JP2022150691A - タンタル酸リチウム基板の製造方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】還元むらに起因した色むら(濃淡差)の発生が抑制されたタンタル酸リチウム(以下LT)基板の製造法を提供する。【解決手段】容器内に充填したアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に複数のLT単結晶ウエハ(以下ウエハ)を埋め込み、容器開放部を封止してウエハが収容された単結晶ウエハ収容体(以下ウエハ収容体)10を構成する工程と、密閉室30を有する加熱炉の該密閉室内に複数のウエハ収容体を配置し、密閉室内を不活性ガスで満たした後、密閉雰囲気下においてLT単結晶のキュリー温度未満の温度でウエハを熱処理する工程を有すると共に、密閉室内に占める全ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にすることを特徴とし、空間占有率が50%以下のためウエハ収容体間の隙間を十分に確保でき、ウエハ収容体毎の局所的な温度むらが回避されて色むら(濃淡差)の発生を抑制できる。【選択図】図2

Description

本発明は、タンタル酸リチウム単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを還元処理してタンタル酸リチウム基板を製造する方法に係り、特に、還元むらに起因した色むら(濃淡差)の発生が抑制されるタンタル酸リチウム基板の製造方法に関するものである。
タンタル酸リチウム(LTと略称することがある)単結晶は、融点が約1650℃、キュリー温度が約600℃の強誘電体であり、この単結晶を用いて製造されたタンタル酸リチウム基板(LT基板)は、主に、携帯電話の送受信用デバイスに用いられる表面弾性波(SAW)フィルター材料として適用されている。そして、携帯電話の高周波化、各種電子機器の無線LANであるBluetooth(登録商標)(2.45GHz)の普及等により、今後、2GHz前後の周波数領域のSAWフィルターが急増すると予測されている。
上記SAWフィルターは、LT等の圧電材料で構成された基板上に、Al、Cu等の金属薄膜で一対の櫛型電極が形成された構造となっており、この櫛型電極がデバイスの特性を左右する重要な役割を担っている。また、上記櫛型電極は、圧電材料上にスパッタリングにより金属薄膜を成膜した後、一対の櫛型パターンを残し、フォトリソグラフ技術により不要な部分をエッチングにより除去することで形成される。
また、上記LT単結晶は、産業的には、主にチョクラルスキー法によって、酸素濃度が数%~20%程度の窒素-酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成されており、通常、高融点のイリジウム坩堝が用いられ、育成されたLT単結晶は電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出して得られている。
育成されたLT単結晶は、無色透明若しくは透明度の高い淡黄色を呈している。育成後、結晶の熱応力による残留歪みを取り除くため融点に近い均熱下で熱処理を行い、更に単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LT単結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理後、結晶の外径を整えるために外周研削されたLT単結晶は、スライス、ラップ、ポリッシュ工程等の機械加工を経てLT基板となる。最終的に得られたLT基板はほぼ無色透明で、その体積抵抗率はおよそ1014~1015Ω・cm程度である。
しかし、このような従来の方法で得られたLT基板は、表面弾性波素子(SAWフィルター)製造プロセスにおいて、LT単結晶の特性である焦電性のため、プロセスで受ける温度変化によって電荷が基板表面にチャージアップし、これにより生ずる放電が原因となって基板表面に形成した櫛型電極が破壊され、更には基板の割れ等を生じて素子製造プロセスでの歩留まり低下が起きている。
そこで、LT単結晶の焦電性による不具合を解消するため、導電率を増大させる技術が提案され、例えば、特許文献1では、LT単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素およびこれ等の組合せから選択された還元ガス雰囲気下で熱処理する方法が提案され、特許文献2では、上記単結晶ウエハを、アルミニウム粉末(Al粉)と酸化アルミニウム粉末(Al23粉)との混合粉中に埋め込んで熱処理(還元処理)する方法が提案されている。尚、導電性を増大させた単結晶ウエハ(すなわちLT基板)は、酸素空孔が導入されたことにより光吸収を起こすようになる。そして、観察されるLT基板の色調は、透過光では赤褐色系に、反射光では黒色に見えるため、導電性を増大させる還元処理は黒化処理とも呼ばれており、このような色調の変化現象を黒化と呼んでいる。
特開平11-92147号公報 特許第4063191号公報
ところで、1250℃程度と融点が比較的低いニオブ酸リチウム単結晶と異なり、融点が約1650℃と高いLT単結晶に対して特許文献1の方法を適用した場合、LT基板の導電性が十分に増大しないため、焦電性による不具合の改善効果は十分でないという問題があった。また、近年、表面弾性波素子(SAWフィルター)製造プロセスにおいての歩留まり向上のため、LT単結晶の特性である体積抵抗率をより低くしたい要求があり、例えば、LT基板の体積抵抗率を1×109(Ω・cm)以下にしたい要求がある。
そして、LT単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを、アルミニウム粉末(Al粉)と酸化アルミニウム粉末(Al23粉)との混合粉中に埋め込んで熱処理する特許文献2の方法では、混合粉中のAl粉比率を高く設定する(例えば30重量%程度)ことにより体積抵抗率1×109(Ω・cm)程度のLT基板が得られている。
しかし、混合粉中のAl粉比率が高くなるに従い、局所的な還元むらに起因した色むら(濃淡差)が基板表面に生じ易くなり、Al粉比率の上昇に伴いその発生率が増加して生産性を悪化させる問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、混合粉中のAl粉比率を高く設定しても、局所的な還元むらに起因した色むら(濃淡差)の発生が抑制されるタンタル酸リチウム基板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者は特許文献2に係る方法の改良を試みた。
以下、LT単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを、Al粉とAl23粉との混合粉中に埋め込んで熱処理する特許文献2に係るLT基板の製造工程を説明すると、まず、図1に示すようにSUS等で構成された容器1内に上記混合粉2と単結晶ウエハ3を交互に積層しながら充填し、かつ、単結晶ウエハ3が混合粉2中に埋め込まれた容器1の外側をアルミニウム箔4等で覆って容器1開放部を封止し、単結晶ウエハ3が収容された単結晶ウエハ収容体10を得る。
次いで、上記単結晶ウエハ収容体10を多段に積み上げて図2に示すような集合体20を構成すると共に、密閉室30を有する加熱炉の上記密閉室30内に複数の集合体20を互いに隙間を設けて配置し、かつ、上記密閉室30内をアルゴン等の不活性ガスで満たした後、不活性ガスの密閉雰囲気下においてLT単結晶のキュリー温度未満の温度で各単結晶ウエハ3を熱処理してLT基板を得ている。
そして、LT基板を効率よく製造するため、特許文献2に係る方法では、密閉室30内に可能な限り多くの集合体20を配置して単結晶ウエハ3の熱処理がなされている。
しかし、密閉室30内に配置される集合体20の数を無暗に増やした場合、集合体20間の隙間が減少して各集合体20の熱処理雰囲気にばらつきが生じ、多段に積み上げられた単結晶ウエハ収容体10毎の局所的な温度むらを引き起こしてしまう。そして、単結晶ウエハ収容体10毎の局所的な温度むらに起因して各単結晶ウエハ収容体10に収容された単結晶ウエハ3の還元条件もばらつくため、局所的な還元むらが起こって色むら(濃淡差)を生じさせることが確認され、特に、混合粉中のAl粉比率を高く設定した場合に色むら(濃淡差)の発生が顕著になることも確認された。
そこで、単結晶ウエハ収容体10毎の局所的な温度むらが起こり難い条件を見出すため、密閉室30内に配置する集合体20の個数を順次減らしながら調査したところ、上記密閉室30内に占める全単結晶ウエハ収容体10の空間占有率を50%以下にした場合、単結晶ウエハ収容体10毎の局所的な温度むらが起こり難くなり、混合粉中におけるAl粉比率を高く設定しても上記色むら(濃淡差)の発生が抑制されることを見出すに至った。本発明はこのような技術的分析と発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
タンタル酸リチウム単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを還元処理してタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
容器内に充填されたアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に複数の単結晶ウエハを埋め込み、かつ、容器開放部を封止して単結晶ウエハが収容された単結晶ウエハ収容体を構成する工程と、
密閉室を有する加熱炉の該密閉室内に複数の単結晶ウエハ収容体を配置し、上記密閉室内を不活性ガスで満たした後、不活性ガスの密閉雰囲気下においてタンタル酸リチウム単結晶のキュリー温度未満の温度で上記単結晶ウエハを熱処理する工程を有すると共に、
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にすることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記容器の外側をアルミニウム箔若しくはチタン箔で覆って容器開放部を封止することを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記容器の外側がアルミニウム箔若しくはチタン箔で覆われた複数の単結晶ウエハ収容体を上記密閉室の載置部に互に隙間を設けて横方向に並んで配置させることを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記密閉室の載置部に横方向に並んで配置される単結晶ウエハ収容体の各々が、単結晶ウエハ収容体を縦方向に多段に積み上げた集合体を構成していることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法において、
上記混合粉中におけるアルミニウム粉末の比率が15重量%~30重量%であることを特徴とする。
本発明に係るタンタル酸リチウム基板の製造方法によれば、
密閉室を有する加熱炉の該密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にしているため、単結晶ウエハ収容体間若しくは該単結晶ウエハ収容体が多段に積み上げられた集合体間の隙間を十分に確保することができる。そして、単結晶ウエハ収容体間若しくは上記集合体間の隙間を十分に確保したことで単結晶ウエハ収容体毎の局所的な温度むらが起こり難くなり、混合粉中のAl粉比率を高く設定しても局所的な還元むらに起因した色むら(濃淡差)の発生を抑制することが可能となる。
単結晶ウエハが収容された単結晶ウエハ収容体の構成を示す説明図。 単結晶ウエハ収容体が多段に積み上げられた複数の集合体を、密閉室を有する加熱炉の該密閉室の載置部に配置した状態を示す説明図。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
タンタル酸リチウム(LT)単結晶は、結晶内に存在する酸素空孔濃度によって電気伝導度と色が変化する。LT単結晶中に酸素空孔が導入されると、チャージバランスをとる必要から一部のTaイオンの価数が5+から4+に変わり、電気伝導性を生じると同時に光吸収を起こす。電気伝導は、キャリアである電子がTa5+イオンとTa4+イオンの間を移動するために生ずると考えら、結晶の電気伝導度は、単位体積あたりのキャリア数とキャリアの移動度の積で決まる。移動度が同じであれば、電気伝導度は酸素空孔数に比例する。また、光吸収による色変化は、酸素空孔により導入された電子レベルによるものと考えられる。
そして、本発明者が改良を試みた特許文献2に係る方法は、LT単結晶をスライスして得た単結晶ウエハをAl粉とAl23粉との混合粉中に埋め込み、LT単結晶のキュリー温度未満の温度で熱処理してLT基板を製造するものである。すなわち、特許文献2に係る方法では、単結晶ウエハを上記混合粉中に埋め込むことにより、Alの酸化反応によって単結晶ウエハ周辺に存在する不活性ガスの酸素分圧を低下させることが可能となり、上記酸素空孔をLT単結晶に導入させるのに充分な条件が得られる。
ところで、特許文献2に係る方法は、LT基板の製造効率を高めるため、上述したように密閉室を有する加熱炉の該密閉室内に可能な限り多くの集合体(単結晶ウエハ収容体が多段に積み上げられた集合体)を配置して単結晶ウエハの熱処理がなされるが、密閉室内に配置される集合体の数を無暗に増やした場合、集合体間の隙間が減少して各集合体の熱処理雰囲気にばらつきが生じ、多段に積み上げられた単結晶ウエハ収容体毎の局所的な温度むらを引き起こしてしまう。そして、単結晶ウエハ収容体毎の局所的な温度むらに起因して各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハの還元条件もばらつくため、局所的な還元むらが起こって単結晶ウエハ表面に色むら(濃淡差)を生じさせ、特に、混合粉中のAl粉比率を高く設定した場合に色むら(濃淡差)の発生が顕著になる。
そこで、本発明においては、密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にし、単結晶ウエハ収容体間若しくは該単結晶ウエハ収容体が多段に積み上げられた集合体間の隙間を確保している。そして、単結晶ウエハ収容体間若しくは上記集合体間の隙間が十分に確保されたことにより単結晶ウエハ収容体毎の局所的な温度むらを防止でき、これにより各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハの局所的な還元むらが回避されるため色むら(濃淡差)の発生を抑制することが可能となる。
尚、図2は、図1に示した単結晶ウエハ収容体10を多段に積み上げた集合体20が密閉室30の載置部31に配置された形態を示しているが、密閉室30内の高さ寸法が小さくて集合体として配置できない場合、あるいは、単結晶ウエハ収容体10の高さ寸法が大きくて集合体として配置できない場合は、集合体を構成することなく単一の単結晶ウエハ収容体10が密閉室30の載置部31に横方向に並んで配置される。
また、単一の単結晶ウエハ収容体10若しくは単結晶ウエハ収容体10が多段に積み上げられた集合体20を上記密閉室30の載置部31に配置する場合、単結晶ウエハ収容体10若しくは集合体20間の隙間が互いに均等になるように並べるとよい。
更に、図1に示す単結晶ウエハ収容体10においては、単結晶ウエハ3が混合粉2中に埋め込まれた容器1の外側をアルミニウム箔4等で覆った構造になっているが、アルミニウム箔4等で覆う構造に代えて蓋材等で容器1の開放部が封止される構造を採ってもよい。また、図2に示す集合体20においては、単結晶ウエハ収容体10が多段に積み上げられた構造になっているが、上記集合体20が大型容器に収容された構造であってもよい。
また、上記密閉室30内を満たす不活性ガスの種類については、アルゴンガス、窒素ガス等が例示される。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
[LT単結晶の育成]
コングルエント組成の原料を用い、チョクラルスキー法により直径4インチであるLT単結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素-酸素混合ガスである。得られたLT単結晶のインゴットは、透明な淡黄色であった。尚、LT単結晶の育成法については、チョクラルスキー法に代えて、例えば、引き下げ法を用いてもよい。
次いで、上記LT単結晶インゴットに対し、熱歪み除去のための熱処理と単一分極とするためのポーリング処理を行った後、外周研削、スライス、および、研磨を行って42゜RY(Rotated Y axis)の単結晶ウエハを得た。
得られた42゜RYの単結晶ウエハは、無色透明で、体積抵抗率は1×1015Ω・cm、キュリー温度は603℃であった。
[実施例1]
内径が112mmφ、外径が120mmφ、外側高さが100mmのSUS製円筒容器に、30重量%のアルミニウム粉末(Al粉)と70重量%の酸化アルミニウム粉末(Al23粉)との混合粉(混合粉の厚さ3mm)、および、直径100mmφ、厚さ280μmの単結晶ウエハを交互に積層しながら充填して上記混合粉中に単結晶ウエハを3mm間隔で25枚埋め込んだ後、SUS製円筒容器の外側をアルミニウム箔で覆って単結晶ウエハ収容体を得た。また、同様にして複数の単結晶ウエハ収容体を製造した。
次いで、密閉室を有する加熱炉の該密閉室内に、上記単結晶ウエハ収容体を3段積み上げて構成した複数の集合体を、各集合体間における隙間が均等になるようにして配置した後、上記密閉室内をアルゴンガスで満たした。
尚、密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率は50%であった。
そして、上記加熱炉で密閉室内を加熱し、580℃、24時間の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハをそれぞれ熱処理(黒化処理)した後、各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。
尚、体積抵抗率はJIS K-6911に準拠した3端子法により測定し、色むら(濃淡差)は目視により調べた。
これらの結果を以下の表1に示す。
[実施例2]
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率が40%である以外は実施例1と同一の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハを熱処理(黒化処理)し、処理後における各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。これらの結果も以下の表1に示す。
[比較例1]
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率が60%である以外は実施例1と同一の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハを熱処理(黒化処理)し、処理後における各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。これらの結果も以下の表1に示す。
[比較例2]
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率が70%である以外は実施例1と同一の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハを熱処理(黒化処理)し、処理後における各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。これらの結果も以下の表1に示す。
[比較例3]
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率が80%である以外は実施例1と同一の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハを熱処理(黒化処理)し、処理後における各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。これらの結果も以下の表1に示す。
[比較例4]
上記密閉室内に占める全単結晶ウエハの空間占有率が96%である以外は実施例1と同一の条件で各単結晶ウエハ収容体に収容された単結晶ウエハを熱処理(黒化処理)し、処理後における各単結晶ウエハ(LT基板)の体積抵抗率と色むら(濃淡差)発生率を調べた。これらの結果も以下の表1に示す。
Figure 2022150691000002
[結 果]
(1)密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率が50%以下に設定された実施例1~2では、色むら(濃淡差)発生率が1%以下に抑制されていることが確認される。
(2)他方、密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率が50%を超える比較例1~4においては、色むら(濃淡差)発生率が3%~20%と高く、色むら(濃淡差)が抑制されていないことが確認される。
本発明によれば、局所的な還元むらに起因した色むら(濃淡差)の発生が抑制され、電気的特性に優れたタンタル酸リチウム基板を製造できるため、表面弾性波素子(SAWフィルター)用の基板材料に用いられる産業上の利用可能性を有している。
1 容器
2 混合粉
3 単結晶ウエハ
4 アルミニウム箔
10 単結晶ウエハ収容体
20 単結晶ウエハ収容体が多段に積み上げられた集合体
30 密閉室
31 載置部

Claims (5)

  1. タンタル酸リチウム単結晶をスライスして得た単結晶ウエハを還元処理してタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
    容器内に充填されたアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との混合粉中に複数の単結晶ウエハを埋め込み、かつ、容器開放部を封止して単結晶ウエハが収容された単結晶ウエハ収容体を構成する工程と、
    密閉室を有する加熱炉の該密閉室内に複数の単結晶ウエハ収容体を配置し、上記密閉室内を不活性ガスで満たした後、不活性ガスの密閉雰囲気下においてタンタル酸リチウム単結晶のキュリー温度未満の温度で上記単結晶ウエハを熱処理する工程を有すると共に、
    上記密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にすることを特徴とするタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  2. 上記容器の外側をアルミニウム箔若しくはチタン箔で覆って容器開放部を封止することを特徴とする請求項1に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  3. 上記容器の外側がアルミニウム箔若しくはチタン箔で覆われた複数の単結晶ウエハ収容体を、上記密閉室の載置部に互に隙間を設けて横方向に並んで配置させることを特徴とする請求項1または2に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  4. 上記密閉室の載置部に横方向に並んで配置される単結晶ウエハ収容体の各々が、単結晶ウエハ収容体を縦方向に多段に積み上げた集合体を構成していることを特徴とする請求項3に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  5. 上記混合粉中におけるアルミニウム粉末の比率が15重量%~30重量%であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
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