JP6867157B2 - スリーブ、区画貫通構造、及び耐火充填構造 - Google Patents

スリーブ、区画貫通構造、及び耐火充填構造 Download PDF

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Description

本発明は、建築物の床または壁体に区画貫通孔を形成するためのスリーブや、当該スリーブを備える区画貫通構造及び耐火充填構造に関する。
建築物の各階のコンクリート打設床において、配管及び/又は配線を階上から階下又はその逆に通すためには区画貫通構造を形成する必要がある。具体的には、配管及び/又は配線を通すための区画貫通孔をコンクリート等の床または壁体に形成するが、従来、例えば特許文献1に記載されているように、コンクリート打設前にボイド又はスリーブと呼ばれる管を床下地に垂直に立てて固定し、スリーブの周囲にコンクリートを流し込んで養生することで、コンクリート床を造り、スリーブの中空部を区画貫通孔とし、配管及び/又は配線を通していた。そして、スリーブは一般的に樹脂、紙又は金属で出来ているため、火災時に配管及び/又は配線を通じて火が区画から隣接する区画へ伝播することがあった。
特開平6-257281号
ところで、階下の火災が階上に伝播することを防止するために、スリーブの下部を熱膨張性の耐火樹脂材料から形成することで、火災の発生後即座に、スリーブの下部の熱膨張で、区画貫通孔(スリーブの中空部)を閉塞することが考えられる。
しかしながら、上述のようにスリーブの下部を熱膨張性の耐火樹脂材料から形成する場合には、スリーブの材料コストが高くなる。また熱膨張性の耐火樹脂材料の部分を多くしたとしても、スリーブの熱膨張がスリーブの軸方向に生じる場合には、スリーブの熱膨張により、区画貫通孔(スリーブの中空部)を閉塞することができない。
また、火災の発生時にスリーブが熱膨張することを期待して、火災の非発生時に、スリーブと配管及び/又は配線との間に隙間を開けておくと、ユーザの心理面に不安を与えるとともに、上記の隙間を通じて、音漏れや水漏れや煙漏れが生じる虞がある。
本発明の目的は、建築物の床または壁に区画貫通孔を形成するために使用されるスリーブであって、材料コストを安価に抑えつつ、火災の発生時に区画貫通孔を確実に閉塞できるとともに、火災の非発生時でも、ユーザの心理面に不安を与えることがなく、区画貫通孔を通じた音漏れや水漏れや煙漏れが生じることを防止可能なスリーブや、当該スリーブを備える区画貫通構造及び耐火充填構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
項1.建築物の床又は壁に区画貫通孔を形成するために使用されるスリーブであって、
本体部と、本体部に段差部を介して連続する拡径部とを有する第1筒体と、
熱膨張性を有する第2筒体と、
本体部と、本体部に段差部を介して連続する拡径部とを有する第3筒体と、
非膨張性材とを備え、
前記第2筒体の一端側部が前記第1筒体の拡径部内に挿入され、前記第2筒体の他端側部が前記第3筒体の拡径部内に挿入されることで、前記第1筒体の内部と前記第2筒体の内部と前記第3筒体の内部とが連なった中空部が構成され、
前記中空部は、前記区画貫通孔として機能するものであり、前記非膨張性材は、前記中空部に配置される、スリーブ。
項2.前記非膨張性材は、前記中空部における、前記第2筒体の内部以外の範囲に配置される、項1に記載のスリーブ。
項3.前記第1筒体と前記第3筒体とは、非膨張性を有する、項1又は2に記載のスリーブ。
項4.前記第1筒体と前記第3筒体とは、同一の構造を有する、項1乃至3のいずれかに記載のスリーブ。
項5.前記第2筒体の一端側部が前記第1筒体の拡径部内に挿入され、前記第2筒体の他端側部が前記第3筒体の拡径部内に挿入されて、前記第1筒体、前記第2筒体、及び前記第3筒体が一連とされた状態では、前記第1筒体、前記第2筒体、及び前記第3筒体の連続体が、前記第2筒体の重心を通る横断面を介して、対称となることを特徴とする項1乃至4のいずれかに記載のスリーブ。
項6.前記第2筒体の反対側に位置する前記第1筒体の端部、及び/又は、前記第2筒体の反対側に位置する前記第3筒体の端部に、さらに別の筒体が嵌合することで、4つ以上の筒体から構成される項1乃至5のいずれかに記載のスリーブ。
項7.前記非膨張性材は、不燃性材料又は難燃性材料から形成される、項1乃至6のいずれかに記載のスリーブ。
項8.前記第2筒体は、押出成形品であることを特徴とする項1乃至7のいずれかに記載のスリーブ。
項9.前記スリーブを構成する第2筒体以外の筒体は射出成形品であることを特徴とする項1乃至8のいずれかに記載のスリーブ。
項10.区画貫通構造であって、
床または壁体と、
床または壁体に設置された項1乃至9のいずれかに記載のスリーブと、
を備えた区画貫通構造。
項11.前記中空部に挿通される配管または配線をさらに備える項10に記載の区画貫通構造。
項12.耐火充填構造であって、
項1乃至9のいずれかに記載のスリーブと、
前記中空部に挿通される配管または配線と、
を備えた耐火充填構造。
項13.項1乃至9のいずれかに記載のスリーブを床下地または壁下地に固定する工程と、
前記スリーブの外側周囲に充填材を充填する工程と、
を含む区画貫通構造の施工方法。
項14.前記充填材の充填後に、前記中空部に配管または配線を挿通する工程をさらに含む項13に記載の施工方法。
本発明によれば、火災の発生時に区画貫通孔を確実に閉塞できるとともに、火災の非発生時でも、ユーザの心理面に不安を与えることがなく、区画貫通孔を通じた音漏れや水漏れや煙漏れが生じることを防止できる。
本発明の一実施形態のスリーブの分解略斜視図。 スリーブの側断面図。 (A)第1筒体及び第3筒体の上面図、(B)側断面図、(C)底面図。 (A)第2筒体の上面図、(B)側断面図、(C)底面図。 図1のスリーブを用いた本発明の区画貫通構造の施工方法の略断面図。 第2筒体が膨張した状態を示す側断面図。 別例のスリーブの側断面図。 別例のスリーブの側断面図。 別例のスリーブの側断面図。 別例のスリーブの側断面図。 別例のスリーブの側断面図。 別例のスリーブの側断面図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るスリーブ1を説明する。本実施形態に係るスリーブ1は、ボイドとも称されるものであって、建築物の床または壁に区画貫通孔を形成するために使用される。上記の「建築物」は、例えば、一戸建住宅、集合住宅、高層住宅、高層ビル、商業施設、公共施設等の建材、客船、輸送船、連絡船等の船舶、車両等の構造物であるが、本発明のスリーブが適用可能な建築物は、上記の例に限定されない。
図1〜図3に示すように、スリーブ1は、第1筒体2と、第2筒体3と、第3筒体4と、非膨張性材5(図2)と、固定枠6とを備えており、第1筒体2の内部7と第2筒体3の内部8と第3筒体4の内部9とが連なることで中空部10(図2)を構成する。スリーブ1は、鉄筋Rと共に、型枠K内に配置される。そしてコンクリートCが型枠K内に流し込まれることで、スリーブ1の外側周囲にコンクリートCが打設され、当該コンクリートCが硬化することで上記建築物の床または壁が形成される。スリーブ1の中空部10は、床または壁の区画貫通孔11として機能するものであり、当該区画貫通孔11(中空部10)には配管又は配線12が挿通される。配管には、水道管、冷媒管、熱媒管、ガス管、吸排気管等の各種配管が含まれる。配線12には、電力用ケーブル、通信用ケーブル等の各種ケーブルが含まれる。
本実施形態のスリーブ1は、火災の発生時に、第2筒体3の熱膨張を生じさせて、区画貫通孔11(中空部10)を閉塞することで(図6)、区画貫通孔11(中空部10)を通じた火災の伝搬を防止可能なものである。またスリーブ1は、非膨張性材5や固定枠6が区画貫通孔11(中空部10)に位置することで、火災の非発生時に、住民等の心理面に不安を与えず、区画貫通孔11を通じた音漏れや水漏れや煙漏れを防止可能なものである。以下、スリーブ1が備える筒体2〜4・非膨張性材5・固定枠6の構造等について詳細に説明する。
第1筒体2と第3筒体4とは、同一の材料から形成されて、同一の構造を有する。したがって以下では、第1筒体2と第3筒体4との説明をまとめて行う。また以下では、第1筒体2と第3筒体4の総称として第1,第3筒体2,4と記し、第1筒体2と第3筒体4の構成に付す符号を同一のものとする。
第1,第3筒体2,4は、非熱膨張性の材料の射出成形品である。第1,第3筒体2,4は、それぞれ、略円筒状の本体部13と、本体部13と段差部14を介して連続する略円筒状の拡径部15とを備えている(図1〜図3)。本実施形態では、本体部13、段差部14、及び拡径部15は同じ非熱膨張性の材料から形成されている。上記の非熱膨張性の材料は、例えば、鋼、銅、ステンレス等の金属や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル等の非熱膨張性の耐火樹脂材料である。
第1,第3筒体2,4の一端(段差部14の反対側にある本体部13の端)には、金属からなる板状の固定部16が取り付けられている(図示の例において、第1筒体2の一端は第1筒体2の下端に相当し、第3筒体4の一端は第3筒体4の上端に相当する)。固定部16は、第1,第3筒体2,4の軸に対して垂直外方に延びるものであり、固定部16には、これを厚さ方向に貫通する孔17が形成されている。第1,第3筒体2,4には、それぞれ4つの固定部16が取り付けられており、これら4つの固定部16は、第1,第3筒体2,4の周回りに均等な間隔をあけて設けられている。
各固定部16の孔17には、針金等の金属線、ボルト、ビス、釘等の固定用部材を通すことができる。そして孔17に通した金属線を鉄筋Rに結び付けることや、孔17に通した固定用部材(ボルト、ビス、釘)を床下地(型枠K)にねじ込み、固定用部材の周囲にコンクリートCを流し込むことで、スリーブ1を鉄筋RやコンクリートCに固定できる。図示例では、第1筒体2の固定部16の孔17に通した固定用部材18が床下地(型枠K)にねじ込まれ、この固定用部材18の周囲にコンクリートCが流し込まれることで、スリーブ1がコンクリートCに固定されている。なお第3筒体4では、孔17に固定用部材18等が通されておらず、固定部16がスリーブ1の固定目的に使用されていないが、第3筒体4にも、第1筒体2と同様、固定部16を形成しているのは、第1筒体2と第3筒体4との構造を同一にして、スリーブ1の製造手間を軽減することを目的とする。
図1、図2、及び図4に示すように、第2筒体3は、略円筒状を呈しており、図2に示すように、第2筒体3の一端側部(下部)を第1筒体2の拡径部15内に嵌合させ、第2筒体3の他端側部(上部)を第3筒体4の拡径部15内に嵌合させるようになっている。そしてこの嵌合によって、第1筒体2の内部7と、第2筒体3の内部8と、第3筒体4の内部9とが連なり、中空部10が構成されるようになっている。また上記のように第2筒体3を第1,第3筒体2,4に嵌合させた状態では、第2筒体3の一端(下端)が第1筒体2の段差部14に当接し、第2筒体3の他端(上端)が第1筒体2の段差部14に当接する。これは、第2筒体3の高さC(図4)が、第1筒体2の拡径部15の高さD(図3)と第3筒体4の拡径部15の高さD(図3)との合計2Dに一致し、且つ、第2筒体3の外径A(図4)が、第1,第3筒体2,4の本体部13の内径B(図3)よりも大きいことによる。また上記のように第2筒体3を第1,第3筒体2,4に嵌合させた状態では、第2筒体3の内周面3a(図2)の延長上に、第1,第3筒体2,4の本体部13の内周面13aが位置する。これは、第2筒体3の内径E(図4)が、第1,第3筒体2,4の本体部13の内径B(図3)と等しいことによる。
また図2に示すように、第2筒体3の一端側部(下部)が第1筒体2の拡径部15内に挿入され、第2筒体3の他端側部(上部)が第3筒体4の拡径部15内に挿入されて、第1筒体2、第2筒体3、第3筒体4が一連とされた状態では、第1筒体2、第2筒体3、及び第3筒体4の連続体は、第2筒体3の重心Jを通る横断面Vを介して、対称となる。これは、第1筒体2と第3筒体4とが同一の構造を有することや、第2筒体3が径(外径や内径)の一定な筒体であることによる。
第2筒体3は、熱膨張性の耐火樹脂材料から形成されている。耐火樹脂材料は、樹脂成分に熱膨張性層状無機物を含む樹脂組成物である。当該耐火樹脂材料からなる第2筒体3は、樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練し、公知の成形方法(押出成形や射出成形など)で成形することにより得ることができる。例えば図2に示すように第2筒体3が径の一定な筒体とされる場合には、第2筒体3は押出成形品とされる。
樹脂成分としては、公知の樹脂成分を広く使用でき、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム物質、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
ゴム物質としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂および/またはゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらの合成樹脂および/またはゴム物質の中でも、耐寒性、耐熱性、耐油性等の特性を柔軟に調整できる性質を有しているものが好ましい。より柔軟特性で扱い易い樹脂組成物を得るためには、塩ビ系樹脂に可塑剤を加えたものが好適に用いられる。代わりに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
熱膨張性層状無機物は加熱時に膨張するものである。かかる熱膨張性層状無機物に特に限定はなく、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等を挙げることができる。熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和してもよい。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、ADT社製「ADT−351」「ADT−501」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、前記熱膨張性層状無機物を10〜350重量部の範囲で含むことが好ましい。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物は、さらに無機充填剤を含んでもよい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いることができるし、2種以上を併用することもできる。
無機充填剤のうち、水酸化アルミニウムの具体例としては、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、無機充填材を30〜400重量部の範囲で含むものが好ましい。
また、前記熱膨張性層状無機物および前記無機充填材の合計は、樹脂成分100重量部に対し、50〜600重量部の範囲が好ましい。
さらに、熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物は、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を含んでもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、および、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
Figure 0006867157
化学式(1)中、R1およびR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウムとしては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、前記熱膨張性耐火材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に燃焼残渣を形成することもでき、安定した耐火性能を達成することができる。
さらに前記樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂、成型補助材等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
熱膨張性の耐火樹脂材料は市販品として入手可能であり、例えば、住友スリーエム社製のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーミキュライトとを含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)、積水化学工業社製フィブロック等の熱膨張性耐火材等も挙げられる。
前記熱膨張性耐火材は、火災時などの高温にさらされた際にその膨張層により断熱し、かつその膨張層の強度があるものであれば特に限定されない。50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨張率が3倍以上であると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めることができ、また50倍以下であると、膨張層の強度が維持され、火炎の貫通を防止する効果が保たれる。
第2筒体3を熱膨張性の耐火樹脂材料から形成することにより、第2筒体3とコンクリートCとの密着性が向上し(火災の発生時には第2筒体3と燃焼残渣のコンクリートCとの密着性が向上し)、断熱層が崩壊しにくくなる。また、第1,第3筒体2,4を金属等の非熱膨張性材料で形成することで、外部衝撃に対する強度を増大させることができる。またこれに加えて、膨張材使用量を必要最小限に抑えることができるので、適正な価格で貫通スリーブを提供できる。以上のように、非熱膨張性の第1,第3筒体2,4と、熱膨張性の第2筒体3とを組み合わせてスリーブ1を構成することで、区画貫通構造に耐火性を付与し、さらには外部衝撃に対する強度とコンクリートCに対する密着性とを兼ね備え、適正な価格で提供することができる。
非膨張性材5や固定枠6は、中空部10における、第2筒体3の内部8以外の範囲に配置される。すなわち、非膨張性材5は、第1筒体2の本体部13の内部13b(図3)や、第3筒体4の本体部13の内部13b(図3)に配置される(上記の第1,第3筒体2,4の本体部13の内部13bは、第1,第3筒体2,4の内部7,9(図2)の一部である)。固定枠6は、第3筒体4の内部9の上端に配置される(図2)。当該第3筒体4の内部9の上端は、第3筒体4の本体部13の内部13bにおける、段差部14と反対側の端に相当する。
非膨張性材5は、不燃性又は難燃性の非膨張性物質から形成される。不燃性又は難燃性の非膨張性物質は、例えば、グラスウール、ロックウール、などの無機材料や不燃性ウレタン、PTFE系、ポリ塩化ビニル系、フェノール樹脂系化合物である。
固定枠6は、環状を呈しており、その中央の孔28(図1)に配管又は配線12が挿通される。固定枠6は、金属から形成されてもよいし、或いは、非耐火性又は耐火性の樹脂組成物から形成されてもよい。好ましくは、固定枠6は、不燃性又は難燃性の非膨張性物質から形成される。不燃性又は難燃性の非膨張性物質は、例えば、鋼、銅、ステンレス等の金属や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル、ブチルゴム等の非熱膨張性の耐火樹脂材料や、臭素化合物、リン化合物、塩素化合物、アンチモン化合物、金属水酸化物、窒素化合物、ホウ素化合物等の難燃剤を含む非耐火性の樹脂組成物である。固定枠6には、美観を与えるように、コーティング等の仕上層、着色がさらに施されてもよい。
次に図5を参照しながら、スリーブ1を用いた区画貫通構造の施工方法について説明する。
まず図5(A)に示すように、スリーブ1を床下地となる型枠Kの底部に固定する。図示例では、第2筒体3の固定部16の孔17に固定用部材29(ボルト)を通して、固定用部材29を床下地(型枠K)にねじ込むことで、スリーブ1が床下地(型枠K)に固定される。なお、スリーブ1の中空部10と向かい合う型枠Kの位置には、配管又は配線12(図5(C)参照)を挿通するための穴を空けておく。
次に図5(B)に示すように、コンクリートCを型枠K内に流し込む。これにより、スリーブ1の外側周囲にコンクリートCが打設されて、スリーブ1の中空部10は区画貫通孔11として機能するようになる。なおこの際には、コンクリートCの厚みHを、第1筒体2の下端から第3筒体4の上端までの高さLに等しくすることで、スリーブ1の高さ全体をコンクリートCに埋めることが好ましいが、第3筒体4の上端などスリーブ1の一部がコンクリートCから出るように、コンクリートCが打設されてもよい。
次に図5(C)に示すように、中空部10(区画貫通孔11)に1または複数の配管又は配線12を挿通させる。また、中空部10における、第2筒体3の内部8以外の範囲に、非膨張性材5を配置する。すなわち、第1筒体2の本体部13の内部13bや、第3筒体4の本体部13の内部13bに、非膨張性材5を配置する。またこの際には、スリーブ1とコンクリートCとの間の隙間を埋めること等を目的として、スリーブ1の外側周囲に充填材(図示せず)を充填し、この後、区画貫通孔11(中空部10)に配管又は配線12を通してもよい。
次に図5(D)に示すように、中空部10における、第2筒体3の内部8以外の範囲に、固定枠6を配置する。具体的には、第3筒体4の内部9の上端に、固定枠6を配置する。以上で、区画貫通構造50が完成する
区画貫通構造50の階下にて図5(D)の矢印方向から火災が発生した場合には、図6に示すように、第2筒体3が熱膨張する。この際には、第1筒体2と第3筒体4とが第2筒体3を上下に挟み込んでいることや、第2筒体3の外側を第1,第3筒体2,4の拡径部15が囲んでいることで、スリーブ1の軸方向(図6の上下方向)やスリーブ1の外側(配管又は配線12から離れる側)に向かう第2筒体3の膨張が規制される。したがって、スリーブ1の内側(配管又は配線12に接近する側)に向かう第2筒体3の膨張が促進されるので、第2筒体3は、区画貫通孔11を閉塞するうえで無駄のない膨張を生じるものとなる。このため、スリーブ1を構成する熱膨張性部分(第2筒体3)の耐火樹脂材料を多くすることを要せず、区画貫通孔11を確実に閉塞できる。よって、スリーブ1の材料コストを安価に抑えつつ、区画貫通孔11を確実に閉塞できる。
なお、第1筒体2を構成する材料の体積Vと、第2筒体3を構成する材料の体積V2と、
第3筒体4を構成する材料の体積Vとは、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
10(%)≦V2/(V+V)×100(%) ≦80(%) ・・・式(2)
:第1筒体2を構成する材料の体積
:第2筒体3を構成する材料の体積
:第3筒体4を構成する材料の体積
2/(V+V)×100(%)が10(%)以上であるとスリーブ1の耐火性能が十分となる。(V2)/(V+V)×100(%)が80(%)以下であると、スリーブ1の価格が抑えられる。また、火災時の過剰な膨張による、非膨張性材5や固定枠6の押し上げといった耐火構造の破壊が防止される。
また本実施形態によれば、非膨張性材5や固定枠6によってスリーブ1と配管又は配線12との間の隙間が埋められることで、火災の非発生時では、ユーザの心理面に不安を与えることがなく、区画貫通孔11(中空部10)を通じた音漏れや水漏れや煙漏れを防止できる。なお上記のユーザは、スリーブ1が使用されている建築物内にいる者を意味する。例えば、建築物としての住宅に居住する住民は、上記のユーザに該当する。
また本実施形態によれば、中空部10における、第2筒体3の内部8以外の範囲に、非膨張性材5や固定枠6が配置されることで、非膨張性材5や固定枠6は、第2筒体3と接しない。これにより火災の発生時には、非膨張性材5や固定枠6が、第2筒体3の膨張の妨げにならないので、第2筒体3の膨張によって、区画貫通孔11を確実に閉塞できる。また、非膨張性材5が、第1筒体2の本体部13の内部13bや、第3筒体4の本体部13の内部13bに配置されることで、火災の発生時には、非膨張性材5によって、第2筒体3の膨張が、スリーブ1の軸方向(図6の上方向或いは下方向)に向かうことが規制される。この点からも、スリーブ1の内側(配管又は配線12側)に向かう第2筒体3の膨張が促進されるので、区画貫通孔11を確実に閉塞できる。
さらに固定枠6が、スリーブ1と配管又は配線12との間の隙間の間を閉塞しているため、区画貫通構造50を上から見たときに、区画貫通孔11の中が見えず、視覚的な美観も保たれる。
なお本発明は上記実施形態に限定されず、以下のように変更可能である。
例えば上記実施形態では、第1,第3筒体2,4における、本体部13、段差部14、及び拡径部15を同じ非熱膨張性の材料から形成する例を示したが、第1,第3筒体2,4では、本体部13、段差部14、及び拡径部15のうち少なくとも一つが、熱膨張性の材料から形成されてもよい。特に、第1,第3筒体2,4の本体部13は、第2筒体3よりも加熱時の膨張倍率が低い材料から形成されてもよい。この場合には、下記式(3)に示すように、第1,第3筒体2,4の本体部13の膨張倍率と、第2筒体3の膨張倍率との比が、0以上1未満とされることが好ましい。
0≦(第1及び第3筒体2,4の本体部13の膨張倍率/第2筒体3の膨張倍率)<1 ・・・式(3)
また上記実施形態では、第2筒体3が第1,第3筒体2,4に嵌合した状態で、第2筒体3の上端・下端が第1,第3筒体2,4の段差部14に当接する例を示したが、図7に示すスリーブ30のように、第2筒体3の下端や上端は、第1筒体2の段差部14や、第3筒体4の段差部14から離れていてもよい。この場合、第2筒体3の下端と第1筒体2の段差部14との間の隙間L1は、下記式(4)を満たすように設定される。また第2筒体3の上端と第3筒体4の段差部14との間の隙間L2は、下記式(5)を満たすように設定される。
0<L1≦(第1筒体2の長さの1/2) ・・・式(4)
0<L2≦(第3筒体4の長さの1/2) ・・・式(5)
上記の隙間L1,L2がそれぞれ式(4),(5)を満たすように設定されることで、スリーブ30の軸方向(図7の上下方向)に向かう第2筒体3の膨張を小さく抑えて、第2筒体3の膨張をスリーブ30の内側に向かわせることができる。したがって、区画貫通孔11を良好に閉塞できる。なお図7のように、第2筒体3と第1,第3筒体2,4との間に隙間L1,L2を生じさせる場合には、第1筒体2の拡径部15の内周面や、第3筒体4の拡径部15の内周面に、それぞれ環状突起31が形成される。これら環状突起31は、第1筒体2や第3筒体4の内周回りに延びるものであって、これら環状突起31が形成されることで、第1,第3筒体2,4内への第2筒体3の挿入が停止される。
また上記実施形態では、第2筒体3の外側を第1,第3筒体2,4の拡径部15で囲む例を示したが、図8に示すスリーブ32のように、第1筒体2と第3筒体4との間の隙間Sから、第2筒体3の外周面の一部が露出していてもよい。この場合、隙間Sから露出する第2筒体3の外周面の面積と、第1筒体2の外周面の面積と、第3筒体4の外周面の面積とは、下記式(6)を満たすように設定される。
0<(隙間Sから露出する第2筒体3の外周面の面積/第1筒体2の外周面の面積と第3筒体4の外周面の面積との合計)×100≦100 ・・・式(6)
式(6)において、「隙間Sから露出する第2筒体3の外周面」は、図8のG範囲における第2筒体3の外周面であり、コンクリートCと接する外周面である。また、式(6)における、第1筒体2の外周面は、図8のF範囲(第1筒体2の高さ全体)における第1筒体2の外周面である。また、第3筒体4の外周面は、図8のH範囲(第3筒体4の高さ全体)における第3筒体4の外周面である。上記の式(6)を満たす場合には、第1,第3筒体2,4の外周面の面積が第2筒体3の外周面の露出面積よりも大きいため、外部衝撃(物理的、化学的)に対する耐性が強くなるという効果を奏する。
また上記実施形態では、第1,第3筒体2,4の本体部13の内径B(図3)と、第2筒体3の内径E(図4)とが、一致する例を示したが、第1,第3筒体2,4の本体部13の内径Bは、第2筒体3の内径Eの90%以上110%以下の範囲内にあればよい(図9に示すスリーブ33は、第1,第3筒体2,4の本体部13の内径Bを、第2筒体3の内径Eの90%とする変更を行ったものである)。以上のように、内径Bを内径Eの90%以上110%以下であれば、内径Bを内径Eとの差が小さいので、第1,第3筒体2,4によって、スリーブの軸方向(図9の上下方向)に向かう第2筒体3の膨張が規制されるので、スリーブの内側に向かう第2筒体3の膨張を促進できる。
また、耐火性能をはじめ、遮音性、漏水等実用耐久性に問題がないことが確認できれば、図10に示すスリーブ34のように、固定枠6(図2等)を省略して、非膨張性材5のみを、第1,第3筒体2,4の内部7に配置してもよい。また或いは、図11に示すように、第1筒体2と第3筒体4のいずれか一方の本体部13の内部に、非膨張性材5を配置してもよい(図11に示すスリーブ35では、第1筒体2の本体部13の内部に非膨張性材5が配置されている)。また、固定枠6以外の蓋部材、カバー部材、またはキャップが使用されてもよい 。
また本発明のスリーブを構成する筒体は、上記実施形態に示した第1筒体2・第2筒体3・第3筒体4のみに限られない。つまり、スリーブの高さ調整等を目的として、第1筒体2の本体部13、及び又は、第3筒体4の本体部13に、さらに別の筒体を連ならせることで、スリーブを4つ以上の筒体から構成してもよい。例えば図12に示すスリーブ36は、5つの筒体40,2,3,4,50から構成したものである。このスリーブ36では、筒体40,2,3,4,50は、同一構造の本体部13・段差部14・拡径部15を有している。そして、筒体40の拡径部15と、第1筒体2の本体部13(第2筒体3の反対側に位置する第1筒体2の端部に相当)とを嵌合させ、第1筒体2の拡径部15と第2筒体3の下部とを嵌合させ、第2筒体3の上部と第3筒体4の拡径部15とを嵌合させ、第3筒体4の本体部13(第2筒体3の反対側に位置する第3筒体4の端部に相当)と筒体50の拡径部15とを嵌合させることで、スリーブ36が構成されている。また筒体40,2,3,4,50のうち、最も下に位置する筒体40の本体部13には固定部16が取り付けられており、この固定部16の孔17に通された固定用部材29(ボルト)が床下地(型枠K)にねじ込まれ、固定用部材29(ボルト)の周囲にスリーブ36が床下地(型枠K)に固定される。
上記のスリーブ36では、筒体40,2,3,4,50の内部が連なることで中空部10(区画貫通孔11)が構成されており、中空部10(区画貫通孔11)に配管又は配線12が挿通されている。また、中空部10における、第2筒体3の内部8以外の範囲には、非膨張性材5や固定枠6が、配置されている。すなわち、筒体40の本体部13の内部や、第1筒体2の本体部13の内部や、第3筒体4の本体部13の内部や、筒体50の本体部13の内部に、非膨張性材5が配置され、筒体50の本体部13の内部の上端に、固定枠6が、配置されている。なおスリーブ36を構成する筒体のうち、第2筒体3は押出成形品とされ、第2筒体3以外の筒体40,2,4,50は射出成形品とされる。
また、本発明の区画貫通構造では、上述したスリーブ以外にも、耐火性を向上させるために、任意の公知の耐火性充填材、耐火性樹脂組成物、耐火性シート、または耐火性金属板等がさらに用いられてもよい。
また上記実施形態では、区画貫通孔11の断面が円形である場合を想定し、スリーブ1を構成する筒体の内部断面を円形にする例を示したが、スリーブ1を構成する筒体の形状は、所望される区画貫通孔11の形状に適合させればよく、例えば所望される区画貫通孔11が断面略楕円形である場合には、スリーブ1を構成する筒体は、断面略楕円形の内部を有するものとされる。
また上記実施形態では、スリーブ1を床上から施工する例を説明したが、図〜図に示した本発明のスリーブ1〜6は床下から施工することも可能である 。また本発明のスリーブ1〜6は、床(相対的にコンクリート打設の床材となる階下の床のみならず、天井床も含む)のみならず、側壁などの壁体にも適用可能である。この場合、スリーブは、壁体を形成するために使用される壁下地(型枠等)に固定される。
1,30,32,33,34,35,36 スリーブ、
2 第1筒体、
3 第2筒体、
4 第3筒体、
5 非膨張性材、
7 第1筒体の内部、
8 第2筒体の内部、
9 第3筒体の内部、
10 中空部、
11 区画貫通孔、
12 配線、
13 第1筒体や第3筒体の本体部、
14 第1筒体や第3筒体の段差部、
15 第1筒体や第3筒体の拡径部、
40,50 別の筒体、
K 床下地(型枠)

Claims (14)

  1. 建築物の床又は壁に区画貫通孔を形成するために使用されるスリーブであって、
    本体部と、本体部に段差部を介して連続する拡径部とを有する第1筒体と、
    熱膨張性を有する第2筒体と、
    本体部と、本体部に段差部を介して連続する拡径部とを有する第3筒体と、
    非膨張性材とを備え、
    前記第2筒体の一端側部が前記第1筒体の拡径部内に挿入され、前記第2筒体の他端側部が前記第3筒体の拡径部内に挿入されることで、前記第1筒体の内部と前記第2筒体の内部と前記第3筒体の内部とが連なった中空部が構成され、
    前記中空部は、前記区画貫通孔として機能するものであり、前記非膨張性材は、前記中空部に配置され、
    前記第1筒体の拡径部の外径は、前記第3筒体の拡径部の内径よりも大きく、且つ、前記第3筒体の拡径部の外径は、前記第1筒体の拡径部の内径よりも大きい、スリーブ。
  2. 前記非膨張性材は、前記中空部における、前記第2筒体の内部以外の範囲に配置される、請求項1に記載のスリーブ。
  3. 前記第1筒体と前記第3筒体とは、非膨張性を有する、請求項1又は2に記載のスリーブ。
  4. 前記第1筒体と前記第3筒体とは、同一の構造を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のスリーブ。
  5. 前記第2筒体の一端側部が前記第1筒体の拡径部内に挿入され、前記第2筒体の他端側部が前記第3筒体の拡径部内に挿入されて、前記第1筒体、前記第2筒体、及び前記第3筒体が一連とされた状態では、前記第1筒体、前記第2筒体、及び前記第3筒体の連続体が、前記第2筒体の重心を通る横断面を介して、対称となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスリーブ。
  6. 前記第2筒体の反対側に位置する前記第1筒体の端部、及び/又は、前記第2筒体の反対側に位置する前記第3筒体の端部に、さらに別の筒体が嵌合することで、4つ以上の筒体から構成される請求項1乃至5のいずれかに記載のスリーブ。
  7. 前記非膨張性材は、不燃性材料又は難燃性材料から形成される、請求項1乃至6のいずれかに記載のスリーブ。
  8. 前記第2筒体は、押出成形品であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のスリーブ。
  9. 前記スリーブを構成する第2筒体以外の筒体は射出成形品であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスリーブ。
  10. 区画貫通構造であって、
    床または壁体と、
    床または壁体に設置された請求項1乃至9のいずれかに記載のスリーブと、
    を備えた区画貫通構造。
  11. 前記中空部に挿通される配管または配線をさらに備える請求項10に記載の区画貫通構造。
  12. 耐火充填構造であって、
    請求項1乃至9のいずれかに記載のスリーブと、
    前記中空部に挿通される配管または配線と、
    を備えた耐火充填構造。
  13. 請求項1乃至9のいずれかに記載のスリーブを床下地または壁下地に固定する工程と、
    前記スリーブの外側周囲に充填材を充填する工程と、
    を含む区画貫通構造の施工方法。
  14. 前記充填材の充填後に、前記中空部に配管または配線を挿通する工程をさらに含む請求項13に記載の施工方法。
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