まず、本発明の概念を説明する。
図1は、本発明の概念を説明するための図であり、図1(a)~図1(c)は、本発明に係る取付器具100の動きを示している。
本発明の取付器具100は、突出部Hを有する支持部材Rに被取付部材Sを取り付けるための取付器具である。
本発明の取付器具100は、外側部材M1と、外側部材M1の内側にある内側部材M2と、外側部材M1を内側方向D1に締め付けることにより内側部材M2を突出部Hに取り付けるための締め付け手段100aとを備えている(図1(a)を参照)。
そして、本発明では、図1(a)の状態から締め付け手段100aにより外側部材M1が内側方向D1に締め付けられていくと、外側部材M1とともに内側部材M2が、内側方向に移動し突出部の首に当接する(図1(b)を参照)。さらに、締め付け手段100aにより外側部材M1が内側方向D1に締め付けられていくと、内側部材M2は突出部の首部の形状に沿って首部の高さ方向D2に移動することにより頭部に当接する(図1(c)を参照)。このように、本発明の取付器具は、締め付け手段により外側部材を内側方向に締め付けることにより、内側部材は、頭部に当接するまで少なくとも首部の高さ方向(突出部の突出方向)D2に移動可能なため、単一仕様であっても、突出部Hの形状や寸法が異なる種々の支持部材Rに取り付け可能である。上述の説明において、締め付け手段の締め付けにおいて、内側部材は内側方向に移動し突出部の首部に当接した後に、首部の高さ方向に移動する場合を示しているが、本発明は内側方向の移動と首部の高さ方向の移動が同時に行われる場合も含まれる。
したがって、本発明は、単一仕様の取付器具により、突出部の形状や寸法が異なる種々の支持部材Rに被取付部材Sを取り付けることを可能にするという課題を解決している。
本発明においては、支持部材R、被取付部材S、締め付け手段100aは、上述した課題解決のための構成を有するものであれば、どのようなものでもよい。
取付器具100は、突出部が少なくとも以下の2つの条件を満たすことにより、突出部の首部の長さ(高さ)、さらに突出部の高さの異なる種々のタイプの支持部材に単一仕様で取付可能である。
・突出部の首部の長さ(高さ)が、内側部品の突出部の突出する方向に移動可能な距離の範囲内であること。
・突出部の全体の高さが、外側部材の締め付け手段から遠い端部と締め付け手段との間の距離の範囲内であること。
〔支持部材R〕
支持部材Rは、頭部と首部とを有する突出部Hを有するものであればどのようなものでもよい。突出部の頭部に内側部品M2の先端部を引っ掛けて取付器具100を支持部材Rに強固に固定することができる。首部の形状は突出部の突出方向に向かうにしたがい、幅が小さく内側に近づく形状であってもよいし、突出方向のどの位置においても、幅が同じ形状であってもよい。
頭部の形状は、内側部材が首部の形状に沿って移動して頭部に当接した状態において、内側部材の移動を抑制できる範囲で任意の形状であり得る。例えば、首部よりも幅が大きい(太い)形状を有する形状であってもよいし、内側部材が係合する首部の幅より小さい(細い)凹部を有する形状であってもよい。
支持部材は、例えば、折板屋根の一種である立平葺屋根である。立平葺屋根には、「嵌合式」と「巻きハゼ」の大きく2タイプがあり、嵌合式立平葺屋根は突出部として嵌合部を有し、巻きハゼ立平葺屋根は突出部として巻きハゼ部を有する。
嵌合部は、隣接する屋根材の一方の端部に形成された線状凸部と隣接する屋根材の他方の端部に形成された線状凹部とを嵌合させて隣接する屋根材を接続してなる嵌合式立平葺屋根の接合部分である。巻きハゼ部は、隣接する屋根材の一方の端部と隣接する屋根材の他方の端部とを重ね合わせて巻き込むことにより隣接する屋根材を接続してなる巻きハゼ立平葺屋根の接合部分である。このように嵌合部と巻きハゼ部とは、隣接する屋根材を接合する構造が異なるので、その形状も異なる。
また、同じタイプの立平葺屋根においても、その構造は製品毎に異なる。例えば、製品毎に突出部(嵌合部あるいは巻きハゼ部)の首部の幅や高さが異なる。
さらに、巻きハゼ部の形状には種々のものがある。例えば、巻きハゼ部の頭部の断面形状には、円形、楕円形、矩形など種々のものがあり、さらには、頭部と首部との位置関係も、首部が頭部の中心部分から下方に延びているもの、首部が頭部の一端側から下方に延びているものなどがある。
さらに、支持部材は、立平葺屋根以外の折板屋根(例えば、ハゼ式折板屋根)でもよいし、支持部材は、折板屋根に限らず、折板屋根以外の屋根でもよい。折板屋根以外の屋根には、例えば、折板屋根以外の金属製屋根、コンクリート製屋根、瓦葺屋根などがある。
また、支持部材は、建造物の屋根に限らず、建造物の壁、柱、基礎などであってもよいし、あるいは、建造物以外の構造物の一部であってもよい。
要するに、支持部材は、構造物の一部であって、その表面から突出する突出部を有するものであればどのようなものでもよい。
〔被取付部材〕
被取付部材Sは、取付器具を介して支持部材Rに取り付けられるものであれば任意であり得る。例えば、支持部材が建造物の屋根である場合は、被取付部材は、屋根上に設置される設備(屋根上設備)である。このような屋根上設備には、例えば、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)、空調装置、アンテナ、避雷針、緑化屋根用プランターなどがある。しかし、本発明はこれらに限定されない。
〔締め付け手段〕
締め付け手段100aは、外側部材M1を内側方向D1に締め付けることにより内側部材M2を突出部Hに取り付けるためのものであれば任意の形態であり得る。
一般的に締め付け手段は、ワッシャー(平座金)やスプリングワッシャー(ばね座金)とともに用いられる締付ボルトおよび締付ナットである。ただし、締め付け手段100aは、締結バンド、さらには、てこの原理などを利用して複数の部品を締結する締結器具などでもよい。
〔外側部材および内側部材〕
内側部材M2は、外側部材M1の内側にあり、外側部材M1および内側部材M2は、締め付け手段100aにより外側部材M1が内側方向D1に締め付けられると、内側部材M2が内側方向と突出部の突出する方向D2とに移動するように構成されているものであれば任意の形態であり得る。
従って、締め付け手段100aによる外側部材M1の内側方向D1への締付により内側部材M2を内側方向D1と突出部の突出する方向D2とに移動させる構成は特定の形態などに限定されるものではない。
この構成は、例えば、内側部材M2の側面を内側方向(内側部材M2の締め付け方向)D1に対して傾斜させておき、外側部材M1を内側方向D1に移動させて内側部材M2の側面に当接させつつ内側方向D1への移動を継続することにより、内側部材M2を首部の形状に沿って突出部の突出する方向D2に移動させるものでもよい。
さらに、外側部材M1のうちの内側部材M2と当接する当接面は、締め付け手段から遠い端部に近い部分ほどより内側に位置する傾斜面を有していてもよい。この場合、外側部材の傾斜面は、凹状の湾曲面を含むことが望ましい。
さらに、外側部材M1の傾斜面は、傾斜が異なる2つの傾斜面を有し、2つの傾斜面のうちの外側部材の端部に近い近位傾斜面は、内側方向D1に対する傾斜が、外側部材M1の端部から遠い遠位傾斜面に比べて小さい傾斜面であってもよい。
さらに、内側部材M2のうちの外側部材M1と当接する当接面は、締め付け手段から遠い外側部材M1の端部までの距離が近い部分ほどより内側に位置する傾斜面を有していてもよい。この場合、内側部材M2の傾斜面は、凸状の湾曲面を含んでいてもよい。
さらに、内側部材M2の傾斜面は、内側方向D1に対する傾斜が、外側部材M1の遠位傾斜面に比べて小さく、かつ、外側部材の近位傾斜面に比べて大きくてもよい。
締め付け手段100aにより外側部材M1が内側方向D1に締め付けられると、内側方向に移動して首部に当接した内側部材M2は、首部の形状に沿って突出部の突出する方向D2に移動した状態で頭部に当接するものである。内側部材M2は、頭部に係合する係合爪を有していてもよい。
さらに、取付器具100は、外側部材M1として1以上の外側部品を含んでいてもよいし、内側部材M2として1以上の内側部品を含んでいてもよい。取付器具100を構成する部品の数は限定されるものではない。
内側部品および外側部品の材料は、例えば、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属材料であってもよいし、樹脂材料であってもよい。また、これらの部品は、押し出し成型により形成されたものでもよいが、これらの部品の形成は、押し出し成型に限らず、鍛造やプレス加工などの他の方法による形成でもよい。
上述したように本発明の取付器具を構成する支持部材、被取付部材、締め付け手段は、上述した課題解決のための構成を有するものであれば、特に限定されるものではないが、以下の実施形態では、被取付部材がソーラーパネル(太陽電池モジュール)であり、取付器具の取付の対象となる支持部材が2つのタイプの立平葺屋根、具体的には、嵌合式立平葺屋根と巻きハゼ立平葺屋根である場合について説明する。嵌合式立平葺屋根は、首部と頭部とを有する突出部として嵌合部を含み、巻きハゼ立平葺屋根は、首部と頭部とを有する突出部として巻きハゼ部を含む。
特に、「実施形態1」(図2~図13)では、内側部材M2として、対向する第1、第2の内側部品110、120を有し、外側部材M2として、対向する第1、第2の外側部品130、140を有する取付器具100を説明する。
「実施形態2」(図14~図16)では、対向する第1、第2の内側部品210、220の構造が、実施形態1で説明した構造とは異なる取付器具200を説明する。
「実施形態3」(図17)では、内側部材M1として、対向する第1、第2の内側部品110、120を有し、外側部材M2として1つの外側部品130を有する取付器具300を説明する。
「実施形態4」(図18~図19)では、内側部材M1として1つの内側部品410を有し、外側部材M2として、対向する第1、第2の外側部品130、140を有する取付器具400を説明する。
さらに、各実施形態では、少なくとも、支持部材と、支持部材に取り付けられた取付部材と、取付器具に取り付けられた被取付部材とにより、被取付部材と支持部材とが取付器具により取り付けられた被取付部材設置構造が実現されている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔実施形態1〕
1.取付器具100の構造
図2~図3、図3A、図4は、本発明の実施形態1による取付器具100を説明するための図である。図2(a)は、取付器具100の外観を示す斜視図であり、図2(b)および図2(c)はそれぞれ、取付器具100を取り付ける嵌合式立平葺屋根Raおよび巻きハゼ立平葺屋根Rbの構造を示す。図3(a)は、嵌合式立平葺屋根Raに取り付けられた取付器具100を示し、図3(b)は、図3(a)のB’方向から見た図3(a)の取付器具100を示す。
実施形態1の取付器具100は、被取付部材を支持部材に取り付けるための金具であり、図2(a)、図3(a)および図3(b)に示すように、一対の内側部品110、120と、一対の外側部品130、140と、締め付け手段100aとを有する。
この実施形態1では、被取付部材Sは太陽電池モジュール(以下、ソーラーパネルという。)Sであり、取付器具100を固定する対象となる支持部材Rは、タイプの異なる2つの立平葺屋根である。
1つのタイプの立平葺屋根は、図2(b)(図3(a)、図3(b))に示される嵌合式立平葺屋根Raである。嵌合式立平葺屋根Raは、図2(b)に示すように、隣接する屋根材の一方の屋根材Ra1の端部に形成された線状凸部と、隣接する屋根材の他方の屋根材Ra2の端部に形成された線状凹部とを嵌合させて隣接する屋根材Ra1およびRa2を接続してなる立平葺屋根である。この嵌合式立平葺屋根Raは、図2(b)などに示すように、屋根材Ra1、Ra2の平坦部分が形成する屋根本体(支持部材本体)Baと、屋根本体Baの表面から突出する嵌合部(突出部)Haとを有する。嵌合部Haは、頭部Ha1と、頭部Ha1と屋根本体Baとの間に位置する首部(突出部)Ha2とを有する。首部Ha2の幅wa2は、頭部Ha1の幅wa1より細く、頭部Ha1の下端部は、首部Ha2の両側に迫り出した顎部Ha3となっている。
もう1つのタイプの立平葺屋根は、図2(c)に示すように、隣接する屋根材の一方の屋根材Rb1の端部と、隣接する屋根材の他方の屋根材Rb2の端部とが巻き込まれるようにこれらを重ね合わせてかしめることにより、隣接する屋根材Rb1およびRb2を接続してなる巻きハゼ立平葺屋根Rbである。巻きハゼ立平葺屋根Rbは、屋根材Rb1、Rb2の平坦部分が形成する屋根本体(支持部材本体)Bbと、屋根本体Bbの表面から突出する巻きハゼ部(突出部)Hbとを有する。巻きハゼ部Hbは、頭部Hb1と、頭部Hb1と屋根本体Bbとの間に位置する首部(突出部)Hb2とを有する。首部Hb2の幅wb2は、頭部Hb1の幅wb1より細く、頭部Hb1の下端部は、首部Hb2の一方側に迫り出した顎部Hb3となっている。
なお、嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの幅wa1および高さha1、さらに首部Ha2の幅wa2および高さha2は、同じ種類の嵌合式立平葺屋根であっても、個々の製品で異なる場合がある。巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの幅wb1および高さhb1、さらに首部Hbの幅wb2および高さhb2も、同じ種類の巻きハゼ立平葺屋根Rbであっても、個々の製品で異なる場合がある。
取付器具100は、上述した2つのタイプの立平葺屋根だけでなく、突出部の首部の幅、首部の高さ、さらに、突出部の高さの異なる種々のタイプの屋根の突出部に固定可能なものである。
〔取付器具100〕
実施形態1の取付器具100では、図3に示すように、締め付け手段100aは、対向する第1、第2の内側部品110、120からなる内側部材および対向する第1、第2の外側部品130、140からなる外側部材とを貫通する締付ボルトBtと、締付ボルトBtに装着される平座金WおよびスプリングワッシャーSwと、締付ボルトBtに螺合する締付ナットNtとを含む。ここで、締め付け手段は、平座金やスプリングワッシャーを含むが、本発明はこれに限定されない。スプリングワッシャーに代えて皿バネ座金などを用いてもよい。平座金やスプリングワッシャーなどの座金は必要に応じて取捨選択することが可能である。
ここで、締め付け手段100aは、外側部品130、140を内側方向(図2のB方向、C方向)に締め付けることにより、内側部品110、120を突出部Haに取り付けるものである。
具体的には、突出部Haへの内側部品110、120の取り付けは、以下のように行われる。内側部品110、120の締め付け手段から遠い端部(先端部)により嵌合部Haの首部Ha2が挟持されることにより嵌合部Haの首部Ha2に対する内側方向(幅方向)の締付が行われ、かつ、内側部品110、120の先端部が嵌合部Haの首部Ha2に沿って移動した状態で嵌合部Haの頭部Ha1を押し上げるように頭部Ha1に当接する。そして、外側部品130、140の先端部が屋根本体(支持部材本体)Baの表面を押すことにより、首部Ha2に対する高さ方向の締付が行われる。
なお、嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haに取り付けられた取付器具100上には、図3に示すように、ソーラーパネルSが載せられ、ソーラーパネルSは、押え金具101aにより取付器具100に固定される。押え部材101aは、取付器具100のボルト装着溝13aに装着された固定ボルトBfに座金W、スプリングワッシャーSwを介して固定ナットNfを締め付けることにより取付器具100に固定される。
以下、取付器具100における第1、第2の内側部品110、120および第1、第2の外側部品130、140を詳しく説明する。
図3Aは、図2(a)に示す取付器具100の分解斜視図である。図4(a)~図4(e)はそれぞれ図2(a)に示す取付器具100をA方向~E方向から見た構造を示す。なお、取付器具100を図2(a)のF方向から見た構造は、取付器具100を図2(a)のA方向から見た構造と対称であるため、その図示を省略している。
<第1の内側部品110>
図5は、図3Aの分解斜視図における第1の内側部品110の具体的な構造を説明するための平面図であり、図5(a)~図5(e)はそれぞれ第1の内側部品110を図3AにおけるA方向~E方向から見た構造を示す。
第1の内側部品110は、ソーラーパネルSが載置される上面部10bと、上面部10bを支持する側壁部10aとを有する。なお、以下の第1の内側部品110の説明において、第1の内側部品110における該当する部分の「内側」は、該当する部分の第2の内側部品120側を意味し、第1の内側部品110における該当する部分の「外側」は、該当する部分の第2の内側部品120側とは反対側を意味する。
(第1の内側部品110の上面部10b)
上面部10bは、平面図で長方形形状を有する板状の上面基部13と、上面基部13上にその長手方向に延びるように形成された一対の細長基台15、16と、上面基部13の内側縁部の中央部分から横方向に突出する突起片14とを有する。突起片14は後述する第2の内側部品120に設けられる嵌合孔23aに挿入される部分である。
ここで、一対の細長基台15、16は、幅方向の縦断面における形状として例えば断面略T字形状を有し、これらの細長基台15、16の上面は、ソーラーパネルSを載置するためのパネル載置面を形成している。一対の細長基台15、16のうちの上面基部13の外側に位置する細長基台15の外側縁の中央部には、細長基台15、16のパネル載置面に載置されたソーラーパネルSを位置決めするための係止突起15aが形成されている。一対の細長基台15、16の間にはボルト装着溝13aが形成されている。ボルト装着溝13aには、パネル載置面に載置されたソーラーパネルSを押える押え部材101aを固定する固定ボルトBfの頭部が装着される。なお、固定ボルトBfを第1の内側部品110に取り付けるための構造は、ボルト装着溝13aに限定されるものではく、上面基部13に固定ボルトBfの挿通孔を形成した構造でもよい。
ここで、突起片14および係止突起15aは、本発明の取付器具100を構成する第1の内側部品110に必須のものではない。従って、第1の内側部品110は、突起片14および係止突起15aの少なくとも一方を含まないものでもよい。
(第1の内側部品110の側壁部10a)
側壁部10aは、上面部10bを構成する上面基部13の外側端縁から下方に延びる側壁本体11と、側壁本体11のうちの上面基部13に近接する部分に上面基部13に平行に内側に延びるように形成された部品係合片12とを有する。第1の内側部品110は、内側方向に沿って延びるガイド溝12aを有している。ガイド溝12aは、部品係合片12と上面基部13との間に有する溝であり、後述する第2の内側部品120の一部である上面基部22(図4参照)がガイド片として挿入される。
ここで、側壁本体11は、上面基部13の鉛直方向に対して、側壁本体11の下端側が上面基部13の内側に入り込むように傾斜している。側壁本体11の外側面は、第1の外側部品130の内側面に接する面であり、基準横面に対して傾斜した傾斜面となっている。ここで、基準横面は、突出部が突出する方向に垂直な面である。なお、側壁本体11の外側面は、第1の内側部品110の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近いほど内側に位置する傾斜面である。この傾斜面の上記内側方向に対する傾斜は、後述する第1の外側部品130の遠位傾斜面(第1傾斜部31の内側の傾斜面)に比べて小さく、かつ、後述する第1の外側部品130の近位傾斜面(第2傾斜部32の内側の傾斜面)に比べて大きい。また、側壁本体11の外側面の下端には、凸状の湾曲面を形成する先端湾曲部11cが形成されている。この側壁本体11の下端部に支持部材の頭部と係合する係合爪11aが形成されている。係合爪11aは、締め付け手段100aによる締め付けの際、支持部材の突出部の首部(嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの首部Ha1あるいは巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb1)の側面に当接し、かつ、突出部の頭部の顎部(嵌合部Haの顎部Ha3あるいは巻きハゼ部Hbの顎部Hb3)に係合する部分である。係合爪の形状は、頭部(顎部)に係合する範囲で任意であり得る。
さらに、側壁本体11の高さ方向の中央部分には、締め付け手段100aを構成する締付ボルトBtを通すための対向する一対の長孔(ボルト挿通長孔)11bが形成されている。図3A、図5に示す実施形態において、長孔11aは一対の場合について説示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、一つであってもよいし、3個以上の複数であってもよい。
なお、本発明の取付器具100を構成する第1の内側部品110では、部品係合片12(ガイド溝12a)は必須のものではない。従って、第1の内側部品110は、部品係合片12(ガイド溝12a)を含まないものであってもよい。また、側壁本体11の外側面の下端は、凸状の湾曲面であることは必須ではなく、第1の内側部品110は、先端湾曲部11cを有しておらず、側壁本体11の外側面の下端部は、この外側面を形成する1つの平面の一部であってもよい。
また、側壁本体11は、上面基部13の鉛直方向に対して、側壁本体11の下端側が上面基部13の内側に入り込むように傾斜しているが、側壁本体11は、必ずしも傾斜している必要はなく、側壁本体11は、上面基部13の鉛直方向に平行に配置されていてもよい。
<第2の内側部品120>
図6は、図3Aの分解斜視図における第2の内側部品120の具体的な構造を説明するための平面図であり、図6(a)~図6(e)はそれぞれ第2の内側部品120を図3AにおけるA方向~E方向から見た構造を示す。
第2の内側部品120は、第1の内側部品110のガイド溝12aに挿入される上面部(ガイド片)20bと、上面部20bを支持する側壁部20aとを有する。なお、以下の第2の内側部品120の説明において、第2の内側部品120における該当する部分の「内側」は、該当する部分の第1の内側部品110側を意味し、第2の内側部品120における該当する部分の「外側」は、該当する部分の第1の内側部品110側とは反対側を意味する。
(第2の内側部品120の上面部20b)
上面部20bは、平面図において長方形形状を有する板状の上面基部22と、上面基部22の外側縁部から斜め上方に突出するように形成された線状突出片23とを有する。上面基部22の上面は、その中央部から第1の内側部品110に対向する内側縁部にかけて、内側縁部側が中央部側より低くなるように傾斜している。ただし、上面基部22の上面の傾斜は、必ずしも必要ではなく、上面基部22の上面は全体に渡って第1の内側部品110の上面基部13の下面と平行であってもよい。線状突出片23には、第1の内側部品110の突起片14が嵌合する嵌合孔23aが形成されている。第1の内側部品110の突起片14が第2の内側部品120の嵌合孔23aに挿入され、かつ、第2の内側部品120の上面基部22が第1の内側部品110のガイド溝12aに挿入されることにより、両内側部品110および120の一定の姿勢が維持された状態で、第1の内側部品110と第2の内側部品120とが近接あるいは離反可能となる。この一定の姿勢は、第1の内側部品110の上面基部13と第2の内側部品120の上面基部22とが平行になる姿勢である。また、第1の内側部品110、第2の内側部品120、第1の外側部品130、第2の外側部品140が締付ボルトBtおよび締付ナットNtで仮止めされた取付部品100の仮止状態では、第1の内側部品110の突起片14が第2の内側部品120の嵌合孔23aに挿入されることにより、第1の内側部品110が第2の内側部品120に対して回転するのが阻止される。これにより、取付器具100の仮止め状態では、第1の内側部品110と第2の内側部品120との位置関係を、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haや巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbに取り付けるときの位置関係に保つことができる。従って、取付作業の際には、現場に仮止め状態で搬入された取付器具100をそのままの状態で嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haや巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置することができる。
なお、線状突出片23は、本発明の取付器具100を構成する第1の内側部品120に必須のものではない。従って、第2の内側部品120は、線状突出片23を含まないものでもよい。
(第2の内側部品120の側壁部20a)
側壁部20aは、上面部20bを構成する上面基部22の外側端縁から下方に延びる側壁本体21を有する。
ここで、側壁本体21は、上面基部22の鉛直方向に対して、側壁本体21の下端側が上面基部22の内側に入り込むように傾斜している。側壁本体21の外側面は、第2の外側部品140の内側面に接する面であり、上述した基準横面に対して傾斜した傾斜面となっている。なお、側壁本体21の外側面は、第2の内側部品120の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近いほど内側に位置する傾斜面である。この傾斜面の上記内側方向に対する傾斜は、後述する第2の外側部品140の遠位傾斜面(第1傾斜部41の内側の傾斜面)に比べて小さく、かつ、後述する第2の外側部品140の近位傾斜面(第2傾斜部42の内側の傾斜面)に比べて大きい。また、側壁本体21の外側面の下端には、凸状の湾曲面を形成する先端湾曲部21cが形成されている。この側壁本体21の下端側の先端には、係合爪(先端係合爪)21aが形成されている。先端係合爪21aは、締め付け手段100aによる締め付けの際、支持部材の突出部の首部(嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの首部Ha1あるいは巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb1)の側面に当接し、かつ、突出部の頭部の顎部(嵌合部Haの顎部Ha3あるいは巻きハゼ部Hbの顎部Hb3)に係合する部分である。ただし、図2(c)に示す巻きハゼ部Hbの場合は、顎部Hb3は首部Hb2の紙面左側にしか形成されていないので、第2の内側部品120の先端係合爪21aは巻きハゼ部Hbの顎部Hb3に引っ掛からない。
さらに、側壁本体21におけるその高さ方向における中間的な部分には、締め付け手段100aを構成する締付ボルトBtを通すための対向する一対の長孔(ボルト挿通長孔)21bが形成されている。
ここで、側壁本体21の外側面の下端は、凸状に湾曲した形状であることは必須ではなく、第2の内側部品120は、先端湾曲部21cを有しておらず、側壁本体21の外側面の下端部は、この外側面を形成する1つの平面の一部であってもよい。
また、側壁本体21は、上面基部22の鉛直方向に対して、側壁本体21の下端側が上面基部22の内側に入り込むように傾斜しているが、側壁本体21は、必ずしも傾斜している必要はなく、側壁本体21は、上面基部22の鉛直方向に平行に配置されていてもよい。
<第1の外側部品130>
図7は、図3Aの分解斜視図における第1の外側部品130の具体的な構造を説明するための平面図であり、図7(a)~図7(e)はそれぞれ第1の外側部品130を図3AにおけるA方向~E方向から見た構造を示す。
第1の外側部品130は、第1の内側部品110の側壁部10aに対向する側壁部30aと、側壁部30aを支持する底面部30bとを有する。
(第1の外側部品130の側壁部30a)
側壁部30aは、上述した基準横面に対する内側面の傾斜が急である第1傾斜部31と、基準横面に対する内側面の傾斜が緩い第2傾斜部32とを有する。ここで、側壁部30aの内側面(第1の内側部品110と当接する当接面)は、側壁部30aの表面のうちの上記の部品組立状態で取付器具100の内側を向く傾斜面であり、第1の外側部品130の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近いほど内側に位置する。第1傾斜部31の内側面は、第1の外側部品130の端部(締め付け手段100aから遠い端部)から遠い遠位傾斜面であって、平面形状を有する。第2傾斜部32の内側面は、第1の外側部品130の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近い近位傾斜面であって、内側方向および突出部の突出する方向を含む面(図7の紙面に平行な面)内で凹状に湾曲した曲面形状(凹状の湾曲面)を有する。ここで、基準横面に対する第2傾斜部32の内側面の傾斜角度は、40度以下であり、望ましくは、35度以下である。第1傾斜部31には、締め付け手段100aを構成する締付ボルトBtを通すための対向する一対の丸孔(ボルト挿通孔)31aが形成されている。さらに、第1傾斜部31の表面のうちの外側面(部品組立状態で取付器具100の外側を向く面)には、取付器具100の長さ方向(上面基部13の表面に平行でかつ締結方向に垂直な方向)に平行に延びる上下一対の線状突出部31b1、31b2が形成されており、これらの線状突出部31b1および31b2に挟まれた領域は、締付ボルトBtの頭部に嵌合して締付ボルトBtの供回りを阻止するボルト嵌合部31bとなっている。
ただし、締付ボルトBtの供回りを阻止するための構成は、上下の線状突出部31b1および31b2の間で締付ボルトBtの頭部を挟むボルト嵌合部31bに限定されるものではなく、締付ボルトBtの回転を規制するように締付ボルトBtの頭部に係合する構造であればどのようなものでもよい。
また、外側部品130の側壁部30aにおけるボルト挿通孔31aが形成されている部分(ボルト装着部)は、断面形状が略三角形形状となっている。このため、締付ボルトBtに対して締付ナットNtを締め付けたとき、外側部品130には、側壁部30aの下端部が突出部に近づく方向に回転モーメントが発生する。このため、外側部品130の下端部が内側部品110の下端部の下側に滑り込みやすい。
ただし、外側部品130の側壁部30aにおけるボルト挿通孔31aが形成されている部分(ボルト装着部)の断面形状は、略三角形形状に限らず、略長方形形状となっていてもよい。
また、側壁部30aが、内側面の傾斜角の異なる2つの傾斜部31および32を有することは、本発明の取付器具100を構成する第1の外側部品130に必須のものではない。従って、側壁部30aは、内側面として1つの傾斜面を有するものでもよい。さらに、第1傾斜部31はその内側面が基準横面に対して垂直な平面であってもよく、また、第2傾斜部32の内側面は、曲面形状を含まない傾斜した平面でもよい。さらに、基準横面に対する第2傾斜部32の内側面の傾斜角は必ずしも40度以下である必要はなく、40度を超えるものであってもよい。
(第1の外側部品130の底面部30b)
底面部30bは、側壁部30aの内側に湾曲した第2傾斜部32の先端から側壁部30aの外側に向かって延びる長方形形状を有する板状部分である。この底面部30bは、取付器具100の基準横面に対して内側が外側よりも若干高くなるように傾斜しているが、底面部30bの構造は、これに限定されるものではない。
<第2の外側部品140>
図8は、図3Aの分解斜視図における第2の外側部品140の具体的な構造を説明するための平面図であり、図8(a)~図8(e)はそれぞれ第2の内側部品140を図3AにおけるA方向~E方向から見た構造を示す。
第2の外側部品140は、第2の内側部品120の側壁部20aに対向する側壁部40aと、側壁部40aを支持する底面部40bとを有する。
(第2の外側部品140の側壁部40a)
側壁部40aは、上述した基準横面に対する内側面の傾斜が急である第1傾斜部41と、基準横面に対する内側面の傾斜が緩い第2傾斜部42とを有する。ここで、側壁部40aの内側面(第2の内側部品120と当接する当接面)は、側壁部40aの表面のうちの上記の部品組立状態で取付器具100の内側を向く傾斜面であり、第2の外側部品140の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近いほど内側に位置する。第1傾斜部41の内側面は、第2の外側部品140の端部(締め付け手段100aから遠い端部)から遠い遠位傾斜面であって、平面形状を有する。第2傾斜部42の内側面は、第2の外側部品140の端部(締め付け手段100aから遠い端部)に近い近位傾斜面であって、突出部の内側方向および突出部の突出する方向を含む面(図8の紙面に平行な面)内で凹状に湾曲した曲面形状(凹状の湾曲面)を有する。ここで、基準横面に対する第2傾斜部42の内側面の傾斜角度は、40度以下であり、望ましくは、35度以下である。第1傾斜部41には、締め付け手段100aを構成する締付ボルトBtを通すための対向する一対の丸孔(ボルト挿通孔)41aが形成されている。
また、外側部品140の側壁部40aにおけるボルト挿通孔41aが形成されている部分(ボルト装着部)は、断面形状が略三角形形状となっている。このため、締付ボルトBtに対して締付ナットNtを締め付けたとき、外側部品140には、側壁部40aの下端部が突出部に近づく方向に回転モーメントが発生する。このため、外側部品140の下端部が内側部品120の下端部の下側に滑り込みやすい。
ただし、外側部品140の側壁部40aにおけるボルト挿通孔41aが形成されている部分(ボルト装着部)の断面形状は、略三角形形状に限らず、略長方形形状となっていてもよい。
また、側壁部40aが、内側面の傾斜角の異なる2つの傾斜部41および42を有することは、本発明の取付器具100を構成する第2の外側部品140に必須のものではない。従って、側壁部40aは、内側面として1つの傾斜面を有するものでもよい。さらに、第1傾斜部41はその内側面が基準横面に対して垂直な平面であってもよく、また、第2傾斜部42の内側面は、曲面形状を含まない傾斜した平面でもよい。さらに、基準横面に対する第2傾斜部42の内側面の傾斜角は必ずしも40度以下である必要はなく、40度を超えるものであってもよい。
(第2の外側部品140の底面部40b)
底面部40bは、側壁部40aの内側に湾曲した第2傾斜部42の先端から側壁部40aの外側に向かって延びる長方形形状を有する板状部分である。この底面部40bは、取付器具100の基準横面に対して内側が外側よりも若干高くなるように傾斜しているが、底面部40bの構造は、これに限定されるものではない。
なお、第1の内側部品110、第2の内側部品120には、締付ボルトBtの挿通孔として長孔が形成され、第1の外側部品130、第2の外側部品140には、締付ボルトBtの挿通孔として丸孔が形成されているが、第1の内側部品110、第2の内側部品120には、締付ボルトBtの挿通孔として丸孔が形成され、第1の外側部品130、第2の外側部品140には、締付ボルトBtの挿通孔として長孔が形成されていてもよく、あるいは、これらの4つの部品のすべてにボルト挿通孔として長孔が形成されていてもよい。
なお、第1の内側部品110、第2の内側部品120、第1の外側部品130、および第2の外側部品140の4つの部品の材料は、例えば、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属材料であってもよいし、樹脂材料であってもよい。また、これらの4つの部品は、押し出し成型により形成されたものでもよいが、押し出し成型により形成する場合は、第1の内側部品110の係止突起15a、突起片14およびボルト挿通長孔11b、第2の内側部品120のボルト挿通長孔21bおよび係合孔23a、第1の外側部品130のボルト挿通孔31a、第2の外側部品140のボルト挿通孔41aは、押し出し成型後の切削加工により形成される。さらに、これらの4つの部品は、押し出し成型に限らず、鍛造やプレス加工などの他の方法で形成してもよい。
2.取付器具100の使用方法
次に、実施形態1の取付器具100の使用方法を、図3、図9~図13を用いて説明する。
図9は、太陽電池モジュールSが建造物Cの嵌合式立平葺屋根Raに設置されている状態を説明するための図であり、図9(a)は、建造物Cの嵌合式立平葺屋根Raの全体を示す斜視図、図9(b)は、図9(a)におけるB9部分を拡大して示す平面図であり、図9(c)および図9(d)はそれぞれ、図9(b)におけるC9部分およびD9部分で用いられる押え金具101aおよび101bを示す斜視図である。
ただし、図9(a)では、嵌合式立平葺屋根Raの凹凸は省略し、図3では、ソーラーパネルSおよび押え金具101aを透視して示している。
実施形態1の取付器具100は、ソーラーパネルSを架台などを用いずに嵌合式立平葺屋根Raあるいは巻きハゼ立平葺屋根Rbに直接取り付けるのに用いられる。この取付器具100には、嵌合式立平葺屋根Raの端部(例えば、図9(b)のC9部分)では、嵌合式立平葺屋根Raの傾斜方向Tの端部に位置するソーラーパネルSの端部のみが載置され、嵌合式立平葺屋根Raの端部以外の部分(例えば、図9(b)のD9部分)では、嵌合式立平葺屋根Raの傾斜方向Tに配列されている隣接するソーラーパネルSの一方の端部とその他方の端部とが載置される。
このため、取付器具100を折板屋根Rの端部以外の部分で使用する場合と、取付器具100を折板屋根Rの端部で使用する場合とでは、ソーラーパネルSを取付器具100の第1の内側部品110に押さえつける押え金具として異なる構造のものが用いられる。
具体的には、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raの端部で使用する場合は、押え金具として図3、図9(c)に示される逆L字型の押え金具101aが用いられ、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raの端部以外の部分で使用する場合は、押え金具として図9(d)に示される平板状の押え金具101bが用いられる。
次に、取付器具100を用いてソーラーパネルSを折板屋根Rとしてタイプの異なる2つの立平葺屋根(嵌合式の立平葺屋根Raと巻きハゼ立平葺屋根Rb)に取り付ける作業を説明する。
<取付器具100の嵌合式立平葺屋根Raへの取付>
図10は、図1に示す取付器具100が嵌合式立平葺屋根Raに取り付けられる様子を説明するための平面図であり、図10(a)は、取付器具100が嵌合式立平葺屋根Ra上に配置された状態を示し、図10(b)は、取付器具100が嵌合式立平葺屋根Raに固定された状態を示す。
まず、嵌合式立平葺屋根Raの決められた複数の位置の各々に取付器具100を固定する。なお、これらの取付器具100の固定は、作業性を考慮して、図10(a)で示すように、第1の内側部品110、第1の内側部品120、第1の外側部品130、および第2の外側部品140を締結ボルトBtおよび締結ナットNtなどで仮止めした状態で行ってもよい。
具体的には、第1の外側部品130のボルト挿通孔31a、第1の内側部品110のボルト挿通長孔11b、第2の内側部品120のボルト挿通長孔21b、および第2の外側部品140のボルト挿通孔41aに締付ボルトBtを挿入し、締付ボルトBtに平座金W、スプリングワッシャーSw、および締付ナットNtを装着し、第1の内側部品110と第2の内側部品120との間に嵌合部Haが挿入可能な程度の間隔を空けてこれらの部品110、120、130、140を仮止めする。このように取付器具100の4つの部品を仮止めした状態で、第1の内側部品110と第2の内側部品120との間に嵌合部Haが挿入されるように取付器具100を嵌合式立平葺屋根Ra上に配置する(図10(a))。その後、締付ナットNtを締付ボルトBtに対して締め付けることにより、第1の内側部品110の先端係合爪11aと第2の内側部品120の先端係合爪21aとが嵌合部Haの首部Ha2を挟持することにより、首部Ha2に対する幅方向の締付が行われる。また、同時に、第1の内側部品110の先端係合爪11aと第2の内側部品120の先端係合爪21aとが嵌合部Haの頭部Ha1を押し上げ、かつ第1の外側部品130の底面部(先端部)30bおよび第2の外側部品140の底面部(先端部)40bが嵌合式立平葺屋根Raの本体Baの表面を押すことにより、首部Ha2に対する高さ方向の締付が行われる。これにより取付器具100が嵌合式立平葺屋根Raに固定される(図10(b))。
(首部Ha2の締付のメカニズム)
以下、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Ra上に配置した状態で締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付ける作業により、取付器具100を構成する4つの部品110、120、130、140が、首部Ha2を幅方向に締め付け、かつ首部Ha2を高さ方向に締め付けるメカニズムを説明する。
図11は、図2に示す取付器具100が嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haに固定されるメカニズムを説明するための図であり、図11(a)~図11(d)は、第1、第2の内側部品110、120および第1、第2の外側部品130、140がそれらの締め付けにより移動する様子を段階的に示す。なお、図11(a)~図11(d)では、図4(b)のX-X線断面が示されている。
図11(a)に示すように、4つの部品(第1、第2の内側部品110、120および第1、第2の外側部品130、140)が締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより仮止めされている取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raに、嵌合部Haが一対の内側部品110および120の間に位置するように配置した状態で、締付ボルトBtに螺合している締付ナットNtを締め付けつける動作を開始する。これにより、図11(b)に示すように、一対の外側部品130、140およびそれらの内側に位置する一対の内側部品110、120は、一対の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが嵌合部Haの首部Ha2に当接するまで、これら4つの部品の姿勢を変えることなく内側に平行移動する。このような4つの部品の平行移動により、一方の内側部品110のガイド溝12aに他方の内側部品120の上面基部22の先端がガイド片として挿入される。一対の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが嵌合部Haの首部Ha2に当接しているため、一対の内側部品110、120は、一対の外側部品130、140により挟まれても、内側部品110、120はこれらが近づく方向(締付ボルトBtに対する締付ナットNtの締め付け方向)には移動しなくなる。また、一方の内側部品110のガイド溝に他方の内側部品120のガイド片が挿入されているので、両方の内側部品110、120は内側に倒れこむことが抑制される。
さらに、一対の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが嵌合部Haの首部Ha2に当接し、かつ一方の内側部品110のガイド溝12aに他方の内側部品120の上面基部22の先端がガイド片として挿入された状態では、締付ナットNtを締め付けても、一対の内側部品110、120は移動しないので、図11(c)に示すように、一対の外側部品130、140がそれぞれ、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cに当接する部分を支点として内側に倒れ込み、一対の外側部品130、140の内側面は、上端部と下端部との2箇所で、対応する一対の内側部品110、120の外側面に当接する。
さらに、締付ナットNtを締め付けると、一対の外側部品130、140が一対の内側部品110、120に対して内側方向に移動する力を与えるが、一対の内側部品110、120は嵌合部Haの首部Ha2に当接しているため、これ以上内側方向に移動することはできない。しかし、一対の外側部品130、140は一対の内側部品110、120と当接する面が傾斜面を有しているため、一対の内側部品110、120に対して内側方向に移動する力の一部は、外側部品の傾斜面により突出部の突出する方向(首部の高さ方向)の力に変換される。そのため、図11(d)に示すように、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cは首部Ha2の高さ方向に押し上げられることになる。これにより、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cは首部Ha2の高さ方向に移動し、頭部に当接する。上述の説明において、締め付け手段の締め付けにおいて、内側部材は内側方向に移動し突出部の首部に当接した後に、首部の高さ方向に移動する場合を示しているが、本発明は内側方向の移動と首部の高さ方向の移動が同時に行われる場合も含まれる。
さらに、一対の外側部品130、140はそれぞれ、対応する内側部品110、120と当接する上端部を中心として回転しようとする力が働く。この回転しようとする力の働きにより、一対の外側部品130、140の内側面の下端部が、先端湾曲部11c、21cと嵌合式立平葺屋根Raの屋根本体Baの表面との間に滑り込ませる効果をもたらす。この効果により、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cを首部の高さ方向にさらに押し上げられる。
一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cが頭部に当接した後は、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cは、それ以上首部の幅方向(内側方向)および首部の高さ方向(突出部の突出する方向)どちらにも移動できないため強固に固定された状態となる。
以上により、取付器具100は、支持部材の嵌合部を内側部品によって首部の幅方向(内側方向)に締め付けれるとともに、首部の高さ方向にも締め付けることが可能となる。
この実施形態1の取付器具100では、一対の外側部品130、140の内側面の下端部は、嵌合式立平葺屋根Raの屋根本体Baの表面に対する傾斜が緩い第2傾斜部32、42となっており、さらに、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cが一対の外側部品130、140の内側面に接触するので、一対の外側部品130、140の内側面の下端部が一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cの下側に滑り込む力が小さくても、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cを押し上げるための大きな力を発生させることができる。その結果、これらの4つの部品による首部Ha2の高さ方向の締付強度を大きなものとできる。
次に、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raとはタイプの異なる巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置した状態で締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付ける作業により、取付器具100を構成する4つの部品110、120、130、140が、嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの首部Ha2とはその幅および高さの異なる巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb2に対して、幅方向の締め付けおよび高さ方向に締め付けを行うメカニズムを説明する。
<取付器具100の巻きハゼ立平葺屋根Rbへの取付>
図12は、図1に示す取付器具100が巻きハゼ立平葺屋根Rbに取り付けられる様子を説明するための平面図であり、図12(a)は、取付器具100が巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置された状態を示し、図12(b)は、取付器具100が巻きハゼ立平葺屋根Rb上に固定された状態を示す。
取付器具100を巻きハゼ立平葺屋根Rbに取り付ける作業も、取付器具100を嵌合式立平葺屋根Raに取り付ける作業と同じであり、仮止めした状態の取付器具100を第1の内側部品110と第2の内側部品120との間に巻きハゼHbが挿入されるように取付器具100を巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置する(図12(a))。その後、締付ボルトBtに装着された締付ナットNtを締め付けると、一対の内側部品110および120が首部Hb2を挟持することにより首部Hb2に対する幅方向の締付が行われる。また、同時に、一対の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが巻きハゼ部Hbの頭部Hb1を押し上げ、かつ一対の外側部品130、140の底面部(先端部)30b、40bが巻きハゼ立平葺屋根Rbの屋根本体Bbの表面を押すことにより、首部Hb2に対する高さ方向の締付が行われる。これにより取付器具100が巻きハゼ立平葺屋根Rbに固定される(図12(b))。
(首部Hb2の締付のメカニズム)
以下、取付器具100を巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置した状態で締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付ける作業により、取付器具100を構成する4つの部品110、120、130、140により、巻きハゼHbの首部Hb2が幅方向に締め付けられ、かつ巻きハゼHbの首部Hb2が高さ方向に締め付けられるメカニズムを説明する。
図13は、図2に示す取付器具100が立平葺屋根Rbのハゼ部Hbに固定されるメカニズムを説明するための図であり、図13(a)~図13(d)は、第1、第2の内側部品110、120および第1、第2の外側部品130、140がこれらの締結により移動する様子を段階的に示す。なお、図13(a)~図13(d)では、図4(b)のX-X線断面が示されている。
4つの部品が締め付け手段100aにより仮止めされている取付器具100を巻きハゼ立平葺屋根Rbに配置する作業(図13(a))は、嵌合式立平葺屋根Raに取付器具100を取り付ける場合の作業(図11(a))と全く同じである。
この状態で、締付ボルトBtに螺合している締付ナットNtを締め付けると、図13(b)に示すように、一対の内側部品110、120は、一対の外側部品130、140に挟まれて一対の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが巻きハゼHbの首部Hb2に当接するまで、これら4つの部品の姿勢を変えることなく内側に平行移動する。
従って、図13(b)に示すように、先端係合爪11a、21aは、嵌合部Haの首部Ha2の幅w1より狭い幅w2を有する巻きハゼHbの首部Hb2を挟持することができる。このため、取付器具100では、嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの首部Ha2に対する幅方向の締付と同様に、巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb2に対する幅方向の締付が行われる。
さらに、締付ナットNtを締め付けると、図13(c)に示すように、嵌合式立平葺屋根Raの場合と同様に、一対の外側部品130、140が内側に傾倒して、対向する内側部品110、120と2点で接触することとなる。
この状態でさらに締付ナットNtの締め付けを行うことにより、図13(d)に示すように、一対の外側部品130、140の内側面の下端部が先端湾曲部11c、21cと巻きハゼ立平葺屋根Rbの屋根本体Bbの表面との間に滑り込むことにより、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cを押し上げる。先端係合爪11a、21aは、嵌合部Haの首部Ha2の高さha1とは異なる高さhb1を有する巻きハゼHbの首部Hb2を押し上げることができる。これにより、取付器具100では、首部Hbに対する高さ方向の締付が行われる。
このように、本実施形態1では、ソーラーパネルSを立平葺屋根に取り付けるための取付器具100において、対向する内側部品110、120および対向する外側部品130、140を備え、締め付け手段100aにより外側部品130、140を内側方向に締め付けることにより、対向する内側部品110、120が突出部の首部を挟持することにより首部の幅方向の締付が行われ、かつ、対向する内側部品110、120が突出部の頭部を押し上げ、対向する外側部品130、140が立平葺屋根本体の表面を押し付けることにより首部の高さ方向の締付が行われるようにしている。
これにより、突出部の首部の幅および高さが異なる種々のタイプの立平葺屋根に対して取付器具100を強固に固定することが可能となる。
その結果、大きく2タイプ(「巻きハゼ」と「嵌合式」)が存在し、しかも、同じタイプであっても製品毎に突出部の高さ、首部の幅および高さが異なる立平葺屋根に対しても一仕様の取付器具100でソーラーパネルの取り付けが可能となる。これにより、折板屋根の製品毎にその屋根の仕様に応じた取付器具を準備する必要がなくなる。従って、取付器具の販売・在庫・施工管理の面で煩雑になる従来の課題を解消することができる。
実施形態1の取付器具100では、内側部品110、120および外側部品130、140が締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより締め付けられたとき、対向する内側部品110、120により首部に対する幅方向の締付が行われ、さらに、対向する内側部品110、120と対向する外側部品130、140とで首部に対する高さ方向に締め付けが行われるので、各部品が立平葺屋根の突出部の首部に対して傾くことなく首部に対して左右均等に締付力がかかる。このため、突出部に対する取付器具100の固定を強固なものとすることができる。
実施形態1の取付器具100では、一対の内側部品110、120の下端部の外面は凸状の湾曲面となっているので、一対の外側部品130、140の底面部30b、40bの内側端部が一対の内側部品110、120の下端部と立平葺屋根の本体表面との間に滑り込みやすい。
さらに、一対の外側部品130、140の側壁部30a、40aは、内側面の傾斜角が異なる第1傾斜部31、41と第2傾斜部32、42とを有し、側壁部30a、40aの下部側の第2傾斜部32、42では、内側面の傾斜角が立平葺屋根本体の表面に対して緩やかであり、側壁部30a、40aの上部側の第1傾斜部31、41では、内側面の傾斜角が立平葺屋根の表面に対して急である。このため、一対の外側部品130、140の底面部30b、40bの内側端部が一対の内側部品110、120の下端部と立平葺屋根本体の表面との間により滑り込みやすく、取付器具100の上部側では、取付器具100を構成する4つの部品がその締め付け方向に広がらないようにできる。
さらには、外側部品130、140の側壁部30a、40aの内側面を立平葺屋根の本体表面の鉛直方向に対して傾斜させることで、外側部品130、140の内側面に内側部品110、120の外側面が当接する状態では、締付ナットNtを締め付ければ締め付けただけ、内側部品110、120を立平葺屋根の高さ方向に移動させることができ、取付器具100は突出部の首部の長い屋根にも対応可能となっている。
実施形態1の取付器具100では、内側部品110がその上部内面から突出する部品係合片12を有し、部品係合片12と上面基部13との間には、内側部品120の上面基部22がガイド片として挿入されるガイド溝12aが形成されているので、内側部品110のガイド溝12aに内側部品120の上面基部22が挿入された状態では、一対の内側部品110、120の上面基部13、22が平行に移動することとなる。これにより、一対の内側部品110、120の側壁本体11、21の傾斜が立平葺屋根の鉛直方向に対して左右対称でなくなるのを回避して、一対の内側部品110、120による強い挟持力を発揮させることができる。
実施形態1の取付器具100では、外側部品130、140の側壁部30a、40aにおけるボルト挿通孔31a、41aが形成されている部分(ボルト装着部)は、断面形状が略三角形形状となっており、外側部品130のボルト装着部の外面と、外側部品140のナット装着部の外面とがハの字形状をなすように傾斜している。このため、締付ボルトBtに対して締付ナットNtを締め付けたとき、外側部品130、140には、それぞれの側壁部30a、40aの下端部が突出部に近づく方向に回転モーメントが発生する。このため、外側部品130、140の下端部が一対の内側部品110、120の下端部の下側に滑り込みやすい。
さらに、実施形態1の取付器具100では、第1の内側部品110は、その上面基部13の側縁から突出する突起片14を有し、第2の内側部品120は、その上面基部22の側縁から起立する線状突出片23を有している。一方の内側部品110の突起片14が、他方の内側部品120の線状突出片23に形成された嵌合孔23aに嵌合されることで、内側部品110、120および外側部品130、140が締め付けられたときに、内側部品110、120が立平葺屋根の表面上での所定の姿勢を保ちつつ立平葺屋根の表面に平行に移動することとなり、内側部品110、120による大きな挟持力を発生させることができ、さらに、横方向(締付ボルトBtの軸方向)の力に対する取付器具100の強度を高めることができる。さらに、仮止め時には第1の内側部品110の突起片14を、第2の内側部品120の線状突出片23の嵌合孔23aに挿入しておくことで、対向する内側部品110、120の一方が他方に対して回転しないようにすることができるため、持ち運びなどが簡単になる。
さらに、内側部品110のパネル載置台15にはその外側縁から上方に突出する係止突起15aが形成されているので、パネル載置台15、16にソーラーパネルSを載置する際にソーラーパネルSの側面を係止突起15aに当ててソーラーパネルSを簡単に位置決めすることができる。
また、外側部品110の外側面の上部に形成された線状突出片31b1、31b2は、締付ボルトBtの頭部を収容するボルト装着溝13aが形成されているので、締付ボルトBt、締付ナットNtの締結時における締付ボルトBtの供回りを防止することができる。
〔実施形態2〕
1.取付器具200の構造
図14は、本発明の実施形態2による取付器具200を説明するための図であり、図14(a)は、取付器具200の外観を示す平面図である。
この実施形態2の取付器具200は、実施形態1の取付器具100における第1の内側部品110および第2の内側部品120に代わる第1の内側部品210および第2の内側部品220を備えたものであり、その他の構成は実施形態1の取付器具100におけるものと同一である。
図15は、図14に示す取付器具200における第1の内側部品210の具体的な構造を説明するための平面図であり、図15(a)~図15(e)はそれぞれ、図14(a)に示す第1の内側部品210を図3AのA方向~E方向に相当する方向から見た構造を示す。
取付器具200の第1の内側部品210は、実施形態1の取付器具100の第1の内側部品110における側面部10aおよび上面部10bに対応する側面部210aおよび上面部210bを有する。ただし、第1の内側部品210は、実施形態1の第1の内側部品110において、側壁本体11の上端部に形成されている部品係合片12に代えて、側壁本体11の中間部に形成された部品係合片212を備え、上面基部13の内側縁から延びる突起片14を取り除いたものである。その他の構成は、取付器具100の第1の内側部品110におけるものと同一である。
図16は、図14に示す取付器具200における第2の内側部品220の具体的な構造を説明するための平面図であり、図16(a)~図16(e)はそれぞれ、図14(a)に示す第2の内側部品220を図3AのA方向~E方向に相当する方向から見た構造を示す。
取付器具200の第2の内側部品220は、実施形態1の取付器具100の第2の内側部品120における側面部20aおよび上面部20bに対応する側面部220aおよび上面部220bを有する。ただし、第2の内側部品220は、実施形態1の第2の内側部品120において、側壁本体21の中間部の内面から突出する係合片222を備え、上面基部22の外側縁部から斜めに延びる線状突出片23を取り除いたものであり、その他の構成は、取付器具100の第2の内側部品120におけるものと同一である。
ここで、取付器具200は、第2の内側部品220の上面基部22および係合片222が、第1の内側部品210の上面基部13と第1の内側部品210の係合片212との間に嵌合することにより、第1の内側部品210の上面基部13と第2の内側部品220の上面基部22とが平行になるように両内側部品210および220の姿勢が維持された状態で、第1の内側部品210と第2の内側部品220とが近接あるいは離反可能となるように構成されている。
2.取付器具200の使用方法
実施形態2の取付器具200の使用方法は、実施形態1の取付器具100と同一であるが、第1の内側部品210の上面基部13と第2の内側部品220の上面基部22とが平行になるように両内側部品210および220の姿勢が維持されるメカニズムが、実施形態1の取付器具100とは異なるので、締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付けたときの4つの部品210、220、130、140の動きを、取付器具200を嵌合式立平葺屋根Raに取り付ける場合を挙げて説明する。
図14(b)~図14(e)は、第1、第2の内側部品210、220および第1、第2の外側部品130、140がこれらの締結により移動する様子を段階的に示す断面図である。なお、図14(b)~図14(e)では、図4(b)のX-X線に相当する位置の断面が示されている。
4つの部品が締め付け手段100aにより仮止めされている取付器具200を嵌合式立平葺屋根Ra上に配置した状態(図14(b))で、締付ボルトBtに螺合している締付ナットNtを締め付けると、図14(c)に示すように、対向する内側部品210、220は、対向する外側部品130、140に挟まれて内側部品210、220の先端係合爪11a、21aが嵌合式立平葺屋根Haの嵌合部Haの首部Ha2に当接するまで内側方向に移動する。この移動の際、第2の内側部品220の上面基部22および係合片222が、第1の内側部品210の上面基部13と第1の内側部品210の係合片212との間に嵌合することにより、第1の内側部品210および第2の内側部品220は一定の姿勢を維持したまま平行移動することを可能とする。
この状態では、図14(c)に示すように、先端係合爪11a、21aは、嵌合部Haの首部Ha2を挟持することにより、嵌合部Haの首部Ha2に対する幅方向の締付が行われる。
さらに、締付ナットNtを締め付けると、図14(d)に示すように、一対の外側部品120、140の上端部が内側に傾倒して、対向する内側部品210、220と2点で接触することとなる。
この状態でさらに締付ナットNtの締め付けを行うことにより、図14(e)に示すように、外側部品130、140の内側面が傾斜面を有しているため、内側部品110、120に首部Ha2の高さ方向に移動する力を与える。それにより、内側部品110、120は首部Ha2の高さ方向に移動して頭部に当接することで首部Ha2に対する高さ方向の締付が行われる。また、一対の外側部品120、140の上端部を中心として回転しようとする力の働きにより、一対の外側部品130、140の内側面の下端部が、先端湾曲部11c、21cと嵌合式立平葺屋根Raの屋根本体Baの表面との間に滑り込む。これにより、一対の内側部品110、120の先端湾曲部11c、21cを首部の高さ方向にさらに押し上げる効果が得られる。
また、取付器具200を巻きハゼ立平葺屋根Rbに取り付ける場合も、取付器具200を嵌合式ハゼ立平葺屋根Raに取り付ける場合と同様に、巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb2に対して幅方向の締付および高さ方向の締付が行われる。
このように、実施形態2の取付器具200は、突出部の首部の幅および高さが異なる種々のタイプの立平葺屋根に対して強固に固定することが可能なものである。
〔実施形態3〕
1.取付器具300の構造
図17は、本発明の実施形態3による取付器具300を説明するための図であり、図17(a)は、取付器具300の外観を示す平面図、図17(b)~図17(e)は、第1、第2の内側部品110、120および外側部品130がこれらの締結により移動する様子を段階的に示す断面図である。なお、図17(b)~図17(e)では、図4(b)のX-X線に相当する位置の断面が示されている。
この実施形態3の取付器具300は、実施形態1の取付器具100における対向する2つの外側部品130および140を、1つの外側部品130に置き換えたものであり、その他の構成は実施形態1の取付器具100におけるものと同一である。
2.取付器具300の使用方法
実施形態3の取付器具300の使用方法は、実施形態1の取付器具100と同一であるが、対向する2つの内側部品110、120と1つの外側部品130とにより突出部の首部を締め付ける動作が実施形態1のものと異なるので、締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付けたときの3つの部品110、120、130の動きを、取付器具300を嵌合式立平葺屋根Raに取り付ける場合を挙げて説明する。
第1、第2の内側部品110、120と1つの外側部品130とが締め付け手段100aにより仮止めされている取付器具300を嵌合式立平葺屋根Ra上に配置した状態(図17(b))で、締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより外側部品130を内側方向に締め付けると、図17(c)に示すように、第1の外側部品130と第2の内側部品120とが締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより引き寄せられ、第1、第2の内側部品110、120の先端係合爪11a、21aが嵌合式立平葺屋根Haの嵌合部Haの首部Ha2に当接するまで移動する。この移動の際、第2の内側部品120の上面基部22が第1の内側部品110のガイド溝12aに挿入されることにより、これら3つの部品はその姿勢を変えることなく平行移動する。
この状態では、図17(c)に示すように、先端係合爪11a、21aが嵌合部Haの首部Ha2を挟持する。
さらに、締付ナットNtを締め付けると、図17(d)に示すように、1つの外側部品130が内側に傾倒して、対向する内側部品110と2点で接触することとなる。この状態では、先端係合爪11a、21aが嵌合部Haの首部Ha2を強固に挟持することにより、嵌合部Haの首部Ha2に対する幅方向の強固な締付が行われる。
この状態でさらに締付ナットNtの締め付けを行うことにより、図17(e)に示すように、外側部品130の内側面の下端部が先端湾曲部11cと嵌合式立平葺屋根Raの屋根本体Baの表面との間に滑り込むことにより、外側部品130の内側面の下端部に対向する第1の内側部品110の先端湾曲部11cが押し上げられる。これにより、取付器具300では、首部Ha2に対する高さ方向の強固な締付が行われる。
また、取付器具300を巻きハゼ立平葺屋根Rbに取り付ける場合も、取付器具300を嵌合式ハゼ立平葺屋根Raに取り付ける場合と同様に、巻きハゼ立平葺屋根Rbの巻きハゼ部Hbの首部Hb2に対して幅方向の締付および高さ方向の締付が行われる。
このように、実施形態3の取付器具300は、突出部の首部の幅および高さが異なる種々のタイプの立平葺屋根に強固に固定することが可能なものである。
〔実施形態4〕
1.取付器具400の構造
図18は、実施形態4による取付器具400を説明するための図であり、図18(a)は、取付器具400の外観を示す平面図である。
この実施形態4の取付器具400は、実施形態1の取付器具100における対向する2つの内側部品110および120を、1つの内側部品410に置き換えたものであり、その他の構成は実施形態1の取付器具100におけるものと同一である。
図19は、図18に示す取付器具400を構成する内側部品410の構造を具体的に説明するための平面図であり、図19(a)~図19(e)はそれぞれ、図18(a)に示す内側部品410を図3AのA方向~E方向に相当する方向から見た構造を示す。
内側部品410は、ソーラーパネルSが載置される上面部410bと、上面部410bを支持する第1の側壁部410aと、第1の側壁部410aに対向する第2の側壁部410cとを有する。
ここで、第1の側壁部410aは、取付器具100の第1の内側部品110を構成する側壁部10aにおける部品係合片12を取り除いた構造を有し、上面部410bは、取付器具100の第1の内側部品110を構成する上面部10bにおける突起片14を取り除いた構造を有する。さらに、第2の側壁部410cは、上面部410bを構成する上面基部13のうちの側壁本体11が延びる端部とは反対側の端部から下方に伸びる側壁本体411を含む。この側壁本体411は、上面基部13の端部から延びる側壁本体11より短く、上面基部13の鉛直方向に対して、側壁本体411の下端側が上面基部13の内側に入り込むように傾斜している。さらに、側壁本体411の下端部には、締付ボルトBtと干渉しないように切り込み411bが形成されている。
2.取付器具400の使用方法
実施形態4の取付器具400の使用方法は、実施形態1の取付器具100と同一であるが、1つの内側部品410と対向する2つの外側部品130、140とにより突出部の首部を締め付ける動作が実施形態1のものと異なるので、締付ナットNtを締付ボルトBtに締め付けたときの3つの部品410、130、140の動きを、取付器具400をハゼ巻き立平葺屋根Rbに取り付ける場合を挙げて説明する。
図18(b)~図18(e)は、内側部品410および第1、第2の外側部品130、140がこれらの締結により移動する様子を段階的に示す断面図である。なお、図18(b)~図18(e)では、図4(b)のX-X線に相当する位置の断面が示されている。
内側部品410と2つの外側部品130、140とが締め付け手段100aにより仮止めされている取付器具400を巻きハゼ立平葺屋根Rb上に配置した状態(図18(b))で、締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより外側部品130,140を内側方向に締め付けると、図18(c)に示すように、第1の外側部品130と第2の外側部品140とが締付ボルトBtおよび締付ナットNtにより引き寄せられる。
さらに、締付ナットNtを締め付けると、図18(d)に示すように、1つの内側部品410の先端係合爪11aおよび第2の外側部品140の底面部の内側端が巻きハゼ立平葺屋根Hbの嵌合部Hbの首部Hb2に当接するまで移動する。この状態では、図18(d)に示すように、第1の内側部品110の先端係合爪11aと第2の外側部品140の底面部の内側端とが、巻きハゼ部Hbの首部Hb2を挟持することにより、巻きハゼ部Hbの首部Hb2に対する幅方向の締付が行われる。
この状態でさらに締付ナットNtの締め付けを行うことにより、第1の外側部品130の底面部の内側端が先端湾曲部11cと巻きハゼ立平葺屋根Rbの屋根本体Bbの表面との間に滑り込むことにより、図18(e)に示すように、第1の外側部品130の内側面の下端部が、これに対向する内側部品410の先端湾曲部11cを押し上げる。これにより、取付器具400では、首部Hb2に対する高さ方向の締付が行われる。
また、取付器具400を嵌合式立平葺屋根Raに取り付ける場合も、取付器具400を巻きハゼ立平葺屋根Rbに取り付ける場合と同様に、嵌合式立平葺屋根Raの嵌合部Haの首部Ha2に対して幅方向の締付および高さ方向の締付が行われる。
このように、実施形態4の取付器具400は、突出部の首部の幅および高さが異なる種々のタイプの立平葺屋根に強固に固定することが可能なものである。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。