(詳細な説明)
ヒトGFRALタンパク質を含む、GFRALタンパク質に結合する、結合タンパク質、例えば、抗体が本明細書に提供される。本明細書に開示される抗体を含む、そのような結合タンパク質の独特な性質は、その拮抗的な性質であり、これには、GDF15タンパク質の効果を阻害する能力及び/又はGFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合を阻害する能力もしくはGFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合を阻害する能力が含まれ、これには、結合の阻害がGDF15シグナル伝達を低下させる(例えば、遮断する)場合が含まれる。顕著かつ具体的には、本明細書に開示されるGFRALタンパク質に対する結合タンパク質、例えば、抗体は、(i)GFRALタンパク質に結合し、(ii)GFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合を阻害し、かつ/又は(iii)GFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合を阻害し、これには、例えば、いくつかのインビトロの細胞ベースのアッセイによって測定されるものを含む、GDF15/GFRALタンパク質複合体もしくはGDF15/GFRAL/RETタンパク質複合体の形成又はGDF15シグナル伝達を遮断することが含まれる。そのようなアッセイとしては、(1)ELK1-ルシフェラーゼレポーターアッセイ(例えば、実施例3参照);及び/又は(2)U2OS細胞におけるERK-リン酸化アッセイ(例えば、実施例4参照)を挙げることができる。したがって、本明細書に記載される結合タンパク質、例えば、抗GFRAL抗体は、インビボの(例えば、GDF15のシグナル伝達機能と関連する)GDF15活性を阻害すると考えられる。この性質のために、抗GFRAL抗体を含む、開示された結合タンパク質は、GDF15タンパク質(例えば、ヒトGDF15タンパク質)及び/又はGFRALタンパク質(例えば、ヒトGFRALタンパク質)によって引き起こされるか、又は該タンパク質と別の形で関連する疾患、障害、又は疾病、例えば、対象におけるGDF15誘導性シグナル伝達と関連するものの治療のための実現可能な治療剤となる。
本明細書に提供される結合タンパク質、例えば、GFRALタンパク質に結合する抗体は、(i)GFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合及び/又は(ii)GFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合に拮抗するという共通の特徴を共有する。本明細書に提供される抗GFRAL抗体には、表1~24もしくは図4~10に記載されるCDR配列を有する、1C1、3P10、12A3、5F12、5A20、8D8、17J16、25M22、2B8、22N5、2I23、6N16、1B3、19K19、2B3、8C10、2A9、24G2、6G9、2B11、1A3、P1B6、P1H8、及び/もしくはP8G4に由来し又はこれらに基づくヒト化抗GFRAL抗体を含む、ヒト化抗GFRAL抗体が含まれる。ヒト化抗GFRAL抗体を含む、そのような抗GFRAL抗体は、GFRALタンパク質の特定のドメインに結合し、これには、例えば:(i)GFRALタンパク質のドメイン1(例えば、配列番号1797のアミノ酸残基Q20~S130);(ii)GFRALタンパク質のドメイン2(例えば、配列番号1797のアミノ酸残基C131~C210);(iii)GFRALタンパク質のドメイン3(例えば、配列番号1797のアミノ酸残基C220~C316);又は(iv)GFRALタンパク質の細胞外ドメイン(例えば、配列番号1797のアミノ酸残基Q20~E351)に結合するものが含まれる。
本開示のいくつかの実施態様において、結合タンパク質、例えば、抗GFRAL抗体は、表1~24に記載される1以上の相補性決定領域(CDR)を含む免疫グロブリン可変領域を含むことができる。そのような結合タンパク質(例えば、抗GFRAL抗体)において、CDRは、1以上のスキャフォールド領域又はフレームワーク領域と接続されていてもよく、該領域は、CDRの適切な抗原結合特性が達成されるようにCDRを配向させる。本明細書に記載される抗GFRAL抗体を含む、そのような結合タンパク質は、(i)GDF15タンパク質とGFRALタンパク質の相互作用及び/又は(ii)RETタンパク質とGFRALタンパク質の相互作用を阻害する(例えば、遮断する)ことができる。本明細書に記載される抗GFRAL抗体を含む、そのような結合タンパク質は、GDF15シグナル伝達を阻害する(例えば、遮断する)ことができる。
本開示のいくつかの実施態様において、結合タンパク質、例えば、抗GFRAL抗体は:(i)GFRALタンパク質(配列番号1797)のアミノ酸残基SER156、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、LEU152、LYS153、ALA154、CYS155、PHE174、TYR175、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、LEU186、CYS189、CYS191、ALA192、GLN193、SER194、ASP195、ILE196、PRO197、CYS198、GLN199、GLN200、SER201、LYS202、GLU203、ALA204、LEU205、HIS206、SER207、SER130、CYS131、LEU132、GLU133、VAL134、もしくはALA135のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(ii)配列番号1797のアミノ酸残基LEU132、GLU133、VAL134、ALA135、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、PHE174、TYR175、ALA169、ALA170、ILE171、ARG172、PHE173、GLN176、ASN177、ILE178、PRO179、PHE180、ASN181、ILE182、ALA183、GLN184、MET185、LEU186、ALA187、PHE188、もしくはCYS189のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(iii)配列番号1797のアミノ酸残基LEU164、LYS208、VAL212、ASN213、MET214、VAL215、PRO216、PRO217、PRO218、THR219、CYS220、LEU221、VAL223、TRP245、LEU267、CYS269、GLN28、VAL289、GLN290、CYS291、THR292、CYS293、ARG294、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、CYS304、LYS305、ILE306、PHE307、GLN308、HIS309、MET310、LEU311、HIS312、ARG313、LYS314、SER315、CYS316、もしくはPHE317のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(iv)配列番号1797のアミノ酸残基CYS233、ARG234、ARG235、HIS236、TYR237、ARG238、THR239、PHE240、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、GLN246、ARG247、VAL248、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、GLU254、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、SER263、LYS264、ASP266、LEU267、THR268、SER272、ASP274、CYS275、ALA278、CYS269、SER270、SER302、LEU303、ILE306、HIS309、LEU311、MET310、SER315、もしくはCYS316のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(v)配列番号1797のアミノ酸残基GLY140、LEU148、ALA149、ALA146、VAL142、ASN145、VAL139、ALA135、GLU136、LEU152、LEU132、SER201、ALA204、LEU205、LYS153、ILE196、PRO197、もしくはGLN200のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(vi)配列番号1797のアミノ酸残基GLU136、ALA137、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、PHE173、ASN177、ILE178、PRO179、ASN181、ILE182、もしくはMET185のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;(vii)配列番号1797のアミノ酸残基GLN298もしくはGLU301のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープ;又は(viii)配列番号1797のアミノ酸残基ARG234、ARG238、GLN241、SER242、LYS243、TRP245、GLN246、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、ASP255、ASN257、CYS258、SER260、THR261、もしくはLEU262のうちの少なくとも1つ(例えば、1つもしくは複数)を含むGFRALタンパク質のエピトープに結合する。上で提供されているそのような抗体は、いくつかの実施態様において、例えば、GFRALタンパク質を発現する細胞におけるGDF15誘導性シグナル伝達及び/又はGFRAL/GDF15もしくはRET/GFRAL/GDF15受容体複合体のシグナル伝達もしくは活性化を阻害することができる。さらに、本開示のいくつかの実施態様において、該抗体は、モノクローナル抗体、例えば、ヒト化抗体である。
(一般的な技法)
本明細書に記載又は言及される技法及び手順は、当業者によって一般に十分に理解されており、かつ/又は従来の方法論、例えば、Sambrookらの文献、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第3版(2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(F. M. Ausubelら編(2003));治療用モノクローナル抗体:ベンチから臨床まで(Therapeutic Monoclonal Antibodies: From Bench to Clinic)、Z. An編、Wiley, Hoboken N.J.(2009);モノクローナル抗体:方法及びプロトコル(Monoclonal Antibodies: Methods and Protocols)、M. Albitar編、Humana Press, Totawa, N.J.(2010);及び抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、第2版、第1巻及び第2巻、Kontermann及びDubel編、Springer-Verlag, Heidelberg, 2010に記載されている広く利用されている方法論などを用いて一般に利用されるものを含む。
(専門用語)
別途記載されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は全て、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書を解釈するために、以下の用語の説明が適用され、適切な場合はいつでも、単数で使用される用語は複数も含み、逆もまた同様である。特許、出願、公開出願、及び他の刊行物は全て、引用により完全に組み込まれる。記載された用語の任意の説明が引用により本明細書中に組み込まれる任意の文書と相容れない場合、下記の用語の説明が優先されるものとする。
「GDNFファミリー受容体アルファ様」、「成長分化因子15受容体」、「GFRAL」、又は「GFRALタンパク質」という用語及び類似の用語は、別途示されない限り、ポリペプチド(「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用される)又は哺乳動物、例えば、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、並びに齧歯類(例えば、マウス及びラット)を含む、任意の脊椎動物源由来の任意のネイティブなGFRALを指し、ある実施態様において、これには、そのSNP変異体を含む、関連するGFRALポリペプチドが含まれる。GFRALは、「C6orf144」、「第6番染色体オープンリーディングフレーム144」、「BA360D14.1」、「IVFI9356」、及び「UNQ9356」としても当技術分野で公知である。
全長前駆体ヒトGFRALのアミノ酸配列が以下に提供されており、これには、シグナルペプチド配列(下線が付された小文字の残基)が含まれる:
成熟ヒトGFRALポリペプチドのアミノ酸配列が以下に提供されている:
いくつかの実施態様において、GFRALは、成熟ヒトGFRAL(配列番号1798)のアミノ酸配列と少なくとも55%同一であるタンパク質を指す。結合タンパク質、例えば、本明細書に開示される抗GFRAL抗体は、本明細書に記載されるように、GFRALに結合し、かつ/又はシグナル伝達を調節することができる。ある実施態様において、本明細書に記載される抗体は、ヒトGFRALに結合する。
ヒトGFRALは、細胞外ドメイン(例えば、配列番号1797の残基20~351)、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号1797の残基352~371)、及び細胞質ドメイン(例えば、配列番号1797の残基372~394)を有する。
前駆体GFRALポリペプチドをコードする核酸配列が以下に提供されている:
。
本明細書で使用される「GFRAL」は、ヒトGFRAL及び限定されないが、例えば、マウスGFRAL、ラットGFRAL、カニクイザルGFRALなどの、そのオルソログを含む、その変異体を包含する。GFRALは、TGFβRII(NCBI参照配列: NM_001024847.2(GI:133908632); NM_003242.5(GI:133908633))でも、そのオルソログでもない。GFRALは、TGFβRI(NCBI参照配列: NP_001124388.1(GI:195963412); NP_004603.1(GI:4759226))又はそのオルソログと異なる。ある実施態様において、GFRALは、配列番号1797と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。そのような例示的なGFRALタンパク質には、図1に示されるように、チンパンジー(99%)、カニクイザル(92%)、ジャイアントパンダ(82%)、イヌ(81%)、ネコ(80%)、ブタ(77%)、ウシ(75%)、マウス(70%)、ラット(70%)、チャイニーズハムスター(65%)、及びカモノハシ(59%)が含まれる。
カニクイザル(cyno)、学名マカカ・ファスシクラリス(Macaca fascicularis)由来のGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に提供されており、これには、シグナルペプチド配列(下線が付された残基)が含まれる:
。
カニクイザルGFRALタンパク質のコード核酸配列が以下に提供されている:
マウス、学名ムス・ムスクルス(Mus musculus)由来のGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に提供されており、これには、シグナルペプチド配列(下線が付された残基)が含まれる:
マウスGFRALタンパク質のコード核酸配列が以下に提供されている:
ラット、学名ラトゥス・ノルベギクス(Rattus norvegicus)由来のGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に提供されており、これには、シグナルペプチド配列(下線が付された残基)が含まれる:
ラットGFRALタンパク質のコード核酸配列が以下に提供されている:
GFRALタンパク質又はGFRALは、1以上のアミノ酸残基の(例えば、変異体及び/又は種を超えて保存されていない位置での)改変を有するが、保存されたドメインを保持し、かつ天然に存在するGFRALと同様の生物学的活性を有するタンパク質も指す。GFRALは、天然に存在するDNA配列と1以上の塩基が異なるが、それでも、遺伝暗号の縮重のために天然に存在するタンパク質に対応するアミノ酸配列に翻訳される核酸配列によってコードされてもよい。GFRALタンパク質は、GFRALの天然に存在する配列と1以上の保存的置換及び/又はタグ及び/又はコンジュゲートの分だけ異なるタンパク質も指す。
「GFRAL」又は「GFRALタンパク質」という用語は、「全長」のプロセシングされていないGFRAL、及び細胞内でのプロセシングによって生じるGFRALの任意の形態を包含する。GFRAL又は「GFRALタンパク質」という用語には:アレル変異体(例えば、SNP変異体);スプライス変異体;アイソフォーム;断片;誘導体;置換、欠失、及び挿入変異体;融合ポリペプチド;並びに種間ホモログ、好ましくは、GFRAL活性を保持し、及び/又は抗GFRAL免疫応答を発生させるのに十分であるものも含まれる。当業者が理解しているように、本明細書に提供される抗GFRAL抗体は、GFRALポリペプチド断片、GFRAL抗原、及び/又はGFRALエピトープを含む、GFRALタンパク質に結合することができる。エピトープは、より大きいGFRAL抗原の一部であってもよく、該GFRAL抗原は、より大きいGFRALポリペプチド断片の一部であってもよく、そして、該GFRALポリペプチド断片は、より大きいGFRALタンパク質の一部であってもよい。GFRALタンパク質は、ネイティブな形態又は変性した形態で存在することができる。本明細書に記載されるGFRALタンパク質は、様々な源から、例えば、ヒト組織型からもしくは別の源から単離するか、又は組換え法もしくは合成法により調製することができる。GFRALタンパク質は、自然から得られる対応するGFRALポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことができる。GFRALタンパク質は、切断又は分泌された形態のGFRALポリペプチド(例えば、細胞外ドメイン配列)、該ポリペプチドの変異体形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びアレル変異体を包含する。本明細書に記載されるGFRALポリペプチド(例えば、ヒトGFRAL)は、様々な源から、例えば、ヒト組織型からもしくは別の源から単離するか、又は組換え法もしくは合成法により調製することができる。
GFRALタンパク質は、天然に存在する全長GFRALポリペプチドと比べて、少なくとも5個、少なくとも10個、最大少なくとも50個、又はそれより多くのアミノ酸を欠如することができる。例えば、GFRALタンパク質は、天然に存在するGFRALポリペプチドのアミノ酸配列に基づくシグナル配列を含有しなくてもよい。GFRALタンパク質はまた、天然に存在するGFRALポリペプチドと同じもしくは同様の翻訳後修飾を含有してもよく、又は翻訳後修飾を含有しなくてもよい。例えば、該タンパク質は、天然に存在するGFRALポリペプチドと同じもしくは同様のグリコシル化パターンを有してもよく、又はグリコシル化を全く含有しなくてもよい。他の実施態様において、GFRLタンパク質は、天然に存在するGFRALタンパク質の配列と比べて、天然に存在するGFRALタンパク質中に存在しない位置にグリコシル化部位を導入する突然変異を含む。
ある実施態様において、GFRALタンパク質は、GFRALタンパク質をその細胞表面に発現するように遺伝子修飾された組換え細胞によって発現され得る。該細胞は、単離されたGDF15タンパク質を含む組成物中に存在し得る。ある場合、該細胞は、RETタンパク質をさらに発現し得る、例えば、該細胞は、RETタンパク質をコードする外因性配列を含むように遺伝子修飾されることなく、RETタンパク質を内在性に発現し得る。他の実施態様において、該細胞は、検出可能なレベルのRETタンパク質を発現しなくてもよく、かつ外因性配列由来のRETタンパク質を発現するように遺伝子修飾されていてもよい。
また本明細書に開示されるのは、GFRALタンパク質の断片、例えば、ネイティブのGFRALタンパク質中に存在する細胞内ドメイン、又はネイティブのGFRALタンパク質、例えば、図1に示されるネイティブのGFRAL中に存在する細胞内ドメイン及び膜貫通ドメインを欠くGFRAL断片である。上記のように、GFRALタンパク質の断片はまた、ネイティブのGFRAL中に存在するシグナル配列を欠いてもよく、かつ異種シグナル配列を含んでも含まなくてもよい。該断片は、ネイティブのGFRALタンパク質中に存在する細胞内ドメインを欠いてもよいが、膜貫通ドメインを含む。
「GFRAL-細胞外ドメイン」(「GFRAL-ECD」)という用語には、全長GFRAL ECD、GFRAL ECD断片、及びGFRAL ECD変異体が含まれる。本明細書で使用される場合、「GFRAL ECD」という用語は、細胞内及び/又は膜貫通ドメインを欠く、シグナルペプチドを有する又は有さないGFRALポリペプチドを指す。いくつかの実施態様において、GFRAL ECDは、以下のアミノ酸配列を有するヒト全長GFRAL ECDのアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を指す:
本明細書で使用される「全長GFRAL ECD」という用語は、細胞外ドメインの最後のアミノ酸にまで及び、かつN-末端シグナルペプチドを含んでも含まなくてもよい、GFRAL ECDを指す。しかしながら、「全長GFRAL ECD」は、膜貫通ドメインのアミノ酸残基を含むようにC-末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ延長されているGFRAL-ECDも包含する(ただし、該ポリペプチドは可溶性である)ことに留意されたい。言い換えると、そのようなGFRAL ECDは、それが細胞膜にアンカリングされないように、十分な長さの膜貫通ドメインを欠いている。「全長GFRAL ECD」という語句は、シグナルペプチドのアミノ酸残基を含むようにN-末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ延長されているGFRAL-ECDも包含する。ある実施態様において、GFRAL ECDは、図1に示される連続するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であり、かつ図1に示されるGFRAL配列のC-末端で少なくとも30、33、35、40、45、50、もしくは55個のアミノ酸、又はそれより多くを欠く、連続するアミノ酸配列を指す。
GFRAL ECDは、TGFβRII(アクセッション番号: NM_001024847.2; NM_003242.5)のECDでも、そのオルソログでもない。GFRAL ECDは、TGFβRI(アクセッション番号: NP_001124388.1; NP_004603.1)又はそのオルソログのECDと異なる。ある実施態様において、GFRAL ECDは、配列番号1806と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。
本明細書で使用される場合、「GFRAL ECD断片」という用語は、1以上の残基が全長ECDのN及び/又はC末端から欠失しており、かつGDF15に結合する能力を保持しているGFRAL ECDを指す。いくつかの例において、GFRAL ECD断片は、N-末端シグナルペプチドを含んでも含まなくてもよい。いくつかの例において、GFRAL ECD断片は、以下の配列のN-末端に存在する1、5、10、15、16、17、18、又は19個の残基を欠くヒトGFRAL ECD断片である:
別の例示的なGFRAL ECD断片は、全長ヒト前駆体GFRALタンパク質のQ20~C316に対応する以下のアミノ酸配列を含む:
さらに別の例示的なGFRAL ECD断片は、全長ヒト前駆体GFRALタンパク質のW115~E351に対応する以下のアミノ酸配列を含む:
上記の例示的なGFRAL ECD断片を、GFRALタンパク質及びGDF15タンパク質又はGFRALタンパク質及び例示的な抗GFRAL抗体を含む複合体の結晶を産生するためのものを含む、実施例に記載されている様々な方法で使用した。
GFRALタンパク質又はGFRAL ECDの内部に、3つのドメイン-ドメイン1(D1)、ドメイン2(D2)、及びドメイン3(D3)がある。いくつかの実施態様において、例示的なD1ドメインのアミノ酸配列は、配列番号1797の残基Q20~S130である。いくつかの実施態様において、例示的なD2ドメインのアミノ酸配列は、配列番号1797の残基C131~C210である。いくつかの実施態様において、例示的なD3ドメインのアミノ酸配列は、配列番号1797の残基C220~C316である。GFRALタンパク質のある性質は、ECD内のものを含む、これらのドメインの活性及び/又は結合に帰することができる。例えば、本明細書に記載されているように、D2内のアミノ酸残基は、GDF15タンパク質に対するGFRALタンパク質結合のためのコア相互作用界面アミノ酸及び/又は境界相互作用界面アミノ酸であると特定されている。同様に、本明細書に記載されているように、D3内のアミノ酸残基は、RETタンパク質に対するGFRALタンパク質結合のためのコア相互作用界面アミノ酸及び/又は境界相互作用界面アミノ酸であると特定されている。
「コア相互作用界面アミノ酸」という用語又はその文法的等価物は、少なくとも1つの原子が、相互作用するタンパク質から4.5Å以下の範囲内にある所与のタンパク質のアミノ酸残基(例えば、GDF15タンパク質又はRETタンパク質と相互作用するGFRALタンパク質のアミノ酸)を指す。4.5Åという距離は、ファンデルワールス半径+起こり得る水を介した水素結合以内の原子が、相互作用するタンパク質との結合を形成するのを可能にする。
「境界相互作用界面アミノ酸」という用語又はその文法的等価物は、少なくとも1つの原子が、所与のタンパク質上のコア界面アミノ酸から5Å以下の範囲内にある所与のタンパク質のアミノ酸残基(例えば、GDF15タンパク質又はRETタンパク質と相互作用するGFRALタンパク質のコア相互作用界面アミノ酸の5Å以内にあるGFRALタンパク質のアミノ酸)を指す。5Å以下という距離は、所与のタンパク質上のコア相互作用界面アミノ酸から5Å未満離れている残基に対するタンパク質結合が、相互作用するタンパク質のファンデルワールス半径以内となることを可能にする。
本明細書で使用される場合、「GFRAL ECD変異体」という用語は、アミノ酸の付加、欠失、又は置換を含み、かつGDF15に対する結合が依然として可能であるGFRAL ECDを指す。そのような変異体は、親GFRAL ECDと少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%同一であり得る。
当技術分野において、MIC-1(マクロファージ抑制サイトカイン-1)、PDF(前立腺分化因子)、PLAB(胎盤骨形成タンパク質)、NAG-1(非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)活性化遺伝子)、TGF-PL、及びPTGFBとしても知られる「成長分化因子15」又は「GDF15」は、形質転換成長因子β(TGF-β)スーパーファミリーのメンバーである。GDF15は、フーリン様プロテアーゼによって後に切断される62kDaの細胞内前駆体タンパク質として合成され、25kDaのジスルフィド結合タンパク質として分泌される(例えば、Fairlieらの文献、J. Leukoc. Biol 65:2-5(1999)を参照)。GDF15 mRNAは、肝臓、腎臓、膵臓、結腸、及び胎盤を含む、いくつかの組織で見られ、肝臓でのGDF15発現は、肝臓、腎臓、心臓、及び肺などの臓器の損傷時に顕著に上方調節され得る。
GDF15前駆体は、29アミノ酸のシグナルペプチド、167アミノ酸のプロ-ドメイン、及びフーリン様プロテアーゼによってプロ-ドメインから切除される112アミノ酸の成熟ドメインを含有する、308アミノ酸のポリペプチド(NCBI参照配列NP_004855.2; GI:153792495)である。
前駆体ヒトGDF15ポリペプチドのアミノ酸配列が以下に提供されている:
そのような308-アミノ酸のGDF15ポリペプチドは、「全長」GDF15ポリペプチドと呼ばれ; 112-アミノ酸のGDF15ポリペプチド(「全長」GDF15のアミノ酸197~308)は、「成熟」GDF15ポリペプチドである。
本明細書で使用される「GDF15」には、成熟ヒトGDF15ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質が含まれる。成熟ヒトGDF15ポリペプチドのアミノ酸配列が以下に提供されている:
上記の例示的な成熟ヒトGDF15を、GFRALタンパク質及びGDF15タンパク質又はGFRALタンパク質を含む複合体の結晶を産生するためのものを含む、実施例に記載されている様々な方法で使用した。
別途示されない限り、「GDF15」という用語は、112アミノ酸の成熟ヒト配列(例えば、配列番号1811)を指す。さらに、特定のGDF15残基に対する数値参照は、112アミノ酸の成熟配列を指す(例えば、残基1はAla(A)であり、残基112は配列番号1811のIle(I)である)。例えば、GDF15前駆体アミノ酸配列から、「成熟」ヒトGDF15の3つの推定上の形態(例えば、110、112、及び115アミノ酸)を生じる3つの切除部位が予測されるが、112アミノ酸の成熟配列が正しいものであると受け入れられている。
本開示との関連において、「GDF15」又は「GDF15タンパク質」には、マウス(NP_035949; GI:170784848)、チンパンジー(XP_009433302.1; GI:694973734)、オランウータン(XP_009251261.1 GI:686757768)、アカゲザル(EHH29815; GI:355703324)、ジャイアントパンダ(XP_002912774; GI:301753921)、テナガザル(XP_004089328.1; GI:441627981)、モルモット(XP_003465238; GI:348558868)、フェレット(AER98997; GI:355689945)、ウシ(NP_001193227; GI:329664989)、ブタ(NP_001167527; GI:291291599)、イヌ(XP_541938; GI:57101740)、及びカモノハシ(オルニトリンクス・アナティヌス(Ornithorhynchus anatinus); AFV61279; GI:410111209)を含む、他の哺乳動物種由来のGDF15オルソログ及びその修飾形態、並びにこれらの使用が含まれる。そのような例示的なGDF15タンパク質は図2に示されており、これには、様々な例示的なGDF15タンパク質のアラインメントが含まれる。ヒトGDF15の成熟形態は、マウスオルソログとの約67%のアミノ酸同一性を有する。
当技術分野において、Ret癌原遺伝子、カドヘリン関連ファミリーメンバー16、トランスフェクション時の再配列(Rearranged During Transfection)、RET受容体チロシンキナーゼ、カドヘリンファミリーメンバー12、癌原遺伝子C-Ret、EC 2.7.10.1、CDHF12、CDHR16、RET51、PTC、ヒドロキシアリール-タンパク質キナーゼ、RET形質転換配列、及び受容体チロシンキナーゼとしても知られる「RET」は、細胞成長及び分化のシグナルを変換する細胞表面分子である受容体チロシンキナーゼの1つである。RETは共受容体として作用し、GDNF受容体アルファ(GFRα)共受容体のメンバーに結合したときのグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)リガンド(ヒトでは、GDNF、アルテミン、ニュールツリン、及びパーセフィン)の一次シグナル伝達受容体として知られている。RETタンパク質(例えば、RET-ECD)は、4つの連続するカドヘリン様ドメイン(CLD1~CLD4)と、それに続く、膜近傍システインリッチドメイン(CRD)を含む。本明細書に開示されているように、RETタンパク質は、GFRALタンパク質及びGDF15タンパク質との共受容体である(例えば、RETタンパク質との共受容体として作用する)。本明細書に記載される受容体複合体には、GFRALタンパク質、例えば、RET/GFRAL複合体、GFRAL/GDF15複合体、及びRET/GFRAL/GDF15複合体が含まれる。
本明細書で使用される場合、「Ret」又は「RET」は、配列番号1813のアミノ酸配列と少なくとも75%同一であり、例えば、77%、79%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。RETは、TGFβRI及びTGFβRIIと異なる。配列番号1812は、シグナルペプチドを欠く成熟ヒトRET9の配列である:
全長前駆体ヒトRETタンパク質のアミノ酸配列が以下に提供されており、これには、シグナルペプチド配列(下線が付された小文字の残基)が含まれる:
したがって、本明細書で使用される「RET」又は「RETタンパク質」は、ヒトRET及びその変異体を包含し、これには、そのオルソログ、例えば、マウスRET、カニクイザルRETなどが含まれるが、これらに限定されない。ある実施態様において、RETは、配列番号1813と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。
ある実施態様において、単離されたRET-細胞外ドメイン(RET-ECD)ポリペプチドが提供される。RET-ECDは、本開示の単離されたタンパク質複合体中に存在するとき、GFRALタンパク質などのリガンドに結合していてもよい。「RET-細胞外ドメイン」(「RET-ECD」)という用語には、全長RET ECD、RET ECD断片、及びRET ECD変異体が含まれる。本明細書で使用される場合、「RET ECD」という用語は、細胞内ドメイン及び膜貫通ドメインを欠く、シグナルペプチドを有する又は有さないRETポリペプチドを指す。いくつかの実施態様において、RET ECDは、以下のアミノ酸配列を有するヒト全長RET ECDのアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を指す:
別の例示的な実施態様において、RET ECDは、以下のアミノ酸配列を有するヒト全長RET ECDのアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を指す:
本明細書で使用される「全長RET ECD」という用語は、細胞外ドメインの最後のアミノ酸にまで及び、かつN-末端シグナルペプチドを含んでも含まなくてもよい、RET ECDを指す。しかしながら、「全長RET ECD」は、膜貫通ドメインのアミノ酸残基を含むようにC-末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ延長されているRET-ECDも包含する(ただし、該ポリペプチドは可溶性である)ことに留意されたい。言い換えると、RET ECDは、それが細胞膜にアンカリングされないように、十分な長さの膜貫通ドメインを欠いている。「全長RET ECD」という語句は、シグナルペプチドのアミノ酸残基を含むようにN-末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ延長されているRET-ECDも包含する。ある実施態様において、RET断片は、本明細書に記載されるRETの連続するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一であり、かつ本明細書に記載されるRET配列のC-末端で少なくとも30、33、35、40、45、50、もしくは55個のアミノ酸、又はそれより多くを欠く、連続するアミノ酸配列を指す。
本明細書で使用される場合、「RET ECD断片」という用語は、1以上の残基が全長ECDのN及び/又はC末端から欠失しており、かつGFRALタンパク質に結合する能力を保持しているRET ECDを指す。いくつかの例において、RET ECD断片は、N-末端シグナルペプチドを含んでも含まなくてもよい。いくつかの例において、RET ECD断片は、以下の配列のN-末端に存在する1、5、10、15、16、17、18、又は19個の残基を欠くヒトRET ECD断片である:
上記の例示的なRET ECD断片を、RETタンパク質、GFRALタンパク質、及びGDF15タンパク質を含む複合体のモデルを作成するためのものを含む、実施例に記載されている様々な方法で使用した。
RET ECDの代わりの実施態様において、RET-ECDは、配列番号1814のヒト全長RET ECDのRET ECD配列中に、C64R、N75Q、N166Q、又はC183S突然変異を含む。
「活性及び/又はシグナル伝達を調節する」という語句は、結合タンパク質、例えば、本開示のGFRALに結合する抗体に適用される場合、該結合タンパク質(例えば、抗体)が:(i)GFRALタンパク質;(ii)GDF15タンパク質及びGFRALタンパク質;又は(iii)GDF15タンパク質、GFRALタンパク質、及びRETタンパク質の結合によって誘導されるインビトロ又はインビボの生物学的作用を模倣又は調節することを意味する。抗GFRAL抗体の結合及び特異性を評価する際、例えば、GFRALタンパク質(例えば、ヒトGFRALタンパク質)に結合する抗体又はその断片は、生物学的応答が、野生型GFRAL標準(例えば、ヒトGFRALタンパク質の成熟形態)の活性の95%以下、好ましくは、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%以下であるとき、該応答を誘導するとみなされる。GFRAL(例えば、ヒトGFRAL)に結合する抗体又はその断片はまた、以下の性質のうちの1つ又は複数を有するとき、生物学的応答を誘導するとみなされる:(1)ELK1-ルシフェラーゼレポーターアッセイ(例えば、実施例3を参照);又は(2)U2OS細胞でのERK-リン酸化アッセイ(例えば、実施例4を参照)において、100nM以下、例えば、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMのIC50で、GFRAL標準の95%以下の効力レベルを示す。
「結合タンパク質」という用語は、ヒトGFRALタンパク質を含む、GFRALタンパク質に結合する部分(例えば、1以上の結合領域、例えば、CDR)、並びに任意に、該結合部分が、結合タンパク質のGFRALポリペプチド、断片、又はエピトープに対する結合を促進する立体構造を取るのを可能にするスキャフォールド又はフレームワーク部分(例えば、1以上のスキャフォールド又はフレームワーク領域)を含むタンパク質を指す。そのような結合タンパク質の例としては、抗体、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体;キメラ抗体;組換え抗体;単鎖抗体;ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ; Fab断片; F(ab')2断片; IgD抗体; IgE抗体; IgM抗体; IgG1抗体; IgG2抗体; IgG3抗体;又はIgG4抗体、及びこれらの断片が挙げられる。結合タンパク質は、例えば、CDR又はCDR誘導体が移植された代替的なタンパク質スキャフォールド又は人工スキャフォールドを含むことができる。そのようなスキャフォールドには、例えば、該結合タンパク質の3次元構造を安定化するために導入される突然変異を含む抗体由来スキャフォールド及び例えば、生体適合性ポリマーを含む完全合成スキャフォールドが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Korndorferらの文献、2003、タンパク質:構造、機能、及びバイオインフォマティクス(Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics)、53(1):121-129(2003); Roqueらの文献、Biotechnol. Prog. 20:639-654(2004)を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣物(「PAM」)、及びフィブロネクチン構成要素をスキャフォールドとして利用した抗体模倣物に基づくスキャフォールドを使用することができる。本開示との関連において、結合タンパク質は、例えば、解離定数(KD)が≦10-8Mであるとき、GFRALに特異的に結合する又は選択的に結合すると言われる。結合タンパク質(例えば、抗体)は、KDが≦10-9Mであるか又はKDが≦10-10Mであるとき、高い親和性でGFRALに特異的に結合することができる。いくつかの実施態様において、結合タンパク質(例えば、抗体)は、GFRALに、例えば、約10-7M~約10-12MのKDで結合することができ、他の実施態様において、結合タンパク質(例えば、抗体)は、1~2×10-9MのKDで結合することができる。
「抗体」及び「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、本明細書で互換的に使用され、かつ最も広い意味で使用されており、具体的には、例えば、下記のような、個々の抗GFRALモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、全長又は無傷のモノクローナル抗体を含む)、多エピトープ又は単一エピトープ特異性を有する抗GFRAL抗体組成物、ポリクローナル又は一価抗体、多価抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、それらが所望の生物活性を示す限り、二重特異性抗体)、単鎖抗GFRAL抗体、及び抗GFRAL抗体の断片を含む。抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び/又は親和性成熟抗体、並びに他の種、例えば、マウス、ウサギなどに由来する抗体であることができる。「抗体」という用語は、特定の分子抗原に結合することができ、かつ2つの同一のポリペプチド鎖対から構成される免疫グロブリンクラスのポリペプチドの範囲内のB細胞のポリペプチド産物を含むことが意図され、ここで、各々の対は、1つの重鎖(約50~70kDa)と1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各々の鎖の各々のアミノ末端部分は、約100~約130又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、各々の鎖の各々のカルボキシ末端部分は、定常領域を含む(Borrebaeck(編)(1995)、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、第2版、Oxford University Press.; Kubyの文献(1997)、免疫学(Immunology)、第3版、W.H. Freeman and Company, New Yorkを参照)。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体によって結合されることができる特定の分子抗原には、GFRALポリペプチド、GFRAL断片、又はGFRALエピトープが含まれる。抗体には、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののいずれかの機能性断片(例えば、抗原結合断片、例えば、GFRAL結合断片)(これは、該断片が由来した抗体の結合活性の一部又は全てを保持する抗体重鎖又は軽鎖ポリペプチドの部分を指す)も含まれるが、これらに限定されない。機能性断片(例えば、抗原結合断片、例えば、GFRAL結合断片)の非限定的な例としては、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab')断片、F(ab)2断片、F(ab')2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びミニボディが挙げられる。特に、本明細書に提供される抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、例えば、抗原結合ドメイン、又はGFRAL抗原に結合する抗原結合部位(例えば、抗GFRAL抗体の1以上の相補性決定領域(CDR))を含有する分子が含まれる。そのような抗体断片は、例えば、Harlow及びLaneの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1989); Myers(編)、分子生物学及び生命工学:包括的卓上参考書(Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference)、New York: VCH Publisher社; Hustonらの文献、Cell Biophysics, 22:189-224(1993); Pluckthun及びSkerraの文献、Meth. Enzymol., 178:497-515(1989)、及びDay, E.D.の文献、先端免疫化学(Advanced Immunochemistry)、第2版、Wiley-Liss社、New York, NY(1990)に記載されているのを見出すことができる。本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)のものであることができる。抗GFRAL抗体は、作動性抗体又は拮抗性抗体であることができる。本明細書に提供される抗体には、GFRALに対する拮抗性抗体、例えば、GFRALシグナル伝達を阻害する抗体が含まれる。例示的な抗GFRAL抗体には、表1~24に示されるCDRを有する抗体が含まれる。
「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、所与の値又は範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、もしくは1%以内、又はそれ未満を意味する。
「抗原」は、抗体が選択的に結合することができる所定の抗原である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、又は他の天然もしくは合成の化合物であってもよい。いくつかの実施態様において、標的抗原はポリペプチドである。
「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」という用語及び類似の用語は、抗原と相互作用し、かつ該抗原に対するその特異性及び親和性を結合物質に対して付与するアミノ酸残基を含む抗体の部分(例えば、相補性決定領域(CDR))を指す。
「結合する(binds)」又は「結合する(binding)」という用語は、例えば、複合体を形成することを含む、分子間の(例えば、共有結合的又は非共有結合的)相互作用を指す。複合体は、共有結合的又は非共有結合的な結合、相互作用、又は力によって結び付けられた2以上の分子の結合を含むこともできる。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/又はファンデルワールス相互作用を含む、非共有結合的相互作用であることができる。抗体上の単一の抗原結合部位と標的分子、例えば、GFRALの単一のエピトープの間の全体的な非共有結合的相互作用の強度が、そのエピトープに対する抗体又は機能性断片の親和性である。一価抗原に対する抗体の会合(k1)と解離(k-1)の比(k1/k-1)が、親和性の尺度である会合定数Kである。Kの値は、抗体と抗原の複合体の違いによって異なり、k1とk-1の両方に依存する。本明細書に提供される抗体の会合定数Kは、本明細書に提供される任意の方法又は当業者に周知の任意の他の方法を用いて決定することができる。1つの結合部位での親和性が、抗体と抗原の間の相互作用の真の強度を常に反映するとは限らない。複数の反復する抗原性決定基を含有する複合抗原、例えば、多価GFRALが、複数の結合部位を含有する抗体と接するとき、1つの部位での抗体と抗原との相互作用は、第2の部位での反応の可能性を増加させることになる。多価抗体と抗原の間のそのような複数の相互作用の強度は、結合力と呼ばれる。抗体の結合力は、その個々の結合部位の親和性よりも優れたその結合能の尺度であることができる。例えば、高い結合力は、5量体IgM抗体で時に見られる低い親和性を相殺することができ、この5量体IgM抗体は、IgGよりも低い親和性を有することがあるが、その多価状態(multivalence)によって生じるIgMの高い結合力のために、IgMが効果的に抗原に結合することができる。
「GFRALに特異的に結合する抗体」、「GFRALエピトープに特異的に結合する抗体」という用語及び類似の用語も本明細書で互換的に使用され、GFRALポリペプチド、例えば、GFRAL抗原、又は断片、又はエピトープ(例えば、ヒトGFRAL、例えば、ヒトGFRALポリペプチド、抗原、又はエピトープ)に特異的に結合する抗体を指す。GFRAL(例えば、ヒトGFRAL)に特異的に結合する抗体は、GFRALの細胞外ドメイン又は該細胞外ドメインに由来するペプチドに結合することができる。GFRAL抗原(例えば、ヒトGFRAL)に特異的に結合する抗体は、関連抗原(例えば、カニクイザルGFRAL)と交差反応することができる。ある実施態様において、GFRAL抗原に特異的に結合する抗体は、他の抗原と交差反応しない。GFRAL抗原に特異的に結合する抗体は、例えば、免疫アッセイ、Biacore、又は当業者に公知の他の技法によって同定することができる。抗体は、それが、放射免疫アッセイ(RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの実験技法を用いて決定したとき、任意の交差反応性抗原に対するよりも高い親和性でGFRAL抗原に結合する場合、GFRAL抗原に特異的に結合する。通常、特異的又は選択性反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、バックグラウンドの10倍を上回る場合もある。例えば、抗体特異性に関する考察については、Paul編(1989)、基礎免疫学(Fundamental Immunology)、第2版、Raven Press, New Yorkの332~336ページを参照されたい。対象となる抗原(例えば、標的抗原、例えば、GFRAL)に「結合する」抗体は、該抗体が、抗原を発現する細胞又は組織を標的とする際に治療剤として有用であり、かつ他のタンパク質と顕著には交差反応しないような十分な親和性で抗原に結合する抗体である。そのような実施態様において、「非標的」タンパク質に対する抗体の結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)解析又は放射免疫沈降(RIA)によって決定したとき、その特定の標的タンパク質に対する抗体の結合の約10%未満である。標的分子に対する抗体の結合に関して、「特異的結合」又は特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的に結合する」又は特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的」であるという用語は、非特異的相互作用と測定可能な程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、対照分子の結合と比較した分子の結合を決定することによって測定することができ、この対照分子は、通常、結合活性を有しない類似構造の分子である。例えば、特異的結合は、標的と類似している対照分子、例えば、過剰の非標識標的との競合によって決定することができる。この例では、標識された標的のプローブに対する結合が過剰の未標識標的によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。本明細書で使用される「特異的結合」又は特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的に結合する」又は特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的」であるという用語は、分子が、標的に対する、例えば、少なくとも約10-4M、或いは少なくとも約10-5M、或いは少なくとも約10-6M、或いは少なくとも約10-7M、或いは少なくとも約10-8M、或いは少なくとも約10-9M、或いは少なくとも約10-10M、或いは少なくとも約10-11M、或いは少なくとも約10-12M、又はそれを上回るKdを有することにより示されることができる。一実施態様において、「特異的結合」という用語は、分子が、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合を指す。ある実施態様において、GFRALに結合する抗体は、10nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、又は0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。KDが低ければ低いほど、抗GFRAL抗体の親和性は高い。ある実施態様において、抗GFRAL抗体は、異なる種由来のGFRAL間で(例えば、ヒトGFRALとカニクイザルGFRALの間で)保存されているGFRALのエピトープに結合する。
「競合する」という用語は、標的上の同じエピトープもしくは結合部位に結合するか又はこれらをめぐって競合する抗GFRAL抗体(例えば、GFRALに結合する拮抗性抗体及び結合タンパク質)との関連において使用されるとき、検討されているその抗体(又は結合断片)が、共通の抗原(例えば、GFRAL又はその断片)に対する参照分子(例えば、参照リガンド又は参照抗原結合タンパク質、例えば、参照抗体)の特異的結合を妨害又は阻害するアッセイによって決定される競合を意味する。数多くの種類の競合結合アッセイを用いて、試験抗体がGFRAL(例えば、ヒトGFRAL)に対する結合を参照抗体と競合するかどうかを決定することができる。利用し得るアッセイの例としては、固相直接又は間接放射免疫アッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliらの文献(1983) Methods in Enzymology 9:242-253を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandらの文献(1986) J. Immunol. 137:3614-3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow及びLaneの文献(1988)、抗体:実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Pressを参照); 1-125標識を用いる固相直接標識RIA(例えば、Morelらの文献(1988) Molec. Immunol. 25:7-15を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheungらの文献(1990) Virology 176:546-552を参照);及び直接標識RIA(Moldenhauerらの文献(1990) Scand. J. Immunol. 32:77-82)が挙げられる。通常、そのようなアッセイは、未標識の試験抗原結合タンパク質(例えば、試験抗GFRAL抗体)又は標識された参照抗原結合タンパク質(例えば、参照抗GFRAL抗体)のいずれかを担持する固体表面又はセルに結合した精製抗原(例えば、GFRAL、例えば、ヒトGFRAL)の使用を伴う。競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で該固体表面又はセルに結合した標識の量を決定することにより測定することができる。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)には、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体及び/又は参照によって結合されるエピトープに抗体の立体障害が生じるほど十分近接した隣接エピトープに結合する抗体が含まれる。競合的結合及び/又は同じエピトープに対する結合を決定する方法に関するさらなる詳細が本明細書に記載されている。通常、競合抗体タンパク質が過剰に存在するとき、それは、共通の抗原に対する参照抗体の特異的結合を、少なくとも23%、例えば、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%阻害する。場合により、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、もしくは97%、98%、99%、又はそれより大きく阻害される。
「抗GFRAL抗体」又は「GFRALに結合する抗体」という用語は、抗体が、GFRALを標的とする際に診断剤及び/又は治療剤として有用であるような十分な親和性でGFRALに結合することができる抗体を含む。いくつかの実施態様において、関連のない非GFRALタンパク質に対する抗GFRAL抗体の結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)解析又は免疫アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)によって測定したとき、GFRALに対する抗体の結合の約10%未満である。GFRAL「に特異的に結合する」又はGFRAL「に特異的」である抗体は、本明細書に例示されている。ある実施態様において、本明細書に記載される、GFRALに結合する抗体は、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、もしくは0.1nM以下、及び/又は0.1nM以上の解離定数(Kd)を有する。ある実施態様において、抗GFRAL抗体は、異なる種由来のGFRAL間で(例えば、ヒトGFRALとカニクイザルGFRALの間で)保存されているGFRALのエピトープに結合する。
本明細書で使用される「結晶」及び「結晶化した」という用語は、結晶の形態で存在する1以上のタンパク質又はその断片を指す。結晶は、物質の固体状態の一形態であり、これは、非晶質固体状態又は液晶状態などの他の形態と異なる。結晶は、原子、イオン、分子(例えば、タンパク質、例えば、抗体)、又は分子集合体(例えば、リガンド/受容体もしくは抗原/抗体複合体)の規則的な反復する3次元配列から構成される。これらの3次元配列は、当技術分野で十分に理解されている特定の数学的関係に従って配置される。結晶中で反復される基本単位、又はビルディングブロックは、非対称単位と呼ばれる。所与の明確に規定された結晶学的対称性に一致する配置での非対称単位の反復により、結晶の「単位胞」がもたらされる。3つ全ての次元における規則的変換による単位胞の反復により、結晶がもたらされる。Giege, R.及びDucruix, A. Barrettの文献、核酸及びタンパク質の結晶化、実践的アプローチ(Crystallization of Nucleic Acids and Proteins, a Practical Approach)、第2版、pp. 20 1-16, Oxford University Press, New York, N.Y.,(1999)を参照されたい。
「単離された」抗体は、細胞物質又は細胞もしくは組織源由来の他の夾雑タンパク質及び/又は抗体が由来する他の夾雑成分を実質的に含まないか、或いは化学合成される場合、化学前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、抗体が、それが単離されるか又は組換えにより産生される細胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体には、(乾燥重量で)約30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は1%未満の異種タンパク質(「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有する抗体の調製物が含まれる。ある実施態様において、抗体が組換えにより産生される場合、それは、培養培地を実質的に含まず、例えば、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約20%、15%、10%、5%、又は1%未満に相当する。ある実施態様において、抗体が化学合成によって産生される場合、それは、化学前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まず、例えば、それは、タンパク質の合成に関与する化学前駆物質又は他の化学物質から分離されている。したがって、そのような抗体の調製物は、(乾燥重量で)約30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は1%未満の化学前駆物質又は対象となる抗体以外の化合物を有する。夾雑成分としては、限定されないが、抗体の治療的使用を妨害する物質を挙げることもでき、また、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。ある実施態様において、抗体は、(1)Lowry法(Lowryらの文献、J. Bio. Chem. 193: 265-275, 1951)によって決定したとき、抗体の95重量%超、例えば、96重量%、97重量%、98重量%、もしくは99重量%まで、(2)スピニングカップシーケネーターの使用によって、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クマシーブルー染色もしくは好ましくは銀染色を用いた還元もしくは非還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチュの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、単離されている。
4鎖抗体ユニットは、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から構成されたヘテロ4量体糖タンパク質である。IgGの場合、4鎖ユニットは、通常、約150,000ダルトンである。各々のL鎖は、1つの共有結合的ジスルフィド結合によってH鎖に結合しているが、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じた1以上のジスルフィド結合によって互いに結合している。各々のH鎖及びL鎖は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各々のH鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、次いで、α及びγ鎖の各々については3つの定常ドメイン(CH)、μ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各々のL鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、次いで、そのもう一方の末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLはVHと整列し、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの接触面を形成すると考えられている。VHとVLが対形成して一体化すると、単一の抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造及び性質については、例えば、基礎及び臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)、第8版、Daniel P. Stites、Abba I. Terr、及びTristram G. Parslow(編)、Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994の71ページ及び第6章を参照されたい。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、通常、軽鎖又は重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖では約120~130アミノ酸の長さ、軽鎖では約100~110アミノ酸の長さを有し、各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に関して使用される抗体の軽鎖又は重鎖の部分を指す。重鎖の可変領域は、「VH」と呼ぶことができる。軽鎖の可変領域は、「VL」と呼ぶことができる。「可変」という用語は、可変領域の特定のセグメントが、配列に関して抗体間で大きく異なるという事実を指す。V領域は抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変領域の110アミノ酸のスパンにわたって均一に分布しているわけではない。それどころか、V領域は、各々約9~12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる可変性がより大きい(例えば、極端に可変性がある)より短い領域によって隔てられた約15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる可変性がより小さい(例えば、比較的変化しない)ストレッチからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、3つの超可変領域によって接続された、主にβシート形状を取る4つのFRを含み、該超可変領域は、該βシート構造を接続し、場合によっては、その一部を形成する、ループを形成する。各鎖中の超可変領域は、FRによって互いに近接して保持され、他の鎖由来の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(例えば、Kabatらの文献、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991を参照)。定常領域は、抗体を抗原に結合させるのに直接は関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害性(CDC)への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。可変領域は、異なる抗体間で配列が大きく異なる。配列のばらつきはCDRに集中しており、一方、可変領域内のばらつきの小さい部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与する。具体的な実施態様において、可変領域は、ヒト可変領域である。
「Kabatと同様の可変領域残基付番」又は「Kabatと同様のアミノ酸位置付番」という用語及びこれらの変化形は、Kabatらの文献、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)における抗体の編集物の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に対して使用されている付番体系を指す。この付番体系を用いると、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮又は可変ドメインのFRもしくはCDRへの挿入に対応するより少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後ろの単一のアミノ酸挿入(Kabatによれば、残基52a)及び重鎖FR残基82の後ろの挿入された残基(例えば、Kabatによれば、残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat付番は、抗体の配列と「標準的な」Kabat付番配列とが相同な領域におけるアラインメントにより、所与の抗体について決定することができる。Kabat付番体系は、通常、可変ドメイン(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)中の残基を指すときに使用される(例えば、Kabatらの文献、免疫学的に興味深い配列(Sequences of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.(1991))。「EU付番体系」又は「EUインデックス」は、通常、免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基を指すときに使用される(例えば、Kabatらの文献(上記)に報告されているEUインデックス)。「Kabatと同様のEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基付番を指す。例えば、AbM、Chothia、接触、IMGT、及びAHonを含む、他の付番体系が記載されている。様々な付番体系が表1~24に例示されている。
「無傷」抗体は、抗原結合部位並びに軽鎖定常領域CL並びに少なくとも重鎖定常領域CH1、CH2、及びCH3を含む抗体である。定常領域には、ヒト定常領域又はそのアミノ酸配列変異体が含まれ得る。好ましくは、無傷抗体は、1以上のエフェクター機能を有する。
「抗体断片」は、無傷抗体の一部、好ましくは、無傷抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、限定するものではないが、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFv断片;ダイアボディ及びジ-ダイアボディ(例えば、Holliger, P.らの文献(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90:6444-8; Lu, D.らの文献(2005) J. Biol. Chem. 280:19665-72; Hudsonらの文献、Nat. Med. 9:129-134(2003); WO 93/11161号;及び米国特許第5,837,242号及び第6,492,123号を参照);単鎖抗体分子(例えば、米国特許第4,946,778号;第5,260,203号;第5,482,858号、及び第5,476,786号を参照);二重可変ドメイン抗体(例えば、米国特許第7,612,181号を参照);単一可変ドメイン抗体(SdAb)(例えば、Woolvenらの文献、Immunogenetics 50: 98-101, 1999; Streltsovらの文献、Proc Natl Acad Sci USA. 101:12444-12449, 2004を参照);並びに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
治療的抗体の「機能性断片」又は「結合断片」又は「抗原結合断片」は、無傷抗体に起因する生物学的機能の、いくつか又は全てではないにしても、少なくとも1つを示し、該機能は、少なくとも標的抗原(例えば、GFRAL結合断片又はGFRALに結合する断片)に対する結合を含む。
本明細書で使用される「融合タンパク質」という用語は、抗体のアミノ酸配列及び異種ポリペプチド又はタンパク質(例えば、通常は抗体の一部ではないポリペプチド又はタンパク質(例えば、非抗GFRAL抗原結合抗体))のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「融合」という用語は、GFRAL又は抗GFRAL抗体との関連において使用されるとき、ペプチドもしくはポリペプチド、又はその断片、変異体、及び/もしくは誘導体と異種ペプチド又はポリペプチドとの結合を指す。ある実施態様において、融合タンパク質は、GFRAL又は抗GFRAL抗体の生物活性を保持する。ある実施態様において、融合タンパク質は、GFRAL抗体のVH領域、VL領域、VH CDR(1つ、2つ、もしくは3つのVH CDR)、及び/又はVL CDR(1つ、2つ、もしくは3つのVL CDR)を含み、その場合、該融合タンパク質は、GFRALエピトープ、GFRAL断片、及び/又はGFRALポリペプチドに結合する。
「重鎖」という用語は、抗体との関連において使用されるとき、アミノ末端部分が約120~130個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域(例えば、CH1、CH2、CH3、CH4)を含む、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づくアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と呼ばれる5つの異なるタイプ(例えば、アイソタイプ)のうちの1つであることができる。異なる重鎖はサイズが異なり:α、δ、及びγは、約450個のアミノ酸を含有し、一方、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わされると、これらの異なるタイプの重鎖は、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMという、抗体の5つの周知のクラス(例えば、アイソタイプ)を生じる。重鎖は、ヒト重鎖であることができる。
「軽鎖」という用語は、抗体との関連において使用されるとき、アミノ末端部分が約100~約110個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域を含む、約25kDaのポリペプチド鎖を指す。軽鎖のおおよその長さは、211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づくカッパ(κ)又はラムダ(λ)と呼ばれる2つの異なるタイプがある。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。軽鎖は、ヒト軽鎖であることができる。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、症状の重症度及び/もしくは頻度を低下させ、症状及び/又は根本原因を除去し、症状及び/もしくはその根本原因の発生を予防し、並びに/又は例えば、不随意の体重減少、グルコース代謝障害、もしくは体重障害を含む、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病に起因もしくは関連する被害を改善もしくは修正するのに十分である療法(例えば、本明細書に提供される抗GFRAL抗体又は医薬組成物;例えば、表1~24に示されるCDR、VH、及び/又はVL配列を含む抗体を参照)の量を指す。この用語は、所与のGDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病の進展もしくは進行、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病の再発、発症、もしくは発生の低下もしくは改善、及び/又は別の療法(例えば、本明細書に提供される抗GFRAL抗体以外の療法)の予防的もしくは治療的効果の改善もしくは増強に必要な量も包含する。いくつかの実施態様において、有効量は、間欠用量を含む1以上の用量で投与され、この場合、1以上の用量が治療期間に投与された後に、抗体が投与されない休止期間が続く(例えば、1サイクルの治療期間及び休止期間の後に、追加のサイクルが続くことができ、1以上の治療期間の後に、1以上の休止期間が続く)。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体の有効量は、約0.1mg/kg(対象の体重1kg当たりの抗体のmg)~約100mg/kgである。ある実施態様において、本明細書に提供される抗体の有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、もしくは約100mg/kg(又はこれらの中の範囲)である。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される有効量はまた、特定の結果を達成する(例えば、(i) GFRAL;(ii)GDF15及びGFRAL;又は(iii)GDF15、GFRAL、及びRET:の結合によって誘導されるインビトロ又はインビボの生物学的効果を模倣又は調節する)ための本明細書に提供される抗体の量を指す。例えば、有効量には:(i)体重を増加させ;(ii)体重を維持し;(iii)体重減少を低下させ;(iv)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)を増加させ;(v)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)を維持し;又は(vi)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)の減少を低下させるのに有効な本明細書に記載される抗GFRAL抗体の(例えば、1以上の用量における)量が含まれる。
本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、核酸分子でトランスフェクトされ得る特定の対象細胞及びそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、後続の世代で生じ得る突然変異もしくは環境的影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組込みのために、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞と同一でなくてもよい。
本明細書で使用される「免疫調節剤(immunomodulatory agent)」という用語及び限定されないが、免疫調節剤(immunomodulatory agents)を含む、そのバリエーションは、宿主の免疫系を調節する薬剤を指す。ある実施態様において、本明細書に提供される組合せ療法で使用される免疫調節剤には、抗GFRAL抗体も、抗原結合断片も含まれない。免疫調節剤としては、低分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、抗体、無機分子、模倣剤、及び有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。「低分子」という用語及び類似の用語には、ペプチド、ペプチドミメティックス、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、1モル当たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機又は無機化合物(すなわち、ヘテロ有機及び/又は有機金属化合物を含む)、1モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有機又は無機化合物、1モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する有機又は無機化合物、1モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機又は無機化合物、並びにそのような化合物の塩、エステル、及び他の医薬として許容し得る形態が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、免疫調節剤は免疫刺激剤である。いくつかの実施態様において、免疫調節剤は免疫抑制剤である。いくつかの実施態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント分子(例えば、共抑制性又は共刺激性)として知られるタンパク質、例えば、C10orf54、CD86、CD80、PDL-1、PDL-2、CTLA-4、PD1、LAG3、BTNL2、B7-H3、B7-H4、ブチロフィリン、CD48、CD244、TIM-3、CD200R、CD200、CD160、BTLA、HVEM、LAIR1、TIM1、ガレクチン9、TIM3、CD48、2B4、CD155、CD112、CD113、及びTIGIT(例えば、共抑制性)、並びに/又はCD154、TNFRSF25、GITR、4-1BB、OX40、CD27、TMIGD2、ICOS、CD28、CD40、TL1A、GITRL、41BBL、OX40L、CD70、HHLA2、ICOSL、サイトカイン、LIGHT、HVEM、CD30、CD30L、B7-H2、CD80、CD86、CD40L、TIM4、TIM1、SLAM、CD48、CD58、CD155、CD112、DR3、GITR、CD2、及びCD226(例えば、共刺激性)を調節する(例えば、阻害又は刺激する)薬剤(例えば、抗体)である。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、例えば、該集団を構成する個々の抗体は、微かな量で存在し得る天然のあり得る突然変異を除いて同一であり、各々のモノクローナル抗体は、通常、抗原上の単一のエピトープを認識する。具体的な実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一のハイブリドーマ又は他の細胞によって産生される抗体であり、ここで、該抗体は、例えば、ELISA又は当技術分野で公知の他の抗原結合もしくは競合結合アッセイによって決定したとき、GFRALエピトープのみに結合する。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の抗体作製方法に限定されない。例えば、本開示において有用なモノクローナル抗体は、Kohlerら(Nature, 256:495(1975))によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製されてもよく、又は細菌、真核動物、もしくは植物細胞で組換えDNA法を用いて作製されてもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonらの文献、Nature, 352:624-628(1991)及びMarksらの文献、J. Mol. Biol., 222:581-597(1991)に記載されている技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。クローン細胞株及びそれにより発現されるモノクローナル抗体の他の調製方法が当技術分野で周知である(例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New York:の第11章を参照)。例示的なモノクローナル抗体産生方法が本明細書中の実施例に提供されている。
「ネイティブ」という用語は、生体物質、例えば、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞などとの関連において使用されるとき、天然に見出され、かつ人間によって操作、修飾、及び/又は改変(例えば、単離、精製、選択)されていないものを指す。
本明細書に提供される抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来し又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りが、別の種に由来し又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びに所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片を含むことができる(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrisonらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984)を参照)。
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、ネイティブなCDR残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の対応するCDR(例えば、ドナー抗体)に由来する残基に置き換えられているヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの1以上のFR領域残基が対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに精緻化するために行われる。ヒト化抗体の重鎖又は軽鎖は、少なくとも1つ又は複数の可変領域の実質的に全てを含むことができ、該可変領域では、CDRの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDRに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ある実施態様において、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細については、Jonesらの文献、Nature, 321:522-525(1986); Riechmannらの文献、Nature, 332:323-329(1988);及びPrestaの文献、Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596(1992); Carterらの文献、Proc. Natl. Acd. Sci. USA 89:4285-4289(1992);及び米国特許第6,800,738号(2004年10月5日発行)、第6,719,971号(2005年9月27日発行)、第6,639,055号(2003年10月28日発行)、第6,407,213号(2002年6月18日発行)、及び第6,054,297号(2000年4月25日発行)を参照されたい。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し及び/又は本明細書に開示されるヒト抗体作製技法のいずれかを用いて作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom及びWinterの文献、J. Mol. Biol., 227:381(1991); Marksらの文献、J. Mol. Biol., 222:581(1991))及び酵母ディスプレイライブラリー(Chaoらの文献、Nature Protocols 1:755-768(2006))を含む、当技術分野で公知の様々な技法を用いて産生することができる。Coleらの文献、モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R. Liss, p.77(1985); Boernerらの文献、J. Immunol., 147(1):86-95(1991)に記載されている方法もヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk及びvan de Winkelの文献、Curr. Opin. Pharmacol., 5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原刺激に応答してそのような抗体を産生するように修飾されているが、その内在性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、マウスに抗原を投与することにより調製することができる(例えば、Jakobovits, A.の文献、Curr. Opin. Biotechnol. 1995, 6(5):561-6; Bruggemann及びTaussingの文献、Curr. Opin. Biotechnol. 1997, 8(4):455-8;並びにXENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び第6,150,584号を参照)。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって作製されるヒト抗体に関するLiらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562(2006)も参照されたい。
「CDR」は、免疫グロブリン(Igもしくは抗体)VH β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、もしくはH3)のうちの1つ、又は抗体VL β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、もしくはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は当業者に周知であり、例えば、抗体可変(V)ドメイン内の最も超可変性の領域として、Kabatによって定義されている(Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252:6609-6616(1977); Kabatの文献、Adv. Prot. Chem. 32:1-75(1978))。CDR領域配列は、保存されたβ-シートフレームワークの一部ではなく、そのため、様々な立体構造を取ることができる残基として、Chothiaによって構造的に定義されている(Chothia及びLeskの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987))。両方の用語法が当技術分野で十分に認識されている。CDR領域配列は、AbM、接触、及びIMGTによっても定義されている。CDR領域配列は、表1~24に例示されている。標準的な抗体可変領域内のCDRの位置は、数多くの構造の比較によって決定されている(Al-Lazikaniらの文献、J. Mol. Biol. 273:927-948(1997); Moreaらの文献、Methods 20:267-279(2000))。超可変領域内の残基の数は異なる抗体で様々に異なるので、標準的な可変領域付番方式では、標準的な位置に対する追加の残基に、従来、残基番号の次にa、b、cなどの番号が付けられている(Al-Lazikaniらの文献、上記(1997))。そのような術語体系も同様に当業者に周知である。
「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」という用語は、本明細書で使用されるとき、配列が超可変であり及び/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変領域の領域を指す。通常、抗体は、6つの超可変領域; VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。いくつかの超可変領域の描写が使用され、本明細書に包含されている。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(例えば、Kabatらの文献、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)を参照)。Chothiaは、代わりに、構造的ループの位置に言及している(例えば、Chothia及びLeskの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987)を参照)。Kabat付番慣例を用いて付番したときのChothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat付番方式ではH35AとH35Bに挿入を置くからであり; 35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終わり; 35Aしか存在しない場合、ループは33で終わり; 35Aと35Bの両方が存在する場合、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループの折衷物に相当し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される(例えば、Martinの文献、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、第2巻、第3章、Springer Verlagを参照)。「接触」超可変領域は、利用可能な複合体結晶構造の解析に基づくものである。これらの超可変領域又はCDRの各々に由来する残基が以下に記載されている。
最近、ImMunoGeneTics(IMGT) Information System(登録商標)という普遍的な付番体系が開発され、広く採用されている(Lafrancらの文献、Dev. Comp. Immunol. 27(1):55-77(2003))。IMGTは、ヒト及び他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)、及び主要組織適合性複合体(MHC)に特化した総合情報システムである。ここでは、CDRがアミノ酸配列と軽鎖又は重鎖内の位置の両方に関して言及されている。免疫グロブリン可変ドメインの構造内のCDRの「位置」は種間で保存されており、かつループと呼ばれる構造に存在するので、構造的特徴に従って可変ドメイン配列を整列させる付番体系を用いることにより、CDR及びフレームワーク残基が容易に特定される。この情報は、ある種の免疫グロブリン由来のCDR残基を、典型的には、ヒト抗体由来のアクセプターフレームワークに移植して、置き換える際に使用することができる。さらなる付番体系(AHon)がHonegger及びPluckthunによって開発されている(J. Mol. Biol. 309: 657-670(2001))。例えば、Kabatの付番体系及びIMGTの独特な付番体系を含む、付番体系間の対応は当業者に周知であり(例えば、Kabatの文献(上記); Chothia及びLeskの文献(上記); Martinの文献(上記); Lefrancらの文献(上記)を参照)、表1~24にも例示されている。本明細書に示される例示的な体系は、KabatとChothiaを組み合わせている。
超可変領域は、以下のような「拡張された超可変領域」: VLの24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)、及び89~97又は89~96(L3)並びにVHの26~35又は26~35A(H1)、50~65又は49~65(H2)、及び93~102、94~102、又は95~102(H3)を含み得る。本明細書で使用されるように、「HVR」及び「CDR」という用語は、互換的に使用されている。
「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原に対する結合に直接は関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示す、軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分を指す。これらの用語は、抗原結合部位を含有する、免疫グロブリンのもう一方の部分である可変領域と比べて、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常領域は、重鎖のCH1、CH2、及びCH3領域、及び軽鎖のCL領域を含有し得る。
「フレームワーク」又は「FR」残基という用語は、CDRに隣接する可変領域残基である。FR残基は、例えば、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン抗体、ダイアボディ、直鎖抗体、及び二重特異性抗体中に存在する。FR残基は、超可変領域残基又はCDR残基以外の可変ドメイン残基である。
「親和性成熟」抗体は、1以上の変化(例えば、改変、付加、及び/又は欠失を含む、アミノ酸配列のバリエーション)を保有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらすこれらの変化をその1以上のHVR中に有する抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモル濃度又はさらにはピコモル濃度の親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順によって産生される。総説については、Hudson及びSouriauの文献、Nature Medicine 9 :129-134(2003); Hoogenboomの文献、Nature Biotechnol. 23 : 1105-1116(2005); Quiroz及びSinclairの文献、Revista Ingeneria Biomedia 4 : 39-51(2010)を参照されたい。
「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原(例えば、本明細書に記載されるGFRAL)の生物活性を阻害し又は低下させる抗体である。例えば、ブロッキング抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原(例えば、本明細書に記載されるGFRAL)の生物活性を実質的に又は完全に阻害することができる。
「アゴニスト抗体」は、応答を誘発する抗体、例えば、対象となるポリペプチドの機能活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。アゴニスト抗体には、リガンド模倣物となる抗体が含まれ、例えば、この場合、リガンドは、細胞表面受容体に結合し、該結合は、細胞内細胞シグナル伝達経路を介して細胞シグナル伝達又は活性を誘導し、該抗体は、同様の細胞シグナル伝達又は活性化を誘導する。
GFRALの「アンタゴニスト」は、例えば、GFRALを発現する細胞で、GFRALの生物活性のうちの1つ又は複数を検出可能に阻害し又は別の形で減少させることができる分子(例えば、抗体)を指す。いくつかの実施態様において、GFRALのアンタゴニスト(例えば、本明細書に記載される作動性抗体)は、例えば、GFRALを発現する細胞の活性化及び/又は細胞シグナル伝達経路を検出可能に阻害し又は別の形で減少させることにより作用し、それにより、アンタゴニストの非存在下でのGFRAL媒介生物活性と比べて該細胞のGFRAL媒介生物活性を検出可能に減少させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、GFRAL、GDF15、及び/又はRETを含む複合体のシグナル伝達を阻害する抗体を含む、拮抗性抗GFRAL抗体である。GFRALアンタゴニストによって引き起こされる阻害又は減少は、アッセイを用いて検出可能である限り、完全である必要はない。例えば、下記の実施例に記載される細胞ベースのアッセイを用いて、GFRALの生物活性を解析することができる。
「結合親和性」は、通常、分子(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)の間の非共有結合的相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用されるように、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。結合分子Xのその結合パートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、通常、抗原にゆっくりと結合し、速やかに解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は、通常、抗原により速く結合し、より長く結合した状態に留まる傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野で公知であり、これらのいずれかを本開示の目的のために使用することができる。具体的で例示的な実施態様には、以下のものが含まれる。一実施態様において、「KD」又は「KD値」は、当技術分野で公知のアッセイによって、例えば、結合アッセイによって測定することができる。KDは、例えば、対象となるFab型の抗体及びその抗原を用いて実施される、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定することができる(Chenらの文献(1999) J. Mol Biol 293:865-881)。KD又はKD値は、例えば、BIAcoreTM-2000もしくはBIAcoreTM-3000 BIAcore社, Piscataway, NJ)を用いたBiacoreによる表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによるか、又は例えば、OctetQK384システム(ForteBio, Menlo Park, CA)を用いたバイオレイヤー干渉法によって測定することができる。「結合速度(on-rate)」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」も、例えば、BIAcoreTM-2000もしくはBIAcoreTM-3000(BIAcore社, Piscataway, NJ)、又はOctetQK384システム(ForteBio, Menlo Park, CA)を用いた上記の同じ表面プラズモン共鳴又はバイオレイヤー干渉法を用いて決定することができる。
「実質的に類似する」又は「実質的に同じ」という語句は、当業者であれば、2つの値の違いを、該値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特徴との関連において、生物学的及び/又は統計学的にほとんど又は全く有意ではないと考えるほど十分に高い2つの数値(例えば、本開示の抗体と関連する一方の数値と参照抗体と関連するもう一方の数値)間の類似度を意味する。例えば、該2つの値の違いは、参照抗体についての値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満であり得る。
本明細書で使用される「実質的に低下した」又は「実質的に異なる」という語句は、当業者であれば、2つの値の違いを、該値によって測定される生物学的特徴との関連において、統計学的に有意であると考えるほど十分に高い2つの数値(例えば、本開示の抗体と関連する一方の数値と参照抗体と関連するもう一方の数値)間の相違度を意味する。例えば、該2つの値の違いは、参照抗体についての値の関数として、好ましくは、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超であり得る。
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(例えば、ネイティブ配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては: C1q結合及び補体依存性細胞傷害性; Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;並びにB細胞活性化が挙げられる。
本明細書における「Fc領域」という用語は、例えば、ネイティブ配列Fc領域、組換えFc領域、及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、多くの場合、位置Cys226のアミノ酸残基から又はPro230から、そのカルボキシル末端にまで及ぶと定義される。Fc領域のC末端リジン(EU付番体系によれば、残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え技術で操作することにより除去することができる。したがって、無傷抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基がある抗体とK447残基がない抗体の混合物を有する抗体集団を含むことができる。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害性(CDC); Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体; BCR)の下方調節などが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、通常、Fc領域が結合領域又は結合ドメイン(例えば、抗体可変領域又はドメイン)と組み合わされることを必要とし、本明細書に開示される及び/又は当技術分野で公知の様々なアッセイの使用を含めて評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見られ、かつヒトによって操作、修飾、及び/又は改変されていない(例えば、単離、精製、選択されていない、可変領域配列などの他の配列を含まない、又は該配列と組み合わせていない)、Fc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列ヒトFc領域には、ネイティブ配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域;ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域;並びにネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、並びにこれらの天然の変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、付加、又は欠失)、好ましくは、1以上のアミノ酸置換によって、ネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5個のアミノ酸置換をネイティブ配列Fc領域中又は親ポリペプチドのFc領域中に有する。本明細書における変異体Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域との少なくとも約80%の相同性、より好ましくは、それらとの少なくとも約90%の相同性、例えば、それらとの少なくとも約95%の相同性を保有する。例えば、ヒトIgG1 Fc配列中の2つの位置でアラニンへの2アミノ酸変化を有する変異体が、以下に提供されるアミノ酸配列中で太字にして示されている:
例えば、C-末端リジン残基が存在しない切断型ヒトIgG1 Fc配列(IgG1ΔK Fc)中の2つの位置でアラニンへの2アミノ酸変化を有する変異体が、以下に提供されるアミノ酸配列中で太字にして示されている:
例えば、C-末端リジン残基が存在しないヒトIgG1 Fc配列の切断型変異体(IgG1ΔK Fc)が、以下に提供されるアミノ酸配列中で示されている:
例えば、ヒトIgG4 Fc配列中の位置でプロリンへのアミノ酸変化を有する変異体が、以下に提供されるアミノ酸配列中で太字にして示されている:
例えば、C-末端リジンが存在しないヒトIgG4 Fc配列(IgG4ΔK Fc)中の位置でプロリンへのアミノ酸変化を有する変異体が、以下に提供されるアミノ酸配列中で太字にして示されている:
例えば、ヒトIgG1 Fc配列中の位置でグルタミンへのアミノ酸変化を有する変異体が、以下に提供されるアミノ酸配列中で太字にして示されている:
表1~24並びに図4A、5A、5C、5E、6A、7A、8A、9A、及び10AのVHドメインのいずれかを本明細書に記載される変異体Fc領域と組み合わせることができる。変異体Fc領域を含む例示的な重鎖コンストラクトとしては、以下に示されるように表記された以下のコンストラクトを挙げることができ;可変領域配列は、太字になっており、CDR配列には、下線が付されている:
「軽鎖定常領域」には、カッパ及びラムダ定常領域が含まれる。表1~24並びに図4B、5B、5D、5F、6B、7B、8B、9B、及び10BのVLドメインのいずれかを本明細書に記載されるカッパ又はラムダ定常領域と組み合わせることができる。
定常領域を含む例示的な軽鎖コンストラクトとしては、以下に示されるように表記された以下のコンストラクトを挙げることができ;可変領域配列は、太字になっており、CDR配列には、下線が付されている:
「変異体」という用語は、GFRAL又は抗GFRAL抗体との関連において使用されるとき、ネイティブな又は未修飾のGFRAL配列と比較して、1以上(例えば、約1~約25個、約1~約20個、約1~約15個、約1~約10個、又は約1~約5個など)のアミノ酸配列置換、欠失、及び/又は付加を含むペプチド又はポリペプチドを指すことができる。例えば、GFRAL変異体は、ネイティブなGFRALのアミノ酸配列に対する1以上(例えば、約1~約25個、約1~約20個、約1~約15個、約1~約10個、又は約1~約5個など)の変化によって生じることができる。また例として、抗GFRAL抗体の変異体は、ネイティブな又は以前に修飾されていない抗GFRAL抗体のアミノ酸配列に対する1以上(例えば、約1~約25個、約1~約20個、約1~約15個、約1~約10個、又は約1~約5個など)の変化によって生じることができる。変異体は、アレル変異体もしくはスプライス変異体などの、天然に存在するものであってもよく、又は人為的に構築されたものであってもよい。ポリペプチド変異体は、該変異体をコードする対応する核酸分子から調製されてもよい。いくつかの実施態様において、GFRAL変異体又は抗GFRAL抗体変異体は、それぞれ、GFRAL又は抗GFRAL抗体の機能活性を少なくとも保持する。いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体変異体は、GFRALに結合し、及び/又はGFRAL活性に対して拮抗性である。いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体変異体は、GFRALに結合し、及び/又はGFRAL活性に対して作動性である。いくつかの実施態様において、該変異体は、GFRAL又は抗GFRAL抗体のVHもしくはVL領域もしくはサブ領域、例えば、1以上のCDRをコードする核酸分子の単一ヌクレオチド多型(SNP)変異体によってコードされる。
「ベクター」という用語は、例えば、核酸配列を宿主細胞に導入するためを含め、核酸配列を担持又は包含するために使用される物質を指す。使用のために適用可能なベクターとしては、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が挙げられ、これらは、宿主細胞の染色体への安定な組込みのために作動可能な選択配列又はマーカーを含むことができる。さらに、ベクターは、1以上の選択可能マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。含めることができる選択可能マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質もしくは毒素に対する抵抗性を提供し、独立栄養欠損を相補し、又は培養培地中にない重要な栄養を供給する。発現制御配列は、当技術分野で周知である構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含むことができる。2以上の核酸分子(例えば、抗体の重鎖と軽鎖の両方又は抗体のVHとVLの両方)が共発現されることになる場合、両方の核酸分子を、例えば、単一の発現ベクター又は別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクター発現のために、コード核酸を、1つの共通の発現制御配列に機能的に連結するか、又は異なる発現制御配列、例えば、1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターに連結することができる。核酸分子の宿主細胞への導入は、当技術分野で周知の方法を用いて確認することができる。そのような方法としては、例えば、核酸解析、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、又は遺伝子産物の発現についての免疫ブロッティング、又は導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子産物の発現を試験する他の好適な解析方法が挙げられる。核酸分子は、所望の産物(例えば、本明細書に記載される抗GFRAL抗体)を産生するのに十分な量で発現されることが当業者によって理解され、また、発現レベルを当技術分野で周知の方法を用いて最適化して、十分な発現を得ることができることがさらに理解される。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌型Igによって、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、その後、該標的細胞を細胞毒素で死滅させることが可能になる細胞傷害性の形態を指す。抗体は、細胞傷害性細胞を「武装し」、そのような死滅化に完全に必要とされる。ADCCを媒介する主な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現が知られている(例えば、Ravetch及びKinetの文献、Annu. Rev. Immunol. 9:457-92(1991)の464ページの表3を参照)。対象となる分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイ(例えば、米国特許第5,500,362号又は第5,821,337号を参照)を実施してもよい。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代わりに、又はさらに、対象となる分子のADCC活性を、インビボで、例えば、動物モデルでアッセイしてもよい(例えば、Clynesらの文献(USA) 95:652-656(1998)を参照)。ADCC活性がほとんど又は全くない抗体を使用のために選択してもよい。
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を言い表したものである。好ましいFcRは、ネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(例えば、ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を、これらの受容体のアレル変異体及び選択的スプライシング形態を含めて含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制受容体」)が含まれ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する(例えば、Daeronの総説、Annu. Rev. Immunol. 15:203-234(1997)を参照)。FcRは公知である(例えば、Ravetch及びKinetの文献、Annu. Rev. Immunol. 9:457-492(1991); Capelらの文献、Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haasらの文献、J. Lab. Clin. Med. 126:330-41(1995)を参照)。他のFcRは、将来同定されることになるものを含め、本明細書における「FcR」という用語によって包含される。この用語は、母親IgGの胎児への移動に関与する新生児受容体であるFcRnも含む(例えば、Guyerらの文献、J. Immunol. 117:587(1976)及びKimらの文献、J. Immunol. 24:249(1994)を参照)。FcRに対する結合が向上又は減少した抗体変異体が記載されている(例えば、WO 2000/42072号;米国特許第7,183,387号、第7,332,581号、及び第7.335,742号; Shieldsらの文献、J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604(2001)を参照)。
「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1の成分(C1q)がそのコグネートな抗原に結合している(適当なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ(例えば、Gazzano-Santoroらの文献、J. Immunol. Methods 202:163(1996)を参照)を実施してもよい。改変されたFc領域アミノ酸配列を有するポリペプチド変異体(変異体Fc領域を有するポリペプチド)及び増加又は減少したC1q結合能を有するポリペプチド変異体が記載されている(例えば、米国特許第6,194,551号、WO 1999/51642号、Idusogieらの文献、J. Immunol. 164: 4178-4184(2000)を参照)。CDC活性がほとんど又は全くない抗体を使用のために選択してもよい。
パーセント同一性を計算する際、比較されている配列を、配列間で最大のマッチを与えるように整列させることができる。パーセント同一性を決定するために使用し得るコンピュータプログラムは、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereuxらの文献(1984) Nucl. Acid Res. 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)。コンピュータアルゴリズムGAPを用いて、パーセント配列同一性を決定すべき2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドを整列させる。配列は、そのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの最適なマッチング(アルゴリズムによって決定される「マッチしたスパン(matched span))を求めて整列させることができる。ギャップ開始ペナルティ(これは、平均対角の3倍として計算され、ここで、「平均対角」は、使用されている比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによって各々の完全なアミノ酸マッチに割り当てられるスコア又は数字である)及びギャップ伸長ペナルティ(これは、通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)、並びにPAM 250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスが、該アルゴリズムとともに使用される。ある実施態様において、標準的な比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoffらの文献(1978) Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352; BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoffらの文献(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915-10919を参照)も、該アルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを用いてポリペプチド又はヌクレオチド配列についてのパーセント同一性を決定するための例示的なパラメータは、以下のものである:(i)アルゴリズム: Needlemanらの文献、1970, J. Mol. Biol. 48:443-453;(ii)比較マトリックス: Henikoffらの文献、1992(上記)からのBLOSUM 62;(iii)ギャップペナルティ:12(ただし、末端のギャップについては、ペナルティなし)(iv)ギャップ長ペナルティ:4;及び(v)類似性の閾値:0。
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定のアラインメント方式では、結果として2つの配列の短い領域しかマッチングされない可能性があり、この整列された小さい領域は、2つの全長配列間に有意な関係がない場合でも、非常に高い配列同一性を有することがある。したがって、選択されたアラインメント法(例えば、GAPプログラム)は、そのように所望される場合、標的ポリペプチドのいくつかのアミノ酸、例えば、少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたるアラインメントが結果として得られるように調整することができる。
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、必要であれば、最大のパーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の部分としていかなる保存的置換も考慮に入れずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを用いて、当技術分野の技術の範囲内にある様々な方法で達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適当なパラメータを決定することができる。
アミノ酸残基/位置の「修飾」は、出発アミノ酸配列と比較したときの一次アミノ酸配列の変化を指し、ここで、該変化は、該アミノ酸残基/位置を含む配列の改変によって生じる。例えば、典型的な修飾には、別のアミノ酸との残基の置換(例えば、保存的もしくは非保存的置換)、該残基/位置に近接した1以上(例えば、通常、5、4、もしくは3個未満)のアミノ酸の挿入、及び/又は該残基/位置の欠失が含まれる。
「エピトープ」は、単一の抗体分子が結合する抗原分子の表面上の部位、例えば、抗体の1以上の抗原結合領域に結合することができる、及び動物、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)で抗原性又は免疫原性活性を有する、すなわち、免疫応答を誘発することができる、抗原、例えば、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、又はGFRALエピトープの表面上の限局された領域である。免疫原性活性を有するエピトープは、動物で抗体応答を誘発するポリペプチドの部分である。抗原性活性を有するエピトープは、例えば、免疫アッセイによるものを含め、当技術分野で周知の任意に方法によって決定される、抗体が結合するポリペプチドの部分である。抗原性エピトープが必ずしも免疫原性である必要はない。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖などの化学的に活性のある表面分子団からなり、特異的な3次元構造特性及び特異的な電荷特性を有する。「エピトープ」という用語は、具体的には、線状エピトープ及び立体構造エピトープを含む。エピトープに寄与するポリペプチドの領域は、ポリペプチドの連続的なアミノ酸であってもよく、又はエピトープは、ポリペプチドの2以上の非連続的な領域から一体となったものであってもよい。エピトープは、抗原の3次元表面特徴であっても、そうでなくてもよい。ある実施態様において、GFRALエピトープは、GFRALポリペプチドの3次元表面特徴である。他の実施態様において、GFRALエピトープは、GFRALポリペプチドの線形特徴である。通常、抗原は、いくつかの又は多くの異なるエピトープを有しており、多くの異なる抗体と反応することができる。
2つの抗体が3次元空間で同一の、重複する、又は隣接するエピトープを認識する場合、抗体は、「エピトープ」又は参照抗体と「本質的に同じエピトープ」又は「同じエピトープ」に結合する。2つの抗体が3次元空間で同一の、重複する、又は隣接するエピトープに結合するかどうかを決定するための最も広く使用されかつ迅速な方法は、競合アッセイであり、これは、例えば、標識抗原又は標識抗体のどちらかを用いる、いくつかの異なるフォーマットで構成することができる。いくつかのアッセイでは、抗原を、96ウェルプレートに固定化するか、又は細胞表面上に発現させ、未標識抗体が標識抗体の結合を遮断する能力を、放射性標識、蛍光標識、又は酵素標識を用いて測定する。
「エピトープマッピング」は、抗体の結合部位、又は、エピトープをその標的抗原上で同定するプロセスである。抗体エピトープは、線状エピトープ又は立体構造エピトープであり得る。線状エピトープは、タンパク質中の連続するアミノ酸配列によって形成される。立体構造エピトープは、タンパク質配列中では不連続であるが、タンパク質がその3次元構造へとフォールディングするときに寄せ集められるアミノ酸から形成される。誘導されるエピトープは、例えば、別のタンパク質又はリガンドの活性化又は結合の後、タンパク質の3次元構造が変化した立体構造を取るときに、形成される。
「エピトープビニング」は、抗体が認識するエピトープに基づいて抗体を分類するプロセスである。より具体的には、エピトープビニングは、様々な抗体のエピトープ認識特性を識別し、そのエピトープ認識特性に基づいて抗体をクラスタリングするための計算プロセスと組み合わせた競合アッセイを使用し、かつ異なる結合特異性を有する抗体を同定するための方法及びシステムを含む。
「GFRAL媒介性疾患」、「GFRAL媒介性障害」、及び「GFRAL媒介性疾病」は互換的に使用されており、GFRALもしくはGFRALとGDF15との相互作用によって完全にもしくは部分的に引き起こされるか、又はGFRALもしくはGFRALとGDF15との相互作用の結果である、任意の疾患、障害、又は疾病、及び/或いはその代わりに、GDF15のインビボ効果を阻害することが望ましい任意の疾患、障害、又は疾病を指す。GFRAL媒介性疾患、障害、又は疾病には、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病が含まれる。
「GDF15媒介性疾患」、「GDF15媒介性障害」、及び「GDF15媒介性疾病」は互換的に使用されており:(i)GDF15タンパク質(例えば、GDF15タンパク質の活性、例えば、GDF15シグナル伝達、もしくはGDF15タンパク質のレベルの上昇)又はGFRALタンパク質とGDF15タンパク質及び/もしくはRETタンパク質との相互作用によって完全にもしくは部分的に引き起こされ;或いは(ii)GDF15タンパク質(例えば、GDF15タンパク質の活性、例えば、GDF15シグナル伝達、もしくはGDF15タンパク質のレベルの上昇)又はGFRALタンパク質とGDF15タンパク質及び/もしくはRETタンパク質との相互作用の結果である任意の疾患、障害、又は疾病、その代わりに、GDF15のインビボ効果を阻害することが望ましい任意の疾患、障害、又は疾病を指す。GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病としては、不随意の体重減少、悪液質、サルコペニア、筋消耗、骨消耗、心血管疾患、慢性炎症性疾患(例えば、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患)、及びGDF15タンパク質によって誘導されるか又はGDF15タンパク質に関連する化学療法剤(例えば、抗腫瘍抗体、例えば、トラスツズマブ)に対する感受性(例えば、抵抗性)が減少している癌を含む、癌が挙げられる。
本明細書で使用される「治療的有効量」という用語は、所与の疾患、障害、もしくは疾病、及び/又はこれらに関連する症状の重症度及び/又は持続期間を低下させ及び/又は改善するのに十分である薬剤(例えば、本明細書に記載される抗体又は本明細書に記載される任意の他の薬剤)の量を指す。治療剤を含む、薬剤の治療的有効量は、(i)所与の疾患、障害、もしくは疾病の進展もしくは進行の低下もしくは改善、(ii)所与の疾患、障害、もしくは疾病の再発、発症、もしくは発生の低下もしくは改善、及び/又は(iii)別の療法(例えば、本明細書に提供される抗体の投与以外の療法)の予防もしくは治療効果の向上もしくは増強に必要な量であることができる。本開示の物質/分子/薬剤(例えば、抗GFRAL抗体)の「治療的有効量」は、個体の病状、年齢、性別、及び重量、並びに該物質/分子/薬剤が個体において所望の応答を誘発する能力などの因子によって異なり得る。治療的有効量は、該物質/分子/薬剤の任意の毒性又は有害効果を治療的に有益な効果が上回る量を包含する。ある実施態様において、「治療的有効量」という用語は、対象又は哺乳動物の疾患、障害、又は疾病を「治療する」のに有効な抗体又は他の薬剤(例えば、又は薬物)の量を指す。
「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要な投薬量で及び所望の予防結果を達成するために必要な期間にわたって有効な量を指す。一般に、予防用量は、疾患、障害、もしくは疾病の前に、又はその初期段階において、対象で使用されるので、予防的有効量は、治療的有効量よりも少ない可能性があるが、必ずしもそうであるとは限らない。
「慢性的」投与は、長期間にわたって初回治療効果(活性)を維持するために、急性の様式ではなく、連続的な様式で(例えば、数日、数週間、数カ月、又は数年などの期間)、薬剤を投与することを指す。「間欠的」投与は、中断なしで連続的に行われるのではなく、むしろ本来は周期的な処置である。
1以上のさらなる薬剤「と組み合わせた」投与には、同時(例えば、並行)投与と任意の順序での連続投与とが含まれる。他の療法(例えば、他の薬剤)の投与との関連における「と組み合わせた」という用語は、複数の療法(例えば、1つの薬剤)の使用を含む。「と組み合わせた」という用語の使用は、療法が対象に投与される順序を制限するものではない。第1の療法(例えば、薬剤)を、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を有していたか、該疾患を有しているか、又は該疾患に罹患しやすいか、又は該疾患のリスクを有する対象への第2の療法(例えば、薬剤)の投与の前に(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、8週間、9週間、10週間、11週間、もしくは12週間前に)、該投与と並行して、又は該投与の後に(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、もしくは12週間後に)投与することができる。
任意の追加の療法(例えば、薬剤)を、任意の順序で、他の追加の療法(例えば、薬剤)とともに投与することができる。ある実施態様において、抗体を、1以上の療法、例えば、薬剤(例えば、現在投与されている抗体ではない、薬剤を含む、療法)と組み合わせて投与して、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状を予防、治療、管理、及び/又は改善することができる。抗体と組み合わせて投与することができる療法(例えば、薬剤)の非限定的な例としては、例えば、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、もしくは免疫調節剤、又は米国薬局方(U.S. Pharmacopoeia)及び/もしくは医師の卓上参考書(Physician's Desk Reference)に記載されている任意の他の薬剤が挙げられる。併用療法で有用な薬剤の例としては、以下のもの:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、並びに他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フイロフェナク(fuirofenac)、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサル)、オキシカム(イソオキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカン(tenoxican))、サリチレート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)、並びにピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)が挙げられるが、これらに限定されない。他の組合せとしては、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤が挙げられる。組合せ用の他の薬剤としては、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、又はヒドロコルチゾンなどのステロイドが挙げられる。そのような組合せは、特に好都合であり得るが、それは、本抗体と組み合わせて対象を治療するときに必要とされるステロイド用量を漸減することにより、ステロイドの1以上の副作用を軽減し又は消失させることすらできるからである。組合せ用の薬剤のさらなる例としては、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID);他のヒトサイトカインもしくは成長因子、例えば、TNF、LT、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、EMAP-II、GM-CSF、FGF、もしくはPDGFに対する抗体、又はこれらのアンタゴニストが挙げられる。薬剤の組合せとしては、キメラ、ヒト化、又はヒトTNF抗体、REMICADE、抗TNF抗体断片(例えば、CDP870)、及び可溶性p55又はp75 TNF受容体、これらの誘導体、p75TNFRIgG(ENBREL(登録商標))又はp55TNFR1gG(LENERCEPT(登録商標))、可溶性IL-13受容体(sIL-13)、さらには、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤のようなTNFアンタゴニストを挙げることができ;同様に、IL-1阻害剤(例えば、インターロイキン-1-変換酵素阻害剤)も有効であり得る。他の組合せとしては、インターロイキン11、抗P7、及びp-セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)が挙げられる。併用療法で有用な薬剤の他の例としては、インターフェロン-β1a(AVONEX);インターフェロン-β1b(BETASERON(登録商標));コパキソン;高圧酸素;静脈内免疫グロブリン;クラブリビン(clabribine);並びに他のヒトサイトカインもしくは成長因子に対する抗体又はこれら他のヒトサイトカインもしくは成長因子のアンタゴニスト(例えば、CD40リガンド及びCD80に対する抗体)が挙げられる。
本明細書で使用される「担体」には、利用される投薬量及び濃度でそれに曝露されている細胞又は哺乳動物にとって無毒である医薬として許容し得る担体、賦形剤、又は安定化剤が含まれる。多くの場合、生理的に許容し得る担体は、水性pH緩衝溶液である。生理的に許容し得る担体の例としては、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)が挙げられる。「担体」という用語は、それとともに治療薬が投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全もしくは不完全))、賦形剤、又はビヒクルを指すこともできる。医薬担体を含む、そのような担体は、滅菌液、例えば、水及び油であることができ、油には、石油、動物、植物、又は合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが含まれる。水は、組成物(例えば、医薬組成物)が静脈内に投与されるときの例示的な担体である。食塩水溶液並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液を、特に、注射用溶液のための液体担体として利用することもできる。好適な賦形剤(例えば、医薬賦形剤)としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、望ましい場合、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、又はpH緩衝化剤を含有することもできる。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態を取ることができる。経口組成物は、製剤を含め、標準的な担体、例えば、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。好適な医薬担体の例は、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PAに記載されている。医薬化合物を含む組成物は、予防的又は治療的有効量の抗GFRAL抗体を、例えば、単離又は精製された形態で、対象(例えば、患者)への適切な投与のための形状を提供するための好適な量の担体と一緒に含有し得る。製剤は、投与様式に適するべきである。
本明細書で使用される「医薬として許容し得る」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
「医薬製剤」という用語は、活性成分(例えば、抗GFRAL抗体)の生物活性が有効であることを可能にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容し難いほど毒性がある追加の成分を含まない調製物を指す。そのような製剤は、滅菌性であってもよい。
「滅菌」製剤は、無菌であるか又は全ての生きた微生物及びその胞子を含まない。
本明細書で使用される「ポリクローナル抗体」は、多くのエピトープを有するタンパク質に対する免疫原性応答において生成され、そのため、タンパク質内の同じエピトープ及び異なるエピトープに対する様々な異なる抗体を含む、抗体集団を指す。ポリクローナル抗体の産生方法は当技術分野で公知である(例えば、第11章:分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New Yorkを参照)。
「単離された核酸」は、他のゲノムDNA配列、並びにネイティブ配列に自然に付随するタンパク質又は複合体、例えば、リボソーム及びポリメラーゼから実質的に分離されている核酸、例えば、RNA、DNA、又は混合ポリマーである。「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然の源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子である。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、他の細胞物質、又は組換え技法によって産生される場合は、培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成される場合は、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗体をコードする1以上の核酸分子は単離又は精製されている。この用語は、その天然の環境から除去された核酸配列を含み、組換えDNA単離体又はクローニングされたDNA単離体及び化学合成された類似体又は異種システムによって生合成された類似体を含む。実質的に純粋な分子には、該分子の単離された形態が含まれ得る。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、これには、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/又はこれらの類似体、或いはDNAもしくはRNAポリメラーゼによるか又は合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びその類似体を含み得る。本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は一般に、短い、通常は一本鎖の、通常は合成されたポリヌクレオチドを指し、これは、通常、長さが約200ヌクレオチド未満であるが、必ずしもそうとは限らない。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互いに排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同等かつ完全に適用可能である。本開示の抗GFRAL抗体を産生する細胞には、親ハイブリドーマ細胞、並びに該抗体をコードする核酸が導入されている細菌及び真核生物宿主細胞が含まれ得る。好適な宿主細胞は、以下に開示されている。
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、及び「治療する(treating)」という用語は、1以上の療法の投与(1以上の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される抗体の投与を含むが、これらに限定されない)によって生じるGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の進行、重症度、及び/又は持続期間の低下又は改善を指す。いくつかの実施態様において、該薬剤は、抗GFRAL抗体である。本明細書で使用される治療には、(i)体重を増加させること;(ii)体重を維持すること;(iii)体重減少を低下させること;(iv)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)を増加させること;(v)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)を維持すること;(vi)ボディマス(例えば、除脂肪量もしくは脂肪量)の減少を低下させること、又はこれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「予防剤」という用語は、対象におけるGDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、及び/又はこれらに関連する症状の発症、再発、発生、又は拡大を完全に又は部分的に阻害することができる任意の薬剤を指す。いくつかの実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に提供される抗体を指す。いくつかの実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に提供される抗体以外の薬剤を指す。いくつかの実施態様において、予防剤は、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、及び/又はこれらに関連する症状を予防し、或いはGDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、及び/又はこれらに関連する症状の発生、発症、進行、及び/又は重症度を妨害するために有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。いくつかの実施態様において、予防剤は、完全ヒト抗GFRAL抗体、例えば、完全ヒト抗GFRALモノクローナル抗体である。
「予防剤」という用語は、対象におけるGDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の発症、再発、発生、又は拡大を完全に又は部分的に阻害することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載される抗GFRAL抗体を指す。ある他の実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載される抗GFRAL抗体以外の薬剤を指す。ある実施態様において、予防剤は、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状を予防し、或いはGDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の発生、発症、進行、及び/又は重症度を妨害するために有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。具体的な実施態様において、予防剤は、ヒト化抗GFRAL抗体、例えば、ヒト化抗GFRALモノクローナル抗体である。
「パッケージインサート」という用語は、治療製品のコマーシャルパッケージに通例含まれ、そのような治療製品の使用に関する適応症、用法、投薬量、投与、禁忌、及び/又は警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。
「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、及び「予防(prevention)」という用語は、本明細書に提供される療法又は療法の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される抗体の組合せ)の投与によってもたらされる、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の発症、再発、発生、又は拡大の完全な又は部分的な阻害を指す。
「組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作出、又は単離される抗体を指す。組換え抗体は、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック及び/もしくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウスもしくはウシ)から単離される抗体(例えば、Taylor, L. D.らの文献(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295を参照)、又は免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作出、もしくは単離される抗体であることができる。そのような組換え抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来するものを含む、可変及び定常領域を有することができる(Kabat, E. A.らの文献(1991)、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照)。ある実施態様において、しかしながら、そのような組換え抗体は、インビトロ突然変異誘発(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合は、インビボ体細胞突然変異誘発)を受けることがあり、そのため、該組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、かつこれに関連するが、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリーに天然には存在しない可能性がある配列である。
「副作用」という用語は、療法(例えば、予防剤又は治療剤)の望ましくない及び有害な作用を包含する。望ましくない作用が必ずしも有害であるとは限らない。療法(例えば、予防剤又は治療剤)による有害な作用は、有害又は不快又は危険であり得る。副作用の例としては、下痢、咳、胃腸炎、喘鳴、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重の減少、脱水症、脱毛症、呼吸困難、不眠症、目眩、粘膜炎、神経筋効果、疲労、口内乾燥症、及び食欲不振、投与部位での発疹又は腫脹、インフルエンザ様症状、例えば、発熱、悪寒、及び疲労、消化管異常、並びにアレルギー反応が挙げられる。患者が経験するさらなる望ましくない作用は数多くあり、当技術分野で公知である。多くは、医師の卓上参考書(Physician's Desk Reference)(第60版、2006)に記載されている。
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用されており、本明細書に開示される方法との関連において、療法又は予防症例のレシピエントとなる動物を指す。本明細書で使用されるように、ある実施態様において、対象は、哺乳動物、例えば、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)である。具体的な実施態様において、対象は、ヒトである。一実施態様において、対象は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を有する哺乳動物(例えば、ヒト)である。別の実施態様において、対象は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を発症するリスクがある哺乳動物(例えば、ヒト)である。
「実質的に全て」は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%を指す。
「治療剤」という用語は、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状のうちの1以上の症状の治療、予防、又は緩和においてを含め、疾患、障害、又は疾病を治療、予防、又は緩和する際に使用することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、治療剤は、本明細書に記載される抗GFRAL抗体を指す。ある他の実施態様において、治療剤は、本明細書に提供される抗体以外の薬剤を指す。ある実施態様において、治療剤は、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の1以上の症状の治療、予防、又は緩和に有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。
任意の2以上の単剤療法の相加作用よりも効果的である療法の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤の使用)。例えば、予防剤及び/又は治療剤の組合せの相乗作用は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を有する対象に対する、該薬剤のうちの1つもしくは複数のより少ない投薬量の使用、及び/又は該薬剤のより低頻度の投与を可能にする。より少ない投薬量の予防的もしくは治療的療法を利用し、及び/又はより低い頻度で該療法を投与する能力は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の予防、管理、治療、又は改善における該療法の効力を低下させることなく、対象への該療法の投与と関連する毒性を低下させる。さらに、相乗作用は、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病の予防における、又は管理、治療、もしくは改善における療法の効力の改善をもたらすことができる。最後に、療法(例えば、予防剤又は治療剤)の組合せの相乗作用は、任意の単剤療法の使用と関連する有害な又は望ましくない副作用を回避又は軽減することができる。いくつかの実施態様において、組合せ療法は、本明細書に提供される抗体及びインスリン(例えば、インスリン補給)を含む。いくつかの実施態様において、組合せ療法は、抗GFRAL抗体及びインスリンを含み、ここで、該組合せ療法は、インスリン単独療法における通常の1日投薬量よりも少ない1日投薬量のインスリンを含む。いくつかの実施態様において、組合せ療法は、例えば、インスリン単独療法における通常の1日インスリン投薬量の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、又は1%未満を含む。
「療法」という用語は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病(例えば、1型糖尿病又は2型糖尿病)の予防、管理、治療、及び/又は改善において使用することができる任意のプロトコル、方法、及び/又は薬剤を指す。いくつかの実施態様において、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、生物療法、支持療法、並びに/又は当業者、例えば、医療関係者に公知の、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の予防、管理、治療、及び/もしくは改善において有用な他の療法を指す。
「検出可能なプローブ」という用語は、検出可能なシグナルを提供する組成物を指す。この用語は、限定するものではないが、その活性を介して検出可能なシグナルを提供する任意の蛍光団、発色団、放射性標識、酵素、抗体、又は抗体断片などを含む。
「診断剤」という用語は、疾患、障害、又は疾病の診断を助ける、対象に投与される物質を指す。そのような物質を用いて、疾患誘発過程の局在を明らかにし、それを正確に示し、及び/又はそれを規定することができる。ある実施態様において、診断剤は、対象に投与するか又は対象由来の試料に接触させたときにGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の診断を助ける、本明細書に記載される抗GFRAL抗体にコンジュゲートされている物質を含む。
「検出可能な薬剤」という用語は、試料又は対象中の所望の分子、例えば、本明細書に記載される抗GFRAL抗体の存在(existence)又は存在(presence)を確認するために使用することができる物質を指す。検出可能な薬剤は、可視化されることができる物質又は別の方法で(例えば、定量によって)決定及び/もしくは測定される物質であることができる。
「コードする」という用語又はその文法的同等語は、それが核酸分子に関して使用されるとき、そのネイティブな状態の、又は当業者に周知の方法によって操作される場合、後にポリペプチド及び/又はその断片に翻訳されるmRNAを産生するように転写されることができる、核酸分子を指す。アンチセンス鎖は、そのような核酸分子の相補体であり、コード配列は、それから推定することができる。
「賦形剤」という用語は、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤、又は安定化剤として一般に使用される不活性物質を指し、タンパク質(例えば、血清アルブミンなど)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、グリシン、ヒスチジンなど)、脂肪酸及びリン脂質(例えば、アルキルスルホネート、カプリレートなど)、界面活性剤(例えば、SDS、ポリソルベート、非イオン性界面活性剤など)、糖類(例えば、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、並びにポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトールなど)を含むが、これらに限定されない。その全体が引用により本明細書中に組み込まれるレミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PAも参照されたい。
ペプチド又はポリペプチドとの関連において、本明細書で使用される「断片」という用語は、全長に満たないアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドを指す。そのような断片は、例えば、アミノ末端での切断、カルボキシ末端での切断、及び/又はアミノ酸配列からの残基の内部欠失によって生じ得る。断片は、例えば、選択的RNAスプライシングによるか又はインビボのプロテアーゼ活性によって生じ得る。ある実施態様において、断片は、GFRALポリペプチド又はGFRALポリペプチドに結合する抗体のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも連続100個のアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、少なくとも500個、少なくとも550個、少なくとも600個、少なくとも650個、少なくとも700個、少なくとも750個、少なくとも800個、少なくとも850個、少なくとも900個、又は少なくとも950個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施態様において、GFRALポリペプチドに結合する抗体の断片は、該抗体の少なくとも1つ、少なくとも2つ、もしくは少なくとも3つ、又はそれより多くの機能を保持する。
「管理する(manage)」、「管理する(managing)」、及び「管理(management)」という用語は、対象が療法(例えば、予防剤又は治療剤)から得る有益な効果を指し、該療法は、疾患の治癒をもたらすものではない。ある実施態様において、疾患の進行又は悪化を予防するために、対象に、1以上の療法(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される抗体)を投与して、GDF15媒介性疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状を「管理する」。
「投与する」又は「投与」は、体外に存在するがままの物質(例えば、本明細書に記載される抗GFRAL抗体)を、対象に、例えば、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載されるもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって注射するか又は別の方法で物理的に送達する行為を指す。疾患、障害、もしくは疾病、又はその症状が治療されているとき、該物質の投与は、通常、該疾患、障害、もしくは疾病、又はその症状の発症の後に行われる。疾患、障害、もしくは疾病、又はその症状が予防されているとき、該物質の投与は、通常、該疾患、障害、もしくは疾病、又はその症状の発症の前に行われる。
ポリペプチドとの関連において、本明細書で使用される「類似体」という用語は、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、もしくは抗GFRAL抗体と同様のもしくは同一の機能を保有するが、必ずしも、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、もしくは抗GFRAL抗体と同様のもしくは同一のアミノ酸配列を含むものではなく、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、もしくは抗GFRAL抗体と同様のもしくは同一の構造を保有するものでもない、ポリペプチドを指す。同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、以下のうちの少なくとも1つを満たすポリペプチドを指す:(a)本明細書に記載されるGFRALポリペプチド(例えば、配列番号500)、GFRALポリペプチドの断片、又は抗GFRAL抗体のアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド;(b)少なくとも5アミノ酸残基、少なくとも10アミノ酸残基、少なくとも15アミノ酸残基、少なくとも20アミノ酸残基、少なくとも25アミノ酸残基、少なくとも40アミノ酸残基、少なくとも50アミノ酸残基、少なくとも60アミノ残基、少なくとも70アミノ酸残基、少なくとも80アミノ酸残基、少なくとも90アミノ酸残基、少なくとも100アミノ酸残基、少なくとも125アミノ酸残基、又は少なくとも150アミノ酸残基の本明細書に記載されるGFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又は抗GFRAL抗体(又はそのVHもしくはVL領域)をコードするヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド(例えば、Sambrookらの文献(2001)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Maniatisらの文献(1982)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NYを参照);及び(c)本明細書に記載されるGFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又は抗GFRAL抗体(又はそのVHもしくはVL領域)をコードするヌクレオチド配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド。本明細書に記載されるGFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又は抗GFRAL抗体と同様の構造を有するポリペプチドは、本明細書に記載されるGFRALポリペプチド、GFRALの断片、又はGFRAL抗体と同様の2次、3次、又は4次構造を有するポリペプチドを指す。ポリペプチドの構造は、限定されないが、X線結晶学、核磁気共鳴、及び結晶学的電子顕微鏡法を含む、当業者に公知の方法によって決定することができる。
「組成物」という用語は、任意に、指定された量の、指定された成分(例えば、本明細書に提供される抗体)を含有する製品、及び任意に、指定された量の、指定された成分の組合せから、直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することが意図される。
ポリペプチドとの関連において、本明細書で使用される「誘導体」という用語は、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加の導入によって改変されている、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRALポリペプチドに結合する抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用される「誘導体」という用語は、例えば、ポリペプチドに対する任意の種類の分子の共有結合によって化学的に修飾されている、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRALポリペプチドに結合する抗体も指す。例えば、限定するものではないが、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRAL抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質に対する結合などによって化学的に修飾されていてもよい。誘導体は、結合している分子の種類又は位置のどちらかが天然に存在するペプチドもしくはポリペプチド又は出発ペプチドもしくはポリペプチドと異なるように修飾される。誘導体は、ペプチド又はポリペプチド上に天然に存在する1以上の化学基の欠失をさらに含む。GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRAL抗体の誘導体は、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、当業者に公知の技法を用いる化学修飾によって化学的に修飾されていてもよい。さらに、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRAL抗体の誘導体は、1以上の非典型的アミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチド誘導体は、本明細書に記載されるGFRALポリペプチド、GFRALポリペプチドの断片、又はGFRAL抗体と同様の又は同一の機能を保有する。
「不随意の体重減少」という用語は、悪液質、肝硬変、甲状腺機能亢進症、慢性腎疾患、パーキンソン病、癌、摂食障害、及びサルコペニアなどの多くの疾病で観察される意図しない体重減少を指す。
「悪液質」という用語は、積極的に減量しようとしていない人における体重減少、筋萎縮、疲労、衰弱、及び顕著な食欲不振を特徴とする消耗症候群を指す。悪液質は、いくつかの慢性疾患(例えば、癌、慢性腎疾患、慢性炎症性疾患、筋消耗、例えば、筋ジストロフィー、及び神経性無食欲)に罹患している患者の罹病率に大きく寄与し得る。例えば、末期癌において、悪液質は、一般的であり(最末期症状の癌患者で生じ)、全ての癌関連死の約4分の1の原因である。
(組成物及びその作製方法)
結合タンパク質、例えば、GFRAL(例えば、ヒトGFRAL)に結合する抗体が提供される。本開示の抗体は、例えば、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の診断又は治療に有用である。ある実施態様において、本開示の抗体は、限定されないが、悪液質もしくは慢性疾患(例えば、肝硬変、甲状腺機能亢進症、パーキンソン病、癌、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、慢性炎症性疾患、敗血症、筋消耗、及び神経性無食欲)に罹患している対象における不随意の体重減少を含む、不随意の体重減少などの、疾患、障害、もしくは疾病、又はGDF15のインビボ作用を阻害することが望ましい、広く任意の疾患、障害、もしくは疾病の診断又は治療に有用である。
本明細書に提供されるのは、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープに結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体は、GFRALの細胞外ドメイン(ECD)に結合する。また提供されるのは、本明細書に提供される抗GFRAL抗体がGFRALポリペプチドに結合するのを競合的に遮断する抗体である。本明細書に提供される抗GFRAL抗体は、診断剤、検出可能な薬剤、又は治療剤にコンジュゲートするか又は組換え融合させることもできる。さらに提供されるのは、抗GFRAL抗体を含む組成物である。
また本明細書に提供されるのは、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープに結合する抗GFRAL抗体の免疫グロブリン重鎖、軽鎖、VH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3をコードする単離された核酸分子である。さらに提供されるのは、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープに結合する抗GFRAL抗体をコードする核酸分子を含むベクター及び宿主細胞である。また提供されるのは、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープに結合する抗体を作製する方法である。
抗GFRAL抗体を使用する方法が本明細書に提供される。本方法は、対象(例えば、患者)におけるGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の1以上の症状を治療、予防、又は緩和することを含む、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を治療、予防、又は緩和することを含む。GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の非限定的な例としては、不随意の体重減少、消耗性疾患、悪液質又は慢性疾患(例えば、肝硬変、甲状腺機能亢進症、パーキンソン病、癌、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、慢性炎症性疾患、敗血症、筋消耗、及び神経性無食欲)に罹患している対象における不随意の体重減少が挙げられる。対象が不随意の体重減少に苦しみ得る疾患、障害、又は疾病のその他のものとしては、摂食障害、筋ジストロフィー、又は多発性硬化症が挙げられる。
(抗GFRAL抗体)
いくつかの実施態様において、本開示は、本明細書において治療剤としての使用を見出し得る抗GFRAL抗体を提供する。例示的な抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、ヒト、二重特異性、及びヘテロコンジュゲート抗体、並びに改善された親和性又は他の性質を有するこれらの変異体が挙げられる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープを含む、GFRALに結合する抗体である。いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体は、GFRALポリペプチド、GFRALポリペプチド断片、GFRALペプチド、又はGFRALエピトープを含む、GFRALに結合するヒト化抗体(例えば、ヒト定常領域を含むもの)である。
いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体は、本明細書に記載されるモノクローナル抗体(例えば、1C1、3P10、12A3、5F12、5A20、8D8、17J16、25M22、2B8、22N5、2I23、6N16、1B3、19K19、2B3、8C10、2A9、24G2、6G9、2B11、1A3、P1B6、P1H8、又はP8G4)のいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3、例えば、表1~24に示されるアミノ酸配列を含む。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離された抗体又はその機能断片は、表1~24に示されるような:(a)1C1と表記された抗体;(b)3P10と表記された抗体;(c)12A3と表記された抗体;(d)5F12と表記された抗体;(e)5A20と表記された抗体;(f)8D8と表記された抗体;(g)17J16と表記された抗体;(h)25M22と表記された抗体;(i)2B8と表記された抗体;(j)22N5と表記された抗体;(k)2I23と表記された抗体;(l)6N16と表記された抗体;(m)1B3と表記された抗体;(n)19K19と表記された抗体;(o)2B3と表記された抗体;(p)8C10と表記された抗体;(q)2A9と表記された抗体;(r)24G2と表記された抗体;(s)6G9と表記された抗体;(t)2B11と表記された抗体;(u)1A3と表記された抗体;(v)P1B6と表記された抗体;(w)P1H8と表記された抗体;(x)P8G4と表記された抗体;又は1C1~P8G4と表記された抗体由来の1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDRを含む。
1C1と表記された抗体は、配列番号1であるVH配列及び配列番号2であるVL配列を含む。
3P10と表記された抗体は、配列番号3であるVH配列及び配列番号4であるVL配列を含む。
12A3と表記された抗体は、配列番号5であるVH配列及び配列番号6であるVL配列を含む。
5F12と表記された抗体は、配列番号7であるVH配列及び配列番号8であるVL配列を含む。
5A20と表記された抗体は、配列番号9であるVH配列及び配列番号10であるVL配列を含む。
8D8と表記された抗体は、配列番号11であるVH配列及び配列番号12であるVL配列を含む。
17J16と表記された抗体は、配列番号13であるVH配列及び配列番号14であるVL配列を含む。
25M22と表記された抗体は、配列番号15であるVH配列及び配列番号16であるVL配列を含む。
2B8と表記された抗体は、配列番号17であるVH配列及び配列番号18であるVL配列を含む。
22N5と表記された抗体は、配列番号19であるVH配列及び配列番号20であるVL配列を含む。
2I23と表記された抗体は、配列番号21であるVH配列及び配列番号22であるVL配列を含む。
6N16と表記された抗体は、配列番号23であるVH配列及び配列番号24であるVL配列を含む。
1B3と表記された抗体は、配列番号25であるVH配列及び配列番号26であるVL配列を含む。
19K19と表記された抗体は、配列番号27であるVH配列及び配列番号28であるVL配列を含む。
2B3と表記された抗体は、配列番号29であるVH配列及び配列番号30であるVL配列を含む。
8C10と表記された抗体は、配列番号31であるVH配列及び配列番号32であるVL配列を含む。
2A9と表記された抗体は、配列番号33であるVH配列及び配列番号34であるVL配列を含む。
24G2と表記された抗体は、配列番号35であるVH配列及び配列番号36であるVL配列を含む。
6G9と表記された抗体は、配列番号37であるVH配列及び配列番号38であるVL配列を含む。
2B11と表記された抗体は、配列番号39であるVH配列及び配列番号40であるVL配列を含む。
1A3と表記された抗体は、配列番号480であるVH配列及び配列番号481であるVL配列を含む。
P1B6と表記された抗体は、配列番号482であるVH配列及び配列番号483であるVL配列を含む。
P1H8と表記された抗体は、配列番号484であるVH配列及び配列番号485であるVL配列を含む。
P8G4と表記された抗体は、配列番号486であるVH配列及び配列番号487であるVL配列を含む。
表1:抗体1CのCDR配列
表2:抗体3P10のCDR配列
表3:抗体12A3のCDR配列
表4:抗体5F12のCDR配列
表5:抗体5A20のCDR配列
表6:抗体8D8のCDR配列
表7:抗体17J16のCDR配列
表8:抗体25M22のCDR配列
表9:抗体2B8のCDR配列
表10:抗体22N5のCDR配列
表11:抗体2I23のCDR配列
表12:抗体6N16のCDR配列
表13:抗体1B3のCDR配列
表14:抗体19K19のCDR配列
表15:抗体2B3のCDR配列
表16:抗体8C10のCDR配列
表17:抗体2A9のCDR配列
表18:抗体24G2のCDR配列
表19:抗体6G9のCDR配列
表20:抗体2B11のCDR配列
表21:抗体1A3のCDR配列
表22:抗体P1B6のCDR配列
表23:抗体P1H8のCDR配列
表24:抗体P8G4のCDR配列
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、VH領域又はVHドメインを含む。他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、VL領域又はVL鎖を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(i)VHドメインもしくはVH領域;及び/又は(ii)VLドメインもしくはVL領域の組合せを有する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表1~24で特定される6つのCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含む又は該CDRからなる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、6つ未満のCDRを含むことができる。いくつかの実施態様において、該抗体は、表1~24で特定されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのCDRを含む又は該CDRからなる。いくつかの実施態様において、該抗体は、本明細書に記載される:(a)1C1と表記された抗体;(b)3P10と表記された抗体;(c)12A3と表記された抗体;(d)5F12と表記された抗体;(e)5A20と表記された抗体;(f)8D8と表記された抗体;(g)17J16と表記された抗体;(h) t25M22と表記された抗体;(i)2B8と表記された抗体;(j)22N5と表記された抗体;(k)2I23と表記された抗体;(l)6N16と表記された抗体;(m)1B3と表記された抗体;(n)19K19と表記された抗体;(o)2B3と表記された抗体;(p)8C10と表記された抗体;(q)2A9と表記された抗体;(r)24G2と表記された抗体;(s)6G9と表記された抗体;(t)2B11と表記された抗体;(u)1A3と表記された抗体;(v)P1B6と表記された抗体;(w)P1H8と表記された抗体;もしくは(x)P8G4と表記された抗体からなる群から選択されるマウスモノクローナル抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのCDRを含む又は該CDRからなる。したがって、いくつかの実施態様において、該抗体は、表1~24で特定されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3のうちのいずれか1つの1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのCDRを含む又は該CDRからなる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表1~24に記載される1以上の(例えば、1つ、2つ、もしくは3つの)VH CDRを含む又は該CDRからなる。他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表1~24に記載される1以上の(例えば、1つ、2つ、又は3つの)VL CDRを含む。さらに他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表1~24に記載される1以上の(例えば、1つ、2つ、又は3つの)VH CDR及び表1~24に記載される1以上のVL CDRを含む。したがって、ある実施態様において、該抗体は、57、49、57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796、488~493、1795、1796のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号132~220、497~514のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号57、49、57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796、488~493、1795、1796のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、表1~24に示されるアミノ酸配列のいずれか1つに示されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3から独立に選択されるVH CDR1及び/又はVH CDR2及び/又はVH CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、配列番号297~372、531~546のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号373~422のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号423~479、558~569のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、表1~24に示されるアミノ酸配列のいずれか1つに示されるVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3から独立に選択されるVL CDR1及び/又はVL CDR2及び/又はVL CDR3を含む。
また本明細書に提供されるのは、表1~24に記載される1以上の(例えば、1つ、2つ、又は3つの)VH CDR及び1以上の(例えば、1つ、2つ、又は3つの)VL CDRを含む抗体である。特に、本明細書に提供されるのは: VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR1(配列番号297~372、531~546); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR2(配列番号373~422); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR1(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569); VH CDR2(配列番号132~220、497~514)、VH CDR3(配列番号57、49、221~296、515~530、488~493、1795、1796)、VL CDR1(配列番号297~372、531~546)、VL CDR2(配列番号373~422)、及びVL CDR3(配列番号423~479、558~569);又は表1~24に記載されるVH CDR(配列番号41~296)とVL CDR(配列番号297~477)のその任意の組合せを含む抗体である。
ある実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片は、ヒト化フレームワーク領域(FR)配列を含む。ある実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片は、表25に示されるVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4アミノ酸配列を含むVH領域;並びに/又は(b)表25に示されるVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4アミノ酸配列を含むVL領域を含む。
表25:ヒト化抗GFRAL抗体の例示的なフレームワーク配列
ある実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片は:(1)配列番号570~578から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;(2)配列番号579~602から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;(3)配列番号603~1726から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3;及び/又は(4)配列番号1727~1728から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4を含むVH領域を含む。したがって、いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号570~578から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1を含むVH領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号579~602から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2を含むVH領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号603~1726から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3を含むVH領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号1727~1728から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4を含むVH領域を含む。
ある実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片は:(1)配列番号1729~1750から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;(2)配列番号1751~1777から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;(3)配列番号1778~1792から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3;及び/又は(4)配列番号1793~1794から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4を含むVL領域を含む。したがって、いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号1729~1750から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1を含むVL領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号1751~1777から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2を含むVL領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号1778~1792から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3を含むVL領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、配列番号1793~1794から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4を含むVL領域を含む。
ある実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片は、VH領域及びVL領域を含み、ここで、該VH領域は:(1)配列番号570~578から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;(2)配列番号579~602から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;(3)配列番号603~1726から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3;及び/又は(4)配列番号1727~1728のアミノ酸配列を有するVH FR4をさらに含み;かつ該VL領域は:(1)配列番号1729~1750から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;(2)配列番号1751~1777から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;(3)配列番号1778~1792から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3;及び/又は(4)配列番号1793~1794から選択されるアミノ酸を有するVL FR4をさらに含む。
また本明細書に提供されるのは、表25に記載される1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)のVH FR及び1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)のVL FRを含む抗体である。特に、本明細書に提供されるのは: VH FR1(配列番号570~578)及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR1(配列番号570~578)及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR1(配列番号570~578)及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR2(配列番号579~602)及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR2(配列番号579~602)及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR2(配列番号579~602)及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR3(配列番号603~1726)及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR3(配列番号603~1726)及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR3(配列番号603~1726)及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR3(配列番号603~1726)及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR4(配列番号1727~1728)及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR4(配列番号1727~1728)及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR4(配列番号1727~1728)及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR4(配列番号1727~1728)及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、及びVL FR1(配列番号1729~1750); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR1(配列番号570~578)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR2(配列番号1751~1777); VH FR2(配列番号579~602)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR2(配列番号579~602)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR2(配列番号579~602)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR3(配列番号603~1726)、VL FR1(配列番号1729~1750)、及びVL FR2(配列番号1751~1777); 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号579~602)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR3(配列番号603~1726)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR2(配列番号579~602)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR3(配列番号1778~1792); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794); VH FR1(配列番号570~578)、VH FR2(配列番号579~602)、VH FR3(配列番号603~1726)、VH FR4(配列番号1727~1728)、VL FR1(配列番号1729~1750)、VL FR2(配列番号1751~1777)、VL FR3(配列番号1778~1792)、及びVL FR4(配列番号1793~1794);又は表25に記載されるVH FR(配列番号478~1636)とVL FR(配列番号1637~1702)のその任意の組合せを含む抗体である
さらに別の態様において、GFRALに対する結合を例示された抗体又は機能性断片のうちの1つと競合する抗体が提供される。そのような抗体は、本明細書に例示された抗体のうちの1つと同じエピトープ、又は重複エピトープに結合することもできる。例示された抗体と同じエピトープと競合し又は該エピトープに結合する抗体及び断片は、類似の機能特性を示すと考えられる。例示された抗原結合タンパク質及び断片には、表1~24のものを含む、本明細書に提供されるVH及びVL領域、並びにCDRを有するものが含まれる。したがって、具体的な例として、提供される抗体には:(a)表1~24に記載された抗体について記載されたCDRのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つ全て;(b)表1~24に記載された抗体について記載されたVH及びVL領域から選択されるVH及びVL;又は(c)表1~24に記載された抗体について指定されたVH及びVLを含む2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む抗体と競合するものが含まれる。
ある実施態様において、該組成物の抗体及び本明細書に提供される抗体を使用する方法は、例えば、実施例の節の、本明細書に記載される抗GFRALモノクローナル抗体を含む。任意の抗GFRAL抗体を本明細書に提供される方法のいずれかにおいて使用することができる。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号480のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。 本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号482のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号484のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号486のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体を含む。
本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号481のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号483のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号485のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号487のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。
本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号16のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号24のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号34のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号480のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号482のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号483のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号484のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号485のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号486のアミノ酸配列を含むVH領域、又はそのヒト化変異体、及び配列番号487のアミノ酸配列を含むVL領域、又はそのヒト化変異体を含む。
本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号2のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号4のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号6のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号8のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号10のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号12のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号16のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号18のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号20のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号22のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号24のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号26のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号28のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号30のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号32のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号34のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号36のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号38のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号40のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号480のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号481のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号482のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号483のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号484のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号485のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号486のアミノ酸配列を有するVHドメインのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号487のアミノ酸配列を含むVL領域のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。本明細書に記載される他のVHドメイン、VLドメイン、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列も、本明細書に提供される様々な方法における使用のために想定されている。
(1.ポリクローナル抗体)
本開示の抗体は、ポリクローナル抗体を含み得る。ポリクローナル抗体を調製する方法は当業者に公知である。ポリクローナル抗体は、例えば、免疫剤及び望ましい場合、アジュバントの1回以上の注射によって哺乳動物で惹起することができる。通常、免疫剤及び/又はアジュバントは、複数回の皮下又は腹腔内注射によって哺乳動物に注射される。免疫剤には、GFRALポリペプチド又はその融合タンパク質が含まれ得る。免疫剤を、免疫されている哺乳動物で免疫原性があることが知られているタンパク質にコンジュゲートするか、又は該タンパク質及び1以上のアジュバントで哺乳動物を免疫することが有用である場合がある。そのような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、及び大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。利用し得るアジュバントの例としては、Ribi、CpG、ポリ1C、フロイントの完全アジュバント、及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫プロトコルは、過度の実験を行うことなく、当業者によって選択され得る。その後、哺乳動物から採血し、血清をGFRAL抗体力価についてアッセイすることができる。望ましい場合、抗体力価が上昇するか又はプラトーに達するまで、哺乳動物に追加免疫することができる。さらに又は代わりに、リンパ球を、融合及び下記のようなハイブリドーマからのモノクローナル抗体の調製のために免疫動物から得てもよい。
(2.モノクローナル抗体)
本開示の抗体は、代わりに、モノクローナル抗体を含み得る。モノクローナル抗体は、Kohlerら(Nature, 256:495(1975))によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製されてもよく、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製されてもよい。
ハイブリドーマ法では、マウス又は他の適切な宿主動物、例えば、ハムスターを上記のように免疫して、免疫に使用されたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することができるリンパ球を誘発する。或いは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。免疫後、リンパ球を単離し、その後、好適な融合剤、例えば、ポリエチレングリコールを用いて骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Godingの文献、モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)、59~103ページ(Academic Press, 1986))。
このように調製されたハイブリドーマ細胞を好適な培養培地中に播種し、その中で成長させ、この培地は、好ましくは、融合していない親骨髄腫細胞(融合パートナーとも呼ばれる)の成長又は生存を阻害する1以上の物質を含有する。例えば、親骨髄腫細胞が、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)という酵素を欠く場合、ハイブリドーマ用の選択的培養培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる。
好ましい融合パートナー骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持し、かつ融合していない親細胞に不利な選択をする選択培地に感受性がある細胞である。好ましい骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株、例えば、SP-2及び派生物、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection), Manassas, Virginia, USAから入手可能なX63-Ag8-653細胞、並びにソーク研究所細胞配布センター(Salk Institute Cell Distribution Center), San Diego, California USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍から派生したものである。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株も記載されている(Kozbor, J.の文献、Immunol., 133:3001(1984);及びBrodeurらの文献、モノクローナル抗体産生技法及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、51~63ページ(Marcel Dekker社, New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によるか、又はインビトロ結合アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonらの文献、Anal. Biochem., 107:220(1980)に記載されているスキャッチャード解析によって決定することができる。
ひとたび所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定されれば、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準的な方法によって成長させることができる(Godingの文献、モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)、59~103ページ(Academic Press, 1986))。この目的のための好適な培養培地としては、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、例えば、該細胞をマウスに腹腔内注射することにより、動物内の腹水腫瘍としてインビボで成長させることができる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAもしくはプロテインG-セファロースを使用するもの)又はイオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などの従来の抗体精製手順によって、培養培地、腹水液、又は血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離され、シークエンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい源としての役割を果たす。ひとたび単離されれば、DNAを発現ベクター中に入れることができ、これをその後、トランスフェクトされなければ抗体タンパク質を産生することはない、大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る。抗体をコードするDNAの細菌内での組換え発現に関する総説としては、Skerraらの文献、Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及びPluckthunの文献、Immunol. Revs. 130:151-188(1992)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、GFRALエピトープに結合する抗体は、(1)ストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAへの、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の、0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸への、6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の、0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、又は当業者に公知である他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載されるVH及び/又はVLドメインのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインのアミノ酸配列及び/又はVLドメインのアミノ酸配列を含む(例えば、Ausubel, F.M.ら編、1989、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第I巻、Green Publishing Associates社及びJohn Wiley & Sons社, New York、6.3.1~6.3.6及び2.10.3ページを参照)。
いくつかの実施態様において、GFRALエピトープに結合する抗体は、ストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAへの、6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の、0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸への、6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の、0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、又は当業者に公知である他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、表1~24に示されたVH CDR及び/又はVL CDRのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRのアミノ酸配列又はVL CDRのアミノ酸配列を含む(例えば、Ausubel, F.M.ら編、1989、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第I巻、Green Publishing Associates社及びJohn Wiley & Sons社, New York、6.3.1~6.3.6及び2.10.3ページを参照)。
さらなる実施態様において、モノクローナル抗体又は抗体断片を、例えば、抗体ファージディスプレイ:方法及びプロトコル(Antibody Phage Display: Methods and Protocols)、P.M. O'Brien及びR. Aitken編、Humana Press, Totawa N.J., 2002に記載されている技法を用いて作製される抗体ファージライブラリーから単離することができる。原理的には、合成抗体クローンを、ファージコートタンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の様々な断片を提示するファージを含むファージライブラリーをスクリーニングすることにより選択する。そのようなファージライブラリーを所望の抗原に対してスクリーニングする。所望の抗原に結合することができるFv断片を発現するクローンを抗原に吸着させ、それにより、ライブラリー中の非結合クローンから分離する。その後、結合クローンを抗原から溶出させ、さらなる抗原吸着/溶出サイクルによってさらに濃縮することができる。
可変ドメインを、例えば、Winterらの文献、Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載されているように、VH及びVLが、短い柔軟性のあるペプチドを介して共有結合している単鎖Fv(scFv)断片としてか、又はVH及びVLが各々、定常ドメインに融合し、非共有結合的に相互作用しているFab断片としてかのいずれかで、ファージ上に機能的に提示させることができる。
VH及びVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリー中でランダムに組み換えることができ、これをその後、Winterらの文献(上記)に記載されているように、抗原結合クローンについて探索することができる。免疫された源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。或いは、ナイーブレパートリーをクローニングして、Griffithsら(EMBO J, 12: 725-734(1993))によって記載されているように、いかなる免疫も行わずに、幅広い非自己抗原及びまた自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、ナイーブレパートリーは、例えば、Hoogenboom及びWinter(J. Mol. Biol., 227: 381-388(1992))によって記載されているように、幹細胞由来の再配列されていないV-遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを用いて可変性の高いCDR3領域をコードさせ、インビトロでの再配列を達成することにより合成的に作製することもできる。
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技法によって達成することができる。例えば、GFRAL(例えば、GFRALポリペプチド、断片、又はエピトープ)を、吸着プレートのウェルをコーティングするために使用し、吸着プレートに固定されるかもしくは細胞選別で使用される宿主細胞上で発現させ、又はストレプトアビジンコーティングされたビーズによる捕捉のためにビオチンにコンジュゲートし、又はディスプレイライブラリーをパニングするための任意の他の方法で使用することができる。遅い解離反応速度(例えば、良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bassらの文献、Proteins, 8: 309-314(1990)及びWO 92/09690号に記載されているような長い洗浄及び一価ファージディスプレイの使用、並びにMarksらの文献、Biotechnol., 10: 779-783(1992)に記載されているような抗原の低コーティング密度によって促進することができる。
抗GFRAL抗体は、対象となるファージクローンについて選択するための好適な抗原スクリーニング手順を設計し、その後、対象となるファージクローン由来の、VH及び/もしくはVL配列(例えば、Fv配列)、又はVH及びVL配列由来の様々なCDR配列、及びKabatらの文献、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、NIH Publication 91-3242, Bethesda MD(1991)、第1巻~第3巻に記載されている好適な定常領域(例えば、Fc)配列を用いて、全長抗GFRAL抗体クローンを構築することにより得ることができる。
(3.抗体断片)
本開示は、GFRALに結合する抗体及び抗体断片を提供する。ある状況においては、全抗体よりもむしろ抗体断片を使用する利点がある。該断片のサイズがより小さいことにより、迅速なクリアランスが可能になり、細胞、組織、又は器官への接近の改善がもたらされ得る。特定の抗体断片の総説については、Hudsonらの文献(2003) Nat. Med. 9:129-134を参照されたい。
抗体断片の産生のための様々な技法が開発されている。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質分解的消化によって得られた(例えば、Morimotoらの文献、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992);及びBrennanらの文献、Science, 229:81(1985)を参照)。しかしながら、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞によって直接産生させることができる。Fab、Fv、及びScFv抗体断片を全て、大腸菌又は酵母細胞で発現させ、そこから分泌させ、それにより、大量のこれらの断片の簡易産生を可能にすることができる。抗体断片は、上で論じられた抗体ファージライブラリーから単離することができる。或いは、Fab'-SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的にカップリングさせて、F(ab')2断片を形成させることができる(Carterらの文献、Bio/Technology 10:163-167(1992))。別の手法に従って、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含むインビボ半減期が延長されたFab及びF(ab')2断片が、例えば、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片の産生のための他の技法が当業者に明白であろう。ある実施態様において、抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である(例えば、WO 93/16185号;米国特許第5,571,894号;及び第5,587,458号を参照)。Fv及びscFvは、定常領域を欠く無傷の結合部位を有し;そのため、これらは、インビボ使用時の非特異的結合の低下のために好適である可能性がある。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノ末端又はカルボキシ末端のどちらかでのエフェクタータンパク質の融合を生じるように構築してもよい(例えば、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、Borrebaeck編(上記)を参照)。抗体断片はまた、例えば、上で引用されている参考文献に記載されているような、例えば、「直鎖抗体」であってもよい。そのような直鎖抗体は、単一特異性又は多重特異性、例えば、二重特異性であり得る。
より小さい抗体由来結合構造は、単一可変ドメイン抗体(SdAb)とも呼ばれる個別の可変ドメイン(Vドメイン)である。ラクダ科動物及び軟骨魚類といった特定の種類の生物は、それらの免疫系の一部として、Fc相当ドメイン構造の上に取り付けられた高親和性単一V様ドメインを保有する(Woolvenらの文献、Immunogenetics 50: 98-101, 1999; Streltsovらの文献、Proc Natl Acad Sci USA. 101:12444-12449, 2004)。V様ドメイン(ラクダ科動物ではVhH、サメではV-NARと呼ばれる)は、通常、長い表面ループを提示し、これにより、標的抗原の空洞の貫通が可能になる。これらはまた、疎水性表面パッチをマスクすることにより、孤立したVHドメインを安定化する。
これらのVhH及びV-NARドメインは、sdAbを人為的に作製するために使用されている。ヒトVドメイン変異体は、ファージライブラリーからの選択並びに安定な高結合性のVL及びVH由来ドメインを結果として生じさせている他の手法を用いて設計されている。
本明細書に提供されるGFRALに結合する抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののいずれかの機能性断片(例えば、GFRAL結合断片)が挙げられるが、これらに限定されない。機能性断片(例えば、GFRALに結合する断片)の非限定的な例としては、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab')断片、F(ab)2断片、F(ab')2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びミニボディが挙げられる。
本明細書に提供される抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、例えば、GFRALエピトープに結合する抗原結合部位を含む分子が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に提供される免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスのものであることができる。
抗体の変異体及び誘導体には、GFRALエピトープに結合する能力を保持する抗体機能性断片が含まれる。例示的な機能性断片としては、Fab断片(例えば、抗原結合ドメインを含有し、かつジスルフィド結合によって架橋された軽鎖と重鎖の一部とを含む抗体断片); Fab'(例えば、ヒンジ領域を介してFabと重鎖のさらなる部分とを含む単一の抗原結合ドメインを含有する抗体断片); F(ab')2(例えば、重鎖のヒンジ領域で鎖間ジスルフィド結合によって接続された2つのFab'分子;該Fab'分子は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);二重特異性Fab(例えば、その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するFab分子);可変領域を含む単鎖Fab鎖、別名、sFv(例えば、10~25個のアミノ酸の鎖によって連結された抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変の抗原結合決定領域);ジスルフィド結合Fv、又はdsFv(例えば、ジスルフィド結合によって連結された抗体単一の軽鎖及び重鎖の可変の抗原結合決定領域);ラクダ化VH(例えば、VH接触面のいくつかのアミノ酸が天然のラクダ抗体の重鎖に見出されるものである抗体の単一の重鎖の可変の抗原結合決定領域);二重特異性sFv(例えば、その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するsFv又はdsFv分子);ダイアボディ(例えば、第1のsFvのVHドメインが第2のsFvのVLドメインと会合し、第1のsFvのVLドメインが第2のsFvのVHドメインと会合したときに形成される2量体化sFv;ダイアボディの2つの抗原結合領域は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);並びにトリアボディ(例えば、ダイアボディと同様の様式で形成されるが、単一の複合体中に3つの抗原結合ドメインが作り出される3量体化sFv; 3つの抗原結合ドメインは、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る)が挙げられる。抗体の誘導体には、抗体結合部位の1以上のCDR配列も含まれる。該CDR配列は、2以上のCDR配列が存在するとき、スキャフォールド上で連結され得る。ある実施態様において、抗体は、単鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片であり、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。scFv ポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にするVHドメインとVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含み得る。scFvの総説については、Pluckthunの文献、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag, New York, 269~315ページ(1994)を参照されたい。
(4.ヒト化抗体)
本開示は、ヒトGFRALを含む、GFRALに結合するヒト化抗体を提供する。本開示のヒト化抗体は、表1~24に示される1以上のCDRを含み得る。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野で公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入された1以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基と呼ばれ、これは、典型的には、「移入」可変ドメインから取得される。ヒト化は、例えば、Winter及び共同研究者らの方法(Jonesらの文献(1986) Nature 321:522-525; Riechmannらの文献(1988) Nature 332:323-327; Verhoeyenらの文献(1988) Science 239:1534-1536)に従って、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることにより実施することができる。
場合によっては、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体(例えば、齧歯類)の6つの相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列がヒト抗体フレームワーク上に移植されるCDR移植によって構築される。例えば、Padlanら(FASEB J. 9:133-139, 1995)は、CDR中の残基の約3分の1しか実際に抗原と接触していないことを明らかにし、これらを「特異性決定残基」、又はSDRと命名した。SDR移植の技法では、SDR残基のみをヒト抗体フレームワーク上に移植する(例えば、Kashmiriらの文献、Methods 36: 25-34, 2005を参照)。
ヒト化抗体を作製する際に使用されることになる、軽鎖と重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるのに重要であり得る。例えば、いわゆる「最良適合」法に従って、非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯類の配列に最も近いヒト配列をヒト化抗体用のヒトフレームワークとして選択することができる(Simsらの文献(1993) J. Immunol. 151:2296; Chothiaらの文献(1987) J. Mol. Biol. 196:901)。別の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carterらの文献(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285; Prestaらの文献(1993) J. Immunol., 151:2623)。場合によっては、フレームワークは、最も大量に存在するヒトサブクラスであるVL6サブグループI(VL6I)及びVHサブグループIII(VHIII)のコンセンサス配列に由来する。別の方法では、ヒト生殖系列遺伝子をフレームワーク領域の供給源として使用する。
超ヒト化と呼ばれる、CDRの比較に基づく代替的なパラダイムでは、FRの相同性は重要ではない。この方法は、非ヒト配列と機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーとの比較からなる。その後、マウス配列と同じ又は密接に関連する標準構造をコードする遺伝子を選択する。次に、非ヒト抗体と標準構造を共有する遺伝子の中で、CDR内での相同性が最も高いものをFRドナーとして選ぶ。最後に、非ヒトCDRをこれらのFR上に移植する(例えば、Tanらの文献、J. Immunol. 169: 1119-1125, 2002を参照)。
一般に、抗体は、抗原に対するその親和性及び他の有利な生物学的特性を保持したままでヒト化されることがさらに望ましい。この目標を達成するために、1つの方法に従って、親配列及びヒト化配列の3次元モデルを用いた親配列及び様々な概念上のヒト化産物の解析のプロセスによってヒト化抗体を調製する。3次元の免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある3次元立体構造を図示及び提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらには、例えば、WAM(Whitelegg及びReesの文献、Protein Eng. 13: 819-824, 2000)、Modeller(Sali及びBlundellの文献、J. Mol. Biol. 234: 779-815, 1993)、並びにSwiss PDB Viewer(Guex及びPeitschの文献、Electrophoresis 18: 2714-2713, 1997)が含まれる。これらの提示の検討により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の解析、例えば、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増大などの、所望の抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント配列及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接的にかつ最も実質的に関与している。
抗体のヒト化のための別の方法は、ヒトストリング含有量(HSC)と呼ばれる抗体のヒト性(humanness)の尺度に基づくものである。この方法は、マウス配列をヒト生殖系列遺伝子のレパートリーと比較し、その差異をHSCとしてスコア化する。その後、標的配列を、全体的な同一性尺度を用いるのではなく、そのHSCを最大化することによりヒト化して、複数の多様なヒト化変異体を作製する(Lazarらの文献、Mol. Immunol. 44: 1986-1998, 2007)。
上記の方法に加えて、実験的な方法を用いて、ヒト化抗体を作製し、選択することができる。これらの方法には、ヒト化変異体の大規模ライブラリーの作製及び濃縮技術又はハイスループットスクリーニング法を用いた最良クローンの選択に基づくものが含まれる。抗体変異体は、ファージ、リボソーム、及び酵母ディスプレイライブラリーから並びに細菌コロニースクリーニングによって単離することができる(例えば、Hoogenboomの文献、Nat. Biotechnol. 23: 1105-1116, 2005; Dufnerらの文献、Trends Biotechnol. 24: 523-529, 2006; Feldhausらの文献、Nat. Biotechnol. 21: 163-70, 2003; Schlapschyらの文献、Protein Eng. Des. Sel. 17: 847-60, 2004を参照)。
FRライブラリー法では、一群の残基変異体をFR中の特定の位置に導入し、その後、移植されたCDRを最も良好に支持するFRを選択するためのライブラリーの選択を行う。置換されることになる残基には、CDR構造に寄与する可能性があるものとして特定された「バーニア(Vernier)」残基の一部もしくは全て(例えば、Foote及びWinterの文献、J. Mol. Biol. 224: 487-499, 1992を参照)、又はBacaら(J. Biol. Chem. 272: 10678-10684, 1997)によって特定されたより限定された標的残基のセット由来の一部もしくは全てが含まれ得る。
FRシャッフリングでは、選択された残基変異体のコンビナトリアルライブラリーを作製する代わりに、FR全体を非ヒトCDRと組み合わせる(例えば、Dall'Acquaらの文献、Methods 36: 43-60, 2005を参照)。このライブラリーを、最初にVLをヒト化し、その後、VHをヒト化する2段階選択プロセスにおいて、結合についてスクリーニングすることができる。或いは、1段階FRシャッフリングプロセスを使用することができる。そのようなプロセスは、結果として得られる抗体が、発現の増強、親和性及び熱安定性の増大を含む、生化学的及び物理化学的な特性の改善を示すので、2段階スクリーニングよりも効率的であることが示されている(例えば、Damschroderらの文献、Mol. Immunol. 44: 3049-60, 2007を参照)。
「ヒューマニアリング(humaneering)」法は、必須の最小特異性決定基(MSD)の実験的同定に基づくものであり、かつ非ヒト断片のヒトFRのライブラリーへの逐次的置き換え及び結合の評価に基づくものである。これは、非ヒトVH鎖及びVL鎖のCDR3の領域から開始され、非ヒト抗体の他の領域を、VHとVLの両方のCDR1及びCDR2を含む、ヒトFRへと徐々に置き換える。この方法は、通常、エピトープ保持及び異なるヒトVセグメントCDRを有する複数のサブクラスからの抗体の同定をもたらす。ヒューマニアリングは、ヒト生殖系列遺伝子抗体と91~96%相同である抗体の単離を可能にする(例えば、Alfenitoの文献、ケンブリッジ健康技術研究所主催第3回PEGS、タンパク質工学サミット2007(Cambridge Healthtech Institute's Third Annual PEGS, The Protein Engineering Summit, 2007)を参照)。
「ヒトエンジニアリング」法は、ヒトでの低下した免疫原性を有し、それにもかかわらず、もとの非ヒト抗体の望ましい結合特性を保持する修飾抗体を産生するように抗体のアミノ酸配列を特異的に変化させることにより、非ヒト抗体又は抗体断片、例えば、マウス又はキメラ抗体又は抗体断片を改変することを含む。一般に、この技法は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を、「低リスク」、「中リスク」、又は「高リスク」残基として分類することを含む。この分類は、(例えば、ヒトでの免疫原性のために)特定の置換を行うことの予測される利益を、該置換が結果として得られる抗体のフォールディングに影響を及ぼす及び/又はヒト残基と置換されるリスクとの対比で評価する全体的なリスク/報酬計算を用いて行われる。非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の所与の位置(例えば、低又は中リスク)で置換されることになる特定のヒトアミノ酸残基は、非ヒト抗体の可変領域由来のアミノ酸配列を特異的又はコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域と整列させることにより選択することができる。非ヒト配列中の低又は中リスク位置のアミノ酸残基を、アラインメントに従って、ヒト抗体配列中の対応する残基の代わりに用いることができる。ヒト人工タンパク質を作製する技法は、Studnickaらの文献、Protein Engineering, 7: 805-814(1994)、米国特許第5,766,886号、第5,770,196号、第5,821,123号、及び第5,869,619号、PCT出願公開WO 93/11794号により詳細に記載されている。
(5.ヒト抗体)
ヒト抗GFRAL抗体を、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を既知のヒト定常ドメイン配列と組み合わせることにより構築することができる。或いは、本開示のヒトモノクローナル抗GFRAL抗体をハイブリドーマ法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株は、例えば、Kozborの文献、J. Immunol., 133: 3001(1984); Brodeurらの文献、モノクローナル抗体産生技法及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、51~63ページ(Marcel Dekker社, New York, 1987);及びBoernerらの文献、J. Immunol., 147: 86(1991)によって記載されている。
免疫したときに、内在性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製することも可能である。ヒト抗体レパートリーを発現するトランスジェニックマウスは、多種多様な薬物標的候補に対する高親和性ヒト配列モノクローナル抗体を作製するために使用されている(例えば、Jakobovits, A.の文献、Curr. Opin. Biotechnol. 1995, 6(5):561-6; Bruggemann及びTaussingの文献、Curr. Opin. Biotechnol. 1997, 8(4):455-8;米国特許第6,075,181号及び第6,150,584号;並びにLonbergらの文献、Nature Biotechnol. 23: 1117-1125, 2005を参照)。
或いは、ヒト抗体を、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球の不死化によって調製することができる(例えば、そのようなB細胞は、個体から回収されるものであってもよく、又はインビトロで免疫されたものであってもよい)(例えば、Coleらの文献、モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R. Liss, 77ページ(1985); Boernerらの文献、J. Immunol., 147(1):86-95(1991);及び米国特許第5,750,373号を参照)。
遺伝子シャッフリングを用いて、非ヒト、例えば、齧歯類の抗体からヒト抗体を得ることもでき、その場合、該ヒト抗体は、出発非ヒト抗体と同様の親和性及び特異性を有する。「エピトープインプリンティング」又は「ガイド選択(guided selection)」とも呼ばれるこの方法に従って、本明細書に記載されるファージディスプレイ法によって得られる非ヒト抗体断片の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のいずれかをヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置き換えて、非ヒト鎖/ヒト鎖のscFv又はFabキメラの集団を生成させる。抗原による選択によって、非ヒト鎖/ヒト鎖のキメラscFv又はFabの単離がもたらされ、その場合、該ヒト鎖は、1次ファージディスプレイクローン中の対応する非ヒト鎖を除去するときに破壊された抗原結合部位を回復する(例えば、エピトープが、ヒト鎖パートナーの選択をガイドする(刷り込む))。残りの非ヒト鎖を置き換えるために、このプロセスを反復すると、ヒト抗体が得られる(例えば、PCT WO 93/06213号;及びOsbournらの文献、Methods., 36, 61-68, 2005を参照)。CDR移植による非ヒト抗体の従来のヒト化とは異なり、この技法では、非ヒト起源のFR残基もCDR残基も有しない、完全ヒト抗体が得られる。細胞表面抗原に対するマウス抗体をヒト化するためのガイド選択の例としては、卵巣癌細胞上に存在する葉酸結合タンパク質(例えば、Figiniらの文献、Cancer Res., 58, 991-996, 1998を参照)及び肝細胞癌上で高度に発現されるCD147(例えば、Baoらの文献、Cancer Biol. Ther., 4, 1374-1380, 2005を参照)が挙げられる。
ガイド選択アプローチの潜在的な欠点は、一方の抗体鎖を、もう一方を不変に保持しながらシャッフリングすると、エピトープドリフトが生じる可能性があることである。非ヒト抗体によって認識されるエピトープを維持するために、CDR保持を適用することができる(例えば、Klimkaらの文献、Br. J. Cancer., 83, 252-260, 2000; VH CDR2 Beiboerらの文献、J. Mol. Biol., 296, 833-49, 2000を参照)。この方法では、非ヒトVH CDR3が一般に保持されるが、それは、このCDRが抗原結合部位の中心にあり得、かつ抗原認識のための最も重要な抗体領域であり得るからである。しかしながら、場合によっては、非ヒト抗体のVH CDR3及びVL CDR3、並びにVH CDR3、VL CDR3、及びVL CFR1が保持され得る。
(6.二重特異性抗体)
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある実施態様において、二重特異性抗体は、ヒト又はヒト化抗体である。ある実施態様において、結合特異性のうちの一方は、GFRALに対するものであり、もう一方は、任意の他の抗原に対するものである。いくつかの実施態様において、二重特異性抗体は、GFRALの2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製するための方法は当技術分野で公知であり、例えば、2つの重鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現によるものなどがある(例えば、Milstein及びCuelloの文献、Nature, 305: 537(1983)を参照)。二重特異性抗体の作製のさらなる詳細については、例えば、二重特異性抗体(Bispecific Antibodies)、Kontermann編、Springer-Verlag, Hiedelberg(2011)を参照されたい。
(7.多価抗体)
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって二価抗体よりも速く内在化(及び/又は異化)され得る。本開示の抗体は、3以上の抗原結合部位を有する(IgMクラスのもの以外である)多価抗体(例えば、四価抗体)であることができ、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生することができる。多価抗体は、二量体化ドメイン及び3以上の抗原結合部位を含むことができる。ある実施態様において、二量体化ドメインは、Fc領域もしくはヒンジ領域を含む(又はそれらからなる)。この状況では、抗体は、Fc領域及び該Fc領域のアミノ末端にある3以上の抗原結合部位を含むことになる。ある実施態様において、多価抗体は、3つ~約8つの抗原結合部位を含む(又はそれらからなる)。1つのそのような実施態様において、多価抗体は、4つの抗原結合部位を含む(又はそれらからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、2つのポリペプチド鎖)を含み、ここで、該ポリペプチド鎖は、2以上の可変ドメインを含む。例えば、該ポリペプチド鎖は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含むことができ、ここで、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、該ポリペプチド鎖は: VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域の鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域の鎖を含むことができる。本明細書における多価抗体は、少なくとも2つ(例えば、4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含むことができる。本明細書における多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含むことができる。ここで想定される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意に、CLドメインをさらに含む。
(8. Fcエンジニアリング)
GFRALに対する抗体を、例えば、該抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を減少させ又は除去するために、エフェクター機能に関するものを含め、Fcエンジニアリングによって改変することが望ましい場合がある。これは、抗体のFc領域に1以上のアミノ酸置換を導入することにより達成することができる。例えば、位置233~236のIgG2残基並びに位置327、330、及び331のIgG4残基を用いたヒトIgG1への置換は、ADCC及びCDCを大きく低下させることが示された(例えば、Armourらの文献、Eur. J. Immunol. 29:(8):2613-24(1999); Shieldsらの文献、J. Biol..Chem. 276(9): 6591-604(2001)を参照)。
抗体の血清半減期を延長させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に記載されているように、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に、抗体断片)に組み込むことができる。「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を延長させるのに関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
(9.代替的な結合物質)
本開示は、本明細書に開示される抗GFRAL抗体と同じエピトープに特異的に結合する非免疫グロブリン結合物質を包含する。いくつかの実施態様において、非免疫グロブリン結合物質は、競合結合アッセイにおいて本開示の抗GFRAL抗体を置換するか又はそれによって置換される作用物質として同定される。これらの代替的な結合物質には、例えば、当技術分野で公知の人工タンパク質スキャフォールドのいずれかが含まれ得る。そのようなスキャフォールドは、表1~24に示される1以上のCDRを含み得る。そのようなスキャフォールドとしては、例えば、リガンド結合部位を形成する4つの超可変ループを支持する強固なβ-バレルを特徴とするタンパク質構造であるリポカリンスキャフォールドを基にした、アンチカリンが挙げられる。新規の結合特異性は、機能的提示及びガイド選択と組み合わせた、ループ領域における標的ランダム突然変異誘発によって改変することができる(例えば、Skerraの文献(2008) FEBS J. 275: 2677-2683を参照)。他の好適なスキャフォールドとしては、例えば、ヒトフィブロネクチンIIIの10番目の細胞外ドメインを基にしたアドネクチン又はモノボディ(例えば、Koide及びKoideの文献(2007) Methods Mol. Biol. 352: 95-109を参照);ブドウ球菌プロテインAのZドメインを基にしたアフィボディ(例えば、Nygrenらの文献(2008) FEBS J. 275: 2668-2676)を参照);アンキリンリピートタンパク質を基にしたDARPin(例えば、Stumppらの文献(2008) Drug. Discov. Today 13: 695-701を参照);ヒトFynタンパク質キナーゼのSH3ドメインを基にしたフィノマー(Grabulovskiらの文献(2007) J. Biol. Chem. 282: 3196-3204);スルフォロバス・アシドラリウス(Sulfolobus acidolarius)由来のSac7dを基にしたアフィチン(例えば、Krehenbrinkらの文献(2008) J. Mol. Biol. 383: 1058-1068を参照);ヒトy-B-クリスタリンを基にしたアフィリン(例えば、Ebersbachらの文献(2007) J. Mol. Biol. 372: 172-185を参照);膜受容体タンパク質のAドメインを基にしたアビマー(例えば、Silvermanらの文献(2005) Biotechnol. 23: 1556-1561を参照);システインリッチノッチンペプチド(例えば、Kolmar(2008) FEBS J. 275: 2684-2690を参照);及び人工クニッツ型インヒビター(例えば、Nixon及びWoodの文献(2006) Curr. Opin. Drug. Discov. Dev. 9: 261-268を参照)を挙げることができる。総説については、例えば、Gebauer及びSkerraの文献(2009) Curr. Opin. Chem. Biol. 13: 245-255を参照されたい。
(抗体変異体)
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるGFRALに結合する又は本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列修飾が想定される。例えば、結合親和性及び/又は限定されないが、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化、低下した免疫原性、もしくは溶解性を含む、抗体の他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。したがって、本明細書に記載される抗GFRAL抗体に加えて、抗GFRAL抗体変異体を調製することができることが想定される。例えば、抗GFRAL抗体変異体は、コードするDNAに適切なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望の抗体もしくはポリペプチドの合成によって調製することができる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数又は位置を変化させたり、又は膜アンカリング特性を改変したりするなどの、抗GFRAL抗体の翻訳後プロセスを改変し得ることを認識しているであろう。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体を、例えば、任意のタイプの分子と該抗体との、共有結合的結合を含む、関連によって化学的に修飾する。抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質に対する結合などによって化学的に修飾されている抗体が含まれ得る。数多くの化学修飾はいずれも、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、既知の技法によって実施することができる。さらに、該抗体は、1以上の非典型的アミノ酸を含有し得る。
変異は、ネイティブ配列抗体又はポリペプチドと比較したときにアミノ酸配列の変化をもたらす抗体又はポリペプチドをコードする1以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であり得る。アミノ酸置換は、ロイシンとセリンとの置換などの、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸と置き換える結果として生じるもの、例えば、保存的アミノ酸置換であることができる。挿入又は欠失は、任意に、約1~5アミノ酸の範囲のものであってもよい。ある実施態様において、置換、欠失、又は挿入は、もとの分子に対する25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、置換は、1以上の推定非必須アミノ酸残基で行われる保存的アミノ酸置換である。許容される変異は、配列中でアミノ酸の挿入、欠失、又は置換を系統的に行い、結果として得られる変異体を全長又は成熟ネイティブ配列によって示される活性について試験することにより決定することができる。
アミノ酸配列挿入物としては、長さが1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドまでの範囲に及ぶアミノ及び/又はカルボキシル末端融合体、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物が挙げられる。末端挿入物の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体のN末端又はC末端と、抗体の血清半減期を延長させる酵素(例えば、抗体指向性酵素プロドラッグ療法用のもの)又はポリペプチドとの融合体が挙げられる。
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換領域内のポリペプチド骨格の、例えば、シート状もしくはらせん状立体構造としての構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、又は(c)側鎖のかさの維持に対するその効果が顕著に異なる置換を選択することにより達成される。或いは、保存的な(例えば、類似の特性及び/又は側鎖を有するアミノ酸グループ内での)置換は、該特性を維持し、又はそれを著しくは変化させないように行うことができる。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ分けすることができる(例えば、A. L. Lehningerの文献、Biochemistry、第2版、73~75ページ、Worth Publishers, New York(1975)を参照):(1)非極性: Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性: Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性: Asp(D)、Glu(E);及び(4)塩基性: Lys(K)、Arg(R)、His(H)。
或いは、天然に存在する残基を、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることもできる:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性: Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性: Asp、Glu;(4)塩基性: His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基: Gly、Pro;及び(6)芳香族: Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。そのような置換された残基を、保存的置換部位に、又は残りの(非保存的)部位に導入することもできる。したがって、一実施態様において、GFRALエピトープに結合する抗体又はその断片は、本明細書に記載されるマウスモノクローナル抗体のアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、GFRALエピトープに結合する抗体又はその断片は、表1~24に示されるアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。さらに別の実施態様において、GFRALエピトープに結合する抗体又はその断片は、表1~24に示されるVH CDRアミノ酸配列及び/又は表1~24に示されるVL CDRアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるVH CDR及び/又はVL CDRアミノ酸配列を含む。変異は、当技術分野で公知の方法、例えば、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR突然変異誘発を用いて起こすことができる。部位特異的突然変異誘発(例えば、Carterらの文献、Nucl. Acids Res., 13:4331(1986); Zollerらの文献、Nucl. Acids Res., 10:6487(1987)を参照)、カセット突然変異誘発(例えば、Wellsらの文献、Gene, 34:315(1985)を参照)、制限選択突然変異誘発(例えば、Wellsらの文献、Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317:415(1986)を参照)、又は他の公知の技法をクローニングされたDNAに対して実施して、抗GFRAL抗体変異体DNAを産生することができる。
抗GFRAL抗体の適切な立体構造の維持に関与していない任意のシステイン残基を、例えば、別のアミノ酸、例えば、アラニン又はセリンと置換して、分子の酸化安定性を向上させ、異常な架橋を妨げることもできる。逆に、システイン結合を抗GFRAL抗体に付加して、その安定性を向上させることができる(例えば、抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)。
いくつかの実施態様において、本開示の抗GFRAL抗体分子は、「脱免疫(de-immunized)」抗体である。「脱免疫」抗GFRAL抗体は、それぞれのもとの非脱免疫抗体と比較して、そのアミノ酸配列中に抗体の免疫原性の低下をもたらす1以上の改変を有する、ヒト化又はキメラ抗GFRAL抗体に由来する抗体である。そのような抗体突然変異体を作製するための手順の1つは、抗体分子のT細胞エピトープの同定及び除去を含む。最初の段階では、抗体分子の免疫原性を、いくつかの方法によって、例えば、当技術分野で公知であるような、インビトロでのT細胞エピトープの決定又はそのようなエピトープのインシリコ予測によって決定することができる。ひとたびT細胞エピトープ機能のための決定的に重要な残基が同定されてしまえば、免疫原性を除去し、かつ抗体活性を保持するように突然変異を起こすことができる。総説については、例えば、Jonesらの文献、Methods in Molecular Biology 525: 405-423, 2009を参照されたい。
(1.インビトロ親和性成熟)
いくつかの実施態様において、親抗体と比較して、親和性、安定性、又は発現レベルなどの特性が改善された抗体変異体をインビトロ親和性成熟によって調製することができる。天然のプロトタイプと同様に、インビトロ親和性成熟は、突然変異及び選択の原理に基づく。抗体のライブラリーは、Fab、scFv、又はVドメイン断片として、生物(例えば、ファージ、細菌、酵母、もしくは哺乳動物細胞)の表面上に、又はそれらがコードするmRNAもしくはDNAと(例えば、共有結合的もしくは非共有結合的に)関連した状態で提示される。提示された抗体の親和性選択により、抗体をコードする遺伝情報を保有する生物又は複合体の単離が可能になる。ファージディスプレイなどのディスプレイ法を用いた2回又は3回の突然変異及び選択により、通常、低ナノモル濃度の範囲の親和性を有する抗体断片が得られる。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル濃度又はさらにはピコモル濃度の親和性を有する。
ファージディスプレイは、抗体の提示及び選択のための広く普及している方法である。抗体を、バクテリオファージコートタンパク質との融合体として、Fd又はM13バクテリオファージの表面に提示させる。選択は、ファージに提示された抗体をその標的に結合させるための抗原への曝露を伴い、このプロセスは「パニング」と呼ばれる。抗原に結合したファージを回収し、細菌に感染させて、さらなる回数の選択のためのファージを産生させる。総説については、例えば、Hoogenboomの文献、Methods. Mol. Biol. 178: 1-37, 2002; Bradbury及びMarksの文献、J. Immuno. Methods 290: 29-49, 2004を参照されたい。
酵母ディスプレイ系(例えば、Boderらの文献、Nat. Biotech. 15: 553-57, 1997; Chaoらの文献、Nat. Protocols 1:755-768, 2006を参照)では、抗体を、重鎖及び軽鎖が柔軟なリンカーによって接続されている単鎖可変融合体(scFv)として提示させることができる。scFvを、Aga1pとのジスルフィド結合によって酵母細胞壁に付着している酵母凝集素タンパク質Aga2pの接着サブユニットに融合させる。Aga2pを介したタンパク質の提示により、該タンパク質が細胞表面から離れて突き出され、酵母細胞壁上の他の分子と相互作用する可能性が最小限に抑えられる。磁気分離及びフローサイトメトリーを用いて、ライブラリーをスクリーニングし、親和性又は安定性が向上した抗体について選択する。対象となる可溶性抗原に対する結合は、ビオチン化された抗原と蛍光団にコンジュゲートされたストレプトアビジンなどの2次試薬とによる酵母の標識によって決定される。抗体の表面発現の変動は、scFvに隣接する赤血球凝集素又はc-Mycエピトープタグのいずれかの免疫蛍光標識によって測定することができる。発現は、提示されたタンパク質の安定性と相関することが示されており、したがって、抗体を安定性及び親和性の向上について選択することができる(例えば、Shustaらの文献、J. Mol. Biol. 292: 949-956, 1999を参照)。酵母ディスプレイのさらなる利点は、提示されたタンパク質が真核酵母細胞の小胞体でフォールディングされ、小胞体シャペロン及び品質管理機構を利用することである。ひとたび成熟が終了すると、抗体親和性を、酵母の表面に提示されたままで好都合に「漸増させ」、各々のクローンの発現及び精製の必要性をなくすことができる。酵母表面ディスプレイの理論的限界は、他のディスプレイ法よりも機能的なライブラリーのサイズが小さくなる可能性があることであるが;最近のアプローチは、酵母細胞の接合システムを用いて、1014のサイズであると推定される組み合わせ多様性を生み出している(例えば、米国特許公開第2003/0186,374号; Blaiseらの文献、Gene 342: 211-218, 2004を参照)。
リボソームディスプレイでは、抗体-リボソーム-mRNA(ARM)複合体が無細胞系での選択のために作製される。抗体の特定のライブラリーをコードするDNAライブラリーを、終止コドンを欠くスペーサー配列と遺伝的に融合させる。このスペーサー配列は、翻訳されたとき、ペプチジルtRNAと付着したままで、リボソームトンネルを占有し、そのため、対象となるタンパク質がリボソームから突き出てフォールディングすることが可能になる。結果として生じるmRNA、リボソーム、及びタンパク質の複合体は、表面に結合したリガンドに結合することができ、該リガンドによる親和性捕捉によって、抗体とそれをコードするmRNAの同時単離が可能になる。その後、リボソームに結合したmRNAを逆転写させてcDNAに戻し、これをその後、突然変異誘発に供して、次回の選択で使用することができる(例えば、Fukudaらの文献、Nucleic Acids Res. 34, e127, 2006を参照)。mRNAディスプレイでは、ピューロマイシンをアダプター分子として用いて、抗体とmRNAの共有結合が確立される(Wilsonらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 3750-3755, 2001)。
これらの方法は全てインビトロで行われるので、それらは他の選択技術に優る2つの主な利点を提供する。第1に、ライブラリーの多様性は、細菌細胞の形質転換効率によってではなく、試験管内に存在するリボソーム及び様々なmRNA分子の数のみによって限定される。第2に、どの多様化段階の後にもライブラリーを形質転換する必要がないので、ランダムな突然変異を、各々の選択回の後に、例えば、非プルーフリーディングポリメラーゼによって容易に導入することができる。
多様性は、抗体ライブラリーのCDR又はV遺伝子全体に、狙った形で又はランダム導入によって導入することができる。前者のアプローチは、高レベル又は低レベルの突然変異誘発によって抗体のCDRの全てを逐次標的とするか、或いは体細胞超突然変異の孤立したホットスポット(例えば、Hoらの文献、J. Biol. Chem. 280: 607-617, 2005を参照)又は実験的根拠もしくは構造的理由から親和性に影響を及ぼすことが疑われる残基を標的とすることを含む。ランダム突然変異は、大腸菌突然変異誘発株、DNAポリメラーゼによるエラーを起こしやすい複製(例えば、Hawkinsらの文献、J. Mol. Biol. 226: 889-896, 1992を参照)、又はRNAレプリカーゼを用いて、V遺伝子全体にわたって導入することができる。多様性は、DNAシャッフリング又は類似の技法による、天然に多様性のある領域の置換によって導入することもできる(例えば、Luらの文献、J. Biol. Chem. 278: 43496-43507, 2003;米国特許第5,565,332号;米国特許第6,989,250号を参照)。代替的な技法は、フレームワーク領域残基に伸長している超可変ループを標的とするか(例えば、Bondらの文献、J. Mol. Biol. 348: 699-709, 2005を参照)、CDRにおけるループの欠失及び挿入を利用するか、又はハイブリダイゼーションに基づく多様化を使用する(例えば、米国特許公開第2004/0005709号を参照)。CDRにおける多様性を生じさせるさらなる方法は、米国特許第7,985,840号に開示されている。
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技法によって達成することができる。例えば、GFRALを、固体支持体、カラム、ピン、もしくはセルロース/ポリ(フッ化ビニリデン)膜/他のフィルター上に固定化し、吸着プレートに固定されるかもしくは細胞選別で使用される宿主細胞上で発現させ、又はストレプトアビジンコーティングされたビーズによる捕捉のためにビオチンにコンジュゲートし、又はディスプレイライブラリーをパニングするための任意の他の方法で使用することができる。
インビトロ親和性成熟法の総説については、例えば、Hoogenboomの文献、Nature Biotechnology 23: 1105-1116, 2005、並びにQuiroz及びSinclairの文献、Revista Ingeneria Biomedia 4: 39-51, 2010、並びにそれらの中の参考文献を参照されたい。
(2.抗GFRAL抗体の修飾)
抗GFRAL抗体の共有結合的修飾は本開示の範囲内に含まれる。共有結合的修飾は、抗GFRAL抗体の標的アミノ酸残基を、抗GFRAL抗体の選択された側鎖又はN末端もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることを含む。他の修飾には、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の、それぞれ、対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル残基又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(例えば、T.E. Creightonの文献、タンパク質:構造及び分子特性(Proteins: Structure and Molecular Properties)、W.H. Freeman & Co., San Francisco, 79~86ページ(1983)を参照)、N末端アミンのアセチル化、並びに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
本開示の範囲内に含まれる抗GFRAL抗体の他のタイプの共有結合的修飾には、抗体又はポリペプチドのネイティブなグリコシル化パターンを改変すること(例えば、Beckらの文献、Curr. Pharm. Biotechnol. 9: 482-501, 2008; Walshの文献、Drug Discov. Today 15: 773-780, 2010を参照)、及び抗体を、様々な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンのうちの1つに、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号、又は第4,179,337号に記載されている様式で連結することが含まれる。
本開示の抗GFRAL抗体を、抗GFRAL抗体が、別の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列、例えば、エピトープタグ(例えば、Terpeの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 60: 523-533, 2003を参照)又はIgG分子のFc領域(例えば、抗体融合タンパク質(Antibody Fusion Proteins)、S.M. Chamow及びA. Ashkenazi編、Wiley-Liss, New York, 1999、221~242ページのAruffoの文献、「免疫グロブリン融合タンパク質(Immunoglobulin fusion proteins)」を参照)と融合したものを含むキメラ分子を形成するように修飾することもできる。
また本明細書に提供されるのは、GFRAL抗原に結合する本明細書に提供される抗体と異種ポリペプチドとを含む融合タンパク質である。いくつかの実施態様において、抗体を融合させる異種ポリペプチドは、該抗体を、細胞表面に発現したGFRALを有する細胞に標的化するのに有用である。
また本明細書に提供されるのは、GFRAL抗原に結合する抗体のパネルである。具体的な実施態様において、抗体のパネルは、異なる会合速度定数、異なる解離速度定数、GFRAL抗原に対する異なる親和性、及び/又はGFRAL抗原に対する異なる特異性を有する。いくつかの実施態様において、該パネルは、約10、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、もしくは約1000個の抗体、又はそれより多くの抗体を含む、或いは該抗体からなる。抗体のパネルは、例えば、ELISAなどのアッセイのための、例えば、96ウェル又は384ウェルプレートで使用することができる。
(抗GFRAL抗体の調製)
抗GFRAL抗体は、抗GFRAL抗体をコードする核酸を含むベクターで形質転換又はトランスフェクトされた細胞を培養することにより産生することができる。本開示の抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技法を用いて得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列をハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離し、シークエンシングすることができる。或いは、ポリヌクレオチドを、ヌクレオチド合成装置又はPCR法を用いて合成することができる。ひとたび得られれば、ポリペプチドをコードする配列を、宿主細胞内で異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することができる組換えベクター中に挿入する。当技術分野で入手可能でありかつ公知である多くのベクターを本開示の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主に、ベクター中に挿入される核酸のサイズ及びベクターで形質転換される具体的な宿主細胞に依存する。本開示の抗体を発現させるのに好適な宿主細胞としては、原核生物、例えば、グラム陰性又はグラム陽性生物を含む、古細菌(Archaebacteria)及び真正細菌(Eubacteria)、真核微生物、例えば、糸状菌又は酵母、無脊椎動物細胞、例えば、昆虫細胞又は植物細胞、並びに脊椎動物細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞株が挙げられる。宿主細胞を上記の発現ベクターで形質転換させて、プロモーターを誘導するか、形質転換体を選択するか、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜修飾された従来の栄養培地中で培養する。宿主細胞によって産生された抗体は、当技術分野で公知の標準的なタンパク質精製法を用いて精製される。
ベクターの構築、発現、及び精製を含む、抗体生産方法は、Pluckthunらの文献(1996)、抗体エンジニアリング:大腸菌における抗体産生: PCRから発酵まで(Antibody Engineering: Producing antibodies in Escherichia coli: From PCR to fermentation)(McCafferty, J.、Hoogenboom, H. R.、及びChiswell, D. J.編)、初版、203~252ページ、IRL Press, Oxford; Kwong, K.及びRader, C.の文献、Fab抗体断片の大腸菌発現及び精製(E. coli expression and purification of Fab antibody fragments)、タンパク質科学の最新プロトコル編集委員会(Current protocols in protein science editorial board)、John E Coliganら、第6章、ユニット6.10(2009); Tachibana及びTakekoshiの文献、「大腸菌における抗体Fab断片の産生(Production of Antibody Fab Fragments in Escherischia coli)」、抗体発現及び産生(Antibody Expression and Production)、M. Al-Rubeai編、Springer, New York, 2011;治療用モノクローナル抗体:ベンチから臨床まで(Therapeutic Monoclonal Antibodies: From Bench to Clinic)(Z. An編), John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, NJ, USAにさらに記載されている。
当然ながら、当技術分野で周知である代替的な方法を利用して、抗GFRAL抗体を調製し得ることが想定される。例えば、適切なアミノ酸配列又はその部分を、固相法を用いた直接ペプチド合成によって産生することができる(例えば、Stewartらの文献、固相ペプチド合成(Solid-Phase Peptide Synthesis)、W.H. Freeman Co., San Francisco, CA(1969); Merrifieldの文献、J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154(1963)を参照)。インビトロのタンパク質合成は、手作業の技法を用いて又は自動化によって行うことができる。抗GFRAL抗体の様々な部分を別々に化学合成し、化学的又は酵素的な方法を用いて組み合わせて、所望の抗GFRAL抗体を産生することができる。或いは、抗体を、例えば、米国特許第5,545,807号及び米国特許第5,827,690号に開示されているように、抗体を発現するよう改変されたトランスジェニック動物の細胞又は体液、例えば、乳から精製することができる。
(免疫コンジュゲート)
本開示はまた、合成リンカーによるものを含め、1以上の非抗体物質に共有結合された本開示の抗GFRAL抗体のいずれか1つを含むコンジュゲートを提供する。
様々な放射性同位体が、放射性コンジュゲートされた抗体の産生のために利用可能である。例としては、At211、I4、I4、Y4、Re4、Re4、Sm4、Bi4、P4、Pb4、及びLuの放射性同位体が挙げられる。コンジュゲートを検出用に使用する場合、それは、シンチグラフィー試験用の放射性原子、例えば、tc4もしくはI4、又は核磁気共鳴(NMR)画像法(別名、磁気共鳴画像法、MRI)用のスピン標識、例えば、この場合もヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄を含み得る。放射性同位体は、例えば、Reillyの文献、「モノクローナル抗体及びペプチドの放射化学(The radiochemistry of monoclonal antibodies and peptides)」、モノクローナル抗体及び癌のペプチド標的放射線療法(Monoclonal Antibody and Peptide-Targeted Radiotherapy of Cancer)、R.M. Reilly編、Wiley, Hoboken N.J., 2010に記載されているような公知の方法でコンジュゲート中に組み入れることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体を、診断剤、検出可能な薬剤、もしくは治療剤、又は任意の他の分子にコンジュゲートするか又は組換えにより融合させる。コンジュゲートされているか又は組換えにより融合させられている抗体は、例えば、臨床試験手順の一部として、β細胞欠損疾患、障害、又は疾病の発生、発症、進行、及び/又は重症度をモニタリング又は予後予測する、例えば、特定の療法の効力を決定するのに有用であり得る。
そのような診断及び検出は、例えば、抗体を検出可能な物質にカップリングさせることにより達成することができ、該検出可能な物質には、様々な酵素、例えば、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子族、例えば、限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチン;蛍光物質、例えば、限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、又はフィコエリスリン;発光物質、例えば、限定されないが、ルミノール;生体発光物質、例えば、限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びイクオリン;化学発光物質、例えば、限定されないが、アクリジニウム系化合物又はHALOTAG;放射性物質、例えば、限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、及び121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、及び111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、並びに117Sn;並びに様々な陽電子放射断層撮影法を用いる陽電子放射金属、並びに非放射性常磁性金属イオンが含まれるが、これらに限定されない。
また本明細書に提供されるのは、治療的部分(又は1以上の治療的部分)にコンジュゲートされているか又は組換えにより融合させられている抗体、及びその使用である。該抗体を治療的部分にコンジュゲートするか又は組換えにより融合させることができ、該治療的部分には、細胞毒素、例えば、静細胞剤もしくは殺細胞剤、治療剤、又は放射性金属イオン、例えば、α-放射体が含まれる。細胞毒素又は細胞毒性剤には、細胞に有害である任意の薬剤が含まれる。
さらに、本明細書に提供される抗体を、所与の生物学的応答を修飾する治療的部分又は薬物部分にコンジュゲートするか又は組換えにより融合させることができる。治療的部分又は薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されるものと解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を保有するタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドであり得る。そのようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、コレラ毒素、もしくはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、γ-インターフェロン、α-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス物質、例えば、TNF-γ、TNF-γ、AIM I(例えば、国際公開WO 97/33899号を参照)、AIM II(例えば、国際公開WO 97/34911号を参照)、Fasリガンド(例えば、Takahashiらの文献、1994, J. Immunol., 6:1567-1574を参照)、及びVEGF(例えば、国際公開WO 99/23105号を参照)などのタンパク質、例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、もしくは凝固経路の成分(例えば、組織因子)を含む、抗血管形成物質;又は例えば、リンホカイン(例えば、インターフェロンγ、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-5(「IL-5」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、インターロイキン9(「IL-9」)、インターロイキン-10(「IL-10」)、インターロイキン-12(「IL-12」)、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-23(「IL-23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、及び顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」))などの生物応答修飾物質、もしくは成長因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))、もしくは凝固物質(例えば、カルシウム、ビタミンK、組織因子、例えば、限定されないが、ハーゲマン因子(第XII因子)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質-第II因子(プロトロンビン)、第V因子、第XIIa因子、第VIII因子、第XIIIa因子、第XI因子、第XIa因子、第IX因子、第IXa因子、第X因子、リン脂質、及びフィブリンモノマー)を挙げることができる。
また本明細書に提供されるのは、融合タンパク質を作製するために、異種タンパク質もしくはポリペプチド(又はこれらの断片、例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100アミノ酸のポリペプチド)に組換えにより融合させられているか又は化学的にコンジュゲートされている(共有結合的もしくは非共有結合的コンジュゲーション)抗体、及びその使用である。特に、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗体の抗原結合断片(例えば、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメイン、又はVL CDR)と異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドとを含む融合タンパク質である。一実施態様において、抗体を融合させる異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、該抗体を、特定の細胞型、例えば、GFRALを発現する細胞に標的化するのに有用である。例えば、特定の細胞型(例えば、免疫細胞)によって発現される細胞表面受容体に結合する抗体を、本明細書に提供される修飾抗体に融合させるか又はコンジュゲートすることができる。
さらに、本明細書に提供される抗体は、治療的部分、例えば、放射性金属イオン、例えば、α-放射体、例えば、213Bi又は限定されないが、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含む、放射性金属イオンをポリペプチドにコンジュゲートするのに有用な大環状キレート剤にコンジュゲートすることができる。ある実施態様において、該大環状キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)であり、これは、リンカー分子を介して抗体に結合させることができる。そのようなリンカー分子は当技術分野で一般に公知であり、例えば、Denardoらの文献、1998, Clin Cancer Res. 4(10):2483-90; Petersonらの文献、1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553-7;及びZimmermanらの文献、1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943-50に記載されている。
さらに、本明細書に提供される抗体を、マーカー又は「タグ」配列、例えば、精製を容易にするペプチドに融合させることができる。具体的な実施態様において、マーカー又はタグアミノ酸配列は、その多くが市販されている、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、例えば、特に、pQEベクター(例えば、QIAGEN社を参照)中に提供されているタグである。例えば、Gentzらの文献、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、ヘキサ-ヒスチジンは、融合タンパク質の好都合な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグとしては、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する赤血球凝集素(「HA」)タグ(Wilsonらの文献、1984, Cell 37:767)、及び「FLAG」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
治療的部分(ポリペプチドを含む)を抗体に融合させ又はコンジュゲートする方法は、周知である(例えば、Arnonらの文献、「癌療法における薬物の免疫標的化用のモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」、モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)、Reisfeldら(編)、243~56ページ(Alan R. Liss社、1985); Hellstromらの文献、「薬物送達用の抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、制御薬物送達(Controlled Drug Delivery)(第2版)、Robinsonら(編)、623~53ページ(Marcel Dekker社、1987); Thorpeの文献、「癌療法における細胞毒性剤の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、モノクローナル抗体84:生物学的及び臨床的用途(Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications)、Pincheraら(編)、475~506ページ(1985);「癌療法における放射性標識抗体の治療的使用の解析、結果、及び将来的展望(Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy)」、癌の検出及び治療用のモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy)、Baldwinら(編)、303~16ページ(Academic Press 1985)、Thorpeらの文献、1982, Immunol. Rev. 62:119-58;米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、第5,723,125号、第5,783,181号、第5,908,626号、第5,844,095号、及び第5,112,946号; EP 307,434号; EP 367,166号; EP 394,827号; PCT公開WO 91/06570号、WO 96/04388号、WO 96/22024号、WO 97/34631号、及びWO 99/04813号; Ashkenaziらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 10535-10539, 1991; Trauneckerらの文献、Nature, 331:84-86, 1988; Zhengらの文献、J. Immunol., 154:5590-5600, 1995; Vilらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:11337-11341, 1992を参照)。
融合タンパク質は、例えば、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、及び/又はコドンシャッフリング(「DNAシャッフリング」と総称される)の技法によって作製することができる。DNAシャッフリングを利用して、例えば、より高い親和性及びより低い解離速度を有する抗体を含む、本明細書に提供される抗GFRAL抗体の活性を変化させることができる(例えば、米国特許第5,605,793号、第5,811,238号、第5,830,721号、第5,834,252号、及び第5,837,458号; Pattenらの文献、1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33; Harayamaの文献、1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82; Hanssonらの文献、1999, J. Mol. Biol. 287:265-76;並びにLorenzo及びBlascoの文献、1998, Biotechniques 24(2):308-313を参照)。抗体、又はコードされた抗体を、組換え前に、エラーを起こしやすいPCR、ランダムなヌクレオチド挿入、又は他の方法によるランダムな突然変異誘発に供することにより改変することができる。本明細書に提供される抗体をコードするポリヌクレオチドを、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組み換えることができる。
本明細書に提供される抗体を第2の抗体にコンジュゲートして、例えば、米国特許第4,676,980号に記載されているような抗体ヘテロコンジュゲートを形成させることもできる。
GFRAL(例えば、GFRALポリペプチド、断片、エピトープ)に結合する本明細書に提供される抗体にコンジュゲートされているか又は組換えにより融合させられている治療的部分又は薬物は、所望の予防又は治療効果を達成するように選択されるべきである。ある実施態様において、該抗体は修飾抗体である。臨床医又は他の医療関係者は、例えば、どの治療的部分又は薬物を本明細書に提供される抗体にコンジュゲートし又は組換えにより融合させるべきかに関して決定するとき、以下のこと:疾患の性質、疾患の重症度、及び対象の状態を考慮することができる。
本明細書に提供されるGFRALに結合する抗体は、免疫アッセイ又は標的抗原の精製に特に有用である固体支持体に付着させることもできる。そのような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
リンカーは、細胞内でのコンジュゲートされた薬剤の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよいが、非切断性リンカーも本明細書において想定される。本開示のコンジュゲートで使用するためのリンカーとしては、限定するものではないが、酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、アミノ酸、例えば、バリン及び/又はシトルリンを含むペプチドリンカー、例えば、シトルリン-バリン又はフェニルアラニン-リジン)、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー(例えば、Chariらの文献、Cancer Research 52:127-131(1992); 米国特許第5,208,020号を参照)、チオエーテルリンカー、又は多剤輸送体を介した耐性を回避するように設計された親水性リンカー(例えば、Kovtunらの文献、Cancer Res. 70: 2528-2537, 2010を参照)が挙げられる。
抗体と薬剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシニミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて作製することができる。本開示は、抗体と薬剤のコンジュゲートを、当技術分野で開示されている任意の好適な方法(例えば、バイオコンジュゲート技法(Bioconjugate Techniques)、第2版、G.T. Hermanson編、Elsevier, San Francisco, 2008中のものを参照)を用いて調製し得ることをさらに想定している。
抗体及び薬剤の従来のコンジュゲーション戦略は、Lys残基のε-アミノ基又はCys残基のチオール基が関与するランダムコンジュゲーション化学に基づいており、これは、不均一なコンジュゲートを結果として生じる。最近開発された技法は、抗体への部位特異的コンジュゲーションを可能にし、結果として、均一な装填が得られ、抗原結合又は薬物動態が改変されたコンジュゲート亜集団が回避される。これらには、反応性チオール基を提供し、かつ免疫グロブリンのフォールディング及びアセンブリを妨害することも抗原結合を改変することもない重鎖及び軽鎖上の位置でのシステイン置換を含む「チオマブ(thiomab)」の人為的作製が含まれる(例えば、Junutulaらの文献、J. Immunol. Meth. 332: 41-52(2008); Junutulaらの文献、Nat. Biotechnol. 26: 925-932, 2008を参照)。別の方法では、終止コドンUGAを終結からセレノシステイン挿入へとコードし直すことによって、セレノシステインが抗体配列中に共翻訳的に挿入され、他の天然アミノ酸の存在下でのセレノシステインの求核性セレノール基における部位特異的な共有結合的コンジュゲーションが可能になる(例えば、Hoferらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105: 12451-12456(2008); Hoferらの文献、Biochemistry 48(50): 12047-12057, 2009を参照)。
(医薬製剤)
本開示の抗GFRAL抗体は、治療されることになる疾患、障害、又は疾病に適した任意の経路によって投与することができる。該抗体は、通常、非経口的に、例えば、注入、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、及び硬膜外に投与される。抗体用量は、例えば、疾患又は障害の性質及び/又は重症度並びに対象の状態によって異なり、これには、1mg~100mgの用量が含まれ得る。用量には、1mg/kg~15mg/kgの用量も含まれ得る。いくつかの実施態様において、用量は、約5mg/kg~約7.5mg/kgである。いくつかの実施態様において、用量は、約5mg/kgである。いくつかの実施態様において、用量は、約7.5mg/kgである。フラット用量(Flat doses)は:(a) 2週間毎に375~400mg及び(b)3週間毎に550~600mgからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、フラット用量は、2週間毎に375~400mgである。いくつかの実施態様において、フラット用量は、3週間毎に550~600mgである。いくつかの実施態様において、フラット用量は、2週間毎に400mgである。いくつかの実施態様において、フラット用量は、3週間毎に600mgである。逐次投与のいくつかの実施態様において、第1の用量及び第2の用量は、各々、1mg/kg~15mg/kgであり、第2の用量は、第1の用量から1~4週間後である。いくつかの実施態様において、第1の用量及び第2の用量は、各々、5mg/kg~7.5mg/kgであり、第2の用量は、第1の用量から2~3週間後である。いくつかの実施態様において、第1の用量及び第2の用量は、各々、5mg/kgであり、第2の用量は、第1の用量から2週間後である。いくつかの実施態様において、第1の用量及び第2の用量は、各々、7.5mg/kgであり、第2の用量は、第1の用量から3週間後である。
疾患、障害、又は疾病を治療するために、抗体は、いくつかの実施態様において、静脈内注入を介して投与される。注入を介して投与される投薬量は、1回の投与当たり約1μg/m2~約10,000μg/m2の範囲にあり、通常、週1回の投与で、合計1回、2回、3回、又は4回の投与である。或いは、投薬量の範囲は、約1μg/m2~約1000μg/m2、約1μg/m2~約800μg/m2、約1μg/m2~約600μg/m2、約1μg/m2~約400μg/m2;或いは、約10μg/m2~約500μg/m2、約10μg/m2~約300μg/m2、約10μg/m2~約200μg/m2、及び約1μg/m2~約200μg/m2である。投与は、疾患、障害、又は疾病の症状を緩和する(relieve)又は緩和する(alleviate)ために、1日1回、週1回、週に複数回であるが1日1回未満、月に複数回であるが1日1回未満、月に複数回であるが週1回未満、月1回、又は間欠的に施し得る。投与は、治療されている疾患、障害、もしくは疾病の改善、又は該疾患、障害、もしくは疾病の症状の改善まで、開示された間隔のいずれかで継続し得る。投与は、そのような寛解又は緩和がそのような継続投与によって延長される場合、症状の寛解又は緩和が達成された後に継続し得る。
一態様において、本開示は、本開示の少なくとも1つの抗GFRAL抗体を含む医薬製剤をさらに提供する。いくつかの実施態様において、医薬製剤は、(1)抗GFRAL抗体、及び(2)医薬として許容し得る担体を含む。いくつかの実施態様において、医薬製剤は、(1)抗GFRAL抗体及び/又はその免疫コンジュゲート、並びに任意に、(2)少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
抗体を含む医薬製剤は、所望の純度を有する抗体を、任意の生理的に許容し得る担体、賦形剤、又は安定化剤(例えば、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第16版、Osol, A.編(1980)を参照)と混合することにより、水性溶液又は凍結乾燥製剤もしくは他の乾燥製剤の形態で保存用に調製される。本明細書における製剤は、治療されている特定の疾患、障害、又は疾病(例えば、特定の適応症)に必要なものとしての複数の活性化合物、好ましくは、互いに有害な影響を及ぼさない補完的な活性を有するものも含有し得る。例えば、抗GFRAL抗体の他に、1つの製剤中に、追加の抗体、例えば、GFRALポリペプチド上の異なるエピトープに結合する第2の抗GFRAL抗体、又はいくつかの他の標的に対する抗体を含めることが望ましい場合がある。代わりに、又はさらに、組成物は、例えば、化学療法剤、細胞毒性剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、及び/又は心臓保護剤を含む、別の薬剤をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、製剤は、アルキル化剤(例えば、クロラムブシル、ベンダムスチン塩酸塩、又はシクロホスファミド)、ヌクレオシド類似体(例えば、フルヅラビン(fludurabine)、ペントスタチン、クラドリビン、又はシタラビン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、又はメチルプレドニゾロン)、免疫調節剤(例えば、レナリドミド)、抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、又はミトキセントロン(mitoxentrone))、合成フラボン(例えば、フラボピリドール)、Bcl2アンタゴニスト(例えば、オブリメルセン又はABT-263)、低メチル化剤(例えば、アザシチジン又はデシタビン)、FLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン、ソラフェニブ、及びAC220)を含む。そのような分子は、意図される目的に有効である量で好適に併存する。
本開示の抗体は、標的細胞/組織への送達のための任意の好適な形態で、例えば、マイクロカプセルもしくはマクロエマルジョンとして(レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第16版、Osol, A.編(1980); Parkらの文献、Molecules 10: 146-161(2005); Malikらの文献、Curr. Drug. Deliv. 4: 141-151(2007));持続放出製剤として(Putney及びBurkeの文献、Nature Biotechnol. 16: 153-157(1998))、又はリポソーム中に(Macleanらの文献、Int. J. Oncol. 11: 235-332(1997); Kontermannの文献、Curr. Opin. Mol. Ther. 8: 39-45(2006))、製剤化することができる。
本明細書に提供される抗体は、例えば、コアセルベーション法によるか又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、ぞれぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、又はマクロエマルジョン中に封入することもできる。そのような技法は、例えば、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PAに開示されている。
様々な送達系が公知であり、かつ予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に記載されるGFRALに結合する抗体)を投与するために使用することができ、該送達系には、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、抗体を発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu及びWuの文献、J. Biol. Chem. 262:4429-4432(1987)を参照)、レトロウイルスもしくは他のベクターの部分としての核酸の構築などが含まれるが、これらに限定されない。別の実施態様において、予防剤もしくは治療剤又は本明細書に提供される組成物を制御放出又は持続放出系で送達することができる。一実施態様において、ポンプを用いて、制御又は持続放出を達成することができる(例えば、Langerの文献(上記); Seftonの文献、1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwaldらの文献、1980, Surgery 88:507; Saudekらの文献、1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照)。別の実施態様において、ポリマー材料を用いて、予防剤もしくは治療剤(例えば、本明細書に記載されるGFRALに結合する抗体)又は本発明の組成物の制御又は持続放出を達成することができる(例えば、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、Langer及びWise(編)、CRC Pres., Boca Raton, Florida(1974);薬物バイオアベイラビリティーの制御、医薬品設計、及び性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance)、Smolen及びBall(編)、Wiley, New York(1984); Ranger及びPeppasの文献、1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照されたく; Levyらの文献、1985, Science 228:190; Duringらの文献、1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardらの文献、1989, J. Neurosurg. 7 1:105); 米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号; PCT公開WO 99/15154号;及びPCT公開WO 99/20253号を参照)。持続放出製剤で使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、持続放出製剤で使用されるポリマーは、不活性で、浸出性不純物を含まず、保存時に安定で、滅菌性で、かつ生体分解性である。
さらに別の実施態様において、制御又は持続放出系を、治療標的、例えば、鼻孔又は肺の近くに配置することができ、したがって、全身用量のごく一部しか必要としない(例えば、Goodsonの文献、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、上記、第2巻、115~138ページ(1984)を参照)。制御放出系は、例えば、Langer(1990, Science 249:1527-1533)によって論じられている。当業者に公知の任意の技法を用いて、本明細書に記載されるGFRALに結合する1以上の抗体を含む持続放出製剤を産生することができる(例えば、米国特許第4,526,938号、PCT公開WO 91/05548号、PCT公開WO 96/20698号、Ningらの文献、1996、「持続放出ゲルを用いたヒト結腸癌異種移植片の腫瘍内放射免疫療法(Intratumoral Radioimmunotherapy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel)」、Radiotherapy & Oncology 39:179- 189、Songらの文献、1995、「長期循環エマルジョンの抗体媒介性肺標的化(Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions)」、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397、Cleekらの文献、1997、「心血管用途のためのbFGF抗体用の生体分解性ポリマー担体(Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application)」、Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854、及びLamらの文献、1997、「局所送達のための組換えヒト化モノクローナル抗体のマイクロカプセル化(Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery)」、Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760を参照)。
限定されないが、注射可能な薬物送達装置を含む、別の送達系を用いて、予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に記載されるGFRALに結合する抗体)を投与することができる。抗GFRAL抗体用の注射可能な薬物送達装置としては、例えば、携帯型装置又は装着可能な装置が挙げられる。抗GFRAL抗体に有用な携帯型装置としては、FLEXIQ-DV(Elcam Medical)又はPRO-JECT(Aptar Pharma)オートインジェクターなどのオートインジェクターが挙げられる。抗GFRAL抗体に有用な装着可能な装置としては、例えば、NEULASTA薬物送達キット(Amgen)などの持ち運び式薬物送達系が挙げられる。抗GFRAL抗体用の注射可能な薬物送達装置は、例えば、プレフィルドシリンジ、カートリッジ、又はバイアル中に、予防剤又は治療剤としての抗体を含有することができる。抗GFRAL抗体用の注射可能な薬物送達装置(例えば、オートインジェクター)及び/又はその容器(例えば、シリンジ、カートリッジ、又はバイアル)は使い捨てであることができる。抗GFRAL抗体に有用な例示的な注射用装置は、WO2014/081780号に記載されている。
いくつかの実施態様において、限定されないが、浸透圧ポンプを含む、さらなる薬物送達系を用いて、予防剤又は治療剤(例えば、本明細書に記載されるGFRALに結合する抗体)を投与することができる。例えば、単一コンパートメントシステム、二重コンパートメントシステム、及び多重コンパートメントシステムを含む、抗GFRAL抗体用の様々なタイプの浸透圧ポンプシステムを使用することができる。抗GFRAL抗体に有用な例示的な浸透圧ポンプシステムは、例えば、Herrlichらの文献(2012) Advanced Drug Delivery Reviews 64, 1617-1627に記載されている。いくつかの実施態様において、抗GFRAL抗体用の浸透圧ポンプとしては、DUROSポンプなどの移植可能な薬物分配浸透圧ポンプを挙げることができる。
(治療方法)
本開示の抗GFRAL抗体は、例えば、治療方法において使用することができる。
いくつかの実施態様において、本開示は、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病を治療又は予防する方法であって、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片をGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病に罹患している対象に投与することを含む、方法を提供する。さらに、該対象に、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片を含む医薬組成物を投与することができる。
いくつかの実施態様において、本開示は、不随意の体重減少に苦しむ対象を治療する方法を提供する。好適な対象の例は、消耗性疾患又は悪液質と診断される対象であり得る。好適な患者としては、肝硬変、甲状腺機能亢進症、慢性腎疾患、パーキンソン病、癌、摂食障害(例えば、神経性無食欲)、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)、敗血症もしくは他の形態の全身性炎症、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、及び筋消耗、例えば、筋ジストロフィーもしくは多発性硬化症)、又はサルコペニアに罹患している患者が挙げられる。
いくつかの実施態様において、本開示は、慢性疾患、例えば、肝硬変、甲状腺機能亢進症、慢性腎疾患、パーキンソン病、癌、摂食障害(例えば、神経性無食欲)、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)、敗血症もしくは他の形態の全身性炎症、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、及び筋消耗、例えば、筋ジストロフィーもしくは多発性硬化症)、又はサルコペニアによる不随意の体重減少のリスクがあり得る対象における不随意の体重減少を予防する方法も提供する。そのような対象としては、上昇したGDF15レベルを有する対象、癌の治療を受けている対象などを挙げることができる。
いくつかの実施態様において、本開示は、悪液質に罹患している対象を治療する方法を提供する。好適な対象の例は、悪液質と診断される対象である。本開示は、悪液質の発生による不随意の体重減少のリスクがあり得る対象における不随意の体重減少を予防する方法も提供する。そのような対象としては、上昇したGDF15レベルを有する対象、癌を有する対象、癌の治療を受けている対象、摂食障害を有する対象などを挙げることができる。
また開示されるのは、上昇したGDF15活性を有する患者におけるGDF15活性を調節する方法である。本明細書で使用される場合、「上昇したGDF15活性」は、正常対象と比較したときの対象の生体液中のGDF15の活性又は量の増加を指す。いくつかの疾病はGDF15血清レベルの増加と関連しており、ここで、GDF15の増加は、例えば、食欲の喪失、体重減少などの、いくつかの症状をもたらす。GDF15血清レベルの増加と関連する疾病の例としては、癌、例えば、黒色腫、胃癌、膵癌、前立腺癌;自己免疫疾患、例えば、関節炎及び炎症;アテローム性動脈硬化症、心不全、高血圧、心筋梗塞、胸痛、及び心血管事象のような心血管疾患;貧血、悪液質、食欲不振、腎疾患、及びサラセミアのような代謝性疾患などが挙げられる。
上記の疾患、障害、又は疾病のいずれかを有する対象は、本明細書に記載される抗GFRAL抗体もしくはその断片、又は治療剤と抗GFRAL抗体もしくはその断片の組合せを受容するのに好適な候補である。
対象に、そのような対象への抗GFRAL抗体又はその断片を投与すると、GDF15媒介性疾患、障害、又は疾病と関連する症状のうちの1つ又は複数を減少させ又は予防することができる。例えば、本開示の抗GFRAL抗体又はその断片を投与すると、対象の体重及び/又は食欲を増大させることができる。別の例として、本開示の抗GFRAL抗体又はその断片を投与すると、対象の体重を維持するか又は対象の体重減少を低下させることができる。
一態様において、疾患、障害、又は疾病を治療する方法であって、抗GFRAL抗体又はその断片の有効量を個体に投与することを含む、方法が提供される。ある実施態様において、疾患、障害、又は疾病を治療する方法は、抗GFRAL抗体及び任意に、少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、本明細書に提供されるものを含む医薬製剤の有効量を個体に投与することを含む。
抗GFRAL抗体又はその断片を治療目的でヒトに投与することができる。さらに、抗GFRAL抗体又はその断片を、獣医学的な目的で又はヒト疾患の動物モデルとして、抗体が交差反応するGFRALを発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類、ブタ、ラット、又はマウス)に投与することができる。後者に関して、そのような動物モデルは、本開示の抗体の治療効力の評価(例えば、投薬量及び投与の経時変化の試験)に有用である場合がある。
本開示の抗体は、治療法において単独で又は他の組成物と組み合わせて使用することができる。例えば、本開示の抗GFRAL抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤及び/又はアジュバントと共投与することができる。いくつかの実施態様において、追加の化合物は、抗GFRAL抗体以外の治療用抗体である。
上述のそのような併用療法は、併用投与(この場合、2以上の治療剤が同じ又は別々の製剤に含まれる)、及び個別投与を包含し、この場合、本開示の抗GFRAL抗体又はその断片の投与は、追加の治療剤及び/又はアジュバントの投与の前、それと同時、及び/又はその後に行うことができる。本開示の抗体を、限定するものではないが、本明細書に記載されているものを含む、追加の治療レジメンと組み合わせて使用することもできる。
本開示の抗GFRAL抗体(及び任意の追加の治療剤又はアジュバント)は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内、並びに局所治療にとって望ましい場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口的注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下への投与が含まれる。さらに、抗体又はコンジュゲートは、特に漸減用量の抗体又はその断片を用いる、パルス注入によって好適に投与される。投与は、任意の好適な経路によるもの、例えば、注射、例えば、一つには、投与が短期間であるか又は持続的であるかによって、静脈内注射又は皮下注射によるものであってもよい。
本開示の抗体は、医療実施基準(good medical practice)と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与される。これに関連して考慮される因子としては、治療されている具体的な障害、治療されている具体的な哺乳動物、個々の対象の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジュール、及び医師に公知の他の因子が挙げられる。抗GFRAL抗体は、必ずしもその必要はないが、任意に、当該の障害を予防又は治療するために現在使用されている1以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体又は免疫コンジュゲートの量、障害又は治療の種類、及び上で考察した他の因子によって決まる。これらは、通常、本明細書に記載されているのと同じ投薬量及び投与経路で、又は本明細書に記載される投薬量の約1~99%で、又は適切であることが実験的/臨床的に明らかにされている任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
疾患、障害、又は疾病の予防又は治療のために、本開示の抗GFRAL抗体又はその断片の適切な投薬量は(単独で又は1以上の他の追加の治療剤、例えば、本明細書に記載される薬剤と組み合わせて使用される場合)、治療されることになる疾患、障害、又は疾病の種類、抗体の種類、疾患、障害、又は疾病の重症度及び経過、抗体が予防目的で投与されるのか、それとも治療目的で投与されるのかということ、薬歴、対象の既往歴及び抗体に対する応答、並びに担当医の裁量によって決まる。抗GFRAL抗体又はその断片は、対象に対して、1回で又は一連の治療にわたって好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg~100mg/kg(例えば、0.1mg/kg~20mg/kg、1mg/kg~15mg/kgなど)の抗体又はその断片を、例えば、1回以上の個別投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、対象への投与のための初回候補投薬量とすることができる。1つの典型的な1日投薬量は、上述の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg又はそれを上回る範囲であり得る。数日間又はそれより長い期間にわたる反復投与については、状態に応じて、治療は、通常、疾患症状の所望の抑制が起こるまで持続される。抗体又はその断片の例示的な投薬量は、約0.05mg/kg~約10.0mg/kgの範囲であり得る。したがって、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、又は10.0mg/kgのうちの1つ又は複数の用量(又はこれらの任意の組合せ)の抗体を対象に投与することができる。そのような用量は、間欠的に、例えば、週に1回又は3週に1回(例えば、対象が、約2~約20回、又は例えば、約6回の抗体の投与を受けるように)投与することができる。初回にはより高い負荷用量を、その後は1回以上のより低い用量を投与することができる。例示的な投与レジメンは、初回負荷用量の抗体を投与し、その後、維持用量(週1回)の抗体又はその断片を投与することを含む。初回負荷用量は、維持用量より大きくてもよい。しかしながら、他の投与レジメンが有用である場合がある。この療法の進捗は、従来の技法及びアッセイによって容易にモニタリングされる。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、対象に、不随意の体重減少を有するか又は不随意の体重減少を発症するリスクのある患者への抗GFRAL抗体又はその断片を投与することを含む。対象方法は、GDF15の上昇した血清レベルを有する対象に、本明細書に開示される抗GFRAL抗体又はその断片を投与することを含む。ある実施態様において、該抗体又はその断片は、GFRALの細胞外ドメインに対する結合をGDF15と競合する抗GFRAL抗体である。ある実施態様において、該抗体又はその断片は、GFRALタンパク質の細胞外ドメインに結合するが、RETを活性化しない。例えば、該抗体又はその断片は、GFRALの細胞外ドメインに対する結合をGDF15と競合するが、GFRALに結合したときにRETを活性化しない、抗GFRAL抗体である。そのような抗体は、本明細書に記載されている。
本開示の方法において、本明細書に記載される抗GFRAL抗体もしくはその断片又は該抗体もしくはその断片を含む医薬組成物を対象(例えば、ヒト患者)に投与して、例えば、目標体重を達成し及び/又は体重を維持すること;目標ボディマスインデックス(BMI)を達成し及び/又はBMIを維持すること;食欲を増進すること;などができる。正常な成人は、18.5~24.9Kg/m2の範囲のBMIを有する。対象治療方法は、患者の体重、BMI、筋重量、及び/又は食餌摂取を、少なくとも約5%、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又はそれを上回って増大させることができる。
本明細書に記載されるGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病(例えば、不随意の体重減少)の治療又は予防に関する方法は、例えば、単独での又は他のタイプの療法と組み合わせた療法/予防のための本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片の使用を含む。本方法は、対象に、抗GFRAL抗体又はその断片及び別の薬剤を投与することを含む。
いくつかの実施態様において、該薬剤は、筋肉量減少、例えば、基礎疾患と関連する筋肉量減少を経験している患者に投与される。悪液質と関連する基礎疾患としては、癌、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、慢性炎症性疾患、敗血症及び他の形態の全身性炎症、筋消耗、例えば、筋ジストロフィー、並びに神経性無食欲として知られる摂食障害が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該薬剤は、除脂肪量(例えば、筋肉量)及び又は脂肪量の減少を、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%阻害する。
いくつかの実施態様において、除脂肪量(例えば、筋肉量)の減少は、脂肪量の減少によって達成される。いくつかの実施態様において、該薬剤は、脂肪量の減少を、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%阻害することができる。
いくつかの実施態様において、該薬剤は、体重減少(例えば、不随意の体重減少)と診断された患者に投与される。いくつかの実施態様において、該薬剤は、体重減少(例えば、不随意の体重減少)を、少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%戻すことができる。
いくつかの実施態様において、該薬剤は、臓器質量の減少、例えば、基礎疾患と関連する臓器質量の減少と診断された患者に投与される。悪液質と関連する基礎疾患としては、癌、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、慢性炎症性疾患、敗血症及び他の形態の全身性炎症、筋消耗、例えば、筋ジストロフィー、並びに神経性無食欲として知られる摂食障害が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該薬剤は、臓器質量の減少を、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%阻害することができる。いくつかの実施態様において、臓器質量の減少は、心臓、肝臓、腎臓、及び/又は脾臓で観察される。いくつかの実施態様において、臓器質量の減少は、筋肉量減少、脂肪量減少、及び/又は不随意の体重減少を伴う。
サルコペニア、筋消耗障害、及び顕著な筋重量減少は、悪液質、食欲減退、又は体重減少の非存在下で生じ得る。いくつかの実施態様において、該薬剤を用いて、サルコペニア、筋消耗障害、及び/又は重大な顕著な筋重量減少と診断された対象を治療することができ、該対象が悪液質もしくは食欲減退を有するかどうか、又は悪液質もしくは食欲減退と診断されたことがあるかどうかを問わない。そのような方法は、1以上の薬剤の治療有効量を、それを必要としている対象に投与することを含む。
悪液質の治療又は予防に対する多種多様な療法のいずれかを、組成物又は治療法において、対象タンパク質と組み合わせることができる。
GFRAL-ECDタンパク質を1以上の他の療法と組み合わせて投与する場合、該組合せは、対象タンパク質の投与と同時から該投与の最大5時間もしくはそれ以前、例えば、10時間、15時間、20時間、もしくはそれ以前、又は対象タンパク質の投与と同時から該投与の最大5時間もしくはそれ以降、例えば、10時間、15時間、20時間、もしくはそれ以降のどこかで投与することができる。ある実施態様において、対象タンパク質及び他の治療的介入は順次投与又は適用され、例えば、この場合、対象タンパク質は、別の治療的治療の前又は後に投与される。さらに他の実施態様において、対象タンパク質及び他の療法は同時に投与され、例えば、この場合、対象タンパク質及び第二の療法は同時に投与され、例えば、第二の療法が薬物であるとき、それを、対象タンパク質と一緒に2つの別々の製剤として投与するか、又は組み合わせて、対象に投与される単一の組成物にすることができる。上で説明したように、順次投与されるか、それとも同時に投与されるかを問わず、治療は、本開示の目的のために、一緒に又は組み合わせて投与されると考えられる。
悪液質に関係があるとされるサイトカインとしては、アクチビンA及びIL-6が挙げられる。アクチビンレベルの増大は、癌関連悪液質及び性腺腫瘍と関連付けられている。例えば、Marinoらの文献(2013) CYTOKINE & GROWTH FACTOR REV. 24:477-484を参照されたい。アクチビンAは、TGF-βファミリーのメンバーであり、アクチビン2型受容体であるActRIIBのリガンドである。例えば、Zhouらの文献(2010) CELL 142:531-543を参照されたい。IL-6の循環レベルは、癌患者における体重減少、並びに生存の低下と相関することが示されている。例えば、Fearonらの文献(2012) CELL METABOLISM 16: 153-166を参照されたい。
したがって、いくつかの実施態様において、アクチビン-A又はアクチビン-A受容体、ActRIIB、IL-6又はIL-6受容体(IL-6R)の1以上の阻害剤を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。アクチビンA又はActRIIBの例示的な阻害剤としては、例えば、抗アクチビン-A抗体又はその抗原結合断片、抗ActRIIB抗体又はその抗原結合断片、アクチビン-Aの低分子阻害剤、ActRIIBの低分子阻害剤、並びにActRIIBの「デコイ」受容体、例えば、可溶性ActRIIB受容体及び可溶性ActRIIB受容体とFc分子との融合体(ActRIIB-Fc)が挙げられる。例えば、Zhouらの文献(2010)、上記を参照されたい。IL-6又はIL-6Rの好適な阻害剤としては、抗IL-6抗体又はその抗原結合断片、抗IL-6R抗体又はその抗原結合断片、IL-6の低分子阻害剤、IL-6Rの低分子阻害剤、並びにIL-6Rの「デコイ」受容体、例えば、可溶性IL-6受容体及び可溶性IL-6受容体とFc分子との融合体(IL6R-Fc)が挙げられる。例えば、Enomotoらの文献(2004) BlOCHEM. AND BIOPHYS. RES. COMM. 323: 1096-1 102; Argilesらの文献(2011) EUR. J. PHARMACOL. 668:S81-S86; Tucaらの文献(2013) ONCOLOGY/HEMATOLOGY 88:625-636を参照されたい。IL-6又はIL-6Rの好適な阻害剤としては、例えば、トシリズマブ(Actemra(登録商標)、Hoffmann-LaRoche)、関節リウマチの治療に認可されているヒト化抗IL-6Rモノクローナル抗体、及び関節リウマチの治療のための臨床開発中のヒト化抗IL6R抗体であるサリルマブ/REGN88(Regeneron);及びIL-6産生を阻害することが示されているMEKのアロステリック阻害剤であるセルメチニブ/AZD6244(AstraZeneca)を挙げることができる。Pradoらの文献(2012) BRITISH J. CANCER 106: 1583-1586。
TNFα及びIL-1は、炎症促進性応答の媒介に関与することが知られているサイトカインであり、これらは、筋肉減少、食欲不振、及び悪液質にも関係があるとされる。TNFαの循環レベルの増大は、筋形成を阻害するように見える。「カケクチン」としても知られるTNFαは、インターロイキン-1分泌を刺激し、悪液質の誘導に関係があるとされる。IL-1は、急性期炎症応答の強力な誘因であり、IL-1の注入が著しい体重減少及び食欲の喪失をもたらし得ることが示されている。IL-1は、マウス結腸-26腺癌を担持するマウスにおける癌悪液質のイニシエーションに寄与することが示されている(Strassmannらの文献(1993) J. IMMUNOL. 150:2341)。Mathys及びBilliauの文献(1997) NUTRITION 13 :763-770; Fongらの文献(1989) AM. J. PHYSIOL. - REGULATORY, INTEGRATIVE AND COMPARATIVE PHYSIOL., 256:R659-R665も参照されたい。したがって、関節リウマチの治療において使用されるTNFα阻害剤及びIL-1阻害剤は、悪液質の治療においても有用であり得る。
したがって、いくつかの実施態様において、TNFα又はIL-1の1以上の阻害剤を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。TNFα又はIL-1の好適な阻害剤としては、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片、抗IL-1抗体又はその抗原結合断片、TNFα又はIL-1の低分子阻害剤、並びにTNFα又はIL-1の「デコイ」受容体、例えば、可溶性TNFα又はIL-1受容体及び可溶型のTNFα又はIL-1とFc分子との融合体が挙げられる。TNFαの好適な阻害剤としては、例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標)、Pfizer/Amgen)、インフリキシマブ(Remicade(登録商標)、Janssen Biotech)、アダリムマブ(Humira(登録商標)、Abbvie)、ゴリムマブ(Simponi(登録商標)、Johnson and Johnson/Merck)、及びセルトリズマブペゴール(Cimzia(登録商標)、UCB)が挙げられる。好適なIL-1阻害剤としては、例えば、IL-Iaを標的とするXilonix(登録商標)抗体(XBiotech)、アニキンラ(anikinra)(Kinaret(登録商標)、Amgen)、カナキヌマブ(Ilaris(登録商標)、Novartis)、及びリロナセプト(Arcalyst(登録商標)、Regeneron)が挙げられる。ある実施態様において、通常、関節リウマチの治療のために全身投与されるTNFα阻害剤又はIL-1阻害剤を腫瘍部位に局所的にかつ直接投与することができる。
GDF-8としても知られるミオスタチンは、TGF-βファミリーのペプチドのメンバーであり、ミオスタチン欠損哺乳動物における筋肉量の増加によって示されるように、筋肉量の負の調節因子である。ミオスタチンは、アクチビン2型受容体であるActRIIBのリガンドである。
したがって、いくつかの実施態様において、ミオスタチン又はその受容体の1以上の阻害剤を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。ミオスタチン又はActRIIBの好適な阻害剤としては、抗ミオスタチン抗体又はその抗原結合断片、抗ActRIIB抗体又はその抗原結合断片、ミオスタチンの低分子阻害剤、ActRIIBの低分子阻害剤、並びにGDF-8の「デコイ」受容体、例えば、可溶性ActRIIB及び可溶型のActRIIBとFc分子との融合体が挙げられる。例えば、Lokireddyらの文献(2012) BlOCHEM. J. 446(l):23-26を参照されたい。本方法に好適であり得るミオスタチン阻害剤としては、REGN1033(Regeneron); Bauerleinらの文献(2013) J. CACHEXIA SARCOPENIA MUSCLE: 2013年12月9日~11日、日本の神戸/大阪での第7回悪液質会議の要旨、要旨4-06を参照; Eli Lillyによる臨床開発中のヒト化抗ミオスタチン抗体であるLY2495655(Lilly);ワールドワイドウェブ上のclinicaltrials.gov/ct2/NCT01505530で入手可能な「膵癌を有する参加者におけるLY2495655の第2相試験(A PHASE 2 STUDY OF LY2495655 IN PARTICIPANTS WITH PANCREATIC CANCER)」も参照; NML識別子: NCT01505530; ACE-031(Acceleron Pharma);及びスタムルマブ(Pfizer)が挙げられる。
グレリンもしくはグレリン模倣物、又はグレリン受容体としても知られるGHS受容体(GHS-RIa)を活性化することができる他の成長ホルモン分泌促進物質(GHS)などの薬剤は、ヒトにおける食餌摂取及び体重を増大させるのに有用であり得る。Guilloryらの文献(2013)、ビタミン及びホルモン(VITAMINS AND HORMONES)、第92巻、第3章所収;及びSteinman及びDeBoerの文献(2013)、ビタミン及びホルモン(VITAMINS AND HORMONES)、第92巻、第8章を参照されたい。したがって、いくつかの実施態様において、1以上のグレリンもしくはグレリン模倣物、又は他の成長ホルモン分泌促進物質(GHS)を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。好適なグレリン模倣物としては、アナモレリン(Helsinn, Lugano, CH)が挙げられ; Temelらの文献(2013) J. CACHEXIA SARCOPENIA MUSCLE: 2013年12月9日~11日、日本の神戸/大阪での第7回悪液質会議の要旨、要旨5-01を参照されたい。例えば、PCT公開WO2011/117254号及びWO2012/113103号に記載されている成長ホルモン分泌促進物質受容体グレリン競合アッセイを用いて、他の好適なGHS分子を同定することができる。
低分子及び他の選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)を含むアンドロゲン受容体のアゴニストは、悪液質及び/又はサルコペニアを治療するのに有用であり得る。例えば、Mohlerらの文献(2009) J. MED. CHEM. 52:3597-3617; Nagataらの文献(2011) BIOORGANIC AND MED. CHEM. LETTERS 21 : 1744-1747;及びChenらの文献(2005) MOL. INTERV. 5: 173-188を参照されたい。理想的には、SARMは、筋肉及び骨などの同化作用のある標的組織において、テストステロンのような完全アゴニストとして作用するはずであるが、前立腺組織に対しては部分的な又は純粋なアンドロゲン受容体拮抗活性しか示さないはずである。例えば、Boveeらの文献(2010) J. STEROID BlOCHEM. & MOL. BIOL. 118:85-92を参照されたい。好適なSARMは、例えば、Zhangらの文献(2006) BIOORG. MED. CHEM. LETT. 16:5763-5766;及びZhangらの文献(2007) BIOORG. MED. CHEM. LETT. 17:439-443に記載されている方法及びアッセイを用いて同定することができる。
したがって、いくつかの実施態様において、1以上のアンドロゲン受容体アゴニストを本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。好適なSARMとしては、例えば、GTx-024(エノボサルム、Ostarine(登録商標)、GTx社)、GTx社による第2相臨床開発中のSARMが挙げられる。Daltonらの文献(2011) J. CACHEXIA SARCOPENIA MUSCLE 2: 153-161も参照されたい。他の好適なSARMとしては、2-(2,2,2)-トリフルオロエチル-ベンゾイミダゾール(Ngらの文献(2007) BIOORG. MED. CHEM. LETT. 17: 1784-1787)及びJNJ-26146900(Allanらの文献(2007) J. STEROID BlOCHEM. & MOL. BIOL. 103:76-83)が挙げられる。
β-アドレナリン作動性受容体遮断薬、又はベータ-遮断薬は、悪液質の対象の体重に対するその効果について研究されており、鬱血性心不全を有する患者における悪液質の部分的な回復と関連付けられている。例えば、Hryniewiczらの文献(2003) J. CARDIAC FAILURE 9:464-468を参照されたい。ベータ-遮断薬のMT-102(PsiOxus Therapeutics, Ltd.)は、癌悪液質を有する対象についての第2相臨床試験で評価されている。Coatsらの文献(2011) J. CACHEXIA SARCOPENIA MUSCLE 2:201-207を参照されたい。したがって、いくつかの実施態様において、1以上のβ-アドレナリン作動性受容体遮断薬、又はベータ-遮断薬を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。
メラノコルチンシグナル伝達に遺伝子異常を有するメラノコルチン受容体ノックアウトマウスは、悪液質の表現型とは反対の表現型:食欲の増加、除脂肪ボディマスの増加、及び代謝の減少を示す。そのため、メラノコルチン拮抗作用は、慢性疾患と関連する悪液質の潜在的治療として浮上してきた(DeBoer及びMarksの文献(2006) TRENDS IN ENDOCRINOLOGY AND METABOLISM 17: 199-204)。
したがって、いくつかの実施態様において、メラノコルチンペプチド又はメラノコルチン受容体の1以上の阻害剤を本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて投与する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。メラノコルチン又はメラノコルチン受容体の好適な阻害剤としては、抗メラノコルチンペプチド抗体又はその抗原結合断片、抗メラノコルチン受容体抗体又はその抗原結合断片、メラノコルチンペプチドの低分子阻害剤、メラノコルチン受容体の低分子阻害剤、並びにメラノコルチン受容体の「デコイ」受容体、例えば、可溶性メラノコルチン受容体及び可溶性メラノコルチン受容体とFc分子との融合体が挙げられる。好適なメラコルチン(melacortin)受容体阻害剤としては、例えば、癌関連悪液質のマウスモデルにおいて悪液質関連症状を予防することが示されているメラノコルチン受容体アンタゴニストアグーリ(agouri)関連ペプチド(AgRP(83-132))が挙げられる(Joppaらの文献(2007) PEPTIDES 28:636-642)。
抗癌剤、特に、悪液質を引き起こし、GDF15レベルを上昇させることができる抗癌剤、例えば、シスプラチンを、本開示の方法において、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片と組み合わせて使用する(例えば、それと同時に投与する、その前に投与する、又はその後に投与する)ことができる。多くの癌患者は、そのような療法を忍容する能力を限定し、それゆえ、投薬レジメンを制限し得る、一連の過酷な放射線療法及び/又は化学療法によって衰弱する。フルオロウラシル、アドリアマイシン、メトトレキセート、及びシスプラチンなどの、特定の癌作用物質はそれ自体、例えば、重度の胃腸合併症を誘導することにより、悪液質の一因となり得る。例えば、Inuiの文献(2002) CANCER J. FOR CLINICIANS 52:72-91を参照されたい。抗癌剤が本開示の抗GFRAL抗体と組み合わせて投与される本開示の方法によって、悪液質の発生率及び/又は重症度を減少させ、最終的に、そのような抗癌剤の最大忍容用量を増加させることが可能である。したがって、悪液質を引き起こし得る抗癌剤による治療の効力は、用量を制限する有害作用としての悪液質の発生率を低下させることにより、及びより高用量の所与の抗癌剤の投与を可能にすることにより改善することができる。
したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片を、アクチビン-Aの阻害剤、ActRIIBの阻害剤、IL-6の阻害剤又はIL-6Rの阻害剤、グレリン、グレリン模倣物又はGHS-RIaアゴニスト、SARM、TNFα阻害剤、IL-Iα阻害剤、ミオスタチン阻害剤、ベータ-遮断薬、メラノコルチンペプチド阻害剤、メラノコルチン受容体阻害剤、及び抗癌剤からなる群から選択される薬剤との組合せで含む医薬組成物である。本開示は、哺乳動物の悪液質及び/又はサルコペニアを治療、予防、又は最小化する方法であって、それを必要としている哺乳動物に、本開示の抗GFRAL抗体の有効量を、アクチビン-Aの阻害剤、ActRIIBの阻害剤、IL-6の阻害剤もしくはIL-6Rの阻害剤、グレリン、グレリン模倣物もしくはGHS-RIaアゴニスト、SARM、TNFα阻害剤、IL-Iα阻害剤、ミオスタチン阻害剤、ベータ-遮断薬、メラノコルチンペプチド阻害剤、又はメラノコルチン受容体阻害剤の有効量との組合せで含む医薬組成物(1つ又は複数)を投与することを含む、方法も含む。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、基礎疾患と関連する筋肉量減少を阻害する方法であって、それを必要としている哺乳動物に、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片の有効量を、アクチビン-Aの阻害剤、ActRIIBの阻害剤、IL-6の阻害剤もしくはIL-6Rの阻害剤、グレリン、グレリン模倣物もしくはGHS-RIaアゴニスト、SARM、TNFα阻害剤、IL-Iα阻害剤、ミオスタチン阻害剤、ベータ-遮断薬、メラノコルチンペプチド阻害剤、又はメラノコルチン受容体阻害剤の有効量との組合せで含む医薬組成物(1つ又は複数)を投与して、筋肉量減少を予防又は軽減することを含む、方法である。基礎疾患は、癌、慢性心不全、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、多発性硬化症、関節リウマチ、敗血症、及び結核症からなる群から選択することができる。さらに、いくつかの実施態様において、筋肉量減少は、脂肪量減少を伴う。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、哺乳動物における不随意の体重減少を阻害し又は低下させる方法であって、それを必要としている哺乳動物に、本開示の抗GFRAL抗体の有効量を、アクチビン-Aの阻害剤、ActRIIBの阻害剤、IL-6の阻害剤もしくはIL-6Rの阻害剤、グレリン、グレリン模倣物もしくはGHS-RIaアゴニスト、SARM、TNFα阻害剤、IL-Iα阻害剤、ミオスタチン阻害剤、ベータ-遮断薬、メラノコルチンペプチド阻害剤、又はメラノコルチン受容体阻害剤の有効量との組合せで含む医薬組成物(1つ又は複数)を投与することを含む、方法である。
特定の抗癌剤、例えば、シスプラチンは、悪液質、サルコペニア、筋消耗、骨消耗、又は不随意の体重減少などの1以上の症状を引き起こし又は増大させることを伴う1以上の望ましくない有害作用を有する。したがって、別の態様において、本明細書に提供されるのは、哺乳動物における悪液質、サルコペニアもしくは筋消耗、骨消耗、又は不随意の体重減少の発生、頻度、又は重症度を予防し、最小化し、又は低下させると同時に、癌を治療する方法であって、それを必要としている哺乳動物に、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片の有効量を、1以上の抗癌剤との組合せで含む医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、哺乳動物における悪液質、サルコペニアもしくは筋消耗、骨消耗、又は不随意の体重減少の発生、頻度、又は重症度を予防し、最小化し、又は低下させると同時に、癌を治療する方法は、それを必要としている哺乳動物に、本明細書に記載される抗GFRAL抗体又はその断片の有効量を、哺乳動物における悪液質、サルコペニア、もしくは筋消耗、骨消耗、又は不随意の体重減少の発生、頻度、又は重症度を引き起こし又は増大させることが知られている1以上の抗癌剤との組合せで含む医薬組成物を投与することを含む。
(診断方法及び検出方法)
一態様において、本開示の抗GFRAL抗体及びその断片は、生体試料中のGFRALの存在を検出するのに有用である。そのような抗GFRAL抗体には、ヒトGFRALに結合するものが含まれ得る。本明細書で使用される「検出する」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。ある実施態様において、生体試料は、細胞又は組織を含む。
一態様において、本開示は、生体試料中のGFRALの存在を検出する方法を提供する。ある実施態様において、本方法は、生体試料を、抗GFRAL抗体と、GFRALに対する抗GFRAL抗体の結合が可能な条件下で接触させること、及び複合体が抗GFRAL抗体とGFRALの間で形成されるかどうかを検出することを含む。
一態様において、本開示は、GFRALの発現と関連する障害を診断する方法を提供する。ある実施態様において、本方法は、試験細胞を抗GFRAL抗体と接触させること;GFRALに対する抗GFRAL抗体の結合を検出することにより、試験細胞によるGFRALの発現のレベルを(定量的又は定性的に)決定すること;及び試験細胞によるGFRALの発現のレベルを対照細胞(例えば、試験細胞と同じ組織起源の正常細胞又はそのような正常細胞と同程度のレベルでGFRALを発現する細胞)によるGFRALの発現のレベルと比較することを含み、ここで、対照細胞と比較したときの試験細胞によるGFRALの発現のより高いレベルは、GFRALの発現の増加と関連する障害の存在を示す。ある実施態様において、試験細胞は、GDF15の発現と関連する疾患、障害、もしくは疾病、又はGDF15のインビボ作用を阻害することが望ましい疾患、障害、もしくは疾病を有する疑いのある個体から得られる。ある実施態様において、該疾患、障害、又は疾病は、例えば、不随意の体重減少である。そのような例示的な疾患、障害、又は疾病は、本開示の抗GFRAL抗体を用いて診断することができる。
ある実施態様において、診断又は検出の方法、例えば、上記の方法は、細胞の表面に発現された又はGFRALをその表面に発現する細胞から得られた膜調製物中のGFRALに対する抗GFRAL抗体の結合を検出することを含む。ある実施態様において、本方法は、細胞を、抗GFRAL抗体と、GFRALに対する抗GFRAL抗体の結合が可能な条件下で接触させること、及び複合体が細胞表面で抗GFRAL抗体とGFRALの間で形成されるどうかを検出することを含む。細胞の表面に発現されたGFRALに対する抗GFRAL抗体の結合を検出するための例示的なアッセイは、「FACS」アッセイである。
特定の他の方法を用いて、GFRALに対する抗GFRAL抗体の結合を検出することができる。そのような方法としては、当技術分野で周知である抗原結合アッセイ、例えば、ウェスタンブロット、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイ、及び免疫組織化学(IHC)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、抗GFRAL抗体を標識する。標識には、直接的に検出される標識又は部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識)、並びに間接的に、例えば、酵素反応又は分子相互作用を介して検出される、酵素又はリガンドなどの部分が含まれるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、蛍光団、例えば、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(例えば、米国特許第4,737,456号を参照)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼと共役した複素環オキシダーゼ、例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、抗GFRAL抗体を不溶性マトリックス上に固定化する。固定化は、抗GFRAL抗体を、溶液中に遊離したまま残るGFRALから分離することを必要とする。これは、従来通り、水不溶性のマトリックスもしくは表面への吸着によるもの(例えば、Bennichらの文献、U.S. 3,720,760号を参照)、又は(例えば、グルタルアルデヒド架橋を用いた)共有結合によるもののように、アッセイ手順の前に抗GFRAL抗体を不溶化するか、或いは抗GFRAL抗体とGFRALの複合体の形成後に、例えば、免疫沈降によって、抗GFRAL抗体を不溶化するかのいずれかによって達成される。
診断又は検出の上記の実施態様はいずれも、抗GFRAL抗体の代わりに又はそれに加えて、本開示の免疫コンジュゲートを用いて実施することができる。
(アッセイ)
本開示の抗GFRAL抗体は、当技術分野で公知の様々なアッセイによって、その物理的/化学的特性及び/又は生物活性について特徴付けることができる。
(1.活性アッセイ)
一態様において、生物活性を有するその抗GFRAL抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物活性には、例えば、グルコース及び/又は脂質代謝に対する効果を測定するアッセイが含まれ得る。例えば、血液グルコースアッセイを使用することができる。血液グルコース(例えば、マウス尻尾小片中又はヒト血液試料中)を、製造元の指示に従って、ACCU-CHEK Activeメーター(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)によって読み取られるACCU-CHEK Active試験ストリップを用いて測定することができる。さらに、例えば、脂質プロファイルアッセイを使用することができる。全血(例えば、マウス尻尾小片由来又はヒト血液試料由来)を無地キャピラリーチューブ(BD Clay Adams SurePrep, Becton Dickenson and Co. Sparks, MD)に回収することができる。このチューブをAutocrit Ultra 3(Becton Dickinson and Co. Sparks, MD)中でスピンすることによって、血清及び血液細胞を分離することができる。血清試料を、製造元の指示に従ってIntegra 400 Clinical Analyzer(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)を用いて、脂質プロファイル(トリグリセリド、総コレステロール、HDL、及び非HDL)についてアッセイすることができる。
(2.結合アッセイ及び他のアッセイ)
一態様において、抗GFRAL抗体を、その抗原結合活性について試験する。例えば、ある実施態様において、抗GFRAL抗体を、細胞の表面に発現される外因性又は内在性GFRALに結合するその能力について試験する。FACSアッセイをそのような試験に使用することができる。
GFRALに対して惹起されたモノクローナル抗体のパネルを、それらが認識するエピトープに基づいてグループ分けすることができ、この過程は、エピトープビニングとして知られる。エピトープビニングは、通常、抗体が別の抗体の存在下で抗原と結合する能力を評価する競合アッセイを用いて実施される。例示的な競合アッセイでは、固定化されたGFRALを、GFRALに結合する第1の標識抗体と、GFRALに対する結合を該第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたGFRALを、第1の標識抗体を含むが、第2の未標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。GFRALに対する第1の抗体の結合が可能な条件下でのインキュベーションの後に、過剰の未結合抗体を除去し、固定化されたGFRALと関連する標識の量を測定する。固定化されたGFRALと関連する標識の量が対照試料と比べて試験試料中で実質的に低下している場合、そのことは、第2の抗体がGFRALに対する結合を第1の抗体と競合していることを示す。ある実施態様において、固定化されたGFRALは、細胞の表面に存在するか又はGFRALをその表面に発現する細胞から得られた膜調製物中に存在する。
ハイスループットなエピトープビニングの方法も当技術分野で公知である(例えば、モノクローナル抗体の特徴付けのための多重化競合抗体ビニングの方法を記載している、Jiaらの文献、J. Immunol. Methods 2004, 288(1-2):91-98;及び多重化対形成アッセイによるマウスモノクローナル抗体のエピトープビニングを記載している、Millerらの文献、J. Immunol. Methods 2011, 365(1-2):118-25を参照)。
(3.エピトープマッピング)
エピトープマッピングは、その標的タンパク質抗原上の抗体の結合部位、すなわち、エピトープ(例えば、GFRAL上の抗GFRAL抗体のエピトープ)を同定するプロセスである。抗体エピトープは、線状エピトープ又は立体構造エピトープであり得る。線状エピトープは、タンパク質中のアミノ酸の連続配列によって形成される。立体構造エピトープは、タンパク質配列中では不連続であるが、タンパク質がその3次元構造へとフォールディングしたときに寄せ集められるアミノ酸から形成される。
標的タンパク質抗原上の抗体エピトープのマッピングのための様々な方法が当技術分野で公知である。これらには、突然変異誘発法、ペプチドスキャニング法、ディスプレイ法、質量分析及び構造決定を伴う方法が含まれる。
部位特異的突然変異誘発法は、タンパク質配列に沿って系統的に置換を導入し、その後、抗体結合に対する各々の置換の効果を決定することによって決定的に重要なアミノ酸を同定する、標的化部位特異的突然変異誘発を含む。これは、例えば、Cunningham及びWellsら(1989) Science 244: 1081-1085によって記載された「アラニンスキャニング突然変異誘発」、又はヒトGFRAL中のアミノ酸残基の何らかの他の形態の点突然変異誘発によって行うことができる。しかしながら、突然変異誘発試験では、GFRALの全体的な3次元構造には極めて重要であるが、抗体-抗原接触に直接的には関与しないアミノ酸残基が明らかになることもあり、したがって、この方法を用いて決定された機能的エピトープを確認するために、他の方法が必要となる場合もある。
ショットガン突然変異誘発マッピングでは、標的遺伝子についての包括的プラスミド-突然変異ライブラリーが利用され、該ライブラリー中の各々のクローンは、特有のアミノ酸突然変異を有し、ライブラリー全体は、標的タンパク質中のあらゆるアミノ酸を網羅する。該突然変異ライブラリーを構成するクローンをマイクロプレートに個々に配置し、生きた哺乳動物細胞内で発現させて、対象となる抗体との免疫反応性について試験する。抗体エピトープにとって決定的に重要なアミノ酸を反応性の消失によって同定し、その後、それをタンパク質構造上にマッピングして、エピトープを視覚化する。この解析を自動化することにより、数日から数週間以内に新たなエピトープマップを導き出すことができる。これは、哺乳動物細胞内のタンパク質のネイティブ構造を使用するので、この技法により、線状エピトープ構造と立体構造エピトープ構造の両方を複合タンパク質上にマッピングすることが可能になる(例えば、Paesらの文献、J. Am. Chem. Soc. 131(20): 6952-6954(2009); Banik及びDoranzの文献、Genetic Engineering and Biotechnology News 3(2): 25-28(2010)を参照)。
抗GFRAL抗体によって結合されるエピトープを、ペプチドスキャニング法を用いて決定することもできる。ペプチドスキャニングでは、標的タンパク質であるGFRALの重複するセグメントに由来する短いペプチド配列のライブラリーを、対象となる抗体に結合するその能力について試験する。ペプチドを合成し、「pepscan」法(例えば、WO 84/03564号; WO 93/09872号を参照)と同様に、複数の固相スクリーニング法のうちのいずれかによって、例えば、ELISAもしくはBIACOREを用いて、又はチップ上で、結合についてスクリーニングする(例えば、Reinekeらの文献、Curr. Opin. Biotechnol. 12: 59-64, 2001を参照)。そのようなペプチドスクリーニング法は、いくつかの不連続な機能的エピトープ、すなわち、GFRALポリペプチド鎖の1次配列に沿って連続しているのではないアミノ酸残基を含む機能的エピトープを検出することができない可能性がある。
CLIPS(スキャフォールド上へのペプチドの化学結合)と呼ばれる最近開発された技術を用いて、立体構造エピトープをマッピングすることができる。ペプチドの遊離末端を、スキャフォールド化されたペプチドが無傷タンパク質中の対応する配列と同じ空間構造を取り得るように、合成スキャフォールド上に取り付ける。抗体結合についてアッセイし得る立体構造エピトープを生成させるために、CLIPS技術を用いて、線状ペプチドを固定して環状構造にし(「単一ループ」形式)、タンパク質結合部位の様々な部分を寄せ集める(「二重ループ」形式、「三重ループ」形式など)(例えば、米国特許第7,972,993号を参照)。
本開示の抗GFRAL抗体によって結合されるエピトープを、例えば、上記のようなファージディスプレイ、微生物ディスプレイ、及びリボソーム/mRNAディスプレイを含むディスプレイ法を用いてマッピングすることもできる。これらの方法では、ペプチド断片のライブラリーをファージ又は細胞の表面に提示させる。その後、選択的結合アッセイを用いてこれらの断片に対する抗体をスクリーニングすることにより、エピトープをマッピングする。ファージディスプレイを用いて得られる線状の親和性選択ペプチドに基づく立体構造エピトープの予測を可能にするいくつかの計算ツールが開発されている(例えば、Mayroseらの文献、Bioinformatics 23: 3244-3246, 2007を参照)。ファージディスプレイによる立体構造エピトープの検出のための方法も利用可能である。立体構造エピトープの同定のために、微生物ディスプレイシステムを用いて、適切にフォールディングされた抗原性断片を細胞表面上に発現させることもできる(例えば、Cochranらの文献、J. Immunol. Meth. 287: 147-158, 2004; Rockbergらの文献、Nature Methods 5: 1039-1045, 2008を参照)。
タンパク質分解及び質量分析を伴う方法を用いて、抗体エピトープを決定することもできる(例えば、Baerga-Ortizらの文献、Protein Sci. 2002 June; 11(6): 1300-1308を参照)。限定的なタンパク質分解では、抗原を抗体の存在下及び非存在下で様々なプロテアーゼによって切断し、断片を質量分析によって同定する。エピトープは、抗体結合時にタンパク質分解から保護されるようになる抗原の領域である(例えば、Suckauらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:9848-9852, 1990を参照)。タンパク質分解に基づくさらなる方法としては、例えば、選択的化学修飾(例えば、Fiedlerらの文献、Bioconjugate Chemistry 1998, 9(2): 236-234, 1998を参照)、エピトープ切除(例えば、Van de Waterらの文献、Clin. Immunol. Immunopathol. 1997, 85(3): 229-235, 1997を参照)、及び最近開発された水素-重水素(H/D)交換法(例えば、Flanagan, N.の文献、Genetic Engineering and Biotechnology News 3(2): 25-28, 2010を参照)が挙げられる。
本開示の抗GFRAL抗体によって結合されるエピトープを、X線結晶構造決定(例えば、WO 2005/044853号を参照)、分子モデリング、及び核磁気共鳴(NMR)分光法などの構造的方法によって決定することもでき、これには、遊離している場合及び対象となる抗体との複合体中で結合している場合の不安定なアミド水素のH-D交換率のNMRによる決定が含まれる(例えば、Zinn-Justinらの文献(1992) Biochemistry 31:11335-11347; Zinn-Justinらの文献(1993) Biochemistry 32:6884-6891を参照)。
本開示の抗GFRAL抗体と同じエピトープに結合するさらなる抗体は、例えば、エピトープに対する結合についてGFRALに対して惹起された抗体をスクリーニングすることによるか、エピトープ配列を含むヒトGFRALの断片を含むペプチドで動物を免疫することによるか、又はエピトープ配列に対する結合についてファージディスプレイを用いて抗体を選択することにより得ることができる。同じ機能的エピトープに結合する抗体は、GFRALの生物活性の遮断などの、類似の生物活性を示すと考えてもよく、そのような活性は抗体の機能アッセイによって確認することができる。
(4.さらなる活性アッセイ)
一実施態様において、本開示の抗GFRAL抗体は、GFRALの生物活性を阻害する拮抗性抗体である。本開示の抗GFRAL抗体をアッセイして、それらがGFRALの生物活性を阻害するかどうかを決定することができる。
一態様において、精製された抗GFRAL抗体を、限定されないが、N末端シークエンシング、アミノ酸分析、非変性サイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー、及びパパイン消化を含む、一連のアッセイによってさらに特徴付けることができる。
一実施態様において、本開示は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を保有する改変された抗体を想定しており、該エフェクター機能によって、該抗体は、抗体のインビボでの半減期は重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、補体及びADCC)は不必要又は有害である多くの用途にとって望ましい候補になる。ある実施態様において、所望の特性だけが維持されていることを保証するために、抗体のFc活性を測定する。CDC及び/又はADCC活性の低下/枯渇を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞傷害性アッセイを実施することができる。例えば、抗体がFcγR結合を欠く(それゆえ、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能を保持することを保証するために、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施することができる。対象となる分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイは、例えば、米国特許第5,500,362号又は第5,821,337号に記載されている。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代わりに、又はさらに、対象となる分子のADCC活性を、インビボで、例えば、動物モデル、例えば、Clynesらの文献、PNAS(USA) 95:652-656(1998)に開示されている動物モデルで評価することができる。抗体がC1qに結合することができず、それゆえ、CDC活性を欠くことを確認するために、C1q結合アッセイを実施することもできる。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoroらの文献、J. Immunol. Methods 202: 163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを実施することができる。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定を、当技術分野で公知の方法を用いて実施することもできる。
前述の本開示は、理解しやすいように例証及び例によってある程度詳細に説明されているが、この説明及び例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、引用によりその全体が明示的に組み込まれる。
(実施例)
以下は、本開示の方法及び組成物の実施例である。
(実施例1:抗体の作製)
GFRALタンパク質に対する抗体を、例えば、GFRALタンパク質を発現しているか、RETタンパク質及びGFRALタンパク質を共発現しているか、又はRETタンパク質及びGFRALタンパク質を共発現する細胞上にGDF15タンパク質を架橋している細胞によるマウスの免疫によって作製した。マウスを、GFRAL ECD、GDF15:GFRAL ECD複合体、及び/又はGFRAL ECD Fc融合体:RET ECD Fc融合体によっても免疫した。
例えば、免疫に使用される細胞を次のように調製した。293EXPI(Invitrogen)細胞を、GFRALタンパク質(配列番号1797)をコードする核酸配列で一過性にトランスフェクトするか、又はGFRALタンパク質及びRETタンパク質(配列番号1797及び1813)をコードする核酸配列で共トランスフェクトした。細胞を、GFRAL及びRETの発現について、それぞれの特異的抗体によってFACSにより解析した。細胞をPBS中で2回洗浄し、遠心分離によりペレット化し、膜調製物を作製した。129/B6又はNZBW動物をアジュバントとともに膜調製物で免疫した。好適な力価を誘導するために、動物を追加免疫した。力価をELISA及び/又はFACSにより決定した。リンパ球の単一細胞懸濁液を動物の脾臓及び流入領域リンパ節から好適な力価で得た。細胞をSP2/0骨髄腫細胞と1:12の比で電気融合により融合させた。融合した細胞を、HAT選択の存在下、プレートにプレーティングした。10~14日間培養した後、上清を回収し、GFRALもしくはGFRAL及びRETを過剰発現する293EXPI細胞を用いたCellnSightによる細胞イメージングによるか又はGFRAL-Fcタンパク質もしくはRET及びGFRAL Fc-ヘテロ二量体を用いたELISAによるスクリーニングに供して、結合を確認した。陽性クローンをさらに選択し、サブクローニングに供した。
複数回の免疫及び融合キャンペーンにおいて、10万個を超えるハイブリドーマクローンをスクリーニングし、2000個を上回るクローンを、GDF15結合、細胞ベースのGDF15誘導性シグナル伝達、及び細胞ベースのGDF15非依存的シグナル伝達について選択した。数百個のクローン(例えば、250個)を、結合親和性、ドメインマッピング、及びエピトープ特異性のアッセイを含む、さらなる試験のために選択した。数千のハイブリドーマ上清を、アンタゴニスト及びアゴニスト活性アッセイを含む、機能アッセイでも試験した。数百個のクローンをさらなる試験のために純化した。
(実施例2:抗体のスクリーニング及び選択)
培養から2週間後、ハイブリドーマ上清を、GFRALもしくはGFRAL及びRETを過剰発現する293EXPI細胞を用いたCellnSightによる細胞イメージングによるか又はGFRAL-Fcタンパク質もしくはRET及びGFRAL Fc-ヘテロ二量体を用いたELISAによって、GFRALタンパク質に対するモノクローナル抗体の結合についてスクリーニングした。簡潔に説明すると、細胞イメージングによるスクリーニングのために、293EXPI細胞を、GFRALをコードする核酸配列で一過性にトランスフェクトするか、又はGFRAL及びRETをコードする核酸配列で共トランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を透明底の384ウェルプレートにプレーティングした。トランスフェクションから24時間後に培地を交換した。48時間で、培地をプレートから吸引除去し、ハイブリドーマ上清をウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。その後、A647抗マウスFcをウェルに添加し、室温でもう30分間インキュベートした。Dapi陽性細胞をA647チャンネルのシグナルについて解析した。陽性のA647シグナルはGFRAL結合物質を示す。
簡潔に説明すると、ELISAによるスクリーニングのために、GFRAL-Fcタンパク質又はRET及びGFRAL Fc-ヘテロ二量体をELISAプレートにコーティングした抗ヒトFc試薬によって捕捉した。プレートをPBS/1%BSAを用いてブロッキングした。15μLのハイブリドーマ上清をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、15μLのHRP-抗マウスFc二次抗体をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、15μLのTMBを用いて、プレートを顕色させた。陽性のシグナルは、GFRAL結合物質を示す。
これらのアッセイから、数千個の抗体をGFRALに対する結合物質として同定した。これらの抗体を、結合親和性、ドメインマッピング、エピトープ特異性、並びにアゴニスト及びアンタゴニスト機能についてのアッセイを含む、さらなる試験に供した。数百個の抗体をさらなる試験のために純化した。
さらに、ヒト及びマウスGFRALに対する抗体の結合親和性を測定した。例えば、抗体を、Biacoreによる低分解能KD測定によって、ヒトGFRAL及びマウスGFRALに対するその結合親和性に基づいて順位を序列化した。簡潔に説明すると、抗マウスFc抗体(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を、アミンカップリング試薬(GE Healthcare LifeSciences, Piscataway, NJ)を用いて、CM5チップの4つ全てのフローセル上に固定化した。精製抗体を、フローセル1を参照として用いて、フローセル2、3、及び4上で捕捉した(~100RU)。この後、ヒト又はマウスGFRAL(PBS-Pバッファー中、25nM)を70μL/分の流量で注入し、25℃での結合反応速度をモニタリングした。
結合親和性測定をさらなるBiacoreベースのアッセイでも行った。例えば、平衡解離定数(KD)測定を精製抗体を用いて実施し、ヒトGFRAL又はマウスGFRALに対するその結合を評価した。上述の通り、抗マウスFc抗体(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を、アミンカップリング試薬(GE Healthcare LifeSciences, Piscataway, NJ)を用いて、CM5チップの4つ全てのフローセル上に固定化した。精製抗体を、フローセル1を参照として用いて、フローセル2、3、及び4上で捕捉した(~100RU)。この後、PBS-Pバッファー中のヒト又はマウスGFRALを70μL/分の流量で注入し、結合反応速度を25℃で評価した。
ヒト及びマウスGFRALに対する結合親和性(例えば、K
D(nM))の代表的な結果は、下の表26に示されている。さらに、例示的な抗体について、結合の解離速度(例えば、K
off(1/s))の代表的な結果は、下の表26に示されている。
表26.
NA=適用されない; ND=結合は検出されない
例示的な抗体1C1及び3P10について、親和性は、極めて遅い解離速度によって主に誘発される(例えば、図3参照)。上の表26に示されているGFRALに結合する抗体は、GFRALの最も密接に関連するホモログであるGNFRα1を認識しない(例えば、それに結合しない)。
(実施例3:機能アッセイ)
作製されたGFRALに対する抗体、例えば、実施例1に記載されている抗体などを、その機能活性について、細胞ベースのレポーターアッセイで試験した。
例えば、ヒトGDF15(hGDF15)誘導性ヒトGFRAL/RETシグナル伝達を測定するELK1-ルシフェラーゼレポーターアッセイを、一過性にトランスフェクトされたHEK293を用いて実施した。トランスフェクトするプラスミドは、2つのレポータープラスミドGal4-Elk1及び5×UAS-Luc(Agilent Technologies PathDetect Elk1トランス-レポーティングシステムCat# 219005)、並びにヒトGFRAL(hGFRAL)、カニクイザルGFRAL(cynoGFRAL)、マウスGFRAL(mGFRAL)、又はラットGFRAL(rGFRAL)、及びヒトRET(hRET)、カニクイザルRET(cynoRET)、マウスRET(mRET)、又はラットRET(rRET)をコードするプラスミドからなっていた。これらのアッセイでは、細胞における組換え発現GFRAL/RET受容体複合体のhGDF15誘導性活性化が細胞内シグナル伝達を誘発し、それにより、ERK、次いで、Elk1のリン酸化が引き起こされる。ひとたびGal4-Elk1がリン酸化されると、Gal4-Elk1は、5×UASプロモーター領域に結合し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子転写をオンにする。その後、ルシフェラーゼの活性をルシフェラーゼ酵素アッセイで測定する。
ヒトGFRAL/RETシグナル伝達を阻害するGFRALに対する抗体の代表的な結果を下の表27に示す。
表27
ND=アッセイで遮断は検出されなかった
NP=アッセイは実施されなかった
WB=アッセイで弱い遮断が検出された
いくつかの実験については、上述の4つのプラスミド(例えば、2つのレポータープラスミド、GFRAL、RET)を、FuGene6トランスフェクション試薬(Promega)を用いて、新たに採取された懸濁状態の細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション時のGFRALとRETのDNA比を、表示された種由来の各々の受容体対について最適化し、この比は、12:1~60:1と様々であった。トランスフェクトされた細胞を通常の成長培地に入れて384ウェルプレートに播種した(7500細胞/25μL/ウェル)。37℃で一晩インキュベートした後、連続希釈した抗体と一定濃度のhGDF15の混合物を添加した。抗体とともに37℃で6時間インキュベートした後、等量のBright-Glo試薬(Promega)を添加し、Enspireリーダー(Perkin Elmer)を用いて、発光シグナルを読み取った。
hGDF15作用に拮抗する抗体の同時添加は、hGDF15シグナル伝達を用量依存的に遮断し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を妨げた。
(実施例4:さらなる機能アッセイ)
抗hGFRAL抗体を、そのhGDF15拮抗活性について、さらなる細胞ベースのアッセイ、例えば、hGFRAL及びhRETを安定発現するU2OSアッセイで試験した。アッセイの1日前に、細胞を、90μlのDiscoveRxアッセイ完全細胞プレーティング16試薬(DiscoveRx, Cat#93-0563R16B)中に96ウェルプレートの各々につき20Kでプレーティングした。翌日、細胞を、連続希釈した抗体と一定濃度のhGDF15の混合物で、37℃で10分間処理した。Cis-bio Cellul'erkアッセイキット(Cat# 64ERKPEH)を用いて、製造業者のプロトコルに従って、ERKリン酸化レベルについてアッセイした。Hek293T Elk1レポーターアッセイと同様に、hGDF15拮抗抗体は、hGDF15誘導性リン酸化を用量依存的に妨げることができた。
hGDF15誘導性リン酸化を妨げるGFRALに対する抗体の代表的な結果は、下の表28に示されている。
表28
NP=アッセイは実施されなかった
(実施例5:リガンド競合、ドメインマッピング、及びエピトープビニング)
GFRALに対する結合について選択された抗体を、リガンド競合結合アッセイ、ドメイン及びエピトープビニング実験で評価した。
簡潔に説明すると、リガンド競合結合アッセイは、GFRAL-Fcタンパク質又はRET及びGFRAL Fc-ヘテロ二量体を抗ヒトFcによってELISAプレート上に捕捉することにより実施した。プレートをPBS/1%BSAを用いてブロッキングした。15μLの用量漸増抗体を10μg/mLから始めて3倍希釈でウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。洗浄することなく、ビオチン化GDF15(GFRALリガンド)をウェルにもう1時間添加した。3回の洗浄の後、15μLの二次HRP-ストレプトアビジンをウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。3回の洗浄の後、15μLのTMBを用いて、プレートを顕色させた。陽性シグナルは、ビオチン化GDF15がプレート上に捕捉されたGFRALに依然として結合し、該抗体がリガンド競合因子ではないことを示している。陰性シグナルは、ビオチン化GDF15がプレート上に捕捉されたGFRALにもはや結合せず、該抗体がリガンド競合因子であることを示している。
簡潔に説明すると、ドメインマッピングアッセイは、293EXPI細胞を、GFRAL(配列、GFRALドメイン1、GFRALドメイン2、GFRALドメイン1+2、GFRALドメイン1+3、GFRALドメイン2+3、又はGFRALドメイン3)をコードする核酸配列で一過性にトランスフェクトすることにより実施した。
以下の特色をN-末端からC-末端へと連続的に含む、7つのGFRAL欠失コンストラクト(コンストラクト1~7)を試験した: IgKシグナル配列(下記配列において小文字かつ下線付きの文字によって示されている)、FLAGタグ配列(下記配列において小文字かつイタリック体の文字によって示されている)、及び様々な細胞外ドメイン組合せを有するGFRALタンパク質配列(太字の大文字で示されているドメイン1;下線付きの大文字で示されているドメイン2;太字かつ下線付きの文字で示されているドメイン3)。コンストラクト1(IgK-2Flag-GFRAL;配列番号1817)は、ドメイン1、2、及び3が存在するヒトGDF15ポリペプチド(残基Q20~L394)を含有していた。コンストラクト2(IgK-2Flag-GFRALドメイン1;配列番号1818)は、ドメイン2及び3が欠失しているGFRAL-ΔD2、ΔD3(残基Q20~S130及びF317~L394)を含有していた。コンストラクト3(IgK-2Flag-GFRALドメイン2;配列番号1819)は、ドメイン1及び3が欠失しているGFRAL-ΔD1、ΔD3(残基S121~C210及びF317~L394)を含有していた。コンストラクト4(IgK-2Flag-GFRALドメイン1+2;配列番号1820)は、ドメイン3が欠失しているGFRAL-ΔD3(残基Q20~C210及びF317~L394)を含有していた。コンストラクト5(IgK-2Flag-GFRALドメイン1+3;配列番号1821)は、ドメイン2が欠失しているGFRAL-ΔD2(残基Q20~S130及びC220~L394)を含有していた。コンストラクト6(IgK-2Flag-GFRALドメイン2+3;配列番号1822)は、ドメイン1が欠失しているGFRAL-ΔD1(残基S121~L394)を含有していた。コンストラクト7(IgK-2Flag-GFRALドメイン3;配列番号1823)は、ドメイン2及び3が欠失しているGFRAL-ΔD1、ΔD2(残基A211~L394)を含有していた。
コンストラクト1(IgK-2Flag-GFRAL;配列番号1817)
コンストラクト2(IgK-2Flag-GFRALドメイン1;配列番号1818)
コンストラクト3(IgK-2Flag-GFRALドメイン2;配列番号1819)
コンストラクト4(IgK-2Flag-GFRALドメイン1+2;配列番号1820)
コンストラクト5(IgK-2Flag-GFRALドメイン1+3;配列番号1821)
コンストラクト6(IgK-2Flag-GFRALドメイン2+3;配列番号1822)
コンストラクト7(IgK-2Flag-GFRALドメイン3;配列番号1823)
細胞を1μg/mLの抗体とともに4℃で30分間インキュベートした。洗浄後、細胞をA488又はA647のいずれかの蛍光色素で標識された抗マウスFc二次抗体とともに4℃で30分間インキュベートした。洗浄後、細胞をFACsにより解析した。陽性シグナルは、該抗体がトランスフェクトされた293EXPI細胞によって過剰発現されるドメインに結合することを示している。陰性シグナルは、該抗体がトランスフェクトされた293EXPI細胞によって過剰発現されるドメインに結合しないことを示している。
簡潔に説明すると、エピトープビニングアッセイは、プレートを2ug/mLの抗体(mAb1)で直接コーティングすることにより実施した。プレートをPBS/1%BSAを用いてブロッキングした。2μg/mLの抗体(mAb2)を50ng/mLのGFRAL-Fcタンパク質とともに30分間プレインキュベートした後、ウェルに室温で1時間添加した。3回の洗浄の後、15μLのHRP-抗ヒトFc二次抗体をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。3回の洗浄の後、15μLのTMBを用いて、プレートを顕色させた。陽性シグナルは、GFRAL-Fcタンパク質がプレート上に捕捉された抗体(mAb1)に依然として結合し、抗体(mAb2)が捕捉された抗体(mAb1)と同じエピトープビンに存在しないことを示している。陰性シグナルは、GFRAL-Fcタンパク質がプレート上に捕捉された抗体(mAb1)にもはや結合せず、抗体(mAb2)が捕捉された抗体(mAb1)と同じエピトープビンに属することを示している。
GFRALに対するGDF15結合の阻害、GFRALのドメインマッピング、及びエピトープビニングの代表的な結果を下の表29に示す。
表29
NA=適用されない; ND=結合は検出されない
上の表29に示されているように、GDF15結合を遮断する抗体(例えば、競合的アンタゴニスト)、GDF15結合を遮断しない抗体(例えば、非競合的アンタゴニスト)、及びGDF15結合の部分的ブロッカーを含む、少なくとも3つのクラスの抗GFRAL抗体を同定した。抗体をGFRALのドメイン1、ドメイン2、又はドメイン3に対する結合としても同定した。ドメイン2に結合する抗体は、GFRALに対するGDF15結合を阻害するか、又はこの結合を少なくとも部分的に阻害することが分かった。ドメイン1又は3に結合する抗体は、GFRALに対するGDF15結合を阻害しなかった。
実施例2~4でアッセイされた、上記の例示的な抗GFRAL抗体のアラインメントは、図4A~4Bに示されている。
ドメイン1、ドメイン2、又はドメイン3に結合することが分かった抗体のVH及びVLドメインのアラインメントは、それぞれ、図5A~5Fに示されている。
(実施例6:ヒト化)
実施例1~5に記載されている選択された抗体由来のものを含む、ヒト化抗GFRAL抗体を作製した。例えば、1C1と表記された抗体のCDR(例えば、表1を参照)、25M22と表記された抗体のCDR(例えば、表8を参照)、17J16と表記された抗体のCDR(例えば、表7を参照)、5F12と表記された抗体のCDR(例えば、表4を参照)、及び3P10と表記された抗体のCDR(例えば、表2を参照)を含む、表1~24からの1以上のCDRを含む、例示的なヒト化抗体を作製する。例示的なヒト化抗体1C1、25M22、17J16、5F12、及び3P10のVH及びVL領域の配列は、図6A~6B、7A~7B、8A~8B、9A~9B、及び10A~10Bに示されている。
いくつかの抗GFRAL抗体を、シークエンシング用に、その後、ヒト化用に選択した。NCBI免疫グロブリン(Ig)配列blastp検索を行って、マウスVH及びVL配列と顕著な類似性を有するヒト生殖系列配列を同定した。潜在的なヒトフレームワーク配列の例は、表30に示されている。配列類似性、生物物理学的特性、及び潜在的免疫原性を考慮して、IGH及びIGKの生殖系列配列をヒトフレームワーク配列として選択した。選択された生殖系列配列は、表30中、太字で強調されている。最も良好に一致するフレームワーク4配列を同定するために、同様のアプローチをJH及びJK生殖系列配列の選択に採用した。これらの選択された配列も、表30中、太字で強調されている。
表30
次に、マウス抗体のCDR配列をヒトIGH及びIGKの対応する位置に移転し(例えば、移植し)、フレームワーク4に対応するJ-領域残基を付加した。得られたタンパク質配列をDNA配列に翻訳し直し、哺乳動物細胞での発現用にコドンを最適化し、合成した(GeneArt/LifeTechnologies)。その後、合成されたDNA断片を、In-Fusion技術(Clontech)を用いて、pTT5ベクター(NRC Biotechnology Research Institute)にクローニングし、Kozak配列、hIgKシグナルペプチド、続いて、所望の抗体のヒト化可変領域+該抗体の定常領域(hIgG1/hIgK)を含む発現可能なコンストラクトを作出した。同時に、結合親和性を保持するために、フレームワーク領域中の個々の残基を、マウス残基に復帰突然変異するように選択した。バーニアゾーン残基を特別に考慮した。そのような変異体を部位特異的突然変異誘発(QuickChange, Agilent)又はデノボDNA合成のいずれかによって作出した。その後、そのような発現コンストラクトをExpi293細胞(Thermo Fischer)での一過性タンパク質発現のために使用し、選択された抗体を組織培養上清から精製し、結合親和性について試験した。結合親和性及び必要な復帰突然変異の最小数について最適化するために、通常、2回目のコンストラクト設計を行い、その後、抗体の発現、精製、及び結合親和性の測定を行った。
例示的なヒト化抗GFRAL抗体としては:配列番号1982であるVH(HC-344e)及び配列番号1997であるVL(LC-344h);配列番号1978であるVH(HC-344a)及び配列番号1992であるVL(LC-344c);配列番号1978であるVH(HC-344a)及び配列番号1997であるVL(LC-344h);配列番号1985であるVH(HC-344h)及び配列番号1997であるVL(LC-344h);配列番号1961であるVH(HC-375d)及び配列番号1976であるVL(LC-375j);配列番号1962であるVH(HC-375e)及び配列番号1976であるVL(LC-375j);配列番号1964であるVH(HC-375g)及び配列番号1967であるVL(LC-375a);又は配列番号1964であるVH(HC-375g)及び配列番号1976であるVL(LC-375j)を含む抗体が挙げられる。
(実施例7:ヒト化抗体の選択)
実施例6で同定された例示的なヒト化抗GFRAL抗体をヒトGFRALに対するその結合親和性についてアッセイした。結合親和性測定をBiacoreベースのアッセイで行った。例えば、平衡解離定数(KD)測定を精製抗体を用いて実施し、ヒトGFRALに対するその結合を評価した。実施例IIに記載されている方法を用いて、抗マウスFc抗体(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を、アミンカップリング試薬(GE Healthcare LifeSciences, Piscataway, NJ)を用いて、CM5チップの4つ全てのフローセル上に固定化した。精製ヒト化抗GFRAL抗体を、フローセル1を参照として用いて、フローセル2、3、及び4に捕捉した(~100RU)。この後、PBS-Pバッファー中のヒトGFRALを70μL分の流速で注入し、結合反応速度を25℃で評価した。
ヒトGFRALに対する例示的なヒト化抗GFRAL抗体(例えば、ヒト化3P10及びヒト化5F12)の結合親和性(例えば、K
D(nM))の代表的な結果は、下の表31及び32に示されている。
表31
表32
(実施例8:ヒト化抗体の機能アッセイ)
実施例6及び7に記載されている例示的なヒト化抗GFRAL抗体を、その機能活性について、実施例3に記載されているものと同様の細胞ベースのレポーターアッセイで試験した。
例えば、ヒトGDF15(hGDF15)誘導性ヒトGFRAL/RETシグナル伝達を測定するELK1-ルシフェラーゼレポーターアッセイを、トランスフェクトされたU20S及びHEK293Tを用いて実施した。トランスフェクトするプラスミドは、2つのレポータープラスミドGal4-Elk1及び5×UAS-Luc(Agilent Technologies PathDetect Elk1 trans-レポーティングシステムCat# 219005)、並びにヒトGFRAL(hGFRAL及びヒトRET(hRET)をコードするプラスミドからなっていた。これらのアッセイにおいて、細胞内での組換え発現されたGFRAL/RET受容体複合体のhGDF15誘導性活性化は、細胞内シグナル伝達を誘発し、これにより、ERK、その後、Elk1のリン酸化がもたらされる。ひとたびGal4-Elk1がリン酸化されると、Gal4-Elk1は、5×UASプロモーター領域に結合し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子転写をオンにする。その後、ルシフェラーゼの活性をルシフェラーゼ酵素アッセイで測定する。
ヒトGFRAL/RETシグナル伝達を阻害するGFRALに対する例示的なヒト化抗体(例えば、3P10及び5F12)の代表的な結果は、下の表33及び34並びに図11に示されている。
表33
表34
いくつかの実験については、上述の4つのプラスミド(例えば、2つのレポータープラスミド、GFRAL、RET)を、FuGene6トランスフェクション試薬(Promega)を用いて、新たに回収された懸濁状態の細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション時のGFRALとRETのDNA比を、表示された種由来の各々の受容体対について最適化し、この比は、12:1~60:1と様々であった。トランスフェクトされた細胞を通常の成長培地に入れて384ウェルプレートに播種した(7500細胞/25μL/ウェル)。37℃で一晩インキュベートした後、連続希釈した抗体と一定濃度のhGDF15の混合物を添加した。抗体とともに37℃で6時間インキュベートした後、等量のBright-Glo試薬(Promega)を添加し、Enspireリーダー(Perkin Elmer)を用いて、発光シグナルを読み取った。
hGDF15作用に拮抗するヒト化抗GFRAL抗体の同時添加は、hGDF15シグナル伝達を用量依存的に遮断し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を妨げた。
(実施例9:ヒト化抗体のさらなる機能アッセイ)
例示的なヒト化抗hGFRAL抗体を、そのhGDF15拮抗活性について、さらなる細胞ベースのアッセイ、例えば、実施例4に記載されているようなhGFRAL及びhRETを安定発現するU2OSアッセイで試験した。アッセイの1日前に、細胞を90μlのDiscoveRxアッセイ完全細胞プレーティング16試薬(DiscoveRx, Cat#93-0563R16B)中に96ウェルプレートの各々につき20Kでプレーティングした。翌日、細胞を、連続希釈した抗体と一定濃度のhGDF15の混合物で、37℃で10分間処理した。Cis-bio Cellul'erkアッセイキット(Cat# 64ERKPEH)を用いて、製造業者のプロトコルに従って、ERKリン酸化レベルについてアッセイした。
実施例4に記載されているHek293T Elk1レポーターアッセイと同様に、ヒト化抗hGFRAL抗体(例えば、ヒト化3P10)は、hGDF15誘導性リン酸化を用量依存的に妨げることができた。
hGDF15誘導性リン酸化を妨げるヒト化抗GFRAL抗体の代表的な結果は、下の表35及び図12に示されている。
表35
対照実験において、GFRα1(チップ表面に結合している)は、その天然リガンドGDNF(溶液中、50nM)に対する結合を示した(図13Cを参照)。
例示的なヒト化抗GFRAL抗体(例えば、HC-344e+LC-344h)は、受容体GFRα1に結合しなかったが、hGFRALに対する高親和性結合を示し(図13A及び13B)、GFRALに対する特異性を示した。
(実施例10:動物試験)
抗GFRAL抗体の効果を複数の動物試験で評価した。
(A:抗GFRAL抗体はDIOマウスでGDF15誘導性の体重減少を阻害する(急性))
抗GFRAL抗体が食餌誘導性肥満(DIO)マウスでGDF15誘導性の体重減少効果を中和することができるかどうかを決定するために、17週齢の雄C57BL/6J DIOマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。マウス(41.3g±0.4g)を、例示的な抗GFRAL抗体(例えば、1C1、3P10、17J16、5A20、25M22、5F12、8D8、及び12A3)又は抗GDF15抗体(例えば、1MO3)を受容するように無作為に割り当てた。各々の群は、1群当たり6匹のマウスを有していた。各々の処置群は、それ自体のPBS対照群を有していた。抗体投薬量は20mg/kgであった。PBS又は抗体のいずれかを注射してから1日後、マウスは、3日連続のGDF15タンパク質(例えば、配列番号1811のアミノ酸配列を有する)の注射を0.5mg/kgで受容した。毎日の体重及び食餌摂取を記録した(1~3日目及び7日目)。Sartorius天秤LE5201を計量に使用した。自動計量記録プログラム(Sartorius YSW05 Software Wedge, Sartorius Mechatronics Corporation, 5 Orville Drive, Suite 200 Bohemia, NY 11716)を用いて、重量データをMicrosoft Excelスプレッドシートに自動的に転送した。
データは、未処理の体重、Δ体重変化、及び体重の変化率(すなわち、ベースライン体重に対するΔ体重変化の%)に関して、平均±semによって提示されている。スチューデントのt-検定を使用した(両側、両端)。これらの実験では、P<0.05を統計的に有意とみなした。
例示的な抗GFRAL抗体1C1、3P10、17J16、5A20、25M22、5F12、8D8、及び12A3は、GDF15誘導性の体重減少及び食餌摂取低下を覆すことができる(図14A及び14B)。抗GDF15抗体も、このモデルでGDF15誘導性の体重減少及び食餌摂取低下を覆した。
非競合的抗GFRAL抗体又は競合的抗GFRAL抗体が外因性のGDF15誘導性の体重減少効果を用量依存的に遮断するかどうかを決定するために、19週齢の雄C57BL/6J DIOマウスを使用した。最初に、マウス(43.1g±0.3g)をPBS群(1群当たり8匹のマウス)又はGDF15タンパク質群(例えば、配列番号1811のアミノ酸配列を有する)(0.1mg/kg、1.0mg/kg、又は10mg/kg、1群当たり24匹のマウス)に無作為に割り当てた。GDF15タンパク質は、次の日に体重及び食餌摂取を用量依存的に低下させることが確認された。さらに、GDF15処置群(0.1mg/kg、1.0mg/kg、又は10mg/kg)を、PBS又は例示的な抗GFRAL抗体(例えば、1C1もしくは3P10)を受容するように無作為に割り当てた(1群当たり8匹のマウス)。毎日の体重及び食餌摂取を記録した(1~3日目及び7日目)。
例示的な抗GFRAL抗体は、GDF15によって誘導される体重低下及び食餌摂取低下を覆した(図15及び16)。
(B:抗GFRAL抗体はDIOマウスで体重増加を促進する(慢性))
例示的な抗GFRAL抗体がDIOモデルで外因性GDF15タンパク質とは無関係に体重を増加させることができるかどうかを決定するために、14週齢の雄C57BL/6J DIOマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。マウス(34.5g±0.8g)を、PBS又は週に10mg/kgの例示的な抗GFRAL抗体(例えば、1C1もしくは3P10)のいずれかを受容するように無作為に割り当てた。各々の群は、1群当たり10匹のマウスを有していた。毎日の体重及び食餌摂取を28日間記録した。Sartorius天秤LE5201を計量に使用した。自動計量記録プログラム(Sartorius YSW05 Software Wedge, Sartorius Mechatronics Corporation, 5 Orville Drive, Suite 200 Bohemia, NY 11716)を用いて、重量データをMicrosoft Excelスプレッドシートに自動的に転送した。身体組成もEchoMRIにより評価した。
例示的な抗GFRAL抗体は、DIOマウスで体重(それぞれ、6%及び7%)及び食餌摂取(それぞれ、3.4%及び3.7%)を増加させた(図17及び18)。例示的な抗GFRAL抗体による体重の増加は、主に、脂肪量の増加に起因する(図19)。
(C:抗GFRAL抗体はDIOマウスでGDF-15誘導性ボディマス減少を覆す)
例示的な抗GFRAL抗体がDIOマウスでGDF15誘導性の体重減少効果を中和することができるかどうかを決定するために、17週齢の雄C57BL/6J DIOマウスを使用し(Jackson Labs West, Sacramento, CA)、GDF15を発現する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を構築した。
rAAVの構築を次のように実施した: Phusion(登録商標)高忠実度DNAポリメラーゼを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬キットをNew England BioLabs(F-530L, Ipswich, MA)から購入した。PCR反応を製造業者の指示に従って設定した。Igkシグナルペプチド、続いて、GDF15をコードする配列を含有する増幅されたDNA断片を制限酵素Spe I及びNot Iで消化し(制限部位は、それぞれ、5'又は3'PCRプライマーに含まれた)、その後、同じ制限酵素で消化しておいたAAV導入遺伝子ベクターと連結した。発現用に使用されるベクターは、選択可能マーカーと、クローニングされたコード配列の挿入部位の5'側の強力な真核生物プロモーター、それに続く、3'非翻訳領域、及びウシ成長ホルモンポリアデニル化尾部から構成される発現カセットとを含有していた。
DIOマウスに、高脂肪食(Research Diets、カタログ# D12492NI)を与えた。高脂肪食は、60kcal%の脂肪、20kcal%のタンパク質、及び20kcal%の炭水化物を含有していた。マウスに、上記のrAAV又は緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する対照AAVベクターの1回の尾静脈注射を投与した。GDF15を1×1010で発現するrAAVを注射してから42日後、マウスに、例示的な抗GFRAL抗体(3P10)又は対照抗体(抗KLH抗体)を3mg/kgの用量で投与した。1群当たり20匹のマウスがいた。マウスの体重、除脂肪量及び脂肪量、エネルギー消費量、並びに食餌摂取を12週間にわたってモニタリングした。
図20に示されているように、例示的な抗GFRAL抗体(3P10)はDIOマウスでGDF15誘導性の体重減少並びに脂肪量及び除脂肪量減少を覆した。さらに、図21に示されているように、例示的な抗GFRAL抗体は、GDF15誘導性のエネルギー消費量増加及びGDF15誘導性の食餌摂取低下を覆した。
(D:抗GFRAL抗体は痩せたマウスでGDF-15誘導性のボディマス減少を覆す(慢性))
例示的な抗GFRAL抗体が痩せたマウスでGDF15誘導性の体重減少効果を中和することができるかどうかを決定するために、15週齢の雄C57BL/6Jマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。マウスを普通食で飼育した。実施例11のパートcに記載されているように、マウスに、GDF15を1×1010で発現するrAAV又は緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する対照AAVベクターの1回の尾静脈注射を投与した。GDF15を発現するrAAVを注射してから28日後、マウスに、例示的な抗GFRAL抗体(3P10)又は対照抗体(抗KLH抗体)を3mg/kgの用量で投与した。1群当たり20匹のマウスがいた。マウスの体重、除脂肪量及び脂肪量、エネルギー消費量、並びに食餌摂取を12週間にわたってモニタリングした。
図22に示されているように、例示的な抗GFRAL抗体は、GDF15誘導性の体重減少を覆し、これには、痩せたマウスにおける脂肪量減少と除脂肪量減少の両方の逆戻りが含まれた。さらに、図23に示されているように、例示的な抗GFRAL抗体は痩せたマウスでGDF15誘導性の呼吸交換比(RER)の変化及びGDF15誘導性の食餌摂取低下を覆した。
(E:抗GFRAL抗体は痩せたマウスでGDF15誘導性の体重減少とは無関係に体重を増加させない)
例示的な抗GFRAL抗体が外因性GDF15タンパク質とは無関係に痩せたマウスで体重を増加させることができるかどうかを決定するために、15週齢の雄C57BL/6Jマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。マウス(26.1g±0.3g)を、PBS又は週に10mg/kgの例示的な抗GFRAL抗体(例えば、1C1もしくは3P10)のいずれかを受容するように無作為に割り当てた。各々の群は、1群当たり10匹のマウスを有していた。毎日の食餌摂取及び体重を最初の週に記録し、その後、週に1回、さらに3週間記録した。Sartorius天秤LE5201を計量に使用した。
反復用量の例示的な抗GFRAL抗体1C1及び3P10は、痩せたマウスで体重及び食餌摂取を顕著に変化させることはないが、抗体3P10は、体重を増加させる弱い傾向を示した(図24及び25)。
(F:抗GFRAL抗体は慢性腎傷害を有するマウスで体重減少及びエネルギー消費量増加を覆す)
例示的な抗GFRAL抗体が慢性腎傷害を有するDIOマウスで体重減少及びエネルギー消費量の増加を覆すことができるかどうかを決定するために、15週齢の雄C57BL/6Jマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。HFD+アデニン食(10日間の誘導段階で0.3%、その後、さらに3週間の維持段階で0.1%まで低下させる)を摂取してから5週間後、DIOマウス(26.1g±0.3g)を、対照抗体(抗KLH)又は週に1mg/kgの例示的な抗GFRAL抗体(例えば、3P10)のいずれかを受容するように無作為に割り当てた。各々の群は、1群当たり12匹のマウスを有していた。毎日の体重を最初の週に記録し、その後、週に1回、さらに8週間記録した。Sartorius天秤LE5201を計量に使用した。
図26Aに示されているように、腎機能に対するアデニンの効果を検証するために、10日間の食餌性アデニン(HFD中、0.25%アデニン)による処置は、マウスで腎傷害を誘導することが示された。食餌性アデニンはまた、血清GDF15レベルを増大させ(図26Bを参照)、体重減少を促進した(図26Cを参照)。さらに、食餌性アデニンはマウスでエネルギー消費量を増加させた(図27Aを参照)。
図27Bに示されているように、例示的な抗GFRAL抗体は慢性腎傷害を有するマウスでエネルギー消費量の増加を覆した。さらに、図28に示されているように、例示的な抗GFRAL抗体は慢性腎傷害を有するマウスで体重減少並びに脂肪量及び除脂肪量減少を覆した。
(G:ヒト化抗GFRAL抗体はGDF15誘導性の体重減少を用量依存的に阻害する)
ヒト化抗GFRAL抗体が食餌誘導性肥満(DIO)マウスでGDF15誘導性の体重減少効果を中和することができるかどうかを決定するために、17週齢の雄C57BL/6J DIOマウスを使用した(Jackson Labs West, Sacramento, CA)。最初に、マウス(42g±0.4g)を、PBS(1群当たり8匹のマウス)又はGDF15タンパク質(1群当たり56匹のマウス)のいずれかに無作為に割り当てた。GDF15タンパク質は、次の日に体重及び食餌摂取を用量依存的に低下させることが確認された。さらに、1群当たり8匹のマウスを、ビヒクル(抗KLH)又は1.0mg/kgの投薬量の例示的なマウス抗GFRAL抗体(例えば、m3P10)又は0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kg、3mg/kg、もしくは10mg/kgの投薬量の例示的なヒト化抗GFRAL抗体(例えば、h3P10=HC-344e+LC-344h)のいずれかを受容するように無作為に割り当てた。毎日の体重を記録した(1~7日目)。Sartorius天秤LE5201を計量に使用した。自動計量記録プログラム(Sartorius YSW05 Software Wedge, Sartorius Mechatronics Corporation, 5 Orville Drive, Suite 200 Bohemia, NY 11716)を用いて、重量データをMicrosoft Excelスプレッドシートに自動的に転送した。
データは、Δ体重変化に関して、平均±semによって提示されている。スチューデントのt-検定を使用した(両側、両端)。
例示的なヒト化抗GFRAL抗体HC-344e+LC-344hは、GDF15誘導性の体重減少を用量依存的に阻害することができる(図29)。
(実施例11: GFRAL/GDF15複合体の結晶構造)
(A:複合体形成及び結晶化)
1.2モル濃度の過剰なGFRAL(W115-E351)タンパク質を1モル濃度のGDF15タンパク質サブユニット(1対のジスルフィド結合によって連結された2つのGDF15サブユニットのホモ二量体である、0.5モル濃度のGDF15)と混合することにより、GFRALタンパク質とGDF15タンパク質の複合体を作製した。この複合体をサイズ排除クロマトグラフィーにより精製して、余分なGFRALを除去した。5mg/mlの1μLのタンパク質を、結晶化液滴中で、0.5μLのリザーバ溶液及び0.5μLのシードと混合することにより、GFRAL/GDF15複合体を結晶化させた。このリザーバ溶液は、1.0mLの0.1Mビス-Tris pH 6.0、1.5M (NH4)2SO4、及び10%エチレングリコールを含有していた。種晶は、0.1Mのビス-Tris pH 6.0及び1.5M (NH4)2SO4のリザーバ溶液を含む結晶化条件から得られた。結晶化の設定を、Rigaku 24ウェルクローバーリーフプレートにて、室温で維持した。インキュベーションから3日後、結晶化液滴は、小さい針状結晶を示した。
GFRALタンパク質とGDF15タンパク質の複合体の例示的な小さい針状結晶は、図30に示されている。
GFRALについての分子モデルは利用できなかったので、NaBr浸漬法を用いて、結晶位相を決定した。上記のように得られたGFRAL/GDF15結晶を0.5M NaBr及び0.75M NaBrを含有するリザーバ溶液とともに浸漬させた。30分後、0.5M NaBr浸漬結晶が良好な状態であったのに対し、0.75M NaBr浸漬は亀裂の入った結晶を生じさせた。30%EGを凍結保護物質として用いて、浸漬結晶と非浸漬結晶の両方に由来する結晶を標本化した。
本明細書に記載されるモデルは、GFRALタンパク質と、GFRALタンパク質のGDF15タンパク質に対する結合とについての最初の構造情報を提供するものである。
(B:データ収集及び構造決定)
GFRAL/GDF15複合体結晶を取得し、0.1Mビス-Tris pH 6.0、1.5M (NH4)2SO4、及び10%エチレングリコールリザーバ条件から、0.5M及び0.7M NaBr浸漬液由来の浸漬結晶及び非浸漬結晶として回収した。これらの結晶を、20%エチレングリコールが凍結保護物質として添加された母液で処理し、液体窒素中で瞬間凍結した。その後、これらの結晶をx線回折のためにシンクロトロンビームラインIMCA-CAT, Advanced Photon Source, Argonne National Lab(ALS)で調べた。結晶は、最大2.28~2.20Åの分解能まで回折した。
例示的なGFRAL/GDF15複合体結晶のX線回折統計は、表36に示されている。
表36
†括弧内は、最外殻(highest resolution shell)に対するものである(単位はÅ)。
GFRAL/GDF15の分子置換は、出発モデルとしての3.2Åの分解能での過去に解明されたGFRAL/GDF15複合体に関するスケーリングされたデータセットと剛体精密化とを用いて行い(Vagin, A. A.らの文献(2004)、「REFMAC5辞書:以前の化学的知識の構築及びその使用のためのガイドライン(REFMAC5 dictionary: Organization of prior chemical knowledge and guidelines for its use.)」 Acta Crystallogr. D 60:2284-2295を参照)、初期位置精密化をCCP4で実行されるようにREFMAC5で終了した。数回のモデル再構築により、GFRAL/GDF15複合体の構造が得られた。
GFRALタンパク質とGDF15タンパク質の複合体の例示的な構造は、例えば、図31~39Bに示されている。
初期電子密度図の検証により、GFRAL及びGDF15の明確な密度が示された。剛体精密化後、COOTを用いて、数回のモデル構築及び制限精密化を行った(Emsley, P.及びCowtan, K.の文献(2004)、「COOT:分子グラフィックのためのモデル構築ツール(COOT: model-building tools for molecular graphics.)」 Acta Crystallogr. D 60:2126-2132を参照)。溶媒分子の配置後、最終精密化を終了した。
GFRAL/GDF15複合体のx線回折パターンからの原子座標は、表49に見られる。
例示的な結晶の精密化統計は、表37に示されている。
表37
例示的なGFRAL/GDF15複合体結晶中のGFRALのクリアな電子密度は、図31に示されている。図31は、2.20Åの分解能データを用いて計算され、1σレベルで等高線が付けられたGFRAL分子の電子密度図(2fo-fc)を示している。GFRAL残基が明瞭に視認できる。
(C: GFRAL/GDF15複合体の結晶構造)
GFRALタンパク質とGDF15タンパク質の複合体の結晶構造を決定した。
コア相互作用界面アミノ酸は、GFRAL相互作用タンパク質(例えば、GDF15)から4.5Å以内に少なくとも1つの原子を有する(GFRALなどのタンパク質上の)アミノ酸残基であると決定された。4.5Åは、ファンデルワールス半径+起こり得る水を介した水素結合以内の原子を可能にするコア領域カットオフ距離として選ばれた。
境界相互作用界面アミノ酸は、GFRAL相互作用タンパク質(例えば、GDF15)と相互作用するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸から5Å以内に少なくとも1つの原子を有する(GFRALなどのタンパク質上の)アミノ酸残基と決定された。GFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸から5Å未満の残基に対するタンパク質結合は、GFRAL相互作用タンパク質のファンデルワールス半径以内であるので、5Å以内が境界領域カットオフ距離として選ばれた。
これらの距離基準を満たすアミノ酸をCCG(Chemical Computing Group)の分子操作環境(Molecular Operating Environment)(MOE)プログラムで算定した。
図32は、GFRAL/GDF15タンパク質結晶の非対称単位中に見られるような、ヘテロ二量体GFRAL/GDF15複合体の例示的な図を示している。二量体分子GDF15は、1つの分子間ジスルフィド結合を有しており、これは、放射線損傷のために弱いことが分かった。GDF15分子の一方は非対称単位中に二量体を形成することができる。図33は、GFRAL/GDF15結晶中のGFRAL/GDF15ヘテロ二量体の例示的な二量体配列を示している。
図34A~34Bは、GFRAL-GDF15界面でのタンパク質-タンパク質接触の度合いを示している。GFRAL上の接触領域は、薄い灰色の矢印により示されており; GDF15上の接触領域は、黒の矢印により示されている。
図35は、GFRALの3つのα-ヘリックスがGFRAL/GDF15界面に関与していることを示している。複数のジスルフィド架橋が、これら3つのGFRAL α-ヘリックスの構造配列を安定するように見える。
図36A~36Dは、GFRAL/GDF15界面の異なる側面並びにGFRAL/GDF15界面の形成に関与するGFRALタンパク質及びGDF15タンパク質のコア及び境界アミノ酸残基を示している。GFRALタンパク質及びGDF15タンパク質は、GFRAL/GDF15界面中の残基が空間充填表面表示で示されたリボンダイアグラムとして示されている。図36A~36Cは、GFRALタンパク質及びGDF15タンパク質のコア相互作用界面アミノ酸を示している。図36Dは、境界相互作用界面アミノ酸を示している。
全長前駆体ヒトGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に示されている:
GFRAL/GDF15複合体の界面のGFRALアミノ酸は、表38に示されている。
表38
*配列番号1797によるGFRALアミノ酸付番
成熟ヒトGDF15のアミノ酸配列が以下に示されている:
GFRAL/GDF15複合体の界面のGDF15残基は、表39に示されている。
表39
*配列番号1811によるGDF15アミノ酸付番
(D: GFRAL/RET/GDF15複合体のモデル)
Goodmanらの文献(2014) CELL REPORTS 8, 1894-1904(PDB 4UX8)によって記載されているRET/GFRα1/GDNF三成分複合体を鋳型として用いて、GFRAL/GDF15/RETの複合体のモデルを構築した(GFRAL/GDF15構造からは、例えば、実施例11~13を参照されたい)。RET/GFRα1/GDNF鋳型は、再構築された哺乳動物RET(ECD)-GDNF-GFRα1三成分複合体の電子顕微鏡法による再構築から得られた(Goodmanらの文献、上記)。
実施例12のGFRAL/GDF15結晶構造とRET/GFRα1/GDNF鋳型中のGFRα1/GDNFの構造の構造類似性を比較するために、CCGのMOEを用いて、GFRAL/GDF15結晶中のGFRAL構造をGFRα1/GDNF/RETモデル(PDB 4UX8)のGFRα1と重ね合わせた。質の高い重合せ、その結果として、GFRAL/GFRα1とGFRAL/GDF15複合体の構造類似性が、2.21ÅのGFRAL/GFRα1骨格残基のRMSDによって示された。GFRAL/GDF15構造及びRET構造を含む、この三成分複合体モデルを用いて、GFRALとRETの相互作用を位置付けた。
図37A~37Bは、4XU8におけるGFRALとGFRα1の重合せの例示的な側面を示している。骨格残基のRMSDは、2.21Åであった。
図38A~38Dは、RET/GFRAL/GDF15モデルにおけるGFRALタンパク質とRETタンパク質との相互作用の例示的な側面を示している。図38Aにおいて、モデリングされたGFRAL/GDF15界面で相互作用しているGFRAL残基とGDF15残基が棒モデルによって表示されている。図38Bにおいて、GFRAL上のRET相互作用残基が空間充填表面モデルで示されている。図38Cにおいて、コア相互作用残基の空間充填表面モデルがGFRAL及びRET上で強調されている。図38Dにおいて、境界相互作用残基の空間充填表面モデルがGFRAL及びRET上で強調されている。
図39A~39Bは、モデリングされたRET界面における空間充填表面モデルにおいて同定されたGFRALタンパク質上のコア及び境界アミノ酸残基を示している。図39Aにおいて、モデリングされたGFRAL上のコア残基は、空間充填表面モデルにおいて濃い灰色で示されている。図39Bにおいて、モデリングされたGFRAL上の境界残基は、空間充填表面モデルにおいて薄い灰色で示されている。
このモデリングに基づいて、表40Aに示されているように、RET残基との相互作用に関する、いくつかのGFRAL残基を同定した。さらに、表40Bに示されているように、GFRAL残基との相互作用に関する、いくつかのRET残基を同定した。
表40A
表40B
(実施例12: GFRAL/抗体複合体の結晶構造)
(A1: GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体の複合体形成及び結晶化)
GFRAL(W115-E351)を3P10のFab及び25M22のFabと1:1.2:1.2のモル比のGFRAL:3P10 Fab:25M22 Fabで混合することにより、GFRALタンパク質と3P10 Fabと25M22 Fabの複合体(GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体)を形成させた。この複合体をサイズ排除クロマトグラフィーカラムで余分なFab分子から精製した。GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体を濃縮し、次のように結晶化した。
1.5mLの容量の3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体試料を、10,000 MWCO Centricon(登録商標)濃縮器を用いて、遠心分離により、約6.6mg/mLまで濃縮した。濃縮した試料を、実験1回当たり1μLのタンパク質+1μLのリザーバを用いる結晶化スクリーニングにすぐに供した。リザーバ含有量について階乗ベースの製剤サンプリングにわたる第1セットの96の条件を設定した。結晶化材料一式(crystallization setups)を室温でインキュベートした。Hampton Index及びPegRx 結晶化スクリーンを初回の結晶化で使用した。Hampton Indexスクリーンからはヒット候補が得られなかったのに対し、PegRxスクリーンからは、以下の3つの結晶化条件B11、D11、及びH8の下で、結晶が得られた:
・B11: 0.1M MES pH 6.0、20%PEGMME 2000
・D11: 0.1MイミダゾールpH 7,0、12%、PEG 20,000
・H8: 0.1M TRIS pH 8.0、16%PEG 10,000、0.2M酢酸アンモニウム。
結晶化条件B11、D11、及びH8の下で得られたGFRAL/3P10/25M22 Fab複合体の例示的な結晶は、図40に示されている。
結晶をX線回折用にさらに最適化するために、GFRAL/3P10/25M22複合体を5.0mg/mLまで濃縮し、結晶化及び改善された結晶につながるさらなる最適化の準備をした。一部の改善された結晶は台形の形状を有していた。これらの改善された結晶の一部を採取し、適合する凍結保護物質で処理し、液体窒素中で瞬間凍結した。適合する凍結保護物質の特定及び使用は、試料の結晶度を維持し、かつ質の高いX線回折データセットを収集するために重要であった。0.1MイミダゾールpH 7.0、12%PEG 20,000を含む結晶化条件(D11)から得られた改善された結晶を35%エチレングリコールで処理した。多数の結晶を液体窒素中で瞬間凍結し、X線回折データをシンクロトロン(ALS)で収集した。ある結晶は、約2.9Åの分解能まで回折した。この結晶を用いて、完全なX線回折データセットを収集した。
GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体結晶構造を決定した。GFRAL成分の位置を、3P10及び25M22 Fabと比較した、GRAL中のより大きいα-ヘリックス含有量に基づく分子置換によって明確に特定した。本明細書に記載される例示的な結晶において、1つのGFRAL成分と2つのFab成分(1つの3P10 Fab及び1つの25M22 Fab)が非対称結晶単位中に三成分複合体を形成した。
分子置換を用いて、GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体中のFabを同定した。PDB 1F8Tは、分子置換解析に利用可能な最も近いGFRALホモログであった(GFRALとの~54%の同一性及び~79%の類似性)。構造解明により、全てのFab及びGFRALのアミノ酸位置が明確に示された。1F8T GFRALホモログ構造を手段として用いて、GFRAL/3P10/25M22三成分複合体結晶構造のFab及びGFRAL成分を解明した。この構造において、ストイキオメトリーは、1:1:1の3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fabであると決定された。
(A2: GFRAL/8D8/5f12 Fab複合体の複合体形成及び結晶化)
GFRAL(W115-E351)を8D8のFab及び5F12のFabと1:1.2:1.2のモル比のGFRAL: 8D8 Fab: 5F12 Fabで混合することにより、GFRALタンパク質と8D8 Fabと5F12 Fabの複合体(GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体)を形成させた。この複合体をサイズ排除クロマトグラフィーカラムで余分なFab分子から精製した。GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体を濃縮し、次のように結晶化した。
GFRAL/5F12/8D8 Fab複合体を、10,000 MWCO Centricon(登録商標)濃縮器を用いる遠心分離により濃縮した。濃縮した試料を、実験1回当たり1μLのタンパク質+1μLのリザーバを用いる結晶化スクリーニングにすぐに供した。リザーバ含有量について階乗ベースの製剤サンプリングにわたる96の条件のセットを最初に設定した。結晶化材料一式を室温でインキュベートした。初回スクリーンからの陽性のリードをさらに最適化して、回折解析に適した質の高い結晶を得た。1.5mLの容量の5F12 Fab::GFRAL::8D8 Fab複合体試料を、10000 MWCO Centricon濃縮器を用いて、遠心分離により、約7.8mg/mLまで濃縮する。終了直後に、この試料を、実験1回当たり1μLタンパク質+1μLリザーバを用いる結晶化スクリーニングに供する。リザーバ含有量について階乗ベースの製剤サンプリングにわたる96の条件のセットを最初に設定する。これらの材料一式を室温でインキュベートする。最初に、Hampton Index及びPegRx結晶化スクリーンを結晶化に使用し、Index及びPegRxにより、以下の3つの結晶化条件C6、E11、及びC2で結晶が得られた:
・C6: 0.1Mビス-Tris pH 6.5、14%PEG 3350
・E11: 1.7M AmSO4、0.1Mビス-Tris pH 6.5、3%PEG MME 550
・C2: 0.1MイミダゾールpH 7.0、20%Jeffamine 2001。
図41に示されるように、予備的結晶が得られた。
PegRx C6及びC2結晶化条件の最適化を、好適な回折単結晶を生じるマイクロシーディング技法により実施した。これらの好適な回折単結晶は、0.1MイミダゾールpH 7.0、20%Jeffamine 2001 pH 7.0を含む10%エチレングリコール中に得られる六角錐形状を有する。これらの結晶の一部を採取し;適合する凍結保護物質で処理し;液体窒素中で瞬間凍結した。適合する凍結保護物質の使用は、実効性のあるデータセットをもたらす試料の結晶度を維持するために重要である。結晶を0.1MイミダゾールpH 7.0、20%Jeffamine 2001 pH 7.0から得られる20%MPDで処理した。
(B1: GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体のデータ収集及び構造決定)
X線回折データを、GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体の20個の結晶について、シンクロトロン(ALS)で収集した。最初の10個の結晶から、1つの完全なデータセットが3.17Åの分解能で得られた。さらに最適化された10個の追加の結晶は2.9Åまで回折し、このデータセットを構造決定及び精密化に使用した。X線回折データをDENZOを用いてインデキシングし、その後、プログラムスーツHKL2000のSCALEPACKで積分及びスケーリングした。Otwinowski Z.及びMinor W.の文献、「振動モードで収集されたX線回折データの処理(Processing of X-ray Diffraction Data Collected in Oscillation Mode)」、Methods in Enzymology、第276巻:高分子結晶学(Macromolecular Crystallography)、パートA、p.307-326, 1997, C.W. Carter, Jr. & R. M. Sweet編、Academic Press(New York)を参照されたい。選択された結晶のX線回折は、直方晶系ブラベ格子対称性を有するものと同定された。空間群は、(h,0,0)軸、(0,k,0)軸、及び(0,0,l)軸に沿った消滅則に基づいてP212121であると決定された。マシュー係数の解析から、結晶の非対称単位が約124.4kDa及び対応する56%の溶媒含有量を有する1つの集合体を収容し得ることが示唆される。
例示的なGFRAL/3P10/25M22 Fab複合体結晶のX線回折統計は、表41に示されている。
表41
†括弧内は、最外殻に対するものである(単位はÅ)。
スケーリングしたデータセットを、先に解明されたGFRAL(実施例12、パートCを参照)及び79%相同な1F8TのGFRAL構造とともに、プログラムPHASERにおける出発モデルとして用いて、GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体の分子置換を行った。40~3.5Åの分解能に及ぶデータから、1つのGFRALと1つのFabが得られた。Molrepにより、構造解でもう1つのFabが得られた。この解は、非対称単位中に1つのGFRALと2つのFabの複合体を有していた。この解をREFMACを用いて精密化した。COOTをモデル構築に使用した。精密化密度は、Fab及びGFRAL中の欠けたループを明確に示している。いくつかの溶媒分子を配置した後、最終的な精密化を終了した。
GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体のx線回折パターンからの原子座標は、表50に見られる。
GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体結晶構造の例示的な精密化統計は、表42に示されている。
表42
GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体中の3P10及び25M22 Fab断片の各鎖のCDR領域の明瞭な電子密度は、図42に示されている(重み付け電子密度2mFo-DFc、1.0σ等高線レベル)。3P10鎖及び25M22鎖は、いくつかの末端残基が電子密度中に同定されない3P10重鎖(鎖-H)の領域131~137を除いて、電子密度中に明瞭に同定された。
(B2: GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体のデータ収集及び構造決定)
結晶をAPSのシンクロトロンで調べた。25個のそのような結晶をx線回折のために調べた。16個の結晶をシンクロトロンに最初に送付し、それにより、>5Åの回折が得られ、2回目の最適化した結晶を構造決定及び精密化に使用される3.5Åまで回折した。X線回折データをDENZOを用いてインデキシングし、プログラムスーツHKL2000のSCALEPACKで積分及びスケーリングした(Otwinowski及びMinorの文献、1997)。選択された結晶のX線回折は、直方晶系ブラベ格子対称性を有するものと同定された。空間群は、(h,0,0)軸に沿った消滅則に基づいてP6522であると決定された。マシュー係数の解析から、結晶の非対称単位が約246.6kDa及び対応する61%の溶媒含有量を有する1つの集合体を収容し得ることが示唆される。構造解をエナンチオマー空間群P6122を用いてチェックし、これにより、剛体精密化及び制限精密化において、極めて悪いRfactor及びRfreeが与えられた。
GFRAL/8D8/5F12複合体結晶のX線回折統計は、表43に示されている。
表43
†括弧内は、最外殻に対するものである(単位はÅ)。
スケーリングしたデータセットを、先に解明された8D8に使用されたfab pdb:3IU4(89%相同)及び5F12に使用されたpdb:4M7K(84%相同)とともに、プログラムPHASERにおける出発モデルとして用いて、Fab/受容体の分子置換を行った。40~5.0Åの分解能に及ぶデータから、1つの受容体と2つのFabの2つの集合体が得られた。この解は、非対称単位中に2つの受容体と4つのFabの複合体を有していた。この解をREFMACを用いて精密化し、COOTをモデル構築に使用した。
構造解をエナンチオマー空間群P6122を用いてチェックした。Molrepにより、2つの受容体と4つのFabの複合体が得られた。精密化のためにRefmacにさらに提出されるMolrepモデルにより、最終的に、極めて悪いRfactor及びRfreeが得られ、これにより、剛体精密化及び制限精密化において、現在の空間群がP6522であることが確認される
GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体のx線回折パターンからの原子座標は、表51に見られる。
GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体結晶構造の例示的な精密化統計は、表44に示されている。
表44
GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体中の1つのGFRALタンパク質と8D8及び5F12 Fab断片(2つのFab鎖)の明瞭な電子密度は、図43に示されている(重み付け電子密度2mFo-DFc、1.0σ等高線レベル)。精密化密度は、Fab及び受容体分子中のループの大部分を明瞭に示している。5F12及び8D8鎖は、鎖-I(5F12 vH)のアミノ酸139~142、鎖-R(8D8 vH)のアミノ酸132~136、及び鎖-U(8D8 vL)の131~136アミノ酸の領域を除いて、電子密度中に明瞭に同定され、並びにいくつかの末端残基は、該密度中に同定されなかった。
(C1: GFRAL/3P10/25M22 Fab複合体の結晶構造)
3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体の結晶構造を決定した。
3P10 Fab及び25M22 Fabのアミノ酸配列が以下に示されており、VH及びVL配列は太字になっており、CDR領域は、太字でかつ下線が付されている。
図44は、リボンダイアグラムによる3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体の側面を示している。Fab断片は、3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体結晶中でGFRALの非対称単位と相互作用する。この結晶構造は、GFRALエピトープ残基290~312が3P10抗体に提示され、GFRAL N-末端エピトープ残基130~157が25M22抗体の重鎖CDR領域に提示されることも示した。
図45は、3P10及び25M22 FabのCDR領域を示しており、相互作用するGFRAL及びFab残基が囲みの中で強調されている。
図46~48は、3P10及び25M22L FabとのGFRAL相互作用の側面をリボンダイアグラムで示しており、選択されたアミノ酸残基が棒モデルとして示されている。例えば、図46は、3P10重鎖CDR領域の近くにあるGFRALエピトープの側面を示している。3P10 HcのCDR配列は、図45に示されている。別の例として、図47は、3P10軽鎖CDR領域の近くにあるGFRALエピトープの側面を示している。3P10 LcのCDR配列は、図45に示されている。別の例として、図48は、25M22重鎖CDR領域の近くにあるGFRALエピトープの側面を示している。25M22 LcのCDR配列は、図45に示されている。
3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体結晶構造中の25M22 Fabに提示されたGFRALエピトープの解析により、25M22の作用機序が競合的GDF15阻害剤の作用機序であり、GFRALに対するGDF15結合の遮断を伴うことが示された。GFRALタンパク質上の並びに重鎖及び軽鎖の25M22 Fab CDR上の例示的なコア相互作用界面アミノ酸は、図49に示されている。
図50A及び50Bは、GFRAL/25M22 Fab相互作用界面のコアアミノ酸残基を示している。図50Aは、GFRAL上のコア25M22相互作用界面アミノ酸(結合エピトープ)が空間充填表面モデルで強調されているGFRALの構造を示している。GFRALに対する25M22 CDR上のコア界面アミノ酸も空間充填表面モデルで強調されている。図50Bは、GFRAL(GFRALエピトープ残基)上のコア25M22 Fab相互作用界面アミノ酸が空間充填表面モデルで強調されているリボンダイアグラム中のGFRALの構造を示している。
図51は、GFRAL/25M22 Fab結合のためのGFRAL上の境界相互作用界面アミノ酸を示している。(25M22 Fab結合のための)GFRAL上の相互作用界面アミノ酸の境界は、空間充填表面モデルとして強調されている。
図52~53は、GFRAL上での25M22 Fab及びGDF15結合のためのGFRALエピトープの重複を示している。GFRALリボンダイアグラムの2つの側面図は、図52の左右のパネルに示されている。図53は、25M22 Fab及びGDF15結合のための重複するGFRALエピトープの上面図を示している。25M22 Fab及びGDF15結合のためのGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基が空間充填表面モデルで強調されている。薄灰色の表面陰影部が25M22 Fabによって覆われたGFRAL表面を表しているのに対し、濃灰色の表面陰影部(黒の矢印で強調されている)は、GDF15によって覆われたGFRAL表面を示している。
GFRAL/25M22 Fab複合体の界面のGFRALアミノ酸は、表45に示されている。GFRAL/25M22 Fab及びGFRAL/GDF15複合体中の相互作用界面アミノ酸を比較するために、表45は、表38にも示されているGFRAL/GDF15複合体の界面のGFRALアミノ酸をさらに記載している。表45は、GDF15に結合するGFRAL上の全てのコア相互作用界面アミノ酸残基がGFRAL/25M22 Fab相互作用におけるコア相互作用界面アミノ酸でもあることを示している。
全長前駆体ヒトGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に示されている(実施例12、パートCも参照):
表45
*配列番号1797によるGFRALアミノ酸付番
3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体結晶構造中の3P10 Fabに提示されたGFRALエピトープの解析により、3P10の作用機序が非競合的GDF15阻害剤の作用機序であり、GFRALに対するGDF15結合の遮断を伴わないことが示された。GFRALタンパク質上の並びに重鎖及び軽鎖の3P10 Fab CDR上の例示的なコア相互作用界面アミノ酸は、図54に示されている。
図55A~55Bは、GFRAL及び3P10 Fab上の相互作用界面残基を棒モデル(図55A)又は空間充填表面モデル(図55B)として示している。
図56A~56Bは、3P10 Fab結合のためのGFRAL上のコア(図56A)及び境界(図56B)相互作用界面アミノ酸(GFRALの構造的3P10結合エピトープ)を空間充填表面モデルで示している。
図57は、GFRAL上の3P10 Fab及びRETのためのGFRALエピトープの部分重複を示している。GFRALリボンダイアグラムの2つの側面図は、図57の左右のパネルに示されている。3P10 Fab及びRET結合のためのGFRAL上の相互作用界面アミノ酸残基は、空間充填表面モデルで強調されている。
図58は、GFRAL上での25M22 Fab及び25M22 Fab結合のためのGFRALエピトープの重複を示している。GFRALリボンダイアグラムの上面図及び下面図は、図58の左パネル(上面図)及び右パネル(下面図)に示されている。25M22 Fab及び25M22 Fab結合に関与するGFRAL上の境界相互作用界面残基が空間充填表面モデルとして示されている。
GFRAL/3P10 Fab複合体の界面のGFRALアミノ酸は、表46に示されている。GFRAL/3P10 Fab及びGFRAL/RET複合体中の相互作用界面アミノ酸を比較するために、表446は、表40Aにも示されているGFRAL/RET複合体の界面のGFRALアミノ酸をさらに記載している。表46は、RETと3P10 Fabの両方に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基を太字で示している。
表46
RETと3P10 Fabの両方に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基は、太字で示されている。
(C1: GFRAL/8D8/5F12 Fab複合体の結晶構造)
8D8 Fab::GFRAL::5F12 Fab複合体の結晶構造を決定した。
8D8 Fab及び5F12 Fabのアミノ酸配列が以下に示されており、VH及びVL配列は太字になっており、CDR領域は、太字でかつ下線が付されている。
図59は、3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体の側面をリボンダイアグラムによって示している。Fab断片は、3P10 Fab::GFRAL::25M22 Fab複合体結晶中でGFRALの非対称単位と相互作用する。結晶構造から、GFRALエピトープ残基290~312が3P10抗体に提示されており、かつGFRAL N-末端エピトープ残基130~157が25M22抗体重鎖CDR領域に提示されていることも示された。
図60は、GFRALタンパク質上の8D8 Fab及び5F12 Fab結合部位を示している。Fab結合に重要であるGFRALタンパク質上の残基は、棒モデルとして示されている。
8D8 Fab::GFRAL::5F12 Fab複合体結晶構造中で8D8 Fabに提示されたGFRALエピトープの解析により、8D8の作用機序が競合的GDF15阻害剤の作用機序であり、GFRALに対するGDF15結合の遮断を伴うことが示された。GFRALタンパク質上の並びに重鎖及び軽鎖の8D8 Fab CDR上の例示的なコア相互作用界面アミノ酸は、図61に示されている。
図62A、62B、62C、及び62Dは、GFRAL/8D8 Fab相互作用界面のコア及び境界アミノ酸残基を示している。図62Aは、GFRAL上のコア8D8相互作用界面アミノ酸(GFRALエピトープ残基)が空間充填表面モデルで強調されているGFRALの構造を示している。図62Bも、8D8によって覆われたGFRAL上のコア界面アミノ酸を空間充填表面モデルで示している。図62Cは、GFRAL上の境界8D8 Fab相互作用界面アミノ酸(GFRALエピトープ残基)が空間充填表面モデルで強調されているリボンダイアグラム中のGFRALの構造を示している。図62Dも、8D8によって覆われたGFRAL上の境界界面アミノ酸を空間充填表面モデルで示している。
図63A、63B、63C、及び63Dは、GFRAL/5F12 Fab相互作用界面のコア及び境界アミノ酸残基を示している。図63Aは、GFRAL上のコア5F12相互作用界面アミノ酸(GFRALエピトープ残基)が空間充填表面モデルで強調されているGFRALの構造を示している。図63Bも、5F12によって覆われたGFRAL上のコア界面アミノ酸を空間充填表面モデルで示している。図63Cは、GFRAL上の境界5F12 Fab相互作用界面アミノ酸(GFRALエピトープ残基)が空間充填表面モデルで強調されているリボンダイアグラム中のGFRALの構造を示している。図63Dも、5F12によって覆われたGFRAL上の境界界面アミノ酸を空間充填表面モデルで示している。
GFRAL/8D8 Fab複合体の界面のGFRALアミノ酸は、表47に示されている。GFRAL/8D8 Fab及びGFRAL/GDF15複合体中の相互作用界面アミノ酸を比較するために、表47は、表38にも示されているGFRAL/GDF15複合体の界面のGFRALアミノ酸をさらに記載している。表47は、GDF15に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基がGFRAL/8D8 Fab相互作用においてコア相互作用界面アミノ酸と重複することを示している。
全長前駆体ヒトGFRALタンパク質のアミノ酸配列が以下に示されている(実施例12、パートCも参照):
表47
GDF15と8D8 Fabの両方に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基が太字で示されている。
5F12 Fab::GFRAL::8D8 Fab複合体結晶構造中の5F12 Fabに提示されたGFRALエピトープの解析により、5F12の作用機序が非競合的GDF15阻害剤の作用機序であり、GFRALに対するGDF15結合の遮断を伴わないことが示された。GFRALタンパク質上の並びに重鎖及び軽鎖の5F12 Fab CDR上の例示的なコア相互作用界面アミノ酸が、図64に示されている。
GFRAL/5F12 Fab複合体の界面のGFRALアミノ酸は、表48に示されている。GFRAL/5F12 Fab及びGFRAL/RET複合体中の相互作用界面アミノ酸を比較するために、表48は、表40Aにも示されているGFRAL/RET複合体の界面のGFRALアミノ酸をさらに記載している。表48は、青の背景で満たされた胞の中でRETと5F12 Fabの両方に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基を示している。GFRAL/5F12相互作用に極めて重要なGFRAL上の残基:GFRAL上の5F12結合エピトープから、GFRAL/RET相互作用を遮断する非競合的阻害作用機序が明らかになる。
表48
RETと5F12 Fabの両方に結合するGFRAL上のコア相互作用界面アミノ酸残基が太字で示されている。GFRAL中の灰色の背景色の残基は、GFRAL上の3P10結合エピトープとRET結合エピトープの間の重複残基である。
本明細書に記載される全ての参考文献の内容は、引用により本明細書中に組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
GFRALタンパク質に結合し、かつ
a.該GFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合を阻害し;かつ/又は
b.該GFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合を阻害する、
モノクローナル抗体又はその断片。
(構成2)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン1内の1以上のアミノ酸残基に結合する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成3)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン2内の1以上のアミノ酸残基に結合する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成4)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン3内の1以上のアミノ酸残基に結合する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成5)
前記GDF15タンパク質、前記GFRALタンパク質、及び/又は前記RETタンパク質を含む複合体の形成を阻害する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成6)
前記GDF15タンパク質と前記GFRALタンパク質の相互作用を妨害する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成7)
前記RETタンパク質と前記GFRALタンパク質の相互作用を妨害する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成8)
前記GDF15タンパク質の活性、又は該GDF15タンパク質、前記GFRALタンパク質、及び/もしくは前記RETタンパク質を含む複合体の活性及び/もしくはシグナル伝達を調節する、構成1記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成9)
GFRALタンパク質に結合し、かつ以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む、モノクローナル抗体又はその断片:
a.該GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン1内の1以上のアミノ酸残基に結合する;
b.該GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン2内の1以上のアミノ酸残基に結合する;
c.該GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン3内の1以上のアミノ酸残基に結合する;
d.該GFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合を阻害する;
e.該GFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合を阻害する;
f. GDF15タンパク質、GFRALタンパク質、及び/又はRETタンパク質を含む複合体の形成を阻害する;
g. GDF15タンパク質と該GFRALタンパク質の相互作用を妨害する;
h. RETタンパク質と該GFRALタンパク質の相互作用を妨害する;
i. GDF15タンパク質、GFRALタンパク質、及び/又はRETタンパク質を含む複合体の活性及び/又はシグナル伝達を調節する。
(構成10)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基Q20~E351の間の及び該残基Q20~E351を含むアミノ酸配列に結合する、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成11)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基Q20~S130の間の及び該残基Q20~S130を含むアミノ酸配列に結合する、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成12)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基C131~C210の間の及び該残基C131~C210を含むアミノ酸配列に結合する、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成13)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基C220~C316の間の及び該残基C220~C316を含むアミノ酸配列に結合する、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成14)
a.以下のもの:
i.配列番号49、57、488、489、490、491、492、493、494、495、496、1795、及び1796からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、及び514からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、及び530からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、及び546からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、及び557からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号558、559、560、561、562、563、534、565、566、567、568、及び569からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成15)
a.以下のもの:
i.配列番号49、57、488、489、490、491、492、493、494、495、496、1795、及び1796からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、及び514からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、及び530からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域
:を含む、構成14記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成16)
a.以下のもの:
i.配列番号531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、及び546からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、及び557からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号558、559、560、561、562、563、534、565、566、567、568、及び569からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成14記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成17)
a.以下のもの:
i.配列番号570~578からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号579~602からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号603~1726からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、及び
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4;
を含むVH領域
並び/又は
b.以下のもの:
i.配列番号1729~1750からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751~1777からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778~1792からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、及び
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4
を含むVL領域
:をさらに含む、構成14~16のいずれか一項記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成18)
a.以下のもの:
i.配列番号570~578からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号579~602からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号603~1726からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、及び
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4
を含むVH領域
:をさらに含む、構成17記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成19)
a.以下のもの:
i.配列番号1729~1750からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751~1777からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778~1792からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、及び
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4
を含むVL領域
:をさらに含む、構成17記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成20)
a.以下のもの:
i.配列番号41、42、43、44、45、49、51、52、53、54、55、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、82、83、84、85、100、101、102、103、104、110、111、112、113、114、115、116、117、118、及び119からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号132、133、134、135、136、142、143、144、145、146、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、196、197、198、199、200、201、202、203、204、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号221、222、223、224、229、230、231、232、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、257、258、259、260、277、278、279、280、281、282、283、及び284からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号297、298、299、300、305、306、307、308、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、333、334、335、336、353、354、355、356、357、358、359、及び360からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号373、374、375、379、380、381、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、398、399、400、407、410、411、412、413、414、及び415からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号423、424、425、429、430、431、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、450、451、452、465、466、467、468、469、及び470からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成21)
a.以下のもの:
i.配列番号41、42、43、44、45、49、51、52、53、54、55、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、82、83、84、85、100、101、102、103、104、110、111、112、113、114、115、116、117、118、及び119からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号132、133、134、135、136、142、143、144、145、146、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、196、197、198、199、200、201、202、203、204、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号221、222、223、224、229、230、231、232、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、257、258、259、260、277、278、279、280、281、282、283、及び284からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域
:を含む、構成20記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成22)
a.以下のもの:
i.配列番号297、298、299、300、305、306、307、308、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、333、334、335、336、353、354、355、356、357、358、359、及び360からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号373、374、375、379、380、381、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、398、399、400、407、410、411、412、413、414、及び415からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号423、424、425、429、430、431、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、450、451、452、465、466、467、468、469、及び470からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成20記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成23)
a.以下のもの:
i.配列番号49、60、61、62、63、69、70、及び71からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号152、153、154、155、156、161、162、163、164、及び165からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号237、238、239、240、245、246、247、及び248からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号313、314、315、316、321、322、323、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号385、386、387、391、及び392からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号435、436、437、441、442、及び443からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成24)
a.以下のもの:
i.配列番号41、42、43、44、45、49、51、52、53、54、55、64、65、66、67、68、72、73、74、75、76、82、83、84、85、100、101、102、103、104、110、111、112、113、114、115、116、117、118、及び119からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号132、133、134、135、136、142、143、144、145、146、157、158、159、160、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、196、197、198、199、200、201、202、203、204、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号221、222、223、224、229、230、231、232、241、242、243、244、249、250、251、252、257、258、259、260、277、278、279、280、281、282、283、及び284からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号297、298、299、300、305、306、307、308、317、318、319、320、325、326、327、328、333、334、335、336、353、354、355、356、357、358、359、及び360からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号373、374、375、379、380、381、386、388、389、390、393、394、398、399、400、407、410、411、412、413、414、及び415からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号423、424、425、429、430、431、438、439、440、444、445、446、450、451、452、465、466、467、468、469、及び470からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成25)
a.以下のもの:
i.配列番号72、73、74、75、及び76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号166、167、168、169、及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号249、250、251、及び252からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号325、326、327、及び328からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号386、393、及び394からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号444、445、及び446からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成24記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成26)
a.以下のもの:
i.配列番号64、65、66、67、及び68からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号157、158、159、160、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号241、242、243、及び244からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号317、318、319、及び320からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号388、389、及び390からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号438、439、及び440からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成24記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成27)
a.以下のもの:
i.配列番号570~572及び578からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号579~581、589、590、592、601、及び602からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号603~1643、1679~1714、1723~1726からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、並びに
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4;
を含むVH領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号1729~1732、1735~1740、1749、及び1750からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751~1773、1776、及び1777からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778~1780及び1792からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、並びに
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR
を含むVL領域
:をさらに含む、構成20~26のいずれか一項記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成28)
a.以下のもの:
i.配列番号570~572及び578からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号579~581、589、590、592、601、及び602からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号603~1643、1679~1714、1723~1726からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、並びに
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4
を含むVH領域
:をさらに含む、構成27記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成29)
a.以下のもの:
i.配列番号1729~1732、1735~1740、1749、及び1750からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751~1773、1776、及び1777からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778~1780及び1792からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、並びに
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4
を含むVL領域
:をさらに含む、構成27記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成30)
a.以下のもの:
i.配列番号46、47、48、49、50、56、57、58、59、73、75、91、92、93、94、95、96、97、98、99、124、125、126、127、128、129、130、及び131からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号137、138、139、140、141、147、148、149、150、151、182、183、184、185、186、187、188、189、190、210、211、212、213、214、215、216、217、218、及び219からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号225、226、227、228、233、234、235、236、265、266、267、268、269、270、271、272、289、290、291、292、293、294、295、及び296からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号301、302、303、304、309、310、311、312、341、342、343、344、345、346、347、348、365、366、367、368、369、370、371、及び372からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号376、377、378、382、383、384、385、386、403、404、405、406、418、419、420、421、及び422からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号426、427、428、432、433、434、456、457、458、459、460、461、474、475、476、477、478、及び479からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成9記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成31)
a.以下のもの:
i.配列番号46、47、48、49、50、56、57、58、59、73、75、91、92、93、94、95、96、97、98、99、124、125、126、127、128、129、130、及び131からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号137、138、139、140、141、147、148、149、150、151、182、183、184、185、186、187、188、189、190、210、211、212、213、214、215、216、217、218、及び219からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号225、226、227、228、233、234、235、236、265、266、267、268、269、270、271、272、289、290、291、292、293、294、295、及び296からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域
:を含む、構成30記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成32)
a.以下のもの:
i.配列番号301、302、303、304、309、310、311、312、341、342、343、344、345、346、347、348、365、366、367、368、369、370、371、及び372からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号376、377、378、382、383、384、385、386、403、404、405、406、418、419、420、421、及び422からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号426、427、428、432、433、434、456、457、458、459、460、461、474、475、476、477、478、及び479からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成30記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成33)
a.以下のもの:
i.配列番号46、47、48、49、及び50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号137、138、139、140、及び141からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号225、226、227、及び228からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号301、302、303、及び304からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号376、377、及び378からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号426、427、及び428からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成30記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成34)
a.以下のもの:
i.配列番号49、56、57、58、及び59からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号147、148、149、150、及び151からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号233、234、235、及び236からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号309、310、311、及び312からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号382、383、及び384からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号432、433、及び434からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成30記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成35)
a.以下のもの:
i.配列番号572~577からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号581~600からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号1643~1685、1715~1722からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、並びに
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4;
を含むVH領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号1729、1730、1733、1734、1741~1748からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751、1752、1755、1758、1774~1776からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778、1780~1791からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、並びに
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4
を含むVL領域
:をさらに含む、構成30~34のいずれか一項記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成36)
a.以下のもの:
i.配列番号572~577からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR1;
ii.配列番号581~600からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR2;
iii.配列番号1643~1685、1715~1722からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR3、並びに
iv.配列番号1727及び1728からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH FR4
を含むVH領域
:をさらに含む、構成35記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成37)
a.以下のもの:
i.配列番号1729、1730、1733、1734、1741~1748からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR1;
ii.配列番号1751、1752、1755、1758、1774~1776からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR2;
iii.配列番号1778、1780~1791からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR3、並びに
iv.配列番号1793及び1794からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL FR4
を含むVL領域
:をさらに含む、構成35記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成38)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン2内の1以上のアミノ酸残基に結合し、かつGFRALタンパク質に対するGDF15タンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成39)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基C131~C210の間の及び該残基C131~C210を含むアミノ酸配列に結合する、構成38記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成40)
a.以下のもの:
i.配列番号41、42、43、44、45、49、51、52、53、54、55、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、82、83、84、85、100、101、102、103、104、110、111、112、113、114、115、116、117、118、及び119からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号132、133、134、135、136、142、143、144、145、146、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、196、197、198、199、200、201、202、203、204、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号221、222、223、224、229、230、231、232、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、257、258、259、260、277、278、279、280、281、282、283、及び284からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号297、298、299、300、305、306、307、308、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、333、334、335、336、353、354、355、356、357、358、359、及び360からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号373、374、375、379、380、381、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、398、399、400、407、410、411、412、413、414、及び415からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号423、424、425、429、430、431、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、450、451、452、465、466、467、468、469、及び470からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成38又は39記載の抗体。
(構成41)
a.以下のもの:
i.配列番号49、60、61、62、63、69、70、及び71からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号152、153、154、155、156、161、162、163、164、及び165からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号237、238、239、240、245、246、247、及び248からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号313、314、315、316、321、322、323、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号385、386、387、391、及び392からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号435、436、437、441、442、及び443からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成45~48のいずれか一項記載の抗体。
(構成42)
a.以下のもの:
i.配列番号41、42、43、44、45、49、51、52、53、54、55、64、65、66、67、68、72、73、74、75、76、82、83、84、85、100、101、102、103、104、110、111、112、113、114、115、116、117、118、及び119からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号132、133、134、135、136、142、143、144、145、146、157、158、159、160、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、196、197、198、199、200、201、202、203、204、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号221、222、223、224、229、230、231、232、241、242、243、244、249、250、251、252、257、258、259、260、277、278、279、280、281、282、283、及び284からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号297、298、299、300、305、306、307、308、317、318、319、320、325、326、327、328、333、334、335、336、353、354、355、356、357、358、359、及び360からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号373、374、375、379、380、381、386、388、389、390、393、394、398、399、400、407、410、411、412、413、414、及び415からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号423、424、425、429、430、431、438、439、440、444、445、446、450、451、452、465、466、467、468、469、及び470からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成45~48のいずれか一項記載の抗体。
(構成43)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のドメイン3内の1以上のアミノ酸残基に結合し、かつGFRALタンパク質に対するRETタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成44)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)の残基C220~C316の間の及び該残基C220~C316を含むアミノ酸配列に結合する、構成43記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(構成45)
a.以下のもの:
i.配列番号46、47、48、49、50、56、57、58、59、73、75、91、92、93、94、95、96、97、98、99、124、125、126、127、128、129、130、及び131からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号137、138、139、140、141、147、148、149、150、151、182、183、184、185、186、187、188、189、190、210、211、212、213、214、215、216、217、218、及び219からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号225、226、227、228、233、234、235、236、265、266、267、268、269、270、271、272、289、290、291、292、293、294、295、及び296からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含む重鎖可変(VH)領域
並びに/又は
b.以下のもの:
i.配列番号301、302、303、304、309、310、311、312、341、342、343、344、345、346、347、348、365、366、367、368、369、370、371、及び372からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号376、377、378、382、383、384、385、386、403、404、405、406、418、419、420、421、及び422からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号426、427、428、432、433、434、456、457、458、459、460、461、474、475、476、477、478、及び479からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
:を含む、構成43又は44記載の抗体。
(構成46)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLY140、LEU148、ALA149、ALA146、VAL142、ASN145、VAL139、ALA135、GLU136、LEU152、LEU132、SER201、ALA204、LEU205、LYS153、ILE196、PRO197、及びGLN200からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成47)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のSER156、GLN147、SER150、TYR151、ALA154、CYS155、PHE174、TYR175、ALA137、CYS138、ASP141、VAL143、CYS144、LEU186、CYS189、CYS191、ALA192、GLN193、SER194、ASP195、CYS198、GLN199、LYS202、GLU203、HIS206、SER207、SER130、CYS131、LEU132、GLU133、及びVAL134からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成48)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のSER156、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、LEU152、LYS153、ALA154、CYS155、PHE174、TYR175、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、LEU186、CYS189、CYS191、ALA192、GLN193、SER194、ASP195、ILE196、PRO197、CYS198、GLN199、GLN200、SER201、LYS202、GLU203、ALA204、LEU205、HIS206、SER207、SER130、CYS131、LEU132、GLU133、VAL134、及びALA135からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成49)
a.以下のもの:
i.配列番号72、73、74、75、及び76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号166、167、168、169、及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号249、250、251、及び252からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号325、326、327、及び328からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号386、393、及び394からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号444、445、及び446からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成46~48のいずれか一項記載の抗体。
(構成50)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLU136、ALA137、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、PHE173、ASN177、ILE178、PRO179、ASN181、ILE182、及びMET185からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成51)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU132、GLU133、VAL134、ALA135、CYS138、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、PHE174、TYR175、ALA169、ALA170、ILE171、ARG172、GLN176、PHE180、ALA183、GLN184、LEU186、ALA187、PHE188、及びCYS189からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成52)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU132、GLU133、VAL134、ALA135、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、PHE174、TYR175、ALA169、ALA170、ILE171、ARG172、PHE173、GLN176、ASN177、ILE178、PRO179、PHE180、ASN181、ILE182、ALA183、GLN184、MET185、LEU186、ALA187、PHE188、及びCYS189からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成53)
a.以下のもの:
i.配列番号64、65、66、67、及び68からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号157、158、159、160、及び220からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号241、242、243、及び244からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号317、318、319、及び320からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号388、389、及び390からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号438、439、及び440からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成50~52のいずれか一項記載の抗体。
(構成54)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN246、ARG247、ARG250、LYS251、CYS252、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、THR297、GLN298、及びSER299からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成55)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のILE224、ARG225、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、VAL248、THR249、HIS253、GLU254、SER263、LYS264、GLN265、ASP266、LEU267、THR268、THR295、ILE296、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、ILE306、PHE307、及びMET310からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成56)
GFRALタンパク質(配列番号1797)のILE224、ARG225、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、GLN246、ARG247、VAL248、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、GLU254、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、SER263、LYS264、GLN265、ASP266、LEU267、THR268、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、ILE306、PHE307、及びMET310からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成57)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のMET214、PRO216、PRO217、GLN290、CYS291、THR292、CYS293、ARG294、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU301、LYS305、GLN308、HIS309、HIS312、及びSER315からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成58)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN298及びGLU301からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成59)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU164、LYS208、VAL212、ASN213、VAL215、PRO218、THR219、CYS220、LEU221、VAL223、TRP245、LEU267、CYS269、GLN288、VAL289、GLU300、SER302、LEU303、CYS304、ILE306、PHE307、MET310、LEU311、ARG313、LYS314、CYS316、及びPHE317からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成60)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU164、LYS208、VAL212、ASN213、MET214、VAL215、PRO216、PRO217、PRO218、THR219、CYS220、LEU221、VAL223、TRP245、LEU267、CYS269、GLN28、VAL289、GLN290、CYS291、THR292、CYS293、ARG294、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、CYS304、LYS305、ILE306、PHE307、GLN308、HIS309、MET310、LEU311、HIS312、ARG313、LYS314、SER315、CYS316、PHE317からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成61)
a.以下のもの:
i.配列番号46、47、48、49、及び50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号137、138、139、140、及び141からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号225、226、227、及び228からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号301、302、303、及び304からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号376、377、及び378からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号426、427、及び428からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成57~60のいずれか一項記載の抗体。
(構成62)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のARG234、ARG238、GLN241、SER242、LYS243、TRP245、GLN246、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、ASP255、ASN257、CYS258、SER260、THR261、及びLEU262からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成63)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN246、ARG250、LYS251、CYS252、ASP255、ASN257、CYS258、SER260、THR261、及びLEU262からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成64)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のCYS233、ARG235、HIS236、TYR237、THR239、PHE240、CYS244、ARG247、VAL248、GLU254、GLU256、ILE259、SER263、LYS264、ASP266、LEU267、THR268、SER272、ASP274、CYS275、ALA278、CYS269、SER270、SER302、LEU303、ILE306、HIS309、LEU311、MET310、SER315、及びCYS316からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成65)
前記GFRALタンパク質(配列番号1797)のCYS233、ARG234、ARG235、HIS236、TYR237、ARG238、THR239、PHE240、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、GLN246、ARG247、VAL248、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、GLU254、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、SER263、LYS264、ASP266、LEU267、THR268、SER272、ASP274、CYS275、ALA278、CYS269、SER270、SER302、LEU303、ILE306、HIS309、LEU311、MET310、SER315、及びCYS316からなる群から選択される1以上の残基に結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成66)
a.以下のもの:
i.配列番号49、56、57、58、及び59からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
ii.配列番号147、148、149、150、及び151からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
iii.配列番号233、234、235、及び236からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;
を含むVH領域
並びに
b.以下のもの:
i.配列番号309、310、311、及び312からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
ii.配列番号382、383、及び384からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
iii.配列番号432、433、及び434からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含むVL領域
:を含む、構成62~65のいずれか一項記載の抗体。
(構成67)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLY140、LEU148、ALA149、ALA146、VAL142、ASN145、VAL139、ALA135、GLU136、LEU152、LEU132、SER201、ALA204、LEU205、LYS153、ILE196、PRO197、及びGLN200からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成68)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のSER156、GLN147、SER150、TYR151、ALA154、CYS155、PHE174、TYR175、ALA137、CYS138、ASP141、VAL143、CYS144、LEU186、CYS189、CYS191、ALA192、GLN193、SER194、ASP195、CYS198、GLN199、LYS202、GLU203、HIS206、SER207、SER130、CYS131、LEU132、GLU133、及びVAL134からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成69)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のSER156、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、LEU152、LYS153、ALA154、CYS155、PHE174、TYR175、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、LEU186、CYS189、CYS191、ALA192、GLN193、SER194、ASP195、ILE196、PRO197、CYS198、GLN199、GLN200、SER201、LYS202、GLU203、ALA204、LEU205、HIS206、SER207、SER130、CYS131、LEU132、GLU133、VAL134、及びALA135からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成70)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLU136、ALA137、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、PHE173、ASN177、ILE178、PRO179、ASN181、ILE182、及びMET185からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成71)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU132、GLU133、VAL134、ALA135、CYS138、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、PHE174、TYR175、ALA169、ALA170、ILE171、ARG172、GLN176、PHE180、ALA183、GLN184、LEU186、ALA187、PHE188、及びCYS189からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成72)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU132、GLU133、VAL134、ALA135、GLU136、ALA137、CYS138、VAL139、GLY140、ASP141、VAL142、VAL143、CYS144、ASN145、ALA146、GLN147、LEU148、ALA149、SER150、TYR151、PHE174、TYR175、ALA169、ALA170、ILE171、ARG172、PHE173、GLN176、ASN177、ILE178、PRO179、PHE180、ASN181、ILE182、ALA183、GLN184、MET185、LEU186、ALA187、PHE188、及びCYS189からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつGDF15タンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成73)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN246、ARG247、ARG250、LYS251、CYS252、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、THR297、GLN298、及びSER299からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成74)
GFRALタンパク質のエピトープであって、該GFRALタンパク質(配列番号1797)のILE224、ARG225、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、VAL248、THR249、HIS253、GLU254、SER263、LYS264、GLN265、ASP266、LEU267、THR268、THR295、ILE296、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、ILE306、PHE307、及びMET310からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成75)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のILE224、ARG225、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、GLN246、ARG247、VAL248、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、GLU254、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、SER263、LYS264、GLN265、ASP266、LEU267、THR268、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、ILE306、PHE307、及びMET310からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成76)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のMET214、PRO216、PRO217、GLN290、CYS291、THR292、CYS293、ARG294、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU301、LYS305、GLN308、HIS309、HIS312、及びSER315からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成77)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN298又はGLU301からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成78)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU164、LYS208、VAL212、ASN213、VAL215、PRO218、THR219、CYS220、LEU221、VAL223、TRP245、LEU267、CYS269、GLN288、VAL289、GLU300、SER302、LEU303、CYS304、ILE306、PHE307、MET310、LEU311、ARG313、LYS314、CYS316、及びPHE317からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成79)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のLEU164、LYS208、VAL212、ASN213、MET214、VAL215、PRO216、PRO217、PRO218、THR219、CYS220、LEU221、VAL223、TRP245、LEU267、CYS269、GLN28、VAL289、GLN290、CYS291、THR292、CYS293、ARG294、THR295、ILE296、THR297、GLN298、SER299、GLU300、GLU301、SER302、LEU303、CYS304、LYS305、ILE306、PHE307、GLN308、HIS309、MET310、LEU311、HIS312、ARG313、LYS314、SER315、CYS316、PHE317からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成80)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のARG234、ARG238、GLN241、SER242、LYS243、TRP245、GLN246、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、ASP255、ASN257、CYS258、SER260、THR261、及びLEU262からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成81)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のGLN246、ARG250、LYS251、CYS252、ASP255、ASN257、CYS258、SER260、THR261、又はLEU262からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成82)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のCYS233、ARG235、HIS236、TYR237、THR239、PHE240、CYS244、ARG247、VAL248、GLU254、GLU256、ILE259、SER263、LYS264、ASP266、LEU267、THR268、SER272、ASP274、CYS275、ALA278、CYS269、SER270、SER302、LEU303、ILE306、HIS309、LEU311、MET310、SER315、及びCYS316からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成83)
GFRALタンパク質のエピトープであって、GFRALタンパク質(配列番号1797)のCYS233、ARG234、ARG235、HIS236、TYR237、ARG238、THR239、PHE240、GLN241、SER242、LYS243、CYS244、TRP245、GLN246、ARG247、VAL248、THR249、ARG250、LYS251、CYS252、HIS253、GLU254、ASP255、GLU256、ASN257、CYS258、ILE259、SER260、THR261、LEU262、SER263、LYS264、ASP266、LEU267、THR268、SER272、ASP274、CYS275、ALA278、CYS269、SER270、SER302、LEU303、ILE306、HIS309、LEU311、MET310、SER315、及びCYS316からなる群から選択される1以上の残基を含む、エピトープに結合し、かつRETタンパク質に対する該GFRALタンパク質の結合を阻害する、モノクローナル抗体又はその断片。
(構成84)
5×10
-9
M以下のK
D
でGFRALに結合する、構成1~83のいずれか一項記載のモノクローナル抗体。
(構成85)
GDF15タンパク質のドメイン又はRETタンパク質のドメインに対する前記GFRALタンパク質の結合を少なくとも80%阻害する、構成1~84のいずれか一項記載のモノクローナル抗体。
(構成86)
ヒト化、ヒト、又はキメラ抗体である、構成1~85のいずれか一項記載のモノクローナル抗体又は断片。
(構成87)
前記断片が、抗体断片から形成されるFab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、直鎖抗体、V領域、又は多重特異性抗体である、構成1~85のいずれか一項記載の抗体又はその断片。
(構成88)
検出可能マーカーにコンジュゲートされている、構成1~87のいずれか一項記載の抗体又は断片。
(構成89)
前記検出可能マーカーが、放射性同位体、金属キレーター、酵素、蛍光化合物、生体発光化合物、及び化学発光化合物から選択される、構成88記載の抗体又は断片。
(構成90)
構成1~87のいずれか一項記載の抗体を産生するトランスジェニック動物。
(構成91)
構成1~87のいずれか一項記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
(構成92)
構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
(構成93)
構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
(構成94)
対象のGDF15媒介性疾患又は障害を調節する方法であって、該対象に、GFRALに結合する抗体もしくはその断片又は該抗体もしくはその断片を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成95)
前記抗体又はその断片が、構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片である、構成94記載の方法。
(構成96)
対象の不随意の体重減少を治療するか、又は不随意の体重減少のリスクのある対象の不随意の体重減少を予防する方法であって、該対象に、GFRALに結合する抗体もしくはその断片又は該抗体もしくはその断片を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成97)
前記抗体又はその断片が、構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片である、構成96記載の方法。
(構成98)
前記対象が悪液質に罹患している、構成96又は97記載の方法。
(構成99)
前記対象が慢性疾患に罹患している、構成96又は97記載の方法。
(構成100)
前記慢性疾患が、肝硬変、甲状腺機能亢進症、パーキンソン病、癌、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、結核症、慢性炎症性疾患、敗血症、筋消耗、及び神経性無食欲からなる群から選択される、構成98記載の方法。
(構成101)
対象のGDF15活性を調節する方法であって、該対象に、GFRALに結合する抗体もしくはその断片又は該抗体もしくはその断片を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成102)
前記抗体又はその断片が、構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片である、構成102記載の方法。
(構成103)
前記方法がGDF15活性を低下させ、かつ前記対象が、増大したGDF15活性を有するか、又は増大したGDF15活性を生じるリスクに曝されている、構成101又は102記載の方法。
(構成104)
前記方法がGDF15活性を増大させ、かつ前記対象が、減少したGDF15活性を有するか、又は減少したGDF15活性を生じるリスクに曝されている、構成101又は102記載の方法。
(構成105)
対象のGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病において使用するためのものである医薬の製造における構成1~87のいずれか一項記載の抗体又はその断片の使用であって、前記抗体又は断片を該対象に投与することを含む、前記使用。
(構成106)
対象のGDF15媒介性疾患、障害、又は疾病の治療又は予防のための、構成93記載の医薬組成物の使用。
他の実施態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
表49
カラム1-記録名;カラム2-原子通し番号;カラム3-原子名;カラム4 アミノ酸残基名;カラム5-鎖識別子;カラム6-アミノ酸残基配列番号;カラム7-Xの直交座標(単位はÅ);カラム8-Yの直交座標(単位はÅ);カラム9-Zの直交座標(単位はÅ);カラム10-占有;カラム11-温度因子;カラム12-元素記号。
表50
カラム1-記録名;カラム2-原子通し番号;カラム3-原子名;カラム4 アミノ酸残基名;カラム5-鎖識別子;カラム6-アミノ酸残基配列番号;カラム7-Xの直交座標(単位はÅ);カラム8-Yの直交座標(単位はÅ);カラム9-Zの直交座標(単位はÅ);カラム10-占有;カラム11-温度因子;カラム12-元素記号。
表51
カラム1-記録名;カラム2-原子通し番号;カラム3-原子名;カラム4 アミノ酸残基名;カラム5-鎖識別子;カラム6-アミノ酸残基配列番号;カラム7-Xの直交座標(単位はÅ);カラム8-Yの直交座標(単位はÅ);カラム9-Zの直交座標(単位はÅ);カラム10-占有;カラム11-温度因子;カラム12-元素記号。