JP6686830B2 - 粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、マスキング用耐熱粘着フィルムおよび、マスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法 - Google Patents

粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、マスキング用耐熱粘着フィルムおよび、マスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、マスキング用耐熱粘着フィルムに関し、詳細には、即硬化性に優れるため、微細な凹凸を有する基材フィルムやセパレーターの凹凸形状が転写されることなく平滑な粘着剤層面を形成することができ、かつ高温条件下で使用した後の粘着力の上昇が少なく、小さな力で剥離でき、さらに被着体から剥離した際に汚染が生じ難い、マスキング用耐熱粘着フィルムなどに用いることができる粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、該粘着剤からなるマスキングフィルム用粘着剤、該粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有するマスキング用耐熱粘着フィルムに関する。
従来より、各種部材を加工する際に一時的に部材を固定、保護するために再剥離型粘着フィルムが用いられており、近年では、例えば、フレキシブルプリント配線(FPC)基板等の回路基板やITO透明電極層を一時的に表面保護するためのマスキング用粘着フィルムや、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの表面保護用粘着フィルムとして利用されている。FPC基板やITO透明電極層の製造工程においては、高温に晒される工程が含まれるため、粘着フィルムの粘着剤層が積層板に固着して、粘着フィルムの剥離時にFPC基板やITO透明電極層の積層板が破損したり、糊残りによる汚染が生じることがある。そのため、高温工程後であっても、剥離する際には軽い力で糊残りなく剥離できることが求められている。
このような耐熱性を満たす粘着シートに用いられる粘着剤組成物として、例えば特許文献1には、高温環境下においても、シートの浮きが発生せず、粘着力の変化率が小さいとともに、被着体汚染を引き起こしにくい耐熱性粘着シートに好適に用いられる粘着剤組成物として、重量平均分子量が45万〜150万のヒドロキシル基含有アクリル系樹脂と、イソシアネート系架橋剤とを、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂中の水酸基量に対するイソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基量が0.6〜1.6倍(モル比)となる範囲で含み、さらに、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂100重量部に対して、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂およびイソシアネート系架橋剤と非反応性であり、式量もしくは数平均分子量が300以上1500以下のエステル化合物を3〜20重量部含む粘着剤組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、粘着剤の粘着物性のバランスをとるために、粘着シートを製造後一定期間エージング処理を行う必要があり、粘着剤組成物がエージング工程で架橋されるまでの間に、基材フィルムやセパレーターの微細な凹凸等が粘着剤層に転写されてしまい、平滑な粘着剤層面を持った粘着フィルムが得られない場合がある。粘着シートをフラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの光学フィルムの表面保護用として用いる場合には、粘着シートの粘着剤層の微細な凹凸が被着体である光学フィルムに転写され、視認性が低下するという問題が生じる可能性がある。
そこで、基材フィルムやセパレーターの微細な凹凸形状が転写されずに平滑な粘着剤層面を形成することができる、即硬化性に優れた粘着剤組成物が求められている。例えば、特許文献2には、表面保護フィルム用感圧接着剤の必要物性を満足し、かつポットライフを短縮することなく、養生時間を短縮することができる感圧接着剤組成物として、反応性水酸基を有するアクリル系共重合体(A)、ジアルキルアセチルアセトン錫錯体触媒(B)、及びイソシアネート化合物(C)を含むアクリル系感圧接着剤組成物が開示されている。
特開2007−327036号公報 特開2008−13634号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、養生時間が短く即硬化性を有するものであるが、耐熱性の点では70℃での耐熱性は有するものの、より高温条件下での耐熱性に劣り、糊残りが生じる可能性がある。
そこで、本発明では、このような背景下において、即硬化性に優れ、かつ高温条件下で使用した後の粘着力の上昇が少なく、小さな力で剥離でき、さらに被着体から剥離した際に汚染が生じ難い、高温環境下で用いられるマスキング用耐熱粘着フィルムなどに用いることができる粘着剤組成物の提供を目的とするものである。
しかるに本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、アクリル系樹脂と架橋剤を含有する粘着剤組成物において、架橋剤としてエポキシ系架橋剤およびジルコニウム系架橋剤を使用し、特にエポキシ系架橋剤を通常より多く含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)および架橋剤(B)を含有するアクリル系粘着剤組成物であり、架橋剤(B)がエポキシ系架橋剤(B1)およびジルコニウム系架橋剤(B2)を含有し、アクリル系樹脂(A)100重量部に対するエポキシ系架橋剤(B1)の含有量が2〜30重量部、ジルコニウム系架橋剤(B2)の含有量が1〜30重量部であることを特徴とする粘着剤組成物に関するものである。
また、本発明の要旨は、本発明の粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とする粘着剤、本発明の粘着剤からなることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤、本発明の粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルム、およびマスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法にも関するものである。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤として、通常はポットライフの低下や塗工性が悪くなるため多量に用いることはなかったエポキシ架橋剤を通常より多量に使用し、エポキシ架橋剤とジルコニウム系架橋剤を併用することにより、塗工後短時間で粘着剤層の粘着物性を、所望の粘着物性に近いものとすることができ、かつ、高温条件下に晒されても粘着力の上昇が小さいとともに、被着体汚染が生じ難いといった、即硬化性と耐熱性のバランスに非常に優れ、ポットライフや塗工性の問題もない粘着剤組成物を得ることができたものである。
本発明の粘着剤組成物及びこれを架橋させてなる粘着剤によれば、即硬化性を有し、高温条件下で使用した後、被着体から剥離した際に汚染が生じ難く、かつ小さな力で剥離することができるマスキング用耐熱粘着フィルムを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、本発明における「粘着フィルム」とは、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含するものである。
更に、本発明における「耐熱粘着フィルム」とは、耐熱性が必要とされる高温環境下に曝露される粘着フィルムのことを意味するものであり、具体的には、粘着フィルムの粘着剤層面を被着体に貼付して130℃以上の高温環境下に30分以上曝された後に、被着体から剥離した場合でも糊残りや粘着力の上昇等の不具合が生じない粘着剤層を有する粘着フィルムを意味するものである。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)を含有する重合成分を重合して得られるものであり、必要に応じてその他の重合性モノマー(a3)を重合成分として含有してもよい。
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)は、脂肪族式又は脂環式のアルキルエステルを有する(メタ)アクリレートである。アルキルエステルにおけるアルキルの炭素数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8である。炭素数が多過ぎると、加熱工程後の被着体汚染が増大する傾向がある。
具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
重合成分中における(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の含有量は、通常、40〜99.99重量%であり、好ましくは45〜99.9重量%、特に好ましくは50〜99重量%である。含有量が少なすぎると、加熱工程後の被着体汚染が増大する傾向があり、多すぎると、加熱工程後の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)中、炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1−1)の含有量が80重量%以上であることが加熱工程後の被着体汚染に優れる点で好ましく、特に好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、殊に好ましくは95重量%以上である。
上記官能基含有モノマー(a2)は、後述の架橋剤(B)と反応することにより架橋点となりうる官能基を含有するモノマーであり、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;
2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを使用することも好ましく、更には0.2%以下、殊には0.1%以下のものを使用することが好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これら官能基含有モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ架橋剤(B1)、ジルコニウム系架橋剤(B2)と効率的に架橋反応ができる点で、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーが好ましく用いられ、さらに、即硬化性と耐熱性の両立の点からは水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを併用することが好ましい。
重合成分中における官能基含有モノマー(a2)の含有量は、通常、0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。含有量が少なすぎると、架橋度が低下し、被着体汚染が増大したり、貼付直後の粘着力が高くなりすぎる傾向があり、多すぎると、被着体汚染が増大する傾向がある。
重合成分中における官能基含有モノマー(a2)として、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを併用する場合は、水酸基含有モノマーの含有量が0.001〜10重量%であることが好ましく、さらには0.01〜8重量%、特には0.1〜5重量%であることが好ましく、カルボキシル基含有モノマーの含有量が0.1〜30重量%であることが好ましく、さらには1〜25重量%、特には2〜20重量%であることが好ましい。
その他の共重合性モノマー(a3)としては、例えば、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン等の1つの芳香環を含有するモノマー;
ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらの共重合性モノマーのうち、加熱工程後の被着体汚染を減少させる点で(メタ)アクリルアミド系モノマーが好ましい。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
重合成分中におけるその他の共重合性モノマー(a3)の含有量は、通常、0〜40重量%であり、好ましくは0.001〜30重量%、特に好ましくは0.01〜25重量%である。含有量が多すぎると、粘着特性が低下しやすい傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の重合に際しては、例えば、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法を採用することができる。例えば、有機溶媒中に、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)、及び必要に応じてその他の共重合性モノマー(a3)を含む重合モノマー、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜99℃で2〜20時間重合を行なう。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常、10万〜250万、好ましくは20万〜220万、特に好ましくは40万〜200万である。重量平均分子量が低すぎると、粘着剤層の耐熱性が低下し、被着体汚染が増大する傾向があり、高すぎると、希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で不利となる傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、例えば、通常20以下であり、好ましくは15以下、特に好ましくは10以下であり、下限は通常1.1である。分散度が高すぎると、粘着剤層の耐熱性が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。また測定に際してポリマーを誘導体化してもよいし溶離液の種類を適宜変更してもよい。
更に、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、通常−80〜0℃であり、好ましくは−75〜−5℃、特に好ましくは−70〜−10℃である。ガラス転移温度が高すぎると、加熱工程後の粘着力が高くなる傾向があり、ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性が低下し、被着体汚染が増大する傾向がある。
ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 0006686830
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーaのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーaの重量分率
Tgb:モノマーbのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーbの重量分率
Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーnの重量分率(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
なお、上記においてアクリル系樹脂を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)で測定されるものである。
本発明の粘着剤組成物はアクリル系樹脂(A)を粘着剤組成物全量に対して、30〜99重量%含有することが好ましく、特に好ましくは40〜97重量%、さらに好ましくは50〜95重量%である。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(B)として、エポキシ系架橋剤(B1)およびジルコニウム系架橋剤(B2)を含有することが、耐熱性と即硬化性を両立させることができる点で重要である。
上記エポキシ系架橋剤(B1)としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。
なかでも加熱後の粘着力上昇が小さく、他熱汚染性が良好である点で1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンが好ましい。
なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、上記エポキシ系架橋剤(B1)としては、市販品の三菱ガス化学社製「テトラッドC」、三菱ガス化学社製「テトラッドX」、Synasia社製「S−610」等を用いればよい。
上記エポキシ系架橋剤(B1)の含有量(固形分換算量)は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して2〜30重量部であり、好ましくは3〜20重量部、特に好ましくは4〜15重量部である。エポキシ系架橋剤(B1)の含有量が少なすぎると、加熱後の粘着力上昇が大きくなり、耐熱汚染性が低下する傾向があり、多すぎると、耐熱汚染性が低下し、またポットライフが短くなり塗工性が低下する傾向がある。
上記ジルコニウム系架橋剤(B2)としては、例えば、金属単体(ジルコニウム単体)、ジルコニウムへのアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
上記ジルコニウムへのアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物としては、具体的には、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムアセチルアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテート等のジルコニウム系キレート化合物等が挙げられる。
これらのなかでも、即硬化性の点から、ジルコニウムアセチルアセトネートやジルコニウムブトキシアセチルアセトネートを用いることが好ましい。
なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、上記ジルコニウム系架橋剤(B2)としては市販品の、マツモトファインケミカル株式会社製「ZC−700」、「ZC−580」、「ZC−150」、「ZC−540」、「ZC−200」、「ZC−320」、「ZC−126」、「ZC−300」、「ZA−45」、「ZA−65」、日本化学産業株式会社製「ナーセムジルコニウム」、King Industries,Inc.製「K−KAT 4205」、「K−KAT 6212」等を用いればよい。
上記ジルコニウム系架橋剤(B2)の含有量(固形分換算量)は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部であり、好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは3〜15重量部である。ジルコニウム系架橋剤(B2)の含有量が少なすぎると、即硬化性が低下する傾向があり、多すぎると、ポットライフが短くなり塗工性が低下する傾向がある。
また、即硬化性や、加熱後の粘着力上昇の抑制、耐熱汚染性の点から、エポキシ系架橋剤(B1)(固形分換算量)に対するジルコニウム系架橋剤(B2)中の金属成分(X)の含有割合(重量比)(X/B1)が0.015〜1.0であることが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.06〜0.3である。エポキシ系架橋剤(B1)の含有量に対して、ジルコニウム系架橋剤(B2)中の金属成分(X)の含有量が少なすぎると即硬化性が低下する傾向があり、多すぎると加熱後の粘着力上昇が大きく、耐熱汚染性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、粘着剤組成物に通常用いられるその他の架橋剤を併用することもできる。
かかる架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。他の架橋剤を併用する場合において、粘着物性の調整の点からはイソシアネート系架橋剤を併用することが好ましい。
本発明において、架橋剤(B)の含有量は、即硬化性や、加熱後の粘着力上昇の抑制、耐熱汚染性の点から、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して4〜60重量部であることが好ましく、更には6〜40重量部、特には8〜30重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると粘着剤の凝集力が低下し、糊残りの原因となる傾向があり、多すぎると、粘着剤の架橋が進みすぎて、粘着力が低下するので、被着体との間に浮きを生じてしまう傾向がある。
また、本発明の粘着組成物は架橋遅延剤(C)を含有することが、ポットライフを延長し、塗工性を向上させる点で好ましい。
架橋遅延剤は、ジルコニウム系架橋剤(B2)の活性を調整し、粘着剤組成物のポットライフと硬化性のバランスを取るために含有されるものである。架橋遅延剤は、粘着剤組成物中においては、ジルコニウム系架橋剤(B2)に対してキレート化剤として作用し、ジルコニウム系架橋剤(B2)をブロックすることにより、粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着剤組成物のポットライフを延長することができる。その後、粘着剤組成物を基材等に塗工し、乾燥させることにより架橋遅延剤が揮発すると、架橋遅延剤によりブロックされていた上記ジルコニウム系架橋剤(B2)が活性化し、架橋促進効果が発揮されて、粘着剤の架橋が進む。
上記架橋遅延剤(C)としては、ケトエノール互変異性化合物であり、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。
これらのなかでも、ポットライフと即硬化性のバランスの点から、アセチルアセトンを用いることが好ましい。
なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記架橋遅延剤(C)としては、市販品のダイセル株式会社製「アセチルアセトン」等を用いればよい。
架橋遅延剤(C)は、ジルコニウム系架橋剤(B2)の架橋促進効果とは反対に、架橋を抑制する効果を有することから、ジルコニウム系架橋剤(B2)に対する架橋遅延剤(C)の割合を適切に設定することが好ましい。
粘着剤組成物のポットライフを延長し、かつ即硬化性を損なわないためには、架橋遅延剤(C)とジルコニウム系架橋剤(B2)(固形分換算量)の含有割合(重量比)が、架橋遅延剤(C):ジルコニウム系架橋剤(B2)=1:0.01〜1:15の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、(C):(B2)=1:0.1〜1:13であり、特に好ましくは、(C):(B2)=1:0.5〜1:10である。
架橋遅延剤(C)の含有量が少なすぎると、ポットライフが短く塗工性が低下する傾向があり、多すぎると即硬化性が低下する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘着付与樹脂等の添加剤を更に含有していてもよく、これらの添加剤は1種または2種以上を併用して用いてもよい。特に酸化防止剤は粘着剤層の安定性を保つのに有効である。酸化防止剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01〜5重量%である。なお、添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていても良い。
本発明の粘着剤組成物が架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤のゲル分率は、通常、40〜100%、好ましくは60〜100%、特に好ましくは80〜100%、更に好ましくは85〜100%、殊に好ましくは90〜100%である。
ゲル分率が低すぎると粘着剤の凝集力が低下し、糊残りを生じて、被着体汚染の原因となる傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
本発明においては、上記粘着剤組成物からマスキングフィルム用粘着剤を調製し、基材であるフィルム上に粘着剤層を積層形成することにより、マスキング用耐熱粘着フィルムを得ることができる。なお、粘着剤層を構成する粘着剤は、上記粘着組成物が架橋剤(B)にて架橋されたものである。
粘着剤層を積層形成する基材としては、例えば、金属、ポリエステル系樹脂、ポリフッ化エチレン系樹脂、ポリイミドおよびその誘導体、エポキシ樹脂等からなる単層または積層構造のフィルムが挙げられる。マスキング用耐熱粘着フィルムには、粘着剤層の基材とは反対側の面に、さらに離型フィルムを設けることが好ましい。マスキング用耐熱粘着フィルムを実用に供する際には、上記離型フィルムを剥離して用いられる。上記離型フィルムとしては、シリコン系の離型フィルム、オレフィン系の離型フィルム、フッ素系の離型フィルム、長鎖アルキル系離型フィルム、アルキッド系の離型フィルムを用いることができる。
上記の粘着フィルムを製造する方法については、〔1〕基材上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型フィルムを貼合し、エージング処理を行なう方法、〔2〕離型フィルム上に、粘着剤組成物を塗布し、乾燥した後、基材を貼合し、エージング処理を行なう方法等が挙げられる。これらの中でも、〔2〕の方法が基材を痛めない点、作業性や安定製造の点で好ましい。
ここで、通常耐熱性を付与した粘着フィルムのエージング処理には、高温度・長時間のエージングを要するものであるが、本発明では、上記エポキシ系架橋剤(B1)及び金属キレート系架橋剤(B2)を所定の含有量にて併用することで、即硬化性に優れたものとなり、これにより低温度・短時間でエージング処理を完了することができる。
上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は通常、0〜150℃、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜80℃、時間は通常、30日以下、好ましくは14日以下、特に好ましくは7日以下であり、具体的には、例えば23℃で3〜10日間、40℃で1〜7日間等の条件で行なうことができる。
粘着剤組成物の塗布に際しては、この粘着剤組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好適に用いられる。
また、上記粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行なうことができる。
粘着フィルムにおける粘着剤層の厚みは、通常5〜300μm、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは10〜30μmである。この粘着剤層が薄すぎると粘着物性が安定し難くなる傾向があり、厚すぎると粘着フィルム全体が厚すぎて、使い勝手が悪くなる傾向がある。
粘着フィルムの被着体としては、耐熱性を有する材料の基材を用いることが好ましく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、マグネシウム、ニッケル、チタン等の金属板あるいは金属箔等;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、エステルアクリレート等のポリエステル系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂;ポリイミドおよびその誘導体;ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂複合材料、脂環エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート等のエポキシ樹脂などが挙げられる。
粘着フィルムの粘着剤層の粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜調整されるが、例えばSUS−BA板、ハードコート処理されたPETフィルム、ガラス、ポリイミドフィルム等に貼り付ける場合には、塗工直後(エージング前)の粘着力が、0.01〜1.8N/25mmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜1.5N/25mm、更に好ましくは0.1〜1.0N/25mmである。
また、エージング後の粘着フィルムの粘着剤層の粘着力が、0.001〜1.0N/25mmであることが好ましく、特に好ましくは0.005〜0.8N/25mm、更に好ましくは0.01〜0.5N/25mmである。
さらに、加熱後の粘着フィルムの粘着剤層の粘着力が0.001〜1.0N/25mmであることが好ましく、特に好ましくは0.005〜0.8N/25mm、更に好ましくは0.01〜0.5N/25mmである。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる、マスキング用耐熱粘着フィルムは、高温条件下で使用した後でも、被着体から剥離した際に汚染が生じ難く、かつ小さな力で剥離することができるので、例えば、FPC基板等の回路基板やITO透明電極層を一時的に表面保護するためのマスキング用粘着フィルムなど耐熱性を要するマスキング用途、または製造工程中で製品を一時的に保持・補強のために固定するための仮固定用途全般に用いることができる。
また、本発明の粘着剤組成物は即硬化性を有し、離型フィルムの有する微細な凹凸が粘着剤層の粘着面に転写されにくいため、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどのディスプレイの保護フィルム用として用いた場合でも、凹凸による視認性の低下などを防ぐことができる。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られるマスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法としては、該マスキング用粘着フィルムを被着体表面に貼り付け、通常100℃以上、好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上の加熱工程に付した後、そのマスキング用粘着フィルムを被着体表面から剥離するという使用方法が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。また、ガラス転移温度は、上述の方法に従って測定を行った。
各成分は下記のとおりである。
<アクリル系樹脂(A)溶液の製造>
〔製造例1:アクリル系樹脂(A−1)〕
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル66.5部、トルエン3.3部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.07部を仕込み、撹拌しながら昇温し、80℃になったら、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)46部、ブチルアクリレート(BA)45.9部、アクリル酸(AAc)8部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.1部を混合溶解させた混合液を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、トルエン8.37部にAIBN0.03部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら前記温度で還流下3.5時間還流させた後、酢酸エチルで希釈して、重量平均分子量55万のアクリル系樹脂(A−1)(分散度4.7、ガラス転移温度−55.4℃)の37%溶液を得た。
<架橋剤(B)>
〔エポキシ架橋剤(B1)〕
・(B1−1)
1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社製、「Tetrad−C」、固形分濃度100%)
〔ジルコニウム系架橋剤(B2)〕
・(B2−1)
ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル株式会社製、「ZC−700」)、固形分濃度20%、固形分中の金属成分18.5%
・(B2−2)
ジルコニウムブトキシビス(エチルアセトアセテート)(マツモトファインケミカル株式会社製、「ZC−580」、固形分濃度70%、固形分中の金属成分18.4%)
〔その他の架橋剤〕
・アルミニウム系架橋剤
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(日本化学産業株式会社製、「ナーセムアルミニウム」、固形分濃度100%、固形分中の金属成分8.3%)
<架橋遅延剤(C)>
・(C−1)アセチルアセトン
<実施例1>
〔粘着剤組成物の調製〕
上記で得られたアクリル系樹脂(A−1)の固形分100部に対して、エポキシ架橋剤(B1−1)を10部(固形分換算量)、ジルコニウム系架橋剤(B2−1)を3.4部(固形分換算量)、アセチルアセトン(C−1)1部を配合し、粘着剤組成物を調製した。
〔粘着フィルムの作製〕
上記で調製した粘着剤組成物を乾燥後の粘着剤層の厚さが25μmになるように、基材のPETフィルム(厚さ38μm)に塗布した後、100℃で2分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPET(離型フィルム)を貼着して粘着剤層を保護し、粘着フィルムを作製した。
得られた粘着フィルムを用いて下記の評価を行い、その結果を表1に示す。
〔粘着力:粘着フィルム作製から3時間経過後(即硬化性評価)〕
上記粘着フィルム作製から3時間経過後の粘着フィルムを用いて、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミドフィルム面に、試験片の粘着剤層面を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、剥離強度の数値が小さいほど、粘着剤層がより架橋されていることを示し、粘着フィルム作製から3時間といった短時間で架橋が進んでいることが分かる。そのため、微細な凹凸形状が転写されることなく、平滑な粘着剤層表面となっていると判断できる。
(評価基準)
◎・・・0.3N/25mm未満
○・・・0.3N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×・・・1.0N/25mm以上
〔粘着力:エージング後〕
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミドフィルム面に、試験片の粘着剤層面を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎・・・0.1N/25mm未満
○・・・0.1N/25mm以上、0.5N/25mm未満
×・・・0.5N/25mm以上
〔粘着力:加熱後〕
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミド面に、試験片の粘着剤層面を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。続いて、150℃の条件下に1.5時間晒し、その後23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎・・・0.3N/25mm未満
○・・・0.3N/25mm以上、0.5N/25mm未満
×・・・0.5N/25mm以上
〔耐熱汚染性〕
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体に、試験片の粘着剤層面を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。続いて、150℃の条件下に1.5時間晒し、その後23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離後の被着体表面の様子を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・糊残り、貼り跡がみられなかった。
×・・・基材界面剥離がみられた。
<実施例2〜5、比較例1〜6>
粘着剤組成物の架橋剤(B)の種類及び配合量を表1に示す割合で配合した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、粘着フィルムを作製した。得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006686830
架橋剤としてエポキシ系架橋剤(B1)およびジルコニウム系架橋剤(B2)を特定量含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する実施例1〜5の粘着フィルムでは、作製後3時間での粘着フィルムの粘着剤層の粘着力が低い、即ち、即硬化性に優れたものであり、かつ、150℃で1.5時間という高温条件下に晒された後においても粘着力が過大にならず、小さな力で被着体から剥離することができ、また被着体から剥離した際に汚染が生じ難いことが分かる。
一方、エポキシ系架橋剤(B1)を含有しない、あるいはその含有量が特定量を満足しない粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例3および比較例4の粘着フィルムでは、即硬化性は有するものの、高温条件下で使用した後において粘着力が高くなり、加熱後の剥離性に劣ることがわかる。
また、ジルコニウム系架橋剤(B2)を含有しない、あるいはその含有量が特定量を満足しない粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例1および2の粘着フィルムでは、フィルム作製後3時間での粘着フィルムの粘着剤層の粘着力が高く、即硬化性に劣ることがわかる。
さらに、ジルコニウム系架橋剤(B2)の代わりに、同じく金属架橋剤であるアルミニウム系架橋剤を用いた粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例5、6では、即硬化性に劣り、特に、エポキシ架橋剤(B1)を通常用いられる量使用した比較例6では、即硬化性に加えて、加熱後の剥離性、耐熱汚染性にも劣ることがわかる。
本発明の粘着剤組成物は、FPC基板等の回路基板やITO透明電極等のタッチパネル関連部材の製造工程に含まれる加熱工程においてマスキングや固定を行なうためのマスキング用耐熱粘着フィルムや、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの表面保護用粘着フィルムに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. アクリル系樹脂(A)、および架橋剤(B)を含有するアクリル系粘着剤組成物であり、架橋剤(B)がエポキシ系架橋剤(B1)およびジルコニウム系架橋剤(B2)を含有し、アクリル系樹脂(A)100重量部に対するエポキシ系架橋剤(B1)の含有量が2〜30重量部、ジルコニウム系架橋剤(B2)の含有量が1〜30重量部であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  2. エポキシ系架橋剤(B1)に対するジルコニウム系架橋剤(B2)中の金属成分(X)の含有割合(X/B1)が0.015〜1.0であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. アクリル系樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有モノマー(a2)を含有する重合成分を重合してなることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 架橋遅延剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の粘着剤組成物が架橋剤(B)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
  6. 請求項5に記載の粘着剤からなることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤。
  7. 請求項6に記載のマスキングフィルム用粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルム。
  8. 請求項7に記載のマスキング用耐熱粘着フィルムを被着体表面に貼り付け、130℃以
    上の加熱工程に付した後、そのマスキング用耐熱粘着フィルムを被着体表面から剥離する
    ことを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法。
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