JP6553902B2 - 建築物の区画体における貫通部の耐火構造及びその施工方法 - Google Patents

建築物の区画体における貫通部の耐火構造及びその施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築物の区画体における貫通部の耐火構造及びその施工方法に関する。
建築物の壁、床、板材などの区画体に配管又はケーブルを貫通させたい場合、かかる区画体には貫通孔が形成される。そして、かかる貫通孔の周囲に耐火性を付与するため、配管又はケーブルの外面と、貫通孔を区画形成する壁の内面との間の空間には通常、耐火性パテなどの充填材が充填されていた。
パテを用いた工法は、作業者による差異が大きく、必要以上に多量のパテを用いると、コストが高くついたり、パテが貫通孔からはみ出て床下に落ちる可能性もあった。
そこで、従来は特許文献1及び2に示されているように、貫通部に充填材受け具を配置し、中空壁の中空部への熱膨張性耐火充填材の垂れ落ちを防止していた。
しかしながら、充填材受け具の設置はコストがかかる上、貫通孔の寸法に応じて異なる充填材受け具を設置しなければならない点でも煩雑である。さらに、充填材受け具を用いても、貫通孔をパテで埋めると貫通孔の中が見えなくなるため、貫通孔内がどの程度パテで埋められているかを作業者が確認することが困難であった。
特開2014-109367 特開2014-109366
本発明の一つの目的は、充填材の施工を目視で簡便に確認できる、建築物の区画体における貫通部の耐火構造の施工方法及び貫通部の耐火構造を提供することにある。
本発明の別の目的は、充填材の施工を目視で簡便に確認でき、かつ確認後は確認のための器具を除去可能な貫通部の耐火構造の施工方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、透明な器具を貫通孔に挿入した状態で充填材を充填すると、透明な器具を通して充填した充填材の状態又は量を確認できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]配管又はケーブルが挿通された貫通孔を有する、建築物の区画体における貫通部の耐火構造の施工方法において、
前記配管又はケーブルの外面と、前記貫通孔を区画形成する壁の内面との間に、透明な器具を配置することからなることを特徴とする方法。
[2]前記貫通孔に耐火性充填材を充填した後で、前記器具を取り除くことをさらに含むことを特徴とする項1に記載の方法。
[3]前記器具を取り除いた後で、前記耐火性充填材と同じであっても異なっていてもよい第2の耐火性充填材で前記器具を取り除いた後の孔を充填することをさらに含むことを特徴とする項2に記載の方法。
[4]建築物の区画体における貫通部の耐火構造であって、
貫通孔を区画形成する壁と、
前記貫通孔に挿通された配管又はケーブルと、
前記配管又はケーブルの外面と、前記貫通孔を区画形成する壁の内面との間に配置された透明な器具と、
を備えたことを特徴とする貫通部の耐火構造。
本発明によれば、貫通孔に充填された充填材を目視で簡便に確認することができるため、適量の充填材を用いることができ、作業者による差異が少なくなり、充填材の貫通孔からの漏れも防止される。
また、充填材の目視確認に用いた器具は除去可能であるため、貫通孔に器具が残らず、器具を繰り返し用いることも可能である。
配管又はケーブルと、壁に設けられた貫通孔との間の関係を説明するための要部略断面図。 貫通孔における器具の配置を示す略斜視図。 (a)パテが充填された状態の貫通部の耐火構造を示す略断面図、(b)器具を取り除いた後に耐火性充填材で埋め戻した状態を示す略断面図。 シートが施された貫通部の耐火構造の実施形態を示す略断面図。 スリーブが施された貫通部の耐火構造の実施形態を示す略断面図。 器具の別の実施形態を示す略断面図。
以下、図1及び2に従って、本発明の第一実施形態である建築物の区画体における貫通部の耐火構造について説明する。
図1は、建築物に設けられた防火区画を形成する壁1に形成された貫通孔5に、配管又はケーブル8が挿入された状態を示している。壁1は、本実施形態では、コンクリート壁や木軸、鋼製スタッドと石膏ボードとから構成された中空壁といった壁の一つを図示したものである。貫通孔5は配管又はケーブル8を挿入できる寸法を有し、断面形状が略円形である。
配管又はケーブル8は、図1では一本の配管又はケーブル8が示されているが、その数は限定されず、1つ又は複数の任意の配管又はケーブルを使用することができる。ケーブルとしては、例えば、CVケーブル、単心ケーブルを2本束ねたCVDケーブル、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブル等の他、他の電源ケーブル、信号ケーブル等を挙げることができる。また配管としては、例えば、給排水管、吸排気管、水道管、ガス管、冷暖房用媒体移送管等を挙げることができる。
次に、配管又はケーブル8が挿通された貫通孔5を有する貫通部の耐火構造における施工方法を図2を参照しながら説明する。まず、貫通孔5内の配管又はケーブル8の外面9と、貫通孔5を区画形成する壁1の内面2との間に、作業者から離れた側(図面右側)から、耐火性充填材としての耐火性パテ14を手作業もしくは充填装置12などにより充填する。
耐火性パテ14としては、例えば、ポリブテン、ポリブタジエンなどの有機系バインダーと、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機充填剤とを含む粘土状充填材や、ペースト状充填材、熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材又はペースト状充填材などを挙げることができる。
中でも石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどは火災等の熱にさらされたときに吸熱作用を示し、ケーブル・配管類が高温となるのを防止することができることから、石膏、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを含む粘土状充填材やペースト状充填材を使用することが好ましい。また熱膨張性耐火樹脂組成物からなる粘土状充填材やペースト状充填材は火災等の熱にさらされたときに膨張して断熱作用を示すことから好ましい。
次に、貫通孔5の中に耐火性パテ14がある程度充填できた時点で、配管又はケーブル8の外面9と、貫通孔5を区画形成する壁1の内面2との間に、貫通孔5内の耐火性充填材の状態又は量を確認するための透明な器具としての透明なガラス管16を配置する。ガラス管16は中空で無底の管状部材である。なお、「透明な器具」という場合、器具の全体が透明である必要はなく、貫通孔5内の耐火性充填材の状態又は量を確認できる程度に、少なくとも一部に透明な部分を器具が備えていれば良いものとする。通常、作業者がガラス管16を手で持って、貫通孔5内の耐火性パテ14の中に進めて配置する。透明とは、ガラスを通じて充填材が見える程度の透明性を有することを意味し、無色透明の他、有色(着色)透明も含まれる。図3(a)に示すように、ガラス管16の長さL2は本実施形態では壁1の厚みL1すなわち貫通孔5の延びる方向(貫通孔5が円筒形であれば軸方向)の長さ以上であって(L2≧L1)、ガラス管16は貫通孔5の全長を貫通するように配置される。例えばガラス管16の長さL2は本実施形態では壁1の厚みL1以上であって、L1の2倍以下である(L1≦L2≦2L1)。通常、ガラス管16は貫通孔5の延びる方向又は軸方向に平行に配置される。ガラス管16の貫通孔5の径方向から見た位置は、任意の箇所でよいが、通常、貫通孔5の中心よりも外側に配置される。本実施形態では、ガラス管16は貫通孔5の周辺の壁1の付近に配置される。
図2に戻り、次に作業者は、ガラス管16越しに、貫通孔5内での耐火性パテ14の充填状態又は量を目視で確認しながら(図中矢印)、耐火性パテ14を貫通孔5内にさらに充填する。耐火性パテ14が十分に貫通孔5内に充填されたら、ガラス管16を貫通孔5の延びる方向又は軸方向に後退させて、貫通孔5から取り除く。
ガラス管16を貫通孔5から取り除いた後は、耐火性パテ14にガラス管16の跡の孔が残るため、図3(b)に示すように、耐火性パテ14と同じであっても異なっていてもよい第2の耐火性充填材18で孔を充填する。代わりに、ガラス管16を耐火性パテ14内に残したままガラス管16内を第2の耐火性充填材18で充填しても良い。このようにして、耐火性を付与するための貫通部の耐火構造の施工が完了する。
火災発生時、貫通孔5内の耐火性パテ14は災の熱により膨張し、配管又はケーブル8の外面9と、貫通孔5を区画形成する壁1の内面2との間の空間を閉塞し、耐火性を発揮する。
上記の第一実施形態は、以下の効果を有する。
・耐火性パテ14の充填時に、ガラス管16を通して耐火性パテ14の充填材の状態又は量を確認できるため、貫通孔5内に適量の耐火性パテ14を充填することができる。具体的には、耐火パテ14を貫通孔5内で壁1の厚みL1に収まる箇所に充填することができる。また、耐火性パテ14が貫通孔5を前方に突き抜けて、2つの壁1の間の中空部24(図5参照)を床上へ垂れ落ちることも防止できる。
・ガラス管16のような簡単な構成の器具を貫通孔5内に挿入するだけで耐火性パテ14の充填材の状態又は量を確認できるため、操作が簡便である。
・ガラス管16を貫通孔5から取り除き、回収できるため、ガラス管16は耐火性パテ14を充填した後の貫通部の耐火構造へ影響を及ぼさない。ガラス管16は繰り返し用いることも可能である。
・ガラス管16を取り除いた後の孔が耐火性パテ14と同じであっても異なっていてもよい第2の耐火性充填材18で充填されるため、孔の位置の耐火性は確保でき、かつ充填後の貫通部の耐火構造の外観に優れている。
ここまで、本発明を第一実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
・壁1は、中空壁に限定されず、軽量気泡コンクリート(ALC)壁又はモルタルで忠実に形成された壁などの他の任意の壁であってよく、また、建築物の区画体である壁1は、垂直方向に延びる壁に限られず、床又は板であってもよい。
・ガラス管16は有底であってもよい。この場合、底部を耐火性パテ14内に進めて配置する。
・ガラス管16は複数を貫通孔5内に配置してもよい。また、ガラス管16以外に、透明なプラスチック製のチューブや袋状の柱状中空体を用いてもよい。
・ガラス管16は、貫通孔5に耐火性パテ14を充填する前に配置し、耐火性パテ14が充填されるまで作業者が手で把持しておいてもよい。
・ガラス管16は、貫通孔5から取り除かず耐火性パテ14の充填後に留置しておいてもよい。
・図4に示すように、配管又はケーブル8の周囲に、配管又はケーブル8を保護し、かつ貫通部における耐火性を向上させるために、金属製又は熱膨張性の耐火性シート20を設けてもよい。金属製の耐火性シート20としては鋼製のものが好ましく、そのようなシートは公知である。
熱膨張性の耐火性シート20を構成する熱膨張性樹脂組成物は、燃焼により焼失した部分を膨張成分が埋める材料から形成であれば特に限定されないが、好ましくは50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍の材料である。体積膨張率が3倍を上回ると、膨張成分が合成樹脂の焼失部分を十分に埋めることができる防火性能が発揮され、また50倍以下であると、膨張断熱層の強度が維持され、火炎の貫通を防止する効果が維持されるため、前記の範囲が好ましい。
そのような熱膨張性の耐火性シート20を構成する熱膨張性樹脂組成物として、バインダー又はマトリックスとしての熱可塑性樹脂、ゴム物質、又は熱硬化性樹脂などの合成樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含む、熱膨張性樹脂組成物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
ゴム物質としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。また、防火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、ゴム物質が好ましい。さらに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の防火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。
膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な膨張断熱層が得られず、また粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂に配合する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物には、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。
無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
熱膨張性樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 0006553902
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、さらにフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。また、一般的な難燃剤を添加してもよく、難燃剤による燃焼抑制効果により防火性能を向上させることができる。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、体積膨張率が大きく樹脂サッシを構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきることができ防火性能が発揮され、300重量部以下であると機械的強度が維持される。熱膨張性黒鉛の配合量は、より好ましくは20〜250重量部である。
樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部が好ましい。配合量が10重量部以上であると、十分な防火性能が得られ、400重量部以下であると機械的強度が維持される。無機充填剤の配合量は、より好ましくは40〜350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜300重量部である。配合量が30重量部以上であると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分であり、300重量部以下であると、機械的強度が維持される。リン化合物の配合量は、より好ましくは40〜250重量部である。
市販の熱膨張性の耐火性シート20としては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。
・図5に示すように、耐火性を向上させるために、貫通孔5を区画形成する壁1に金属製又は熱膨張性の耐火性スリーブ22を設けてもよい。金属製の耐火性スリーブ22としては鋼製のものが好ましく、そのようなスリーブは公知である。熱膨張性の耐火性スリーブ22としては、バインダー又はマトリックスとしての樹脂、熱膨張性黒鉛及び無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなるスリーブが挙げられ、スリーブを形成するために使用可能な市販の耐火性シートとしては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)などが挙げられる。耐火性スリーブ22を配置した場合、耐火性パテ14が2つの壁1の間の中空部24を床上へ垂れ落ちることも防止できる。
・図6に示すように、ガラス管16の長さL2は、壁1の厚みL1すなわち貫通孔5の長さと同じかそれよりも短くてもよい。たとえば、1/2L1≦L2≦L1である。この場合でも、耐火性パテ14の充填時に、ガラス管16を通して耐火性パテ14の充填材の状態又は量を確認できるため、貫通孔5内に適量の耐火性パテ14を充填することができる。
・建築物の区画体における貫通部の耐火構造であって、貫通孔5を区画形成する壁1と、貫通孔5に挿通された配管又はケーブル8と、配管又はケーブル8の外面9と、貫通孔5を区画形成する壁1の内面2との間に配置された、貫通孔5内の耐火性充填材を確認するためのガラス管16とを備えた貫通部の耐火構造も本発明の範囲に含まれる。
本明細書中に引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
1…壁、2…壁の内面、5…貫通孔、8・・・配管又はケーブル、9…配管又はケーブルの外面、14…耐火性充填材としての耐火性パテ、16…透明な器具としてのガラス管、18…第2の耐火性充填材。
実施例I
(1)試験体条件
仕切り壁として、石膏ボード(吉野石膏製:GB−R、12.5mm厚)を2枚張りしたものを2組用いて、鋼製スタッド(50×40×0.5tの角柱) の両側にビスで止め付けた、壁厚75mmの中空壁を用いた。
貫通孔の開口径はφ110mmとした。貫通孔に呼び径42(外径48mm)のCD管を貫通し、セキスイ耐火パテ(品番NCJM001、積水化学工業株式会社製)で両側の開口部を埋めた。
(2)実施例と比較例の構成
実施例1では外径24mmの中空無底のガラス管をCD管から10mm離して配置し、セキスイ耐火パテで充填した。
実施例2では貫通孔の開口の中空部に鋼製貫通スリーブ(EZS、因幡電機産業株式会社製)を開口に沿って配置し、外径24mmの中空無底のガラス管をCD管から10mm離して配置し、セキスイ耐火パテで充填した。
比較例1では貫通孔の開口の中空部に鋼製貫通スリーブ(EZS、因幡電機産業株式会社製)を開口に沿って配置し、ガラス管を使用せず、充填した。
<パテの適正充填量からのバラつき>
この開口について、無駄なく空隙を埋めることができるパテの使用量は487gだった。鋼製スリーブを用いた場合の使用量は731gだった。無作為に抽出した作業者A、B、C、D、E、F,G、H、I、Jの10名に対して、充填作業を行わせ、適正なパテの使用量からのズレの絶対値(g)を比較した。表1,2によると、実施例1、2は比較例1よりも適正なパテ充填が可能であることが判明した。
Figure 0006553902
Figure 0006553902

Claims (2)

  1. 配管又はケーブルが挿通された貫通孔を有する、建築物の区画体における貫通部の耐火構造の施工方法において、
    前記配管又はケーブルの外面と、前記貫通孔を区画形成する壁の内面との間に、透明な器具を配置すること、及び
    前記貫通孔に耐火性充填材を充填した後で、前記器具を取り除くこと
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記器具を取り除いた後で、前記耐火性充填材と同じであっても異なっていてもよい第2の耐火性充填材で前記器具を取り除いた後の孔を充填することをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
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