JP2018090799A - 粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、マスキングフィルム、透明電極層形成工程用粘着フィルム、半導体製造工程用テープ、マスキングフィルムの使用方法 - Google Patents
粘着剤組成物、これを架橋させてなる粘着剤、マスキングフィルム用粘着剤、マスキングフィルム、透明電極層形成工程用粘着フィルム、半導体製造工程用テープ、マスキングフィルムの使用方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
ところが、アニール処理や配線形成工程では、FPC基板やITOなどの透明電極層に保護フィルムを貼った状態で高温に晒される工程が含まれるため、粘着フィルムの粘着剤層が積層板に固着してしまい、粘着フィルムの剥離時に糊残りによる汚染が生じたり、FPC基板や透明電極層の積層板が破損したりすることがある。そのため、高温工程後であっても、剥離する際には軽い力で糊残りなく剥離できることが求められている。
このような粘着フィルムを例えばフラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの表面保護に用いると、粘着剤層表面の凹凸が被着体であるフラットパネルディスプレイなどの表面の光学フィルムに転写され、フラットパネルディスプレイなどの視認性が低下するなど、適用する分野によってはわずかな凹凸であっても不具合が生じることがあった。
そこで、塗工後すぐに架橋が進行することによりエージング時間が短縮化され(言い換えれば、即硬化性に優れ)、粘着力の変化が少ない粘着剤組成物として、以下の粘着剤組成物が知られている。
1.2×10−5≦X×Y≦1.0×10−2 ・・・式(1)
X:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部中の水酸基の数(mol)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
また、本発明において「フィルム」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
本発明の粘着剤組成物は、水酸基含有アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、鉄系架橋触媒(C)、および架橋遅延剤(D)を含有する。
1.2×10−5≦X×Y≦1.0×10−2 ・・・式(1)
1.3×10−5≦X×Y≦1.0×10−3 ・・・式(1a)
1.5×10−5≦X×Y≦5.0×10−4 ・・・式(1b)
X:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部中の水酸基の数(mol)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
X×Yの値が大きすぎるとポットライフが短くなるので塗工性が低下し、小さすぎると即硬化性が不十分となる。
Xの値が大きすぎると乾燥工程前に架橋が進み、塗工性が低下する傾向がある。Xの値が小さすぎると架橋密度が低くなり、粘着剤層表面の凹凸が改善され難くなる傾向がある。
Yの値が大きすぎると配合液の安定性が低下する傾向がある。Yの値が小さすぎると即硬化性が十分でなくなり、粘着剤層表面の凹凸が改善され難くなる傾向がある。
0.6≦Z/X≦2.0 ・・・式(2)
0.7≦Z/X≦1.8 ・・・式(2a)
0.8≦Z/X≦1.5 ・・・式(2b)
X:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部中の水酸基の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol)
Z/Xの値が大きすぎると被着体を汚染する傾向があり、小さすぎると粘着力が高くなり過ぎて、剥離する際の剥離性が低下する傾向がある。
Zの値が大きすぎると被着体を汚染する傾向がある。Zの値が小さすぎると粘着力が高くなり過ぎて、剥離する際の剥離性が低下する傾向がある。
1.0×10−4≦Y/Z≦10 ・・・式(3)
1.0×10−3≦Y/Z≦5 ・・・式(3a)
1.0×10−3≦Y/Z≦1 ・・・式(3b)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol)
Y/Zの値が大きすぎるとポットライフが短くなるので塗工性が低下する傾向があり、小さすぎると即硬化性が不十分となる傾向がある。
1.0×10−6≦Z×Y≦5.0×10−2 ・・・式(4)
5.0×10−6≦Z×Y≦1.0×10−3 ・・・式(4a)
1.0×10−5≦Z×Y≦5.0×10−4 ・・・式(4b)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol)
Z×Yの値が大きすぎるとポットライフが短くなるので塗工性が低下する傾向があり、小さすぎると即硬化性が不十分となる傾向がある。
本発明で用いられる水酸基含有アクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)を必須成分として含有する重合成分を重合して得られるものであり、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、水酸基含有モノマー(a1)以外の官能基含有モノマー(a3)、その他の重合性モノマー(a4)を重合成分として適宜含有する重合成分を重合して得られるものである。
これら水酸基含有モノマー(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、イソシアネート系架橋剤(B)との反応性に優れる点で、1級水酸基含有モノマーを使用することが好ましく、特には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜8の脂肪族(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)中、アルキル基の炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの含有量が80重量%以上であることが加熱工程後の耐被着体汚染性に優れる点で好ましく、特に好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、殊に好ましくは95重量%以上である。
なお、本明細書では、エチレン性不飽和二重結合及びアミノ基(無置換又は置換アミノ基)を有するモノマーであって、かつアミド基(アミド結合を有する基)を有するモノマーについては、下記のアミド基含有モノマーに包含されることとする。
これらの中でも、本発明においては、架橋促進効果の点から、窒素原子を含有する官能基含有モノマーを含有することが好ましく、特に好ましくはアミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、更に好ましくはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、殊に好ましくはジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
また測定に際してポリマーを誘導体化してもよいし溶離液の種類を適宜変更してもよい。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
なお、アクリル系樹脂を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものである。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(B)を含有することが、反応性が高くなり、耐熱性が向上する点で重要である。
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート;
等が挙げられ、
さらに、これらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
かかる架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。
鉄系架橋触媒(C)は、鉄を活性中心とする触媒であり、イソシアネート系架橋剤(B)の反応を促進する。本発明の粘着剤組成物は、鉄系架橋触媒(C)を含有することが、ポットライフと即硬化性を両立させ、平滑な粘着剤層を得ることができる点で重要である。
鉄キレート化合物Fe(L)(M)(N)において、(L)(M)(N)はそれぞれFeに対する配位子である。例えば、L、MまたはNがβ−ジケトンの場合、β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、5−メチル−ヘキサン−2,4−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタンー3,5−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、ノナン−4,6−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、トリデカン−6,8−ジオン、1−フェニル−ブタン−1,3−ジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、アスコルビン酸等が挙げられる。
また、L、MまたはNがβ−ケトエステルの場合、β−ケトエステルとしては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸−n−プロピル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸−n−ブチル、プロピオニル酢酸−sec−ブチル、プロピオニル酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸ベンジル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が挙げられる。これら鉄系架橋触媒(C)は1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
鉄系架橋触媒(C)の含有量が多すぎると配合液の安定性が低下する傾向があり、含有量が少なすぎると即硬化性が低下し、塗膜表面に凹凸が転写され易くなる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は架橋遅延剤(D)を含有することが、十分なポットライフを保持し、塗工性を向上させる点で必要である。
架橋遅延剤(D)は、鉄系架橋触媒(C)の活性を調整し、粘着剤組成物のポットライフと硬化性のバランスを取るために含有されるものである。架橋遅延剤(D)は、粘着剤組成物中においては、鉄系架橋触媒(C)に対してキレート化剤として作用し、鉄系架橋触媒(C)をブロックすることにより、粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着剤組成物のポットライフを延長することができる。その後、粘着剤組成物を基材等に塗工し、乾燥させることにより架橋遅延剤(D)が揮発すると、架橋遅延剤(D)によりブロックされていた上記鉄系架橋触媒(C)が活性化し、架橋促進効果が発揮されて、粘着剤組成物の架橋が進む。
これらのなかでも、ポットライフと即硬化性のバランスの点から、架橋遅延剤(D)としてアセチルアセトンを用いることが好ましい。
なお、これら架橋遅延剤(D)は1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
粘着剤組成物のポットライフを延長し、かつ即硬化性を損なわないためには、架橋遅延剤(D)に対する鉄系架橋触媒(C)(固形分換算量)の含有割合(重量比)(C)/(D)は、好ましくは(C)/(D)=0.1〜100、特に好ましくは0.5〜90、更に好ましくは1〜80である。
鉄系架橋触媒(C)の含有量に対して、架橋遅延剤(D)の含有量が少なすぎると、ポットライフが短く塗工性が低下する傾向があり、多すぎると即硬化性が低下する傾向がある。
架橋遅延剤(D)の含有量が多すぎると即硬化性が低下する傾向があり、含有量が少なすぎるとポットライフが短縮する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘着付与樹脂等の添加剤を更に含有していてもよく、これらの添加剤は1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。特に酸化防止剤は粘着剤層の安定性を保つのに有効である。酸化防止剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01〜5重量%である。なお、添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていても良い。
ゲル分率が低すぎると粘着剤の凝集力が低下し、糊残りを生じて、被着体汚染の原因となる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(B)により架橋させることによって、微粘着〜低粘着程度の粘着力(約2N/25mm以下)を有する粘着剤とすることができる。かかる粘着剤は、例えば、一時的に被着体の表面保護するために短期間(数時間〜数日)被着体と貼り合せるマスキングフィルム用粘着剤などの粘着フィルム用粘着剤として好適に用いられる。
かかる粘着フィルムとしては、マスキングフィルムの他に、ITOなどからなる透明電極層の形成工程で用いられる透明電極層形成工程用粘着フィルム、半導体製造工程で用いられる半導体製造工程用テープなどが挙げられる。
また、本発明の粘着剤組成物は即硬化性を有し、離型フィルムの有する微細な凹凸が粘着剤層の粘着面に転写されにくいため、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどのディスプレイの保護フィルム用として用いた場合でも、凹凸による視認性の低下などを防ぐことができる。
〔製造例1:アクリル系樹脂(A−1)〕
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル40部を仕込み、撹拌しながら昇温し、約80℃になったらブチルアクリレート(BA)(a2)64.85部、メチルメタクリレート(MMA)(a2)30.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(a1)5.0部、アクリル酸(AAc)(a3)0.15部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05部、酢酸エチル5.0部を混合溶解させた混合液を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル5.0部にAIBN0.025部を混合させた混合溶液、最後に酢酸エチル5.0部にAIBN0.05部を混合させた混合溶液を逐次追加しながら前記温度で還流下6.0時間還流させた後、酢酸エチルとトルエンで40%希釈して、100重量部(固形分換算量)中の水酸基数3.8×10−2molのアクリル系樹脂(A−1)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル74.2部を仕込み、撹拌しながら昇温し、約80℃になったらBA(a2)91.85部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(a1)7.0部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)(a3)0.15部、AIBN0.06部、酢酸エチル6.0部を混合溶解させた混合液を2時間にわたって滴下した。更に、重合途中に、酢酸エチル0.3部に4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)(a1)0.8部を混合させた混合溶液、酢酸エチル0.3部にAIBN0.05部を混合させた混合溶液、酢酸エチル0.3部に4HBA(a1)0.2部を混合させた混合溶液、最後に酢酸エチル0.3部にAIBN0.05部を混合させた混合溶液を逐次追加しながら前記温度で還流下7.5時間還流させた後、酢酸エチルで希釈して42%希釈して、100重量部(固形分換算量)中の水酸基数6.7×10−2molのアクリル系樹脂(A−2)を得た。
(B−1)東ソー株式会社製「コロネートHX」
<鉄系架橋触媒(C)>
(C−1)日本化学産業株式会社製「ナーセム第二鉄」(分子量353.17)
<架橋遅延剤(D)>
(D−1)株式会社ダイセル製「アセチルアセトン」
東京化成工業株式会社製「ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)」(分子量263.61)
日本化学産業株式会社製「ナーセムチタン」(分子量392.31)
日本化学産業株式会社製「ナーセム錫」(分子量431.15)
日本化学産業株式会社製「ナーセムアルミニウム」(分子量324.31)
アクリル系樹脂(A−1)の固形分100部に対して、コロネートHX(B−1)を7部、ナーセム第二鉄(C−1)を1.0部、アセチルアセトン(D−1)を20部配合して、粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが約20μmになるように、基材としてのPETフィルム(東レ株式会社製、T60 ルミラー、厚み38μm)に塗布した後、120℃で2分間乾燥させた。その後、塗工面に、離型処理されたPETフィルム(三井化学東セロ株式会社製、PET−01−BU、厚み38μm)を貼着し保護して、粘着フィルムを作製した。
粘着剤組成物の各成分を表2に示す割合で配合した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、更に粘着フィルムを作製した。
(評価方法)
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、粘着フィルムの離形フィルムを剥離し、粘着剤層表面に、JFC−1600オートファインコーターにて、30mA、40sで白金を蒸着させた(蒸着層の厚み約10nm)。その後、白金を蒸着させた粘着剤層表面をマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−900(型番))にて観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・表面の凹凸はほとんど確認されなかった。
△・・・表面の凹凸は少し確認された。
×・・・表面の凸凹は多く確認された。
(評価方法)
上記で調製した塗工前の粘着剤組成物をサンプルビンに入れて30分間撹拌後、25℃の恒温水槽につけておき、試験開始(粘着剤組成物を調製した時点)から1時間経過後の粘着剤組成物の粘度を、B型粘度計を用いて、25℃×1分で測定した。その後、更に続けて25℃の恒温水槽につけておき、試験開始から8時間経過後の粘度を、B型粘度計を用いて、25℃×1分で測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・8時間経過後の粘度が1時間経過後の粘度の2倍未満であった。
△・・・8時間経過後の粘度が1時間経過後の粘度の2倍以上、3倍未満であった。
×・・・8時間経過後の粘度が1時間経過後の粘度の3倍以上であった。
・加熱前
(評価方法)
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がした後に、ステンレス板(SUS304BA板)にHC(ハードコート)−PETフィルム(東レ社製「タフトップTHS」)のPET面が貼り付けられた被着体のHC面に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。
その後、剥離速度0.3m/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・0.3N/25mm未満
△・・・0.3N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×・・・1.0N/25mm以上
(評価方法)
上記で得られた粘着フィルムを40℃で7日間エージング処理した後、25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がした後に、ステンレス板(SUS304BA板)にHC(ハードコート)−PETフィルム(東レ社製「タフトップTHS」)のPET面が貼り付けられた被着体のHC面に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した。
続いて、150℃の雰囲気下に1.0時間晒し、その後23℃に戻した。更に23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて2時間放置した後、剥離速度0.3m/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・0.3N/25mm未満
△・・・0.3N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×・・・1.0N/25mm以上
一方、比較例1では、水酸基含有アクリル系樹脂の水酸基の数(X)と鉄系架橋触媒(C)の数(Y)との積(X×Y)が式(1)の下限値未満であるため、即ち水酸基含有アクリル系樹脂の水酸基価に対して鉄系架橋触媒の添加量が十分でないため、粘着剤層表面に凸凹が多く確認された。
また、比較例2〜5では、鉄系架橋触媒(C)以外の他の金属触媒を用いているため、ポットライフが不十分であったり、即硬化性に劣ったり、高温条件下で使用した後の粘着力が上昇したりするなど、本発明のような効果が得られなかった。
また、比較例6、7では、鉄系架橋触媒(C)を用いていないため、即硬化性に劣り、粘着剤層表面に凸凹が多く確認された。
Claims (10)
- 水酸基含有アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、鉄系架橋触媒(C)、および架橋遅延剤(D)を含有する粘着剤組成物であって、下記式(1)を満たすことを特徴とする粘着剤組成物。
1.2×10−5≦X×Y≦1.0×10−2 ・・・式(1)
X:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部中の水酸基の数(mol)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol) - 下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
0.6≦Z/X≦2.0 ・・・式(2)
X:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部中の水酸基の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol) - 下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
1.0×10−4≦Y/Z≦10 ・・・式(3)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol) - 下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤組成物。
1.0×10−6≦Z×Y≦5.0×10−2 ・・・式(4)
Y:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対する鉄系架橋触媒(C)の数(mol)
Z:水酸基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基の数(mol) - 請求項1〜4いずれか記載の粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤(B)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤からなることを特徴とするマスキングフィルム用粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とするマスキングフィルム。
- 請求項5に記載の粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とする透明電極層形成工程用粘着フィルム。
- 請求項5に記載の粘着剤からなる粘着剤層をフィルム上に有することを特徴とする半導体製造工程用テープ。
- 請求項7に記載のマスキングフィルムを被着体表面に貼り付け、100℃以上の加熱工程に付した後、そのマスキングフィルムを被着体表面から剥離することを特徴とするマスキングフィルムの使用方法。
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