JP5721537B2 - 光学部材用アクリル系粘着剤及び粘着剤層付き光学部剤 - Google Patents
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Description
更には、粘着剤層付き光学部材に関するものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分とする共重合体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)をもっとも多く含む共重合体であり、全共重合成分に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を50重量%以上、特には55重量%以上、更には60重量%以上含有することが好ましい。
これら官能基含有モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよく、特には、カルボキシル基含有モノマーとアミノ基含有モノマーの組合わせ、水酸基含有モノマーとアミノ基含有モノマーの組み合わせが、架橋反応が早くなるためシート形成性に優れる点で好ましい。
ここで、本発明における連鎖移動定数Cとは、60℃において酢酸ビニルモノマーを重合させる際に、酢酸ビニルの生長末端ラジカルの酢酸ビニルと有機溶剤への反応速度定数をそれぞれkp、ktrとした時に、下記式で計算されるものである。
C=(ktr/kp)×105
上記連鎖移動定数としては、好ましくは300以上、特に好ましくは400以上、更に好ましくは500以上であり、通常上限は10000である。かかる連鎖移動定数が小さすぎるとアクリル樹脂の分子量が高くなり、厚膜塗工が困難になる傾向がある。
2種以上の有機溶剤を用いる際の平均連鎖移動定数は、
n種類の有機溶剤(X1、X2…Xnを)用いる際に、
各有機溶剤の連鎖移動定数をA1、A2…An、
各有機溶剤の含有割合(重量%)をB1、B2…Bn
とすると、下記式で計算されるものである。
平均連鎖移動定数=A1×(B1/100)+A2×(B2/100)+
…+An×(Bn/100)
なお、( )内の数値は、J.brandrup,E.H.Immergut編“Polymer Handbook”,p.II−91,Interscience(1965)に基づく値である。
例えば、有機溶剤(b)中に、モノマー成分(a)、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜98℃で通常2〜20時間重合する。
かかる配合量が少なすぎると重合中の粘度が高くなりすぎ、製造が困難になる傾向があり、多すぎると固形分が低くなってしまい、厚膜化が困難になる傾向がある。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
かかる固形分濃度が低すぎると、厚塗り塗工が困難になり厚膜の粘着剤層が得られにくい傾向がある。
ここで、アクリル系樹脂溶液の固形分濃度(重量%)は、例えば、アルミ箔に試料1gを精秤し、ケット(赤外線乾燥機、185W、高さ5cm)で45分加熱後の残量により算出することができる。
かかる粘度が高すぎると、塗工筋が出やすくなったりする等により、塗工が困難になる傾向がある。
これらの中でも、基材との密着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性の点で、イソシアネート系架橋剤が好適に用いられる。
ここで、アクリル系樹脂(A)が、酸性基を含有しない場合には、特に腐食が起こりにくく好ましい。
かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると光学部材全体の厚みが増しすぎてしまう傾向がある。
かかる膜厚の上限としては、塗工時の膜厚で通常3000μm、乾燥後の膜厚で通常2000μmである。
また、特に衝撃吸収や空気層等の空隙を埋めるための用途に用いる場合には、乾燥後の粘着剤層の膜厚が100μm以上であることが好ましく、特に好ましくは120μm以上であり、上限としては通常2000μmである。
例えば、粘着剤層の全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠した、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定することができる。
また、粘着剤層の拡散透過率も同様に、例えば、JIS K7361−1に準拠した、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定することができる。粘着剤層のヘイズ値は、得られた全光線透過率及び拡散透過率の値から、ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100として算出できる。
、重量基準を意味する。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)28部、トルエン(b)8部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)98部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)2部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)2部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させ、アクリル系樹脂溶液(I−1)(固形分濃度72.5%、粘度4000mPa・s/25℃、重量平均分子量131,000、数平均分子量49,200、分散度2.66、ガラス転移温度−54.3℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)28部、トルエン(b)8部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)83部、メチルアクリレート(a1)10部、アクリロイルモルフォリン(a3)5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)2部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)2部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させアクリル系樹脂溶液(I−2)(固形分濃度72.5%、粘度13,000mPa・s/25℃、重量平均分子量124,000、数平均分子量50,500、分散度2.46、ガラス転移温度−43.7℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)30部、トルエン(b)10部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)55部、メチルアクリレート(a1)40部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)2部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させアクリル系樹脂溶液(I−3)(固形分濃度70%、粘度8200mPa・s/25℃、重量平均分子量154,000、数平均分子量51,500、分散度2.99、ガラス転移温度−31.5℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)21部、トルエン(b)19部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)88部、メチルアクリレート(a1)10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)2部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)13部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させアクリル系樹脂溶液(I−4)(固形分濃度65%、粘度7,800mPa・s/25℃、重量平均分子量262,000、数平均分子量84,500、分散度3.12、ガラス転移温度−49.3℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)28部、トルエン(b)8部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)82.8部、メチルアクリレート(a1)10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)2部に、ジメチルアミノエチルアクリレート(a2)0.2部、アクリロイルモルフォリン(a3)5部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)2部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させアクリル系樹脂溶液(I−5)(固形分濃度72.5%、粘度6,800mPa・s/25℃、重量平均分子量97,000、数平均分子量37,000、分散度2.62、ガラス転移温度−43.7℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内にメチルエチルケトン(b)30部、トルエン(b)10部を仕込み、攪拌しながら昇温し、90℃になったらブチルアクリレート(a1)70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)30部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.16部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)2部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させアクリル系樹脂溶液(I−6)(固形分濃度70%、粘度9,500mPa・s/25℃、重量平均分子量107,000、数平均分子量40,200、分散度2.66、ガラス転移温度−44.4℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に酢酸エチル(b)60部を仕込み、攪拌しながら昇温し、78℃になったらブチルアクリレート(a1)90部、酢酸ビニル(a3)5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.05部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、トルエン(b)6部にAIBN0.05部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させ、その後トルエン(b)84部で希釈しアクリル系樹脂溶液(I−7)(固形分濃度40%、粘度7,500mPa・s/25℃、重量平均分子量752,000、数平均分子量176,900、分散度4.25、ガラス転移温度−50.1℃)を得た。
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に酢酸エチル(b)60部、メチルエチルケトン(b)10部を仕込み、攪拌しながら昇温し、75℃になったらブチルアクリレート(a1)55部、メチルアクリレート(a1)40部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06部、を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。更に重合途中に、酢酸エチル(b)10部にAIBN0.06部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させ、その後トルエン86部で希釈し、アクリル系樹脂溶液(I−8)(固形分濃度37.5%、粘度7,800mPa・s/25℃、重量平均分子量570,000、数平均分子量122,100、分散度4.67、ガラス転移温度−31.5℃)を得た。
BA:ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
VAc:酢酸ビニル
ACM:アクリロイルモルホリン
Tol:トルエン
AcOEt:酢酸エチル
MEK:メチルエチルケトン
架橋剤(B−1)として、以下のものを用意した。
・トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物の55%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製、「コロネートL−55E」)
上記のようにして調製,準備したアクリル系樹脂溶液(I)に、架橋剤(B)を下記の表2に示す割合で配合することによりアクリル系粘着剤組成物を調製した。
前記基材レス両面粘着シートの粘着剤から一方の面の離型シートを剥がし、膜厚が100μmのPETフィルムに押圧し、粘着剤層付きPETフィルムを得た。
上記粘着剤層付きPETフィルムを40×40mmに裁断した後、離型シートを剥がし、粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合してから、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて浸漬した際の、トルエン浸漬前後の粘着剤層の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行なった。
上記粘着剤層付きPETフィルムについて、幅25mm×長さ100mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側をポリカーボネート(PC)フィルムまたはソーダガラスに23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、常温で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
上記粘着剤層付きPETフィルムを、25mm×25mmになるよう裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を研磨SUS板に貼着し、80℃の条件下にて1kgの荷重をかけて、JIS Z 0237の保持力の測定法に準じてズレを評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価)
○・・・1440分経過後でズレを生じない
△・・・1440分経過後でズレを生じる
×・・・1440分経過するまでに落下する
上記で得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエステル系離型シートに、厚み250μmで塗布し、90〜100℃で3分間乾燥し、乾燥後の膜厚が175μmの粘着剤層を形成し、粘着剤層の状態を目視で観察した。
(評価)
○・・・塗膜に気泡の発生が見られない。
△・・・上記条件では、塗膜に僅かに気泡が発生するが、更に100℃で2分間乾燥すると、気泡がなくなる。
×・・・塗膜に気泡が発生する。乾燥時間を延長しても気泡がなくならない。
上記粘着剤層付きPETフィルムを、5mm×12mmになるよう裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を銅板に貼り合わせた後、60℃、相対湿度90%の雰囲気下で7日間保存した。その後、PETフィルム側から銅箔の表面を目視で観察して、銅板表面の腐食の有無を確認した。評価基準は下記の通りである。
(評価)
○・・・腐食が認められない
×・・・腐食が認められる
上記基材レス両面粘着シートを3cm×4cmに裁断し、一方の面の離型シートを剥がし、粘着剤層側を光学PETフィルムに押圧して、さらに他方の離型シートを剥離して、全光線透過率及びヘイズ値測定用サンプルを得た。
前記粘着剤層付き光学PETフィルムの離型シートを剥離して、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。なお、本機はJIS K7361−1に準拠している。
なお、ヘイズ値は、得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して算出した。
ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
一方、比較例1および2では、アクリル系樹脂溶液が含有するアクリル系樹脂の分子量が高く粘度が高いものであるため、塗工可能な粘度まで有機溶剤で希釈しなければならず、アクリル系樹脂溶液は固形分濃度が低いものとなっている。そのため、実施例と同様に厚く塗工しても、乾燥時に有機溶剤をとばしきることができずに、生成した粘着剤層の塗面には気泡が多数発生してしまい、光学物性に劣るものとなっている。
Claims (7)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを主成分として含有するモノマー成分(a)を、60℃における酢酸ビニルの有機溶剤への連鎖移動定数が250以上となる有機溶剤(b)の存在下で重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有するアクリル系樹脂溶液であって、
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が5万〜30万で、かつ樹脂溶液の固形分濃度が60%以上であるアクリル系樹脂溶液を含有してなるアクリル系粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とする光学部材用アクリル系粘着剤。 - アクリル系樹脂溶液の粘度が20,000mPa・s/25℃以下であることを特徴とする請求項1記載の光学部材用アクリル系粘着剤。
- アクリル系樹脂(A)が酸性基を含有しないことを特徴とする請求項1又は2記載の光学部材用アクリル系粘着剤。
- 有機溶剤(b)の50重量%以上が、メチルエチルケトンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学部材用アクリル系粘着剤。
- アクリル系樹脂溶液中の全固形分に対して60重量%以上がアクリル系樹脂(A)であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の光学部材用アクリル系粘着剤。
- アクリル系粘着剤組成物が架橋剤(B)を含有してなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の光学部材用アクリル系粘着剤。
- 請求項1〜6いずれか記載のアクリル系粘着剤を含む粘着剤層、及び光学部材を含む、粘着剤層付き光学部材。
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