体表面のイオン交換能を利用し、含浸法が担体のもつ毛管作用を利用しているという違いはあるが、基本的なプロセスはほとんど同じである。すなわち、強塩基性のメソポーラス材料を触媒原料の水溶液に浸した後、濾過、乾燥し、必要に応じて水洗を行い、還元剤で還元処理することによって製造することができる。
白金の触媒原料としては、例えば、H2PtCl4、(NH4)2PtCl4、H2PtCl6、(NH4)2PtCl6、Pt(NH3)4(NO3)2、Pt(NH3)4(OH)2、PtCl4、白金のアセチルアセトナート、等を用いることができる。必要に応じて助触媒的成分を添加した触媒は、例えば、助触媒的成分の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩などの水溶性塩類を白金触媒原料に混合して同様にして製造することができる。還元剤としては、水素、ヒドラジン水溶液、ホルマリン、等を用いることができる。還元は、それぞれの還元剤について知られている通常の条件で行なえばよい。例えば、水素還元は、ヘリウムなどの不活性ガスで希釈した水素ガス気流下にサンプルを置き、通常、300〜500℃で数時間処理することによって行なうことができる。還元後、必要に応じて、不活性ガス気流下500〜1000℃で数時間熱処理してもよい。
本発明の強塩基性のメソポーラス材料は、通常、自動車用触媒の支持体として用いられているモノリス成形体に付着させて用いる。モノリス成形体とは、成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体のことであり、モノリス成形体に触媒を付着させて成る触媒を以下ではモノリス触媒という。成形体の外形は、特に限定するものではないが、通常は、円柱形である。本発明の強塩基性のメソポーラス触媒をモノリス成形体のガス流路内壁に付着させる時のメソポーラス触媒の付着量は、3〜30質量%が好ましい。担体内部に存在する触媒へのガス拡散の面から30%未満が好ましい。また、十分な触媒性能を引き出す上で3%以上が好ましい。モノリス成形体への触媒の塗布量相当の付着量は、成形体の0.03〜3質量%が好ましい。
上記のモノリス触媒は、自動車用三元触媒を付着したモノリス成形体の製造方法に準じ
て製造することができる。例えば、強塩基性のメソポーラス触媒とバインダーとしてのコロイダルシリカを、通常、1:(0.01〜0.2)の質量割合で混合した混合物をつくり、これを水分散することによって通常10〜50質量%のスラリーを調整した後、該スラリーにモノリス成形体を浸漬してモノリス成形体のガス流路の内壁にスラリーを付着させ、乾燥後、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気下500〜1000℃で数時間熱処理することによって製造することがきる。コロイダルシリカ以外のバインダーとしては、メチルセルロース、アクリル樹脂、ポリエチレングリコールなどを適宜用いることもできる。あるいは、モノリス成形体に強塩基性のメソポーラス材料を塗布したのち、触媒原料を該メソポーラス材料に含浸し、還元処理、熱処理を行う方法によっても製造することができる。モノリス成形体に付着させるメソポーラス触媒層の厚みは、前記のスラリーを付着させる方法では、通常、1μm〜100μmであるのが好ましく、10μm〜50μmの範囲が特に好ましい。100μmを超えると反応ガスの拡散が遅くなるので100μm以下が好ましい。触媒性能の劣化を抑制するためには1μm以上が好ましい。
本発明の強塩基性メソポーラス触媒を付着させたモノリス触媒は、自動車、特にディーゼル自動車及びリーンバーンガソリン自動車に搭載することによって、自動車が排出するリーンバーン排NOxを200℃以下の低温領域において極めて効果的に浄化することができる。還元剤であるアルコールは、通常、直接又は改質器を通して排ガスと合流させて触媒層に供給する。また、本発明の排NOx浄化方法は、酸素濃度が低い時でも有効であるので、排ガス中の酸素濃度が高いリッチバーンと酸素濃度が低いリーンバーンを交互に行うことができる小型ディーゼルの排ガス浄化処理のために本発明のモノリス触媒を用いると、160℃〜600℃の広い温度範囲において効率よく排NOxを浄化処理できる。また、トラックなどの大型車用の排NOx浄化方法としても用いることができる。
以下に実施例などを挙げて本発明を具体的に説明する。
比表面積及び細孔分布は、脱吸着の気体として窒素を用い、カルロエルバ社製ソープトマチック1800型装置によって測定した。比表面積はBET法によって求めた。細孔分布は1〜200nmの範囲を測定し、BJH法で求められる微分分布で示した。製造したメソポーラス材料の多くは指数関数的に左肩上がりの分布における特定の細孔直径の位置にピークを示した。このピークを与える細孔直径が細孔径である。
自動車排NOxのモデルガスとして、ヘリウム希釈一酸化窒素と酸素の混合ガスを用いた。減圧式化学発光法NOx分析計(日本サーモ株式会社製造:モデル42i-HL及び46C-H)によって処理前と処理後のガスに含まれるNOx(NOとNO2の合計)とN2O(NOxの仲間ではない)の濃度を測定し、NOx浄化率とNOx浄化の選択率を、それぞれ式(1)及び式(2)によって算出した。

Figure 2008161812
「製造例1」三元触媒類似の触媒の合成
0.215gのPtCl4・5H2O、0.106gのPdCl2・2H2O、及び0.162gのRh(NO3)3・2H2Oを20 mlの蒸留水に溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに10gの活性アルミナ(日揮化学株式会社製造:比表面積250m2/g、細孔径6.2nm、粒径2〜3μmの微粒子)を加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃で3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れヘリウム希釈水素ガス(10%v/v)気流下500℃で3時間還元し、貴金属の含有量が約2重量%の触媒を合成した。これを、三元触媒を模した貴金属触媒として比較実験に用いた。
「製造例2」[Pt/メソポーラスシリカ]触媒の合成
1リットルのビーカーに、蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でテトラエトキシシラン125gを加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃−5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、メソポーラスシリカ材料を得た。該メソポーラスシリカ材料を小角X線回折測定した結果、1本のブロードな回折ピークを示した。また、透過型電気顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測された。これらの結果から、製造したメソポーラスシリカ材料は非晶性であることが確認された。また、細孔分布及び比表面積測定の結果、約3.2 nmの位置に細孔ピークがあり、比表面積が933 m2/g、細孔容積が1.35 cm3/g、1〜50 nmの細孔が占める容積は1.34 cm3/gであった。蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.267g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のメソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約2質量%のメソポーラス触媒を合成した。メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3.0 nmであった。
「製造例3」[Pt/強塩基性メソポーラスシリカ]触媒の合成
製造例2のメソポーラスシリカ材料10gを0.1N炭酸水素ナトリウム水溶液100mLに入れ、スチームバス上で蒸発乾固後、電気炉に入れ500℃-4時間加熱した。得られた材料の一部を0.1g採取し、これに蒸留水1mLを加え、コロイド分散液を作成した。これに0.1質量%のアリザリンイエロー水溶液を2滴加えた所、コロイド分散液が淡紫色に変色したことから、pHが10.1〜12.1であることがわかった。次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.267g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記の強塩基性メソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバス上で蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約2質量%の強塩基性メソポーラス触媒を合成した。該メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3.0 nmであった。
「製造例4」[Pt/強塩基性メソポーラスアルミナ]触媒の合成
1リットルのビーカーに蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でトリイソプロポキシアルミニウム120gを加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃-5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、メソポーラスアルミナ材料を得た。該メソポーラスアルミナ材料を小角X線回折測定した結果、1本のブロードな回折ピークを示した。また、透過型電気顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測された。これらの結果から、製造したメソポーラスアルミナ材料は非晶性であることが確認された。細孔分布及び比表面積を測定した結果、約3.2nmの位置に細孔ピークがあり、比表面積が460m2/g、細孔容積が1.32cm3/g、1〜50nmの細孔が占める容積は1.28cm3/gであった。次に、この材料10gを0.1N硫酸アルミニウム水溶液100mLに入れ、スチームバス上で蒸発乾固後、電気炉に入れ500℃-4時間加熱した。得られた材料の一部を0.1g採取し、これに蒸留水1mLを加え、コロイド分散液を作成した。こ
れに0.1質量%のアリザリンイエロー水溶液を2滴加えた所、コロイド分散液が淡紫色に変色したことから、pHが10.1〜12.1であることがわかった。また、得られた試料の一部を採取し、赤外吸収スペクトルを測定した結果、原料である活性アルミナの吸収バンド以外に新たに1128cm-1付近及び619cm-1付近に硫酸イオンに帰属される吸収バンドが観測された。次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.267g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記の強塩基性メソポーラスアルミナ材料5gを加え、スチームバス上で蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約2質量%の強塩基性メソポーラス触媒を合成した。該メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3.0 nmであった。
「製造例5」[Pt/強塩基性メソポーラスシリカ・マグネシア]触媒の合成
1リットルのビーカーに、蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でテトラエトキシシラン125gとジエトキシマグネシウム50gを加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃−5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、メソポーラスシリカ・マグネシア材料を得た。該メソポーラスシリカ・マグネシア材料を小角X線回折測定した結果、1本のブロードな回折ピークを示した。また、透過型電気顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測された。これらの結果から、製造したメソポーラスシリカ・マグネシア材料は非晶性であることが確認された。また、細孔分布及び比表面積測定の結果、約3.0 nmの位置に細孔ピークがあり、比表面積が650 m2/g、細孔容積が1.20 cm3/g、2〜50 nmの細孔が占める容積は1.19 cm3/gであった。次ぎに、上記のメソポーラスシリカ・マグネシア材料10gを0.1N炭酸水素ナトリウム水溶液100mLに入れ、スチームバス上で蒸発乾固後、電気炉に入れ500℃-4時間加熱した。得られた材料の一部を0.1g採取し、これに蒸留水1mLを加え、コロイド分散液を作成した。これに0.1質量%のアリザリンイエロー水溶液を2滴加えた所、コロイド分散液が淡紫色に変色したことから、pHが10.1〜12.1であることがわかった。次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.267g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記の強塩基性メソポーラスシリカ・マグネシア材料5gを加え、スチームバス上で蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃-3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約2質量%の強塩基性メソポーラス触媒を合成した。該メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3.0 nmであった。
「製造例6」[Pt/強塩基性メソポーラス活性炭]触媒の合成
市販の活性炭(関西熱化学株式会社製造品)をメソポーラス活性炭として用いた。該活性炭の比表面積は3100m2/g、平均細孔径は2.0nm、細孔容積が1.62cm3/g、1〜50nmの細孔が占める容積は1.60cm3/gであった。この材料10gを0.1N炭酸水素ナトリウム水溶液100mLに入れ、スチームバス上で蒸発乾固後、電気炉に入れ500℃-4時間加熱した。得られた材料の一部を0.1g採取し、これに蒸留水1mLを加え、コロイド分散液を作成した。これに0.1質量%のアリザリンイエロー水溶液を2滴加えた所、コロイド分散液が淡紫色に変色したことから、pHが10.1〜12.1であることがわかった。次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.267g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記の強塩基性メソポーラス活性炭材料5gを加え、スチームバス上で蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約2質量%の強塩基性メソポーラス触媒を合成した。該メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3.0 nmであった。
「製造例7」[Pt/強塩基性メソポーラスシリカ/モノリス]触媒の合成
製造例3の触媒1gとコロイダルシリカ0.1gを蒸留水10 mlに加え、攪拌して、スラリーを
調整した。これに、市販のコージェライトモノリス成形体(400 cells/in2、直径118 mm×長さ50 mm、重量243g)から切り出したミニ成形体(21 cells、直径8 mm×長さ9 mm、重量0.15g)を5個浸漬し、試料をとりだし風乾した後、窒素気流下で500℃-3時間熱処理した。メソポーラス触媒の付着量は、ミニ成形体の約10質量%であり、ミニ成形体当たりの白金の坦持量は約0.2質量%であった。
「実施例1〜5」「比較例1〜2」還元剤としてエタノールを用いたリーンバーンNOx処理
製造例1〜6の触媒サンプルをそれぞれ石英製の連続流通式反応管に0.3 g充填し、製造例7のモノリス触媒は触媒担持のミニ成形体を1個充填し、ヘリウムで濃度調整した一酸化窒素を流通処理した。
被処理ガスの成分モル濃度を、一酸化窒素0.1%、酸素14%、水蒸気10%、及びエタノール1%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分100 ml、処理温度を160〜500℃とした。排ガスをサンプリングし、NOx浄化率とNOx浄化の選択率を測定した。その結果、表1に示すように実施例1〜5では180℃から400℃に渡って、60%以上の高いNOx浄化率が得られた。また、NOx浄化の選択率から、NOx浄化の60%以上が窒素の段階まで還元されていることがわかった。
以上のことから、本発明の強塩基性メソポーラス触媒は、エタノールを還元剤に用い高濃度酸素共存下でのNOxを200℃以下の低温領域でも効率よく浄化できることがわかる。
Figure 2008161812
本発明の強塩基性メソポーラス触媒とアルコールを用いるNOx浄化方法は、ディーゼル排NOx浄化方法として有用である。

Claims (6)

  1. アルコールを還元剤に用いてリーンバーン排ガス中のNOxを浄化するための触媒が、10≦pH≦14の範囲にある強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒であることを特徴とする自動車排NOx浄化用触媒。
  2. アルコールがエタノールであり、また、強塩基性のメソポーラス触媒が100m2/g〜1400m2/gの比表面積と1〜50nmの細孔径を有する強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持した触媒であることを特徴とする請求項2に記載の自動車排NOx浄化用触媒。
  3. 強塩基性のメソポーラス材料が、強塩基性のイオンを固定したシリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料から選ばれたメソポーラス材料であり、又、白金族の触媒活性成分が白金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車排NOx浄化用触媒。
  4. アルコールを還元剤に用いて、10≦pH≦14の範囲にある強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持して成る強塩基性のメソポーラス触媒によってリーンバーン排ガス中のNOxを浄化することを特徴とする自動車排NOx浄化方法。
  5. アルコールがエタノールであり、また、強塩基性のメソポーラス触媒が100m2/g〜1400m2/gの比表面積と1〜50nmの細孔径を有する強塩基性のメソポーラス材料に白金族の触媒活性成分を担持した触媒であることを特徴とする請求項4に記載の自動車排NOx浄化方法。
  6. 強塩基性のメソポーラス材料が、強塩基性のイオンを固定したシリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料から選ばれたメソポーラス材料であり、又、白金族の触媒活性成分が白金であることを特徴とする請求項4又は5に記載の自動車排NOx浄化方法。
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