以下、本発明に係る実施形態1~4について図を用いて説明する。なお、以下の各実施形態においては、互いに同一または均等である部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る実施の形態1の半導体装置の検査装置1(以下、検査装置1)の概略構成を示す回路図である。図1に示すように検査装置1は、電源10、負荷抵抗20、被検体である半導体装置30、バイパススイッチ40およびゲートドライバ50を備えている。
半導体装置30は、ゲートドライバ50のゲート制御電圧に従ってオン/オフ動作を行うスイッチングデバイスであり、例えば、パワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)、IGBT(insulated gate bipolar transistor)などの電圧駆動型のトランジスタが挙げられる。なお、図1は、半導体装置30がドレイン(D)、ソース(S)、ゲート(G)の3端子を有するNチャネル型のパワーMOSFETとして示しており、パワーMOSFETに逆並列に接続されたダイオードは、パワーMOSFETの構造上、ソース(S)-ドレイン(D)間に寄生するダイオードであり、パワーMOSFETおよび寄生ダイオードを半導体装置30と総称する。
なお、半導体装置30は、コレクタ(C)、エミッタ(E)、ゲート(G)の3端子を有するIGBTであっても良く、コレクタ(C)、エミッタ(E)、ベース(B)の3端子を有するバイポーラトランジスタであっても良い。
また、半導体装置30は、チップ状態であっても良く、ダイシング前のウエハ状態であっても良く、検査装置1は、チップテストにもウエハテストにも使用できるものとする。また、半導体装置30はMOSFETおよびIGBTを内蔵した半導体モジュールまたは半導体パッケージであっても良く、検査装置1はモジュールテストにもパッケージテストにも使用できるものとする。
本明細書では、パワーMOSFETのドレイン(D)、IGBTのコレクタ(C)を第1の主電極、パワーMOSFETのドレイン(D)電極とソース(S)電極を主電極と総称し、パワーMOSFETのゲート(G)を制御電極と称することもある。
電源10は、半導体装置30のドレイン-ソース間(DS間、主電極間)に直流電圧、例えば300Vを印加する直流電源装置である。
負荷抵抗20は、例えば1Ωの抵抗値を有し、電源10と半導体装置30との間に接続され、負荷抵抗によるスイッチング試験およびゲート電荷測定試験の負荷として使用される。
バイパススイッチ40は、半導体装置30と並列に接続され、半導体装置30に流れる検査に直接関係のない電流を分流するための、バイパス回路を構成するためのスイッチである。
バイパススイッチ40は、代表的にはパワーMOSFETおよびIGBT等の半導体スイッチングデバイスが挙げられ、半導体装置30よりも、RBSOA耐量などの耐量が大きいことを特徴とし、また、オン抵抗が小さいスイッチであることが望ましい。なお、バイパススイッチ40としては、リレースイッチなどの開閉器であっても良いが、リレースイッチを使用する場合は、半導体装置30よりも、遮断電流能力が大きいことを特徴とし、また、オン抵抗が小さいスイッチであることが望ましい。
ゲートドライバ50は、半導体装置30のゲートを制御する制御信号を出力し、当該制御信号に基づいて半導体装置30をオン/オフ動作させて種々の検査を行う。なお、種々の検査において各種の電流、電圧等を測定し解析する方法は公知の技術を使用することができ、具体的な測定方法および解析方法の説明は省略し、また測定機器の図示も省略する。
図2は、本実施の形態1の検査装置1を用いた検査方法を実施する場合における、バイパススイッチ40の制御信号SW40、半導体装置30のゲートに印加されるゲート-ソース間電圧Vgs、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vds、半導体装置30に流れるドレイン電流Idおよび、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswを示すタイミングチャートである。
次に、図2を参照して、負荷抵抗によるゲート電荷測定試験を行う場合および負荷抵抗によるスイッチング試験のターンオン試験を非破壊で行う場合について説明する。なお、先に説明したように、負荷抵抗によるスイッチング試験およびゲート電荷測定試験の解析方法については、公知の技術を使用することができるので、説明は省略する。
図2に示すように、タイミングt0においては、半導体装置30とバイパススイッチ40が共にオフ状態にある。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30をオフさせる所定の値のゲート-ソース間電圧Vgsが印加されている。
この場合、半導体装置30のドレイン-ソース間にはドレイン-ソース間電圧Vdsとして、負荷抵抗20を介して電源10の出力電圧が印加され、バイパススイッチ40にも電源10の出力電圧が印加されるが、半導体装置30とバイパススイッチ40が共にオフ状態にあるので、半導体装置30およびバイパススイッチ40のそれぞれには、ドレイン電流Idおよびバイパス電流Iswは流れていない。
その後、タイミングt1で、ゲートドライバ50が、半導体装置30のターンオンを開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt1から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に上昇させ、ターンオン動作を開始してから所定時間経過後に所定の値となる。
タイミングt1で、半導体装置30のターンオン動作が開始されると、次いで半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がり、安定する。
また、タイミングt1で半導体装置30のターンオン動作が開始されると、半導体装置30にドレイン電流Idが流れ始める。半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsに対応したドレイン電流Idが徐々に増加し、最終的に電源10の出力電圧と、負荷抵抗20で概ね決まる電流値となる。
ここで、検査装置1を用いて、負荷抵抗によるゲート電荷測定試験を行う場合および負荷抵抗によるスイッチング試験のターンオン試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオン動作させることによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図2のタイミングt1からタイミングt2の間における、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。
タイミングt2で、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt2で、バイパススイッチ40をオンにして半導体装置30に流れていた電流を、バイパススイッチ40にバイパス電流Iswとして分流させることで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
その後、半導体装置30のオン抵抗とバイパススイッチ40のオン抵抗に反比例する電流が、それぞれ半導体装置30とバイパススイッチ40に分流して流れる。
図2では、バイパススイッチ40にハイレベル(H)およびローレベル(L)の制御信号SW40が印加されることによってオン、オフが制御される。図2では、ハイレベルの制御信号SW40が印加されることでバイパススイッチ40がオン制御されることを示している。
タイミングt3において、ゲートドライバ50が半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt3から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
また、タイミングt3で半導体装置30のターンオフ動作が開始されると、次いで半導体装置30に流れるドレイン電流Idがさらに低下し、バイパススイッチ40に流れる電流Iswがさらに増加する。最終的に半導体装置30に流れる電流は0となり、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswは、電源10の出力電圧と、負荷抵抗20と、バイパススイッチ40のオン抵抗で概ね決まる電流値となる。
この場合、タイミングt3で半導体装置30のターンオフ動作が開始される際には、既にドレイン電流Idが低下しており、さらに半導体装置30は、オン状態のバイパススイッチ40と並列に接続されているため、ターンオフに起因して発生する電圧、すなわちサージ電圧を抑制すると同時に、電力消費を著しく抑制することができる。これにより、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置であっても、ターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
タイミングt4では、半導体装置30はターンオフ動作を完了しているが、タイミングt4で、バイパススイッチ40をオフにするローレベルの制御信号が印加されると、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは減少を始める。同時にバイパススイッチ40に印加される電圧、すなわち半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsが上昇を始める。
所定時間経過後、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流は0となり、半導体装置30のドレイン-ソース間には、負荷抵抗20を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
このように、本実施の形態1の検査装置1を用いて検査を行うことで、半導体装置30の負荷抵抗によるゲート電荷測定試験および負荷抵抗によるスイッチング試験のターンオン試験を適切に行うことができる。
また、半導体装置30のRBSOA耐量などの耐量が不足する場合であっても、半導体装置30のターンオフ動作に起因して発生する電圧を抑制し、同時に電力消費を著しく抑制することにより、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置であっても、ターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
このため、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置30の不具合要因を探る物理解析および電気特性検査などが実施可能となる。
また、検査治具などを含む検査装置1は、半導体装置30が損傷しないため、損傷による影響を受けず、半導体装置30の損傷の影響による検査装置の健全性の確認をする保全の労力が不要となる。
また、半導体装置30の損傷の影響による検査装置の修理および交換などの保全費用が抑制されると共に、半導体装置30の生産性も向上する。
<実施の形態2>
図3は、本発明に係る実施の形態2の半導体装置の検査装置1A(以下、検査装置1A)の概略構成を示す回路図である。図3に示すように検査装置1Aは、電源10、半導体装置30、バイパススイッチ40およびゲートドライバ50を備えている点では実施の形態1の検査装置1と共通するが、検査装置1Aでは、負荷抵抗20の代わりに、誘導負荷としてのインダクタ21を有し、インダクタ21と並列に接続されたダイオード22を有している点で検査装置1と異なっている。
インダクタ21は、電源10と半導体装置30との間に接続されており、誘導負荷試験の負荷として用いられる。ダイオード22は、インダクタ21と並列に接続されており、アノードがインダクタ21の負極側(半導体装置30のドレイン側)に接続され、カソードがインダクタ21の正極側(電源10の正極側)に接続されている。ダイオード22は、インダクタ21とループ経路を形成し、還流電流を流す役割を有している。
本実施の形態2の検査装置1Aは、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験のターンオン試験に対応したものである。その他、バイパススイッチ40の機能等については実施の形態1の検査装置1と同様であり、説明を省略する。
図4は、本実施の形態2の検査装置1Aを用いた検査方法を実施する場合における、バイパススイッチ40の制御信号SW40、半導体装置30のゲートに印加されるゲート-ソース間電圧Vgs、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vds、半導体装置30に流れるドレイン電流Idおよび、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswを示すタイミングチャートである。
次に、図4を参照して、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験のターンオン試験を非破壊で行う場合について説明する。
図4に示すように、実施の形態2の検査装置1Aを用いた検査を行う場合も、半導体装置30をターンオフするタイミングは実施の形態1と同じである。しかし、本実施の形態2では、負荷がインダクタ21を用いた誘導負荷であり、ドレイン電流Idおよびバイパス電流Iswの時間変化において実施の形態1とは異なっている。
すなわち、タイミングt1で半導体装置30のターンオン動作が開始されると、半導体装置30にドレイン電流Idが流れ始める。半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsに対応したドレイン電流Idが徐々に増加し、電源10の出力電圧と、インダクタ21のインダクタンスと半導体装置30の飽和電圧で概ね決まる電流の傾きで時間とともに電流が増加する。
そして、タイミングt2で、バイパススイッチ40をオンにして半導体装置30に流れていた電流を、バイパススイッチ40にバイパス電流Iswとして分流させることで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
その後、半導体装置30のオン抵抗とバイパススイッチ40のオン抵抗に反比例する電流が、それぞれ半導体装置30とバイパススイッチ40に分流して流れる。
タイミングt3において、ゲートドライバ50が半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt3から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
また、タイミングt3で半導体装置30のターンオフ動作が開始されると、次いで半導体装置30に流れるドレイン電流Idがさらに低下し、バイパススイッチ40に流れる電流Iswがさらに増加する。最終的に半導体装置30に流れる電流は0となり、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswは、電源10の出力電圧と、インダクタ21のインダクタンスと、タイミングt1からの経過時間で概ね決まる電流値となる。
この場合、タイミングt3で半導体装置30のターンオフ動作が開始される際には、既にドレイン電流Idが低下しており、さらに半導体装置30は、オン状態のバイパススイッチ40と並列に接続されているため、ターンオフに起因して発生する電圧、すなわちサージ電圧を抑制すると同時に、電力消費を著しく抑制することができる。これにより、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置であっても、ターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
タイミングt4では、半導体装置30はターンオフ動作を完了している。タイミングt4で、バイパススイッチ40をオフにするローレベルの制御信号が印加されると、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは減少を始める。同時にバイパススイッチ40に印加される電圧、すなわち半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsが上昇を始める。
所定時間経過後、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流は0となり、半導体装置30のドレイン-ソース間には、インダクタ21を介して電源10の出力電圧が印加された状態となる。
このように、本実施の形態2の検査装置1Aを用いて検査を行うことで、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験のターンオン試験を適切に行うことができ、また、半導体装置30のRBSOA耐量などの耐量が不足する場合であっても、半導体装置30のターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
なお、ダイオード22は、インダクタ21とループ経路を形成し、還流電流を流すもののとして説明したが、還流電流を利用しないのであれば、ダイオード22を設けずとも、インダクタ21のみで誘導負荷による各種の試験は可能である。
<変形例>
次に、図5に示すタイミングチャートを用いて、図3に示す検査装置1Aを用いた検査方法の変形例について説明する。
図5に示すようにタイミングt11まではバイパススイッチ40はオン状態にあり、半導体装置30はオフ状態になっている。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30がオフさせる所定の値のゲート-ソース間電圧Vgsが印加されている。この場合、半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsは、バイパススイッチ40がオン状態のため、バイパススイッチの電気特性で決定する飽和電圧(ほぼ0V)となっている。また、バイパススイッチ40にはインダクタ21を介してバイパス電流Iswが流れ徐々に増加しているが、半導体装置30にはドレイン電流Idは流れていない。
タイミングt11において、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが所定の値に達すると、バイパススイッチ40をオフにする制御信号SW40を印加して、バイパススイッチ40はオフ動作を開始する。
これによりバイパススイッチ40に印加されていた電圧が半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加され、ドレイン-ソース間電圧Vdsが上昇を始める。所定時間経過後、バイパススイッチ40は完全にオフ状態となり、半導体装置30のドレイン-ソース間には、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
同時にバイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは減少を始め、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流し始める。その後バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは0となり、電流経路は完全にループ経路に切り替わる。この時点までは、半導体装置30には電流は流れていない。従って、検査に直接関係のない電流による無駄な自己発熱は起きていない。
次にタイミングt12において、半導体装置30のターンオンが開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がる。
また、タイミングt12で半導体装置30のターンオンが開始されると、還流電流の経路が切り替えられて半導体装置30に流れるドレイン電流Idが急峻に大きくなり、その後は、徐々にドレイン電流Idは増加する。
すなわち、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れている状態で、半導体装置30をターンオンさせると、還流電流は、電源10とインダクタ21と半導体装置30で形成される還流ループに流れるように切り替わる。この切り替わりのタイミングで、ダイオード22のカソードからアノードに急峻なリカバリー電流が流れ、半導体装置30に印加されることでドレイン電流Idが急峻に大きくなる。
ここで、検査装置1Aを用いて、誘導負荷におけるゲート電荷測定試験を行う場合および誘導負荷におけるスイッチング試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオンが開始されたことによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図5のタイミングt12からタイミングt13の間に示す、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。特に、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流しておき、それを半導体装置30のターンオンに合わせて半導体装置30に流すことで、急峻なドレイン電流Idを得ることができるので、ターンオン試験に適した条件を与えることができる。
タイミングt13で、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt13で、バイパススイッチ40をオンにして半導体装置30に流れていた電流を、バイパススイッチ40にバイパス電流Iswとして分流させることで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
その後、半導体装置30のオン抵抗とバイパススイッチ40のオン抵抗に反比例する電流が、それぞれ半導体装置30とバイパススイッチ40に分流して流れる。
タイミングt14において、ゲートドライバ50が半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt14から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
この場合、タイミングt14で半導体装置30のターンオフ動作が開始される際には、既にドレイン電流Idが低下しており、さらに半導体装置30は、オン状態のバイパススイッチ40と並列に接続されているため、ターンオフに起因して発生する電圧、すなわちサージ電圧を抑制すると同時に、電力消費を著しく抑制することができる。これにより、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置であっても、ターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
タイミングt15では、半導体装置30はターンオフ動作を完了しているが、タイミングt15で、バイパススイッチ40をオフにするローレベルの制御信号が印加されると、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは減少を始める。同時にバイパススイッチ40に印加される電圧、すなわち半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsが上昇を始める。
所定時間経過後、バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流は0となり、半導体装置30のドレイン-ソース間には、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
このように、本実施の形態2の検査装置1Aを用いた検査方法の変形例を用いることで、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験のターンオン試験を適切に行うことができる。
また、半導体装置30のRBSOA耐量などの耐量が不足する場合であっても、半導体装置30のターンオフ動作に起因して発生する電圧を抑制し、同時に電力消費を著しく抑制することにより、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置であっても、ターンオフ動作での損傷を抑制することができる。
また、検査に直接必要のない電流を半導体装置30に流さないため、試験条件および半導体装置30の電気特性に起因する半導体装置30の自己発熱を抑制でき、安定した測定が可能となる。
<実施の形態3>
図6は、本発明に係る実施の形態3の半導体装置の検査装置1B(以下、検査装置1B)の概略構成を示す回路図である。図6に示すように検査装置1Bは、電源10、インダクタ21、ダイオード22、半導体装置30、バイパススイッチ40およびゲートドライバ50を備えている点では実施の形態2の検査装置1Aと共通するが、検査装置1Bでは、試験電流、すなわち半導体装置30の主電流を流す経路に設けられた遮断スイッチ60を有している点で検査装置1Aと異なっている。
遮断スイッチ60は、例えば、電源10の正極とインダクタ21の正極(ダイオード22のカソード)との間に接続されており、検査に直接関係のない電流をスイッチング制御する。遮断スイッチ60は、代表的にはパワーMOSFETおよびIGBT等の半導体スイッチングデバイスが挙げられ、半導体装置30よりも、RBSOA耐量などの耐量が大きく、かつ、通電能力が大きいスイッチであることを特徴とする。なお、遮断スイッチ60としては、リレースイッチなどの開閉器であっても良いが、リレースイッチを使用する場合は、半導体装置30よりも、遮断電流能力が大きく、かつ、通電能力が大きいスイッチであることを特徴とする。
なお、遮断スイッチ60を設ける位置は電源10の正極とインダクタ21の正極との間に限定されず試験電流を流す経路、すなわち、半導体装置30の主電流が流れる経路であれば良い。
本実施の形態3の検査装置1Bは、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験に対応したものである。その他、バイパススイッチ40の機能等については実施の形態2の検査装置1Aと同様であり、説明を省略する。
図7は、本実施の形態3の検査装置1Bを用いた検査方法を実施する場合における、遮断スイッチ60の制御信号SW60、バイパススイッチ40の制御信号SW40、半導体装置30のゲートに印加されるゲート-ソース間電圧Vgs、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vds、半導体装置30に流れるドレイン電流Idおよび、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswを示すタイミングチャートである。
次に、図7を参照して、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験を非破壊で行う場合について説明する。
図7に示すように、実施の形態3の検査装置1Bを用いた検査を行う場合、予め、タイミングt10より前にバイパススイッチ40をオンして、検査に直接関係のない電流をバイパススイッチ40に流して、その後オフすることでインダクタ21に所定のエネルギーを溜めて、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れているようにする。
インダクタ21に所定のエネルギーを溜めて、インダクタ21とダイオード22で構成するループ経路に還流電流を流している状態を作り、その状態で半導体装置30をターンオンさせることで、半導体装置30を含むループ経路に電流の流れを切り替え、所定の試験電流を半導体装置30に流すことで、半導体装置30の試験を行う。
なお、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れているか否かに関わらず、遮断スイッチ60がオン状態で、バイパススイッチ40がオフ状態であると、電源10の出力電圧が半導体装置30のドレイン-ソース間にドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加される。
タイミングt10までは、遮断スイッチ60はオン状態にあり、半導体装置30とバイパススイッチ40はオフ状態にある。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30をオフさせる所定の値のVgs電圧が印加されている。
この場合、半導体装置30のドレイン-ソース間にはドレイン-ソース間電圧Vdsとして、インダクタ21を介して電源10の出力電圧が印加され、バイパススイッチ40にも電源10の出力電圧が印加されるが、半導体装置30とバイパススイッチ40が共にオフ状態にあるので、半導体装置30およびバイパススイッチ40のそれぞれには、ドレイン電流Idおよびバイパス電流Iswは流れていない。
タイミングt10において、バイパススイッチ40をオンするように制御信号SW40を印加し、バイパススイッチ40のオン動作が開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的にバイパススイッチ40の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がり、安定する。
また、タイミングt10でバイパススイッチ40のオン動作が開始されると、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れている状態から、電源10、遮断スイッチ60、インダクタ21およびバイパススイッチ40で形成される閉回路に還流電流の経路が切り替わる。この切り替わりのタイミングで、ダイオード22のカソードからアノードに急峻なリカバリー電流が流れ、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが急峻に大きくなる。その後、バイパス電流Iswは徐々に増加する。
タイミングt11で、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが所定の値に達すると、バイパススイッチ40をオフにする制御信号SW40を印加して、バイパススイッチ40はオフ動作を開始する。
これによりバイパススイッチ40に印加されていた電圧、すなわち半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsが上昇を始める。所定時間経過後、バイパススイッチ40は完全にオフ状態となり、半導体装置30のドレイン-ソース間には、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
同時にバイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは減少を始め、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流し始める。その後バイパススイッチ40に流れていたバイパス電流Iswは0となり、電流経路は完全にループ経路に切り替わる。この時点までは、半導体装置30には電流は流れていない。従って、検査に直接関係のない電流による無駄な自己発熱は起きていない。
次にタイミングt12において、半導体装置30のターンオンが開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がる。
また、タイミングt12で半導体装置30のターンオンが開始されると、還流電流の経路が切り替えられて半導体装置30に流れるドレイン電流Idが急峻に大きくなり、その後は、徐々にドレイン電流Idは増加する。
ここで、検査装置1Bを用いて、誘導負荷におけるゲート電荷測定試験を行う場合および誘導負荷におけるスイッチング試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオンが開始されたことによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図7のタイミングt12からタイミングt13の間に示す、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。
特に、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流しておき、それを半導体装置30のターンオンに合わせて半導体装置30に流すことで、急峻なドレイン電流Idを得ることができるので、ターンオン試験に適した条件を与えることができる。
タイミングt13において、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt13で、遮断スイッチ60をオフにして半導体装置30に流れていた主電流を遮断することで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
次に、タイミングt14において、バイパススイッチ40をオン状態にし、タイミングt15において、ゲートドライバ50が、半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt14から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
この場合、遮断スイッチ60はオフ状態であり、半導体装置30の主電極間に検査に直接関係のないドレイン-ソース間電圧Vdsは印加されず、検査に直接関係のないドレイン電流Idが流れることはなく、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置30であっても損傷は起きない。
また、検査に直接必要のない電流を半導体装置30に流さないため、試験条件および半導体装置30の電気特性に起因する半導体装置30の自己発熱を抑制でき、安定した測定が可能となる。
このように、試験電流を流す経路に遮断スイッチ60を設け、図7に示す方法で検査を行うことにより、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験を適切に行うことができる。
なお、本実施形態3では、予め、タイミングt10より前にバイパススイッチ40をオンして、検査に直接関係のない電流をバイパススイッチ40に流して、その後オフすることでインダクタ21に所定のエネルギーを溜めて、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れている設定としているが、タイミングt11で初めてループ経路に還流電流が流れるように、バイパススイッチ40はタイミングt10よりも前からオン状態であっても良い。
この状態で半導体装置30をターンオンさせることで、電流の流れを、半導体装置30を含むループ経路に切り替え、所定の試験電流を半導体装置30に流すことで、半導体装置30の試験を行うことができることに変わりはない。なお、半導体装置30をターンオンさせる前であれば、バイパススイッチ40をスイッチング制御するタイミングはどこでも良く、またスイッチング制御の回数は1回で良い。
また、本実施形態3では、タイミングt14において、バイパススイッチ40をオン状態にしているが、検査に直接関係しないためバイパススイッチ40は、オフ状態を継続しても良い。
<変形例>
次に、図8に示すタイミングチャートを用いて、図5に示す検査装置1Bを用いた検査方法の変形例について説明する。
図8に示すように、予め、タイミングt10より前に遮断スイッチ60をオンして、検査に直接関係のない電流をバイパススイッチ40に流して、その後オフすることでインダクタ21に所定のエネルギーを溜めて、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れているようにする。
また、タイミングt10より前は遮断スイッチ60と半導体装置30はオフされている。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30をオフさせる所定の値のVgs電圧が印加されている。
この場合、遮断スイッチ60のオン状態、またはオフ状態に関わらず、半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsは、バイパススイッチ40はオン状態のため、バイパススイッチ40の電気特性で決定する飽和電圧(ほぼ0V)となっている。また、バイパススイッチ40にはインダクタ21を介してバイパス電流Iswが流れ徐々に増加しているが、半導体装置30にはドレイン電流Idは流れていない。
タイミングt10において、遮断スイッチ60をオンするように制御信号SW60を印加し、遮断スイッチ60のオン動作を開始する。遮断スイッチ60のオン動作が開始されると、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れている状態から、電源10、遮断スイッチ60、インダクタ21およびバイパススイッチ40で形成される閉回路に還流電流の経路が切り替わる。この切り替わりのタイミングで、ダイオード22のカソードからアノードに急峻なリカバリー電流が流れ、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが急峻に大きくなる。その後、バイパス電流Iswは徐々に増加する。
タイミングt11で、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが所定の値に達すると、遮断スイッチ60をオフにする制御信号SW60を印加して、遮断スイッチ60はオフ動作を開始する。遮断スイッチ60をオフ状態にすると、バイパススイッチ40にバイパス電流Iswは流れなくなり、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れる。
タイミングt12において、バイパススイッチ40をオフにする制御信号SW40を印加してバイパススイッチ40をオフ状態にする。この時点までは、半導体装置30には電流は流れていない。従って、検査に直接関係のない電流による無駄な自己発熱は起きていない。また、不要な電圧の印加も起きていない。
タイミングt13において、遮断スイッチ60をオン状態にすることで、半導体装置30のドレイン-ソース間には、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
次にタイミングt14において、半導体装置30のターンオンが開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がる。
また、タイミングt14で半導体装置30のターンオンが開始されると、還流電流の経路が切り替えられて半導体装置30に流れるドレイン電流Idが急峻に大きくなり、その後は、徐々にドレイン電流Idは増加する。
ここで、検査装置1Bを用いて、誘導負荷におけるゲート電荷測定試験を行う場合および誘導負荷におけるスイッチング試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオンが開始されたことによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図8のタイミングt14からタイミングt15の間に示す、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。特に、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流しておき、それを半導体装置30のターンオンに合わせて半導体装置30に流すことで、急峻で所定のドレイン電流Idを得ることができるので、ターンオン試験に適した条件を与えることができる。
タイミングt15において、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt15で、遮断スイッチ60をオフにして半導体装置30に流れていた主電流を遮断することで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
次に、タイミングt16において、バイパススイッチ40をオン状態にし、タイミングt17において、ゲートドライバ50が、半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt17から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
この場合、遮断スイッチ60はオフ状態であり、半導体装置30の主電極間に検査に直接関係のないドレイン-ソース間電圧Vdsは印加されず、検査に直接関係のないドレイン電流Idが流れることはなく、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置30であっても損傷は起きない。
このように、試験電流を流す経路に遮断スイッチ60を設け、図8に示す方法で検査を行うことにより、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験を適切に行うことができる。
なお、本変形例では、予め、タイミングt10より前に遮断スイッチ60をオンしておき、その後オフすることでインダクタ21に所定のエネルギーを溜めて、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れている設定としているが、タイミングt11で初めてループ経路に還流電流が流れるように、遮断スイッチ60はタイミングt10よりも前からオン状態であっても良い。
この状態で半導体装置30をターンオンさせることで、電流の流れを、半導体装置30を含むループ経路に切り替え、所定の試験電流を半導体装置30に流すことで、半導体装置30の試験を行うことができることに変わりはない。なお、半導体装置30をターンオンさせる前であれば、遮断スイッチ60をスイッチング制御するタイミングはどこでも良く、またスイッチング制御の回数は1回で良い。
また、本変形例では、タイミングt16において、バイパススイッチ40をオン状態にしているが、検査に直接関係しないためバイパススイッチ40は、オフ状態を継続しても良い。
<実施の形態4>
図9は、本発明に係る実施の形態4の半導体装置の検査装置1C(以下、検査装置1C)の概略構成を示す回路図である。図9に示すように検査装置1Cは、電源10、遮断スイッチ60、インダクタ21、ダイオード22、半導体装置30、バイパススイッチ40およびゲートドライバ50を備えている点では実施の形態3の検査装置1Bと共通するが、検査装置1Cでは、半導体装置30と直列に接続された直列スイッチ70を有している点で検査装置1Bと異なっている。
直列スイッチ70は、半導体装置30と直列に接続され、バイパススイッチ40と並列に接続されており、半導体装置30の検査に直接関係する電圧、すなわち半導体装置30の主電極間電圧、すなわちドレイン-ソース間電圧Vdsをスイッチング制御するためのスイッチである。
直列スイッチ70は、代表的にはパワーMOSFETおよびIGBT等の半導体スイッチングデバイスが挙げられるが、半導体装置30よりも、オン抵抗が小さく、かつ、通電能力が大きいスイッチであることを特徴とする。なお、直列スイッチ70としては、リレースイッチなどの開閉器であっても良いが、リレースイッチを使用する場合は、半導体装置30よりも、遮断電流能力が大きく、かつ、通電能力が大きいスイッチであることを特徴とする。
本実施の形態4の検査装置1Cは、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験に対応したものである。その他、バイパススイッチ40および遮断スイッチ60の機能等については実施の形態3の検査装置1Cと同様であり、説明を省略する。
図10は、本実施の形態4の検査装置1Cを用いた検査方法を実施する場合における、遮断スイッチ60の制御信号SW60、バイパススイッチ40の制御信号SW40、直列スイッチ70の制御信号SW70、半導体装置30のゲートに印加されるゲート-ソース間電圧Vgs、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vds、半導体装置30に流れるドレイン電流Idおよび、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswを示すタイミングチャートである。
次に、図10を参照して、インダクタ21を用いた誘導負荷によるゲート電荷測定試験を行う場合およびインダクタ21を用いた誘導負荷によるスイッチング試験を非破壊で行う場合について説明する。
図10に示すように、タイミングt11より前から遮断スイッチ60およびバイパススイッチ40はオン状態にあり、直列スイッチ70および半導体装置30はオフ状態にある。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30をオフさせる所定の値のVgs電圧が印加されている。
この場合、半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsは、直列スイッチ70がオフ状態で、バイパススイッチ40はオン状態のため、0Vとなっている。また、検査に直接関係しない電流をバイパススイッチ40にバイパス電流Iswとして流して、インダクタ21に徐々にエネルギーを溜めている。
タイミングt11で、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが所定の値に達すると、バイパススイッチ40をオフにする制御信号SW40を印加して、バイパススイッチ40はオフ動作を開始する。バイパススイッチ40がオフ状態になるとバイパス電流Iswは流れなくなり、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れる。
インダクタ21に所定のエネルギーが溜められ、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れる状態を作り、その状態で半導体装置30をターンオンさせることで、電流の流れを、半導体装置30を含むループ経路に切り替え、所定の試験電流を半導体装置30に流すことで、半導体装置30の試験を行う。
所定時間経過後、バイパススイッチ40は完全にオフ状態となるが、直列スイッチ70はオフ状態を維持しているので、半導体装置30のドレイン-ソース間には不要な電圧の印加は起きていない。
タイミングt12において、直列スイッチ70をオンするように制御信号SW70を印加し、直列スイッチ70のオン動作を開始する。直列スイッチ70のオン動作が開始されると、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
このように、遮断スイッチ60および直列スイッチ70がオンしないと、電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加されず、半導体装置30の主電極間電圧の印加のタイミングの制御性を高めることができる。
次にタイミングt13において、半導体装置30のターンオンが開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がる。
また、タイミングt13で半導体装置30のターンオンが開始されると、還流電流の経路が切り替えられて半導体装置30に流れるドレイン電流Idが急峻に大きくなり、その後は、徐々にドレイン電流Idは増加する。
ここで、検査装置1Cを用いて、誘導負荷におけるゲート電荷測定試験を行う場合および誘導負荷におけるスイッチング試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオンが開始されたことによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図10のタイミングt13からタイミングt14の間に示す、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。
特に、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流しておき、それを半導体装置30のターンオンに合わせて半導体装置30に流すことで、急峻で所定のドレイン電流Idを得ることができるので、ターンオン試験に適した条件を与えることができる。
タイミングt14において、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt14で、遮断スイッチ60をオフにして半導体装置30に流れていた主電流を遮断することで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
次に、タイミングt15において、バイパススイッチ40をオン状態にし、タイミングt16において、ゲートドライバ50が、半導体装置30のターンオフ動作を開始する。すなわち、ゲートドライバ50は、タイミングt16から半導体装置30のゲート-ソース間電圧Vgsの値を徐々に低下させ、ターンオフ動作を開始してから所定時間経過後に所定の値に達する。
タイミングt14以降で、遮断スイッチ60がオフ状態になると、半導体装置30の主電極間に検査に直接関係のないドレイン-ソース間電圧Vdsは印加されず、検査に直接関係のないドレイン電流Idが流れることはなく、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置30であっても損傷は起きない。
このように、半導体装置30と直列に接続された直列スイッチ70を設け、図10に示す方法で検査を行うことにより、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験を適切に行うことができる。
また、本実施形態4では、タイミングt15において、バイパススイッチ40をオン状態にしているが、検査に直接関係しないためバイパススイッチ40は、オフ状態を継続しても良い。
また、本実施形態4では直列スイッチ70は、タイミングt15以降はオン状態としているが、オフ状態としても良い。
<変形例>
次に、図11に示すタイミングチャートを用いて、図9に示す検査装置1Cを用いた検査方法の変形例について説明する。
図11に示すように、タイミングt11より前から遮断スイッチ60およびバイパススイッチ40はオン状態にあり、直列スイッチ70および半導体装置30はオフ状態にある。すなわち、半導体装置30のゲート-ソース電極間には、ゲートドライバ50により半導体装置30をオフさせる所定の値のVgs電圧が印加されている。
この場合、半導体装置30のドレイン-ソース間電圧Vdsは、直列スイッチ70がオフ状態で、バイパススイッチ40はオン状態のため、0Vとなっている。また、検査に直接関係しない電流をバイパススイッチ40にバイパス電流Iswとして流して、インダクタ21に徐々にエネルギーを溜めている。
タイミングt11で、バイパススイッチ40に流れるバイパス電流Iswが所定の値に達すると、遮断スイッチ60をオフにする制御信号SW60を印加して、遮断スイッチ60はオフ動作を開始する。遮断スイッチ60をオフ状態にすると、バイパススイッチ40にバイパス電流Iswは流れなくなり、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流が流れる。
タイミングt12において、バイパススイッチ40をオフにする制御信号SW40を印加してバイパススイッチ40をオフ状態にする。この時点までは、半導体装置30には電流は流れていない。従って、検査に直接関係のない電流による無駄な自己発熱は起きていない。また、不要な電圧の印加も起きていない。
次に、タイミングt13において、直列スイッチ70をオン状態にするが、遮断スイッチ60オフ状態を維持しているため、半導体装置30のドレイン-ソース間には電圧は印加されない。
次にタイミングt14において、直列スイッチ70をオンするように制御信号SW70を印加し、直列スイッチ70のオン動作を開始する。直列スイッチ70のオン動作が開始されると、インダクタ21を介して電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加された状態となる。
このように、遮断スイッチ60および直列スイッチ70がオンしないと、電源10の出力電圧がドレイン-ソース間電圧Vdsとして印加されず、半導体装置30の主電極間電圧の印加のタイミングの制御性を高めることができる。
次にタイミングt15において、半導体装置30のターンオンが開始されると、半導体装置30に印加されるドレイン-ソース間電圧Vdsが徐々に低下を始め、最終的に半導体装置30の電気特性で決まる飽和電圧(ほぼ0V)までドレイン-ソース間電圧Vdsが下がる。
また、タイミングt15で半導体装置30のターンオンが開始されると、還流電流の経路が切り替えられて半導体装置30に流れるドレイン電流Idが急峻に大きくなり、その後は、徐々にドレイン電流Idは増加する。
ここで、検査装置1Cを用いて、誘導負荷におけるゲート電荷測定試験を行う場合および誘導負荷におけるスイッチング試験を行う場合、ゲートドライバ50により半導体装置30のゲートを制御してターンオンが開始されたことによって、それぞれの検査に必要なドレイン電流Idを流すことができる。すなわち、図11のタイミングt15からタイミングt16の間に示す、半導体装置30がターンオンする過程のゲート-ソース間電圧Vgs、ドレイン-ソース間電圧Vds、ドレイン電流Idの波形およびゲート電流Ig(図示せず)などの波形を解析することで、検査を行うことができる。特に、インダクタ21とダイオード22で形成されるループ経路に還流電流を流しておき、それを半導体装置30のターンオンに合わせて半導体装置30に流すことで、急峻で所定のドレイン電流Idを得ることができるので、ターンオン試験に適した条件を与えることができる。
タイミングt16において、半導体装置30は完全にターンオン動作を完了しており、以降は検査に直接関係のない電流が流れるため、半導体装置30に電流を流す必要はない。従って、タイミングt16で、遮断スイッチ60をオフにして半導体装置30に流れていた主電流を遮断することで、半導体装置30に流れていたドレイン電流Idが減少を始める。
タイミングt16以降で、遮断スイッチ60がオフ状態になると、半導体装置30の主電極間に検査に直接関係のないドレイン-ソース間電圧Vdsは印加されず、検査に直接関係のないドレイン電流Idが流れることはなく、RBSOA耐量などの耐量が不足する半導体装置30であっても損傷は起きない。
このように、半導体装置30と直列に接続された直列スイッチ70を設け、図10に示す方法で検査を行うことにより、半導体装置30の誘導負荷によるゲート電荷測定試験および誘導負荷によるスイッチング試験を適切に行うことができる。
なお、本変形例では、タイミングt13において直列スイッチ70をオンにしているが、タイミングt12でバイパススイッチ40をオフするタイミングと同時に直列スイッチ70をオンにしても良い。また、タイミングt12において直列スイッチ70をオンし、タイミングt13においてバイパススイッチ40をオフしても良い。
また、本変形例ではタイミングt17において、バイパススイッチ40をオン状態にしているが、検査に直接関係しないためバイパススイッチ40は、オフ状態を継続しても良い。
また、本変形例では直列スイッチ70は、タイミングt16以降はオン状態であるが、オフ状態としても良い。
また、本変形例では、タイミングt16において遮断スイッチ60をオフ状態にしているが、タイミングt16で遮断スイッチ60をオフするタイミングと同時に直列スイッチ70をオフ状態にしても良い。
また、タイミングt16で直列スイッチ70をオフ状態にし、その後、遮断スイッチ60をオフ状態にしても良い。この場合、バイパススイッチ40をオンするタイミングは、遮断スイッチ60がオフ状態になった後で行う必要がある。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形したり、省略したりすることが可能である。