JP6641417B2 - 被覆材、配管、及び耐火構造 - Google Patents

被覆材、配管、及び耐火構造 Download PDF

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Description

本発明は、区画体の貫通路に挿通される配管の外周面を覆う被覆材、当該被覆材によって外周面が覆われた配管、及び当該配管を備える耐火構造に関する。
従来、建築物の区画体に形成した貫通孔に、配管を挿通することが行われている。そして、配管が、金属製の給湯管や冷媒管等である場合には、断熱のために、配管の外周を保温材で被覆することが行われている。例えば、特許文献1には、上記の保温材として、例えば、グラスウールやポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、フェノール樹脂系、エラストマー系、ニトリルゴム系、塩化ビニル系等の発泡材を使用することが開示されている。
また従来、熱膨張剤を用いて、区画体の貫通孔を通じて火災が伝搬することを防止する技術が提案されている。熱膨張材は、例えば、テープ状、シート状、パテ状を呈するものであり、特許文献2には、熱膨張シートや熱膨張シールを用いる区画貫通部の耐火構造が開示されている。この特許文献2では、区画体の貫通路に、ケーブルの保護管が通される。この保護管は、合成樹脂から形成されるものであって、その内部に1本又は複数本のケーブルが通される。熱膨張シールは、貫通路から延び出た保護管の根元部分に巻き付けられる。熱膨張シートは、区画体における貫通路の開口周縁に張り付けられる。この特許文献2では、火災の発生時に、火災の熱で熱膨張シートや熱膨張シールが膨張することで、保護管の変形や焼失等で生じた隙間が埋められる。
特開2012−092962号公報 特許第4060844号公報
ところで、上述のように金属製の配管を保温材で被覆する場合には、火災の発生時に、配管に伝わった熱が貫通孔を伝わり、火災が発生している側とは反対側の保温材が発火することで、区画体を介する反対側の区画に火災が伝搬する虞れがある。
また、特許文献2では、熱膨張シールの巻き付け作業や熱膨張シートの張り付け作業に手間を要し、貫通路の開口形状や位置によっては、上記の作業が困難になる虞れがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、区画体の貫通路に挿通される配管の外周面を覆う被覆材であって、容易に貫通路の耐火対策を実現できる被覆材、当該被覆材によって外周面が覆われた配管、及び当該配管を備える耐火構造を提供することである。
本発明の第1観点に係る被覆材は、区画体の貫通路に挿通される配管の外周面を覆う被覆材であって、熱膨張材が含まれる。
好ましくは、前記貫通路内に配置される範囲は、前記熱膨張材からなる熱膨張層を含む積層構造を有し、最内層が前記熱膨張層から構成されることで、前記熱膨張層が前記配管
に接する。
好ましくは、前記貫通路内に配置される範囲は、前記熱膨張層と、保温材からなる保温層とを含む積層構造を有する。
本発明の第2観点に係る配管は、前記被覆材によって外周面が覆われる。
本発明の第3観点に係る耐火構造は、貫通路を有する区画体と、前記貫通路に挿通されるスリーブと、前記スリーブの内部に挿通される配管とを備え、前記貫通路の範囲内では、前記配管の外周面が、熱膨張材を含む被覆材によって覆われている。
好ましくは、前記スリーブの内周面と前記配管の外周面との間に充填される耐火性シール材をさらに備える。
本発明の第4観点に係る耐火構造は、貫通路を有する区画体と、前記貫通路に挿通される配管とを備え、前記貫通路の範囲内では、前記配管の外周面が、熱膨張材を含む被覆材によって覆われている。
好ましくは、前記貫通路の躯体面と前記配管の外周面との間に充填される耐火性シール材をさらに備える。
本発明の第3及び第4観点に係る耐火構造は、好ましくは、前記貫通路の範囲内において、前記被覆材が前記熱膨張材からなる熱膨張層を含む積層構造を有し、前記被覆材の最内層が前記熱膨張層から構成されていることで、前記熱膨張層が前記配管に接する。
本発明によれば、被覆材に熱膨張材が含まれることで、この被覆材で外周面を覆った配管を準備し、当該配管を区画体の貫通路に挿通する簡易な作業で、貫通路内に熱膨張材を配置できる。このため、容易に貫通路の耐火対策を実現できる。
本発明の実施形態に係る耐火構造を示す斜視図である。 図1のa−a線断面図である。 図1のb−b線断面図である。 図1のc−c線断面図である。 図4の対応図であって、本発明の被覆材の変形例を示す断面図である。 本発明の変形例に係る耐火構造を示す斜視図である。 図6のa−a線断面図である。 本発明の変形例に係る耐火構造を示す斜視図である。 図8のa−a線断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る耐火構造1を示す斜視図である。図2は、図1のa−a線断面図であり、耐火構造1の縦断面を示している。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る耐火構造1は、区画体2と、筒状のスリーブ3と、配管4と、耐火性シール材5とを備える。
区画体2は、防火区画A,Aを区画する中空壁である。この区画体2は、間隔をおいて
配置される一対の壁材6A,6Bを備える。一対の壁材6A,6Bは、それぞれ、石膏ボードからなり、上下方向に延びる。当該一対の壁材6A,6Bには、一対の貫通孔60A,60Bが形成される。これら貫通孔60A,60Bと、壁材6A,6Bの間の空隙7とによって、区画体2の貫通路8が構成される。
スリーブ3は、区画体2の貫通路8に挿通される。このスリーブ3として、金属製又は熱膨張性の耐火性スリーブを使用できる。金属製の耐火性スリーブとしては鋼製のものが好ましく、そのようなスリーブは公知である。熱膨張性の耐火性スリーブとしては、バインダー又はマトリックスとしての樹脂、熱膨張性黒鉛及び無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなるスリーブが挙げられ、スリーブを形成するために使用可能な市販の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。尚、耐火性シートの基材は、不燃性材料が用いられていることが好ましい。好適な事例としてアルミニウム箔張りガラスクロス(ALGC)が挙げられる。
配管4は、スリーブ3の内部に挿通される。配管4は、例えば、給排水管、吸排気管、水道管、ガス管、冷暖房用媒体移送管等として使用される金属管である。
耐火性シール材5は、スリーブ3の内周面と配管4の外周面との間に充填される。この耐火性シール材5として、積水化学工業社製のフィブロック(登録商標。エポキシ樹脂、ゴム樹脂等の樹脂成分、熱膨張性黒鉛等の熱膨張成分、リン化合物、無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物の成形体)や、耐火性パテを使用できる。この耐火性パテとしては、例えば、ポリブテン、ポリブタジエンなどの有機系バインダーと、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機充填剤とを含む粘土状充填材や、ペースト状充填材、熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材又はペースト状充填材などを挙げることができる。中でも石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどは火災等の熱にさらされたときに吸熱作用を示し、配管4が高温となるのを防止することができることから、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを含む粘土状充填材やペースト状充填材を使用することが好ましい。また、スリーブ3として耐火性スリーブが使用される場合には、火災に際に、耐火性パテが壁材6A,6Bの間の床上へ垂れ落ちることを防止できる。また熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材やペースト状充填材は火災等の熱にさらされたときに膨張して断熱作用を示すことから好ましい。なお図2では、シール材5がスリーブ3の全幅に亘って延びる例を示しているが、シール材5の長さや設置位置は、任意に設定可能である。例えば、シール材5が熱膨張性材料から形成される場合には、熱膨張したシール材5によりスリーブ3と配管4との間の隙間を埋めることが可能な限りにおいて、シール材5の長さや設置位置は、任意に設定され得る。また、スリーブ3が熱膨張性材料から形成される場合等では、シール材5は省略され得る。
配管4の外周面は、被覆材9(図2)で覆われる。被覆材9は、後述する保温材や熱膨張材を含むものである。この被覆材9は、貫通路8の範囲内に配置される部分と、貫通路8の外側に配置される部分とで、断面構造が異なる。
図3は、図1のb−b線断面図であり、貫通路8の外側の断面を示している。貫通路8の外側に配置される被覆材9の部分は、保温材からなる保温層10から構成される。保温材は、例えば、グラスウールやポリエチレン、ポリウレタン等の発泡材である。
図4は、図1のc−c線断面図であり、貫通路8の範囲内の断面を示している。図4に示すように、貫通路8内に配置される被覆材9の部分は、熱膨張材からなる熱膨張層11と、上述の保温材からなる保温層10とが積層された構造を有する。そして、被覆材9の最内層が熱膨張層11から構成されることで、熱膨張層11が配管4に接している。
熱膨張層11は、耐火性を有する熱膨張材から形成されたものである。この熱膨張材として、バインダー又はマトリックスとしての熱可塑性樹脂、ゴム物質、又は熱硬化性樹脂などの合成樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含む、熱膨張性樹脂組成物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
ゴム物質としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。また、防火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、ゴム物質が好ましい。さらに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の防火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物には、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。
無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR
CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、さらにフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、一般的な難燃剤を添加してもよく、難燃剤による燃焼抑制効果により防火性能を向上させることができる。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、体積膨張率が大きく樹脂サッシを構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきることができ防火性能が発揮され、300重量部以下であると機械的強度が維持される。熱膨張性黒鉛の配合量は、より好ましくは20〜250重量部である。
樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、十分な防火性能が得られ、400重量部以下であると機械的強度が維持される。無機充填剤の配合量は、より好ましくは40〜350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜300重量部である。配合量が30重量部以上であると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分であり、300重量部以下であると、機械的強度が維持される。リン化合物の配合量は、より好ましくは40〜250重量部である。
熱膨張層11として使用可能な市販の熱膨張性の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。
上述した耐火構造1は、以下の(i)〜(iv)の作業を順次実行することで構築される

(i)外周面を被覆材9で覆った配管4を準備する。
(ii)区画体2の貫通路8にスリーブ3を挿通する。
(iii)スリーブ3の内部に配管4を挿通して、被覆材9の熱膨張層11を貫通路8の
範囲内に配置する。
(iv)スリーブ3の内周面と配管4の外周面との間に、耐火性シール材5を充填する。
そして、防火区画A,Aのいずれか一方で火災が生じた場合には、配管4を伝わる火災の熱によって、被覆材9の熱膨張層11が膨張する。そして、この膨張した熱膨張層11が、配管4の熱変形や焼失等で生じた空隙を閉塞する。このため、防火区画A,Aの他方に火災が伝搬することを防止できる。
本実施形態によれば、被覆材9に熱膨張材が含まれることで、この被覆材9で外周面を覆った配管4を準備して、当該配管4を貫通路8内(スリーブ3内)に挿通する簡易な作業で、貫通路8内に熱膨張材を配置できる。このため、容易に貫通路8の耐火対策を実現できる。
また、図2や図4に示すように、貫通路8の範囲内では、被覆材9の最内層が熱膨張層11から構成されて、当該熱膨張層11が配管4に接するようになっているため、火災の際には、配管4の熱が、直接、熱膨張層11に伝わる。したがって、熱膨張層11を確実に膨張させることができるので、貫通路8を通じて、火災が伝搬することを確実に防止できる。
また、貫通路8の範囲内のみ、被覆材9に熱膨張材が含まれることで、被覆材9の材料コストを安価に抑えつつ、貫通路8の耐火対策を実現できる。
また、貫通路8の範囲内では、被覆材9が熱膨張層11と保温層10とを含む積層構造を有することで、貫通路8の耐火対策と配管4の断熱とを両立できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々変更することができる。
例えば図2では、熱膨張層11が、貫通路8の幅全体に亘って延びる例を示しているが、貫通路8内における熱膨張層11の長さや位置は、配管4の熱変形等で生じた空隙を閉塞可能な限りにおいて、任意に設定され得る。
また、貫通路8の範囲内における被覆材9の断面構造は、図4のように、熱膨張層11や保温層10が1層ずつ設けられるものに限定されず、図5のように、熱膨張層11や保温層10がそれぞれ複数設けられて、熱膨張層11と保温層10とが交互に積層されたものであってよい。
また、上記の実施形態では、貫通路8にスリーブ3を挿通する例を示したが、スリーブ3は省略されてもよい。図6は、スリーブ3が省略された変形例を示す斜視図である。図7は、図6のa−a線断面図である。図6や図7に示す変形例では、配管4が貫通路8に挿通される。そして、貫通路8の範囲内では、配管4の外周面が、熱膨張材を含む被覆材9によって覆われる。好ましくは、図7に示すように、貫通路8の範囲内では、被覆材9が、保温材からなる保温層10と、熱膨張材からなる熱膨張層11とが積層された構造を有しており、被覆材9の最内層が熱膨張層11から構成されることで、熱膨張層11が配管4に接するものとされる。また、貫通路8の躯体面(貫通孔60A,60Bの躯体面)
と配管4の外周面との間には、耐火性シール材5が充填される。
また、図2や図7では、被覆材9が配管4の全長に亘って延びる例を示しているが、被覆材9は、必ずしも、配管4の全長に亘って延びる必要はない。例えば、貫通路8の範囲内のみ、熱膨張材を含有する被覆材9で配管4の外周面を覆い、貫通路8の外側では、被覆材9で配管4を被覆しないようにしてもよい。
また、貫通路8の範囲内に配置される被覆材9は、熱膨張材と合成樹脂とを練り混ぜた混合物を成形したものであってもよい。このようにしても、被覆材9に含まれる熱膨張材が膨張することで、配管4の熱変形又は焼失で生じた空隙を閉塞できる。
また、区画体2は、石膏ボードからなる中空壁に限定されず、軽量気泡コンクリート(ALC)壁、又は、モルタルで中実に形成された壁などの他の任意の壁であってよい。また、区画体2は、上下方向に延びる壁に限られず、水平方向に延びる床又は板であってもよい。
図8は、区画体2が水平方向に延びる床とされた変形例を示す斜視図である。図9は、図8のa−a線断面図である。図8や図9に示す変形例では、区画体2によって上層区画Cと下層区画Dとが区画されている。区画体2には、上下方向に延びる貫通路8が形成されており、この貫通路8に配管4が挿通されている。そして、貫通路8の範囲内では、配管4の外周面が、熱膨張材を含む被覆材9によって覆われる。具体的には、図9に示すように、貫通路8の範囲内では、被覆材9が、保温材からなる保温層10と、熱膨張材からなる熱膨張層11とが積層された構造を有しており、被覆材9の最内層が熱膨張層11から構成されることで、熱膨張層11が配管4に接するものとされている。また、貫通路8の躯体面と配管4の外周面との間には、耐火性シール材5が充填されている。以上の変形例によれば、区画C,Dとのいずれか一方で火災が生じた場合には、配管4を伝わる火災の熱によって、被覆材9の熱膨張層11が膨張する。そして、この膨張した熱膨張層11が、配管4の熱変形や焼失等で生じた空隙を閉塞する。このため、貫通路8を介して区画C,Dの他方に火災が伝搬することを防止できる。
1 耐火構造
2 区画体
3 スリーブ
4 配管
5 耐火性シール材
8 貫通路
9 被覆材
11 熱膨張層

Claims (5)

  1. 貫通路を有する区画体と、
    前記貫通路に挿通される配管とを備え、
    前記貫通路の範囲内では、熱膨張材からなる熱膨張層と保温材からなる保温層とを含む被覆材によって、前記配管の外周面が覆われており、前記熱膨張層が前記保温層よりも前記配管側に配置され、
    前記熱膨張層は、前記貫通路の範囲内に配置され、前記貫通路の範囲外には実質的に配置されておらず、
    前記熱膨張層の外側に延び出た前記保温層の範囲が、前記配管と接している、耐火構造。
  2. 前記保温層は、前記貫通路の範囲外において、前記配管を被覆している請求項1に記載の耐火構造。
  3. 前記耐火構造は、前記貫通路に挿通されるスリーブを更に備え、
    前記配管は、前記スリーブの内部に挿通されている請求項1又は2に記載の耐火構造。
  4. 前記貫通路の躯体面又は前記スリーブの内周面と、前記配管の外周面との間に充填される耐火性シール材をさらに備える請求項3に記載の耐火構造。
  5. 前記貫通路の範囲内では、前記被覆材が前記熱膨張材からなる熱膨張層を含む積層構造を有し、前記被覆材の最内層が前記熱膨張層から構成されていることで、前記熱膨張層が前記配管に接する請求項1乃至4のいずれかに記載の耐火構造。
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