JP6610247B2 - 粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、耐熱粘着フィルム用粘着剤、マスキング用耐熱粘着フィルム - Google Patents
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Description
また、本発明は、この粘着剤組成物を架橋させてなる粘着剤、該粘着剤からなるマスキングフィルム用粘着剤、該粘着剤からなる耐熱粘着フィルム用粘着剤、該粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有するマスキング用耐熱粘着フィルムの提供をも目的とするものである。
また、本発明において「粘着フィルム」とは、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含するものである。
具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
好ましい(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)中、炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1−1)の含有量が80重量%以上であることが加熱工程後の被着体汚染に優れる点で好ましく、特に好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、殊に好ましくは95重量%以上である。
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;
2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが特に好ましい。
これらの中でも、エポキシ架橋剤(B1)、チタンアルコキシド系架橋剤(B2)と効率的に架橋反応ができる点で、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーが好ましく用いられ、さらに、即硬化性と耐熱性の両立の点からは水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを併用することが好ましい。
重合成分中における官能基含有モノマー(a2)として、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを併用する場合は、水酸基含有モノマーの含有量が0.001〜10重量%であることが好ましく、さらには0.01〜8重量%、特には0.1〜5重量%であることが好ましく、カルボキシル基含有モノマーの含有量が0.1〜30重量%であることが好ましく、さらには1〜25重量%、特には2〜20重量%であることが好ましい。
重合成分中における官能基含有モノマー(a2)として、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを併用する場合においては、特に、水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーの含有割合(重量比)(カルボキシル基含有モノマー/水酸基含有モノマー)が、10〜150であることが好ましく、より好ましくは40〜120、特に好ましくは50〜100である。
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン等の1つの芳香環を含有するモノマー;
ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらの共重合性モノマーのうち、加熱工程後の被着体汚染を減少させる点で(メタ)アクリルアミド系モノマーが好ましい。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
また測定に際してポリマーを誘導体化してもよいし溶離液の種類を適宜変更してもよい。
なかでも加熱後の粘着力上昇が小さく、他熱汚染性が良好である点で1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンが好ましい。
これらのなかでも、即硬化性の点から、ブチルチタネートダイマーを用いることが好ましい。
なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
かかる架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。他の架橋剤を併用する場合において、粘着物性の調整の点からはイソシアネート系架橋剤を併用することが好ましい。
これらのなかでも、ポットライフと即硬化性のバランスの点から、アセチルアセトンを用いることが好ましい。
なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着剤組成物のポットライフを延長し、かつ即硬化性を損なわないためには、架橋遅延剤(C)とチタンアルコキシド系架橋剤(B2)(固形分換算量)の含有割合(重量比)が、架橋遅延剤(C):チタンアルコキシド系架橋剤(B2)=1:0.01〜1:20の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、1:0.05〜1:15であり、特に好ましくは、1:0.1〜1:10である。
チタンアルコキシド系架橋剤(B2)の含有量に対して、架橋遅延剤(C)の含有量が少なすぎると、ポットライフが短く塗工性が低下する傾向があり、多すぎると即硬化性が低下する傾向がある。
ゲル分率が低すぎると粘着剤の凝集力が低下し、糊残りを生じて、被着体汚染の原因となる傾向がある。
また、本発明の粘着剤組成物は即硬化性を有し、離型フィルムの有する微細な凹凸が粘着剤層の粘着面に転写されにくいため、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどのディスプレイの保護フィルム用として用いた場合でも、凹凸による視認性の低下などを防ぐことができる。
各成分は下記のとおりである。
〔製造例1:アクリル系樹脂(A−1)〕
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル66.5部、トルエン3.3部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.07部を仕込み、撹拌しながら昇温し、80℃になったら、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)46部、ブチルアクリレート(BA)45.9部、アクリル酸(AAc)8部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.1部を混合溶解させた混合液を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、トルエン8.37部にAIBN0.03部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら前記温度で還流下3.5時間還流させた後、酢酸エチルで希釈して、重量平均分子量55万のアクリル系樹脂(A−1)の37%溶液を得た。
〔エポキシ架橋剤(B1)〕
・(B1−1)
1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社製、「Tetrad−C」、固形分濃度100%)
〔チタンアルコキシド系架橋剤(B2)〕
・(B2−1)
ブチルチタネートダイマー(マツモトファインケミカル株式会社製、「TA−23」、固形分濃度95%以上、固形分中の金属成分18.3%)
〔その他の架橋剤〕
・アルミニウム系架橋剤
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(日本化学産業株式会社製、「ナーセムアルミニウム」、固形分濃度100%、固形分中の金属成分8.3%)
・他のチタン系架橋剤(チタンキレート系化合物)
リン酸チタン化合物(マツモトファインケミカル株式会社製、「TC−1040」、固形分濃度75%、固形分中の金属成分13.3%)
・(C−1) アセチルアセトン
〔粘着剤組成物の調製〕
上記で得られたアクリル系樹脂(A−1)の固形分100部に対して、エポキシ架橋剤(B1−1)を10部(固形分換算量)、チタンアルコキシド系架橋剤(B2−1)を2.5部(固形分換算量)、アセチルアセトン(C−1)4部を配合し、粘着剤組成物を調製した。
上記で調製した粘着剤組成物を乾燥後の延着剤層の厚さが約25μmになるように、基材のPETフィルム(厚さ38μm)に塗布した後、100℃で2分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPETを貼着して粘着剤層を保護し、粘着フィルムを作製した。
得られた粘着フィルムを用いて下記の評価を行い、その結果を表1に示す。
上記粘着フィルム作製から3時間経過後の粘着フィルムを用いて、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミドフィルム面に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、剥離強度の数値が小さいほど、粘着剤層がより架橋されていることを示し、粘着フィルム作製から3時間といった短時間で架橋が進んでいることが分かる。そのため、微細な凹凸形状が転写されることなく、平滑な粘着剤層表面となっていると判断できる。
(評価基準)
○・・・0.5N/25mm未満
△・・・0.5N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×・・・1.0N/25mm以上
〈粘着力:加熱前〉
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミドフィルム面に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・0.2N/25mm未満
△・・・0.2N/25mm以上、0.5N/25mm未満
×・・・0.5N/25mm以上
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体のポリイミド面に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。続いて、150℃の条件下に1.5時間晒し、その後23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・0.5N/25mm未満
△・・・0.5N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×・・・1.0N/25mm以上
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、ステンレス板(SUS304BA板)に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン100H」)を貼り付けた被着体に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。続いて、150℃の条件下に1.5時間晒し、その後23℃に戻した。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離後の被着体表面の様子を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:糊残り、貼り跡はほとんど確認されなかった。
×:基材界面剥離が確認された。
粘着剤組成物の架橋剤(B)の種類及び配合量を表1に示す割合で配合した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、粘着フィルムを作製した。得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
一方、エポキシ系架橋剤(B1)を含有しない、粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例3の粘着フィルムでは、即硬化性は有するものの、高温条件下で使用した後において粘着力が高くなり、加熱後の剥離性に劣ることがわかる。
また、チタンアルコキシド系架橋剤(B2)を含有しない、あるいはその含有量が特定量を満足しない粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例1および2の粘着フィルムでは、フィルム作製後3時間での粘着フィルムの粘着剤層の粘着力が高く、即硬化性に劣ることがわかる。
さらに、チタンアルコキシド系架橋剤(B2)の代わりに、同じく金属架橋剤であるアルミニウム系架橋剤や、他のチタン系架橋剤を用いた粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例4〜6では、即硬化性に劣ることがわかる。
Claims (8)
- アクリル系樹脂(A)、および架橋剤(B)を含有するアクリル系粘着剤組成物であり、架橋剤(B)がエポキシ系架橋剤(B1)およびチタンアルコキシド系架橋剤(B2)を含有し、アクリル系樹脂(A)100重量部に対するエポキシ系架橋剤(B1)の含有量が1.0〜30重量部、チタンアルコキシド系架橋剤(B2)の含有量が1.5〜30重量部であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
- エポキシ系架橋剤(B1)に対するチタンアルコキシド系架橋剤(B2)中の金属成分(X)の含有割合(X/B1)が0.02〜5であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- アクリル系樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有モノマー(a2)を含有する重合成分を重合してなることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
- 架橋遅延剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の粘着剤組成物が架橋剤(B)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤からなることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤からなることを特徴とする耐熱粘着フィルム用粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルム。
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