特許文献1に記載のフロアインシュレータの取付け構造では、キャブフロアの下面の形状に合わせて形成したフロアインシュレータを、キャブフロアの下面に固定して、エンジンからの熱を遮断している。しかし、さらに高温の熱を発生させるエンジンを有する車両に対して上記特許文献1に記載のフロアインシュレータの取付け構造を適用すると、エンジン側からの熱を十分に遮熱できない可能性がある。
そこで、本開示は、エンジン側からキャブ側への熱の伝達を好適に遮熱することが可能なキャブの遮熱構造の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、エンジンがキャブの下方に配置されるキャブオーバ型車両のエンジン側からキャブ側への熱の伝達を抑制するキャブの遮熱構造であって、キャブパネルとブラケットと遮熱部材とを備える。キャブパネルは、エンジンを収納するエンジンルームの上方に配置される。ブラケットは、キャブパネルに対して固定されるキャブ側固定部と、キャブパネルの一部の領域から離間した位置に配置される遮熱部材固定部とを有する。遮熱部材は、ブラケットの遮熱部材固定部に対して固定されてブラケットに支持される被支持部を有し、キャブパネルの上記一部の領域から離間して上記一部の領域との間に空間を区画した状態で少なくとも上記一部の領域をエンジンルーム側から覆い、キャブパネル側へのエンジン側からの熱の伝達を抑制する。
上記構成では、遮熱部材は、キャブパネルの上記一部の領域から離間して上記一部の領域との間に空間を区画するので、キャブパネルの上記一部の領域と遮熱部材との間に空気層を設けることができる。また、遮熱部材は、キャブパネルの上記一部の領域をエンジンルーム側から覆い、エンジン側からキャブパネル側への熱の伝達を抑制する。このように、キャブパネルの上記一部の領域とエンジンとの間には、遮熱部材のみならず空気層が設けられるので、エンジン側からキャブパネルの上記一部の領域(キャブ側)への熱の伝達を遮熱部材及び空気層の双方によって好適に抑制することができる。
また、ブラケットの遮熱部材固定部が、キャブパネルの上記一部の領域から離間した位置に配置されるので、ブラケットの遮熱部材固定部に遮熱部材を固定するだけで、キャブパネルと遮熱部材との間に容易に空気層を設けることができる。従って、簡易な構造でエンジン側からキャブ側への熱の伝達を好適に抑制することができる。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のキャブの遮熱構造であって、遮熱部材は、複数の被支持部を有する。ブラケットは、遮熱部材の複数の被支持部に対応するように複数設けられて、キャブパネルに対してそれぞれ固定される。
上記構成では、遮熱部材は、複数の被支持部を有し、ブラケットは、遮熱部材の複数の被支持部に対応するように複数設けられて、キャブパネルに対してそれぞれ固定される。すなわち、遮熱部材の複数の被支持部に対して、それぞれ別体のブラケットを設けるので、例えば、車幅方向に互いに離間する遮熱部材の複数の被支持部に対して1つのブラケットを設ける場合とは異なり、複数の小さなブラケットによって遮熱部材をキャブパネルに対して固定することができる。このように、ブラケットの大型化を抑制することができるので、金属製のブラケットを用いて遮熱部材をキャブパネルに対して固定する場合、遮熱部材からブラケットを介してキャブパネル側へ伝達される熱を抑えることができる。このため、エンジン側からキャブ側への熱の伝達を抑制することができる。
本発明の第3の態様は、上記第1の態様または上記第2の態様のキャブの遮熱構造であって、キャブパネルは、キャブの後端下部で前後方向と交叉した状態で車幅方向に延びるパネル後面部を有する。キャブパネルの上記一部の領域は、パネル後面部に含まれる。パネル後面部は、上記一部の領域よりも下方且つ後方に配置されてブラケットのキャブ側固定部が固定されるブラケット固定部を有する。ブラケットは、キャブ側固定部と遮熱部材固定部との間を上下方向に略直線状に延びる連結部を有する。ブラケットの遮熱部材固定部は、キャブ側固定部よりも上方に配置され、パネル後面部の上記一部の領域から後方へ離間した位置に配置される。キャブパネルに対して固定された遮熱部材は、キャブパネルの上記一部の領域から後方へ離間する。
上記構成では、キャブの後端下部で前後方向と交叉した状態で車幅方向に延びるキャブパネルのパネル後面部が、キャブパネルの上記一部の領域(遮熱部材に覆われる領域)を含み、遮熱部材が、キャブパネルの上記一部の領域から後方へ離間する。従って、エンジン側からキャブの後端下部のパネル後面部への熱の伝達を、遮熱部材及び空気層の双方によって好適に抑制することができる。
また、パネル後面部のブラケット固定部が、パネル後面部の上記一部の領域よりも後方に配置されるので、ブラケットのキャブ側固定部と遮熱部材固定部との間に上下方向に略直線状に延びる連結部を設けた簡易な構造のブラケットを使用して、ブラケットの遮熱部材固定部をキャブパネルの上記一部の領域から後方へ離間した位置に容易に配置することができる。このため、簡易な構造でエンジン側からキャブパネルの上記一部の領域(キャブ側)への熱の伝達を抑制することができる。
本発明の第4の態様は、上記第3の態様のキャブの遮熱構造であって、遮熱部材は、ブラケットの後方に配置されてブラケットを後方から覆う。
上記構成では、遮熱部材が、ブラケットの後方に配置されてブラケットを後方から覆う。このため、エンジン側の熱がブラケットのキャブ側固定部に対して後方から伝達されてしまうことを遮熱部材によって抑制することができるので、エンジン側からキャブ側への熱の伝達を好適に抑制することができる。
本開示によれば、エンジン側からキャブ側への熱の伝達を好適に遮熱することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
図1に示すように、本実施形態に係る遮熱構造は、エンジン2がキャブ3の下方に配置されるキャブオーバ型の車両1に適用され、エンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を抑制する。エンジン2は、キャブ3の下方のエンジンルーム4に収納される。なお、エンジン2側とは、エンジン2のみならず、エンジン2に接続される吸気管や排気管などのように、エンジンルーム4に配置され、エンジン2の駆動に伴って熱を発生させる部品が含まれる。
図1及び図2に示すように、キャブ3は、キャブ3の内部の車室5の下方を区画するフロアパネル(キャブパネル)11と、車室5の後方を区画するバックパネル12とを有する。フロアパネル11の後端側とバックパネル12の下端側とは、互いに固定される。キャブ3の後端下部の車幅方向両側には、左右1対のリアキャブマウントブラケット6が固定される。キャブ3の後端側は、左右のリアキャブマウントブラケット6を介して車体フレーム(図示省略)側に下方から支持される。
フロアパネル11は、キャブ3の外面(下面)を構成するパネル(キャブパネル)であって、エンジンルーム4の上方に配置される。フロアパネル11は、その後端部で下方へ開口した状態で車幅方向に延びるリアマウントレール13と、リアマウントレール13の前端縁から曲折して前方へ延びて上下方向と交叉する後部領域17と、後部領域17の前端縁から曲折して下方へ延びて前後方向と交叉する段差部18と、段差部18の下端縁から曲折して前方へ延びて上下方向と交叉する前部領域19とを有する。後部領域17は、エンジン2の上方に配置される。後部領域17の下面には、グラスウール等の遮熱性能を有する材料で形成された第1インシュレータ20が固定される。第1インシュレータ20は、エンジン2側からフロアパネル11の後部領域17(キャブ3側)への熱の伝達を抑制する。
図2及び図3に示すように、リアマウントレール13は、エンジンルーム4の上方に配置されるバックパネル接合部14とレール上板部15とレール前板部(パネル後面部)16とによって構成され、キャブ3の後端下部でキャブ3の車幅方向に亘って延び、フロアパネル11の後端部の剛性を確保する。バックパネル接合部14は、前後方向と交叉した状態で車幅方向に延び、その後面にバックパネル12の下端縁部12aの前面が面接触した状態で固定される。レール上板部15は、バックパネル接合部14の上端縁(バックパネル接合部14とレール上板部15との角部53)から前方へ曲折し、上下方向と交叉する。レール前板部16は、レール上板部15の前端縁(レール前板部16とレール上板部15との角部30)から下方へ曲折してバックパネル接合部14の下端縁よりも下方まで延びて、前後方向と交叉する。すなわち、レール前板部16は、キャブ3の後端下部で前後方向と交叉した状態で車幅方向に延びる。レール前板部16は、レール上板部15の前端縁からバックパネル接合部14の下端縁よりも下方まで略鉛直方向に延びる鉛直部16aと、鉛直部16aの下端縁から鉛直方向に対して傾斜した状態で前下方へ向かって延びる傾斜部16bとを有する。バックパネル接合部14の前面とレール上板部15の下面とレール前板部16の後面とは、後述するキャブマウントアッセンブリ7を配置可能な空間を区画する。該空間内には、キャブマウントアッセンブリ7が配置されて、キャブマウントアッセンブリ7がリアマウントレール13に対して固定されている。なお、フロアパネル11の後部領域17は、レール前板部16の傾斜部16bの下端縁から曲折して前方へ延びている。
キャブマウントアッセンブリ7は、左右のリアキャブマウントブラケット6と、左右のリアキャブマウントブラケット6の間で車幅方向に延びる連結パネル21とによって構成され、リアマウントレール13に対して固定される。連結パネル21の車幅方向両端部は、左右のリアキャブマウントブラケット6に対して固定される。
連結パネル21は、板体を曲折して形成され、リアマウントレール13のレール前板部16に対して溶接により固定され、左右のリアキャブマウントブラケット6間でリアマウントレール13を補強する。キャブマウントアッセンブリ7をリアマウントレール13に対して固定した状態で、連結パネル21は、リアマウントレール13のレール前板部16に一体的に設けられ、フロアパネル11の一部を構成する。すなわち、レール前板部16は、連結パネル21を有する。連結パネル21は、下板部22と後板部23と上板部24とを一体的に有し、左右のリアキャブマウントブラケット6の間で車幅方向に亘って延びる。連結パネル21とレール前板部16との間には、閉空間54が区画される。下板部22は、レール前板部16の傾斜部16bの下面に固定されて傾斜部16bに沿って後上方へ延びる。下板部22の前下端部25は、レール前板部16の傾斜部16bの下面に固定され、下板部22の後上端縁26は、レール前板部16の傾斜部16bの上端縁(鉛直部16aと傾斜部16bとの角部27)よりも後上方、且つリアマウントレール13のバックパネル接合部14よりも前方に配置される。後板部23は、下板部22の後上端縁26から上方へ曲折してレール前板部16の鉛直部16aの後面に対して後方から対向する。後板部23の上端縁28は、レール上板部15の下面から下方へ離間した位置に配置される。上板部24は、後板部23の上端縁28から前上方へ向かって、レール前板部16の鉛直部16aの後面まで延び、レール前板部16の鉛直部16aに対して固定される。上板部24の前端縁29は、レール前板部16の上端縁(角部30)から下方へ離間した位置に配置される。
図3、図4、図5(a)、及び図5(b)に示すように、連結パネル21の後板部23には、複数(本実施形態では、3つ)のブラケット固定部39と、左右1対のクリップ係止孔44とが設けられる。すなわち、ブラケット固定部39は、リアマウントレール13のレール前板部16の一部の領域(本実施形態では、レール前板部16のうち連結パネル21の上板部24の前端縁29よりも上方の上部領域43)よりも下方且つ後方に配置される。各ブラケット固定部39は、後板部23を前後方向に貫通するボルト挿通孔45と、後板部23の前面に固定されるナット46とによって構成される。ナット46の内径部は、ボルト挿通孔45に連通している。複数のブラケット固定部39は、車幅方向の中央部に配置される中ブラケット固定部39aと、中ブラケット固定部39aから車幅方向両側に離間して左右のリアキャブマウントブラケット6から車幅方向内側に離間した位置に配置される左右のブラケット固定部39b,39cとである。左右のクリップ係止孔44は、左右のブラケット固定部39b,39cよりも下方、且つ車幅方向外側に配置され、後板部23を前後方向に貫通する。複数のブラケット固定部39には、複数(本実施形態では、3つ)のブラケット31が固定され、複数のブラケット31には、第2インシュレータ(遮熱部材)32が固定される。すなわち、連結パネル21の後板部23には、複数のブラケット31を介して第2インシュレータ32が固定される。
複数のブラケット31は、連結パネル21の後板部23のうち、中ブラケット固定部39aに固定される中ブラケット31aと、中ブラケット31aから車幅方向両側に離間した左右のブラケット固定部39b,39cに固定される左右のブラケット31b,31cとである。複数のブラケット31は、互いに略同じ高さ位置に配置され、連結パネル21の後板部23に対してボルト33によって締結固定される。なお、連結パネル21の後板部23のブラケット固定部39及びブラケット31を設ける個数は、後述する第2インシュレータ32の複数の上クリップ挿通孔48と同じ個数である。また、図5(a)及び図5(b)には、中ブラケット31a及び左側のブラケット31bを図示し、右側のブラケット31cの図示を省略している。
複数のブラケット31は、前後方向と交叉した状態で連結パネル21の後板部23の後面に沿って上下方向に略直線状に延びる平板部34と、連結パネル21の上板部24の上面に当接する左右1対の係止板部35と、平板部34の上部を補強する補強板部36とを有する金属製のブラケット31である。平板部34は、連結パネル21の後板部23の後面に面接触する下部領域37と、下部領域37から連続して上方へ直線状に延びる上部領域38とを有する。平板部34の下部領域37は、上部領域38よりも車幅方向両側に幅広に形成される。平板部34の下部領域37には、前後方向に貫通し、ボルト33の挿通を許容するボルト挿通孔(キャブ側固定部)40が形成される。平板部34の上部領域38は、下部領域37の上端縁の車幅方向の略中央部から上方へ略直線状に延び、リアマウントレール13のレール前板部16の上部領域(一部の領域)43から後方へ離間した位置に配置される。平板部34の上部領域38には、前後方向に貫通するクリップ係止孔(遮熱部材固定部)41が形成される。すなわち、クリップ係止孔41は、リアマウントレール13のレール前板部16の上部領域43から後方へ離間した位置に配置される。平板部34のうちボルト挿通孔40とクリップ係止孔41との間の領域42は、上下方向に略直線状に延びて、ボルト挿通孔40とクリップ係止孔41とを連結する連結部として機能する。左右の係止板部35は、平板部34の下部領域37の上端縁のうち上部領域38の車幅方向両側の領域から前方へ曲折して延びて上下方向と交叉する。補強板部36は、平板部34の上部領域38の車幅方向の一方側(本実施形態では、右側)の縁部から曲折して前方へ延びる。
図3及び図4に示すように、第2インシュレータ32は、連結パネル21及びリアマウントレール13のレール前板部16の上部領域43を後方から覆い、且つレール上板部15を下方から覆う板状の部材であって、グラスウール等の遮熱性能を有する材料で形成される。第2インシュレータ32は、前後方向と交叉した状態で車幅方向に長尺に延び、第2インシュレータ32の車幅方向両端部は、左右のリアキャブマウントブラケット6の近傍に配置される。第2インシュレータ32は、連結パネル21の後板部23の左右のクリップ係止孔44に対応する位置に配置される左右1対の下クリップ挿通孔47と、複数のブラケット31のクリップ係止孔41に対応する位置に配置される複数(本実施形態では、3つ)の上クリップ挿通孔(被支持部)48とを有する。第2インシュレータ32の左右の下クリップ挿通孔47は、連結パネル21の後板部23の左右のクリップ係止孔44に対してクリップ49によって係止固定され、第2インシュレータ32の複数の上クリップ挿通孔48は、複数のブラケット31のクリップ係止孔41に対してクリップ49によって係止固定される。第2インシュレータ32の下端部32aは、連結パネル21の下板部22の後上部側の下面に接触又は近接する。第2インシュレータ32の上端部32bは、ブラケット31の上端と略同じ高さ位置から後上方へ延び、上端部32bの先端(第2インシュレータ32の後上端縁)が、リアマウントレール13のバックパネル接合部14とレール上板部15との角部53の近傍に配置される。すなわち、第2インシュレータ32は、連結パネル21の下板部22とレール上板部15との間で上下方向に延びる。第2インシュレータ32は、複数のブラケット31の後面の全域を後方から覆う。第2インシュレータ32のうち、連結パネル21の後板部23の上端縁28よりも上方に配置される上部領域50は、リアマウントレール13のレール前板部16の上部領域43から後方へ離間した位置でレール前板部16の上部領域43に対向して、レール前板部16の上部領域43との間に空間51を区画する。この空間51は、第2インシュレータ32とレール上板部15との間の空間51でもある。
上記のように構成された車両1では、第2インシュレータ32の上部領域50は、レール前板部16の上部領域43から後方へ離間して、レール前板部16の上部領域43との間に空間51を区画するので、レール前板部16の上部領域43と第2インシュレータ32との間に空気層(空間51内の空気層)を設けることができる。また、第2インシュレータ32は、グラスウール等の遮熱性能を有する材料で形成され、リアマウントレール13のレール前板部16の上部領域43を後方から覆い、エンジン2側からフロアパネル11側への熱の伝達を抑制する。このように、フロアパネル11の一部の領域(レール前板部16の上部領域43)とエンジン2との間には、第2インシュレータ32のみならず空気層が設けられるので、エンジン2側からキャブ3側(フロアパネル11のレール前板部16の上部領域43側)への熱の伝達を第2インシュレータ32及び空気層の双方によって好適に抑制することができる。
また、第2インシュレータ32は、レール上板部15との間に空間51を区画した状態でレール上板部15を下方から覆う。このため、エンジン2側からキャブ3側(フロアパネル11のレール上板部15側)への熱の伝達を第2インシュレータ32及び空気層(空間51内の空気層)の双方によって好適に抑制することができる。
また、第2インシュレータ32は、キャブマウントアッセンブリ7の連結パネル21を後方から覆う。このため、エンジン2側からキャブ3側(フロアパネル11の連結パネル21側)への熱の伝達を第2インシュレータ32によって抑制することができる。
また、第2インシュレータ32は、複数のブラケット31の後面の全域を後方から覆う。すなわち、複数のブラケット31が第2インシュレータ32に覆われてエンジンルーム4に露出しないので、エンジン2側からブラケット31への熱の伝達を第2インシュレータ32によって抑制することができる。このため、ブラケット31からキャブ3側への熱の伝達を抑制することができ、エンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を第2インシュレータ32によって好適に抑制することができる。
また、第2インシュレータ32は、複数の上クリップ挿通孔48を有し、ブラケット31は、第2インシュレータ32の上クリップ挿通孔48の数に対応するように複数設けられて、フロアパネル11に対してそれぞれ固定される。すなわち、第2インシュレータ32の複数の上クリップ挿通孔48に対して、それぞれ別体のブラケット31を設けるので、複数のクリップ係止孔(遮熱部材固定部)41を有する1つのブラケットを設ける場合とは異なり、複数の小さなブラケット31によって第2インシュレータ32をフロアパネル11に対して固定することができる。このように、ブラケット31の大型化を抑制することができるので、金属製のブラケット31を用いて第2インシュレータ32をフロアパネル11に対して固定したとしても、第2インシュレータ32からブラケット31を介してフロアパネル11側へ伝達される熱を抑えることができる。このため、エンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を抑制することができる。
また、ブラケット31の平板部34の上部領域38が、リアマウントレール13のレール前板部16の上部領域43から後方へ離間した位置に配置され、ブラケット31の上部領域38にクリップ係止孔41が形成される。このため、ブラケット31のクリップ係止孔41に対して第2インシュレータ32を固定するだけで、レール前板部16と第2インシュレータ32との間に空気層を容易に設けることができる。従って、簡易な構造でエンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を好適に抑制することができる。
また、レール前板部16に固定的に設けられる連結パネル21の後板部23が、レール前板部16の上部領域43よりも後方に配置されるので、上下方向に直線状に延びる平板部34を有する簡易な構造のブラケット31を使用することによって、ブラケット31の上部領域38のクリップ係止孔41をレール前板部16の上部領域43から後方へ離間した位置に容易に配置することができる。このため、簡易な構造でエンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を抑制することができる。
従って、本実施形態によれば、エンジン2側からキャブ3側への熱の伝達を好適に遮断することができる。
なお、本実施形態では、ブラケット31の後面の全域を後方から覆う第2インシュレータ32を設けたが、第2インシュレータ(遮熱部材)32はこれに限定されるものではない。例えば、遮熱部材をブラケット31の下部領域37よりも上方に配置し、遮熱部材がブラケット31の上部領域38のみを後方から覆ってもよい。また、本実施形態では、第2インシュレータ(遮熱部材)32をブラケット31の後方に配置したが、遮熱部材をブラケット31の上部領域38の前方に配置してもよい。
また、本実施形態では、第2インシュレータ32の複数の上クリップ挿通孔48に対応する複数のブラケット31を用いて第2インシュレータ32をフロアパネル11に対して固定したが、これに限定されるものではない。例えば、第2インシュレータ32の複数の上クリップ挿通孔48に対して複数のクリップ係止孔(遮熱部材固定部)を有する1つのブラケットを用いて第2インシュレータ32をフロアパネル11に対して固定してもよいし、或いは、第2インシュレータ32に1つの上クリップ挿通孔48を設け、1つのブラケットを用いて第2インシュレータ32をフロアパネル11に対して固定してもよい。
また、本実施形態では、第2インシュレータ32に上クリップ挿通孔(被支持部)48を設け、クリップ49を介して第2インシュレータ32をブラケット31のクリップ係止孔(遮熱部材固定部)41に固定したが、ブラケット31に対する第2インシュレータ32の固定方法はクリップ止めに限定されるものではなく、様々な方法を用いることができる。すなわち、第2インシュレータ32の被支持部は、クリップ挿通孔に限定されるものではなく、また、ブラケット31の遮熱部材固定部はクリップ係止孔に限定されるものではない。
また、本実施形態では、ブラケット31にボルト挿通孔(キャブ側固定部)40を設け、連結パネル21にボルト挿通孔45とナット46とによって構成されるブラケット固定部39を設け、ブラケット31をボルト33によって連結パネル21側(キャブ3側)に固定したが、キャブ3側へのブラケット31の固定方法はこれに限定されるものではなく、様々な方法を用いることができる。すなわち、ブラケット31のキャブ側固定部は、ボルト挿通孔に限定されるものではなく、また、連結パネル21のブラケット固定部39はボルト挿通孔45とナット46とに限定されるものではない。
また、本実施形態では、金属製のブラケット31を設けたが、ブラケット31は金属製に限定されるものではない。
また、本実施形態では、リアマウントレール13のレール前板部16に対して連結パネル21を固定的に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)に示すように、レール前板部16の下部に後方へ突出させた突出部61を設け、突出部61の後板部62にボルト挿通孔等のブラケット固定部63を設けてもよい。この場合、突出部61の後板部62は、レール前板部16の一部の領域(突出部61よりも上方の領域72)よりも後方に配置される。或いは、図6(b)に示すように、上下方向に直線状に延びるレール前板部16の下部にボルト挿通孔等のブラケット固定部65を設け、クランク状に曲折形成されたブラケット66をブラケット固定部65に固定してもよい。ブラケット66は、ボルト挿通孔(キャブ側固定部)67が形成された下部領域68と、クリップ係止孔(遮熱部材固定部)69が形成された上部領域70と、下部領域68と上部領域70とを連結する中間領域71とを有する。ブラケット66の上部領域70は、下部領域68よりも後方に配置され、レール前板部16の一部の領域(ブラケット66の下部領域68よりも上方の領域73)から後方へ離間する。
また、本実施形態では、フロアパネル11の後端部がリアマウントレール13を構成したが、バックパネル12の下端部がリアマウントレール13を構成してもよい。この場合、バックパネル12がキャブパネルとなる。
以上、本開示について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本開示を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本開示の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、本開示に係るキャブの遮熱構造をフロアパネル11のリアマウントレール13のレール前板部(パネル後面部)16の一部の領域43への熱の伝達を抑制する構造に適用したが、これに限定されるものでなく、エンジンルーム4の上方に配置されて、キャブ3の外面を構成するパネル(キャブパネル)の一部の領域への熱の伝達を抑制する構造に適用することができる。例えば、フロアパネル11の後部領域17の下面に第1インシュレータ20を固定するためのブラケットを固定し、ブラケットの遮熱部材固定部がフロアパネル11の後部領域17の下面から下方へ離間する位置に配置され、ブラケットの遮熱部材固定部に固定された第1インシュレータ20がフロアパネル11の後部領域17の一部の領域を下方から覆った状態で、前記一部の領域との間に空間を区画してもよい。