以下では、本発明に係る電子部品を気圧検出装置に適用した場合の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の気圧検出装置の図解的な平面図である。図1においては、説明の便宜上、気圧センサ素子と集積回路素子とを想像線で示している。図2は、図1のII-II線に沿う図解的な断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う図解的な断面図である。
第1の気圧検出装置1は、気圧センサ素子2と、気圧センサ素子2の出力に基づいて気圧検出処理を行う集積回路素子3と、気圧センサ素子2および集積回路素子3を支持する支持基板4とを含む。説明の便宜上、以下では、図1に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図2および図3に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。+X方向および-X方向は、平面視矩形の支持基板4の1辺に沿う2つの方向であり、これらを総称するときには単に「X方向」という。+Y方向および-Y方向は支持基板4の前記1辺と直交する他の1辺に沿う2つの方向であり、これらを総称するときには単に「Y方向」という。+Z方向および-Z方向は支持基板4の厚さ方向に沿う2つの方向であり、これらを総称するときには単に「Z方向」という。支持基板4を水平面においたとき、X方向およびY方向は互いに直交する2つの水平な直線(X軸およびY軸)に沿う2つの水平方向(第1水平方向および第2水平方向)となり、Z方向は鉛直な直線(Z軸)に沿う鉛直方向(高さ方向)となる。
支持基板4は、平面視(Z方向視)矩形状の基材5と、基材5の+Z側表面に形成された絶縁層6とからなる。基材5は、たとえば、Siからなる。絶縁層6は、たとえば、SiO2からなる。支持基板4は、平面視矩形状に形成されており、一対の主面4a,4bと、これらの主面4a,4bを接続する4つの側面とを有している。支持基板4の一方の主面(+Z方向側の主面)4aの中央部には、他方の主面4bに向かって窪んだ凹部10が形成されている。支持基板4の他方の主面4bは、平坦面である。凹部10は、この実施形態では、平面視において支持基板4の4辺と平行な4辺を有する矩形状である。
凹部10は、平面視矩形状の第1凹部11と、平面視において第1凹部11の+Y方向側の一側面に連通し、第1凹部11よりも深さの浅い第2凹部12とからなる。第2凹部12は、第1凹部11に対して+Y方向側に配置されている。平面視において各凹部11,12のX方向の幅は同じであり、両者はX方向に関して位置整合している。
支持基板4の一方の主面4aには、第1凹部11および第2凹部12によって、第1凹部11の底面である低域部13と、第2凹部12の底面である中域部14と、凹部10の周囲領域である高域部15とが形成されている。低域部13は、平面視において、支持基板4の4辺と平行な4辺を有する矩形状である。同様に、中域部14は、平面視において、支持基板4の4辺と平行な4辺を有する矩形状である。高域部15は、平面視において、凹部10を取り囲む矩形環状である。
低域部13の+Y方向側の辺を除く3辺と高域部15との間には、それらを接続するための接続部16が形成されている。低域部13の+Y方向側の辺と中域部14の-Y方向側の辺との間には、それらを接続するための接続部17が形成されている。中域部14の-Y方向側の辺を除く3辺と高域部15との間には、それらを接続するための接続部18が形成されている。
接続部16,17は、低域部13から中域部14および高域部15に向かうに従って第1凹部11の横断面積が徐々に大きくなるように、傾斜面に形成されている。接続部18は、中域部14から高域部15に向かうに従って第2凹部12の横断面積が徐々に大きくなるように、傾斜面に形成されている。高域部15は、凹部10を挟んでX方向に離間して配置され、平面視がY方向に長い矩形状の第1領域15Aおよび第2領域15Bを含む。
支持基板4の主面4a上には、配線膜20が形成されている。配線膜20は、バリアシード層20Aとめっき層20Bとの積層構造を有している。バリアシード層20Aは、めっき層20Bを形成するための下地層であり、絶縁層6上に形成されている。バリアシード層20Aは、たとえば、絶縁層6上に形成されたバリア層としてのTi層と、Ti層上に積層されたシード層としてのCu層とからなる。バリアシード層20Aは、たとえば、スパッタリング法によって形成される。めっき層20Bは、たとえば、Cuからなり、バリアシード層20Aを利用した電界めっきによって形成される。
配線膜20は、低域部13の周縁部に形成された複数の第1パッド21と、中域部14の周縁部に形成された複数の第2パッド22と、高域部15の第1領域15Aおよび第2領域15Bに形成された複数の第3パッド23と、パッド間を接続する複数の接続部24とを含んでいる。
複数の第1パッド21は、平面視矩形であり、低域部13の周縁部にたとえば4個形成されている。これらの第1パッド21は、気圧センサ素子2を低域部13に機械的かつ電気的に固定するために設けられている。
複数の第2パッド22は、平面視矩形であり、中域部14の周縁部にたとえば12個形成されている。これらの第2パッド22は、集積回路素子3を中域部14に機械的かつ電気的に固定するために設けられている。
複数の第3パッド23は、第1領域15Aおよび第2領域15Bに5個ずつ形成されている。この実施形態では、10個の第3パッド23のうち、第1領域15Aの+Y方向側端に形成された第3パッド23は、気圧センサ素子2および集積回路素子3のいずれにも電気的に接続されないダミーパッドである。各第3パッド23上には、バンプ25が形成されている。第3パッド23とその上に形成されたバンプ25とによって、外部端子26が形成されている。外部端子26は、気圧検出装置1を図示しない回路基板に面実装するために用いられる。
接続部24は、第1パッド21と第2パッド22とを接続する複数の第1接続部24Aと、第2パッド22と第3パッド23とを接続する複数の第2接続部24Bと、第1パッド21と外部端子26(第3パッド23)とを接続する第3接続部24Cとを含んでいる。
気圧センサ素子2は、直方体形状であり、第1凹部11内に収容されている。気圧センサ素子2は平面視矩形状の台座31と、台座31の-Z方向側表面に形成された基板32と、基板32に支持されたダイヤフラム33とを含む。台座31は、たとえば、ガラスからなる。基板32には、厚さ方向(Z方向)に貫通する平面視矩形のキャビティ34が形成されている。基板32は、平面視で矩形環状であり、たとえば、Si基板からなる。基板32の-Z方向側表面には絶縁層35が形成されている。
台座31に、基板32の+Z方向側表面が接合されている。台座31は、キャビティ34の底面部を区画している。ダイヤフラム33は、基板32の-Z方向側表面に、絶縁層35を介して支持されている。ダイヤフラム33は、キャビティ34の天面部を区画している。ダイヤフラム33は、キャビティ34の天面部を区画している平面視矩形状の可動部33Aと、可動部33Aの周囲の平面視矩形環状の固定部33Bとからなる。ダイヤフラム33の固定部33Bが、シリコン基板32上の絶縁層35に接合されている。ダイヤフラム33の可動部33Aには、歪ゲージ抵抗(図示略)が形成されている。ダイヤフラム33の固定部33Bには、歪ゲージ抵抗に接続された複数のパッド電極(図示略)が設けられている。
ダイヤフラム33の可動部33Aは、キャビティ内の圧力(基準圧力)と外気圧との差に応じて歪を生じる。この歪量を、歪ゲージ抵抗の電気抵抗値の変化量として検出することにより、外気圧を検出する。したがって、ダイヤフラム33のキャビティ34とは反対側の表面(-Z方向側表面)のうちの可動部33Aの表面は、外気に晒される必要がある外気接触領域Saである。気圧センサ素子2のダイヤフラム33側の表面は、外気に晒されるべき外気接触領域Saを含む外気接触用表面Sである。
気圧センサ素子2は、外気接触用表面Sを低域部(第1凹部11の底面)13に対向させたフェースダウン状態で、低域部13に接合されている。具体的には、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sに設けられた複数のパッド電極が、低域部13に形成された第1パッド21に、はんだ層41を介して機械的および電気的に接合されている。気圧センサ素子2の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)と低域部13との間には、第1パッド21の厚さにはんだ層41の厚さを加えた厚さ分の隙間が形成されている。つまり、気圧センサ素子2の外気接触領域Saと低域部13との間には、少なくとも第1パッド21の厚さ分の隙間が存在している。
集積回路素子3は、この実施形態では、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されている。集積回路素子3は、Z方向に扁平な直方体形状であり、その大部分が第2凹部12内に収容されている。集積回路素子3の一方の表面(-Z方向側表面、以下、「実装面」という。)には、複数のパッド電極(図示略)が設けられている。集積回路素子3は、その実装面を中域部14に対向させた状態で、中域部14に接合されている。具体的には、集積回路素子3の実装面に設けられた複数のパッド電極(図示略)が、中域部14に形成された第2パッド22に、はんだ層42を介して機械的および電気的に接合されている。集積回路素子3は、その大部分が第2凹部12内に収容され、その-Y方向側の端部が第1凹部11内に収容されている。つまり、集積回路素子3の-Y方向側の端部は、第2凹部12から第1凹部11内に突出している。
集積回路素子3は、気圧センサ素子2での歪ゲージ抵抗の電気抵抗値の変化量に応じた信号を処理等するために用いることができる。集積回路素子3の信号処理結果は、第2接続部24Bおよび外部端子26を介して外部に出力することができる。
図4~図12は、気圧検出装置1の製造工程の一例を説明するための断面図であり、図3に対応する切断面を示す。
まず、図4に示すように、Z方向において互いに反対側を向く一対の主面71a,71bを有するウエハ状のSi基板71が用意される。次に、たとえば、熱酸化法により、Si基板71の主面71aにマスク用酸化膜72が形成される。
次に、図5に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、マスク用酸化膜72のうち、第1凹部11を形成すべき領域に対応する部分が除去される。
次に、図6に示すように、マスク用酸化膜72からなるハードマスクを用いて、Si基板71がエッチングされる。エッチングとしては、たとえば、水酸化カリウム(KOHを含むエッチャントを用いたウェットエッチング(異方性エッチング)が用いられる。これにより、第1凹部11が形成される。
次に、図7に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、マスク用酸化膜72のうち、第2凹部12を形成すべき領域に対応する部分が除去される。
次に、図8に示すように、マスク用酸化膜72からなるハードマスクを用いて、Si基板71がエッチングされる。これにより、第1凹部11に繋がる第2凹部12が形成される。
次に、図9に示すように、エッチングにより、マスク用酸化膜72が除去される。この後、Si基板71の凹部11,12の内面を含む主面71aの表面全域に、たとえば、熱酸化法によってSiO2からなる絶縁層73を形成する。
次に、図10に示すように、たとえば、スパッタ法により、配線膜20のバリアシード層20Aの材料層であるバリアシード層74が、絶縁層73の全域を覆うように形成される。具体的には、まず、スパッタ法により、絶縁層73上にTiからなるバリア層が形成される。この後、スパッタ法により、Tiバリア層上にCuからなるシード層が形成される。
次に、図11に示すように、バリアシード層74の表面を覆うようにフォトレジスト膜75が形成される。
次に、図12に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、フォトレジスト膜75のうち、配線膜20を形成すべき領域に対応する部分が除去される。これにより、バリアシード層74のうちの配線膜20を形成すべき領域に対応する部分が、フォトレジスト膜75が除去された部分から露出する。
次に、図13に示すように、バリアシード層74の露出部分に、めっき層20Bが形成される。めっき層20Bの形成は、たとえば、バリアシード層74のシード層を利用した電解メッキによって行われる。このようにして形成されためっき層20Bのパターンは、最終的な配線膜20のパターンと一致する。
次に、図14に示すように、フォトレジスト膜75が除去される。これにより、バリアシード層74のうちめっき層20Bが積層されていない部分が露出する。この後、図15に示すように、たとえば、ウェットエッチングにより、バリアシード層74のうちめっき層20Bから露出した部分を除去する。これにより、バリアシード層74は、最終的な配線膜20のパターンと一致したバリアシード層20Aとなる。これにより、バリアシード層20Aおよびめっき層20Bからなる配線膜20が得られる。
次に、図16に示すように、気圧センサ素子2が低域部13に接合されるとともに、集積回路素子3が中域部14に接合される。気圧センサ素子2の外気接触用表面Sに形成された複数の電極パッドには、はんだ層41となるはんだボール(図示略)が形成されている。これらのはんだボールにフラックスが塗布された後、気圧センサ素子2のはんだボールを低域部13上に形成された第1パッド21上に載置する。
同様に、集積回路素子3の実装面に形成された複数の電極パッドには、はんだ層42となるはんだボール(図示略)が形成されている。これらのはんだボールにフラックスが塗布された後、集積回路素子3のはんだボールを中域部14上に形成された第2パッド22上に載置する。そして、リフロー炉によって、はんだボールを溶融させた後に硬化させることにより、気圧センサ素子2の複数の電極パッドがはんだ層41を介して第1パッド21に接合されるとともに、集積回路素子3の複数の電極パッドがはんだ層42を介して第2パッド22に接合される。この後、第3パッド23上に、たとえば、無電解メッキにより、たとえば、Ni、Pd、AU等の金属からなるバンプ25が形成される。これにより、支持基板4の高域部15に、第3パッド23およびバンプ25からなる複数の外部端子26が形成される。
次に、図17に示すように、ダイサー76により、Si基板71の主面71a上に設定されたダイシングラインに沿ってSi基板71が切断される。これにより、ウエハ状のSi基板71が個々の気圧検出装置に個片化される。これにより、Si基板71が基材5となり、絶縁層73が絶縁層6となり、基材5および絶縁層6から支持基板4が構成される。これにより、図1~図3に示す気圧検出装置1が得られる。
図18は、図1に示す第1の気圧検出装置の実装状態を示す図解的な断面図であり、図2に対応する切断面を示す。
配線基板(実装基板)81の表面82には、複数のランド83が形成されている。気圧検出装置1は、配線基板(実装基板)81の表面82に対して、バンプ25を対向させて表面実装される。複数のランド83上には、クリームはんだ84が塗られている。気圧検出装置1を配線基板81に表面実装する際には、そのクリームはんだ84およびバンプ25を介して、気圧検出装置1の第3パッド23がランド83に対して接合される。
気圧検出装置1が配線基板81に実装された状態においては、気圧検出装置1の支持基板4の高域部15の表面と、配線基板81との間には、第3パッド23の厚さに、バンプ25、クリームはんだ84およびランド83の厚さを加えた厚さ分の隙間が存在する。前述したように、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sと支持基板4の低域部13との間には、少なくとも第1パッド21の厚さ分の隙間が存在している。したがって、外気は、配線基板81と気圧検出装置1との間の隙間および凹部10を通って気圧センサ素子2の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)と支持基板4の低域部13との間の隙間に流入可能である。このため、気圧検出装置1のダイヤフラム33の可動部33Aの外表面(外気接触領域Sa)が外気に晒された状態となるので、気圧センサ素子2を用いた気圧検出が可能となる。
前述した第1の気圧検出装置1では、気圧センサ素子2は、その外気接触用表面Sを低域部13に対向させたフェースダウン状態で、支持基板4の低域部13に接合されている。これにより、気圧センサ素子2の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)は気圧センサ素子2を支持するための支持基板4によって保護されるから、気圧センサ素子2の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、気圧センサ素子2をフェースダウン状態で支持基板4に接合した場合でも、気圧センサ素子2の外気接触領域Saと支持基板4の低域部13との間には、少なくとも第1パッド21の厚さ分の隙間が形成されるので、凹部10を通じて気圧センサ素子2の外気接触領域Saを外気に晒すことができる。このため、気圧検出に支障は生じない。
図19は、第1の気圧検出装置の変形例を示す図解的な断面図であり、図2に対応する切断面を示している。図19において、前述の図2の各部に対応する部分には、図2と同じ符号を付して示す。
図19の気圧検出装置1は、図1~図3に示される第1の気圧検出装置1に比べて、気圧センサ素子2のみが異なっている。図20は、図19の気圧検出装置1に用いられる気圧センサ素子2の外気接触用表面Sを-Z方向側からみた図である。図20においては、はんだ層41が省略されているため、外気接触用表面Sに電極パッドが現れている。
気圧センサ素子2の外気接触用表面Sには、4つの電極パッド50が形成されている。-Z方向視において、4つの電極パッド50は、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sの4隅に配置されている。ダイヤフラム33の固定部33Bの外表面(-Z方向側表面)には、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように少なくとも一箇所が分断された防水・防塵埃壁51が形成されている。この例では、防水・防塵埃壁51は、-Z方向視において、一箇所のみに分断部(切除部)52が形成された有端矩形環状である。また、この例では、防水・防塵埃壁51は、-Z方向視において、4つの電極パッド50の内側を通るように形成されている。
防水・防塵埃壁51は、ダイヤフラム33の外表面から-Z方向に突出している。防水・防塵埃壁51の突出長(Z方向長さ)は、気圧センサ素子2が支持基板4の低域部13に接合された場合に、防水・防塵埃壁52の突出端が低域部13の表面に圧接または接触するような長さに形成されることが好ましい。具体的には、図21に示すように、気圧センサ素子2が支持基板4の低域部13に接合される前の状態において、気圧センサ素子2の電極パッド50にはんだ層41となるはんだボール41Aが形成されたときに、ダイヤフラム33の外表面からの防水・防塵埃壁51の突出端までの長さHは、ダイヤフラム33の外表面からのはんだボール41Aの突出端までの長さBよりも小さく形成される。防水・防塵埃壁51の幅Wに対する防水・防塵埃壁52の高さHの比で定義されるアスペクト比R(H/W)は1以下(R≦1)となるように形成されていることが好ましい。
防水・防塵埃壁51は、ポリイミド等の樹脂、SiO2等のセラミックス、Cu等の金属等からなる。ポリイミドからなる防水・防塵埃壁51は、たとえば、次のようにして形成される。まず、CVD法によって感光性を付与したポリイミドがダイヤフラム33の固定部33Bに塗布される。次に、防水・防塵埃壁51を形成すべき領域以外の領域パターンでポリイミドが露光された後、そのポリイミドが感光される。最後に、ポリイミドが熱処理される。これにより、ポリイミドからなる防水・防塵埃壁51が形成される。
SiO2からなる防水・防塵埃壁51は、たとえば、CVD法によってSiO2膜をダイヤフラム33の固定部33Bに形成した後、SiO2膜をパターニングすることにより、形成することができる。Cuからなる防水・防塵埃壁51は、たとえば、スパッタ法によってCu膜をダイヤフラム33の固定部33Bに形成した後、SiO2膜をパターニングすることにより、形成することができる。
図19の気圧検出装置1においても、図1の第1の気圧検出装置1と同様に、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sを保護するための蓋を別途に設ける必要がない。また、図19の気圧検出装置1では、ダイヤフラム33の固定部33Bの-Z方向側表面に可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように平面視有端矩形環状の防水・防塵埃壁52が形成されているので、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)と支持基板4の低域部13との間の隙間への水分や塵埃の侵入を抑制できる。
防水・防塵埃壁51は、図22に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の可動部33Aをほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第1の防水・防塵埃壁51Aと、第1の防水・防塵埃壁51Aをほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第2の防水・防塵埃壁51Bとから構成されてもよい。この例では、第1および第2の防水・防塵埃壁51A,51Bは、-Z方向視において、一箇所のみに分断部52A,52Bが形成された有端矩形環状である。
この実施形態では、第1の防水・防塵埃壁51Aの分断部52Aは、ダイヤフラム33の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成され、第2の防水・防塵埃壁51Bの分断部は、ダイヤフラム33の前記一辺に対向する他の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成されている。このように、第1の防水・防塵埃壁51Aの分断部52Aと第2の防水・防塵埃壁51Bの分断部52Bとは、-Z方向視において、第1または第2の防水・防塵埃壁51A,51Bに沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁51A側から第2の防水・防塵埃壁51Bを見た場合、第1の防水・防塵埃壁51Aの分断部52Aは、第2の防水・防塵埃壁51Bの非分断部(分断部52B以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2防水・防塵埃壁51B側から第1防水・防塵埃壁51Aを見た場合、第2防水・防塵埃壁51Bの分断部52Bは、第1防水・防塵埃壁51Aの非分断部(分断部52A以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。このような構成にすると、気圧センサ素子2の外気接触領域Saへの水分および塵埃の侵入をより効果的に抑制できるからである。
防水・防塵埃壁51は、図23に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の固定部33Bに、可動部33A(外気接触領域Sa)を取り囲む環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部53と分断部54とが交互に形成されるような構成であってもよい。
また、防水・防塵埃壁51は、図24に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第1の防水・防塵埃壁51Cと、第1の防水・防塵埃壁51Cをほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第2の防水・防塵埃壁51Dとから構成されてもよい。第1の防水・防塵埃壁51Cは、-Z方向視において、可動部33A(外気接触領域Sa)を取り囲む第1の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部53Cと分断部54Cとが交互に形成されるような構成である。第2の防水・防塵埃壁51Dは、-Z方向視において、第1の防水・防塵埃壁51Cを取り囲む第2の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部53Dと分断部54Dとが交互に形成されるような構成である。
図24に示すように、第1の防水・防塵埃壁51Cの各分断部54Cと、第2の防水・防塵埃壁51Dの各分断部54Dとは、第1または第2の環状仮想線に沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁51C側から第2の防水・防塵埃壁51Dを見た場合、第1の防水・防塵埃壁51Cの各分断部54Cは、第2の防水・防塵埃壁51Dのいずれかの矩形部53Dに臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁51D側から第1の防水・防塵埃壁51Cを見た場合、第2の防水・防塵埃壁51Dの各分断部54Dは、第1の防水・防塵埃壁51Cのいずれかの矩形部53Cに臨む位置に形成されていることが好ましい。このような構成にすると、気圧センサ素子2の外気接触領域Saへの水分および塵埃の侵入をより効果的に抑制できるからである。
防水・防塵埃壁51を気圧センサ素子2の外気接触用表面に形成する代わりにまたは加えて、防水・防塵埃壁55を支持基板4の高域部15に形成するようにしてもよい。
図25は、支持基板の高域部に防水・防塵埃壁が形成された例を示す図解的な断面図であり、図18に対応する切断面を示している。図26は、支持基板の高域部に形成された防水・防塵埃壁を示す図解的な平面図である。図25の例では、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sには防水・防塵埃壁は形成されていないが、気圧センサ素子2の外気接触用表面Sに前述の防水・防塵埃壁51が形成されていてもよい。
支持基板4の高域部15には、凹部10をほぼ取り囲むように少なくとも一箇所が分断された防水・防塵埃壁55が形成されている。この例では、防水・防塵埃壁55は、Z方向視において、一箇所のみに分断部56が形成された有端矩形環状である。また、この例では、防水・防塵埃壁55は、Z方向視において、10個の第3パッド23の外側を通るように形成されている。
防水・防塵埃壁55は、高域部15から+Z方向に突出している。防水・防塵埃壁55の突出長(Z方向長さ)は、第1の気圧検出装置1が配線基板81に実装された場合に、防水・防塵埃壁55の突出端が配線基板81の表面82に圧接または接触するような長さに形成されていることが好ましい。防水・防塵埃壁55は、ポリイミド等の樹脂、SiO2等のセラミックス、Cu等の金属等からなる。このように、支持基板4の高域部15に防水・防塵埃壁55を形成することによって、凹部10内への水分や塵埃の侵入を抑制できるから、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)と支持基板4の低域部13との間の隙間への水分や塵埃の侵入を抑制することができる。
防水・防塵埃壁55は、図27に示すように、Z方向視において、凹部10をほぼ取り囲むように高域部15に形成された第1の防水・防塵埃壁55Aと、第1の防水・防塵埃壁55Aをほぼ取り囲むように高域部15に形成された第2の防水・防塵埃壁55Bとから構成されてもよい。この例では、第1および第2の防水・防塵埃壁55A,55Bは、Z方向視において、一箇所のみに分断部56A,56Bが形成された有端矩形環状である。
この実施形態では、第1の防水・防塵埃壁55Aの分断部56Aは、支持基板4の主面4aの一辺に沿う部分の長さ中央部に形成され、第2の防水・防塵埃壁55Bの分断部56Bは、支持基板4の主面4aの前記一辺に対向する他の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成されている。このように、第1防水・防塵埃壁55Aの分断部56Aと第2の防水・防塵埃壁55Bの分断部56Bとは、Z方向視において、第1または第2の防水・防塵埃壁55A,55Bに沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁55A側から第2の防水・防塵埃壁55Bを見た場合、第1の防水・防塵埃壁55Aの分断部56Aは、第2の防水・防塵埃壁55Bの非分断部(分断部56B以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁55B側から第1の防水・防塵埃壁55Aを見た場合、第2の防水・防塵埃壁55Bの分断部56Bは、第1の防水・防塵埃壁55Aの非分断部(分断部56A以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。
防水・防塵埃壁55は、図28に示すように、Z方向視において、高域部15に、可動部33Aを取り囲む環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部57と分断部58とが交互に形成されるような構成であってもよい。
また、防水・防塵埃壁55は、図29に示すように、Z方向視において、凹部10をほぼ取り囲むように高域部15に形成された第1の防水・防塵埃壁55Cと、第1の防水・防塵埃壁55Cをほぼ取り囲むように高域部15に形成された第2の防水・防塵埃壁55Dとから構成されてもよい。第1の防水・防塵埃壁55Cは、Z方向視において、凹部10を取り囲む第1の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部57Cと分断部58Cとが交互に形成されるような構成である。第2の防水・防塵埃壁55Dは、Z方向視において、第1の防水・防塵埃壁55Cを取り囲む第2の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部57Dと分断部58Dとが交互に形成されるような構成である。
図29に示すように、第1の防水・防塵埃壁55Cの各分断部58Cと、第2の防水・防塵埃壁55Dの各分断部58Dとは、第1または第2環状仮想線に沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁55C側から第2の防水・防塵埃壁55Dを見た場合、第1の防水・防塵埃壁55Cの各分断部58Cは、第2の防水・防塵埃壁55Dのいずれかの矩形部57Dに臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁55D側から第1の防水・防塵埃壁55Cを見た場合、第2の防水・防塵埃壁55Dの各分断部58Dは、第1の防水・防塵埃壁55Cのいずれかの矩形部57Cに臨む位置に形成されていることが好ましい。
図30は、第2の気圧検出装置の図解的な平面図である。図31は、図30のXXXI-XXXIに沿う図解的な断面図である。
第2の気圧検出装置101は、気圧センサ素子102と、気圧センサ素子102を支持する支持基板104とを含む。説明の便宜上、以下では、図30に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図31に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。
支持基板104は、内部に配線層を有する多層配線基板からなる。支持基板104は、平面視(Z方向視)矩形状に形成されており、一対の主面104a,104bと、これらの主面104a,104bを接続する4つの側面とを有している。支持基板104の一方の主面(+Z方向側の主面)104aの中央部には、他方の主面104bに向かって窪んだ平面視矩形状の凹部110が形成されている。支持基板104の他方の主面104bは、平坦面である。
支持基板104の一方の主面102aには、凹部110によって、凹部110の底面である低域部113と、凹部110の周囲である平面視環状の高域部115とが形成されている。低域部113は、平面視において、支持基板104の4辺と平行な4辺を有する矩形状である。低域部113の4辺と高域部115との間には、それらを接続するための接続部116が形成されている。接続部116は、低域部113に対してほぼ垂直である。高域部115は、凹部110を挟んでX方向に離間して配置され、平面視がY方向に長い矩形状の第1領域115Aおよび第2領域115Bを含む。
低域部113には、複数の第1パッド121が形成されている。複数の第1パッド121は、平面視矩形であり、低域部113にたとえば4個形成されている。これらの第1パッド121は、気圧センサ素子102を低域部113に機械的かつ電気的に固定するために設けられている。
高域部115の第1領域115Aおよび第2領域115Bには、複数の第2パッド123が形成されている。複数の第2パッド123は、第1領域115Aおよび第2領域115Bに2個ずつ形成されている。各第2パッド123上には、バンプ125が形成されている。第2パッド123とその上に形成されたバンプ125とによって、外部端子126が形成されている。外部端子126は、気圧検出装置101を図示しない回路基板に面実装するために用いられる。第1パッド121と第2パッド123とは、支持基板104内に形成された配線127を介して接続されている。
気圧センサ素子102は、第1の気圧検出装置1の気圧センサ素子2と比べて、平面形状が正方形により近い矩形状の略直方体状である。気圧センサ素子102の構造は、第1の気圧検出装置1の気圧センサ素子2と同様である。つまり、気圧センサ素子102は、台座31と、台座31の-Z方向側表面に形成された基板32と、基板32に支持されたダイヤフラム33とを含む。台座31は、たとえば、ガラスからなる。基板32には、厚さ方向に貫通する平面視矩形のキャビティ34が形成されている。基板32は、平面視で矩形環状であり、たとえば、Si基板からなる。基板32の-Z方向側表面には絶縁層35が形成されている。
台座31に、基板32の+Z方向側表面が接合されている。台座31は、キャビティ34の底面部を区画している。ダイヤフラム33は、基板32の表面に、絶縁層35を介して支持されている。ダイヤフラム33は、キャビティ34の天面部を区画している。ダイヤフラム33は、キャビティ34の天面部を区画している平面視矩形状の可動部33Aと、可動部33Aの周囲の平面視矩形環状の固定部33Bとからなる。ダイヤフラム33の固定部33Bが、シリコン基板32上の絶縁層35に接合されている。ダイヤフラム33の可動部33Aには、歪ゲージ抵抗(図示略)が形成されている。ダイヤフラム33の固定部33Bには、歪ゲージ抵抗に接続された複数のパッド電極(図示略)が設けられている。
ダイヤフラム33の可動部33Aは、キャビティ内の圧力(基準圧力)と外気圧との差に応じて歪を生じる。この歪量を、歪ゲージ抵抗の電気抵抗値の変化量として検出することにより、外気圧を検出する。したがって、ダイヤフラム33のキャビティ34とは反対側の表面(-Z方向側表面)のうちの可動部33Aの表面は、外気に晒される必要がある外気接触領域Saである。気圧センサ素子2のダイヤフラム側の表面は、外気に晒されるべき外気接触領域Saを含む外気接触用表面Sである。
気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sを低域部(凹部110の底面)113に対向させたフェースダウン状態で、低域部113に接合されている。具体的には、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sに設けられた複数のパッド電極が、低域部113に形成された第1パッド121に、はんだ層141を介して機械的および電気的に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の各パッド電極は、第1パッド121および支持基板104内に形成された配線127を介して第2パッド123(外部端子126)に接続されている。気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)と低域部113との間には、第1パッド121の厚さにはんだ層141の厚さを加えた厚さ分の隙間が形成されている。つまり、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと低域部13との間には、少なくとも第1パッド121の厚さ分の隙間が存在している。
図32は、図30に示す第2の気圧検出装置の実装状態を示す図解的な断面図であり、図31に対応する切断面を示す。
配線基板(実装基板)81の表面82には、複数のランド83が形成されている。気圧検出装置101は、配線基板(実装基板)81の表面82に対して、バンプ125を対向させて表面実装される。複数のランド83上には、クリームはんだ84が塗られている。気圧検出装置101を配線基板81に表面実装する際には、そのクリームはんだ84およびバンプ125を介して、気圧検出装置101の第2パッド123がランド83に対して接合される。
気圧検出装置101が配線基板81に実装された状態においては、気圧検出装置101の支持基板104の高域部115の表面(+Z側表面)と、配線基板81との間には、第2パッド123の厚さに、バンプ125、クリームはんだ84およびランド83の厚さを加えた厚さ分の隙間が存在する。前述したように、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板104の低域部113との間には、少なくとも第1パッド121の厚さ分の隙間が存在している。したがって、外気は、配線基板81と気圧検出装置101との間の隙間および凹部110を通って気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板104の低域部113との間の隙間に流入可能である。このため、気圧検出装置101のダイヤフラム33の可動部33Aの外表面(外気接触領域Sa)が外気に晒された状態となるので、気圧センサ素子102を用いた気圧検出が可能となる。
第2の気圧検出装置101では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sを低域部113に対向させたフェースダウン状態で、支持基板104の低域部113に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)は気圧センサ素子102を支持するための支持基板104によって保護されるから、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、気圧センサ素子102をフェースダウン状態で支持基板104に接合した場合でも、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと支持基板104の低域部113との間には、少なくとも第1パッド121の厚さ分の隙間が形成されるので、凹部110を通じて気圧センサ素子102の外気接触領域Saを外気に晒すことができる。このため、気圧検出に支障は生じない。
図33は、第2の気圧検出装置の変形例を示す図解的な断面図であり、図31に対応する切断面を示している。図33において、前述の図31の各部に対応する部分には、図31と同じ符号を付して示す。
図33の気圧検出装置101は、図30および図31に示す第2の気圧検出装置101に比べて、気圧センサ素子102のみが異なっている。図34は、図33の気圧検出装置101に用いられる気圧センサ素子102の外気接触用表面Sを-Z方向側からみた図である。図34においては、はんだ層141が省略されているため、外気接触用表面Sに電極パッドが現れている。
気圧センサ素子102の外気接触用表面Sには、4つの電極パッド150が形成されている。-Z方向視において、4つの電極パッド150は、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sの4隅に配置されている。ダイヤフラム33の固定部33Bの-Z方向側表面には、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように少なくとも一箇所が分断された防水・防塵埃壁151が形成されている。この例では、防水・防塵埃壁151は、-Z方向視において、一箇所のみに分断部(切除部)152が形成された有端矩形環状である。また、この例では、防水・防塵埃壁151は、-Z方向視において、4つの電極パッド150の外側を通るように形成されている。
防水・防塵埃壁151は、ダイヤフラム33の外表面から-Z方向に突出している。防水・防塵埃壁151の突出長(Z方向長さ)は、気圧センサ素子102が支持基板104の低域部113に接合された場合に、防水・防塵埃壁151の突出端が低域部113の表面に圧接または接触するような長さに形成されることが好ましい。具体的には、図35に示すように、気圧センサ素子102が支持基板104の低域部113に接合される前の状態において、気圧センサ素子102の電極パッド150にはんだ層141となるはんだボール141Aが形成されたときに、ダイヤフラム33の外表面からの防水・防塵埃壁151の突出端までの長さHは、ダイヤフラム33の外表面からのはんだボール141Aの突出端までの長さBよりも小さく形成される。防水・防塵埃壁151の幅Wに対する防水・防塵埃壁151の高さHの比で定義されるアスペクト比R(H/W)は1以下(R≦1)となるように形成されていることが好ましい。防水・防塵埃壁151は、ポリイミド等の樹脂、SiO2等のセラミックス、Cu等の金属等からなる。
図33の気圧検出装置101においても、図30の第2の気圧検出装置101と同様に、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sを保護するための蓋を別途に設ける必要がない。また、図33の気圧検出装置101では、ダイヤフラム33の固定部33Bの-Z方向側表面に可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように平面視有端矩形環状の防水・防塵埃壁151が形成されているので、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)と支持基板104の低域部113との間の隙間への水分や塵埃の侵入を抑制できる。
防水・防塵埃壁151は、図36に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第1の防水・防塵埃壁151Aと、第1の防水・防塵埃壁151Aをほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第2の防水・防塵埃壁151Bとから構成されてもよい。この例では、第1および第2の防水・防塵埃壁151A,151Bは、-Z方向視において、一箇所のみに分断部152A,152Bが形成された有端矩形環状である。
この実施形態では、第1の防水・防塵埃壁151Aの分断部152Aは、ダイヤフラム33の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成され、第2の防水・防塵埃壁151Bの分断部152Bは、ダイヤフラム33の前記一辺に対向する他の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成されている。このように、第1の防水・防塵埃壁151Aの分断部152Aと第2の防水・防塵埃壁151Bの分断部152Bとは、-Z方向視において、第1または第2の防水・防塵埃壁151A,151Bに沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁151A側から第2の防水・防塵埃壁151Bを見た場合、第1の防水・防塵埃壁151Aの分断部152Aは、第2の防水・防塵埃壁151Bの非分断部(分断部152B以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2防水・防塵埃壁151B側から第1防水・防塵埃壁151Aを見た場合、第2防水・防塵埃壁151Bの分断部152Bは、第1防水・防塵埃壁151Aの非分断部(分断部152A以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。
防水・防塵埃壁151は、図37に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の固定部33Bに、可動部33Aを取り囲む環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部153と分断部154とが交互に形成されるような構成であってもよい。
また、防水・防塵埃壁151は、図38に示すように、-Z方向視において、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第1の防水・防塵埃壁151Cと、第1の防水・防塵埃壁151Cをほぼ取り囲むように固定部33Bに形成された第2の防水・防塵埃壁151Dとから構成されてもよい。第1の防水・防塵埃壁151Cは、-Z方向視において、可動部33Aを取り囲む第1の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部153Cと分断部154Cとが交互に形成されるような構成である。第2の防水・防塵埃壁151Dは、-Z方向視において、第1の防水・防塵埃壁151Cを取り囲む第2の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部153Dと分断部154Dとが交互に形成されるような構成である。
図38に示すように、第1の防水・防塵埃壁151Cの各分断部154Cと、第2の防水・防塵埃壁151Dの各分断部154Dとは、第1または第2の環状仮想線に沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁151C側から第2の防水・防塵埃壁151Dを見た場合、第1の防水・防塵埃壁151Cの各分断部154Cは、第2の防水・防塵埃壁151Dのいずれかの矩形部153Dに臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁151D側から第1の防水・防塵埃壁151Cを見た場合、第2の防水・防塵埃壁151Dの各分断部154Dは、第1の防水・防塵埃壁151Cのいずれかの矩形部153Cに臨む位置に形成されていることが好ましい。
防水・防塵埃壁151を気圧センサ素子102の外気接触用表面に形成する代わりにまたは加えて、防水・防塵埃壁155を支持基板104の高域部115に形成するようにしてもよい。
図39は、支持基板の高域部に防水・防塵埃壁が形成された例を示す図解的な断面図であり、図32に対応する切断面を示している。図40は、支持基板の高域部に形成された防水・防塵埃壁を示す図解的な平面図である。図39の例では、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sには防水・防塵埃壁は形成されていないが、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sに前述の防水・防塵埃壁151が形成されていてもよい。
支持基板104の高域部115には、凹部110をほぼ取り囲むように少なくとも一箇所が分断された防水・防塵埃壁155が形成されている。この例では、防水・防塵埃壁155は、Z方向視において、一箇所のみに分断部156が形成された有端矩形環状である。また、この例では、防水・防塵埃壁155は、Z方向視において、4個の第2パッド123の内側を通るように形成されている。
防水・防塵埃壁155は、高域部115から+Z方向に突出している。防水・防塵埃壁155の突出長(Z方向長さ)は、第2の気圧検出装置101が配線基板81に実装された場合に、防水・防塵埃壁155の突出端が配線基板81の表面82に圧接または接触するような長さに形成されていることが好ましい。防水・防塵埃壁155は、ポリイミド等の樹脂、SiO2等のセラミックス、Cu等の金属等からなる。このように、支持基板104の高域部115に防水・防塵埃壁155を形成することによって、凹部110内への水分や塵埃の侵入を抑制できるので、ダイヤフラム33の可動部33A(外気接触領域Sa)と支持基板104の低域部113との間の隙間への水分や塵埃の侵入を抑制することができる。
防水・防塵埃壁155は、図41に示すように、Z方向視において、凹部110をほぼ取り囲むように高域部115に形成された第1の防水・防塵埃壁155Aと、第1の防水・防塵埃壁155Aをほぼ取り囲むように高域部115に形成された第2の防水・防塵埃壁155Bとから構成されてもよい。この例では、第1および第2の防水・防塵埃壁155A,155Bは、Z方向視において、一箇所のみに分断部156A,156Bが形成された有端矩形環状である。
この実施形態では、第1の防水・防塵埃壁155Aの分断部156Aは、支持基板104の主面104aの一辺に沿う部分の長さ中央部に形成され、第2の防水・防塵埃壁155Bの分断部156Bは、支持基板104の主面104aの前記一辺に対向する他の一辺に沿う部分の長さ中央部に形成されている。このように、第1防水・防塵埃壁155Aの分断部156Aと第2の防水・防塵埃壁155Bの分断部156Bとは、Z方向視において、第1または第2の防水・防塵埃壁155A,155Bに沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁155A側から第2防水・防塵埃壁155Bを見た場合、第1の防水・防塵埃壁155Aの分断部156Aは、第2の防水・防塵埃壁155Bの非分断部(分断部156B以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁155B側から第1の防水・防塵埃壁155Aを見た場合、第2の防水・防塵埃壁155Bの分断部156Bは、第1の防水・防塵埃壁155Aの非分断部(分断部156A以外の部分)に臨む位置に形成されていることが好ましい。
防水・防塵埃壁155は、図42に示すように、Z方向視において、高域部115に、可動部33Aを取り囲む環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部157と分断部158とが交互に形成されるような構成であってもよい。
また、防水・防塵埃壁155は、図43に示すように、Z方向視において、凹部110をほぼ取り囲むように高域部15に形成された第1の防水・防塵埃壁155Cと、第1の防水・防塵埃壁155Aをほぼ取り囲むように高域部115に形成された第2の防水・防塵埃壁155Dとから構成されてもよい。第1の防水・防塵埃壁155Cは、Z方向視において、凹部110を取り囲む第1の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部157Cと分断部158Cとが交互に形成されるような構成である。第2の防水・防塵埃壁155Dは、Z方向視において、第1の防水・防塵埃壁155Cを取り囲む第2の環状仮想線に沿う長手方向を有する矩形部157Dと分断部158Dとが交互に形成されるような構成である。
図43に示すように、第1の防水・防塵埃壁155Cの各分断部158Cと、第2の防水・防塵埃壁155Dの各分断部158Dとは、第1または第2環状仮想線に沿う方向に関して、互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。言い換えれば、第1の防水・防塵埃壁155C側から第2の防水・防塵埃壁155Dを見た場合、第1の防水・防塵埃壁155Cの各分断部158Cは、第2の防水・防塵埃壁155Dのいずれかの矩形部157Dに臨む位置に形成されていることが好ましい。また、第2の防水・防塵埃壁155D側から第1の防水・防塵埃壁155Cを見た場合、第2の防水・防塵埃壁155Dの各分断部158Dは、第1の防水・防塵埃壁155Cのいずれかの矩形部157Cに臨む位置に形成されていることが好ましい。
図44は、第3の気圧検出装置の図解的な平面図である。図45は、図44のXLV-XLV に沿う図解的な断面図である。図44および図45において、前述の図30および図31に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
第3の気圧検出装置201は、気圧センサ素子102と、気圧センサ素子102を支持する支持基板104とを含む。説明の便宜上、以下では、図44に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図45に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。
第3の気圧検出装置201では、気圧検出装置201を配線基板81に面実装するための第2パッド123の形成位置と、第1パッド121と第2パッド123とを接続する配線の経路とが、前述の第2の気圧検出装置101と異なっている。それ以外の点は、第2の気圧検出装置101と同じである。
第3の気圧検出装置201では、支持基板104の+Z方向側の主面104aではなく、-Z方向側の主面104bに、第2パッド123が形成されている。具体的には、支持基板104の主面104bにおける高域部115の第1領域115Aと向かい合っている領域および高域部115の第2領域115Bと向かい合っている領域それぞれに、第2パッド123が2つずつ形成されている。各第2パッド123上には、バンプ125が形成されている。第2パッド123とその上に形成されたバンプ125とによって、外部端子126が形成されている。第1パッド121と第2パッド123とは、支持基板104内に形成された配線127を介して接続されている。
図46は、図44に示す第3の気圧検出装置の実装状態を示す図解的な断面図であり、図45に対応する切断面を示す。
配線基板(実装基板)81の表面82には、複数のランド83が形成されている。気圧検出装置101は、配線基板(実装基板)81の表面82に対して、バンプ125を対向させて表面実装される。第3の気圧検出装置201では、バンプ125は支持基板104の主面104b側に形成されているので、支持基板104の主面104bが配線基板81の表面に対向した状態で、気圧検出装置201は配線基板81に実装される。複数のランド83上には、クリームはんだ84が塗られている。気圧検出装置201を配線基板81に表面実装する際には、そのクリームはんだ84およびバンプ125を介して、気圧検出装置201の第2パッド123がランド83に対して接合される。
気圧検出装置201が配線基板81に実装された状態においては、凹部110の開口部は外気に開放されている。気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板104の低域部113との間には、少なくとも第1パッド121の厚さ分の隙間が存在している。したがって、外気は、凹部110の開口部を通って、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板104の低域部113との間の隙間に流入可能である。このため、気圧センサ素子102のダイヤフラム33の可動部33Aの外表面(外気接触領域Sa)が外気に晒された状態となるので、気圧センサ素子102を用いた気圧検出が可能となる。
第3の気圧検出装置201では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sを低域部113に対向させたフェースダウン状態で、支持基板104の低域部113に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)は気圧センサ素子102を支持するための支持基板104によって保護されるため、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、気圧センサ素子102をフェースダウン状態で支持基板104に接合した場合でも、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと支持基板104の低域部113との間には、少なくとも第1パッド121の厚さ分の隙間が形成されるので、凹部110を通じて気圧センサ素子102の外気接触領域Saを外気に晒すことができる。このため、気圧の検出に支障は生じない。
図47は、第3の気圧検出装置の変形例を示す図解的な断面図であり、図45に対応する切断面を示している。図47において、前述の図45の各部に対応する部分には、図45と同じ符号を付して示す。
図47の気圧検出装置201は、図44および図45に示す第3の気圧検出装置201に比べて、気圧センサ素子102のみが異なっている。図48は、図47の気圧検出装置201に用いられる気圧センサ素子102の外気接触用表面Sを-Z方向側からみた図である。図48においては、はんだ層141が省略されているため、外気接触用表面Sに電極パッドが現れている。
気圧センサ素子102の外気接触用表面Sには、4つの電極パッド150が形成されている。-Z方向視において、4つの電極パッド150は、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sの4隅に配置されている。ダイヤフラム33の固定部33Bの-Z方向側表面には、ダイヤフラムの可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように少なくとも一箇所が分断された防水・防塵埃壁151が形成されている。この防水・防塵埃壁151は、図33~図35で説明した防水・防塵埃壁151と同様である。この例では、防水・防塵埃壁151は、-Z方向視において、一箇所のみに分断部(切除部)152が形成された有端矩形環状である。また、この例では、防水・防塵埃壁151は、-Z方向視において、4つの電極パッド150の外側を通るように形成されている。
防水・防塵埃壁151は、ダイヤフラム33の外表面から-Z方向に突出している。防水・防塵埃壁151の突出長(Z方向長さ)は、気圧センサ素子102が支持基板104の低域部113に接合された場合に、防水・防塵埃壁151の突出端が低域部113の表面に圧接または接触するような長さに形成されることが好ましい。防水・防塵埃壁151は、ポリイミド等の樹脂、SiO2等のセラミックス、Cu等の金属等からなる。なお、防水・防塵埃壁151は、前述の図36、図37または図38に示すような構成であってもよい。
図47の気圧検出装置201においても、図44の第3の気圧検出装置201と同様に、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sを保護するための蓋を別途に設ける必要がない。また、図47の気圧検出装置201では、ダイヤフラム33の固定部33Bの-Z方向側表面に可動部33A(外気接触領域Sa)をほぼ取り囲むように平面視有端矩形環状の防水・防塵埃壁151が形成されているので、ダイヤフラム33の可動部33Aと支持基板104の低域部113との間の隙間への水分や塵埃の侵入を抑制できる。
図49は、第4の気圧検出装置の図解的な平面図である。図50は、図49のL-Lに沿う図解的な断面図である。
第4の気圧検出装置301は、気圧センサ素子102と、気圧センサ素子102の出力に基づいて気圧検出処理を行う集積回路素子103と、気圧センサ素子102および集積回路素子を支持する支持基板204とを含む。説明の便宜上、以下では、図49に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図50に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。
支持基板204は、内部に配線層を有する多層配線基板からなる。支持基板204は、平面視矩形状に形成されており、一対の主面204a,204bと、これらの主面2044a,204bを接続する4つの側面とを有している。支持基板204の一方の主面(+Z方向側の主面)204aの中央部には、他方の主面204bに向かって窪んだ平面視矩形状の凹部210が形成されている。支持基板204の他方の主面204bは、平坦面である。
凹部210は、支持基板204の主面204aから窪んだ平面視矩形状の第3凹部211と、第3凹部211の底面からさらに窪んだ第4凹部212とからなる。Z方向から見て、第3凹部211および第4凹部212の輪郭は互いに相似する矩形であって、第4凹部212の輪郭は第3凹部211の輪郭よりも小さい。Z方向から見て、第3凹部211の底面は第4凹部212を取り囲む矩形環状であり、第4凹部212の底面は第3凹部211の底面に取り囲まれる矩形状である。
支持基板204の一方の主面204aには、第3凹部211および第4凹部212によって、第4凹部212の底面である平面視矩形状の低域部213と、第3凹部211の底面である平面視矩形環状の中域部214と、凹部210の周囲である平面視矩形環状の高域部215とが形成されている。
低域部213の4辺と中域部214の内周縁側の4辺との間には、それらを接続するための接続部217が形成されている。中域部214の外周縁側の4辺と高域部215の内周縁側の4辺との間には、それらを接続するための接続部218が形成されている。接続部217は、低域部213に対してほぼ垂直である。接続部218は、中域部214に対してほぼ垂直である。高域部215は、凹部210を挟んでX方向に離間して配置され、平面視がY方向に長い矩形状の第1領域215Aおよび第2領域215Bを含む。
低域部213の周縁部には、複数の第1パッド221が形成されている。複数の第1パッド221は、平面視矩形であり、低域部213にたとえば4個形成されている。これらの第1パッド221は、気圧センサ素子102を低域部213に機械的かつ電気的に固定するために設けられている。
中域部214には、複数の第2パッド222が形成されている。複数の第2パッド222は、平面視矩形であり、中域部214にたとえば12個形成されている。これらの第2パッド222は、集積回路素子103を中域部214に機械的かつ電気的に固定するために設けられている。
高域部215の第1領域215Aおよび第2領域215Bには、複数の第3パッド223が形成されている。複数の第3パッド223は、第1領域215Aおよび第2領域215Bに5個ずつ形成されている。各第3パッド223上には、バンプ225が形成されている。第3パッド223とその上に形成されたバンプ225とによって、外部端子226が形成されている。外部端子226は、気圧検出装置301を図示しない回路基板に面実装するために用いられる。所定の第1パッド221と第2パッド222とは、支持基板204内に形成された配線227を介して接続されている。また、所定の第2パッド222と第3パッド223(外部端子226)とは、支持基板204内に形成された配線228を介して接続されている。
気圧センサ素子102は、第2の気圧検出装置101の気圧センサ素子102と同様であるので、その説明を省略する。気圧センサ素子102は、直方体形状であり、第4凹部212内に収容されている。気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sを低域部213(第4凹部212の底面)に対向させたフェースダウン状態で、低域部213に接合されている。具体的には、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sに設けられた複数のパッド電極が、低域部213に形成された第1パッド221に、はんだ層241を介して機械的および電気的に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の各パッド電極は、第1パッド221および支持基板204内に形成された配線227を介して所定の第2パッド222に接続されている。気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)と低域部213との間には、第1パッド221の厚さにはんだ層241の厚さを加えた厚さ分の隙間が形成されている。つまり、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと低域部213との間には、少なくとも第1パッド221の厚さ分の隙間が存在している。
集積回路素子103は、この実施形態では、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されている。集積回路素子103は、Z方向に扁平な直方体形状であり、第3凹部211内に収容されている。集積回路素子103の一方の表面(-Z方向側表面、以下、「実装面」という。)の周縁部には、複数のパッド電極(図示略)が設けられている。集積回路素子103は、その実装面の周縁部を中域部214に対向させた状態で、中域部214に接合されている。具体的には、集積回路素子103の実装面に設けられた複数のパッド電極が、中域部214に形成された第2パッド222に、はんだ層242を介して機械的および電気的に接合されている。これにより、集積回路素子103の各パッド電極は、第2パッド222および支持基板204内に形成された配線228を介して所定の第3パッド223に接続されている。
集積回路素子103は、気圧センサ素子102での歪ゲージ抵抗の電気抵抗値の変化量に応じた信号を処理等するために用いることができる。集積回路素子103の信号処理結果は、配線228および外部端子226を介して外部に出力することができる。
図51は、図49に示す第4の気圧検出装置の実装状態を示す図解的な断面図であり、図50に対応する切断面を示す。
配線基板(実装基板)81の表面82には、複数のランド83が形成されている。気圧検出装置301は、配線基板(実装基板)81の表面82に対して、バンプ225を対向させて表面実装される。複数のランド83上には、クリームはんだ84が塗られている。気圧検出装置301を配線基板81に表面実装する際には、そのクリームはんだ84およびバンプ225を介して、気圧検出装置301の第3パッド223がランド83に対して接合される。
気圧検出装置301が配線基板81に実装された状態においては、気圧検出装置301の支持基板204の高域部215の表面(+Z側表面)と、配線基板81との間には、第3パッド223の厚さに、バンプ225、クリームはんだ84およびランド83の厚さ分の隙間が存在する。前述したように、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板204の低域部213との間には、少なくとも第1パッド221の厚さ分の隙間が存在している。したがって、外気は、配線基板81と気圧検出装置301との間の隙間および凹部210を通って、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)と支持基板204の低域部213との間の隙間に流入可能である。このため、気圧センサ素子102のダイヤフラム33の可動膜部34Aの外表面(外気接触領域Sa)が外気に晒された状態となるので、気圧センサ素子102を用いた気圧検出が可能となる。
前述した第4の気圧検出装置301では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sを低域部213に対向させたフェースダウン状態で、支持基板204の低域部213に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)は気圧センサ素子102を支持するための支持基板204によって保護されるため、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、気圧センサ素子102をフェースダウン状態で支持基板204に接合した場合でも、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと支持基板204の低域部213との間には、少なくとも第1パッド221の厚さ分の隙間が形成されるので、凹部210を通じて気圧センサ素子102の外気接触領域Saを外気に晒すことができる。このため、気圧検出に支障は生じない。
第4の気圧検出装置301においても、気圧センサ素子102のダイヤフラム33の固定部33Bの外表面に、図33~図35を用いて説明した防水・防塵埃壁151と同様な防水・防塵埃壁を形成してもよい。また、固定部33Bの外表面に形成される防水・防塵埃壁は、前述した図36、図37または図38に示されるような構成であってもよい。
また、第4の気圧検出装置301においても、支持基板204の高域部215に、図39および図40を用いて説明した防水・防塵埃壁155と同様な防水・防塵埃壁を形成してもよい。また、高域部215に形成される防水・防塵埃壁は、前述した図41、図42または図43に示されるような構成であってもよい。
図52は、第5の気圧検出装置の図解的な平面図である。図53は、図52のLIII-LIIIに沿う図解的な断面図である。図52および図53において、前述の図49および図50に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
第5の気圧検出装置401は、気圧センサ素子102と、気圧センサ素子102の出力に基づいて気圧検出処理を行う集積回路素子103と、気圧センサ素子102および集積回路素子103を支持する支持基板204とを含む。説明の便宜上、以下では、図49に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図50に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。
第5の気圧検出装置401では、気圧検出装置201を配線基板81に面実装するための第3パッド223の形成位置と、第2パッド222と第3パッド223とを接続する配線の経路とが、前述の第4の気圧検出装置301と異なっている。それ以外の点は、第4の気圧検出装置301と同じである。
第5の気圧検出装置401では、支持基板204の+Z方向側の主面204aではなく、-Z方向側の主面204bに、第3パッド223が形成されている。具体的には、支持基板204の主面204bにおける高域部215の第1領域215Aと向かい合っている領域および高域部215の第2領域215Bと向かい合っている領域それぞれに、第3パッド223が5つずつ形成されている。各第3パッド223上には、バンプ225が形成されている。第3パッド223とその上に形成されたバンプ225とによって、外部端子226が形成されている。第2パッド222と第3パッド223とは、支持基板204内に形成された配線228を介して接続されている。
図54は、図53に示す第5の気圧検出装置の実装状態を示す図解的な断面図であり、図53に対応する切断面を示す。
配線基板(実装基板)81の表面82には、複数のランド83が形成されている。気圧検出装置401は、配線基板(実装基板)81の表面82に対して、バンプ225を対向させて表面実装される。第5の気圧検出装置401では、バンプ225は支持基板204の主面204b側に形成されているので、支持基板204の主面204bが配線基板81の表面に対向した状態で、気圧検出装置401は配線基板81に実装される。複数のランド83上には、クリームはんだ84が塗られている。気圧検出装置401を配線基板81に表面実装する際には、そのクリームはんだ84およびバンプ225を介して、気圧検出装置401の第3パッド223がランド83に対して接合される。
気圧検出装置401が配線基板81に実装された状態においては、凹部210の開口部(第3凹部211の開口部)は外気に開放されている。気圧センサ素子402の外気接触用表面Sと支持基板204の低域部213との間には、少なくとも第1パッド221の厚さ分の隙間が存在している。したがって、外気は、凹部210の開口部を通って、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sと支持基板204の低域部213との間の隙間に流入可能である。このため、気圧センサ素子102のダイヤフラム33の可動部33Aの外表面(外気接触領域Sa)が外気に晒された状態となるので、気圧センサ素子102を用いた気圧検出が可能となる。
第5の気圧検出装置401では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面を低域部213に対向させたフェースダウン状態で、支持基板204の低域部213に接合されている。これにより、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)は気圧センサ素子102を支持するための支持基板204によって保護されるため、気圧センサ素子102の外気接触用表面S(外気接触領域Sa)を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、気圧センサ素子102をフェースダウン状態で支持基板204に接合した場合でも、気圧センサ素子102の外気接触領域Saと支持基板204の低域部213との間には、少なくとも第1パッド221の厚さ分の隙間が形成されるので、凹部210を通じて気圧センサ素子102の外気接触領域Saを外気に晒すことができる。このため、気圧の検出に支障は生じない。
第5の気圧検出装置401においても、気圧センサ素子102のダイヤフラム33の固定部33Bの外表面に、図33~図35を用いて説明した防水・防塵埃壁151と同様な防水・防塵埃壁を形成してもよい。また、固定部33Bの外表面に形成される防水・防塵埃壁は、前述した図36、図37または図38に示されるような構成であってもよい。
図55は、第6の気圧検出装置の図解的な平面図である。図56は、図55のLVI-LVIに沿う図解的な断面図である。図55および図56において、前述の図52および図53に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
第6の気圧検出装置501は気圧センサ素子102と、気圧センサ素子102の出力に基づいて気圧検出処理を行う集積回路素子103と、気圧センサ素子102および集積回路素子103を支持する支持基板204とを含む。説明の便宜上、以下では、図55に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向ならびに図56に示した+Z方向および-Z方向を用いることがある。
第6の気圧検出装置501の構成は、第5気圧検出装置401とほぼ同様な構成であるが、支持基板204に支持された気圧センサ素子102の姿勢が、第5気圧検出装置401と異なっている。つまり、第6の気圧検出装置501では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sとは反対側の表面(台座31側表面)を低域部213に対向させたフェースアップ状態で、支持基板204の低域部213に接合されている。低域部213には、気圧センサ素子102が接合される領域の外側領域に複数の第1パッド221が形成されている。気圧センサ素子102の外気接触用表面Sに形成されたパッド電極は、ボンディングワイヤ219を介して、第1パッド221に接続されている。第1パッド221は、支持基板204内に形成された配線227によって第2パッド222に接続されている。第2パッド222は、支持基板204内に形成された配線228によって第3パッド223に接続されている。
第6の気圧検出装置501では、気圧センサ素子102は、その外気接触用表面Sと反対側の表面を低域部213に対向させたフェースアップ状態で、支持基板204の低域部213に接合されている。しかしながら、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sは、集積回路素子103によって覆われているので、気圧センサ素子102の外気接触用表面Sを保護するための蓋を別途に設ける必要がない。
以上は、この発明を気圧センサ素子を含む気圧検出装置に適用した場合について説明したが、この発明は外気に晒されるべき外気接触領域を含む外気接触用表面を備えたセンサ素子を含む電子部品であれば、気圧検出装置以外の電子部品にも適用することができる。このような電子部品には、たとえば、湿度センサ素子を備えた湿度検出装置がある。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書からはさらに以下のような特徴が抽出され得る。
1.外気に晒されるべき外気接触領域を含む外気接触用表面を備えたセンサ素子と、前記センサ素子を支持するための支持基板とを含み、前記センサ素子は、その外気接触用表面が前記支持基板の一方表面に対向し、かつ、前記外気接触領域と前記支持基板の前記一方表面との間に外気が流通する隙間が形成された状態で、前記支持基板の前記一方表面に接合されている、電子部品。
この構成では、センサ素子の外気接触用表面(外気接触領域)はセンサ素子を支持するための支持基板によって保護されるから、センサ素子の外気接触領域を保護するための蓋を別途に設ける必要がない。このように、センサ素子を支持基板の一方表面に対向させた状態で支持基板の一方表面に接合した場合でも、センサ素子の外気接触領域と支持基板の一方表面との間には、外気が流通する隙間が形成されているので、センサ素子の外気接触領域を外気に晒すことができる。
2.前記センサ素子の外気接触用表面側に形成された複数の電極と、前記支持基板の前記一方表面に形成された複数のパッドとをさらに含み、前記複数の電極が、前記複数のパッドに接合されている、1.に記載の電子部品。
3.前記支持基板には、前記支持基板の前記一方表面から窪み、前記センサ素子が収容される凹部が形成されており、前記センサ素子は、その外気接触用表面が前記凹部の底面に対向し、かつ、当該外気接触領域と前記凹部の底面との間に外気が流通する隙間が形成された状態で、前記凹部の底面に接合されている、1.に記載の電子部品。
4.前記センサ素子の外気接触用表面側に形成された複数の電極と、前記凹部の底面に形成された複数のパッドとをさらに含み、前記複数の電極が、前記複数のパッドに接合されている、3.に記載の電子部品。
5.前記支持基板の前記一方表面における前記凹部を取り囲む領域に形成され、前記複数のパッドのいずれかと接続された複数の外部端子をさらに含む、4.に記載の電子部品。
6.前記複数の外部端子は、前記支持基板の前記一方表面に形成された配線を介して前記複数のパッドのいずれかと接続されている、5.に記載の電子部品。
7.前記複数の外部端子は、前記支持基板内に形成された配線を介して前記複数のパッドのいずれかと接続されている、5.に記載の電子部品。
8.前記支持基板の前記一方表面とは反対側の他方表面に形成され、前記複数のパッドのいずれかと接続された複数の外部端子をさらに含む、4.に記載の電子部品。
9.前記複数の外部端子は、前記支持基板内に形成された配線を介して前記複数のパッドのいずれかと接続されている、8.に記載の電子部品。
10.前記支持基板に支持される集積回路素子をさらに含み、前記支持基板には、前記支持基板の前記一方表面から窪んだ第1凹部と、前記支持基板の前記一方表面から窪み、前記第1凹部の側面に連通し、前記第1凹部よりも深さが浅い第2凹部とが形成されており、前記センサ素子は、その外気接触用表面が前記第1凹部の底面に対向し、かつ、前記外気接触領域と前記第1凹部の底面との間に外気が流通する隙間が形成された状態で、前記第1凹部の底面に接合されており、前記集積回路素子は、その一方表面が前記第2凹部の底面に対向した状態で、前記第2凹部の底面に接合されている、1.に記載の電子部品。
11.前記センサ素子の外気接触用表面側に形成された複数の第1電極と、前記第1凹部の底面に形成された複数の第1パッドとをさらに含み、前記複数の第1電極が、前記複数の第1パッドに接合されている、10.に記載の電子部品。
12.前記集積回路素子の前記一方表面側に形成された複数の第2電極と、前記第2凹部の底面に形成され、前記複数の第1パッドのいずれかと接続された複数の第2パッドとをさらに含み、前記複数の第2電極が、前記複数の第2パッドに接合されている、11.に記載の電子部品。
13.前記支持基板の前記一方表面における前記第1凹部および前記第2凹部を取り囲む領域に形成され、前記複数の第2パッドのいずれかと接続された複数の外部端子をさらに含む、12.に記載の電子部品。
14.前記複数の第2パッドは、前記支持基板の前記一方表面に形成された第1配線を介して前記複数の第1パッドのいずれかと接続されており、前記複数の外部端子は、前記支持基板の前記一方表面に形成された第2配線を介して前記複数の第2パッドのいずれかと接続されている、13.に記載の電子部品。
15.前記支持基板に支持される集積回路素子をさらに含み、前記支持基板には、前記支持基板の前記一方表面から窪んだ第3凹部と、前記第3凹部の底面からさらに窪んだ第4凹部とが形成されており、前記センサ素子は、その外気接触用表面が前記第4凹部の底面に対向し、かつ、前記外気接触領域と前記第4凹部の底面との間に外気が流通する隙間が形成された状態で、前記第4凹部の底面に接合されており、前記集積回路素子は、その一方表面が前記第3凹部の底面に対向し、かつ、当該一方表面と前記第3凹部の底面との間に外気が流通する隙間が形成された状態で、前記第3凹部の底面に接合されている、1.に記載の電子部品。
16.前記センサ素子の外気接触用表面側に形成された複数の第1電極と、前記第4凹部の底面に形成された複数の第1パッドとをさらに含み、前記複数の第1電極が、前記複数の第1パッドに接合されている、15.に記載の電子部品。
17.前記集積回路素子の前記一方表面側に形成された複数の第2電極と、前記第3凹部の底面に形成され、前記複数の第1パッドのいずれかと接続された複数の第2パッドとをさらに含み、前記複数の第2電極が、前記複数の第2パッドに接合されている、16.に記載の電子部品。
18.前記支持基板の前記一方表面における前記第3凹部を取り囲む領域に形成され、前記複数の第2パッドのいずれかと接続された複数の外部端子をさらに含む、17.に記載の電子部品。
19.前記複数の第2パッドは、前記支持基板内に形成された第1配線を介して前記複数の第1パッドのいずれかと接続されており、前記複数の外部端子は、前記支持基板内に形成された第2配線を介して前記複数の第2パッドのいずれかと接続されている、18.に記載の電子部品。