JP6990568B2 - 発泡体付きヘルムホルツレゾネータ及びその製造方法 - Google Patents
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こうしたことから、上記共振の発生を抑える発明が種々提案されてきた(例えば特許文献1、2)。
4の態様に記載の発明の要旨は、先端部が別体の相手方ダクトに設けたノズルへ挿着される連通管と該連通管の基端部に接続されるレゾネータ容積部とを備えたヘルムホルツレゾネータを発泡成形型にセットし、次に、該発泡成形型へ軟質のポリウレタン発泡原料を注入して型閉じした後、該連通管を介してレゾネータ容積部の空洞部へ気体を供給して内圧をかけた状態にして、該レゾネータ容積部の外周面を覆う第一被覆層と、前記連通管の外周先端部へ筒状に巻き付く第二被覆層とを有する被覆層を一体発泡成形し、しかる後、前記連通管を介して前記空洞部へ、前記内圧よりも高い高圧気体を供給して脱型することを特徴とする発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法にある。5の態様の発明たる発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法は、4の態様で、発泡成形型の下型キャビティ面上に、前記連通管に係る先端の管口内へ挿着できる柱状突起を突設すると共にその柱軸方向に縦通する貫通孔が設けられて、前記連通管の先端管口側を該柱状突起に嵌め込み、下型にセットした前記ヘルムホルツレゾネータに係る前記レゾネータ容積部の空洞部へ、該貫通孔を通って気体を供給して内圧をかけた状態にすることを特徴とする。6の態様の発明たる発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法は、5の態様で、貫通孔から半径外方に向かい前記柱状突起の外周面へ貫通する枝孔が設けられ、且つ該枝孔が下型キャビティ面上近くに配された前記発泡成形型を用いて、前記被覆層を一体発泡成形することを特徴とする。7の態様の発明たる発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法は、5又は6の態様で、相手方ダクトを車両エンジンの吸気ダクトとし、前記レゾネータ容積部から該吸気ダクトへの係止用部分を有する板状アームを突設させたヘルムホルツレゾネータを用いる一方、前記発泡成形型へのヘルムホルツレゾネータのセットで、下型キャビティ面における前記アームの対応位置に溝穴を形成して、前記アームの先端部分を該溝穴に挿入すると共に前記連通管の先端管口側を前記柱状突起に嵌め込み、前記ヘルムホルツレゾネータを前記発泡成形型にセットすることを特徴とする。
図1~図10は本発明の発泡体付きヘルムホルツレゾネータ(以下、単に「発泡体付きレゾネータ」ともいう) 及びその製造方法の一形態で、自動車エンジンの吸気ダクトに取付けられる発泡体付きレゾネータに適用する。図1は発泡体付きレゾネータの断面図、図2は図1のII-II線断面図、図3は下型にレゾネータをセットする様子の説明断面図、図4は発泡原料を注入する説明断面図、図5は型閉じ後、レゾネータ容積部内に気体を供給し内圧をかけた説明断面図、図6は図5の後、発泡成形を終えた説明断面図を示す。図7は上型を型開した説明断面図、図8は脱型の説明断面図、図9は図8の脱型初期の様子を表した説明断面図、図10は柱状突起周りの説明斜視図を示す。各図は図面を判り易くするため発明要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を簡略化又は省略する。図3,図4や図7,図8は型開状態を示し、上型の図示を省く。
発泡体付きレゾネータは、レゾネータRと被覆層Fとを具備する。
レゾネータRは、別体の吸気ダクトDに設けたノズルD2に、先端部22が挿着される連通管2と、該連通管2の基端部21に接続されるレゾネータ容積部1と、を備える。吸気ダクトDのノズルD2に連通管2の先端部22を取付ければ、レゾネータRが吸気ダクトD内の特定周波数の吸気音を低減する。レゾネータ容積部1は被覆層Fに埋設一体化されるタンクで、本実施形態は中空六面体の箱型状になっている。連通管2は、該レゾネータ容積部1の一板壁11に基端部21がつながる一方、ここから水平に若干張り出し、屈曲部を設けた後、図1でいえば吸気ダクトD側に延在して先端部22を形成する。レゾネータ容積部1に係る吸気ダクトD側の板壁11に対し管状先端部22の軸方向を直交させて、先端部22が吸気ダクトD側の該板壁11よりも吸気ダクトD側に突き出し、吸気ダクトDのノズルD2に挿着し易くしている。
ノズルD2に先端部22を挿着,固定すると、吸気口から吸気ダクトD内、管内20、基端部21の通孔210を通ってレゾネータ容積部1の空洞部10と連通する。吸気ダクトD内に発生する気柱共鳴による騒音が、連通管2とレゾネータ容積部1の共鳴現象によって、音のエネルギが摩擦による熱エネルギに変換され特定周波数の騒音を低減できる。
レゾネータ容積部1からのアーム3の突出方向は、図1のごとくレゾネータ容積部1からの連通管2に係る先端部22の突出方向と同方向にする。連通管先端部22で吸気ダクトDのノズルD2に挿着固定するだけでなく、アーム3の小孔310と吸気ダクトDに設けた取付け部たる透孔D5とにビスBSを挿着して、本発泡体付きレゾネータが吸気ダクトDの二か所で確実に取付けられる。また、アーム3が在ると、発泡体付きレゾネータの製造方法において、発泡成形型TへのレゾネータRのセットも楽になる(詳細後述)。
ここで、第一被覆層4がレゾネータRを埋設するといっても、レゾネータ容積部1の一部を第一被覆層4から露出させることもできる。ただ、レゾネータRは、第一被覆層4が図1,図2のようにレゾネータ容積部1の外周全面を包み込んで、第一被覆層4でレゾネータ容積部1を完全埋設するのがより好ましい。軟質のポリウレタン発泡体からなる弾性の被覆層Fが全体を包み込むことで、レゾネータR内の共鳴による空気の振動で生じるレゾネータ容積部1の壁面振動や、剛性の樹脂成形品からなるレゾネータ容積部1が車両走行時等の振動での干渉音が発生するのを、より効果的に抑えられるからである。本実施形態のポリウレタン発泡体は、比較的密度の高い80~200Kg/m3のものとし、埋設されるレゾネータ容積部1の板壁の単位面積当たりの重量を上げている。本実施形態は、さらに第一被覆層4がレゾネータ容積部1の外周面1aに押圧状態で密着して一体成形されている。
また、被覆層Fを形成する軟質のポリウレタン発泡体は、連続気泡構造とすることでレゾネータRでは吸音できない高周波の吸音特性を有し、レゾネータR周りで発生する高周波の車両騒音をも低減できる発明になっている。
発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法は、前記レゾネータRを用いて例えば次のようにして造られる。製造に先立ち、レゾネータRと発泡成形型Tと圧供給装置9が用意される。レゾネータRは前述した内容と同じで、その説明を省く。
また、前記アーム3を有するレゾネータRを用いることから、下型キャビティ面71には、レゾネータRの発泡成形型Tへのセットで、アーム3の対応位置にアーム先端部分を挿入する溝穴74が形成される。
低圧気体用配管912中を流れる加圧気体の低圧気体G1は大気圧よりも高いが、高圧気体用配管913中を流れる高圧気体G2よりも圧力が低い。低圧弁92,高圧弁93は常態で閉とする。被覆層Fの発泡成形時の発泡圧によってレゾネータ容積部1が凹まないようにする内圧を、低圧気体配管912を使って加える。また、高圧気体用配管913を使って、脱型を可能にする(詳細後述)。低圧気体G1,高圧気体G2は共に圧縮空気を用いる。本実施形態は、脱型を容易にするために、柱状突起72には貫通孔721から半径外方に向かい外周面へ貫通する枝孔722が複数設けられる。下型7への柱状突起72の挿入固定で、図9,図10ごとくの枝孔722が下型キャビティ面71上近くに配される発泡成形型Tを採用する。柱状突起72を連通管2の前記管口220内へ挿着したとき、連通管2の管口220傍の管内周面に前記枝孔722の孔口が配される。
まず、型開状態にして下型7にレゾネータRをセットする(図3,図4)。アーム3の先端部分を溝穴74に挿入し、またこれと並行して連通管2の先端管口220側を柱状突起72に嵌め込んで、レゾネータRを下型キャビティ面71上にセットする。レゾネータRがアーム3と連通管2の二箇所で下型7に支持されるので、精度良く且つ安定セットされる。連通管先端部22の管口220は、柱状突起72で塞がれ、また連通管2の先端面に下型キャビティ面71が当接する。
次いで、上型8を作動させ型閉じする(図5)。上型8と下型7との型閉じで、レゾネータRがインサートセットされた発泡体付きレゾネータ用キャビティCができる。尚、発泡原料gは型閉じ後に注入してもよい。
本発明では、主工程の発泡成形に先立ち、圧供給装置9の低圧弁92を開にして図5のように低圧気体G1がレゾネータ空洞部10に導かれる。型閉じ工程に続いてレゾネータ容積部1の内圧を高める工程へと進む。低圧気体G1を低圧弁92,導入孔73,貫通孔721,連通管2の管内20を通って空洞部10へ導く(図5)。低圧気体配管912からの低圧気体G1を用い、発泡成形時にウレタン樹脂の発泡圧力によってレゾネータ容積部1が変形しない程度の圧力を加えて、前記問題を解決する。発泡成形圧以上に空洞部10の内圧を高めた状態にするのが好ましい。発泡成形過程で、空洞部10に内圧がかかっているため、柱状突起72に挿着された連通管2の管口220に隙間ができても、管口220から連通管2の管内20へ発泡原料gが入り込み難くなる。尚、本実施形態は型閉じ後に空洞部10へ内圧をかけたが、レゾネータRを覆う被覆層Fを一体発泡成形するに際し、空洞部10へ内圧をかけた状態になっておれば足りる。
こうして、被覆層Fの発泡成形を終えると、図6ごとくの所望の発泡体付きレゾネータ(被覆層F付きレゾネータR)が出来上がり、低圧弁92が閉じられる。発泡圧力を超える空洞部10の内圧を高めた状態にして成形された第一被覆層4は、該内圧に抗し、レゾネータ容積部1の外周面1aに押圧状態で密着して一体成形された形になっている。
高圧弁93を開にし、高圧気体G2を連通管2,レゾネータ容積部1に供給して充満させいく。その高圧気体G2の内圧が高まることによって、連結管先端部22が下型キャビティ面71(第二被覆層先端面用キャビティ面716)から少し浮き上がる。そして、高圧気体G2が、枝孔722を通って枝孔722周りの連通管先端部22の端面を横切り、第二被覆層5の先端面と第二被覆層先端面用キャビティ面716との間に押圧進入する(図9)。そうして、弾性の第二被覆層5を変形させ、さらに下型キャビティ面71に接していた第一被覆層4,第四被覆層62を変形させて、図8の矢印のごとく高圧気体G2が入り込んでいく。続いて、下型キャビティ面71と被覆層Fとの間に潜り込んだ高圧気体G2が、その押圧力でもって、図8の白抜矢印のごとく被覆層F付きレゾネータR(発泡体付きレゾネータ)を下型キャビティ面71から持ち上げる。柱状突起72は脱型方向に突き出し、溝穴74も脱型方向に穴が開いているので、発泡体付きレゾネータが下型7から円滑に浮き上がる。斯かる状態にしてから、発泡体付きレゾネータが作業者によって脱型される。後は上記工程が繰り返されて、発泡体付きレゾネータが造られていく。
図中、符号79,89は型合わせ面、符号D1は吸込み口、符号uは流路を示す。
このように構成した発泡体付きヘルムホルツレゾネータ及びその製造方法によれば、軟質ポリウレタン発泡体の第一被覆層4がレゾネータ容積部1を覆って一体発泡成形されるので、吸気音やエンジン音等の低減で、レゾネータ容積部1内の共鳴による空気の振動で生じる該レゾネータ容積部1の壁面振動を抑えることができる。また車両走行で、他の部品や相手方ダクトDとの干渉によるレゾネータ容積部1の板壁11に生じ易い干渉音等も弾性のポリウレタン発泡体が有する制振作用によって抑えられる。
これに対し、本発明はレゾネータRを覆った被覆層Fが断熱材として機能発揮し、エンジンルーム内の熱をレゾネータRに熱伝達させないようにする。温度上昇に伴って、レゾネータ板壁11の剛性低下を回避できる。
さらに、レゾネータ容積部1からアーム3を突出し、該アーム3に該ダクトへの係止用部分31を設けると、連通管2の先端部22とアーム3との二か所で吸気ダクトDに確実に取付け固定できる。
さらにいえば、連通管先端部22が吸気ダクトD側の板壁11よりも吸気ダクトD側に突出し、またアーム3の突出方向が図1のように連通管先端部22の突出方向と同方向にすると、発泡体付きレゾネータの製造方法における下型7へのレゾネータRのセットが容易になる。図4のごとく連通管先端部22とアーム3の二か所で下型7に係止するので、下型7にレゾネータRを安定させてセット保持できる。連通管先端部22とアーム3の脱型方向が図8のごとく同じになるので、脱型も容易になる。
また、発泡圧以上の内圧に設定し、該内圧に抗して被覆層Fを発泡成形させることによって、第一被覆層4をレゾネータ容積部1の外周面1aに押圧状態で密着して一体成形させることができる。レゾネータ容積部1の外周面1aへの第一被覆層4の押圧密着によって、レゾネータ容積部1の動きが規制されるので、レゾネータ容積部1を形成する板壁11の壁面振動や干渉音等をより効果的に抑えることができる。この押圧密着によって、レゾネータ容積部1を構成する板壁11を薄くしても壁面振動や干渉音が抑えられることから、さらなる板壁11の薄肉化,レゾネータRの軽量化も可能になり、より一層好ましくなる。
このように本発明の発泡体付きレゾネータは、上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
1a 外周面
10 空洞部
2 連通管
22 先端部
3 アーム
4 第一被覆層
5 第二被覆層
71 下型キャビティ面
72 柱状突起
721 貫通孔
722 枝孔
D 相手方ダクト(吸気ダクト)
D2 ノズル
F 被覆層
R レゾネータ
T 発泡成形型
g 軟質ポリウレタン発泡原料(発泡原料)
Claims (7)
- 先端部が別体の相手方ダクトに設けたノズルへ挿着される連通管と該連通管の基端部に接続されるレゾネータ容積部とを備えるヘルムホルツレゾネータと、
該ヘルムホルツレゾネータを埋設して一体発泡成形されている軟質のポリウレタン発泡体からなる被覆層と、を具備し、
且つ該被覆層が、前記レゾネータ容積部の外周面を覆う第一被覆層と、前記連通管に係る先端部の外周面へ筒状に巻き付く第二被覆層と、を有することを特徴とする発泡体付きヘルムホルツレゾネータ。 - 前記相手方ダクトを車両エンジンの吸気ダクトとし、且つ前記レゾネータ容積部からアームを突出し、該アームに該吸気ダクトへの係止用部分を設けた請求項1記載の発泡体付きヘルムホルツレゾネータ。
- 前記第一被覆層が前記レゾネータ容積部の外周面に押圧状態で密着して一体成形されている請求項1又は2に記載の発泡体付きヘルムホルツレゾネータ。
- 先端部が別体の相手方ダクトに設けたノズルへ挿着される連通管と該連通管の基端部に接続されるレゾネータ容積部とを備えたヘルムホルツレゾネータを発泡成形型にセットし、次に、該発泡成形型へ軟質のポリウレタン発泡原料を注入して型閉じした後、該連通管を介してレゾネータ容積部の空洞部へ気体を供給して内圧をかけた状態にして、該レゾネータ容積部の外周面を覆う第一被覆層と、前記連通管の外周先端部へ筒状に巻き付く第二被覆層とを有する被覆層を一体発泡成形し、しかる後、前記連通管を介して前記空洞部へ、前記内圧よりも高い高圧気体を供給して脱型することを特徴とする発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法。
- 前記発泡成形型の下型キャビティ面上に、前記連通管に係る先端の管口内へ挿着できる柱状突起を突設すると共にその柱軸方向に縦通する貫通孔が設けられて、
前記連通管の先端管口側を該柱状突起に嵌め込み、下型にセットした前記ヘルムホルツレゾネータに係る前記レゾネータ容積部の空洞部へ、該貫通孔を通って気体を供給して内圧をかけた状態にする請求項4記載の発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法。 - 前記貫通孔から半径外方に向かい前記柱状突起の外周面へ貫通する枝孔が設けられ、且つ該枝孔が下型キャビティ面上近くに配された前記発泡成形型を用いて、前記被覆層を一体発泡成形する請求項5記載の発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法。
- 前記相手方ダクトを車両エンジンの吸気ダクトとし、前記レゾネータ容積部から該吸気ダクトへの係止用部分を有する板状アームを突設させたヘルムホルツレゾネータを用いる一方、前記発泡成形型へのヘルムホルツレゾネータのセットで、下型キャビティ面における前記アームの対応位置に溝穴を形成して、
前記アームの先端部分を該溝穴に挿入すると共に前記連通管の先端管口側を前記柱状突起に嵌め込み、前記ヘルムホルツレゾネータを前記発泡成形型にセットする請求項5又は6に記載の発泡体付きヘルムホルツレゾネータの製造方法。
載の車両用シートパッドの製造方法。
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