JP7050861B2 - ケーブル用保護管、及び耐火構造 - Google Patents

ケーブル用保護管、及び耐火構造 Download PDF

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本発明は、熱膨張材を含むケーブル用保護管、及び当該ケーブル用保護管を備えた耐火構造に関する。
従来、熱膨張剤を用いて、区画体の貫通孔を通じて火災が伝搬することを防止する技術が提案されている。熱膨張材は、テープ状、シート状、或いはパテ状を呈するものであって、特許文献1には、熱膨張シートや熱膨張シールを用いる区画貫通部の耐火構造が開示されている。この特許文献1では、区画体の貫通路に、ケーブルの保護管が通される。この保護管は、蛇腹状の凹凸を有するものであって、その内部に1本又は複数本のケーブルが通される。熱膨張シールは、貫通路から延び出た保護管の根元部分に巻き付けられる。熱膨張シートは、区画体における貫通路の開口周縁に張り付けられる。この特許文献1では、火災の発生時に、火災の熱で熱膨張シートや熱膨張シールが膨張することで、保護管の変形や焼失等で生じた隙間が埋められる。
特許第4060844号公報
しかしながら、特許文献1では、熱膨張シールの巻き付け作業や熱膨張シートの張り付け作業に手間を要し、貫通路の開口形状や位置によっては、上記の作業が困難になる虞れがある。また、保護管は、ケーブル引き込み時の摩擦を低減すべく、蛇腹状とされたものであり、ケーブルとの接触面積が小さい。このため、火災の際に、炎がケーブルを伝わって、区画体を介する反対側の区画に火災が伝搬していく虞れがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、容易に区画体の貫通路の耐火対策を実現できるケーブル用保護管、及び当該ケーブル用保護管を備えた耐火構造を提供することである。
本発明の第1観点に係るケーブル用保護管は、ケーブルが内部に挿通されるケーブル用保護管であって、
熱膨張材が含まれる。
好ましくは、前記熱膨張材からなる熱膨張層が、少なくとも内周面に設けられる。
本発明の第2観点に係る耐火構造は、貫通路を有する区画体と、前記区画体の貫通路に挿通されるケーブル用保護管とを備え、前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲には、熱膨張材が含まれる。
好ましくは、前記貫通路の躯体面と前記ケーブル用保護管の外周面との間に充填される耐火性シール材をさらに備える。
本発明の第3観点に係る耐火構造は、貫通路を有する区画体と、前記区画体の貫通路に挿通される筒状のスリーブと、前記スリーブの内部に挿通されるケーブル用保護管とを備
え、前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲には、熱膨張材が含まれる。
好ましくは、前記スリーブの内周面と前記ケーブル用保護管の外周面との間に充填される耐火性シール材をさらに備える。
本発明の第2観点及び第3観点に係る耐火構造は、前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲では、前記熱膨張材からなる熱膨張層が、少なくとも前記ケーブル用保護管の内周面に設けられる。
本発明によれば、熱膨張材がケーブル用保護管に含まれるため、ケーブル用保護管を区画体の貫通路内に挿通する簡易な作業で、貫通路内に熱膨張材を配置できる。そしてこの簡易な作業を行うことで、火災の発生時に保護管の熱変形又は焼失で生じた貫通路内の空隙を熱膨張材で閉塞できる。したがって、容易に貫通路の耐火対策を実現できる。
本発明の実施形態に係る耐火構造を示す斜視図である。 図1のa-a線断面図である。 図1のb-b線断面図である。 図3の対応図であって、本発明のケーブル用保護管の変形例を示す断面図である。 図3の対応図であって、本発明のケーブル用保護管の変形例を示す断面図である。 本発明の変形例に係る耐火構造を示す斜視図である。 図6のa-a線断面図である。 本発明の変形例に係る耐火構造を示す斜視図である。 図8のa-a線断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る耐火構造1を示す斜視図である。図2は、図1のa-a線断面図である。図3は、図1のb-b線断面図である。
本実施形態に係る耐火構造1は、区画体2と、筒状のスリーブ3と、ケーブル用保護管4(以下、保護管4と略す)と、耐火性シール材5とを備える。
区画体2は、防火区画A,Aを区画する中空壁である。この区画体2は、間隔をおいて配置される一対の壁材6A,6Bを備える。一対の壁材6A,6Bは、それぞれ、石膏ボードからなり、上下方向に延びる。当該一対の壁材6A,6Bには、一対の貫通孔60A,60Bが形成される。これら貫通孔60A,60Bと、壁材6A,6Bの間の空隙7とによって、区画体2の貫通路8が構成される。
スリーブ3は、区画体2の貫通路8に挿通される。このスリーブ3として、金属製又は熱膨張性の耐火性スリーブを使用できる。金属製の耐火性スリーブとしては鋼製のものが好ましく、そのようなスリーブは公知である。熱膨張性の耐火性スリーブとしては、バインダー又はマトリックスとしての樹脂、熱膨張性黒鉛及び無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなるスリーブが挙げられ、スリーブを形成するために使用可能な市販の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張
性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。
保護管4は、スリーブ3の内部に挿通される。保護管4は、例えば、蛇腹状の凹凸を有する合成樹脂製可とう電線管である(図2や図3では、保護管4の凹凸の図示を省略している)。このような合成樹脂製可とう電線管として、耐燃性のある合成樹脂管(PF管)や、耐燃性のない合成樹脂管(CD管)があり、これらはポリエチレン、ポリプロピレン等を主材として製造される。なお、ここでいう「耐熱性」とは、接炎するときには着火するが、火災が伝搬せず、火災を取り去った後に、火災によって変形又は焼失しない材料ということではない。
耐火性シール材5は、スリーブ3の内周面と保護管4の外周面との間に充填される。このシール材5として、積水化学工業社製のフィブロック(登録商標。エポキシ樹脂、ゴム樹脂等の樹脂成分、熱膨張性黒鉛等の熱膨張成分、リン化合物、無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物の成形体)や、耐火性パテを使用できる。この耐火性パテとしては、例えば、ポリブテン、ポリブタジエンなどの有機系バインダーと、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機充填剤とを含む粘土状充填材や、ペースト状充填材、熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材又はペースト状充填材などを挙げることができる。中でも石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどは火災等の熱にさらされたときに吸熱作用を示し、保護管4が高温となるのを防止することができることから、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを含む粘土状充填材やペースト状充填材を使用することが好ましい。また、上記のスリーブ3として耐火性スリーブが使用される場合には、火災の際に、耐火性パテが壁材6A,6Bの間の床上へ垂れ落ちることを防止できる。また熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材やペースト状充填材は火災等の熱にさらされたときに膨張して断熱作用を示すことから好ましい。また図2では、シール材5がスリーブ3の幅全体に亘って延びる例を示しているが、シール材5の長さや設置位置は、任意に設定可能である。例えば、シール材5が熱膨張性材料から形成される場合には、熱膨張したシール材5でスリーブ3と保護管4との間の隙間を埋めることが可能な限りにおいて、シール材5の長さや設置位置は、任意に設定され得る。また、スリーブ3が熱膨張性材料から形成される場合等では、シール材5は省略され得る。
保護管4の内部には、ケーブル9が挿入される。このケーブル9は、例えば、CVケーブル、単心ケーブルを2本束ねたCVDケーブル、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブル等の他、他の電源ケーブル、信号ケーブルである。なお図1~図3では、1本のケーブル9を保護管4の内部に挿通する例を示しているが、ケーブル9の数は限定されず、複数本のケーブル9が保護管4の内部に挿通されてもよい。
貫通路8内に位置する保護管4の範囲では、保護管4の内周面4aが径方向外側に凹んでおり、この凹んだ内周面4aに熱膨張層10が設けられる。なお、上述のように保護管4の内周面4aが凹むことは必須ではなく、凹みのない内周面4aに熱膨張層10が設けられてもよい。
保護管4の軸方向に沿う熱膨張層10の長さL(図2)は、貫通路8の幅(貫通孔60A,60Bの幅と、空隙7の幅とを合計した長さ)に一致する。このように熱膨張層10の長さが設定されていることで、熱膨張層10は、貫通路8の幅全体に延びている。
上述の熱膨張層10は、耐火性を有する熱膨張材から形成されたものである。この熱膨
張材として、バインダー又はマトリックスとしての熱可塑性樹脂、ゴム物質、又は熱硬化性樹脂などの合成樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含む、熱膨張性樹脂組成物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
ゴム物質としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2-ポリブタジエンゴム(1,2-BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。また、防火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、ゴム物質が好ましい。さらに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の防火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。
膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20~200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP-EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物には、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。
無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、
例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5~100μmが好ましく、より好ましくは1~50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH-31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 0007050861000001
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1~16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6~16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1~16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1~16の直鎖状あるいは分岐状のアル
コキシル基、炭素数6~16のアリール基、または、炭素数6~16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR
CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2-メチルプロピルホスホン酸、t-ブチルホスホン酸、2,3-ジメチル-ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t-ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、さらにフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、一般的な難燃剤を添加してもよく、難燃剤による燃焼抑制効果により防火性能を向上させることができる。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10~300重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、体積膨張率が大きく樹脂サッシを構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきることができ防火性能が発揮され、300重量部以下であると機械的強度が維持される。熱膨張性黒鉛の配合量は、より好ましくは20~250重量部である。
樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10~400重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、十分な防火性能が得られ、400重量部以下であると機械的強度が維持される。無機充填剤の配合量は、より好ましくは40~350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30~300重量部である。配合量が30重量部以上であると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分であり、300重量部以下であると、機械的強度が維持される。リン化合物の配合量は、より好ましくは40~250重量部である。
また、熱膨張層10を形成するために使用可能な市販の熱膨張性の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21k
cal/m・h・℃)などが挙げられる。
上記の耐火構造1は、以下の(i)~(iv)の作業を順次実行することで構築される。
(i)区画体2の貫通路8にスリーブ3を挿通する。
(ii)スリーブ3の内部に保護管4を挿通して、熱膨張層10を貫通路8の範囲内に配置する。
(iii)スリーブ3の内周面と保護管4の外周面との間に、シール材5を充填する。
(iv)保護管4の内部にケーブル9を挿通する。
そして、防火区画A,Aのいずれか一方で火災が生じた場合には、保護管4の内部を伝わる火災の熱によって、保護管4の内周面4aに設けられた熱膨張層10が膨張する。そして、この膨張した熱膨張層10が、保護管4の熱変形又は焼失で生じた空隙を閉塞する。このため、防火区画A,Aの他方に火災が伝搬することを防止できる。
本実施形態によれば、熱膨張材が保護管4に含まれるため、保護管4を区画体2の貫通路8内(スリーブ内)に挿通する簡易な作業で、貫通路8内に熱膨張材を配置できる。そしてこの簡易な作業を行うことで、火災の発生時に保護管4の熱変形又は焼失で生じた貫通路8内の空隙を熱膨張材で閉塞できる。したがって、容易に貫通路8の耐火対策を実現できる。
また、熱膨張材からなる熱膨張層10が保護管4の内周面4aに設けられることで、火災の熱が早期に熱膨張材に伝わる。このため、火災の初期段階で、熱膨張材を膨張させることができる。したがって、貫通路8を通じて、火災が伝搬することを確実に防止できる。
また、貫通路8内に位置する保護管4の範囲のみに、熱膨張層10が設けられることで、熱膨張材の材料コストを安価に抑えつつ、貫通路8の耐火対策を実現できる。
また、保護管4の内周面4aを凹ませて、この凹みに熱膨張層10を設けることで、保護管4の内部空間を大きく確保できる。このため、保護管4の内部にケーブル9を円滑に挿通できる。
また、熱膨張層10が貫通路8の幅全体に延びているため、貫通路8内のあらゆる箇所で保護管4の熱変形又は焼失により生じた空隙を閉塞できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々変更することができる。
例えば、上記の実施形態では、熱膨張層10を保護管4の内周面4aに設ける例を示したが、図4に示すように、熱膨張層10は保護管4の外周面4bにも設けられてもよい。このようにすることで、スリーブ3と保護管4との間を伝わる熱によっても、熱膨張剤が膨張して、保護管4の熱変形等で生じた空隙を閉塞する。或いは、図5に示すように、熱膨張層10と合成樹脂層11とを交互に積層することで、保護管4が形成されていてもよい。この場合、保護管4を伝わる熱によって熱膨張材が膨張することで、保護管4の熱変形等で生じた空隙を閉塞する。或いは、熱膨張材と合成樹脂とを練り混ぜた混合物を成形することで、保護管4が形成されていてもよい。このようにしても、保護管4を伝わる熱によって熱膨張材が膨張することで、保護管4の熱変形等で生じた空隙を閉塞できる。
また、スリーブ3は省略されてもよい。図6は、スリーブ3が省略された変形例を示す斜視図である。図7は、図6のa-a線断面図である。図6や図7に示す変形例では、保護管4が貫通路8に挿通される。そして図7に示すように、貫通路8内に位置する保護管
4の範囲に、熱膨張材からなる熱膨張層10が設けられる。また、貫通路8の躯体面(貫通孔60A,60Bの躯体面)と保護管4の外周面との間には、耐火性シール材5が充填される。なお図7では、保護管4の内周面4aに熱膨張層10を設ける例を示しているが、保護管4の外周面にも熱膨張層10を設けてもよく、或いは、熱膨張層と合成樹脂層とを交互に積層することで保護管4を形成してもよく、或いは、熱膨張材と合成樹脂とを練り混ぜた混合物を成形することで、保護管4が形成されていてもよい。
また、区画体1は、石膏ボードからなる中空壁に限定されず、軽量気泡コンクリート(ALC)壁、又は、モルタルで忠実に形成された壁などの他の任意の壁であってよい。また、区画体1は、上下方向に延びる壁に限られず、水平方向に延びる床又は板であってもよい。
図8は、区画体2が水平方向に延びる床とされた変形例を示す斜視図である。図9は、図8のa-a線断面図である。図8や図9に示す変形例では、区画体2によって上層区画Cと下層区画Dとが区画されている。区画体2には、上下方向に延びる貫通路8が形成されており、この貫通路8に保護管4が挿通されている。そして図9に示すように、貫通路8の範囲内では、保護管4の内周面4aに、熱膨張材からなる熱膨張層10が設けられる。また、貫通路8の躯体面(貫通孔60A,60Bの躯体面)と保護管4の外周面との間には、耐火性シール材5が充填される。以上の変形例によれば、区画C,Dのいずれか一方で火災が生じた場合には、保護管4の内部を伝わる火災の熱によって、保護管4の内周面4aに設けられた熱膨張層10が膨張する。そして、この膨張した熱膨張層10が、保護管4の熱変形又は焼失で生じた空隙を閉塞する。このため、区画C,Dの他方に火災が伝搬することを防止できる。なお図8,図9に示す例でも、貫通路8の範囲内において、保護管4の外周面にも熱膨張層10を設けてもよく、或いは、熱膨張層と合成樹脂層とを交互に積層することで保護管4が形成されてもよく、或いは、熱膨張材と合成樹脂とを練り混ぜた混合物を成形することで、保護管4が形成されてもよい。
1 耐火構造
2 区画体
3 スリーブ
4 ケーブル用保護管、
4a ケーブル用保護管の内周面
5 シール材
6A,6A 壁材
60A,60B 壁材の貫通孔
7 貫通孔の間の空隙
8 区画体の貫通路
9 ケーブル
10 熱膨張層

Claims (4)

  1. 貫通路を有する区画体と、
    前記区画体の貫通路に挿通されるケーブル用保護管と、を備え、
    前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲には、熱膨張材からなる熱膨張層が設けられ、前記熱膨張層は、前記熱膨張層の略全長にわたって前記ケーブル用保護管と接しており、
    前記貫通路の躯体面と前記ケーブル用保護管の外周面との間に充填される耐火性シール材を備え、
    前記ケーブル用保護管と前記熱膨張層とを有する熱膨張層付きのケーブル用保護管の内部に、ケーブルが挿入されており、
    前記熱膨張層付きのケーブル用保護管の内周面と、前記ケーブルの外周面との間に、空隙が形成されている耐火構造。
  2. 貫通路を有する区画体と、
    前記区画体の貫通路に挿通される筒状のスリーブと、
    前記スリーブの内部に挿通されるケーブル用保護管と、を備え、
    前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲には、熱膨張材からなる熱膨張層が設けられ、前記熱膨張層は、前記熱膨張層の略全長にわたって前記ケーブル用保護管と接しており、
    前記スリーブの内周面と前記ケーブル用保護管の外周面との間に充填される耐火性シール材を備え、
    前記ケーブル用保護管と前記熱膨張層とを有する熱膨張層付きのケーブル用保護管の内部に、ケーブルが挿入されており、
    前記熱膨張層付きのケーブル用保護管の内周面と、前記ケーブルの外周面との間に、空隙が形成されている耐火構造。
  3. 前記区画体の貫通路内に位置する前記ケーブル用保護管の範囲では、前記熱膨張材からなる熱膨張層が、前記ケーブル用保護管の内周面及び/又は外周面に設けられている請求項又はに記載の耐火構造。
  4. 前記熱膨張材からなる熱膨張層が、前記貫通路の幅全体に延びている請求項のいずれかに記載の耐火構造。
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