JP6996834B2 - マスキングフィルム用粘着剤、マスキング用耐熱粘着フィルム、およびその使用方法 - Google Patents
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Description
これらの問題を解決するために、次のような技術が開示されている。
また、本発明は、該粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有するマスキング用耐熱粘着フィルム、および該マスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法の提供をも目的とするものである。
例えば、アクリル系樹脂の構成モノマーとして、ポリオキシエチレン構造を含有するモノマー成分を特定量含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂を耐熱粘着フィルム用の粘着剤組成物として用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に到達した。
また、本発明の要旨は、ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)および官能基含有モノマー(a3)を含有してなる共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂(A)、ならびに架橋剤(B)を含有し、界面活性剤および帯電防止剤を含有しない粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)として、炭素数が1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2-1)を含有し、ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)のオキシエチレン鎖の繰り返し単位数が2~20個であり、共重合成分中におけるポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)の含有量が、10~45重量%であり、官能基含有モノマー(a3)の含有量が、1~15重量%であり、架橋剤(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種であり、架橋剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して7~20重量部であり、前記粘着剤からなる粘着剤層は、SUS304BA板に貼り付けたときの初期粘着力(剥離速度300mm/min、剥離角度180度)が0.01~1.0N/25mmであり、マスキングフィルムに用いられることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤に関するものである。
なお、本発明における「粘着フィルム」とは、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含するものである。
また、本発明における粘着剤は粘着剤組成物が架橋されてなるものであり、架橋される前の粘着剤組成物を以下では本発明の粘着剤組成物とも言う。
以下、「本発明のマスキングフィルム用粘着剤」を単に「本発明の粘着剤」とも言う。
ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)のオキシエチレン鎖の繰り返し単位数は、2~20個、好ましくは2~15個、特に好ましくは2~10個である。かかる繰り返し単位数が小さすぎると被着体へのなじみ性が悪くなる傾向があり、大きすぎると加熱後の被着体汚染が増大する傾向がある。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
なお、アクリル系樹脂(A)におけるポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)由来の構造単位の含有量は、1H-NMRで測定して算出することができる。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
但し、本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)として、炭素数が1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2-1)を含有する。
なお、アクリル系樹脂(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)由来の構造単位の含有量は、1H-NMRで測定して算出することができる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)中、炭素数が1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2-1)の含有量が80重量%以上であることが加熱工程後の被着体汚染に優れる点で好ましく、特に好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、殊に好ましくは95重量%以上である。
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;
2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが特に好ましい。
これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点で、水酸基含有モノマーおよび/またはカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。これら官能基含有モノマー(a3)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
なお、アクリル系樹脂(A)における官能基含有モノマー(a3)由来の構造単位の含有量は、1H-NMRで測定して算出することができる。
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン等の1つの芳香環を含有するモノマー;
ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。これらの共重合性モノマーのうち、加熱工程後の被着体汚染を減少させる点で(メタ)アクリルアミド系モノマーが好ましい。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
なお、アクリル系樹脂(A)におけるその他の共重合性モノマー(a4)由来の構造単位の含有量は、1H-NMRで測定して算出することができる。
また測定に際してポリマーを誘導体化してもよいし溶離液の種類を適宜変更してもよい。
Tga:モノマーaのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーaの重量分率
Tgb:モノマーbのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーbの重量分率
Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーnの重量分率(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
これらの中でも耐熱性の点でヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体や2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、テトラメチルキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましい。
本発明において架橋剤(B)として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
本発明において「帯電防止剤を含有しない」とは、通常、帯電防止剤を全く含有しないものであるが、粘着剤組成物が帯電防止性能を持たない程度に含有する場合があってもよく、具体的には、粘着剤組成物中、帯電防止剤の含有量が好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下であってもよい。
かかる帯電防止剤としては、例えば、イミダゾリウム塩、テトラアルキルアンモニウムスルホン酸塩等の第4級アンモニウム塩のカチオン型帯電防止剤;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアニオン型帯電防止剤;カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや塩化リチウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ゲル分率が低すぎると粘着剤の凝集力が低下し、糊残りを生じて、被着体汚染の原因となる傾向がある。
上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は通常、0~150℃、好ましくは10~100℃、特に好ましくは20~80℃、時間は通常、30日以下、好ましくは14日以下、特に好ましくは7日以下であり、具体的には、例えば23℃で3~10日間、40℃で1~7日間等の条件で行なうことができる。
マスキング用耐熱粘着フィルムの被着対象である被着体としては、下記に示す材料の基材が例示される。
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、エステルアクリレート等のポリエステル系樹脂;
ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルフォン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-イソブチルアクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイノノマー、ポリプロピレン、ポリアロマーポリブチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;
ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン-4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂;
ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合体;
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のポリアルキル(メタ)アクリレートやメチルメタクリレート-スチレン共重合体、メチルメタクリレート-α-メチルスチレン共重合体等のアクリル系樹脂;
ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、ABS変性ポリ塩化ビニル、後塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル-アクリル樹脂アロイ、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル重合体およびその誘導体;
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ビニロン等のポリ酢酸ビニル、およびその誘導体;
ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルケトン;
ポリホルムアルデヒド、アセタールコポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、塩素化ポリエーテル、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサオド等のポリエーテル;
ポリテロラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体等のフッ化樹脂;
ポリカーボネート、ポリカーボネートABSアロイ;
ナイロン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6/6,6共重合体、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12、ナイロン-11、ナイロン-12等のナイロン(ポリアミド)類;
ブタジエン-スチレン共重合体、ブタジエン系プラスチック;
ポリイミドおよびその誘導体、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、高アクリルニトリル共重合体;
けい素樹脂、半無機および無機高分子;
フェノール樹脂、フェノール-フルフラール樹脂、変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂およびその誘導体;
フラン樹脂、キシレン樹脂、アニリン樹脂、アセトンホルムアルデヒド樹脂等のホルマリン樹脂;
不飽和ポリエステルとアルキッド樹脂;
ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂複合材料、脂環エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート等のエポキシ樹脂;
ポリウレタン、発泡ウレタン、ウレタンアクリレート等のポリウレタン;
ジアリルフタレート樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリアリルスルホン、アリルジグリコールカーボネート、ポリアリルエーテル、ポリアリレート等のアリル樹脂;
セルロース系プラスチック、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、ニトロセルロースとセルロイド等のセルロース系樹脂。
〔製造例1:アクリル系樹脂(A-1)〕
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル119部、アセトン34.8部とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.01部を仕込み、撹拌しながら昇温し、70℃になったら、エトキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレートEC-A」、EO繰り返し単位数2個)(a1)20部、ブチルアクリレート(BA)(a2)73.8部、メチルメタクリレート(MMA)(a2)1部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(a3)5部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)(a4)0.2部とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.026部を混合溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル2部にAIBN0.060部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら前記温度で還流下7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂(A-1)の35%溶液を得た。
表1に示す配合にて製造例1と同様にしてアクリル系樹脂(A-2)~(A-12)、(A’-1)~(A’-8)の溶液を調製した。
・2MTG:メトキシトリエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコートMTG」、EO繰り返し単位数3個)
・AME400:メトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油社製、商品名「ブレンマーAME400」、EO繰り返し単位数9個)
・2MEA:メトキシエチレングリコールアクリレート(大阪有機化学製、商品名「2-MTA」、EO鎖繰り返し単位数1個)
・BA:ブチルアクリレート
・2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・AAc:アクリル酸
・DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
・BMAA:N-(n-ブトキシメチル)アクリルアミド(笠野興産社製、商品名「アマイドNBM-2」
〔粘着剤組成物の調製〕
製造例1~11、製造例13~19で得られたアクリル系樹脂(A-1)~(A-11)、(A’-1)~(A’-7)の固形分100部に対して、架橋剤(B-1)(東ソー株式会社製のイソシアネート系架橋剤、「コロネートHX」)を表2に記載のとおりに配合し、粘着剤組成物を調製した。
また、製造例12、20で得られたアクリル系樹脂(A-12)、(A’-8)の固形分100部に対して、架橋剤(B-2)(三菱ガス化学社製のエポキシ系架橋剤、「テトラッドC」)を表2に記載のとおりに配合し、粘着剤組成物を調製した。
上記で調製した粘着剤組成物を乾燥後の厚さが約25μmになるように、基材としてのポリイミドフィルム(厚さ25μm)に塗布した後、100℃で2分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPETを貼着して塗工面を保護し、温度40℃の雰囲気下で7日間養生し、粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムを用いて下記の評価を行い、その結果を表2にまとめた。
被着体としてステンレス板(SUS304BA板)に、25mm×100mmの上記粘着フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
○:0.5N/25mm未満
△:0.5N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×:1.0N/25mm以上
被着体としてステンレス板(SUS304BA板)に、25mm×100mmの上記粘着フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、200℃条件下で1時間放置し23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
○:0.8N/25mm未満
△:0.8N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×:1.0N/25mm以上
得られた耐熱粘着フィルムを用いて25mm×100mmの大きさの試験片を作製し(切り出し)、この試験片を被着体(SUS304BA板)に2kgローラーを2往復させる方法で圧着し、表2に記載の温度と時間で放置し23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%雰囲気下で2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離した後の被着体表面の様子を観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く汚染が確認されなかった。
○:汚染がほとんど確認されなかった。
△:僅かに汚染が確認された。
×:明らかに汚染が確認された。
次に、上記で得られた粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが約150μmになるように、離型処理されたPET基材に塗布した後、常温で5分間乾燥させ、その後80℃で5分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPETを貼着して塗工面を保護し、温度40℃の雰囲気下で7日間養生し、粘弾性測定用の粘着フィルムを得た。
得られた粘弾性測定用の粘着フィルムを用いて下記の評価を行い、その結果を表2にまとめた。
粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製 DVA-255)を用いて、測定周波数1Hzで、-100~200℃まで昇温速度3℃/minで、粘弾性測定用の粘着フィルムを昇温しながら、連続的に損失弾性率を測定した。損失弾性率が最も高くなる温度を、損失弾性率由来のガラス転移温度とした。また、損失正接(tanδ)が最も高くなる温度を、損失正接(tanδ)由来のガラス転移温度とした。
一方、アクリル系樹脂(A)を構成する共重合成分中に、本発明で規定するポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)が含有されていなかったり、あるいはその含有量が少なかったりする比較例1~6、8では、貼付直後の粘着力は過大ではないものの、高温条件下で使用した後において粘着力が過大となり、小さな力で被着体から剥離するのが困難であることが分かる。また、本発明で規定するポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)の含有量が多すぎる比較例7では、高温条件下での使用後においても粘着力が過大にはならないものの、被着体から剥離した際に明らかに汚染が確認され、被着体汚染が大きいことが分かる。
Claims (8)
- ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)由来の構造単位、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)由来の構造単位、および
官能基含有モノマー(a3)由来の構造単位を有するアクリル系樹脂(A)、ならびに
架橋剤(B)を含有し、界面活性剤および帯電防止剤を含有しない粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤であって、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)として、炭素数が1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2-1)を含有し、
ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)のオキシエチレン鎖の繰り返し単位数が2~20個であり、
ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)由来の構造単位の含有量が、10~45重量%であり、
官能基含有モノマー(a3)由来の構造単位の含有量が、1~15重量%であり、
架橋剤(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種であり、
架橋剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して7~20重量部であり、
前記粘着剤からなる粘着剤層は、SUS304BA板に貼り付けたときの初期粘着力(剥離速度300mm/min、剥離角度180度)が0.01~1.0N/25mmであり、
マスキングフィルムに用いられることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤。 - ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)および
官能基含有モノマー(a3)を含有してなる共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂(A)、ならびに
架橋剤(B)を含有し、界面活性剤および帯電防止剤を含有しない粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤であって、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)として、炭素数が1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2-1)を含有し、
ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)のオキシエチレン鎖の繰り返し単位数が2~20個であり、
共重合成分中におけるポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)の含有量が、10~45重量%であり、
官能基含有モノマー(a3)の含有量が、1~15重量%であり、
架橋剤(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種であり、
架橋剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して7~20重量部であり、
前記粘着剤からなる粘着剤層は、SUS304BA板に貼り付けたときの初期粘着力(剥離速度300mm/min、剥離角度180度)が0.01~1.0N/25mmであり、
マスキングフィルムに用いられることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤。 - ポリオキシエチレン構造含有モノマー(a1)が、ポリオキシエチレン構造含有(メタ)アクリレート系モノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のマスキングフィルム用粘着剤。
- 共重合成分が水酸基含有モノマーおよび/またはカルボキシル基含有モノマーを含有することを特徴とする請求項2または3に記載のマスキングフィルム用粘着剤。
- 共重合成分が(メタ)アクリルアミド系モノマーを含有することを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のマスキングフィルム用粘着剤。
- アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が10万~250万であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のマスキングフィルム用粘着剤。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のマスキングフィルム用粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルム。
- 請求項7に記載のマスキング用耐熱粘着フィルムを被着体表面に貼り付け、100℃以上の加熱工程に付した後、そのマスキング用耐熱粘着フィルムを被着体表面から剥離することを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法。
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